JP6468938B2 - 樋の配置構造および集合住宅の施工方法 - Google Patents
樋の配置構造および集合住宅の施工方法Info
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Description
特許文献1においては、外廊下側に位置する軒樋が、軒先の長さ方向に沿って設けられ、建物の一方の妻側面に設けられた一本の竪樋によって雨水を下方へと排出している。すなわち、屋根を流れる雨水を、一本の軒樋と一本の竪樋とによって、まとめて排出する状態となっている。
また、外廊下にも排水溝が形成されて、この排水溝に接続された樋(排水路)と前記一本の竪樋とを、特許文献2に記載のような継手を利用して接続・合流させる場合もある。
しかしながら、左右に並設される住戸の数が多く、特許文献1に記載のような技術を利用し、一本の軒樋と一本の竪樋で屋根からの排水を担うとなると、水勾配の距離が長くなったり、途中で詰まりが発生すると全体の排水がうまくいかなくなったりする等の不具合が生じる場合があった。
そこで、このように左右に並設される住戸の数が多い場合には、軒樋の長さを短くして複数に分け、これに応じて竪樋の数も増やすなどして対応することが考えられる。
ところが、このように竪樋の数が増えてしまうと、当該竪樋と外廊下側の樋とを、特許文献2に記載のような継手を利用して合流させる場合に、この外廊下側の樋を、外廊下を構成する梁等の構造材を貫通させなければならない場合があり、強度確保の観点からは好ましいとは言えなかった。
前記集合住宅10(20)は、上下に隣接するとともに各階において左右に並設される複数の住戸11,12,13(21,22,23)と、
各階における前記複数の住戸11,12,13(21,22,23)の出入口が面する外廊下14(24)と、
前記外廊下14(24)を含む範囲を覆う屋根16(26)と、を備えており、
各階における前記外廊下14(24)には、最上階の前記外廊下14(24)から地面までの排水を可能とする第一竪樋1が前記複数の住戸11,12,13(21,22,23)の並設方向に複数設けられ、
前記屋根16(26)には、当該屋根16(26)から地面まで水を落とせる第二竪樋2が前記複数の住戸11,12,13(21,22,23)の並設方向に複数設けられ、
前記第一竪樋1と前記第二竪樋2は、互いに独立して排水を行うように設定されるとともに、前記複数の住戸11,12,13(21,22,23)の並設方向において互いに近接した位置に配置されていることを特徴とする。
屋根16(26)には、当該屋根16(26)から地面まで水を落とせる第二竪樋2が複数の住戸11,12,13(21,22,23)の並設方向に複数設けられているので、複数階建ての集合住宅10(20)において左右に並設される住戸11,12,13(21,22,23)の数が多い場合であっても、第二竪樋2によって、屋根16(26)から地面まで確実に排水できる。
すなわち、第一竪樋1および第二竪樋2の双方とも、上方から下方に向かってシンプルに水を落とすだけとなるので、排水に係る不具合が生じにくくなる。
また、第一竪樋1と第二竪樋2は、複数の住戸11,12,13(21,22,23)の並設方向において互いに近接した位置に配置されているので、複数階建ての集合住宅10(20)において左右に並設される住戸11,12,13(21,22,23)の数が多い場合であっても、まとまりがある印象を付与でき、見映えが良い。
さらに、第一竪樋1と第二竪樋2は、互いに独立して排水を行うように設定されているので、例えば第一竪樋1と第二竪樋2とを合流させるために、外廊下14(24)を構成する梁等の構造材Hを貫通させる必要がなくなる。したがって、外廊下14(24)における構造上の強度を確保できる。
このような樋1,2の配置構造を採用すれば、敷地の大きさに応じて、左右に並設される住戸11,12,13(21,22,23)の戸数が多くなる場合であっても、無理のない排水計画を立てて、好適に対応することができる。
