JP6469518B2 - 血管新生促進剤 - Google Patents

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本発明は、血管新生促進剤に関するものである。
血管新生は、動物において、既存の毛細血管等から血管内皮細胞が遊走、増殖し、管腔形成によって新しい血管網が形成される現象である。創傷の治癒過程(炎症期、増殖期、成熟期)においては、損傷部の治癒に必要な酸素やエネルギーを運ぶために、損傷部に向かって新しい血管が新生される。そのため、血管新生を促進することで、創傷治療を促進することができるものと考えられる。
血管新生を誘導するものとしては、例えば、血管内皮増殖因子(VEGF)等が知られている。しかし、VEGFは、例えば腫瘍細胞により産生され病的な血管新生を誘導することが知られており、VEGFとは異なる方法により血管新生を誘導または促進する方法の提供が求められている。血管新生を促進するものとしては、例えば、フコステロール(特許文献1参照)等が知られている。
特開2011−121917号公報
本発明は、優れた血管新生促進作用を有する化合物を見出し、それを有効成分とする血管新生促進剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の血管新生促進剤は、β−アミリンを有効成分として含有することを特徴とする。
本発明によれば、β−アミリンを有効成分として含有させることにより、作用効果に優れた血管新生促進剤を提供することができる。
血管内皮細胞(HUVECs)に対する増殖促進作用を評価した結果を表す図である。 血管内皮細胞(HUVECs)に対する管腔形成促進作用を評価した結果を表す図である。 血管内皮細胞(HUVECs)に対する細胞遊走能促進作用を評価した結果を表す図である。 血管内皮細胞(HUVECs)における細胞内シグナル伝達への影響をイムノブロット法にて評価した結果を表す図である。 図3Aにおけるイムノブロット法の結果を数値化したグラフである。 Akt−eNOSシグナル経路の阻害剤による影響をイムノブロット法にて評価した結果を表す図である。 Akt−eNOSシグナル経路の阻害剤による管腔形成能への影響を評価した結果を表す図である。 Akt−eNOSシグナル経路の阻害剤による細胞遊走能への影響を評価した結果を表す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態の血管新生促進剤は、β−アミリンを有効成分として含有するものである。
β−アミリンは、下記式で表される化学構造を有するトリテルペンである。
Figure 0006469518
β−アミリンは、例えば、β−アミリンを含有する植物の抽出物から単離・精製することにより製造することができる。
β−アミリンを含有する植物抽出物から単離・精製することにより、β−アミリンを製造する場合、このようなβ−アミリン含有植物抽出物は、植物の抽出に一般に用いられている方法によって得ることができる。β−アミリンを含有する植物としては、例えば、ソウハクヒ(生薬名)、メグスリノキ(学名:Acer nikoense)などが挙げられる。
ソウハクヒ(生薬名)は、中国等に分布している落葉高木であるクワ科クワ属に属するマグワ(学名:Morus alba L.)の根皮部であり、これらの地域から容易に入手することができる。ソウハクヒは、従来、消炎、利尿、解熱、鎮痛薬等として使用されている。
メグスリノキ(Acer nikoense)は、カエデ(Aceraceae)科カエデ(Acer)属に属する落葉高木である。日本国内の各地に自生しており、容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るメグスリノキの構成部位としては、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、果実部、花部等の地上部、根部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは地上部であり、特に好ましくは樹皮部である。
上記植物からの抽出物は、抽出原料を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
抽出溶媒としては、極性溶媒を使用することが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本実施形態において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられる。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を抽出溶媒として使用する場合には、水と低級脂肪族アルコールとの混合比が9:1〜1:9(容量比)であることが好ましく、7:3〜2:8(容量比)であることがさらに好ましい。また、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水と低級脂肪族ケトンとの混合比が9:1〜2:8(容量比)であることが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水と多価アルコールとの混合比が5:5〜1:9(容量比)であることが好ましい。
