以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<<第1実施形態>>
図1は本実施形態における面状発熱体を示す平面図、図2は図1のII-II線に沿った断面図、図3は本実施形態における樹脂フィルムを示す平面図、図4は本実施形態における樹脂フィルム及び導電性回路を示す平面図、図5は本実施形態において複数の発熱部を区分けして示す平面図、図6は本実施形態における中央の発熱部を示す拡大平面図、図7は本実施形態において中央の発熱部に隣接する発熱部を示す拡大平面図、図8は本発明の第1実施形態における導電性回路の等価回路図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態における面状発熱体1Aは、樹脂フィルム10と、ヒータ部20Aと、接着層70と、支持層80と、を備えている。この面状発熱体1Aは、特に限定されないが、自動車等の車両用のシートヒータとして用いられ、具体的には、当該車両の座席に埋設されて使用される。なお、面状発熱体1Aの設置対象は、シートに限定されず、例えば、アームレストに埋設してもよい。また、面状発熱体1Aの用途は、特に車両に限定されず、例えば、車両以外で使用される座席やベッド等に用いられてもよい。
樹脂フィルム10は、絶縁性を有する樹脂材料から構成されたフィルムである。本実施形態における樹脂フィルム10が、本発明における「絶縁性樹脂フィルム」の一例に相当する。
図3に示すように、樹脂フィルム10は、上面101上に特定点SPを有している。この特定点SPは、面状発熱体1Aが、シートヒータ等として用いられた場合に、樹脂フィルム10の上面101において、最大の荷重が印加される点(最大荷重印加点)である。本実施形態では、この特定点SPは、樹脂フィルム10の中心(重心)に位置している。例えば、シートに乗員が着座した場合、この乗員の臀部により面状発熱体1Aが押圧される。この際に、樹脂フィルム10の上面101において、当該押圧による荷重が最大になる点が、特定点SPである。
樹脂フィルム10の上面101は、上記の特定点SPを中心として所定の半径Rの円領域CAを有している。この円領域CAは、特定点SP及びその近傍に荷重が印加された場合に、殆ど曲げ変形が生じない領域である。一方で、この円領域CAの周囲の領域は、上記荷重が印加された場合に、円領域CAに生じる曲げ変形よりも大きな曲げ変形が生じる領域である。円領域CAの半径Rは、特に限定されないが、樹脂フィルム10の短辺の長さLsに対して、1/10倍以上とすることができる(1/10≦R/Ls)。また、半径Rは、樹脂フィルム10の短辺の長さLsに対して、1/8倍以上とすることが好ましく(1/8≦R/Ls)、1/6倍以上とすることがさらに好ましい(1/6≦R/Ls)。また、円領域CAの半径Rは、特に限定されないが、樹脂フィルム10の短辺の長さLsに対して、1/2倍以下とすることができる(R/Ls≦1/2)。
この円領域CAの外側には、樹脂フィルム10の上面101から下面102(図2参照)まで貫通する複数(本例では6個)の開口部11A〜11Fが設けられている。この開口部11A〜11Fは、円領域CAと同心円状に配置されている。
なお、樹脂フィルム10に形成される開口部の数は、複数であれば特に上記に限定されず、任意に設定することができる。また、当該開口部の形状も、以下に説明する形状に特に限定されない。さらに、樹脂フィルム10上の開口部の配置も、円領域CAの外側であり、且つ、ヒータ部20Aの導電性回路30A(後述)内に配置されているのであれば、以下に説明する配置に特に限定されない。ここでいう、「導電性回路30A内に配置されている」とは、樹脂フィルム上の導電性回路が形成されている領域の内部に配置されていることをいう。
開口部11A,11Bは、特定点SPを中心とする仮想円VC1の円周に沿って設けられており、当該円周に沿って延在する(即ち、開口部11A,11Bの長手方向が当該円周に沿っている)細長形状を有している。開口部11A,11Bの長手方向は、導電性回路30Aの細線411(後述),422(後述)(図6及び図7参照)の延在方向と実質的に平行となっている。ここで、仮想円VC1は、円領域CAの同心円であり、且つ、円領域CAよりも大きい半径を有する仮想円である。
この開口部11A,11Bは、仮想直線VL1に対して線対称な平面形状を有している。また、この開口部11A,11Bは、仮想直線VL2に対して相互に線対称に配置されており、この開口部11A,11Bの間に円領域CAが介在している。ここで、仮想直線VL1は、特定点SPを通過すると共に、樹脂フィルム10の長手方向(図中のY方向)に沿って延在する仮想上の直線である。一方、仮想直線VL2は、特定点SPを通過すると共に、樹脂フィルム10の短手方向(図中のX方向)に沿って延在する仮想上の直線である。
この開口部11A,11Bの外側に開口部11C〜11Fが設けられている。この開口部11C〜11Fは、仮想円VC2の円周に沿って設けられており、当該円周に沿って延在する細長形状を有している。開口部11C〜11Fの長手方向は、導電性回路30Aの細線411(後述),422(後述)(図6及び図7参照)の延在方向と実質的に平行となっている。ここで、仮想円VC2は、仮想円VC1の同心円であり、且つ、仮想円VC1よりも大きい半径を有する仮想円である。
そして、開口部11C,11Dは、仮想直線VL1に対して相互に線対称に配置されていると共に、仮想直線VL1に対して線対称な平面形状を有している。開口部11E,11Fも、仮想直線VL1に対して相互に線対称に配置されていると共に、仮想直線VL1に対して線対称な平面形状を有している。
また、開口部11C,11Eは、仮想直線VL2に対して相互に線対称に配置されていると共に、仮想直線VL2に対して線対称な平面形状を有している。開口部11D,11Fも、仮想直線VL2に対して相互に線対称に配置されていると共に、仮想直線VL2に対して線対称な平面形状を有している。
従って、開口部11Cと開口部11Fは、特定点SPを中心として点対称に配置されて、特定点SPを中心として点対称な平面形状を有している。開口部11Dと開口部11Eも、特定点SPを中心として点対称に配置されており、特定点SPを中心として点対称な平面形状を有している。
本実施形態のように、開口部11A〜11Fが、特定点SPを中心とする仮想円VC1,VC2の円周に沿った細長形状を有していることで、面状発熱体1Aが荷重により変形した時に、樹脂フィルム10に生じる応力を効果的に吸収することができる。
なお、本実施形態において、「細長形状」とは、短手方向の長さL1よりも長手方向の長さL2の方が長いことを意味し(L2>L1)、短手方向の長さL1に対する長手方向の長さL2の比率が2倍以上であることが好ましく(L2/L1≧2)、4倍以上であることがより好ましい(L2/L1≧4)。
本実施形態では、開口部11A〜11Fは、特定点SPを囲むように、樹脂フィルム10の円領域CAの外側に設けられている。
具体的には、開口部11A,11B,11D,11Fが、樹脂フィルム10の長手方向に延在する仮想直線VL1の一方側(図中の+X方向側)に配置されている。そして、この一方の側では、開口部11A,11B,11D,11F及び特定点SPをX方向に沿って仮想直線VL1上に投影した場合に、特定点SPが、開口部11A,11Bの間に介在していると共に、開口部11D,11Fの間に介在している。すなわち、樹脂フィルム10の長手方向において、特定点SPが、開口部11A,11Bの間に介在していると共に、開口部11D,11Fの間に介在している。また、開口部11A,11Fの間、開口部11B,11Dの間にも、同様に、特定点SPが介在している。
同様に、開口部11A〜11C,11Eが、当該仮想直線VL1の他方側(図中の−X方向側)に配置されている。そして、この他方の側では、開口部11A〜11C,11E及び特定点SPをX方向に沿って仮想直線VL1上に投影した場合に、特定点SPが、開口部11A,11Bの間に介在していると共に、開口部11C,11Eの間に介在している。すなわち、樹脂フィルム10の長手方向において、特定点SPは、開口部11A,11Bの間に介在していると共に、開口部11C,11Eの間に介在している。また、開口部11A,11Eの間、開口部11B,11Cの間にも、同様に、特定点SPが介在している。
本実施形態における「樹脂フィルム10の長手方向」が本発明の「第1の方向」の一例に相当し、本実施形態における開口部11A,11B,11D,11Fが本発明における「第1の欠損部」の一例に相当し、本実施形態における開口部11A〜11C,11Eが本発明における「第2の欠損部」の一例に相当する。