前記屋根16(26)には、前記外廊下14(24)側に傾斜する第一水勾配16a(26a)と、この第一水勾配16a(26a)とは反対方向に傾斜する第二水勾配16b(26b)と、が形成されており、
前記第一水勾配16a(26a)の勾配方向下端に形成される排水口16e(26e)と前記複数の第二竪樋2とが接続され、
前記屋根16(26)には、前記第二水勾配16b(26b)から地面まで水を落とせる第三竪樋3(3A)が、左右に並設された前記複数の住戸11,12,13(21,22,23)に対応して複数設けられ、これら複数の第三竪樋3(3A)と前記第二水勾配16b(26b)の勾配方向下端に形成される排水口16e(26e)とが接続されていることを特徴とする。
また、第一水勾配16a(26a)の勾配方向下端に形成される排水口16e(26e)と複数の第二竪樋2とが接続されているので、複数の第二竪樋2によって、第一水勾配16a(26a)を流れる雨水を確実に排水できる。
また、屋根16(26)には、第二水勾配16b(26b)から地面まで水を落とせる第三竪樋3(3A)が、左右に並設された複数の住戸11,12,13(21,22,23)に対応して複数設けられ、これら複数の第三竪樋3(3A)と第二水勾配16b(26B)の勾配方向下端に形成される排水口16e(26e)とが接続されているので、複数の第三竪樋3(3A)によって、第二水勾配16b(26b)を流れる雨水を確実に排水できる。しかも、第三竪樋3(3A)は、左右に並設された複数の住戸11,12,13(21,22,23)に対応して設けられているので、敷地の大きさに応じて、左右に並設される住戸11,12,13(21,22,23)の戸数が多くなる場合であっても、好適に対応することができる。
前記複数の住戸11,12,13のうち二階以上の住戸11,12,13には、前記外廊下14とは反対側にバルコニー11e,12e,13eが設けられており、
前記バルコニー11e,12e,13eには、最上階の前記バルコニー11e,12e,13eから地面までの排水を可能とする第四竪樋4が、左右に並設された前記複数の住戸11,12,13に対して複数設けられていることを特徴とする。
また、第四竪樋4は、第三竪樋3とは独立して排水を行うことができるので、例えば第三竪樋3と第四竪樋4とを合流させるために、バルコニー11e,12e,13eを構成する梁等の構造材を貫通させる必要がなくなる。したがって、バルコニー11e,12e,13eにおける構造上の強度を確保できる。
前記複数の住戸21,22,23のうち二階以上の住戸21,22,23には、前記外廊下24とは反対側にバルコニー21e,22e,23eが設けられており、
前記第三竪樋3Aは、前記バルコニー21e,22e,23eを介して、かつ当該バルコニー21e,22e,23eの排水を可能としながら前記第二水勾配26bから地面までの間に設けられていることを特徴とする。
また、屋根26の排水とバルコニー排水とを同一の第三竪樋3Aで行うに当たって、特にバルコニー21e,22e,23eを構成する梁等の構造材を貫通させる必要がないので、バルコニー21e,22e,23eにおける構造上の強度を確保できる。
左右に並設される前記複数の住戸11,12,13に対応する前記外廊下14の長さ、または左右に並設される前記複数の住戸11,12,13の戸数に応じて、前記第一竪樋1から前記第四竪樋4をそれぞれ配置することを特徴とする。
左右に並設される前記複数の住戸21,22,23に対応する前記外廊下24の長さ、または左右に並設される前記複数の住戸21,22,23の戸数に応じて、前記第一竪樋1から前記第三竪樋3Aをそれぞれ配置することを特徴とする。
本実施の形態は、図1〜図11に示すように、複数階建てに建築された集合住宅10,20における樋1,2,3,4の配置構造である。
まず、図1に示す集合住宅10について説明する。
集合住宅10は、鉄骨造の三階建てであり、複数の住戸11,12,13と、外廊下14と、外階段15と、屋根16と、を備える。
また、この集合住宅10は、地中に埋設されて上端部が舗装面よりも上方に突出した基礎K上に建築されている。
