JP2011229795A - シートヒータが配置されたシート - Google Patents
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Abstract
【課題】シートヒータの位置ズレや破断の可能性を低下することができるシートを提供すること。
【解決手段】表皮カバー19とパット17とを有し、上記表皮カバー19と上記パット17との間にシートヒータ1が配置され、該シートヒータ1が、基材と所定のパターン形状にて上記基材上に配設されたコード状ヒータとを具備しており、上記基材における上記表皮カバー19側の面は、上記基材における上記パット17側の面と比較して、空隙が少ないことを特徴とするシート11。上記基材における上記表皮カバー19側の面が、加熱加圧により圧縮されることで空隙が少なくなっているシート11。上記シートヒータのコード状ヒータが、基材における上記パット側の面に配設されているシート11。
【選択図】 図1
【解決手段】表皮カバー19とパット17とを有し、上記表皮カバー19と上記パット17との間にシートヒータ1が配置され、該シートヒータ1が、基材と所定のパターン形状にて上記基材上に配設されたコード状ヒータとを具備しており、上記基材における上記表皮カバー19側の面は、上記基材における上記パット17側の面と比較して、空隙が少ないことを特徴とするシート11。上記基材における上記表皮カバー19側の面が、加熱加圧により圧縮されることで空隙が少なくなっているシート11。上記シートヒータのコード状ヒータが、基材における上記パット側の面に配設されているシート11。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば車両用などに好適に使用可能なシートヒータが配置されたシートに係り、特に、シートヒータの位置ズレや破断の可能性を低下することができるものに関する。
従来より、車両用シートに装着されシートヒータとして供されるヒータユニットとしては、例えば、基材上に熱融着層を備えたコード状ヒータを蛇行配線し、加熱加圧による熱融着により基材と熱融着層を接着固定した構成のもの(例えば、特許文献1、2参照)、カレンダー加工を施して表面を硬化させた不織布を基材とし、基材の硬化させた表面上にコード状ヒータを縫合したもの(例えば、特許文献3)、硬度の異なる柔軟性を有する材料を溶着させることにより、異なる表面硬さを有する基材とし、この基材の表面硬さの硬い面にコード状ヒータを配設したもの(例えば、特許文献4)などがある。また、本発明に関連する技術として、例えば、特許文献5が挙げられる。
上記のようなヒータユニットに対し、特にカーシートヒータに適用した際には、市場からは更に高度な要求がなされている。まずは、運転者等の着座・離座によって繰り返し加えられる荷重に対しても、コード状ヒータの位置ズレが生じないことである。この位置ズレは、コード状ヒータが基材から剥がれてしまうことによる場合の他に、シートヒータ自体が繰り返し加えられる荷重によって位置ズレや破断をしてしまい、結果としてコード状ヒータが位置ズレしてしまう場合もある。コード状ヒータが位置ズレした場合には、加熱対象物を均一に加熱することができなくなるばかりでなく、極部的に異常発熱を起こすおそれもあり非常に危険である。また、着座者が違和感を受けないよう、風合いについても重視される。シートヒータ自体が位置ズレや破断をしてしまうと、シートヒータが存在しなくなる部分やシートヒータが重なってしまう部分が生じるため、これらの部分により着座者が違和感を受けることになってしまう。
このようなシートヒータ自体の位置ズレや破断が起こる原因は、以下のように説明できる。通常、シートヒータは、シートのパット側に両面テープ等によって貼り付けられ、シートの表皮カバーには貼り付けられていない。これは、表皮カバーは伸縮性のある材料が用いられて張力を受けた状態でシート表面に配置され、シートのパットの変形と表皮カバーの伸縮とがそれぞれ単独で自由になされることで、シートに快適な着座感が与えられるためである。このような構成であるため、表皮カバーとシートヒータの間では、着座・離座によって摩擦力が生じることになり、この摩擦力によりシートヒータ自体の位置ズレや破断が起こることになる。このような課題は、本願発明者の繰り返しの検証によって見出されたものであり、上記特許文献1〜4等においては、何ら検討されていなかった。
本発明はこのような従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、シートヒータの位置ズレや破断の可能性を低下することができるシートを提供することにある。
