JP6469235B2 - 電力変換装置及びこの電力変換装置を備えた空気調和装置 - Google Patents

電力変換装置及びこの電力変換装置を備えた空気調和装置 Download PDF

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Description

本発明は、交流電源から圧縮機及びファンの各モーターに供給する電力をそれぞれ制御する電力変換装置及びこの電力変換装置を備えた空気調和装置に関するものである。
空気調和装置の圧縮機及びファンの駆動源としてモーターが用いられている。モーターは、圧縮機及びファンに対し各々に接続されており、各モーターには周知のインバータが個別に接続されている。各々のインバータは、入力される直流電圧をモーターの駆動に適切な周波数の交流電圧に変換し、モーターに出力して駆動する。
インバータの入力側には、交流電源である商用電源、例えば単相電源、あるいは三相電源をはじめとする多相電源から供給される交流電圧を整流する整流回路と、整流された電圧を平滑する平滑コンデンサとが接続されている。また、電源高調波抑制のために、整流回路と平滑コンデンサとの間に直流リアクトルが接続されることがある。
なお、以下、整流回路の出力からインバータの入力までの整流回路、直流リアクトル及び平滑コンデンサを総称して整流部と称し、整流部上の母線を直流母線と称することとする。
従来の事例では、1つの整流部に対し、整流部の平滑コンデンサの後段から、圧縮機の駆動源である圧縮機用モーターを駆動する圧縮機用インバータと、ファンの駆動源であるファン用モーターを駆動するインバータとが並列に接続された駆動装置を備えた空気調和装置がある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
さらに、他の事例として、三相4線式の交流電源の交流電圧を互いにグランドレベルが異なる、即ち一方は線間電圧の交流電圧を直流電圧に変換し、他方は相電圧の交流電圧を直流電圧に変換する2つのコンバータと、各コンバータから出力された直流電圧をそれぞれ交流電圧に変換し、それぞれに接続された負荷に印加する2つのインバータとを備えた空気調和装置がある。この空気調和装置における前者のコンバータは、圧縮機用モーターを駆動するインバータに接続され、後者のコンバータは、ファン用モーターを駆動するインバータに接続されている(例えば、特許文献3又は特許文献4参照)。
特開2014−57497号公報(第4頁、第1図) 特開2012−135157号公報(第7〜9頁、第1図) 特開2006−136167号公報(第7〜8頁、第2図) 特許第4221401号公報(第3〜5頁、第1図)
特許文献1、2に示された従来の空気調和装置においては、圧縮機用モーターを駆動するインバータとファン用モーターを駆動するインバータとにそれぞれ入力される直流電圧は同じ電圧となる。
圧縮機側においては、高い出力を得るために圧縮機用モーターを毎秒数百回転といった高い回転数で駆動する。また、圧縮機用モーターは、一般的に誘導機、永久磁石同期モーター、ブラシレスDCモーターなどが用いられている。これらのモーターは、回転数が上昇するとモーター内部で発生する磁束による誘起電圧に起因して、モーターが必要とする電圧が上昇する。このため、それに応じて圧縮機用モーターを駆動するインバータの出力電圧(実効値)も高くする必要がある。そのインバータが出力可能な電圧は、インバータに入力される直流電圧に依存するため、インバータの出力電圧を高くするには、直流電圧も高くする必要がある。
ただし、前述の直流電圧は、昇圧回路を接続しない限り商用電源の電圧で決まるため、従来の空気調和装置では、商用電源の電圧で決まる直流電圧の制約の中で、圧縮機用モーターをインバータで駆動制御する必要がある。一般的に、高い回転数で駆動する際、モーターが必要とする電圧を、商用電源の電圧に基づく電圧制約内に収める必要がある。
モーターが必要とする電圧を電圧制約内に収める周知の対策として、モーターの誘起電圧の原因となるモーター内部で発生する磁束を弱めるようにモーターに流れる電流を制御する、いわゆる周知の弱め磁束(界磁)制御が行われる。この制御においては、電圧制約が無いと仮定した場合と比較して、同じモーター出力を得るために必要な電流(実効値)が大きくなり、モーターの巻線で発生する銅損、インバータで発生する損失が増加する。このため、空気調和装置としての変換効率が低下し、この傾向は、特にブラシレスDCモーターにおいて顕著である。
また、永久磁石同期モーター、ブラシレスDCモーターなどを圧縮機用モーターとして使用している場合、そのモーターに備わる永久磁石の減磁耐力、また、インバータを構成するスイッチング素子の許容電流と許容温度の制約により、運転の回転数範囲、特に高い回転数での駆動が制限されることがある。
したがって、圧縮機側においては、高い出力と変換効率を得るためには、直流電圧が高い条件下で、圧縮機用モーターを実効値の小さい電流、かつ、高い回転数で駆動することが望ましい。
ファン側においては、インバータを構成するスイッチング素子がスイッチング動作することにより、中性点電位は零にならず変動するため、スイッチング状態に応じてステップ上に急峻に変化するコモンモード電圧(零相電圧)が発生する。コモンモード電圧は、ファン用モーターに対して出力する電流、ファン用モーターのインピーダンスに影響されない電圧である。コモンモード電圧は、モーター軸と接地電位となっているファン用モーターの筐体との間に、電圧である軸電圧を誘発する。この軸電圧が大きいときには、モーター軸受の内部で放電、つまり軸受のベアリング内の潤滑油の薄膜での放電が発生して軸電流が流れ電食が生じる。
圧縮機用モーターにおいて高い変換効率が得られる直流電圧の条件で、同様にファン用モーターを駆動すると、中性点電位の変動が大きくなるため、電食が発生し易い条件となり、ファン用モーターを駆動する際の望ましい条件と相反する。
また、ファン用モーターは、構造上モーター軸を筐体に接地するのが困難であり、直流電圧が高い条件下においては、前記コモンモード電圧以外に、放射ノイズが発生するという課題がある。
さらに、ファン用モーターのモーター出力は、一般的に圧縮機用モーターのモーター出力と比較して小さいために、ファン用モーターを高い回転数で駆動する必要性が小さく、商用電源の電圧で決まる直流電圧の制約の中でもファン用モーターとして必要な性能が十分得られる。
圧縮機用モーターにおいて高い変換効率が得られる直流電圧まで高くすると、モーターが必要とする電圧に対して、直流電圧が過剰に高くなる可能性がある。また、圧縮機用モーターを駆動するインバータにおいては、PWM制御を適用した際のキャリア周波数成分を有する電流脈動によって、その電流脈動に起因する高調波鉄損が増加する可能性がある。
前述した以外にも、ファン用モーターにおいては、高電圧に対応した絶縁強化を施す必要があるなど、ファン用モーターの性能改善に寄与しないコストアップが伴う可能性がある。
一方、圧縮機用モーターは、モーター本体が圧縮機に内蔵されている構造であり、ファン用モーターと比較して直流電圧を高くしても電食が発生しにくい環境下にある。また、圧縮機用モーターは、構造的にモーター軸を筐体などを通じて接地できるため、放射ノイズに関してはファン用モーターと比較して考慮する必要性が低い。