そして、これら複数の住戸11,12,13のそれぞれは、上下に隣接している。換言すれば、集合住宅10における左側の列は、上下三層に重なる複数の住戸11からなり、中央の列は上下三層に重なる複数の住戸12からなり、右側の列は上下三層に重なる複数の住戸13からなる。
つまり、本実施の形態における集合住宅10は、全9戸の住戸11,12,13を備えることになる。
左側の列の住戸11を例に挙げると、北側中央に設けられて外廊下14に向かって開口する出入口を有する玄関11aがあり、玄関の東側に浴室・洗面脱衣所・トイレからなる水廻り室11bがある。
さらに、玄関11aの西側には南北に長い居室11cがあり、この居室11cの東側であって、水廻り室11bの南側には寝室11dがある。なお、居室11cは、リビングルームとダイニングルームとキッチンルームの機能を一室に併存させた部屋である。
そして、居室11cの南側(すなわち、外廊下14とは反対側)には、居室11cに入り込んだインナー部分を有するバルコニー11eが設けられている。
なお、バルコニー11eは、二階以上の住戸11に設けられるものであり、一階の住戸11には設けられない。一階の住戸11の場合は、バルコニー11eが無い代わりに、二階住戸11のバルコニー11eの下方を庭として利用できる。
また、住戸13も同様に、玄関13aと、水廻り室13bと、居室13cと、寝室13dと、バルコニー13eと、を有する。
すなわち、集合住宅10における住戸11,12,13は、リビングルーム(L)とダイニングルーム(D)とキッチンルーム(K)のあるLDKプランの住戸とされている。
この外廊下14は、左右に並設される複数の住戸11,12,13に対応する長さに設定されている。すなわち、各住戸11,12,13の間口の広さを足し合わせた長さと、外廊下14の長さとが略等しい。
外廊下14は、床を構成するALCパネルからなる床パネル14aと、床パネル14aの上面に敷設される床仕上げ材14bと、下階の外廊下14における天井を構成する天井材14cと、構造材Hと、を備える。
また、外階段15は、踊り場が外廊下14と一体的に形成された折り返し階段とされている。
陸屋根である屋根16には、外廊下14側に傾斜する第一水勾配16aと、この第一水勾配16aとは反対方向に傾斜する第二水勾配16bと、が形成されている。また、第一水勾配16aと第二水勾配16bとの境界部分は棟16cとされている。また、この陸屋根である屋根16の周縁部には、パラペットが設けられている。
なお、排水口16eは、屋根16の周縁部に設けられたパラペットを貫通する管材によって構成されている。
次に、以上のような集合住宅10に採用される樋の配置構造について説明する。
集合住宅10に採用される樋の配置構造においては、第一竪樋1と、第二竪樋2と、第三竪樋3と、第四竪樋4が使用されている。
各階における外廊下14には、図1,図8に示すように、最上階の外廊下14から地面までの排水を可能とする第一竪樋1が複数の住戸11,12,13の並設方向に複数設けられている。
第一竪樋1は、複数の管材1aと、排水ドレン1bと、中継ドレン1cと、複数の誘導管1dと、を含んで構成されている。
なお、第一竪樋1は、当該第一竪樋1に近接する外廊下14の壁14dに設けられた樋受け金物によって当該壁14dに保持される。
図8,図10に示すように、中継ドレン1cは、最上階以外の外廊下14を構成する床パネル14aおよび床仕上げ材14bを貫通するようにして設けられている。当該中継ドレン1cは、上方から設けられる管材1aが接続されて雨水を受けるとともに、最上階以外の外廊下14自体の雨水を受けることができるものである。受けた雨水は下方へと送られる。
この短尺な管材1aには、壁14d側に当該第一竪樋1を誘導する誘導管1dが接続されている。
この誘導管1dの下端部には長尺な管材1aが接続され、さらに、この長尺な管材1aの下端部には、壁14dから離間する方向に第一竪樋1を誘導する誘導管1dが接続されている。
また、この誘導管1dの下端部には短尺な管材1aが接続されて、この短尺な管材1aの下端部は、二階の外廊下14に設けられた中継ドレン1cに接続されている。
中継ドレン1cの下端部には、一階の天井材14cを貫通するようにして短尺な管材1aが接続されている。