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5〜15倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。
以上のようにして得られた抽出液、当該抽出液の濃縮物又は当該抽出液の乾燥物からβ−アミリンを単離・精製する方法は、特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。例えば、抽出物を展開溶媒に溶解し、シリカゲルやアルミナ等の多孔質物質、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やポリメタクリレート等の多孔性樹脂等を用いたカラムクロマトグラフィーに付して、β−アミリンを含む画分を回収する方法等が挙げられる。この場合、展開溶媒は使用する固定相に応じて適宜選択すればよいが、例えば固定相としてシリカゲルを用いた順相クロマトグラフィーにより抽出物を分離する場合、展開溶媒としてはクロロホルム:メタノール=95:5等が挙げられる。さらに、カラムクロマトグラフィーにより得られたβ−アミリンを含む画分を、ODSを用いた逆相シリカゲルクロマトグラフィー、再結晶、液−液向流抽出、イオン交換樹脂を用いたカラムクロマトグラフィー等の任意の有機化合物精製手段を用いて精製してもよい。
以上のようにして得られるβ−アミリンは、優れた血管新生促進作用を有しているため、血管新生促進剤の有効成分として用いることができる。本実施形態の血管新生促進剤は、医薬品、医薬部外品、化粧品等の幅広い用途に使用することができる。本実施形態の血管新生促進剤は、β−アミリンのみからなるものでもよいし、β−アミリンを製剤化したものでもよい。
本実施形態の血管新生促進剤は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。血管新生促進剤は、他の組成物(例えば、皮膚化粧料、頭髪化粧料等)に配合して使用することができるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。
本実施形態の血管新生促進剤を製剤化した場合、β−アミリンの含有量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜設定することができる。
なお、本実施形態の血管新生促進剤は、必要に応じて、血管新生促進作用を有する他の天然抽出物等を、β−アミリンとともに配合して有効成分として用いることができる。
本実施形態の血管新生促進剤の患者に対する投与方法としては、経口投与、経皮投与等が挙げられるが、疾患の種類に応じて、その予防・治療等に好適な方法を適宜選択すればよい。また、本実施形態の血管新生促進剤の投与量も、疾患の種類、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。
本実施形態の血管新生促進剤は、有効成分であるβ−アミリンが有する血管新生促進作用を通じて、血管の新生を促進し、創傷の治療または改善などに利用することができる。また、本実施形態の血管新生促進剤は、有効成分であるβ−アミリンが有する血管新生促進作用を通じて、血流を改善し、むくみの予防または改善;目の下のクマの予防または改善;育毛;などに利用することができる。特に、本実施形態に係る血管新生促進剤は、血管内皮細胞の増殖促進効果をもたらさないため、腫瘍形成においてみられるような病的な血管新生を伴わずに血管を新生することができ、上述の作用に対して有用である。ただし、本実施形態の血管新生促進剤は、これらの用途以外にも血管新生促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
また、本実施形態の血管新生促進剤は、優れた血管新生促進作用を有するため、例えば、皮膚外用剤や飲食品に配合するのに好適である。この場合に、β−アミリンをそのまま配合してもよいし、β−アミリンから製剤化した血管新生促進剤を配合してもよい。
ここで、皮膚外用剤としては、その区分に制限はなく、経皮的に使用される皮膚化粧料、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものであり、具体的には、例えば、軟膏、クリーム、乳液、美容液、ローション、パック、ファンデーション、リップクリーム、入浴剤、ヘアートニック、ヘアーローション、石鹸、ボディシャンプー等が挙げられる。