これらのことから、共通の整流電源に対して圧縮機用モーターを駆動するインバータとファン用モーターを駆動するインバータとを並列に接続する構成においては、圧縮機用モーターを高い回転数で駆動するのに適したインバータの入力電圧と、ファン用モーターで軸電流による電食を抑制するのに適したインバータの入力電圧とが異なる。よって、各インバータへ入力される直流電圧が共通であると、高い変換効率で圧縮機用モーターを駆動することと、電食、放射ノイズ、キャリア周波数に起因する鉄損などを抑制しながらファン用モーターを駆動することとが両立しないといった課題があった。
特許文献3、4に示された従来の空気調和装置においては、圧縮機用モーターを駆動するインバータに入力される直流電圧は、ファン用モーターを駆動するインバータに入力される直流電圧と比べ高くなる。しかし、この空気調和装置は、三相4線式の商用電源への接続が前提となっており、広く普及する三相3線式の商用電源に対して適用できないという課題がある。
本発明は、圧縮機用モーターとファン用モーターとを並列駆動する際に起こり得る前述のような課題の少なくとも1つを解決することを目的になされたもので、交流電圧の種類を問わず、共通の整流回路に対して圧縮機用モーターを駆動するインバータとファン用モーターを駆動するインバータとを並列に接続する構成において、高い変換効率で圧縮機用モーターを駆動するとともに、電食、放射ノイズ、高調波鉄損を抑制しながらファン用モーターを駆動することができる電力変換装置及びこの電力変換装置を備えた空気調和装置を提供することを目的とする。
本発明に係る電力変換装置は、交流電源からの交流電圧を整流する整流回路と、整流回路により整流された直流電圧を異なる複数の昇圧モードにより昇圧する昇圧回路と、昇圧回路により昇圧された直流電圧を交流電圧へ変換し、当該交流電圧を圧縮機用モーターに出力して駆動する第1の電力変換手段と、整流回路により整流された直流電圧を交流電圧へ変換し、当該交流電圧をファン用モーターに出力して駆動する第2の電力変換手段と、第1の電力変換手段の出力可能な電圧か否かを判断する基準となる変調度に応じて、昇圧回路の昇圧モードを選択する制御部と、を備え、制御部は、圧縮機用モーターの電圧が飽和電圧以下となるように、変調度に応じて昇圧モードを選択して昇圧レベルを変更しながら、昇圧回路が出力可能な最大の昇圧レベルまで動作させるようにしたものである。
本発明によれば、圧縮機用モーターが接続される第1の電力変換手段には、整流回路の出力側の昇圧回路により昇圧された直流電圧が入力されるようにし、ファン用モーターが接続される第2の電力変換手段には、整流回路により整流された直流電圧が入力されるようにしている。この構成により、交流電源の種類を問わず、第1及び第2の電力変換手段に適した直流電圧をそれぞれ供給でき、高い変換効率で圧縮機用モーターを駆動できるとともに、電食、放射ノイズ、高調波鉄損を抑制しながらファン用モーターを駆動することができる。
本発明の実施の形態1に係る電力変換装置の概略構成を示すブロック図である。 図1に示す昇圧回路の一例であるマルチレベルチョッパ回路の構成図である。 図2に示す昇圧回路における昇圧モード毎の第2の母線電圧のレベルを示す図である。 図2に示す昇圧回路のスイッチングモードに対するスイッチSW1、SW2のON・OFF状態を示す図である。 図2に示す昇圧回路の昇圧モード毎に設定されたスイッチングモードの組合せを示す図である。 図1に示す昇圧回路の他の一例である昇圧チョッパ回路の構成図である。 本発明の実施の形態2に係る電力変換装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態4に係る空気調和装置の概略構成を示すブロック図である。
以下、本発明に係る電力変換装置及びこの電力変換装置を備えた空気調和装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る電力変換装置の概略構成を示すブロック図である。
図1において、電力変換装置101は、交流電源である商用電源1に接続される整流回路2、昇圧回路3、昇圧回路3の出力間に接続された平滑コンデンサ4、平滑コンデンサ4の両極間に接続された第1の電力変換手である例えば第1のインバータ5、整流回路2の出力側に接続された直流リアクトル6と平滑コンデンサ7、平滑コンデンサ7の両極間に接続された第2の電力変換手である例えば第2のインバータ8、及び制御部9を備えている。
第1のインバータ5の出力側には、空気調和装置の圧縮機の駆動源である圧縮機用モーター10が接続される。第2のインバータ8の出力側には、空気調和装置のファンの駆動源であるファン用モーター11が接続される。なお、図1においては、空気調和装置の圧縮機及びファンの図示を省略している。
整流回路2は、例えば、商用電源1が三相3線式あるいは三相4線式の場合には6個、商用電源1が単相の場合には4個の整流ダイオードである逆流防止素子をブリッジ接続して構成され、商用電源1の交流電圧を整流する全波整流回路である。なお、図1では、三相3線式の例を示している。
昇圧回路3は、整流回路2により整流された直流電圧(以下、第1の母線電圧Vdc1と称する)を昇圧し、昇圧した直流電圧(以下、第2の母線電圧Vdc2と称する)を出力する。以下、第1の母線電圧Vdc1に対する第2の母線電圧Vdc2の電圧比を昇圧比とする。平滑コンデンサ4は、昇圧回路3で昇圧された第2の母線電圧Vdc2を平滑化する。
ここで、昇圧回路3の構成について、図2を用いて詳述する。
図2は図1に示す昇圧回路の一例であるマルチレベルチョッパ回路の構成図である。
図2に示す昇圧回路3は、出力間に直列に接続された第1の逆流防止素子32、第2の逆流防止素子33、第1のスイッチング素子34及び第2のスイッチング素子35と、第2の逆流防止素子33と第1のスイッチング素子34との接続点に接続された整流回路2の正極側の直流母線に挿入されたリアクトル31と、第2の逆流防止素子33及び第1のスイッチング素子34に並列に接続されたコンデンサ36とにより構成されるマルチレベルチョッパ回路である。
第1のスイッチング素子34は、スイッチSW1と、このスイッチSW1に逆並列に接続された逆流防止素子34aとで構成されている。第2のスイッチング素子35は、スイッチSW2と、このスイッチSW2に逆並列に接続された逆流防止素子35aとで構成されている。前述のスイッチSW1、SW2は、制御部9からの駆動信号に基づいてスイッチング動作を行い、整流回路2により整流された第1の母線電圧Vdc1を昇圧する。なお、スイッチSW1、SW2がともにOFF状態の場合には、昇圧動作は行われず、第1の母線電圧Vdc1と第2の母線電圧Vdc2とが同じ電圧となる。
昇圧回路3の制御は、圧縮機用モーター10の運転状態に応じて、第1の母線電圧Vdc1に対する昇圧比を変化させる昇圧モードを選択する。この昇圧モードの選択は、後述するが、制御部9によって行われる。
これは、例えば、室内の温度が目標温度となるように空気調和装置の冷凍サイクルを圧縮機用モーター10の回転動作により制御する過程において、高い圧縮機の出力を得るために圧縮機用モーター10を毎秒数百回転といった高い回転数で駆動する必要がある。
圧縮機用モーター10に用いられる誘導機、永久磁石同期モーター、ブラシレスDCモーターなどは、回転数が上昇するとモーター内部で発生する磁束による誘起電圧に起因してモーターが必要とする電圧も上昇する。それに応じて圧縮機用モーター10を駆動する第1のインバータ5の出力電圧(実効値)も高くする必要がある。