以上の説明が、三階の外廊下14から二階の外廊下14を貫通するまでの第一竪樋1の配置である。
一階の外廊下14を貫通した後の第一竪樋1の配置は、図11に示すように、一階の外廊下14を構成する床パネル14aおよび床仕上げ材14bを貫通した短尺な管材1aの下端部に、第一竪樋1を基礎K側に誘導する誘導管1dが接続されている。
この誘導管1dの端部には、基礎Kを貫通する管材1aが接続されている。そして、この基礎Kを貫通する管材1aの端部には、第一竪樋1を地面側に誘導する誘導管1dが接続されている。
この最後の誘導管1dの先には、図示しない排水路が設けられているものとする。
なお、第一竪樋1は、下端部が基礎Kを貫通して設けられ、かつ第二竪樋2と同一の排水路(後述する)へと繋がるため、図1(a)に示すように、第二竪樋2の位置から横(壁14dの幅方向・外廊下14の長さ方向)にずれて配置されている。
屋根16には、図1,図8に示すように、当該屋根16から地面まで水を落とせる第二竪樋2が複数の住戸11,12,13の並設方向に複数設けられている。
このような第二竪樋2は、複数の管材2aと、これら複数の管材2aをつなぐ複数の継手2bと、を備える。
第二竪樋2は、図8,図9に示すように、上端部が屋根16の高さに位置し、下端部が地面まで到達した状態となっている。途中部分は、第二竪樋2に近接する外廊下14の壁14dに設けられた樋受け金物によって当該壁14dに保持される。
また、第二竪樋2の下端部は、図9に示すように、上側に位置する長尺な管材1aと、地面に到達する短尺な管材1aとを継手2bによって繋いだ状態となっている。
第二竪樋2のうち、地面に到達する下端部の先には、図示しない排水路が設けられているものとする。なお、この排水路は、第一竪樋1が接続される排水路と共通のものである。
すなわち、第一竪樋1と第二竪樋2は、排水路に排出した水は合流する、または合流してもよいものであるが、それ以前の段階では完全に独立した状態となっている。
また、外廊下14の外側縁部に沿って設けられる壁14dは、外廊下14の長さ方向に点在するように設けられるものであるが、一つ一つの壁14dの内側面と外側面に、第一竪樋1と第二竪樋2のそれぞれが設けられた状態となっている。
屋根16には、図1に示すように、第二水勾配16bから地面まで水を落とせる第三竪樋3が、左右に並設された複数の住戸11,12,13に対応して複数設けられている。
このような第三竪樋3は、複数の管材3aと、これら複数の管材3aをつなぐ複数の継手(図示せず)と、を備える。
第三竪樋3は、上端部が屋根16の高さに位置し、下端部が地面まで到達した状態となっている。途中部分は、第三竪樋3に近接する外壁17に設けられた樋受け金物によって当該壁17に保持される。
第三竪樋3のうち、地面に到達する下端部の先には、図示しない排水路が設けられているものとする。
バルコニー11e,12e,13eには、図1,図4に示すように、最上階のバルコニー11e,12e,13eから地面までの排水を可能とする第四竪樋4が、左右に並設された複数の住戸11,12,13に対して複数設けられている。
バルコニー11e,12e,13eは、床を構成するALCパネルからなる床パネル18aと、床パネル18aの上面に敷設される床仕上げ材18bと、バルコニー11e,12e,13eにおける天井を構成する天井材18cと、構造材(図示せず)と、を備える。
第四竪樋4は、複数の管材4aと、排水ドレン4bと、中継ドレン4cと、複数の誘導管4dと、継手4eと、を含んで構成されている。
なお、第四竪樋4は、この第四竪樋4に近接するバルコニーの壁17に設けられた樋受け金物によって当該壁17に保持される。
図1,図4に示すように、中継ドレン4cは、最上階以外のバルコニー11e,12e,13eを構成する床パネル18aおよび床仕上げ材18bを貫通するようにして設けられている。当該中継ドレン4cは、上方から設けられる管材4aが接続されて雨水を受けるとともに、最上階以外のバルコニー11e,12e,13e自体の雨水を受けることができるものである。受けた雨水は下方へと送られる。