飲食品としては、その区分に制限はなく、経口的に摂取される一般食品、健康食品(機能性飲食品)、保健機能食品(特定保健用食品,栄養機能食品)等を幅広く含むものである。
また、本実施形態の血管新生促進剤は、優れた血管新生促進作用を有するので、これらの作用機構に関する研究のための試薬としても好適に利用することができる。
なお、本実施形態の血管新生促進剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば,マウス,ラット,ハムスター,イヌ,ネコ,ウシ,ブタ,サル等)に対して適用することもできる。
以下、試験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。なお、本試験例においては、被験試料としてβ−アミリン(Sigma Chemical社製,試料1)を使用した。
〔試験例1〕HUVECsに対する増殖促進作用の評価
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs;Cambrex Bio Science Walkersville社より購入)に対する増殖促進作用の検討は、Premix WST-1 Cell Proliferation Assay System(タカラバイオ社製)を用い、製品添付の試験方法に従って行った。具体的には、HUVECsを、内皮細胞基礎培地(EBM−2;Clonetics社製)に増殖因子であるEGM−2添加剤(EBM−2に付属)を添加した培地を用い、37℃、5%CO条件下で培養した。得られたHUVECsを1×10cells/wellとなるよう96ウェルプレートに播種して4時間培養し、被験試料(試料1,最終濃度は0.025,0.25,1または10μM)を添加し、更に24,48または72時間培養した。各時点でPremix WST-1溶液(タカラバイオ社製)を添加し、マイクロプレートリーダー(BioRad社製)を用いて440nmの波長の吸光度を測定した。得られた各データは平均値±標準偏差で示した。
結果を図1に示す。図1から明らかなように、β−アミリン(試料1)は、血管内皮細胞(HUVECs)に対する増殖促進作用は示さなかった。
〔試験例2〕HUVECsに対する管腔形成促進作用および細胞遊走能促進作用の評価
HUVECsの管腔形成促進作用試験は、成長因子の含有量の少ないマトリゲル(BD Biosciences社製)を用いて従来の方法で試験を行った。具体的には、HUVECsを、EGM−2添加剤を添加したEBM−2培地を用い、37℃、5%CO条件下で培養した。その後、HUVECsをEBM−2培地にてさらに15時間培養し、血清飢餓状態とした。これを5×10cells/cm2になるようマトリゲルコートプレート(BD Biosciences社製)上に播種し、被験試料(試料1,最終濃度は0.025または1μM)を含有するEBM−2培地で6時間培養した。培養したプレート上の細胞を、位相差顕微鏡(オリンパス社製)にて、40倍の倍率で撮影した。管腔形成能の程度は、無作為に撮影した5つの顕微鏡画像を用い、形成された管腔の長さを画像解析ソフトであるImage-Jを用いて評価した。この操作を3回繰り返した。得られた各データは平均値±標準偏差で示し、2集団間の差についてスチューデントt検定を行った。多集団間での比較は片側ANOVAによって検定を行い、p<0.05であるものを有意差があると判定した。
一方、細胞遊走能促進作用試験は、8μm孔径のポリカーボネートメンブレン膜を持つ24穴トランスウェルカルチャープレート(Corning社製)を用いて行った。具体的には、HUVECsを、EGM−2添加剤を添加したEBM−2培地を用い、37℃、5%CO条件下で培養した。得られたHUVECsを1x10cells/100μLの密度に懸濁してトランスウェル上層に播種し、各ウェルに被験試料(試料1,最終濃度は0.025または1μM)を含むEBM−2培地を添加し、37℃で6時間培養した。メンブランを通過し、トランスウェル下層に遊走した細胞を、冷却したメタノールと4%パラホルムアルデヒドとで固定し、更にメイ・ギムザ染色法で染色した。200倍顕微鏡観察下にて、無作為に選択した5つの領域における遊走した細胞の数をサンプルごとに計数した。得られた結果について、管腔形成促進作用試験と同様に統計処理を行った。
結果を図2Aおよび図2Bに示す。β−アミリン(試料1)は、血管内皮細胞(HUVECs)の管腔形成能を促進し(図2A)、またその細胞遊走能をも促進した(図2B)。
〔試験例3〕HUVECsにおける細胞内シグナル伝達への影響の評価