その上、第1のインバータ5の出力可能な電圧は、第1のインバータ5に入力される第2の母線電圧Vdc2に依存する。そのため、第1のインバータ5の出力電圧を高くする場合には、第2の母線電圧Vdc2も合わせて高くする必要がある。これらを実現するために、制御部9は、前述のように圧縮機用モーター10の運転状態に応じて、第1の母線電圧Vdc1に対する昇圧比を変化させる昇圧モードを選択する。
次に、昇圧モード毎の第2の母線電圧Vdc2のレベルについて、図3を用いて説明する。
図3は図2に示す昇圧回路における昇圧モード毎の第2の母線電圧のレベルを示す図である。
昇圧モードとして、例えば図3に示すように、第1の母線電圧Vdc1に対して昇圧を行わないMode0(昇圧無)と、第1の母線電圧Vdc1に対して僅かに、例えば20V程度を昇圧するMode1と、第1の母線電圧Vdc1に対して2倍に昇圧するMode2と、第1の母線電圧Vdc1に対して2倍を超える電圧に昇圧するMode3とがある。
昇圧モードの選択は、圧縮機用モーター10の運転状態を示す、例えばモーターの回転数あるいは第1のインバータ5の出力電圧の周波数、昇圧回路3と第1のインバータ5との間の母線電流、第1のインバータ5の出力電圧、圧縮機用モーター10の電流、即ち第1のインバータ5の出力電流などのパラメータに基づいて行われる。
制御部9は、前述のパラメータから昇圧モードを選択し、選択した昇圧モードに基づいて、各スイッチSW1、SW2のON・OFF時間のデューティ比を算出し、そのデューティ比に応じた駆動信号を生成し、生成した駆動信号に基づいて各スイッチSW1、SW2を制御する。
昇圧モードのMode0〜Mode3における各スイッチSW1、SW2のON・OFFのパターンは、以下に示す4つのスイッチングモードSM1〜SM4の組み合わせによって実現される。
図4は図2に示す昇圧回路のスイッチングモードに対するスイッチSW1、SW2のON・OFF状態を示す図である。
スイッチングモードSM1〜SM4は、スイッチSW1をOFF、スイッチSW2をONするスイッチングモードSM1と、スイッチSW1をON、スイッチSW2をOFFするスイッチングモードSM2と、スイッチSW1、SW2をともにOFFするスイッチングモードSM3と、スイッチSW1、SW2をともにONするスイッチングモードSM4の4つのモードからなる。
次に、各昇圧モードに切り替える際のスイッチSW1、SW2のスイッチング動作について説明する。
図5は図2に示す昇圧回路の昇圧モード毎に設定されたスイッチングモードの組合せを示す図であり、以下にスイッチングモードの切り替えにより、各昇圧モードにおける昇圧動作を実現する。
(A)Mode0(昇圧無)からMode1(微昇圧)への移行
この場合は、スイッチングモードがSM1→SM3→SM2→SM3→SM1の順に切り替わるようにスイッチSW1、SW2を制御し、この制御を繰り返し行う。
SM1においては、スイッチSW1がOFF、スイッチSW2がONとなる。これにより、リアクトル31→第2の逆流防止素子33→コンデンサ36→スイッチSW2の経路が導通し、第1の母線電圧Vdc1によってコンデンサ36が充電される。
次のSM3においては、スイッチSW1、SW2がともにOFFとなる。これにより、リアクトル31→第2の逆流防止素子33→第1の逆流防止素子32→平滑コンデンサ4の経路が導通すると共に、コンデンサ36→第1の逆流防止素子32→平滑コンデンサ4の経路が導通する。この場合、第1の母線電圧Vdc1とコンデンサ36の充電電圧とにより平滑コンデンサ4が充電される。
次のSM2においては、スイッチSW1がON、スイッチSW2がOFFとなる。これにより、リアクトル31→スイッチSW1→コンデンサ36→第1の逆流防止素子32→平滑コンデンサ4の経路が導通し、第1の母線電圧Vdc1によりコンデンサ36が充電される。
再びSM3に戻すと、リアクトル31→第2の逆流防止素子33→第1の逆流防止素子32→平滑コンデンサ4の経路が導通すると共に、コンデンサ36→第1の逆流防止素子32→平滑コンデンサ4の経路が導通する。この場合、前述のように第1の母線電圧Vdc1とコンデンサ36の充電電圧とにより平滑コンデンサ4が充電され、前記SM1の状態に戻る。
この一連の動作を繰り返し行うことにより、昇圧回路3の出力電圧である第2の母線電圧Vdc2が、第1の母線電圧Vdc1よりも僅かに昇圧された電圧となる。
なお、Mode1(微昇圧)においては、リアクトル31に流れる高調波電流の発生を抑制するために、望ましくはリアクトル31に流れる電流を検出するセンサーを備えるようにし、その検出電流が一定となる制御を行うようにしても良い。
(B)Mode1(微昇圧)からMode2(倍昇圧)への移行
この場合は、スイッチングモードSM1とSM2とが交互に切り替わるようにスイッチSW1、SW2を制御し、この制御を繰り返し行う。
SM1においては、スイッチSW1がOFF、スイッチSW2がONとなる。これにより、リアクトル31→第2の逆流防止素子33→コンデンサ36→スイッチSW2の経路が導通し、第1の母線電圧Vdc1によってコンデンサ36が充電される。
次のSM2においては、スイッチSW1がON、スイッチSW2がOFFとなる。これにより、リアクトル31→スイッチSW1→コンデンサ36→第1の逆流防止素子32→平滑コンデンサ4の経路が導通し、第1の母線電圧Vdc1によりコンデンサ36が充電される。この場合、第1の母線電圧Vdc1にコンデンサ36の充電電圧が加わった電圧が平滑コンデンサ4に充電される。
この一連の動作を繰り返し行うことにより、平滑コンデンサ4には、第1の母線電圧Vdc1の2倍の直流電圧が充電され、昇圧回路3の出力電圧である第2の母線電圧Vdc2が、第1の母線電圧Vdc1の2倍に昇圧された電圧となる。
Mode2(倍昇圧)においては、リアクトル31に流れる電流が一定となり、その電流の高調波成分の最小化が可能となる。よって、第1の母線電圧Vdc1に対して第2の母線電圧Vdc2を2倍に昇圧する、即ち昇圧比を2にすることで、リアクトル31に流れる高調波成分を最小化でき、リアクトル31で発生する損失の低減と商用電源1の電源系統に対する高調波成分の流出が抑制される。
(C)Mode2(倍昇圧)からMode3(倍超昇圧)への移行
この場合は、スイッチングモードがSM1→SM4→SM2→SM4→SM1の順に切り替わるようにスイッチSW1、SW2を制御し、この制御を繰り返し行う。
SM1においては、スイッチSW1がOFF、スイッチSW2がONとなる。これにより、リアクトル31→第2の逆流防止素子33→コンデンサ36→スイッチSW2の経路が導通し、第1の母線電圧Vdc1によってコンデンサ36が充電される。
次のSM4においては、スイッチSW1、SW2がともにONとなる。これにより、リアクトル31→スイッチSW1→スイッチSW2の経路が導通し、リアクトル31にエネルギーが蓄積されるとともに、コンデンサ36の充電電圧によって第1の逆流防止素子32を介して平滑コンデンサ4が充電される。
次のSM2においては、スイッチSW1がON、スイッチSW2がOFFとなる。これにより、リアクトル31→スイッチSW1→コンデンサ36→第1の逆流防止素子32→平滑コンデンサ4の経路が導通し、第1の母線電圧Vdc1とコンデンサ36とに蓄積されたエネルギーにより平滑コンデンサ4が充電される。
再びSM4に戻すと、リアクトル31→スイッチSW1→スイッチSW2の経路が導通し、第1の母線電圧Vdc1によりリアクトル31にエネルギーが蓄積され、前記SM1の状態に戻る。