この短尺な管材4aには、壁17側に当該第四竪樋4を誘導する誘導管4dが接続されている。
この誘導管4dの下端部には長尺な管材4aが接続され、さらに、この長尺な管材4aの下端部には、壁17から離間する方向に第四竪樋4を誘導する誘導管4dが接続されている。
また、この誘導管4dの下端部には短尺な管材4aが接続されて、この短尺な管材4aの下端部は、二階のバルコニー11e,12e,13eに設けられた中継ドレン4cに接続されている。
中継ドレン4cの下端部には、一階の天井材18cを貫通するようにして短尺な管材4aが接続されている。
以上の説明が、三階のバルコニー11e,12e,13eから、二階のバルコニー11e,12e,13eの床を貫通するまでの第四竪樋4の配置である。
すなわち、第四竪樋4の下端部は、図7に示すように、上側に位置する長尺な管材4aと、地面に到達する短尺な管材4aとを継手4eによって繋いだ状態となっている。
第四竪樋4のうち、地面に到達する下端部の先には、図示しない排水路が設けられているものとする。なお、この排水路は、第三竪樋3が接続される排水路と合流するものである。
すなわち、第三竪樋3と第四竪樋4は、排水路に排出した水は合流する、または合流してもよいものであるが、それ以前の段階では完全に独立した状態となっている。
次に、以上のような樋1,2,3,4の配置構造を採用した集合住宅10の施工方法について説明する。
屋根16の施工を行う際には、屋根16に第一水勾配16aと第二水勾配16bを形成するとともに、排水溝16dおよび排水口16eを形成する。
なお、複数の住戸11,12,13内部の施工については説明を省略する。
すなわち、外廊下14側に配置される第一竪樋1と第二竪樋2については、左右に並設される複数の住戸11,12,13に対応する外廊下14の長さに応じて配置する。
また、バルコニー11e,12e,13e側に配置される第三竪樋3と第四竪樋4については、左右に並設される複数の住戸11,12,13の戸数に応じて配置する。
なお、第一竪樋1と第四竪樋4が設けられる位置の床パネル14a,18a、床仕上げ材14b,18b、天井材14c,18cには、排水ドレン1b,4bや中継ドレン1c,4c等を通すための貫通孔を予め形成しておくことが好ましい。
なお、集合住宅10における住戸11,12,13の戸数は、敷地の大きさによって異なるものであり、敷地の大きさが判明すれば、各竪樋1,2,3,4の配置箇所は集合住宅10の設計段階で概ね判明する。換言すれば、以上のような施工方法は、各樋1,2,3,4の設計方法にも転用できる。
設計の段階では、このような各樋1,2,3,4の性能についても勘案することが望ましい。そして、左右に並設される住戸11,12,13の戸数が多くなる場合に、性能の異なる樋1,2,3,4を適宜選択してもよい。
続いて、図2に示す集合住宅20について説明する。
集合住宅20は、鉄骨造の三階建てであり、複数の住戸21,22,23と、外廊下24と、外階段25と、屋根26と、を備える。
また、この集合住宅20は、地中に埋設されて上端部が舗装面よりも上方に突出した基礎K上に建築されている。
つまり、本実施の形態における集合住宅20も、上述の集合住宅10と同様に、全9戸の住戸21,22,23を備えることになる。
左側の列の住戸21を例に挙げると、北側右寄りに設けられて外廊下14に向かって開口する出入口を有する玄関21aがあり、玄関21aの南側には、界壁に沿って南北に長い廊下21bがある。
廊下21bの西側には、浴室・洗面脱衣所・トイレおよびキッチンスペースがまとめられた水廻り室21cがある。
廊下21bおよび水廻り室21cの南側には、寝室としても利用される居室21dがある。
そして、居室21dの南側(すなわち、外廊下24とは反対側)には、居室21dに入り込んだインナー部分を有するバルコニー21eが設けられている。
なお、バルコニー21eは、二階以上の住戸21に設けられるものであり、一階の住戸21には設けられない。一階の住戸21の場合は、バルコニー21eが無い代わりに、二階住戸21のバルコニー21eの下方を庭として利用できる。
また、住戸23も同様に、玄関23aと、廊下23bと、水廻り室23cと、居室23dと、バルコニー23eと、を有する。