なお、上述の特定点と開口部との関係が、樹脂フィルムの短手方向において成立してもよい。特に図示しないが、樹脂フィルムの短手方向において、仮想直線VL2の一方側(+Y方向側)に配置された複数の開口部の間に特定点が介在すると共に、当該仮想直線VL2の他方側(−Y方向側)に配置された複数の開口部の間にも特定点が介在するように、開口部を樹脂フィルムに形成してもよい。この場合には、本実施形態における「短手方向」が本発明の「第1の方向」の一例に相当する。
本実施形態の樹脂フィルム10は、第1〜第4の辺10a〜10dを有する長方形の平面形状を有している。そして、第1〜第3の辺10a〜10c上には、樹脂フィルム10の内側に向かって凹む複数(本例では7個)の凹部(スリット)12A〜12Gが形成されている。これに対し、第4の辺10d上には凹部は形成されていない。
なお、樹脂フィルム10の平面形状は、上記に特に限定されない。また、樹脂フィルム10に形成される凹部の数は、複数であれば特に上記に限定されず、任意に設定することができる。また、当該凹部の形状も、以下に説明する形状に特に限定されない。さらに、樹脂フィルム10上の凹部の配置も、特定点SPを囲むように樹脂フィルム10の外周に設けられているのであれば、以下に説明する配置に特に限定されない。例えば、樹脂フィルム10の全ての辺10a〜10dに凹部を形成してもよい。
凹部12Aは、第1の辺10a上に形成されている。この凹部12Aは、仮想直線VL1上に配置されており、円領域CAに向かって先細となるV字形状を有している。凹部12Aは、特定点SPに向かって延在していることが好ましい。
凹部12B〜12Dは、第2の辺10bに形成されている。この凹部12B,12Cは、円領域CAに向かって先細となるU字形状を有しており、凹部12Aの幅よりも小さな幅を有している。この凹部12B,12Cは、仮想直線VL2に対して線対称に配置されている。凹部12B〜12Dは、特定点SPに向かって延在していることが好ましい。
凹部12Dは、この凹部12B,12Cの間に配置されており、仮想直線VL2上に位置している。この凹部12Dは、特定点SPに向かって先細となる円弧形状を有している。この凹部12Dの幅は、凹部12B,12Cの幅よりも大きくなっている。
凹部12E〜12Gは、第3の辺10cに形成されている。凹部12E,12Fは、上述の凹部12B,12Cと同様に、円領域CAに向かって先細となるU字形状を有しており、凹部12Aの幅よりも小さな幅を有している。この凹部12E,12Fは、仮想直線VL2に対して線対称に配置されている。凹部12E〜12Gは、特定点SPに向かって延在していることが好ましい。
凹部12Gは、この凹部12E,12Fの間に配置されており、仮想直線VL2上に位置している。この凹部12Gは、上述の凹部12Dと同様に、特定点SPに向かって先細となる円弧形状を有している。この凹部12Gの幅は、凹部12E,12Fの幅よりも大きくなっている。
そして、凹部12B,12Eは、仮想直線VL1に対して線対称に配置されている。同様に、凹部12C,12Fは、仮想直線VL1に対して線対称に配置されている。
また、凹部12D,12Gも、仮想直線VL1に対して線対称に配置されている。
本実施形態では、凹部12A〜12Gは、特定点SPを囲むように、樹脂フィルム10の第1〜第3の辺10a〜10d上に設けられている。
具体的には、凹部12A〜12Dが、樹脂フィルム10の長手方向に延在する仮想直線VL1の一方側(図中の+X方向側)に配置されている。そして、この一方の側では、凹部12A〜12D及び特定点SPをX方向に沿って仮想直線VL1上に投影した場合に、特定点SPが、凹部12A,12Cの間に介在していると共に、凹部12B,12Cの間に介在している。すなわち、樹脂フィルム10の長手方向において、特定点SPが、凹部12A,12Cの間に介在していると共に、凹部12B,12Cの間に介在している。
同様に、凹部12A,12E〜12Gが、当該仮想直線VL1の他方側(図中の−X方向側)に配置されている。そして、この他方の側では、凹部12A,12E〜12G及び特定点SPをX方向に沿って仮想直線VL1上に投影した場合に、特定点SPが、凹部12A,12Fの間に介在していると共に、凹部12E,12Fの間に介在している。すなわち、樹脂フィルム10の長手方向において、特定点SPは、凹部12A,12Fの間に介在していると共に、凹部12E,12Fの間に介在している。
この場合、本実施形態における「樹脂フィルム10の長手方向」が本発明の「第1の方向」の一例に相当し、本実施形態における凹部12A,12B,12Dが本発明における「第1の欠損部」の一例に相当し、本実施形態における凹部12A,12E,12Fが本発明における「第2の欠損部」の一例に相当する。
なお、上述の特定点と凹部との関係が、樹脂フィルムの短手方向において成立してもよい。特に図示しないが、樹脂フィルムの短手方向において、仮想直線VL2の一方側(+Y方向側)に配置された複数の凹部の間に特定点が介在すると共に、当該仮想直線VL2の他方側(−Y方向側)に配置された複数の凹部の間にも特定点が介在するように、凹部を樹脂フィルムの外周に形成してもよい。この場合には、本実施形態における「短手方向」が本発明の「第1の方向」の一例に相当する。
また、本実施形態では、特定点SPは、開口部と凹部との両方によって囲まれている。具体的には、仮想直線VL1の一方側(図中の+X方向側)に開口部11A,11B,11D,11Fと凹部12A〜12Cとが配置されており、仮想直線VL1の他方側(図中の−X方向側)に開口部11A〜11C,11Eと凹部12A,12E〜12Gとが配置されている。ここで、一方側では、例えば、開口部11D、凹部12C、及び特定点SPを−X方向に沿って仮想直線VL1上に投影した場合、特定点SPが、開口部11Dと凹部12Cとの間に介在している。また、他方側では、開口部11C、凹部12F、及び特定点SPをX方向に沿って仮想直線VL1上に投影した場合、特定点SPが、開口部11Cと凹部12Fとの間に介在している。すなわち、樹脂フィルム10の長手方向において、特定点SPが、開口部11Dと凹部12Cとの間に介在していると共に、開口部11Cと凹部12Fとの間に介在している。
この場合、本実施形態における「樹脂フィルム10の長手方向」が本発明の「第1の方向」の一例に相当し、本実施形態における開口部11Dと凹部12Cが本発明における「第1の欠損部」の一例に相当し、本実施形態における開口部11Cと凹部12Fが本発明における「第2の欠損部」の一例に相当する。
なお、上述の特定点と開口部と凹部との関係が、樹脂フィルムの短手方向において成立してもよい。特に図示しないが、樹脂フィルムの短手方向において、仮想直線VL2の一方側(+Y方向側)に配置された開口部と凹部との間に特定点が介在すると共に、当該仮想直線VL2の他方側(−Y方向側)に配置された開口部と凹部との間にも特定点が介在するように、開口部と凹部を樹脂フィルムに形成してもよい。この場合には、本実施形態における「短手方向」が本発明の「第1の方向」の一例に相当する。
樹脂フィルム10の厚さT1は、特に限定されないが、10μm〜50μmである(10μm≦T1≦50μm)。また、樹脂フィルム10の厚さT1は、10μm〜30μmであることが好ましい(10μm≦T1≦30μm)。本実施形態では、厚さT1は25μmである(T1=25μm)。
図2及び図4に示すように、樹脂フィルム10の上面101上には導電性回路30Aを含むヒータ部20Aが形成されている。樹脂フィルム10と導電性回路30Aは、アルミ箔/PET複合フィルムのアルミ箔をエッチング等によりパターニングすることで形成されている。このアルミ箔/PET複合フィルムは、接着層を介してアルミ箔をポリエステルフィルムに貼り合わせた複合材料である。こうしたアルミ箔/PET複合フィルムの具体例としては、特に限定されないが、パナック株式会社製のアルペット(登録商標)を例示することができる。なお、導電性回路30Aを構成する材料は、アルミニウムに限定されることはなく、アルミニウム合金、銅、銅合金、又はステンレス鋼等であってもよい。
図5に示すように、導電性回路30Aは、一対の給電配線31,32と、複数の(本例では13個)の発熱部40A〜40Mと、を含んでいる。一対の給電配線31,32は、発熱部40A〜40Mに電流を供給するための配線である。一対の給電配線31,32は、樹脂フィルム10上で発熱部40A〜40Mを介して対向するように配置されており、発熱部40A〜40Mを介して電気的に接続されている。複数の発熱部40A〜40Mは、給電配線31,32を介して供給された電流が当該発熱部40A〜40Mを流れることで、抵抗加熱により発熱する。
なお、導電性回路30Aが有する発熱部の数は、複数であれば特に上記に限定されず、任意に設定することができる。また、当該発熱部の形状や配置も、以下に説明する形状や配置に特に限定されない。