上記目的を達成するべく、本発明の請求項1によるシートは、表皮カバーとパットとを有し、上記表皮カバーと上記パットとの間にシートヒータが配置され、該シートヒータが、基材と所定のパターン形状にて上記基材上に配設されたコード状ヒータとを具備しているシートにおいて、上記基材における上記表皮カバー側の面は、上記基材における上記パット側の面と比較して、空隙が少ないことを特徴とするものである。
又、請求項2記載のシートは、上記基材における上記表皮カバー側の面が、加熱加圧により圧縮されることで空隙が少なくなっていることを特徴とするものである。
又、請求項3記載のシートは、上記シートヒータのコード状ヒータが、基材における上記パット側の面に配設されていることを特徴とするものである。
又、請求項4記載のシートは、上記コード状ヒータが、熱融着層を有し、該熱融着層の熱融着により上記基材に接着・固定されていることを特徴とするものである。
又、請求項5記載のシートは、上記基材が、不織布からなることを特徴とするものである。
又、請求項2記載のシートは、上記基材における上記表皮カバー側の面が、加熱加圧により圧縮されることで空隙が少なくなっていることを特徴とするものである。
又、請求項3記載のシートは、上記シートヒータのコード状ヒータが、基材における上記パット側の面に配設されていることを特徴とするものである。
又、請求項4記載のシートは、上記コード状ヒータが、熱融着層を有し、該熱融着層の熱融着により上記基材に接着・固定されていることを特徴とするものである。
又、請求項5記載のシートは、上記基材が、不織布からなることを特徴とするものである。
本発明によるシートによれば、シートヒータの基材における表皮カバー側の面について空隙が少なくなっていることから、基材における表皮カバー側の面が平滑になるため、基材と表皮カバーとの摩擦力が低下し、シートヒータの位置ズレや破断の可能性を低下させることができる。
特に、基材における表皮カバー側の面が、加熱加圧により圧縮されていれば、より平滑になるため、更にシートヒータの位置ズレや破断の可能性を低下させることができる。このような効果は、基材が不織布からなる場合に特に顕著である。
また、上記シートヒータのコード状ヒータが、基材における上記パット側の面に配設されていれば、表皮カバーとの摩擦力がコード状ヒータに直接加わることがないため、この摩擦力によるコード状ヒータの断線を未然に防止することができる。この場合、コード状ヒータは、基材における空隙が多い面に配設されることになるため、コード状ヒータを熱融着により基材に配置する態様であれば、溶融した熱融着層が基材内部に浸透しやすくなり、コード状ヒータと基材の接着性が格段に向上することになる。このような効果は、基材が不織布からなる場合に特に顕著である。
特に、基材における表皮カバー側の面が、加熱加圧により圧縮されていれば、より平滑になるため、更にシートヒータの位置ズレや破断の可能性を低下させることができる。このような効果は、基材が不織布からなる場合に特に顕著である。
また、上記シートヒータのコード状ヒータが、基材における上記パット側の面に配設されていれば、表皮カバーとの摩擦力がコード状ヒータに直接加わることがないため、この摩擦力によるコード状ヒータの断線を未然に防止することができる。この場合、コード状ヒータは、基材における空隙が多い面に配設されることになるため、コード状ヒータを熱融着により基材に配置する態様であれば、溶融した熱融着層が基材内部に浸透しやすくなり、コード状ヒータと基材の接着性が格段に向上することになる。このような効果は、基材が不織布からなる場合に特に顕著である。
以下、図1乃至図3を参照して本発明の実施の形態を説明する。これらの実施の形態は、本発明を車両用シートに適用することを想定した例を示すものである。
図2に示すように、本実施の形態で使用するシートヒータは構成される。不織布からなる基材5の上に、銅合金線やNi−Cr線等の抵抗線を有するコード状ヒータ3が所定のパターン形状で配設される。
コード状ヒータ3にも限定はなく、例えば、中心の芯材に抵抗線を横巻したもの、個別絶縁した高強度抵抗線を横巻又は引き揃えたもの、温度検知線と組み合わせたものなど、種々のものが使用できる。例えば、上記特許文献2、特許文献5なども参照することができる。本実施の形態において使用したコード状ヒータ3は以下の通りのものである。まず、外径約0.2mmの芳香族ポリアミド繊維束からなるヒータ芯があり、該ヒータ芯3の外周には、素線径0.08mmの錫鍍金硬質錫入り銅合金線(TH−SNCC−3)からなる6本の導体素線を引き揃えて構成されたものがピッチ約0.7mmで螺旋状に巻装されている。このヒータ芯3上に導体素線を巻装したものの外周に、絶縁体層としての四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)が約0.15mmの肉厚で押出・被覆され、発熱線が構成されている。又、この発熱線の外周には、更に、熱融着部としての難燃剤が配合されたポリエチレン樹脂が0.2mmの厚さで押出・被覆されている。