この一連の動作を繰り返し行うことにより、昇圧回路3の出力電圧である第2の母線電圧Vdc2が、第1の母線電圧Vdc1の2倍以上に昇圧された電圧となる。
Mode3(倍超昇圧)においても、リアクトル31に流れる高調波電流の発生を抑制するために、望ましくはリアクトル31に流れる電流を検出するセンサーを備えるようにし、その検出電流が一定となる制御を行うようにしても良い。
以上に示す各昇圧モードに対応した昇圧回路3のスイッチSW1、SW2のスイッチング動作によって、第1の母線電圧Vdc1に対して、昇圧回路3の出力電圧である第2の母線電圧Vdc2を1倍以上の倍数、即ち昇圧比を1以上にするような昇圧動作を実現できる。
なお、昇圧回路3として、マルチレベルチョッパ回路を用いたことを述べたが、マルチレベルチョッパ回路に代えて、図6に示す昇圧チョッパ回路を用いても良い。
図6は図1に示す昇圧回路の他の一例である昇圧チョッパ回路の構成図であり、以下に詳述する。
図6に示す昇圧回路3aは、リアクトル31、逆流防止素子37及びスイッチング素子38を備えた昇圧チョッパ回路である。スイッチング素子38は、スイッチSW3と、スイッチSW3に逆並列に接続された逆流防止素子38aとを備えている。スイッチSW3は、制御部9からの駆動信号に基づいてスイッチング動作を行い、整流回路2により整流された第1の母線電圧Vdc1を昇圧する。
なお、図6に示す昇圧回路3aの出力側の直流母線間には、昇圧回路3aにより昇圧された第2の母線電圧Vdc2を平滑化する平滑コンデンサ4が接続される。
スイッチSW3がONの場合、整流回路2によって整流された第1の母線電圧Vdc1はリアクトル31に印加され、リアクトル31にエネルギーが蓄積されるとともに、逆流防止素子37の導通が阻止される。一方、スイッチSW3がOFFの場合、逆流防止素子37が導通し、リアクトル31にはスイッチSW3がONの時に印加された電圧と逆向きの電圧が誘導される。スイッチSW3がONの時にリアクトル31に蓄積されたエネルギーが、スイッチSW3のOFF時に平滑コンデンサ4に移送される。このスイッチSW3のON/OFFのタイミングと各々の時間比率を制御することによって、昇圧回路3aの出力である第2の母線電圧Vdc2の大きさを制御できる。このため、マルチレベルチョッパ回路を適用した場合と同様に、昇圧動作を実現できる。
ただし、一般的に昇圧チョッパ回路よりもマルチレベルチョッパ回路の方が、複数の昇圧モードを選択でき、昇圧比も大きく取ることが可能であるため、昇圧回路を構成するリアクトル、スイッチング素子などの小型化と低コスト化を実現し易い。また、圧縮機用モーター10の高速域(高出力域)への運転範囲の拡大の視点では、マルチレベルチョッパ回路の方が有利である。
次に、図1に示す第1のインバータ5の構成について説明する。
第1のインバータ5は、例えば三相の場合、各相(u相、v相、w相)に2つのスイッチング素子が直列に接続され、各スイッチング素子に逆並列に接続された逆流防止素子がそれぞれ接続されて構成される。この第1のインバータ5は、昇圧回路3から平滑コンデンサ4を介して入力される第2の母線電圧Vdc2を、制御部9からの駆動信号に基づいて、圧縮機用モーター10の駆動に適切な周波数の三相交流電圧に変換し、圧縮機用モーター10に供給する。
なお、第1のインバータ5を構成するスイッチング素子と逆流防止素子においては、現在、一般的に珪素(Si)を材料とする半導体が用いられている。しかし、これに代えて、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンドなどの何れかを材料とするワイドバンドギャップ半導体を用いても良い。
このようなワイドバンドギャップ半導体を用いたスイッチング素子と逆流防止素子は、耐電圧性、許容電流がともに高く、これらの素子の小型化を実現できる。小型化されたスイッチング素子と逆流防止素子を用いることにより、これらの素子を組み込んだ半導体モジュールの小型化も可能となる。
また、このようなワイドバンドギャップ半導体を用いたスイッチング素子と逆流防止素子は耐熱性も高く、第1のインバータ5の放熱に必要な冷却機構、例えば放熱フィン、水冷機構などの小型化、冷却方式の簡素化、つまり水冷方式から構造が簡素な空冷方式への変更が可能である。このため、スイッチング素子と逆流防止素子を組み込んだ半導体モジュールの一層の小型化が可能となる。
さらに、このようなワイドバンドギャップ半導体を用いたスイッチング素子と逆流防止素子は、電力損失が低く、電力変換効率が向上するため、高い変換効率で圧縮機用モーター10を駆動することができる。
スイッチング素子と逆流防止素子の両方がワイドバンドギャップ半導体を用いていることが望ましいが、何れか一方の素子がワイドバンドギャップ半導体によって形成されていても良い。
なお、前述した昇圧回路3、3aの説明においては言及しなかったが、昇圧回路3、3aを構成するスイッチング素子と逆流防止素子、あるいは何れか一方の素子にワイドバンドギャップ半導体を用いても良く、珪素(Si)素子と比較して損失低減を図ることができる。また、昇圧回路3、3aを構成するスイッチング素子に、トランジスタ、MOSFET、IGBT等の半導体素子を用いても良く、また、逆流防止素子に、ファストリカバリダイオードのような素子を用いても良い。
次に、制御部9の構成について、図1を用いて詳述する。
制御部9は、例えば、昇圧回路3、第1のインバータ5及び第2のインバータ8をそれぞれ制御する駆動信号を出力する機能を有し、記憶装置91と、その記憶装置91に記憶されたプログラムを実行するプロセッサ92とによって構成されている。前述の記憶装置91は、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置91aと、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置91bとで構成されている。プロセッサ92は、記憶装置91の補助記憶装置91bから揮発性記憶装置91aを介してプログラムを入力し、駆動信号を出力するための演算処理を実行し、演算結果などのデータを一時的に揮発性記憶装置91aに保存する。
なお、不揮発性の補助記憶装置91bに代えて、ハードディスク等の補助記憶装置を用いても良い。演算結果などのデータを揮発性記憶装置91aを介して補助記憶装置91bに保存するようにしても良い。また、複数のプロセッサ92及び複数の記憶装置91が連携する構成にしても良い。また、プロセッサ92と記憶装置91を、例えばマイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)などによって構成しても良い。
前述の制御部9は、圧縮機の駆動に必要な圧縮機用モーター10の出力が得られるように、フィードフォワード制御の演算実行、あるいはベクトル制御の演算実行により、適切な周波数の三相交流の電圧指令を求める。そして、制御部9は、求めた電圧指令を基に第1のインバータ5におけるスイッチング動作のための駆動信号(例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号)へ変換する。
なお、図1には図示していないが、前述の制御演算を行う際に、圧縮機用モーター10の電流、即ち第1のインバータ5の出力電流を検出する電流センサー、あるいは圧縮機用モーター10の位置又は速度を検出するセンサーを取り付け、これらのセンサーによって検出される電流、位置又は速度の情報を用いるようにしても良い。