図4に示すように、給電配線31は、仮想直線VL1(図3参照)の一方側(+X方向側)の樹脂フィルム10の外周に沿って延在しており、樹脂フィルム10の凹部12B〜12Dに沿って湾曲している。一方で、給電配線32は、仮想直線VL1(図3参照)の他方側(−X方向側)の樹脂フィルム10の外周に沿って延在しており、樹脂フィルム10の凹部12A,12F〜12Gに沿って湾曲している。一対の給電配線31,32は、それぞれ、端子311,321を有しており、端子311,321を介して外部回路(不図示)に接続される。
なお、本実施形態では、樹脂フィルム10の第4の辺10dは、X方向に沿って直線状に延在しているが、これに限定されず、第4の辺10dは給電配線31,32に沿って延在していてもよい。その場合、樹脂フィルム10の第4の辺10dに、給電配線31,32の端子311,321の形状に沿った凹部が形成される。すなわち、この場合、樹脂フィルム10の第1〜第4の辺10a〜10dの全てに凹部が形成される。
給電配線31,32の幅W1は、特に限定されないが、3mm以上である(W1≧3mm)。また、給電配線31,32の厚さT2は、特に限定されないが、5μm〜50μmである(5μm≦T2≦50μm)。
図6に示すように、中央の発熱部40Aは、給電配線31,32の線幅W1よりも細い線幅W2を有する1本の細線411が密集することで形成されている(W2<W1)。この発熱部40Aは、細線411を中心で折り返して渦巻き状に巻いた平面形状を含んでいる。この折り返し部412は、渦巻き形状の中心に位置していると共に、特定点SPと実質的に重なっている。このように、細線411が特定点SPを中心とする渦巻き状の平面形状を有していることで、荷重に対する細線411の耐久力を向上させることができるため、細線411の変形及び破断の抑制を図ることができる。
また、この発熱部40Aは、上記の渦巻き形状の外側に、折り返し部414を介して相互に接続した複数の曲線部413が並んだ平面形状を含んでいる。細線411が有する複数の曲線部413は、特定点SPを中心として同心円状に並んでいる。複数の曲線部413が特定点SPを中心として同心円状に並んでいることで、細線411の荷重に対する耐久力を向上させることができるため、細線411の変形及び破断の抑制を図ることができる。
この発熱部40Aを構成している細線411の一端415は、一方の給電配線31に接続されている。また、当該細線411の他端416は、他方の給電配線32に接続されている。
図4及び図5に示すように、この中央の発熱部40Aの周囲には、4つの発熱部40B〜40Eが配置されている。発熱部40B,40Cが、特定点SPを中心とした周方向に沿って隣り合って配置されている。そして、上述した開口部11Bが、発熱部40Aと発熱部40Bの間に介在していると共に、発熱部40Aと発熱部40Cの間に介在している。同様に、発熱部40D,40Eが、前記周方向に沿って隣り合って配置されている。そして、上述した開口部11Aが、発熱部40Aと発熱部40Dの間に介在していると共に、発熱部40Aと発熱部40Eの間に介在している。
発熱部40Bは、図7に示すように、発熱部40Aと同様に、細線421が密集することで形成されている。この発熱部40Bは、折り返し部423を介して相互に接続した複数の曲線部422が並んだ平面形状を有している。細線421が有する複数の曲線部422は、特定点SP(図3参照)を中心として同心円状に並んでいる。このように複数の曲線部422が特定点SPを中心として同心円状に並んでいることで、細線411と同様に、細線421の変形及び破断の抑制を図ることができる。この発熱部40Bの細線421の一端424は、一方の給電配線31に接続されており、当該細線421の他端425は、発熱部40Cに接続されている。
細線411,422の線幅W2は、細線411,422に電流が流れた際に細線411,422が発熱できる程度の抵抗値が得られる線幅とすればよく、例えば、0.1mm〜1.0mmとすることができる(0.1mm≦W2≦1.0mm)。特に限定されないが、本実施形態では、線幅W2は0.5mmである(W2=0.5mm)。
また、細線411間のピッチ(細線411間の距離)P1は、細線411の線幅W2の1倍〜5倍程度であることが好ましく(1≦W2/P≦5)、本実施形態では0.5mmである(W2/P1=1)。細線422間のピッチP2も同様である(P2=P1)。ここで、本実施形態において「密集」とは、線幅W2を有する細線が折り返し部で折り返されて、当該細線の折り返された部分同士がピッチP1で相互に並んで延在していることを意味する。
また、本実施形態では、細線411,422の厚さT3は、給電配線31,32の厚さT2と同じである(T3=T2)。
図4及び図5に示すように、発熱部40Cは、仮想直線VL1を中心として発熱部40Bと線対称の平面形状を有しており、発熱部40B,40Cは、仮想直線VL1に対して線対称に配置されている。この発熱部40Cの一端は、上述の発熱部40Bに接続されている。また、この発熱部40Cの他端は、他方の給電配線32に接続されている。すなわち、発熱部40B,40Cは、給電配線31,32の間で電気的に直列接続されている。
発熱部40Dは、仮想直線VL2を中心として発熱部40Bと線対称の平面形状を有している。この発熱部40Dの一端は、一方の給電配線31に接続されており、当該発熱部40Dの他端は、発熱部40Eに接続されている。
発熱部40Eは、仮想直線VL1を中心として発熱部40Dと線対称の平面形状を有しており、発熱部40D,40Eは、仮想直線VL1に対して線対称に配置されている。この発熱部40Eの一端は、上述の発熱部40Dに接続されており、当該発熱部40Eの他端は、他方の給電配線32に接続されている。すなわち、発熱部40D,40Eは、給電配線31,32の間で電気的に直列接続されている。
発熱部40B〜40Eの周囲には、4つの発熱部40F〜40Iがさらに配置されている。
発熱部40F,40Gは、特定点SPを中心とした周方向に沿って隣り合って配置されている。発熱部40Fは、特定点SPを中心とした径方向において、発熱部40Bの外側に配置されており、発熱部40Gは、当該径方向において、発熱部40Cの外側に配置されている。そして、上述した開口部11Fが発熱部40F内に位置しており、開口部11Eが発熱部40G内に位置している。
同様に、発熱部40H,40Iが、前記周方向に沿って隣り合って配置されている。発熱部40Hは、特定点SPを中心とした径方向において、発熱部40Dの外側に配置されており、発熱部40Iは、当該径方向において、発熱部40Eの外側に配置されている。そして、上述した開口部11Dが発熱部40H内に位置しており、開口部11Cが発熱部40I内に位置している。
発熱部40Fは、上述の発熱部40Bと同様に、細線が密集することで形成されており、折り返し部を介して相互に接続した複数の曲線部が並んだ平面形状を有している。この発熱部40Fの一端は、一方の給電配線31に接続されており、当該発熱部40Fの他端は、発熱部40Gに接続されている。
発熱部40Gは、仮想直線VL1を中心として発熱部40Fと線対称の平面形状を有しており、発熱部40F,40Gは、仮想直線VL1に対して線対称に配置されている。この発熱部40Gの一端は、上述の発熱部40Fに接続されている。また、この発熱部40Dの他端は、他方の給電配線32に接続されている。すなわち、発熱部40F,40Gは、給電配線31,32の間で電気的に直列接続されている。
発熱部40Hは、仮想直線VL2を中心として発熱部40Fと線対称の平面形状を有している。発熱部40Hの一端は、一方の給電配線31に接続されており、当該発熱部40Hの他端は、発熱部40Iに接続されている。
発熱部40Iは、仮想直線VL1を中心として発熱部40Hと線対称の平面形状を有しており、発熱部40H,40Iは、仮想直線VL1に対して線対称に配置されている。この発熱部40Iの一端は、上述の発熱部40Hに接続されており、当該発熱部40Iの他端は、他方の給電配線32に接続されている。すなわち、発熱部40H,40Iは、給電配線31,32の間で電気的に直列接続されている。
発熱部40Jは、特定点SPを中心とした径方向において、発熱部40Hの外側に配置されている。この発熱部40Jは、上述した中央の発熱部40Aと同様の渦巻状の平面形状を有している。この発熱部40Jの一端は、一方の給電配線31に接続されており、当該発熱部40Jの他端は、他方の給電配線32に接続されている。
発熱部40Kは、特定点SPを中心とした径方向において、発熱部40Iの外側に配置されている。この発熱部40Iも、上述した発熱部40Aと同様の渦巻状の平面形状を有している。この発熱部40Iの一端は、一方の給電配線31に接続されており、当該発熱部40Iの他端は、他方の給電配線32に接続されている。