基材5は、不織布の他に、例えば、織布、発泡樹脂シート、発泡ゴムシートなど空隙を有するものであれば種々のものが使用できる。例えば、上記特許文献1、特許文献2なども参照することができる。本実施の形態において使用した基材5は以下の通りのものである。基材5は、低融点ポリエステルを鞘成分とする芯鞘構造を有する熱融着性繊維10%と、難燃性ポリエステル繊維からなる難燃性繊維90%とを混合させた不織布(目付100g/m2,厚さ0.6mm)で構成にされている。この基材は、一方の面からもう一方の面に向かって連続的に空隙が多くなる構造となっているが、厚さ方向で2分割した際、一方の面(以下、多空隙面と示す)側が目付50g/m2,厚さ0.3mm、もう一方の面(以下、少空隙面と示す)側が目付150g/m2,厚さ0.3mmとなっている。このような基材5は、型抜き等の公知の手法により所望の形状とされる。尚、本実施の形態においては、多空隙面にコード状ヒータ3が配設されることになる。
コード状ヒータ3を基材5上に固定する際には、コード状ヒータ3や基材5に形成した熱融着材によって熱融着しても良いし、縫製しても良いし、他の方法によっても良い。本実施の形態においては、基材5上に所定のパターン形状でコード状ヒータ3を配設した状態で加熱加圧し、上記のようにコード状ヒータ3に形成した熱融着層によってコード状ヒータを接着・固定した。これにより、コード状ヒータ3の熱融着部が、不織布(基材5)の内部に浸透するとともに、不織布(基材5)を構成する繊維を取り囲むことによって、コード状ヒータ3と基材5とが強固に接着することになる。図3として、本実施の形態におけるコード状ヒータ3の熱融着部近傍の電子顕微鏡写真を示す。この写真からも、コード状ヒータの熱融着部が、不織布(基材5)を構成する繊維を取り囲んでいる状態を確認できる。特に、基材5が不織布であって熱融着性繊維を含み、この熱融着性繊維が芯−鞘構造を有するとともに、鞘部分が低融点のものであれば、芯部分を取り囲んだ状態で、該鞘部分と上記コード状ヒータ3の熱融着部とが、互いに融着し一体化することになる。これにより、コード状ヒータ3と基材5とが更に強固に接着することになる。また、本実施の形態のように、基材5の多空隙面にコード状ヒータ3を配設する場合、溶融した熱融着層が基材5内部に浸透しやすくなり、コード状ヒータ3と基材5の接着性が格段に向上することになる。熱融着の方法の詳細については、例えば、上記特許文献2等を参照できる。なお、図3においては、図の上方が多空隙面、下方が少空隙面となっている。
本実施の形態においては、基材5の多空隙面、即ち、コード状ヒータ3を配設した側の面には、接着層の形成、或いは、両面テープの貼り付けがなされている。これは、座席に取り付ける際、シートヒータ1をシートのパットに固定するためのものである。
上記作業を行うことにより、図2に示すようなシートヒータ1を得ることができる。尚、このシートヒータ1には、適宜、温度制御装置、コード、コネクタ等が接続され、このコネクタを介して車両の電気系統に接続されることになる。
そして、上記構成をなすシートヒータ1は、図1に示すような状態で、車両用のシート11内に埋め込まれて配置されることになる。即ち、シートヒータ1は、シート11の表皮カバー19とパット17との間に配置され、この際、基材5の少空隙面が表皮カバー19側となるように、パット17に貼り付けられることになる。本実施の形態においては、シート11の座面21及び背面23の両方にシートヒータ1が配置されるが、何れか一方のみに配置される形態も考えられる。
本発明によるシートによれば、シートヒータ1の基材5における表皮カバー19側の面について空隙が少なくなっていることから、基材5における表皮カバー19側の面が平滑になるため、基材5と表皮カバー19との摩擦力が低下し、シートヒータ1の位置ズレや破断の可能性を低下させることができる。また、上記シートヒータ1のコード状ヒータ3が、基材における上記パット17側の面に配設されていれば、表皮カバー19との摩擦力がコード状ヒータ3に直接加わることがないため、この摩擦力によるコード状ヒータ3の断線を未然に防止することができる。この場合、コード状ヒータ3は、基材5における多空隙面に配設されることになるため、コード状ヒータ3を熱融着により基材5に配置する態様であれば、溶融した熱融着層が基材5内部に浸透しやすくなり、コード状ヒータ3と基材5の接着性が格段に向上することになる。このような効果は、基材5が不織布からなる場合に特に顕著である。