前述した制御演算によって、三相交流の電圧指令が求まることから、その電圧指令の実効値に基づいて、第1のインバータ5の入力として必要な第2の母線電圧Vdc2を求めて、その第2の母線電圧Vdc2の目標値とその目標値を得るための昇圧モードを選択すれば良い。
また、圧縮機用モーター10の運転状態を示すパラメータ、例えば、圧縮機用モーター10の回転数あるいは第1のインバータ5の出力電圧の周波数、昇圧回路3と第1のインバータ5との間の母線電流、圧縮機用モーター10の電流、即ち第1のインバータ5の出力電流などから、第1のインバータ5の出力電圧を見積もることが可能である。つまり、第1のインバータ5の出力電圧を出力するために必要な第2の母線電圧Vdc2も同時に見積もることができるため、前述のパラメータから間接的に第2の母線電圧Vdc2の目標値を得るための昇圧モードを選択するようにしても良い。
また、これに代えて、前記の三相交流の電圧指令が、第1のインバータ5の出力可能な電圧か否かを判断する基準となる変調度を演算し、演算した変調度に応じて第2の母線電圧Vdc2の目標値を得るための昇圧モードを選択するようにしても良い。前述の変調度は、第2の母線電圧Vdc2を基準とした前記電圧指令の実効値の比率に相当する。前述したパラメータから昇圧モードの選択、変調度から昇圧モードの選択は、制御部9によって行われる。
変調度が第1のインバータ5の出力可能な電圧以上となるレベルに達すると、第1のインバータ5の出力電圧が飽和する。また、圧縮機用モーター10に流れる電流が増加することから、第1のインバータ5の損失は増加する。さらに、圧縮機用モーター10あるいは第1のインバータ5の許容電流の制約レベルまで圧縮機用モーター10の電流が増加したときには、それ以上の回転速度を上げることができなくなる。
そこで、圧縮機用モーター10の電圧を飽和電圧以下となるように作用させるために、変調度に応じて第2の母線電圧Vdc2の目標値を得るための昇圧モードを適切に選択していき、昇圧レベルを変更しながら昇圧回路3、3aが出力可能な最大の昇圧が可能なレベルまで動作させる。
このようにすれば、特に第1のインバータ5の損失を低減するとともに、高い変換効率で圧縮機用モーター10を駆動することが可能になる。また、交流電源が商用電源1の場合、電力供給事情により電圧が、例えば三相交流電源の場合、主に線間電圧の実効値が200V、400Vなど異なるため、商用電源1が整流回路2によって整流された第1の母線電圧Vdc1は、商用電源1の実効値の大きさに依存する。
第1の母線電圧Vdc1を昇圧しない場合は、商用電源1の実効値の大きさによって圧縮機用モーター10の設計を変える必要があり、同一の定格出力に対しても商用電源1毎に異なった圧縮機用モーター10の設計・製作が必要である。
第1の母線電圧Vdc1を昇圧する場合は、商用電源1の実効値の大きさに関わらず、昇圧回路3、3aの昇圧動作により第2の母線電圧Vdc2を同一にできる。また、第1のインバータ5の入力側から圧縮機用モーター10までの構成と電圧レベルを共通化することで、商用電源1の実効値の大きさに関係なく、同一の定格出力に対する圧縮機用モーター10の設計を共通化できる。
次に、空気調和装置のファン用モーター11を駆動する回路構成について、図1を用いて説明する。
ファン用モーター11は、前述した通り、第2のインバータ8へ入力する直流電圧が高いと、第2のインバータ8を構成するスイッチング素子がスイッチング動作することにより、モーター軸受の内部で放電が発生して軸電流が流れ電食が発生しやすい環境下にある。さらに、前述のように、放射ノイズ、キャリア周波数成分に起因する高調波鉄損の課題もある。このため、ファン用モーター11を駆動する第2のインバータ8においては、入力側の直流電圧は低い方が望ましい。
そこで、本実施の形態1では、整流回路2の出力側と第2のインバータ8の入力側との間に、整流回路2により整流された第1の母線電圧Vdc1を平滑化する直流リアクトル6及び平滑コンデンサ7を接続する構成としている。これにより、平滑化された第1の母線電圧Vdc1が第2のインバータ8に入力する。
なお、例えば特許第5591215号公報に示されているように、第2のインバータ8に相当するインバータの制御によって、直流電圧の脈動を抑制する構成とすることで、直流リアクトル6及び平滑コンデンサ7を省略することができる。ここでは、前述の公報の詳細な説明については省略する。また、本実施の形態1では、整流回路2により整流された第1の母線電圧Vdc1を直流リアクトル6及び平滑コンデンサ7で平滑化するようにしているが、直流リアクトル6あるいは平滑コンデンサ7の何れかで第1の母線電圧Vdc1を平滑化しても良い。
前述の第2のインバータ8は、第1のインバータ5と同様に、各相(u相、v相、w相)に2つのスイッチング素子が直列に接続され、各スイッチング素子に逆並列に接続された逆流防止素子がそれぞれ接続されて構成される。この第2のインバータ8は、整流回路2から直流リアクトル6及び平滑コンデンサ7を介して入力される第1の母線電圧Vdc1を、制御部9からの駆動信号に基づいて、ファン用モーター11の駆動に適切な周波数の三相交流電圧に変換し、ファン用モーター11に供給する。
なお、第2のインバータ8を構成するスイッチング素子と逆流防止素子に、前述のようにワイドバンドギャップ半導体を用いても良いが、第1のインバータ5と比較して出力が小さく、損失も小さい。このため、ワイドバンドギャップ半導体を第1のインバータ5に適用する場合と比較して、損失や変換効率に係るメリットが相対的に小さくなる。
また、現在、一般的にワイドバンドギャップ半導体と比較して珪素(Si)を材料とする半導体が安価であるため、第2のインバータ8を構成するスイッチング素子と逆流防止素子を、コストメリットを優先し、珪素(Si)を材料とする半導体で形成しても良い。
このようにすれば、出力が大きく損失の大きい圧縮機側は変換効率を優先し、損失の小さいファン側はコストメリットを優先することで、コスト対効率・性能を適正化することが可能となる。
制御部9は、ファンが要求する能力を満たすファン用モーター11の出力が得られるように、フィードフォワード制御の演算実行あるいはベクトル制御の演算実行により、適切な周波数の三相交流の電圧指令を求める。そして、制御部9は、求めた電圧指令を第2のインバータ8におけるスイッチング動作のための駆動信号、即ち第1のインバータ5と同様にPWM(Pulse Width Modulation)信号へ変換する。
また、図1には図示していないが、前述の制御演算を行う際に、ファン用モーター11の電流、即ち第2のインバータ8の出力電流を検出する電流センサー、あるいはファン用モーター11の位置又は速度を検出するセンサーを取り付け、これらのセンサーによって検出される電流、位置又は速度の情報を用いるようにしても良い。
なお、ファン用モーター11のモーター出力は、一般的に圧縮機用モーター10のモーター出力と比較して小さいために、整流回路2で整流された第1の母線電圧Vdc1のレベルで必要な性能が十分得られる。
以上のように本実施の形態1によれば、共通の整流回路2に対して第1のインバータ5と第2のインバータ8とを並列に接続している。そして、第1のインバータ5は、整流回路2で整流された第1の母線電圧Vdc1を昇圧回路3、3aで昇圧した第2の母線電圧Vdc2を交流電圧へ変換して圧縮機用モーター10へ出力するようにしている。また、第2のインバータ8は、第2の母線電圧Vdc2ではなく、昇圧されていない第1の母線電圧Vdc1を交流電圧へ変換してファン用モーター11へ出力するようにしている。