発熱部40Lは、特定点SPを中心とした径方向において、発熱部40Fの外側に配置されている。この発熱部40Lは、上述した中央の発熱部40Aと同様の渦巻状の平面形状を有している。この発熱部40Lの一端は、一方の給電配線31に接続されており、当該発熱部40Lの他端は、発熱部40Mに接続されている。
発熱部40Mは、特定点SPを中心とした径方向において、発熱部40Gの外側に配置されている。この発熱部40Mは、仮想直線VL1を中心として発熱部40Lと線対称の平面形状を有しており、発熱部40L,40Mは、仮想直線VL1に対して線対称に配置されている。この発熱部40Mの一端は、上述の発熱部40Lに接続されており、当該発熱部40Mの他端は、他方の給電配線32に接続されている。すなわち、発熱部40L,40Mは、給電配線31,32の間で電気的に直列接続されている。
以上に説明した導電性回路30Aは、図8に示すような等価回路図により表現することができる。図8に示すように、この導電性回路30Aにおいて、発熱部40Aと、発熱部40B,40Cと、発熱部40D,40Eと、発熱部40F,40Gと、発熱部40H,40Iと、発熱部40Jと、発熱部40Kと、発熱部40L,40Mとは、給電配線31,32に電気的に並列接続されている。これにより、複数の発熱部が直列接続されている場合と比較して、発熱部40A〜40Mの昇温速度の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、発熱部40Aの配線長と、発熱部40B,40Cの配線長と、発熱部40D,40Eの配線長と、発熱部40F,40Gの配線長と、発熱部40H,40Iの配線長と、発熱部40Jの配線長と、発熱部40Kの配線長と、発熱部40L,40Mの配線長とが実質的に同一となっている。これにより、全ての発熱部40A〜40Mの発熱量を揃えることができる。なお、複数の発熱部の配線長を異ならせることで、当該複数の発熱部の発熱量を異ならせてもよい。
なお、以上に説明した導電性回路30Aとは別の回路を樹脂フィルム10上にさらに形成したり、電子部品や回路基板を樹脂フィルム10上に実装してもよい。特に図示しないが、一例として、発熱部40A〜40Mの内部に温度センサをそれぞれ配置し、それぞれの温度センサに接続される配線を、導電性回路30Aとは独立して樹脂フィルム10上に形成してもよい。他の例として、給電配線31,32の拡大部312,322に貫通孔を形成し、一対の回路基板がそれぞれ有する電極を当該貫通孔を介して対向させ、この貫通孔を利用して圧力センサを形成してもよい。また、上記の拡大部312,322に直接的に圧力センサを接続してもよい。或いは、拡大部312,322の内部に、拡大部312,322を形成しない領域を設け、当該領域に電子部品や回路基板と接続するパッドを形成してもよい。
また、本実施形態では、樹脂フィルムの開口部を発熱部同士の間又は発熱部の内部に形成しているがこれに限定されない。開口部は、導電性回路が形成されている領域の内部であり、且つ、円領域CAの外側であれば、どこに配置されていてもよい。例えば、開口部は、給電配線と発熱部との間や、給電配線の内部に形成されていてもよい。
図1及び図2に戻り、支持層80は接着層70を介して、ヒータ部20Aを覆うように樹脂フィルム10に貼り付けられている。この支持層80は、樹脂フィルム10を支持できる程度の剛性を有している。図1に示すように、支持層80は、樹脂フィルム10と同様の長方形の形状を有し、樹脂フィルム10の全面を覆っており、これにより面状発熱体1Aに剛性を付与している。
この支持層80は、樹脂フィルム10の凹部12A,12D,12Gに対応した箇所に凹部が形成されておらず、樹脂フィルム10の凹部12A,12D,12Gを覆っている。このように、幅が広い凹部12A,12D,12Gを支持層80で覆うことで、面状発熱体1Aが変形した後に、凹部12A,12D,12Gの周辺部分が元の形状へ復帰しやすくなる。なお、支持層80は、12A,12D,12Gを覆っていなくてもよい。
これに対し、支持層80は、樹脂フィルム10の凹部12B,12C,12E,12Fに対応した凹部81B,81C,81E,81Fを有している。支持層80の凹部81B,81C,81E,81Fは、樹脂フィルム10の凹部12B,12C,12E,12Fと重なるように配置されていると共に、凹部12B,12C,12E,12Fと同一の平面形状を有している。このため、凹部12A,12D,12Gよりも幅が狭い凹部12B,12C,12E,12Fは、支持層80で覆われていない。なお、支持層80は、凹部12B,12C,12E,12Fを覆っていてもよい。
また、支持層80は、樹脂フィルム10の開口部11A〜11Fに対応した開口部82A〜82Fを有している。支持層80の開口部82A〜82Fは、樹脂フィルム10の開口部11A〜11Fと重なるように配置されていると共に、開口部11A〜11Fと同一の平面形状を有している。なお、特に限定されないが、支持層80は、開口部82A〜82Fを有していなくともよい。すなわち、支持層80が樹脂フィルム10の開口部11A〜11Fを覆っていてもよい。
支持層80としては、特に限定されないが、織布又は不織布を用いることができる。こうした支持層80を樹脂フィルム10に貼り付けることで、樹脂フィルム10における折れやクラッキングの発生の抑制を図ることができる。
また、支持層80としては、織布を用いることが特に好ましい。このような織布としては、特に限定されないが、メリヤス織りされた織布等を例示することができる。織布は伸縮性を有しているため、支持層80として織布を用いることで、面状発熱体1Aが変形した後に元の形状へ復帰するのを補助することができる。
このような織布又は不織布を構成する繊維としては、例えば、樹脂繊維やガラス繊維などを例示できる。樹脂繊維としては、例えば、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ビニル繊維、アラミド繊維等を例示することができる。
支持層80の厚さT4は、樹脂フィルム10の厚さT1よりも厚く(T1≦T4)、例えば、80μm〜200μmとすることができる(80μm≦T4≦200μm)。
接着層70としては、特に限定されないが、樹脂を主成分とする接着剤、ホットメルト、両面テープ等を用いることができる。この接着層70は、ヒータ部20Aを保護するレジスト層として機能させることもできる。すなわち、接着層70は、ヒータ部20Aの表面保護性能及び防滴性能を発揮することで、面状発熱体1Aの耐候性の向上を図ることができる。
本実施形態では、接着層70は、樹脂フィルム10の全面に形成されている。なお、樹脂フィルム10の外周部分に全周に亘って接着層70を形成し、当該外周部分よりも内側の領域では、接着層70を部分的に形成してもよい。
なお、支持層80及び接着層70は、給電配線31,32の端子311,321を覆っていなくともよい。また、樹脂フィルム10の下面102(図2参照)に支持層80を設けてもよい。さらに、樹脂フィルム10の上面101及び下面102の両方に支持層80を設けてもよい。
以上のように、本実施形態の面状発熱体1Aでは、樹脂フィルム10において荷重による変形が大きい領域(即ち、円領域CAの外側の領域)に、複数の開口部11A〜11Fが形成されているため、樹脂フィルム10の変形に伴う応力が低減され、樹脂フィルム10の折れや亀裂の発生を抑制することができる。また、複数の開口部11A〜11Fにより樹脂フィルム10の応力が緩和されることで、樹脂フィルム10の変形に伴う異音の発生の抑制を図ることもできる。
また、樹脂フィルム10の荷重がかかりやすい特定点SPを囲うように、樹脂フィルム10の外周に複数の凹部12A〜12Gが形成されているため、樹脂フィルム10の特定点SPを中心とした変形に伴う応力が低減され、樹脂フィルム10の折れや亀裂の発生を抑制することができる。また、複数の凹部12A〜12Gにより樹脂フィルム10の応力が緩和されることで、樹脂フィルム10の変形に伴う異音の発生の抑制を図ることもできる。
また、本実施形態の面状発熱体1Aでは、樹脂フィルム10に織布又は不織布から構成された支持層80が貼り付けられているため、当該支持層80により樹脂フィルム10の変形に伴う応力が低減され、樹脂フィルム10の折れや亀裂の発生を抑制することができる。また、支持層80により樹脂フィルム10の応力が緩和されることで、樹脂フィルム10の変形に伴う異音の発生の抑制を図ることもできる。
特に、本実施形態のように、樹脂フィルム10の厚さT1が50μm以下である場合は、樹脂フィルム10に折れや亀裂が発生しやすいが、上記のような複数の開口部11A〜11F又は複数の凹部12A〜12Gが形成されていることで、樹脂フィルム10の折れや亀裂の発生の抑制を図ることができる。また、樹脂フィルム10の厚さT1が50μm以下である場合は、上記の異音も発生しやすくなるが、上記のような複数の開口部11A〜11F又は複数の凹部12A〜12Gが形成されていることで、異音の発生の抑制も図ることができる。
