JP6468889B2 - 導電性組成物、及びそれを用いた導電体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、電気回路、電極端子、回路層間接続用充填材、電子素子接合材などに用いられる銅粒子を含む導電性組成物に関する。また本発明は、該導電性組成物を用いた導電体の製造方法に関する。
ギ酸銅を用いた導電体の製造に関する従来の技術としては、例えば特許文献1ないし3に記載のものが知られている。特許文献1においては、ギ酸と銅と酸化剤とを反応させることでギ酸銅を得て、得られたギ酸銅と、脂肪族アミンとからギ酸銅−アミン錯体を製造し、このギ酸銅−アミン錯体を加熱することで銅粒子を製造し、製造された銅粒子を含む分散液を基板に塗布して熱処理を施すことで、基板上に配線を形成している。
特許文献2及び3においては、銅粒子と、ギ酸銅と、アミンとを含む導電性組成物をガラス基材上に塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を加熱することで導電体を形成することが記載されている。
特開2008−31104号公報 特開2012−131894号公報 特開2013−108005号公報
特許文献1には、同文献の記載方法で製造される銅粒子の粒径が1〜20nmであると記載されている。このような微粒の銅粒子を用いて導電性組成物を調製し、該導電性組成物の塗布体を加熱して導電体を製造すると、銅粒子が微粒であることに起因して加熱時の膜の体積変化が非常に大きくなり、膜の寸法制御が困難になる。
特許文献2及び3の技術を用いた場合には、膜中にギ酸銅又はアミンが残存することがあり、導電体性能の低下の一因となる。この理由は、ギ酸銅とアミンとの等モル比の錯体を合成することが困難なことによる。また、これらの文献に記載の技術を用いて得られた導電体は、基材の密着性を高めることが容易でない。
したがって本発明の課題は、各種の性能が向上した導電体を得るための導電性組成物の改良にある。
本発明は銅粒子、ギ酸銅−アミン錯体及び熱硬化性樹脂を含む導電性組成物であって、
前記導電性組成物は、導電性組成物の熱処理温度において、ギ酸銅−アミン錯体の熱分解終了後にゲル化するものである導電性組成物を提供することにより、前記の課題を解決したものである。
また本発明は、表面がギ酸銅−アミン錯体によって被覆されてなる銅粒子を提供するものである。
また本発明は、前記の導電性組成物を基材表面に塗布して塗布体を形成し、該塗布体を加熱する工程を有する導電体の製造方法を提供するものである。
更に本発明は、複数の銅粒子が導電部位を介して連結してなる導電体において、前記銅粒子が窒素非含有のものであり、前記導電部位が窒素を含有しており、前記銅粒子間に形成された空間に、熱硬化性樹脂が充填されている導電体を提供するものである。
本発明によれば、導電性が高く、また塗布する対象である基材との密着性が高い導電体を容易に形成し得る導電性組成物が提供される。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の導電性組成物は、銅粒子、ギ酸銅−アミン錯体及び熱硬化性樹脂を含むものである。本発明の導電性組成物は、銅の導電体を製造する原料として好適に用いられるものである。以下、この組成物を構成する各成分について説明する。
銅粒子は、銅を主たる構成成分とする粒子である。銅粒子は、目的とする導電体において、いわば骨材的な役割を有し、導電性を発揮する材料である。銅粒子は、不可避不純物を除き銅のみからなる粒子であり得る。あるいは、銅粒子は、銅を主たる構成元素とし、それに加えて、銀、ケイ素、リン、ニッケル、チタン、鉄、コバルト、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、タンタル、インジウム、スズ、亜鉛、ビスマス等のうちの少なくとも一種以上の付加元素を含有してもよい。これらの付加元素を含有することによって、例えば銅粒子どうしのネッキングを促進させたり、表面酸化耐性を向上させることができる。これらの付加元素は、銅との合金粒子として存在してもよく、更に、銅粒子の銅からなる芯材粒子の表面を、完全被覆でなければ、銅粒子表面に付加元素が連続して又は不連続に被覆する形態をとってもよい。つまり銅粒子は、銅基合金からなる粒子であってもよく、あるいは、銅からなる芯材粒子の表面を、銅以外の金属元素が連続して又は不連続に被覆した状態の粒子であってもよい。なお本明細書において「銅粒子」と言うときには、文脈に応じ、個々の粒子を指す場合と、粒子の集合体としての粉体を指す場合とがある。