HUVECsを、EGM−2添加剤を添加したEBM−2培地を用い、37℃、5%CO条件下で培養した。その後、被験試料(試料1,最終濃度は0.025または1μM)存在下でさらに30分培養した。培養終了後、RIPA細胞溶解液(Thermo Scientific社製)で溶解し、この細胞溶解液をイムノブロットに用いた。抗体は抗Akt、抗リン酸化Akt(Ser473)、抗eNOS、抗リン酸化eNOS(Ser1177)、およびコントロールとしての抗β-アクチンの各抗体(いずれもCell Signaling Technology社製)を用いた。得られた結果について、シグナル強度を画像解析ソフトであるImage-Jを用いて数値化し、試験例2と同様に統計処理を行った。
結果を図3Aおよび図3Bに示す。β−アミリン(試料1)は、血管内皮細胞(HUVECs)においてAkt−eNOSシグナル経路を活性化させることが明らかとなった。
〔試験例4〕管腔形成促進作用および細胞遊走能促進作用に対するAkt−eNOSシグナル経路の関連性の評価
β−アミリン(試料1)の血管内皮細胞(HUVECs)に対する作用について、Akt阻害剤であるLY294002(Calbiochem社より購入)およびNOS阻害剤であるL−NAME(Sigma Chemical社より購入)を用い、Akt−eNOSシグナル経路の関与の有無を評価した。
HUVECsを、EGM−2添加剤を添加したEBM−2培地を用い、37℃、5%CO条件下で培養した。その後、LY294002(最終濃度:50μM)またはL−NAME(同1mmol/L)の存在下で60分培養し、続けて被験試料(試料1,最終濃度は0.025または1μM)を添加してさらに30分培養した。培養終了後、RIPA細胞溶解液(Thermo Scientific社製)で溶解し、この細胞溶解液を用い、試験例3と同様にイムノブロット法により評価した。
HUVECsの管腔形成促進作用試験は、試験例2と同様に血清飢餓状態としたHUVECsを5×10cells/cm2になるようマトリゲルコートプレート(BD Biosciences社製)上に播種し、LY294002(最終濃度:50μM)またはL−NAME(同1mmol/L)の存在下で60分培養した。続けて、被験試料(試料1,最終濃度は0.025または1μM)を含有するEBM−2培地にて、LY294002またはL−NAMEの存在下でさらに6時間培養した。培養したプレート上について、試験例2と同様にして管腔形成能を評価した。
一方、細胞遊走能促進作用試験は、試験例2と同様にHUVECsをトランスウェル上層に播種し、LY294002(最終濃度:50μM)またはL−NAME(同1mmol/L)の存在下で60分培養した。続けて、被験試料(試料1,最終濃度は0.025または1μM)を含むEBM−2培地にて、LY294002またはL−NAMEの存在下でさらに6時間培養した。メンブランを通過し、トランスウェル下層に遊走した細胞について、試験例2と同様にして評価した。
結果を図4A〜図4Cに示す。β−アミリン(試料1)によるAktまたはeNOSの活性化は、LY294002またはL−NAMEの処理により抑制された(図4A)。さらに、β−アミリン(試料1)による血管内皮細胞(HUVECs)の管腔形成能および細胞遊走能の活性化は、LY294002またはL−NAMEの処理により完全に抑制された(図4B,図4C)。
試験例1〜4の結果から、β−アミリンは血管内皮細胞のAkt−eNOSシグナル経路を活性化させることで、血管新生を誘導する可能性が示唆される。ここで、肥満、高血圧、糖尿病などの危険因子を有する症例では、VEGFやbFGFなどの血管新生因子による血管再生治療への反応性が不良であったり、腫瘍を促進してしまうおそれがあったりする。しかし、β−アミリンは、血管内皮細胞に対する増殖効果を示さずに(図1)、Akt−eNOSシグナル経路の活性化を介して管腔形成能および細胞遊走能を活性化するため(図2〜4)、VEGFのような血管新生因子による病的な血管新生の危険性は低いと考えられる。
本発明の血管新生促進剤は、血管の新生を促進することができ、創傷の治療または改善;血流の改善;むくみの予防または改善;目の下のクマの予防または改善;育毛;などに大きく貢献できる。

Claims (2)

  1. β−アミリン(ヒエラシウム・プルムロサム A.カーナー(Hieracium plumulosum A. Kerner)抽出物または甘草抽出物に含まれるβ−アミリンを除く)を有効成分とすることを特徴とする血管新生促進剤。
  2. 創傷の治療または改善用途、血流の改善用途、むくみの予防または改善用途、目の下のクマの予防または改善用途、および育毛用途からなる群より選択される少なくとも一つの用途に使用されることを特徴とする請求項1に記載の血管新生促進剤。
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