すなわち、集合住宅20における住戸21,22,23は、一つの居室と、その居室から仕切られたキッチン(K)を備えた1Kタイプの住戸とされている。
なお、中央の列の住戸22は、このような左側の列の住戸21とは左右対称の間取りを有する。また、右側の列の住戸23は、このような左側の列の住戸21と同一の間取りを有する。
この外廊下24は、左右に並設される複数の住戸21,22,23に対応する長さに設定されている。すなわち、各住戸21,22,23の間口の広さを足し合わせた長さと、外廊下24の長さとが略等しい。
外廊下24は、床を構成するALCパネルからなる床パネル24aと、床パネル24aの上面に敷設される床仕上げ材24bと、下階の外廊下24における天井を構成する天井材24cと、第一竪樋1および第二竪樋2を保持する樋受け金物が設けられる壁24dと、を備える。
また、外階段25は、踊り場が外廊下24と一体的に形成された折り返し階段とされている。
陸屋根である屋根26には、外廊下24側に傾斜する第一水勾配26aと、この第一水勾配26aとは反対方向に傾斜する第二水勾配26bと、が形成されている。また、第一水勾配26aと第二水勾配26bとの境界部分は棟26cとされている。また、この陸屋根である屋根26の周縁部には、パラペットが設けられている。
なお、外廊下24側の排水口26eは、屋根26の周縁部に設けられたパラペットを貫通する管材によって構成されている。また、バルコニー21e,22e,23e側の排水口26eは、排水溝に形成された孔(屋根26に形成された孔)であり、当該孔には、後述する排水ドレン3bが水密に設けられている。
次に、以上のような集合住宅20に採用される樋の配置構造について説明する。
集合住宅20に採用される樋の配置構造においては、第一竪樋1と、第二竪樋2と、第三竪樋3が使用されている。
各階における外廊下24には、図2,図8等に示すように、最上階の外廊下24から地面までの排水を可能とする第一竪樋1が複数の住戸21,22,23の並設方向に複数設けられている。
屋根26には、図2,図8に示すように、当該屋根26から地面まで水を落とせる第二竪樋2が複数の住戸21,22,23の並設方向に複数設けられている。また、第二竪樋2を構成する管材2aのうち最上部に位置する管材2aは、第一水勾配26aの勾配方向下端に形成された複数の排水口26eと接続されている。
すなわち、集合住宅20における第一竪樋1と第二竪樋2の配置構造は、集合住宅10における第一竪樋1と第二竪樋2の配置構造と同様なので説明を省略する。
屋根26には、図2,図5に示すように、第二水勾配26bから地面まで水を落とせる第三竪樋3Aが、左右に並設された複数の住戸21,22,23に対応して複数設けられている。さらに、この第三竪樋3Aは、バルコニー21e,22e,23eを介して、かつ当該バルコニー21e,22e,23eの排水を可能としながら第二水勾配26bから地面までの間に設けられている。
このような第三竪樋3Aは、複数の管材3aと、排水ドレン3bと、中継ドレン3cと、複数の誘導管3dと、継手3eと、を含んで構成されている。
なお、第三竪樋3は、この第三竪樋3に近接するバルコニーの壁27に設けられた樋受け金物によって当該壁27に保持される。
この最上部に位置する管材3aは、最上階のバルコニー21e,22e,23eの天井材28cを貫通している。そして、この管材3aの下端部には、壁27側に当該第三竪樋3を誘導する誘導管3dが接続されている。
この誘導管3dの下端部には長尺な管材3aが接続され、さらに、この長尺な管材3aの下端部には、壁27から離間する方向に第三竪樋3を誘導する誘導管3dが接続されている。
また、この誘導管3dの下端部には短尺な管材3aが接続されて、この短尺な管材3aの下端部は、三階のバルコニー21e,22e,23eに設けられた中継ドレン3cに接続されている。
中継ドレン3cの下端部には、二階の天井材28cを貫通するようにして短尺な管材3aが接続されている。
以上の説明が、屋根26から、三階のバルコニー21e,22e,23eの床を貫通するまでの第三竪樋3の配置である。