この構成により、商用電源1の電圧の種類を問わず、第1及び第2のインバータ5、8に適した直流電圧をそれぞれに供給でき、高い変換効率で圧縮機用モーター10を駆動するとともに、電食、放射ノイズ、高調波鉄損を抑制しながらファン用モーター11を駆動できる。
また、第1のインバータ5を構成するスイッチング素子と逆流防止素子に、ワイドバンドギャップ半導体を用いることで、これらの素子の小型化、さらには、これらの素子を組み込んだ半導体モジュールの小型化もできる。
また、第2のインバータ8を構成するスイッチング素子と逆流防止素子に、珪素(Si)を材料とする半導体を用いることで、出力が大きく損失の大きい圧縮機側は変換効率を優先し、損失の小さいファン側はコストメリットを優先でき、コスト対効率・性能を適正化することができる。
また、昇圧回路3をマルチレベルチョッパ回路とすることで、圧縮機用モーター10の運転状態に応じて複数の昇圧モードから選択できる。このため、昇圧回路3を構成するリアクトル31、第1及び第2のスイッチング素子34、35などの小型化と低コスト化が実現でき、昇圧比を大きく取ることが可能になる。さらには圧縮機用モーター10の高速域への運転範囲(出力範囲)も拡大することができる。
また、昇圧回路3の出力電圧である第2の母線電圧Vdc2として、第1の母線電圧Vdc1の2倍に昇圧した電圧を出力するように制御している。これにより、リアクトル31に流れる電流が一定となり、その電流の高調波成分を最小化でき、リアクトル31で発生する損失を低減できる。また、交流電源が商用電源1の場合においては、電源系統に対する高調波成分の流出を抑制できる。
さらに、商用電源1の実効値の大きさに関わらず、昇圧回路3、3aの昇圧動作により第1の母線電圧Vdc1を共通化することで、商用電源1に関係なく同一の定格出力に対する圧縮機用モーター10の設計を共通化できる。
実施の形態2.
本実施の形態2は、第1の母線電圧Vdc1を検出する電圧検出器を設け、この電圧検出器により検出された第1の母線電圧Vdc1に基づいて昇圧回路3における昇圧比を制御するようにしたものである。
図7は本発明の実施の形態2に係る電力変換装置の概略構成を示すブロック図である。なお、実施の形態1と同様の部分には同じ符号を付し、実施の形態1と異なる制御部及び電圧検出器について主に説明する。また、本実施の形態2における昇圧回路3は、前述したマルチレベルチョッパ回路あるいは昇圧チョッパ回路の何れでも良い。
商用電源1の交流電圧の実効値、振幅及び周波数の変動、相間アンバランスが無く、理想的に安定している場合には、整流回路2で整流された第1の母線電圧Vdc1も安定している。このような場合、商用電源1の交流電圧の実効値から第1の母線電圧Vdc1を精度よく推定できることから、第1の母線電圧Vdc1に基づいて昇圧回路3及び第2のインバータ8を制御すれば、所望の第2の母線電圧Vdc2とファン用モーター11のモーター出力が得られる。
ただし、何らかの要因で商用電源1に電圧降下をはじめとする電圧変動、相間アンバランスが発生した場合には、第1のインバータ5の入力として必要な第2の母線電圧Vdc2の目標値とその目標値を得るための昇圧モードを選択する際、昇圧比の基準となる第1の母線電圧Vdc1の値が乱れて誤差が生じる。その結果、昇圧後の第2の母線電圧Vdc2の目標値と実際の出力との値に誤差が生じる可能性がある。
制御部9aにおいては、第2の母線電圧Vdc2の目標値と実際の出力との誤差を検出するために、第2の母線電圧Vdc2を検出し、その検出値に基づいて第2の母線電圧Vdc2の目標値と実際の検出値とが一致するようにフィードバック制御を施すような構成にしても良いが、第2の母線電圧Vdc2のとり得る電圧範囲が広く、電圧検出器で電圧を検出するためには、広い測定レンジにわたり高い分解能を有する電圧検出器が必要となる。
そこで、本実施の形態2においては、商用電源1に電圧変動、相間アンバランスが発生しても、昇圧比の基準となる第1の母線電圧Vdc1の値を正確に検出できるように、第1の母線電圧Vdc1を検出する電圧検出器12を備える構成としている。この電圧検出器12は、図7に示すように、平滑コンデンサ7の両極間に発生する第1の母線電圧Vdc1を検出し、制御部9aに入力するように構成されている。このように構成することで、商用電源1に電圧変動が生じてもより安定した検出値が得られ、種々の制御演算に用いることができる。また、昇圧された第2の母線電圧Vdc2と比較して、第1の母線電圧Vdc1の値が小さいため、その電圧を検出する電圧検出器12においては、狭い測定レンジの電圧センサーを使用することができる。
また、制御部9aにおいては、前述したように圧縮機用モーター10の出力が得られるように、フィードフォワード制御の演算実行あるいはベクトル制御の演算実行により適切な周波数の三相交流の電圧指令を求める。そして、制御部9aは、求めた電圧指令が第1のインバータ5の出力可能な電圧か否かを判断する基準となる変調度を演算し、その変調度に応じて第2の母線電圧Vdc2の目標値を得るための昇圧モードを選択する。制御部9aは、第2の母線電圧Vdc2の目標値が定まると、電圧検出器12により検出された第1の母線電圧Vdc1に基づいて、昇圧回路3の昇圧比を制御する。この制御により、商用電源1に電圧変動が生じていても第2の母線電圧Vdc2を安定化できる上、目標値通りに制御できる。
また、本実施の形態1において、第2の母線電圧Vdc2として、第1の母線電圧Vdc1の2倍に昇圧した電圧を出力するMode2(倍昇圧)では、リアクトル31に流れる電流が一定となり、その電流の高調波成分の最小化が可能になることを述べた。
そこで、実施の形態2では、前述のMode2において、電圧検出器12により検出された第1の母線電圧Vdc1に基づいて第2の母線電圧Vdc2を2倍に昇圧する、即ち昇圧比を2にする。これにより、商用電源1に電圧変動が生じた場合においても、リアクトル31に流れる高調波成分を最小化でき、リアクトル31に発生する損失の低減できる。交流電源が商用電源1の場合には、電源系統に対する高調波成分の流出が抑制される。
さらに、商用電源1に電圧変動が生じている状態において、昇圧回路3により昇圧動作を行うことで平滑コンデンサ4の両極間に生じる第2の母線電圧Vdc2の電圧脈動を抑制するように作用する。このことから、通常昇圧を行わない状態で圧縮機用モーター10を駆動する条件下で、電圧検出器12により商用電源1の電圧変動を第1の母線電圧Vdc1の変動として間接的に検出した際に、昇圧動作を行う昇圧モードを選択するようにしても良い。
以上のように本実施の形態2によれば、第1の母線電圧Vdc1を検出する電圧検出器12を備え、その検出電圧に基づいて昇圧回路3における昇圧比を制御することで、第2の母線電圧Vdc2を安定化できる上、目標値通りに制御できる。
また、電圧検出器12で検出した第1の母線電圧Vdc1に基づいて、第2の母線電圧Vdc2を2倍に昇圧する、即ち昇圧比を2にする。これにより、商用電源1の電圧に変動が生じた場合においても、精度良くリアクトル31、即ち母線電流に流れる高調波成分を最小化でき、商用電源1の電源系統に対する高調波成分の流出を抑制できる。
さらに、電圧検出器12により商用電源1の電圧変動を第1の母線電圧Vdc1の変動として間接的に検出した際に、昇圧動作を行う昇圧モードを選択することで、第2の母線電圧Vdc2の電圧脈動を抑制できる。
実施の形態3.