<<第2実施形態>>
図9は本実施形態における面状発熱体を示す平面図、図10は図9のX-X線に沿った断面図、図11は本実施形態における樹脂フィルムを示す平面図、図12は本実施形態における樹脂フィルム及び導電性回路を示す平面図、図13は本実施形態における樹脂フィルム及びヒータ部を示す平面図、図14は本実施形態における導電性樹脂部の変形例を示す断面図である。
図9及び図10に示すように、本実施形態における面状発熱体1Bは、樹脂フィルム10と、ヒータ部20Bと、接着層70と、支持層80と、を備えている。この面状発熱体1Bは、特に限定されないが、自動車等の車両用のシートヒータとして用いられ、具体的には、当該車両の座席に埋設されて使用される。なお、面状発熱体1Bの設置対象は、シートに限定されず、例えば、アームレストに埋設してもよい。また、面状発熱体1Bの用途は、特に車両に限定されず、例えば、車両以外で使用される座席やベッド等に用いられてもよい。
樹脂フィルム10は、絶縁性を有する樹脂材料から構成されたフィルムである。本実施形態における樹脂フィルム10が、本発明における「絶縁性樹脂フィルム」の一例に相当する。
図11に示すように、樹脂フィルム10は、上面101上に特定点SPを有している。この特定点SPは、面状発熱体1Bが、シートヒータ等として用いられた場合に、樹脂フィルム10の上面101において、最大の荷重が印加される点である。本実施形態では、この特定点SPは、樹脂フィルム10の中心(重心)に位置している。例えば、シートに乗員が着座した場合、この乗員の臀部により面状発熱体1Bが押圧される。この際に、樹脂フィルム10の上面101において、当該押圧による荷重が最大になる点が、特定点SPである。
樹脂フィルム10の上面101は、上記の特定点SPを中心として所定の半径Rの円領域CAを有している。この円領域CAは、特定点SP及びその近傍に荷重が印加された場合に、殆ど曲げ変形が生じない領域である。一方で、この円領域CAの周囲の領域は、上記荷重が印加された場合に、円領域CAに生じる曲げ変形よりも大きな曲げ変形が生じる領域である。円領域CAの半径Rは、特に限定されないが、樹脂フィルム10の短辺の長さLsに対して、1/10倍以上とすることができる(1/10≦R/Ls)。また、半径Rは、樹脂フィルム10の短辺の長さLsに対して、1/8倍以上とすることが好ましく(1/8≦R/Ls)、1/6倍以上とすることがさらに好ましい(1/6≦R/Ls)。また、円領域CAの半径Rは、特に限定されないが、樹脂フィルム10の短辺の長さLsに対して、1/2倍以下とすることができる(R/Ls≦1/2)。
この円領域CAの外側には、樹脂フィルム10の上面101から下面102(図2参照)まで貫通する複数(本例では6個)の開口部11G〜11Lが設けられている。
なお、樹脂フィルム10に形成される開口部の数は、複数であれば特に上記に限定されず、任意に設定することができる。また、当該開口部の形状も、以下に説明する形状に特に限定されない。さらに、樹脂フィルム10上の開口部の配置も、円領域CAの外側であり、且つ、ヒータ部20Bの導電性回路30B(後述)内に配置されているのであれば、以下に説明する配置に特に限定されない。ここでいう、「導電性回路30A内に配置されている」とは、導電性回路が形成されている領域の内部に配置されていることをいう。
4つの開口部11G〜11Jは、円領域CAの外側に設けられている。この開口部11G〜11Jは、樹脂フィルム10の短手方向(図中のX方向)に沿って延在する細長形状を有している。開口部11G〜11Jの長手方向は、導電性回路30Bの対向配線51(後述),52(後述)(図12参照)の延在方向と実質的に平行となっている。
開口部11G,11Hは、相互に同一の平面形状を有しており、仮想直線VL1に対して相互に線対称に配置されている。また、この開口部11G,11Hの間に円領域CAが介在している。ここで、仮想直線VL1は、特定点SPを通過すると共に、樹脂フィルム10の長手方向(図中のY方向)に沿って延在する仮想上の直線である。
開口部11I,11Jは、相互に同一の平面形状を有していると共に、開口部11I,11Jの長手方向(X方向)の長さは、上記の開口部11G,11Hの長手方向(X方向)の長さよりも長くなっている。また、開口部11I,11Jは、仮想直線VL2に対して相互に線対称に配置されており、この開口部11I,11Jの間に円領域CAが介在している。ここで、仮想直線VL2は、特定点SPを通過すると共に、樹脂フィルム10の短手方向(図中のX方向)に沿って延在する仮想上の直線である。
この開口部11G〜11Jの+Y方向側には、2つの開口部11K,11Lが配置されている。開口部11K,11Lは、相互に同一の平面形状を有していると共に、開口部11K,11Lの長手方向(X方向)の長さは、上記の開口部11G〜11Jの長手方向(X方向)の長さよりも長くなっている。また、開口部11K,11Lは、仮想直線VL1に対して相互に線対称に配置されている。
なお、本実施形態において、「細長形状」とは、短手方向の長さL1よりも長手方向の長さL2の方が長いことを意味し(L2>L1)、短手方向の長さL1に対する長手方向の長さL2の比率が2倍以上であることが好ましく(L2/L1≧2)、4倍以上であることがより好ましい(L2/L1≧4)。
本実施形態では、開口部11G〜11Lは、特定点SPを囲むように、樹脂フィルム10の円領域CAの外側に設けられている。
具体的には、開口部11H〜11Kが、樹脂フィルム10の長手方向に延在する仮想直線VL1の一方側(図中の+X方向側)に配置されている。そして、この一方の側では、開口部11H〜11K及び特定点SPをX方向に沿って仮想直線VL1上に投影した場合に、特定点SPが、開口部11I,11Jの間に介在していると共に、開口部11J,11Kの間に介在している。すなわち、樹脂フィルム10の長手方向において、特定点SPが、開口部11I,11Jの間に介在していると共に、開口部11J,11Kの間に介在している。
同様に、開口部11G,11I,11J,11Lが、当該仮想直線VL1の他方側(図中の−X方向側)に配置されている。そして、この他方の側では、開口部11G,11I,11J,11L及び特定点SPをX方向に沿って仮想直線VL1上に投影した場合に、特定点SPが、開口部11I,11Jの間に介在していると共に、開口部11J,11Lの間に介在している。すなわち、樹脂フィルム10の長手方向において、特定点SPは、開口部11I,11Jの間に介在していると共に、開口部11J,11Lの間に介在している。
本実施形態における「樹脂フィルム10の長手方向」が本発明の「第1の方向」の一例に相当し、本実施形態における開口部11H〜11Kが本発明における「第1の欠損部」の一例に相当し、本実施形態における開口部11G,11I,11J,11Lが本発明における「第2の欠損部」の一例に相当する。
なお、上述の特定点と開口部との関係が、樹脂フィルムの短手方向において成立してもよい。特に図示しないが、樹脂フィルムの短手方向において、仮想直線VL2の一方側(+Y方向側)に配置された複数の開口部の間に特定点が介在すると共に、当該仮想直線VL2の他方側(−Y方向側)に配置された複数の開口部の間にも特定点が介在するように、開口部を樹脂フィルムに形成してもよい。この場合には、本実施形態における「短手方向」が本発明の「第1の方向」の一例に相当する。
本実施形態の樹脂フィルム10は、第1〜第4の辺10a〜10dを有する長方形の平面形状を有している。そして、第1〜第3の辺10a〜10c上には、樹脂フィルム10の内側に向かって凹む複数(本例では5個)の凹部(スリット)12H〜12Lが形成されている。これに対し、第4の辺10d上には凹部は形成されていない。
なお、樹脂フィルム10の平面形状は、上記に特に限定されない。また、樹脂フィルム10に形成される凹部の数は、複数であれば特に上記に限定されず、任意に設定することができる。また、当該凹部の形状も、以下に説明する形状に特に限定されない。さらに、樹脂フィルム10上の凹部の配置も、特定点SPを囲むように樹脂フィルム10の外周に設けられているのであれば、以下に説明する配置に特に限定されない。例えば、樹脂フィルム10の全ての辺10a〜10dに凹部を形成してもよい。
凹部12Hは、第1の辺10a上に形成されている。この凹部12Hは、仮想直線VL1上に配置されており、特定点SPに向かって先細となるV字形状を有している。
凹部12I,12Jは、第2の辺10bに形成されており、樹脂フィルム10の内側に向かって先細となるV字形状を有している。この凹部12I,12Jは、仮想直線VL2に対して線対称に配置されている。
凹部12K,12Lは、第3の辺10bに形成されており、樹脂フィルム10の内側に向かって先細となるV字形状を有している。この凹部12I,12Jは、仮想直線VL2に対して線対称に配置されている。