銅粒子はその形状が、例えば球形、扁平形(鱗片形とも言われる)、樹枝形、不定形等であり得る。あるいは、これらの形状を2種以上組み合わせたものであってもよい。また、銅粒子は、その粒径が、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50で表して、0.05μm以上20μm以下であることが好ましく、0.15μm以上15μm以下であることが更に好ましく、0.2μm以上10μm以下であることが一層好ましい。銅粒子の粒径がこの範囲内であると、目的とする導電体の膜密度が高まり、また導電体製造時の寸法安定性が良好なものになる。
銅粒子は、その形状や大きさに応じ、公知の方法を適切に選択することによって製造できる。例えば湿式還元法、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、電解法、プラズマ法などの方法によって製造することができ、更に粉砕処理等の追加処理を施すこともできる。
銅粒子は、質量比で比較したときに、本発明の導電性組成物に占める割合が最も高い成分である。目的とする導電体の導電性を高める観点、及び導電体製造時の寸法安定性を高める観点から、銅粒子は、本発明の導電性組成物中に40質量%以上97質量%以下の割合で含まれていることが好ましく、50質量%以上95質量%以下の割合で含まれていることが更に好ましく、55質量%以上93質量%以下の割合で含まれていることが一層好ましい。なお導電性組成物は、その性状によっては後述する粘度調整剤、表面張力調整剤、有機溶剤などの溶媒を含む場合があるが、その場合には溶媒の量は前記の割合の算出には含めない。
本発明の導電性組成物に含まれるギ酸銅−アミン錯体は、銅粒子どうしを電気的に結合して、導電体に導電性を付与するために用いられる。先に背景技術の項で挙げた特許文献2及び3においては、銅粒子を含む導電性組成物において、ギ酸銅とアミンとを別個に用いており、ギ酸銅−アミン錯体は用いられていない。これとは対照的に、本発明においてはアミンがギ酸銅に配位した化合物であるギ酸銅−アミン錯体を用いている。特許文献2及び3に記載のようにギ酸銅とアミンとを別個に用いると、ギ酸銅−アミン錯体は生成されず、ギ酸銅又はアミンが導電性組成物内の樹脂成分への反応を過剰に促進する。その結果、導電性組成物のポットライフを短くしたり、硬化時にクラックを生じたりする原因となる。これに対して本発明においては、導電性組成物を調製する当初からギ酸銅−アミン錯体を配合しているので、銅粒子とギ酸銅へアミンが優位に配位し、その後の熱処理工程での電気的結合を形成しやすいものとなる。また、ギ酸銅−アミン錯体であればアミンの樹脂成分への硬化反応も過剰に促進されることはない。
ギ酸銅−アミン錯体は、これを加熱することで熱分解して銅(0価の銅)が生成する。ギ酸銅−アミン錯体の熱分解温度は、導電性組成物の塗布工程や仮乾燥工程のハンドリングの点、生成した銅(0価の銅)の酸化安定性の点から100℃以上200℃以下である事が好ましい。この点から105℃以上190℃以下が好ましく、さらに好ましくは110℃以上180℃以下である。ギ酸銅−アミン錯体の熱分解温度は50℃/min、Nフロー下での示差熱分析(DTA)測定によるピーク温度により定義される。
ギ酸銅−アミン錯体から銅が生成する温度を、容易に上述の範囲に設定し得る観点から、本発明で用いられるギ酸銅−アミン錯体は、以下の式(1)で表されることが好ましい。
式(1)中、R−Rは、同一の又は異なる水素原子、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基及び直鎖又は分岐鎖のアルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基である。ただし、R及びRの両方が同時に水素原子にはならない。同様にR及びRの両方が同時に水素原子にはならない。特にR−Rは、炭素数1〜12の直鎖アルキル基、及び炭素数3〜12の分岐鎖アルキル基又はシクロアルキル基を用いることが好ましい。炭素数1〜12の直鎖アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基が挙げられる。炭素数3〜12の分岐鎖アルキル基としては、例えばi−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、neo−ペンチル基、i−ヘキシル基、sec−ヘキシル基、t−ヘキシル基、neo−ヘキシル基、i−ヘプチル基、sec−ヘプチル基、t−ヘプチル基、neo−ヘプチル基、i−オクチル基、sec−オクチル基、t−オクチル基、neo−オクチル基等が挙げられる。炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等が挙げられる。