二階のバルコニー21e,22e,23eの天井から、二階のバルコニー21e,22e,23eの床を貫通するまでの第三竪樋3の配置は、以上と略同様であるため、説明を省略する。
すなわち、第三竪樋3の下端部は、図7に示すように、上側に位置する長尺な管材3aと、地面に到達する短尺な管材3aとを継手3eによって繋いだ状態となっている。
第三竪樋3のうち、地面に到達する下端部の先には、図示しない排水路が設けられているものとする。
次に、以上のような樋1,2,3Aの配置構造を採用した集合住宅20の施工方法について説明する。
屋根26の施工を行う際には、屋根26に第一水勾配26aと第二水勾配26bを形成するとともに、排水溝26dおよび排水口26eを形成する。
なお、複数の住戸21,22,23内部の施工については説明を省略する。
すなわち、外廊下24側に配置される第一竪樋1と第二竪樋2については、左右に並設される複数の住戸21,22,23に対応する外廊下24の長さに応じて配置する。
また、バルコニー21e,22e,23e側に配置される第三竪樋3については、左右に並設される複数の住戸21,22,23の戸数に応じて配置する。
なお、第一竪樋1と第三竪樋3が設けられる位置の床パネル24a,28a、床仕上げ材24b,28b、天井材24c,28cには、排水ドレン1bや中継ドレン1c,3c等を通すための貫通孔を予め形成しておくことが好ましい。
なお、集合住宅20における住戸21,22,23の戸数は、敷地の大きさによって異なるものであり、敷地の大きさが判明すれば、各竪樋1,2,3Aの配置箇所は集合住宅20の設計段階で概ね判明する。換言すれば、以上のような施工方法は、各樋1,2,3Aの設計方法にも転用できる。
設計の段階では、このような各樋1,2,3Aの性能についても勘案することが望ましい。そして、左右に並設される住戸21,22,23の戸数が多くなる場合に、性能の異なる樋1,2,3Aを適宜選択してもよい。
屋根16(26)には、当該屋根16(26)から地面まで水を落とせる第二竪樋2が複数の住戸11,12,13(21,22,23)の並設方向に複数設けられているので、複数階建ての集合住宅10(20)において左右に並設される住戸11,12,13(21,22,23)の数が多い場合であっても、第二竪樋2によって、屋根16(26)から地面まで確実に排水できる。
すなわち、第一竪樋1および第二竪樋2の双方とも、上方から下方に向かってシンプルに水を落とすだけとなるので、排水に係る不具合が生じにくくなる。
また、第一竪樋1と第二竪樋2は、複数の住戸11,12,13(21,22,23)の並設方向において互いに近接した位置に配置されているので、複数階建ての集合住宅10(20)において左右に並設される住戸11,12,13(21,22,23)の数が多い場合であっても、まとまりがある印象を付与でき、見映えが良い。
さらに、第一竪樋1と第二竪樋2は、互いに独立して排水を行うように設定されているので、例えば第一竪樋1と第二竪樋2とを合流させるために、外廊下14(24)を構成する梁等の構造材Hを貫通させる必要がなくなる。したがって、外廊下14(24)における構造上の強度を確保できる。
このような樋1,2の配置構造を採用すれば、敷地の大きさに応じて、左右に並設される住戸11,12,13(21,22,23)の戸数が多くなる場合であっても、無理のない排水計画を立てて、好適に対応することができる。
また、第一水勾配16a(26a)の勾配方向下端に形成される排水口16e(26e)と複数の第二竪樋2とが接続されているので、複数の第二竪樋2によって、第一水勾配16a(26a)を流れる雨水を確実に排水できる。
また、屋根16(26)には、第二水勾配16b(26b)から地面まで水を落とせる第三竪樋3(3A)が、左右に並設された複数の住戸11,12,13(21,22,23)に対応して複数設けられ、これら複数の第三竪樋3(3A)と第二水勾配16b(26B)の勾配方向下端に形成される排水口16e(26e)とが接続されているので、複数の第三竪樋3(3A)によって、第二水勾配16b(26b)を流れる雨水を確実に排水できる。しかも、第三竪樋3(3A)は、左右に並設された複数の住戸11,12,13(21,22,23)に対応して設けられているので、敷地の大きさに応じて、左右に並設される住戸11,12,13(21,22,23)の戸数が多くなる場合であっても、好適に対応することができる。