本実施の形態3は、実施の形態1、2の何れかの電力変換装置を空気調和装置に適用したものであり、以下、図8を用いて説明する。
図8は本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の概略構成を示すブロック図である。なお、実施の形態1、2と同様の部分には同じ符号を付している。
図8に示す空気調和装置は、実施の形態1に係る電力変換装置101、圧縮機用モーター10と圧縮要素42とが連結されて構成される圧縮機41、四方弁43、室外熱交換器44、及びファン11aを有するファン用モーター11を備えた室外機40と、室内熱交換器51及び膨張装置52を備えた室内機50とで構成されている。なお、電力変換装置101に代えて、実施の形態2に係る電力変換装置101aを空気調和装置に適用しても良い。
この空気調和装置は、圧縮機41、四方弁43、室外熱交換器44、膨張装置52、室内熱交換器51、四方弁43、そして、圧縮機41の順に冷媒配管によって接続され、冷凍サイクルが構成されている。圧縮機41は、前述のように圧縮機用モーター10が圧縮要素42に連結されており、この圧縮機用モーター10及び圧縮要素42によって、冷媒が圧縮される。
なお、前述の冷凍サイクルの構成は一例であり、この冷凍サイクルとは異なる冷凍サイクルであっても、実施の形態1、2に係る電力変換装置101、101aの何れかを適用できることはいうまでもない。また、膨張装置52を室外機40に備える構成でも良い。
次に、図8に示す空気調和装置の動作について、冷房運転を例に説明する。
冷房運転を行う際、予め、四方弁43により圧縮機41から吐出された冷媒が室外熱交換器44へ向かうように、かつ、室内熱交換器51から流出した冷媒が圧縮機41へ向かうように流路が切り替えられる。なお、暖房運転の際には、四方弁43により圧縮機41から吐出された冷媒が室内熱交換器51へ向かうように、かつ、室外熱交換器44から流出した冷媒が圧縮機41へ向かうように流路が切り替えられる。
そして、電力変換装置101によって圧縮機用モーター10が回転駆動されると、圧縮機用モーター10に連結された圧縮要素42が冷媒を圧縮し、圧縮機41から高温高圧の冷媒が吐出される。圧縮機41から吐出した高温高圧の冷媒は、四方弁43を経由して、室外熱交換器44へ流入する。室外熱交換器44に流入した高温高圧の冷媒は、ファン用モーター11のファン11aによって送風される外部の空気と熱交換される。
室外熱交換器44から流出した冷媒は、膨張装置52によって膨張及び減圧されて、低温低圧の気液二相冷媒となり、室内熱交換器51へ流入する。室内熱交換器51に流入した気液二相冷媒は、空調対象の空間の空気と熱交換されて蒸発し、低温低圧のガス冷媒となって、室内熱交換器51から流出する。室内熱交換器51から流出したガス冷媒は、四方弁43を経由して、圧縮機41に吸入され、再び圧縮される。以上の動作が繰り返し行われる。
なお、本実施の形態3に係る空気調和装置に、実施の形態1、2の何れかの電力変換装置101、101aを適用した例を示したが、これに限定されるものではない。つまり、実施の形態1、2の何れかの電力変換装置101、101aを、例えば、ヒートポンプ装置、冷凍装置その他の冷凍サイクル装置一般に適用しても良い。
以上のように本実施の形態3によれば、高い変換効率で圧縮機用モーター10を駆動するとともに、モーター軸電流による電食を抑制しながらファン用モーター11を駆動することができる実施の形態1、2の何れかの電力変換装置101、101aを空気調和装置に適用している。このため、空気調和装置の信頼性が向上するとともに、定格冷房/暖房運転時のエネルギー消費効率(COP)、1年を通した通年エネルギー消費効率(APF)が向上する。
実施の形態4.
本実施の形態4は、冷凍サイクルの冷媒が内部に流通する冷媒冷却器により、室外機に設けられた電力変換装置101又は101aの第1のインバータ5を冷却するようにしたものであり、以下、図9を用いて説明する。
図9は本発明の実施の形態4に係る空気調和装置の概略構成を示すブロック図である。なお、実施の形態1、2、3と同様の部分には同じ符号を付している。
図9に示す空気調和装置は、実施の形態1に係る電力変換装置101、圧縮機用モーター10と圧縮要素42とが連結されて構成される圧縮機41、四方弁43、室外熱交換器44、膨張装置45、冷媒冷却器46、及びファン11aを有するファン用モーター11を備えた室外機40aと、室内熱交換器51及び膨張装置52を備えた室内機50とで構成されている。なお、電力変換装置101に代えて、実施の形態2に係る電力変換装置101aを空気調和装置に適用しても良い。
本実施の形態4に係る空気調和装置は、圧縮機41、四方弁43、室外熱交換器44、膨張装置45、冷媒冷却器46、膨張装置52、室内熱交換器51、四方弁43、そして、圧縮機41の順に冷媒配管によって接続され、冷凍サイクルが構成されている。冷媒冷却器46は、図中では、電力変換装置101に隣接して記載しているが、電力変換装置101に内包する第1のインバータ5を冷却する構成となっている。なお、冷媒冷却器46により、第1のインバータ5に加えて、電力変換装置101に内包する第1のインバータ5以外の構成要素を冷却するようにしても良い。
なお、前述の冷凍サイクルの構成は一例であり、その冷凍サイクルの冷媒が内部に流通する冷媒冷却器46を備えることが本発明の実施の形態4の目的であるため、必ずしも同じ冷凍サイクルの構成でなくても良い。
次に、図9に示す空気調和装置の動作について、冷房運転を例に説明する。
冷房運転を行う際、実施の形態3と同様に、予め、四方弁43により圧縮機41から吐出された冷媒が室外熱交換器44へ向かうように、かつ、室内熱交換器51から流出した冷媒が圧縮機41へ向かうように流路が切り替えられる。なお、暖房運転の際には、四方弁43により圧縮機41から吐出された冷媒が室内熱交換器51へ向かうように、かつ、室外熱交換器44から流出した冷媒が圧縮機41へ向かうように流路が切り替えられる。
そして、電力変換装置101によって圧縮機用モーター10が回転駆動されると、圧縮機用モーター10に連結された圧縮要素42が冷媒を圧縮し、圧縮機41から高温高圧の冷媒が吐出される。圧縮機41から吐出した高温高圧の冷媒は、四方弁43を経由して、室外熱交換器44へ流入する。室外熱交換器44に流入した高温高圧の冷媒は、ファン用モーター11のファン11aによって送風される外部の空気と熱交換される。室外熱交換器44から流出した冷媒は、膨張装置45において膨張及び減圧され、低温低圧の気液二相冷媒となり、冷媒冷却器46に流入する。