上記基材5としては、上記実施の形態で示した不織布の他に、例えば、織布、編物、発泡樹脂シート、発泡ゴムシート、延伸多孔質体等、種々のものが使用できる。これらの内、FMVSS No.302自動車内層材料の燃焼試験に合格する難燃性を有するものが好ましい。ここで、FMVSSとは、Federal Motor Vehicle Safety Standard、即ち、米国連邦自動車安全基準のことであり、そのNo.302として、自動車内装材料の燃焼試験が規定されている。これらの中でも、不織布は、風合いが良く柔軟であるため、特にカーシートヒータの用途において好ましい。また、不織布を使用する場合も、上記実施の形態の場合には、不織布を構成する熱融着性繊維として、低融点ポリエステルを鞘成分とする芯鞘構造を有する繊維を使用しているが、それ以外にも、例えば、低融点ポリプロピレンを鞘成分とする芯鞘構造を有する繊維、又はポリエチレンを鞘成分とする芯鞘構造を有する繊維等の使用が考えられる。このような熱融着性繊維を使用することで、熱融着性繊維の芯部を取り囲んだ状態で、熱融着性繊維の鞘部と上記熱融着部とが互いに融着し一体化することとなるため、コード状ヒータ3と不織布との接着は非常に強固なものとなる。又、難燃性繊維としては、例えば、上記の難燃性ポリエステルの他に、種々の難燃性繊維の使用が考えられる。ここで、難燃性繊維とは、JIS−L1091(1999年)に合格する繊維のことを指す。このような難燃性繊維を使用することで、基材は優れた難燃性を付与されることとなる。
熱融着性繊維の混合割合は、5%以上が好ましく、また、20%以下が好ましい。熱融着性繊維の混合割合が5%未満だと、十分な接着性を得られにくい。又、熱融着性繊維の混合割合が20%を超えると、不織布が固くなり、着座者が違和感を訴えることになり得るのみでなく、逆にコード状ヒータとの接着性が低下してしまうことがある。難燃性繊維の混合割合は、70%以上であり、好ましくは70%以上95%以下である。難燃性繊維の混合割合が70%未満だと、十分な難燃性が得られないことがある。又、難燃性繊維の混合割合が95%を超えると、相対的に熱融着性繊維の混合割合が不足してしまい、十分な接着性が得られにくい。尚、熱融着性繊維の混合割合と難燃性繊維の混合割合を合算して100%になる必要はなく、他の繊維を適宜混合させても良い。
これらのような基材において、表皮カバー側の面は、上記基材における上記パット側の面と比較して、空隙が少なくなっているように構成される。空隙が少ない状態とは、例えば、織布や不織布等の布体の場合、目付け、即ち単位体積当たりの繊維重量が大きい状態、発泡樹脂シートや発泡ゴムシートのような多孔体の場合、気孔率が小さい状態のことを示す。本発明による基材の具体的な態様としては、例えば、温度や圧力を調節するなどして片面のみ又は両面で強弱異なるカレンダー加工を行った織布又は不織布、片面のみからニードルパンチを行った不織布、片面にパイル形成や起毛をさせた布体、厚さ方向で気孔率が傾斜するように発泡制御した発泡樹脂シート又は発泡ゴムシート、空隙の多さが異なる材料を貼り合わせたもの、などが挙げられる。特に、加熱加圧により圧縮することで空隙を少なくすれば、表面が平滑になるため、更にシートヒータの位置ズレや破断の可能性を低下させることができる。このような効果は、基材が不織布からなる場合に特に顕著である。また、特に熱融着層を有したコード状ヒータを用い、このコード状ヒータを熱融着により基材に接着・固定する場合、空隙は連続していることが好ましい。これは、溶融した熱融着層が連続した空隙に浸透していくことで、アンカー効果が増して接着強度が向上するためである。このような空隙が連続している態様としては、繊維の集合体である織布や不織布等の布体、連続気孔を有する発泡樹脂シートや発泡ゴムシートなどが考えられる。
又、基材の大きさや厚さなどは、使用用途によって適宜に変更するものであるが、例えば、基材として不織布を使用する場合、その厚さ(乾燥時に測定した値)は、例えば、0.6mm〜1.4mm程度とすることが望ましい。このような厚さの不織布を使用すれば、加熱・加圧によりコード状ヒータと不織布とを接着・固定した際、不織布がコード状ヒータの外周の30%以上、好ましくは50%以上の部分と良好に接着することになるからであり、それによって、強固な接着状態を得ることができるからである。
(実施例、比較例)