そして、凹部12I,12Kは、仮想直線VL1に対して線対称に配置されている。同様に、凹部12J,12Lは、仮想直線VL1に対して線対称に配置されている。
本実施形態では、凹部12H〜12Lは、特定点SPを囲むように、樹脂フィルム10の第1〜第3の辺10a〜10d上に設けられている。
具体的には、凹部12H〜12Jが、樹脂フィルム10の長手方向に延在する仮想直線VL1の一方側(図中の+X方向側)に配置されている。そして、この一方の側では、凹部12H〜12J及び特定点SPをX方向に沿って仮想直線VL1上に投影した場合に、特定点SPが、凹部12H,12Jの間に介在していると共に、凹部12I,12Jの間に介在している。すなわち、樹脂フィルム10の長手方向において、特定点SPが、凹部12H,12Jの間に介在していると共に、凹部12I,12Jの間に介在している。
同様に、凹部12H,12K,12Lが、当該仮想直線VL1の他方側(図中の−X方向側)に配置されている。そして、この他方の側では、凹部12H,12K,12L及び特定点SPをX方向に沿って仮想直線VL1上に投影した場合に、特定点SPが、凹部12H,12Lの間に介在していると共に、凹部12K,12Lの間に介在している。すなわち、樹脂フィルム10の長手方向において、特定点SPは、凹部12H,12Lの間に介在していると共に、凹部12K,12Lの間に介在している。
この場合、本実施形態における「樹脂フィルム10の長手方向」が本発明の「第1の方向」の一例に相当し、本実施形態における凹部12H,12I,12Jが本発明における「第1の欠損部」の一例に相当し、本実施形態における凹部12H,12K,12Lが本発明における「第2の欠損部」の一例に相当する。
なお、上述の特定点と凹部との関係が、樹脂フィルムの短手方向において成立してもよい。特に図示しないが、樹脂フィルムの短手方向において、仮想直線VL2の一方側(+Y方向側)に配置された複数の凹部の間に特定点が介在すると共に、当該仮想直線VL2の他方側(−Y方向側)に配置された複数の凹部の間にも特定点が介在するように凹部を樹脂フィルムの外周に形成してもよい。この場合には、本実施形態における「短手方向」が本発明の「第1の方向」の一例に相当する。
また、本実施形態では、特定点SPは、開口部と凹部との両方によって囲まれている。具体的には、仮想直線VL1の一方側(図中の+X方向側)に開口部11H〜11Kと凹部12H〜12Jとが配置されており、仮想直線VL1の他方側(図中の−X方向側)に開口部11G,11I,11J,11Lと凹部12H,12K,12Lとが配置されている。ここで、一方側では、例えば、開口部11K、凹部12J、及び特定点SPを仮想直線VL1上に投影した場合、特定点SPが、開口部11Kと凹部12Jとの間に介在している。また、他方側では、例えば、開口部11L、凹部12L、及び特定点SPを仮想直線VL1上に投影した場合、特定点SPが、開口部11Lと凹部12Lとの間に介在している。すなわち、樹脂フィルム10の長手方向において、特定点SPが、開口部11Kと凹部12Jとの間に介在していると共に、開口部11Lと凹部12Lとの間に介在している。
この場合、本実施形態における「樹脂フィルム10の長手方向」が本発明の「第1の方向」の一例に相当し、本実施形態における開口部11Kと凹部12Jが本発明における「第1の欠損部」の一例に相当し、本実施形態における開口部11Lと凹部12Lが本発明における「第2の欠損部」の一例に相当する。
なお、上述の特定点と開口部と凹部との関係が、樹脂フィルムの短手方向において成立してもよい。特に図示しないが、樹脂フィルムの短手方向において、仮想直線VL2の一方側(+Y方向側)に配置された開口部と凹部との間に特定点が介在すると共に、当該仮想直線VL2の他方側(−Y方向側)に配置された開口部と凹部との間にも特定点が介在するように、開口部と凹部を樹脂フィルムに形成してもよい。この場合には、本実施形態における「短手方向」が本発明の「第1の方向」の一例に相当する。
樹脂フィルム10の厚さT1は、特に限定されないが、10μm〜50μmである(10μm≦T1≦50μm)。また、樹脂フィルム10の厚さT1は、10μm〜30μmであることが好ましい(10μm≦T1≦30μm)。本実施形態では、厚さT1は25μmである(T1=25μm)。
図10、図12及び図13に示すように、樹脂フィルム10の上面101上にはヒータ部20Bが形成されている。ヒータ部20Bは、導電性回路30Bと、複数(本例では13個)の導電性樹脂部60A〜60Mと、を有している。
導電性回路30Bは、図12に示すように、一対の給電配線31,32と、複数の対向配線51,52と、パッド55を含んでいる。一対の給電配線31,32は、対向配線51,52を介して導電性樹脂部60A〜60Mに電流を供給するための配線である。一対の給電配線31,32は、樹脂フィルム10上で対向配線51,52及び導電性樹脂部60A〜60Mを介して対向するように配置されており、対向配線51,52及び導電性樹脂部60A〜60Mを介して電気的に接続されている。
一方の給電配線31は、主配線33と副配線34を備えている。主配線33は、仮想直線VL1(図11参照)の一方側(+X方向側)の樹脂フィルム10の外周に沿って延在しており、樹脂フィルム10の凹部12H〜12Jに沿って湾曲している。副配線34は、凹部12Hの近傍で主配線33から分岐して、他方の給電配線31の近傍まで図中の−Y方向に沿って延在している。
他方の給電配線32も、主配線35と副配線36を備えている。主配線35は、仮想直線VL1(図11参照)の他方側(−X方向側)の樹脂フィルム10の外周に沿って延在しており、樹脂フィルム10の凹部12H,12K,12Lに沿って湾曲している。副配線36は、主配線35の端部に接続されており、一方の給電配線31の近傍まで図中の+Y方向に延在している。一対の給電配線31,32は、それぞれ、端子311,321を有しており、端子311,321を介して外部回路(不図示)に接続される。
なお、本実施形態では、樹脂フィルム10の第4の辺10dは、X方向に沿って直線状に延在しているが、これに限定されず、第4の辺10dは給電配線31,32に沿って延在していてもよい。その場合、樹脂フィルム10の第4の辺10に、給電配線31,32の端子311,321の形状に沿った凹部が形成される。すなわち、この場合、樹脂フィルム10の第1〜第4の辺10a〜10dの全てに凹部が形成される。
給電配線31,32の幅W1は、特に限定されないが、3mm以上である(W1≧3mm)。また、給電配線31,32の厚さT2は、特に限定されないが、5μm〜50μmである(5μm≦T2≦50μm)。
一方の給電配線31の主配線33及び副配線34からは、複数の対向配線51が枝分かれしている。この複数の対向配線51は、樹脂フィルム10の長手方向(図中Y方向)に沿って実質的に等間隔に配置されている。また、対向配線51は、樹脂フィルム10の短手方向(図中X方向)に延在しており、給電配線31から給電配線32に向かって櫛歯状に突出している。
対向配線51は、2種類の対向配線51A,51Bを含んでいる。対向配線51Aは、対向配線51の大部分を占める細い配線(細線)である。これに対し、対向配線51Bは、樹脂フィルム10の上面101において、開口部11H〜11Jに対応する位置に配置されている。対向配線51Bの幅(図中のY方向において開口部を含めた全体幅)は、対向配線51Aの幅よりも太くなっており、対向配線51Bの内部には、開口部53が形成されている。この開口部53は、上記の樹脂フィルム10の開口部11H〜11Jと重なっている。
他方の給電配線32の主配線35及び副配線36からも、複数の対向配線52が枝分かれしている。この複数の対向配線52は、樹脂フィルム10の長手方向(図中Y方向)に沿って実質的に等間隔に配置されている。また、対向配線52は、樹脂フィルム10の短手方向(図中X方向)に延在しており、給電配線32から給電配線31に向かって櫛歯状に突出している。
対向配線52は、2種類の対向配線52A,52Bを含んでいる。対向配線52Aは、対向配線52の大部分を占める細い配線(細線)である。これに対し、対向配線52Bは、樹脂フィルム10の上面101において、開口部11G,11K,11Lに対応する位置に配置されている。対向配線52Bの幅(図中のY方向において開口部も含めた全体幅)は、対向配線52Aの幅よりも太くなっており、対向配線52Bの内部には、開口部54が形成されている。この対向配線52Bの開口部54は、上記の樹脂フィルム10の開口部11G,11K,11Lと重なっている。
そして、対向配線51と対向配線52は、交互に配置されており、所定の間隔を空けて相互に対向している。なお、対向配線51の先端と給電配線32との間にも所定の間隔が形成されていると共に、対向配線52の先端と給電配線31との間にも所定の間隔が形成されている。