電力変換装置101においては、出力が大きい圧縮機用モーター10を駆動するため、第1のインバータ5の発熱が大きく、高い冷却能力を要する。第1のインバータ5を構成する複数のスイッチング素子、逆流防止素子が高温状態を継続すると、スイッチング素子の性能劣化、さらには各素子の定格温度を超えると素子そのものが故障する可能性がある。また、第1のインバータ5の冷却能力が低い場合には、スイッチング素子の温度上昇を抑制するために、圧縮機用モーター10に流れる電流を制限するなど、圧縮機用モーター10の出力範囲を制限する必要がある。
そこで、冷媒冷却器46を用いて第1のインバータ5を冷却することで、第1のインバータ5の冷却能力を高めることができ、スイッチング素子が有する電流耐圧まで最大限に電流を流すことができ、圧縮機用モーター10の出力範囲の拡大が可能となる。この冷却作用により、冷媒冷却器46においては、気液二相冷媒のうちの液冷媒の一部が第1のインバータ5からの放熱を吸熱して蒸発する。
冷媒冷却器46から流出した気液二相冷媒は、室内機50側の膨張装置52により膨張及び減圧されて室内熱交換器51へ流入し、空調対象の空間の空気と熱交換されて蒸発し、低温低圧のガス冷媒となって、室内熱交換器51から流出する。室内熱交換器51から流出したガス冷媒は、四方弁43を経由して、圧縮機41に吸入され、再び圧縮される。以上の動作が繰り返し行われる。
なお、本実施の形態4では、膨張装置45を室外機40a側、膨張装置52を室内機50側に備えるようにしたが、これは、冷房能力を圧縮機用モーター10の回転数で、また、第1のインバータ5の冷却温度を2つの膨張装置45、52でそれぞれ独立に制御できるようにしたためである。このような構成は、大きな冷房能力が要求される場合でも、第1のインバータ5の冷却温度が必要以上に低くなることはなく、結露の発生を抑制できる。また、第1のインバータ5の発熱量が大きい場合でも、第1のインバータ5の冷却温度が上昇しないように制御できる。
図9の構成はあくまでも、第1のインバータ5の冷却不足が発生しないようにした一例であり、結露が問題とならないケースにおいては必ずしも膨張装置45、52を2つ備える構成としなくても良い。また、前述した実施の形態3のように、膨張装置52を室内機50側あるいは室外機40側のいずれか一方に備える構成としても良い。
以上のように実施の形態4によれば、冷媒冷却器46を用いて第1のインバータ5を冷却することで、第1のインバータ5の冷却能力が向上し、圧縮機用モーター10の出力範囲を拡大することができる。
1 商用電源、2 整流回路、3、3a 昇圧回路、4 平滑コンデンサ、5 第1のインバータ、6 直流リアクトル、7 平滑コンデンサ、8 第2のインバータ、9、9a 制御部、10 圧縮機用モーター、11 ファン用モーター、11a ファン、12 電圧検出器、31 リアクトル、32 第1の逆流防止素子、33 第2の逆流防止素子、34 第1のスイッチング素子、34a 逆流防止素子、35 第2のスイッチング素子、35a 逆流防止素子、36 コンデンサ、37 逆流防止素子、38 スイッチング素子、38a 逆流防止素子、40、40a 室外機、41 圧縮機、42 圧縮要素、43 四方弁、44 室外熱交換器、45 膨張装置、46 冷媒冷却器、50 室内機、51 室内熱交換器、52 膨張装置、91 記憶装置、91a 揮発性記憶装置、91b 補助記憶装置、92 プロセッサ、101、101a 電力変換装置、SW1、SW2、SW3 スイッチ。

Claims (9)

  1. 交流電源からの交流電圧を整流する整流回路と、
    前記整流回路により整流された直流電圧を異なる複数の昇圧モードにより昇圧する昇圧回路と、
    前記昇圧回路により昇圧された直流電圧を交流電圧へ変換し、当該交流電圧を圧縮機用モーターに出力して駆動する第1の電力変換手段と、
    前記整流回路により整流された直流電圧を交流電圧へ変換し、当該交流電圧をファン用モーターに出力して駆動する第2の電力変換手段と
    第1の電力変換手段の出力可能な電圧か否かを判断する基準となる変調度に応じて、前記昇圧回路の昇圧モードを選択する制御部と、
    を備え
    前記制御部は、
    前記圧縮機用モーターの電圧が飽和電圧以下となるように、前記変調度に応じて前記昇圧モードを選択して昇圧レベルを変更しながら、前記昇圧回路が出力可能な最大の昇圧レベルまで動作させるようにした
    電力変換装置。
  2. 前記整流回路により整流された直流電圧を平滑化する直流リアクトル及び平滑コンデンサの少なくとも何れか一方を備え、
    前記第2の電力変換手段は、平滑化された直流電圧が入力される請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記昇圧回路は、当該昇圧回路の出力間に直列に接続された第1の逆流防止素子、第2の逆流防止素子、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子と、前記第2の逆流防止素子と前記第1のスイッチング素子との接続点に接続された前記整流回路の正極側の直流母線に挿入されたリアクトルと、前記第2の逆流防止素子及び前記第1のスイッチング素子に並列に接続されたコンデンサとを備えた請求項1又は2に記載の電力変換装置。
  4. 前記整流回路により整流された直流電圧を検出する電圧検出器を備え、
    前記制御部は、
    前記電圧検出器で検出された直流電圧に基づいて、前記昇圧回路により昇圧される直流電圧の昇圧比を制御する請求項1〜3の何れか1項に記載の電力変換装置。
  5. 前記昇圧比には、前記電圧検出器で検出された直流電圧を2倍にする昇圧比が含まれている請求項4に記載の電力変換装置。
  6. 前記第1の電力変換手段は、前記直流電圧を交流電圧へ変換する複数のスイッチング素子及び前記複数のスイッチング素子にそれぞれ逆並列に接続された複数の逆流防止素子を備え、
    前記スイッチング素子及び前記逆流防止素子の少なくとも何れか一方がワイドバンドギャップ半導体で構成された請求項1〜5の何れか1項に記載の電力変換装置。
  7. 前記第2の電力変換手段は、前記直流電圧を交流電圧へ変換する複数のスイッチング素子及び前記複数のスイッチング素子にそれぞれ逆並列に接続された複数の逆流防止素子を備え、
    前記スイッチング素子及び前記逆流防止素子が珪素半導体で構成された請求項1〜6の何れか1項に記載の電力変換装置。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の電力変換装置と、
    前記圧縮機用モーターを駆動源として有し、当該圧縮機用モーターの駆動に応じて冷凍サイクルの冷媒を圧縮する圧縮機と
    を備えた空気調和装置。
  9. 請求項8に記載の空気調和装置において、
    前記冷凍サイクルの冷媒が内部に流通し、当該冷媒により前記第1の電力変換手段を冷却する冷媒冷却器を備えた空気調和装置。
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