JP6468910B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
しかし、このような高速起動モードを実施すると、改質触媒を収容している改質部の構造体に急激な温度変化を与えることになり、加えて、燃料改質装置の内部での温度のばらつきが大きくなる可能性がある。そのため、燃料改質装置内の触媒の劣化や構造体の劣化が促進されることになり、その耐久性が低くなる可能性がある。
前記運転制御装置は、
前記燃料改質装置の起動工程を開始してから前記改質部が設定温度に到達するまでに要する期間を相対的に短くさせる高速起動モード、又は、前記起動工程を開始してから前記改質部が前記設定温度に到達するまでに要する期間を相対的に長くさせる低速起動モードで当該起動工程を実施することができ、
過去に実施した前記起動工程の実施回数に対応する実施回数指標値を記憶すると共に、前記高速起動モードで前記起動工程を行ったときは当該起動工程の実施に対応する第1実施回数値を現状の前記実施回数指標値に加算して新たな前記実施回数指標値を導出し、前記低速起動モードで前記起動工程を行ったときは当該起動工程の実施に対応する、前記第1実施回数値よりも小さい第2実施回数値を現状の前記実施回数指標値に加算して新たな前記実施回数指標値を導出し、
新たに前記起動工程を実施するのに先立って、前記高速起動モード及び前記低速起動モードの何れで当該起動工程を実施するかを決定する起動モード決定処理を実施し、
前記起動モード決定処理において、現状の前記実施回数指標値に前記第1実施回数値を加算して得られる仮の実施回数指標値が基準指標値以下のとき前記高速起動モードで前記起動工程を実施すると決定し、前記仮の実施回数指標値が前記基準指標値より大きいとき前記低速起動モードで前記起動工程を実施すると決定する点にある。
また、運転制御装置は、現状の実施回数指標値に上記第1実施回数値を加算して得られる仮の実施回数指標値が基準指標値以下であれば高速起動モードでの起動工程を実施するので、燃料電池システムでの発電運転を開始するまでに要する時間を短縮できると共に、改質器を加熱するための改質用加熱部を運転させるのに要する燃料の消費を少なくできる。
従って、高速起動モードを実施しながら装置の急激な劣化も抑制できる燃料電池システムを提供できる。
そこで本特徴構成では、運転制御装置は、上記停止期間条件が満たされるとき、上述した仮の実施回数指標値に関わらず、低速起動モードで起動工程を実施すると決定する。その結果、高速起動モードで実施するような急激な加熱を行わなくても、改質部の温度が設定温度に到達するまでに要する期間が短くなることを期待できる。
そして本特徴構成では、運転制御装置は、上記停止期間条件及び上記温度条件の少なくとも何れか一方が満たされるとき、上述した仮の実施回数指標値に関わらず、低速起動モードで起動工程を実施すると決定する。その結果、高速起動モードで実施するような急激な加熱を行わなくても、改質部の温度が設定温度に到達するまでに要する期間が短くなることを期待できる。
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。
図1は、燃料電池システムの構成を示す図である。図示するように、燃料電池システムは、炭化水素を含む原燃料ガスを改質して水素を主成分とする改質ガスを生成する改質部12と運転中に改質部12を加熱するための改質用加熱部としての燃焼部13とを有する燃料改質装置10、及び、燃料改質装置10から供給される改質ガスを燃料として用いて発電する燃料電池発電装置20、及び、燃料改質装置10及び燃料電池発電装置20の運転を制御する運転制御装置1を備える。本実施形態では、燃料改質装置10が、脱硫部11と、改質部12と、燃焼部(改質用加熱部)13と、変成部14と、除去部15と、水蒸気生成部16と、熱交換部17とを有する例を説明する。
燃料電池システムの運転を開始するとき、運転制御装置1は、燃料改質装置10の起動工程を実施する。運転制御装置1は、この起動工程を開始するとき、弁V1を開放して原燃料ガスを脱硫部11に供給し、水を水蒸気生成部16に供給し、弁V5を開放して燃焼用燃料ガスを燃焼用ガス流路L7及びアノード排ガス流路L3を介して燃焼部13に供給して燃焼部13を燃焼作動させる。また、運転制御装置1は、脱硫部11の温度調節手段11a、変成部14の温度調節手段14a、除去部15の温度調節手段15aを加熱作動させて、脱硫部11及び変成部14及び除去部15の昇温を行う。運転制御装置1は、起動工程を開始した時点では、弁V2を閉止し、且つ、弁V3を開放している。その結果、改質部12で生成された改質ガスは、燃料電池発電装置20へ供給されず、全量がバイパス流路L8及びアノード排ガス流路L3を通って燃焼部13で燃焼される。運転制御装置1は、この状態で運転を継続し、例えば改質部12に設けられている温度センサT1で改質触媒の温度が設定温度に達すると、燃料改質装置10の起動工程が完了したと判定する。そして、運転制御装置1は、弁V2を開放し、弁V3を閉止して、改質部12で生成された改質ガスの全量が燃料電池発電装置20に供給されるようにする。また、運転制御装置1は、燃焼用ガス流路L7を介して供給する燃焼用燃料ガスの量を、例えば、燃焼部13に設けた温度センサT2の検出温度が所定の温度になるように適宜調節する。