上記実施の形態によって得られるシートを実施例として、磨耗試験、乗降耐久試験、及び、着座評価を実施した。磨耗試験は、シートに配置する前のシートヒータに対して、JIS−L1096に準拠して行い、500回往復後のシートヒータ表面の状態を目視で確認した。乗降耐久試験は、シートにシートヒータを配置した状態で1万回の乗降を行った後、シートヒータをシートから取り出して表面の状態を目視で確認した。着座評価は、シートにシートヒータを配置した状態で実際に着座をして車両運転を想定した動作を行い、違和感の有無や柔らかさなど感覚的な面から評価を行った。本実施例と併せて、上記実施の形態において、基材の少空隙面にコード状ヒータを配設して、基材の多空隙面を表皮カバー側としたものを比較例とし、実施例と同様に試験及び評価を行った。これらの試験及び評価の結果を表1に示す。
上記実施の形態によって得られるシートを実施例として、磨耗試験、乗降耐久試験、及び、着座評価を実施した。磨耗試験は、シートに配置する前のシートヒータに対して、JIS−L1096に準拠して行い、500回往復後のシートヒータ表面の状態を目視で確認した。乗降耐久試験は、シートにシートヒータを配置した状態で1万回の乗降を行った後、シートヒータをシートから取り出して表面の状態を目視で確認した。着座評価は、シートにシートヒータを配置した状態で実際に着座をして車両運転を想定した動作を行い、違和感の有無や柔らかさなど感覚的な面から評価を行った。本実施例と併せて、上記実施の形態において、基材の少空隙面にコード状ヒータを配設して、基材の多空隙面を表皮カバー側としたものを比較例とし、実施例と同様に試験及び評価を行った。これらの試験及び評価の結果を表1に示す。
表1に示すように、本発明の実施例によるシートは、磨耗試験及び乗降耐久試験において、シートヒータにも問題が生じるような損傷は発生しなかった。また、乗降耐久試験において、シートヒータが位置ズレするようなこともなかった。また、着座評価についても、柔らかな感触で風合いが良く、違和感を受けるようなことはなかった。比較例によるシートは、乗降耐久試験において、位置ズレするようなことはなく、また、着座評価においても、柔らかな感触で風合いが良く、違和感を受けるようなことはなかった。しかし、磨耗試験及び乗降耐久試験において、大量の毛玉が発生し、所々で基材が薄くなっていることが確認された。このような基材が薄くなっている箇所においては、集中的な応力が加わることで、基材が破断してしまう可能性がある。
以上詳述したように本発明によれば、シートヒータの位置ズレや破断の可能性を低下することができるシートを得ることができる。このシートは、例えば、自動車,自動二輪車,鉄道車両等の車両用シート、船舶や航空機などのシート、遊園地の観覧車のシート、各種競技場の観覧用シート、劇場や映画館等の鑑賞用シート、家庭内やオフィスで使用されるソファー、理髪店のシート、各種医療機関で使用されている医療用シートなど、種々の用途で好適に使用可能である。
1 シートヒータ
3 ヒータ線
5 基材
11 シート
17 パット
19 表皮カバー
3 ヒータ線
5 基材
11 シート
17 パット
19 表皮カバー
Claims (5)
- 表皮カバーとパットとを有し、上記表皮カバーと上記パットとの間にシートヒータが配置され、該シートヒータが、基材と所定のパターン形状にて上記基材上に配設されたコード状ヒータとを具備しているシートにおいて、
上記基材における上記表皮カバー側の面は、上記基材における上記パット側の面と比較して、空隙が少ないことを特徴とするシート。 - 上記基材における上記表皮カバー側の面が、加熱加圧により圧縮されることで空隙が少なくなっていることを特徴とする請求項1記載のシート。
- 上記シートヒータのコード状ヒータが、基材における上記パット側の面に配設されていることを特徴とする請求項2記載のシート。
- 上記コード状ヒータが、熱融着層を有し、該熱融着層の熱融着により上記基材に接着・固定されていることを特徴とする請求項3記載のシート。
- 上記基材が、不織布からなることを特徴とする請求項2〜請求項4記載のシート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010104659A JP2011229795A (ja) | 2010-04-29 | 2010-04-29 | シートヒータが配置されたシート |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015225738A (ja) * | 2014-05-27 | 2015-12-14 | 株式会社クラベ | 採暖装置及び車両用座席 |
-
2010
- 2010-04-29 JP JP2010104659A patent/JP2011229795A/ja active Pending
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