なお、給電配線31,32や対向配線51,52の平面形状は、上記に特に限定されず、任意に設定することができる。例えば、対向配線51,52の間隔がほぼ一定に維持されているのであれば、給電配線31,32の平面形状を曲線形状としたり蛇行形状としてもよいし、対向配線51,52の平面形状を曲線形状としたり蛇行形状としてもよい。
また、本実施形態では、樹脂フィルムの開口部を対向配線51B,52Bの内部に形成しているがこれに限定されない。開口部は、導電性回路が形成されている領域の内部であり、且つ、円領域CAの外側であれば、どこに配置されていてもよい。例えば、開口部は、対向配線同士の間や、給電配線の主配線や副配線の内部に形成されていてもよい。
樹脂フィルム10と導電性回路30Bは、アルミ箔/PET複合フィルムのアルミ箔をエッチング等によりパターニングすることで形成されている。このアルミ箔/PET複合フィルムは、接着層を介してアルミ箔をポリエステルフィルムに貼り合わせた複合材料である。こうしたアルミ箔/PET複合フィルムの具体例としては、特に限定されないが、パナック株式会社製のアルペット(登録商標)を例示することができる。なお、導電性回路30Bを構成する材料は、アルミニウムに限定されることはなく、アルミニウム合金、銅、銅合金、又はステンレス鋼等であってもよい。
また、対向配線51,52の厚さT5は、特に限定されないが、給電配線31,32の厚さT2と同一の高さである(T5=T2)。
パッド55は、給電配線31,32の内部において、給電配線31,32と離隔して設けられている。すなわち、パッド55は、給電配線31,32から電気的に絶縁されている。このパッド55は、面状発熱体1Bに電子部品や回路基板を実装するための接続部分として機能する。特に図示しないが、一例として、パッド55に貫通孔を形成し、一対の回路基板がそれぞれ有する電極を当該貫通孔を介して対向させ、この貫通孔を利用して圧力センサを形成してもよい。
なお、面状発熱体1Bにおいて、以上に説明した導電性回路30Bとは別の回路を樹脂フィルム10上にさらに形成してもよい。例えば、特に図示しないが、導電性樹脂部60A〜60M内に温度センサをそれぞれ配置し、それぞれの温度センサに接続される配線を、導電性回路30Bとは独立して樹脂フィルム10上に形成してもよい。
導電性樹脂部60A〜60Mは、電圧を印加されることで発熱する抵抗体であり、対向配線51,52の電気抵抗値よりも高い電気抵抗値を有する導電性樹脂から構成されている。この導電性樹脂部60A〜60Mは、導電性回路30Bを覆うように樹脂フィルム10上に形成されている。
なお、導電性回路30Aが有する導電性樹脂部の数は、特に上記に限定されず、任意に設定することができる。また、当該導電性樹脂部の形状や配置も、以下に説明する形状や配置に特に限定されない。本実施形態では、導電性樹脂部の有無や任意の形状の導電性樹脂部を組み合わせることで、面状発熱体1Bにおいて、発熱量の分布を所望の分布に容易に設定することが可能となっている。
図13に示すように、樹脂フィルム10の中央部分には3つの導電性樹脂部60A〜60Cが配置されている。
導電性樹脂部60A,60Bは、樹脂フィルム10の凹部12Hと開口部11Hとの間において、対向配線51,52を覆うように配置されている。この導電性樹脂部60A,60Bは、同一の平面形状を有している。導電性樹脂部60A,60Bは、相互に離間して配置されていると共に、仮想直線VL1(図11参照)に対して線対称に配置されている。
導電性樹脂部60Aと導電性樹脂部60Bの間には間隙63が介在している。この間隙63の長手方向(図中のY方向)は、対向配線51,52の長手方向(図中のX方向)に対して実質的に垂直となっている。
図10に示すように、導電性樹脂部60Aは、介在部分61と被覆部分62を含んでいる。介在部分61は、相互に対向している対向配線51,52の間に介在している部分であり、発熱に寄与する部分である。この介在部分61は、樹脂フィルム10上に直接形成されている。介在部分61は、対向配線51,52を介して供給された電流が当該介在部分61を流れることで、抵抗加熱により発熱する。
これに対し、被覆部分62は、介在部分61の間に介在している部分であり、対向配線51,52を覆うことで当該対向配線51,52を保護する機能を有している。また、この被覆部分62は、介在部分61と一体的に形成されている。
なお、特に図示しないが、導電性樹脂部60Bも、導電性樹脂部60Aと同様に上記の介在部分と被覆部分を有している。また、以下に説明する導電性樹脂部60C〜60Mも、特に図示しないが、介在部分と被覆部分を有している。
図13に示すように、導電性樹脂部60Cは、導電性樹脂部60A,60Bに開口部11Iを介して隣り合って配置されていると共に、開口部11Iと開口部11Jとの間に配置されている。この導電性樹脂部60Cは、上記の導電性樹脂部60A,60Bよりも面積が大きい長方形の平面形状を有しており、開口部11Iと開口部11Jとの間に配置されている対向配線51,52を全て覆うように樹脂フィルム10上に配置されている。
導電性樹脂部60A〜60Cの周囲には、4つの導電性樹脂部60D〜60Gが配置されている。
導電性樹脂部60D,60Eは、特定点SPを中心とした径方向において、上記の導電性樹脂部60A〜60Cの外側に配置されていると共に、導電性樹脂部60A〜60Cから離隔されている。導電性樹脂部60D,60Eは、仮想直線VL1に対して線対称な平面形状を有しており、導電性樹脂部60D,60Eの平面形状は、導電性樹脂部60A〜60Cの平面形状とは異なる長方形である。
同様に、導電性樹脂部60F,60Gは、特定点SPを中心とした径方向において、導電性樹脂部60A〜60Eの外側に配置されていると共に、導電性樹脂部60Cから離隔されている。導電性樹脂部60F,60Gは、仮想直線VL1に対して線対称な平面形状を有しており、導電性樹脂部60F,60G平面形状は、導電性樹脂部60A〜60Cの平面形状とは異なる長方形である。
導電性樹脂部60D〜60Gと導電性樹脂部60A〜60Cとの間には、上記と同様の間隙63が介在しており、この間隙63は樹脂フィルム10の長手方向(図中のY方向)に沿って延在している。
導電性樹脂部60D〜60Gの周囲には、6つの導電性樹脂部60H〜60Mがさらに配置されている。
導電性樹脂部60H,60Iは、特定点SPを中心とした径方向において、導電性樹脂部60D,60Eの外側に配置されていると共に、導電性樹脂部60D,60Eから離隔されている。この導電性樹脂部60H,60Iは、台形状の平面形状を有しており、この台形の3辺は、給電配線31,32に沿って延在している。また、導電性樹脂部60H,60Iは、仮想直線VL1に対して線対称な平面形状を有している。
同様に、導電性樹脂部60J,60Kは、特定点SPを中心とした径方向において、導電性樹脂部60D〜60Gの外側に配置されていると共に、導電性樹脂部60D〜60Gから離隔されている。また、導電性樹脂部60Jは導電性樹脂部60Hと導電性樹脂部60Lの間に配置されていると共に、導電性樹脂部60Kは導電性樹脂部60Iと導電性樹脂部60Mの間に配置されている。
この導電性樹脂部60J,60Kは、台形状の平面形状を有しており、この台形の3辺は給電配線31,32に沿って延在しているが、導電性樹脂部60J,60Kの平面形状は、導電性樹脂部60H,60Iの平面形状とは異なっている。また、導電性樹脂部60J,60Kは、仮想直線VL1に対して線対称な平面形状を有している。
導電性樹脂部60L,60Mは、特定点SPを中心とした径方向において、導電性樹脂部60F,60Gの外側に配置されていると共に、導電性樹脂部60F,60Gから離隔されている。この導電性樹脂部60L,60Mは、台形状の平面形状を有しており、この台形の3辺は、給電配線31,32に沿って延在しているが、導電性樹脂部60L,60Mの平面形状は、導電性樹脂部60H〜60Kの平面形状とは異なっている。また、導電性樹脂部60L,60Mは、仮想直線VL1に対して線対称な平面形状を有している。
導電性樹脂部60H〜60Mと導電性樹脂部60D〜60Gとの間には、上記と同様の間隙63が介在しており、この間隙63は樹脂フィルム10の長手方向(図中のY方向)に沿って延在している。
以上のように、導電性樹脂部60A〜60Mの間に間隙63が介在しており、当該間隙63の長手方向(図中のY方向)が、対向配線51,52の長手方向(図中のX方向)に対して実質的に直交していることで、図中のY方向を中心として面状発熱体1Bを曲げた際に、面状発熱体1Bの曲げ抵抗を低減することができる。また、これにより、対向配線51,52から導電性樹脂部60A〜60Mが剥離し難くなり、対向配線51,52と導電性樹脂部60A〜60Mの電気的接続を維持することができる。