(1)で示される化合物以外のギ酸銅−アミン錯体としては、複素環化合物であるアジミン骨格を分子内にもつアミノ化合物、具体的にはジアザビシクロクロウンデセンや、ジアザビシクロノネン等が挙げられる。
上述した各種のギ酸銅−アミン錯体の中でも、導電性組成物の塗布工程や仮乾燥工程のハンドリング安定性の点、及び生成した銅(0価の銅)の酸化安定性の点から、前記式(1)で表されるギ酸銅−アミン錯体においてR−Rが炭素素数4〜10のアルキル鎖をもつものがより好ましく、特にR−Rがn−オクチル基又はn−へキシル基であるものが一層好ましい。
−Rが水素原子以外の基である場合、例えばアルキル基等である場合、当該基は、OH基、CHO基又はCO基で置換されていてもよい。
ギ酸銅−アミン錯体は、例えばギ酸銅をアミンに溶解することで得ることができる。ギ酸銅は、無水ギ酸銅や、ギ酸銅の水和物、例えば市販のギ酸銅4水和物等から精製したものを使用することができる。アミンの使用量は、ギ酸銅に対して過剰量とすることが好ましい。例えば1当モルのギ酸銅に対して好ましくは2.01〜20当モルのアミンを用いることが好ましい。錯体を生成させる場合は、使用するアミンの種類に応じて反応系を加熱してもよい。例えば室温(20℃)において固体であるアミンを用いる場合には、それが溶解する温度まで加熱することが好ましい。加熱温度は例えば30℃以上80℃以下とすることが好ましく、40℃以上60℃以下とすることが更に好ましい。なお、ギ酸銅−アミン錯体を得た後、例えば洗浄等により過剰に存在しているアミンを除去することで、アミンによる導電性組成物への影響を最小化することができ、導電性組成物を安定製造することが可能となる。
以上の方法で得られたギ酸銅−アミン錯体は、本発明の導電性組成物中に0.01質量%以上80質量%以下の割合で含まれていることが好ましく、0.05質量%以上75質量%以下の割合で含まれていることが更に好ましく、0.1質量%以上70質量%以下の割合で含まれていることが一層好ましい。
また、本発明の導電性組成物における銅粒子とギ酸銅−アミン錯体との比率は、相対的に多量の銅粒子に対して、相対的に少量のギ酸銅−アミン錯体を用いることが好ましい。こうすることで、導電性組成物の塗布体の加熱によって導電体を形成するときに、銅粒子に生じる体積変化を極力抑制しつつ、ギ酸銅−アミン錯体から銅を生成させ、生成した銅によって銅粒子間を電気的に結合させることができる。この観点から、導電性組成物における銅粒子とギ酸銅−アミン錯体との比率は、銅粒子の質量を基準としたギ酸銅−アミン錯体の質量比(ギ酸銅−アミン錯体の質量/銅粒子の質量)が0.05質量%以上100質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上60質量%以下であることが更に好ましく、3.0質量%以上25質量%以下であることが一層好ましい。
本発明の導電性組成物において、ギ酸銅−アミン錯体は、銅粒子の表面を被覆していることが好ましい。被覆は連続的でもよく、あるいは不連続でもよい。銅粒子の表面がギ酸銅−アミン錯体で被覆されていると、ギ酸銅−アミン錯体から生成した銅による銅粒子間の電気的な結合が一層確実なものになるので好ましい。銅粒子の表面がギ酸銅−アミン錯体で被覆された状態の導電性組成物を得るためには、該組成物を調製するときに、銅粒子とギ酸銅−アミン錯体とを混合して、該錯体で被覆された銅粒子を得て、得られた被覆銅粒子を、組成物の他の成分と混合すればよい。この観点から、前記被覆銅粒子においては、銅の質量を基準としたギ酸銅−アミン錯体の質量比(ギ酸銅−アミン錯体の質量/銅の質量)が0.05質量%以上100質量%以下であることが好ましい。なお、ここで言う「銅の質量」とは、ギ酸銅−アミン錯体によって被覆されている銅粒子の質量のことであり、ギ酸銅−アミン錯体に含まれる銅は除外される。