また、第四竪樋4は、第三竪樋3とは独立して排水を行うことができるので、例えば第三竪樋3と第四竪樋4とを合流させるために、バルコニー11e,12e,13eを構成する梁等の構造材を貫通させる必要がなくなる。したがって、バルコニー11e,12e,13eにおける構造上の強度を確保できる。
また、屋根26の排水とバルコニー排水とを同一の第三竪樋3Aで行うに当たって、特にバルコニー21e,22e,23eを構成する梁等の構造材を貫通させる必要がないので、バルコニー21e,22e,23eにおける構造上の強度を確保できる。
2 第二竪樋
3 第三竪樋
3A 第三竪樋
4 第四竪樋
10 集合住宅
11 住戸
11e バルコニー
12 住戸
12e バルコニー
13 住戸
13e バルコニー
14 外廊下
16 屋根
16a 第一水勾配
16b 第二水勾配
20 集合住宅
21 住戸
21e バルコニー
22 住戸
22e バルコニー
23 住戸
23e バルコニー
24 外廊下
26 屋根
26a 第一水勾配
26b 第二水勾配
Claims (6)
- 複数階建てに建築された集合住宅における樋の配置構造において、
前記集合住宅は、上下に隣接するとともに各階において左右に並設される複数の住戸と、
各階における前記複数の住戸の出入口が面する外廊下と、
前記外廊下を含む範囲を覆う屋根と、を備えており、
各階における前記外廊下には、最上階の前記外廊下から地面までの排水を可能とする第一竪樋が前記複数の住戸の並設方向に複数設けられ、
前記屋根には、当該屋根から地面まで水を落とせる第二竪樋が前記複数の住戸の並設方向に複数設けられ、
前記第一竪樋と前記第二竪樋は、互いに独立して排水を行うように設定されるとともに、前記複数の住戸の並設方向において互いに近接した位置に配置されていることを特徴とする樋の配置構造。 - 請求項1に記載の樋の配置構造において、
前記屋根には、前記外廊下側に傾斜する第一水勾配と、この第一水勾配とは反対方向に傾斜する第二水勾配と、が形成されており、
前記第一水勾配の勾配方向下端に形成される排水口と前記複数の第二竪樋とが接続され、
前記屋根には、前記第二水勾配から地面まで水を落とせる第三竪樋が、左右に並設された前記複数の住戸に対応して複数設けられ、これら複数の第三竪樋と前記第二水勾配の勾配方向下端に形成される排水口とが接続されていることを特徴とする樋の配置構造。 - 請求項2に記載の樋の配置構造において、
前記複数の住戸のうち二階以上の住戸には、前記外廊下とは反対側にバルコニーが設けられており、
前記バルコニーには、最上階の前記バルコニーから地面までの排水を可能とする第四竪樋が、左右に並設された前記複数の住戸に対して複数設けられていることを特徴とする樋の配置構造。 - 請求項2に記載の樋の配置構造において、
前記複数の住戸のうち二階以上の住戸には、前記外廊下とは反対側にバルコニーが設けられており、
前記第三竪樋は、前記バルコニーを介して、かつ当該バルコニーの排水を可能としながら前記第二水勾配から地面までの間に設けられていることを特徴とする樋の配置構造。 - 請求項3に記載の樋の配置構造を採用した集合住宅の施工方法であって、
左右に並設される前記複数の住戸に対応する前記外廊下の長さ、または左右に並設される前記複数の住戸の戸数に応じて、前記第一竪樋から前記第四竪樋をそれぞれ配置することを特徴とする集合住宅の施工方法。 - 請求項4に記載の樋の配置構造を採用した集合住宅の施工方法であって、
左右に並設される前記複数の住戸に対応する前記外廊下の長さ、または左右に並設される前記複数の住戸の戸数に応じて、前記第一竪樋から前記第三竪樋をそれぞれ配置することを特徴とする集合住宅の施工方法。
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