本実施形態では、導電性樹脂部60A〜60Mの厚さT6は、対向配線51,52の厚さT5以上であればよく(T6≧T5)、特に限定されないが、具体的には、10μm〜30μmである(10μm≦T6≦30μm)。
また、導電性樹脂部60A〜60Mの厚さは、相互に異なっていてもよい。導電性樹脂部60A〜60Mの発熱量は、厚さに応じて変化する。そのため、面状発熱体1Bにおいて、発熱量の分布を所望の分布に容易に設定することができる。
一例を挙げれば、図14に示すように、導電性樹脂部60Aの厚さTAを薄くする一方で、導電性樹脂部60Cの厚さTCを厚くしてもよい(TA<TC)。これにより、導電性樹脂部60Cの抵抗値が導電性樹脂部60Aの抵抗値よりも小さくなり、導電性樹脂部60Cの発熱量を導電性樹脂部60Aの発熱量よりも大きくすることができる。なお、導電性樹脂部の厚さを異ならせる方法としては、後述する導電性樹脂ペーストの塗布回数を異ならせる方法を例示することができる。なお、図14は、上述の図10に対応する図である。
本実施形態では、導電性樹脂部60A〜60Mの体積抵抗率ρ1は、例えば、1.0×10−1Ω・m〜1.0×10−2Ω・mである(1.0×10−1Ω・m≦ρ1≦1.0×10−2Ω・m)。
このような導電性樹脂部60A〜60Mは、導電性樹脂ペーストを樹脂フィルム10に塗布して硬化させることで形成されている。こうした導電性樹脂ペーストの具体例としては、結晶性樹脂と、バインダ樹脂と、導電体と、を含有したペーストを例示することができる。結晶性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂やビニル系樹脂を例示することができる。バインダ樹脂としては、例えば、イソプロピレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコンゴム等の合成ゴム、或いは、熱可塑性エラストマ等を例示することができる。導電体としては、カーボンやグラファイト等を例示することができる。
導電性樹脂ペーストの塗布方法としては、特に限定されないが、接触塗布法又は非接触塗布法のいずれを用いてもよい。接触塗布法の具体例としては、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷等を例示することができる。一方、非接触塗布法の具体例としては、インクジェット印刷、スプレー塗布法、ディスペンス塗布法、ジェットディスペンス法等を例示することができる。また、導電性樹脂ペーストの硬化方法としては、特に限定されないが、加熱処理や紫外線照射処理等を例示することができる。
また、導電性樹脂部60A〜60Mは、相互に異なる導電性樹脂材料から構成されていてもよい。例えば、導電性樹脂ペースト中の結晶性樹脂、バインダ樹脂、及び導電体の混合比を変更してもよいし、上記の導電性樹脂ペーストに金属フィラーをさらに混合してもよい。
導電性樹脂部60A〜60Mが相互に異なる導電性樹脂材料から構成されていることで、導電性樹脂部60A〜60Mの体積抵抗率が相互に異なる値となるため、その発熱量も導電性樹脂部60A〜60Mごとに異なる。そのため、面状発熱体1Bにおいて、発熱量の分布を所望の分布に容易に設定することができる。
また、本実施形態では、複数の導電性樹脂部60A〜60Mを相互に独立して配置し、その間に間隙63を介在させているが、これに限定されず、全ての対向配線51,51A,52,52Aを1つの導電性樹脂部で覆ってもよい。
図9及び図10に戻り、支持層80は接着層70を介して、ヒータ部20Bを覆うように樹脂フィルム10に貼り付けられている。この支持層80は、樹脂フィルム10を支持できる程度の剛性を有している。図9に示すように、支持層80は、樹脂フィルム10と同様の長方形の形状を有し、樹脂フィルム10の全面を覆っており、これにより面状発熱体1Bに剛性を付与している。
この支持層80は、樹脂フィルム10の凹部12H〜12Lに対応した箇所に凹部が形成されておらず、樹脂フィルム10の凹部12H〜12Lを覆っている。このように、幅が広い凹部12H〜12Lを支持層80で覆うことで、面状発熱体1Aが変形した後に、凹部12H〜12Lの周辺部分が元の形状へ復帰しやすくなる。なお、樹脂フィルム10の凹部の幅が狭い場合には、支持層80は、樹脂フィルム10の凹部に対応する凹部を有していてもよい。すなわち、支持層80は、凹部12H〜12Lを覆っていなくともよい。
また、支持層80は、樹脂フィルム10の開口部11G〜11Lに対応した開口部82G〜82Lを有している。支持層80の開口部82G〜82Lは、樹脂フィルム10の開口部11G〜11Lと重なるように配置されていると共に、開口部11G〜11Lと同一の平面形状を有している。なお、特に限定されないが、支持層80は、開口部82G〜82Lを有していなくともよい。すなわち、支持層80が樹脂フィルム10の開口部11G〜11Lを覆っていてもよい。
支持層80としては、特に限定されないが、織布又は不織布を用いることができる。こうした支持層80を樹脂フィルム10に貼り付けることで、樹脂フィルム10における折れやクラッキングの発生の抑制を図ることができる。
また、支持層80としては、織布を用いることが特に好ましい。織布は伸縮性を有しているため、支持層80として織布を用いることで、面状発熱体1Bが変形した後に元の形状へ復帰するのを補助することができる。
このような織布又は不織布を構成する繊維としては、例えば、樹脂繊維やガラス繊維などを例示できる。樹脂繊維としては、例えば、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ビニル繊維、アラミド繊維等を例示することができる。
支持層80の厚さT4は、樹脂フィルム10の厚さT1よりも厚く(T1≦T4)、例えば、80μm〜200μmとすることができる(80μm≦T4≦200μm)。
接着層70としては、特に限定されないが、樹脂を主成分とする接着剤、ホットメルト、両面テープ等を用いることができる。この接着層70は、ヒータ部20Bを保護するレジスト層として機能させることもできる。すなわち、接着層70は、ヒータ部20Bの表面保護性能及び防滴性能を発揮することで、面状発熱体1Bの耐候性の向上を図ることができる。
本実施形態では、接着層70は、樹脂フィルム10の全面に形成されている。なお、樹脂フィルム10の外周部分に全周に亘って接着層70を形成し、当該外周部分よりも内側の領域では、接着層70を部分的に形成してもよい。
なお、支持層80及び接着層70は、給電配線31,32の端子311,321を覆っていなくともよい。また、樹脂フィルム10の下面102(図10参照)に支持層80を設けてもよい。さらに、樹脂フィルム10の上面101及び下面102の両方に支持層80を設けてもよい。
以上のように、本実施形態の面状発熱体1Bでは、樹脂フィルム10において荷重による変形が大きい領域(即ち、円領域CAの外側の領域)に、複数の開口部11G〜11Lが形成されているため、樹脂フィルム10の変形に伴う応力が低減され、樹脂フィルム10の折れや亀裂の発生を抑制することができる。また、複数の開口部11G〜11Lにより樹脂フィルム10の応力が緩和されることで、樹脂フィルム10の変形に伴う異音の発生の抑制を図ることもできる。
また、樹脂フィルム10の荷重がかかりやすい特定点SPを囲うように、樹脂フィルム10の外周に複数の凹部12H〜12Lが形成されているため、樹脂フィルム10の特定点SPを中心とした変形に伴う応力が低減され、樹脂フィルム10の折れや亀裂の発生を抑制することができる。また、複数の凹部12H〜12Lにより樹脂フィルム10の応力が緩和されることで、樹脂フィルム10の変形に伴う異音の発生の抑制を図ることもできる。
また、本実施形態の面状発熱体1Bでは、樹脂フィルム10に織布又は不織布から構成された支持層80が貼り付けられているため、当該支持層80により樹脂フィルム10の変形に伴う応力が低減され、樹脂フィルム10の折れや亀裂の発生を抑制することができる。また、支持層80により樹脂フィルム10の応力が緩和されることで、樹脂フィルム10の変形に伴う異音の発生の抑制を図ることもできる。
特に、本実施形態のように、樹脂フィルム10の厚さT1が50μm以下である場合は、樹脂フィルム10に折れや亀裂が発生しやすいが、上記のような複数の開口部11G〜11L又は複数の凹部12H〜12Lが形成されていることで、樹脂フィルム10の折れや亀裂の発生の抑制を図ることができる。また、樹脂フィルム10の厚さT1が50μm以下である場合は、上記の異音も発生しやすくなるが、上記のような複数の開口部11G〜11L又は複数の凹部12H〜12Lが形成されていることで、異音の発生の抑制も図ることができる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。