そこで、本実施形態では、新たに起動工程を実施するのに先立って、高速起動モード及び低速起動モードの何れで当該起動工程を実施するかを決定する起動モード決定処理を実施することとする。
起動工程を高速起動モード及び低速起動モードの何れで行ったかに関わらず、起動工程を行うことで燃料改質装置10の各部では温度変化に伴って触媒の劣化や構造体の劣化などが起こり得る。そのため、過去に実施した起動工程の実施回数は、燃料改質装置10の劣化度合いを表しているとも言える。但し、低速起動モードで起動工程を行う場合には、一部の触媒のみが特に高温に曝されるといったこともなく、構造体に加わる熱応力の大きな不均衡なども発生しない。つまり、低速起動モードで起動工程を行った場合の燃料改質装置10の劣化は比較的小さいと言える。これに対して、高速起動モードで起動工程を行う場合には、一部の触媒のみが特に高温に曝されるといったことがあり、構造体に加わる熱応力の大きな不均衡なども発生する。つまり、高速起動モードで起動工程を1回行った場合の燃料改質装置10の劣化の程度は、低速起動モードで起動工程を1回行った場合の燃料改質装置10の劣化の程度よりも大きくなると言える。
工程#10において運転制御装置1は、新たに起動工程を実施するのに先立って、高速起動モード及び低速起動モードの何れで当該起動工程を実施するかを決定する起動モード決定工程(起動モード決定処理)を実施する。この工程において運転制御装置1は、現状の実施回数指標値に第1実施回数値を加算して得られる仮の実施回数指標値が基準指標値以下のとき高速起動モードで起動工程を実施すると決定し、仮の実施回数指標値が基準指標値より大きいとき低速起動モードで起動工程を実施すると決定する。運転制御装置1は、高速起動モードでの起動工程の実施回数に制限を設けるためにこの起動モード決定工程を実施している。具体的には、上記基準指標値という上限値を設け、これまでの起動工程の実施で積算された実施回数指標値に対して第1実施回数値を加算して得られる仮の実施回数指標値がその基準指標値以下のときにのみ高速起動モードでの起動工程の実施を許容する。例えば、基準指標値は、燃料改質装置10又は燃料電池発電装置20の過去の積算運用期間が長くなるにつれて大きな値に設定される。ここで説明する過去の積算運用期間は、燃料改質装置10又は燃料電池発電装置20を運用するときに管理されている時間指標の積算値である。例えば、燃料改質装置10の過去の積算運転期間、燃料改質装置10を設置して以後の過去の積算設置期間、燃料電池発電装置20の過去の積算運転期間、燃料電池発電装置20の過去の積算システム通電時間、燃料電池発電装置20を設置して以後の過去の積算設置期間などの様々な値を、燃料改質装置10又は燃料電池発電装置20の過去の積算運用期間として利用できる。
第2実施形態の燃料電池システムは、運転制御装置1が行う起動モード決定工程の内容が上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の燃料電池システムについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
<1>
上記実施形態では、燃料電池システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
例えば、燃料改質装置10は、水蒸気生成部16を加熱可能な電気ヒーターを追加で備えていてもよい。つまり、水蒸気生成部16は、熱交換部17及び電気ヒーターの少なくとも何れか一方から得られる熱を利用して、供給される水を蒸発させるように構成してもよい。
上記実施形態では、本発明の燃料電池システムの構成を説明するために具体的な数値を挙げたが、それらの数値は単に例示目的で記載したものであり、適宜変更可能である。
例えば、高速起動モードで起動工程を行ったときの第1実施回数値を「10」とし、低速起動モードで起動工程を行ったときの第2実施回数値を「1」とする例を説明したが、例えば、第1実施回数値を「5」とし、第2実施回数値を「2」とするなどの変更を適宜行ってもよい。
上記実施形態では、図3に例示したように、燃料改質装置10又は燃料電池発電装置20の過去の積算運用期間Tと基準指標値YとがY=aT+bという関係で設定される場合を例示したが、燃料改質装置10又は燃料電池発電装置20の過去の積算運用期間Tと基準指標値Yとが別の関係で設定されてもよい。
図4は、別の基準指標値の例を示す図である。この例では、積算運用期間Tが短い間は、基準指標値Yは一定値となるように設定され、積算運用期間Tが長くなるにつれて、基準指標値Yは連続的又は段階的に増加するように設定されている。
10 燃料改質装置
12 改質部
13 燃焼部(改質用加熱部)
20 燃料電池発電装置
Claims (5)
- 炭化水素を含む原燃料ガスを改質して水素を主成分とする改質ガスを生成する改質部と運転中に前記改質部を加熱するための改質用加熱部とを有する燃料改質装置、前記燃料改質装置から供給される改質ガスを燃料として用いて発電する燃料電池発電装置、並びに前記燃料改質装置及び前記燃料電池発電装置の運転を制御する運転制御装置を備える燃料電池システムであって、
前記運転制御装置は、
前記燃料改質装置の起動工程を開始してから前記改質部が設定温度に到達するまでに要する期間を相対的に短くさせる高速起動モード、又は、前記起動工程を開始してから前記改質部が前記設定温度に到達するまでに要する期間を相対的に長くさせる低速起動モードで当該起動工程を実施することができ、
過去に実施した前記起動工程の実施回数に対応する実施回数指標値を記憶すると共に、前記高速起動モードで前記起動工程を行ったときは当該起動工程の実施に対応する第1実施回数値を現状の前記実施回数指標値に加算して新たな前記実施回数指標値を導出し、前記低速起動モードで前記起動工程を行ったときは当該起動工程の実施に対応する、前記第1実施回数値よりも小さい第2実施回数値を現状の前記実施回数指標値に加算して新たな前記実施回数指標値を導出し、
新たに前記起動工程を実施するのに先立って、前記高速起動モード及び前記低速起動モードの何れで当該起動工程を実施するかを決定する起動モード決定処理を実施し、
前記起動モード決定処理において、現状の前記実施回数指標値に前記第1実施回数値を加算して得られる仮の実施回数指標値が基準指標値以下のとき前記高速起動モードで前記起動工程を実施すると決定し、前記仮の実施回数指標値が前記基準指標値より大きいとき前記低速起動モードで前記起動工程を実施すると決定する燃料電池システム。 - 前記基準指標値は、前記燃料改質装置又は前記燃料電池発電装置の過去の積算運用期間が長くなるにつれて大きな値に設定される請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記運転制御装置は、前記起動モード決定処理において、前記燃料改質装置の停止工程の実施に伴って前記改質用加熱部が加熱運転を停止した後、次に前記起動工程を開始するまでの停止期間が基準停止期間以下であるという停止期間条件が満たされるとき、前記仮の実施回数指標値に関わらず、前記低速起動モードで前記起動工程を実施すると決定する請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
- 前記運転制御装置は、前記起動モード決定処理において、前記燃料改質装置の停止工程の実施に伴って前記改質用加熱部が加熱運転を停止した後、次に前記起動工程を開始するときの前記改質部の温度又は前記改質用加熱部の温度が基準温度以上であるという温度条件が満たされるとき、前記仮の実施回数指標値に関わらず、前記低速起動モードで前記起動工程を実施すると決定する請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
- 前記運転制御装置は、前記起動モード決定処理において、
前記燃料改質装置の停止工程の実施に伴って前記改質用加熱部が加熱運転を停止した後、次に前記起動工程を開始するまでの停止期間が基準停止期間以下であるという停止期間条件、及び、前記燃料改質装置の停止工程の実施に伴って前記改質用加熱部が加熱運転を停止した後、次に前記起動工程を開始するときの前記改質部の温度又は前記改質用加熱部の温度が基準温度以上であるという温度条件の少なくとも何れか一方が満たされるとき、前記仮の実施回数指標値に関わらず、前記低速起動モードで前記起動工程を実施すると決定する請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
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