本発明の導電性組成物に含まれる熱硬化性樹脂は、目的とする導電体と基材との密着性を向上させたり、導電体の強度を向上させたりする目的で配合される。従来、ギ酸銅及びアミンを含む組成物から導電体を形成するときには、該組成物中に熱硬化性樹脂を配合することは困難であった。その理由は、先に述べたとおり、導電体の形成過程においてギ酸銅及びアミンからギ酸銅−アミン錯体を生成させるときに、膜中にギ酸銅及び/又はアミンが残存することがあり、それらが熱硬化性樹脂に対して悪影響を及ぼす場合があることに起因している。これに対して本発明においては、導電性組成物中には、その当初からギ酸銅−アミン錯体が配合されているので、導電体の形成過程においてギ酸銅やアミンが膜中に残存することが効果的に防止されている。したがって、導電性組成物中に熱硬化性樹脂を配合することに何らの妨げもない。
本発明の導電性組成物中において、熱硬化性樹脂は、硬化前の状態で存在している。熱硬化性樹脂としては、従来公知のものを用いることができる。例えばエポキシ樹脂やフェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などを用いることができる。これらの樹脂は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
以下の説明においては、本発明の導電性組成物に含まれる成分のうち、銅粒子及びギ酸銅−アミン錯体を除いた成分を総称して、「熱硬化性樹脂成分」と呼ぶこととする。熱硬化性樹脂成分は、熱硬化性樹脂を包含し、更に必要に応じて後述する粘度調整剤、表面張力調整剤及び有機溶剤なども包含する。そして、熱硬化性樹脂成分(硬化前の熱硬化性樹脂成分)は、上述したギ酸銅−アミン錯体の熱分解後にゲル化するものであることが好ましい。つまり、熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂成分は、本発明の導電性組成物の熱処理温度において、ギ酸銅−アミン錯体の熱分解終了時間よりも、ゲルタイムが長いものであることが好ましい。この理由は、目的とする導電体中に気泡が残存することを防止するためである。ギ酸銅−アミン錯体の熱分解終了時間よりも、熱硬化性樹脂成分のゲルタイムを長いものとすることで、熱硬化性樹脂が硬化反応を起こす前に、ギ酸銅−アミン錯体の熱分解によって発生するガスを、系外に放出することができる。その結果、気泡が残存しない硬化物導電体を得ることができる。これに対して、ギ酸銅−アミン錯体からガスが発生した時点で熱硬化性樹脂成分のゲル化が進行していた場合、ガスが系外に放出されづらくなるばかりでなく、発生したガスの圧力によって導電体が破損することがある。本明細書において、ギ酸銅−アミン錯体の熱分解終了時間は、窒素雰囲気中での熱重量(TG)測定において次のとおり定義する。例えば導電性組成物の室温(25℃)における初期重量を質量(W)とする。そして室温から昇温速度(50℃/min)で昇温し、その後、所定の温度に達した時点を0分とする。その温度を30分間維持し、30分間経過した時点を飽和熱質量減少点とし、そのときの質量をW30とする。そして、熱質量減少分(W−W30)値が99%に到達するまで、言い換えれば、導電性組成物の質量が(W30+0.01W)に到達するまでに要した時間を、熱分解が終了した時間とみなし熱分解終了時間とする。
熱硬化性樹脂成分のゲルタイムは、所定温度における該熱硬化性樹脂成分の流動、タック性がなくなった時点の時間と定義され、例えばゲル化評価機等により測定できる。例えば株式会社井元製作所製のものを用いることができる。測定条件は井元製作所製ゲル化試験機(熱板中央部凹型仕様)を用い、中央凹部に熱硬化性成分を滴下し、熱硬化性樹脂成分の大気中の熱処理温度でのゲル化時間を測定したものである。
本発明においては、上述した熱硬化性樹脂成分だけでなく、導電性組成物についても、所定の温度において、ギ酸銅−アミン錯体の熱分解後にゲル化するものであることが好ましい。特に該導電性組成物は、該導電性組成物の熱処理温度において、ギ酸銅−アミン錯体の熱分解後にゲル化するものであることが一層好ましい。つまり、本発明の導電性組成物は、該導電性組成物の熱処理温度において、ギ酸銅−アミン錯体の熱分解終了時間よりも、ゲルタイムが長いものであることが好ましい。導電性組成物がこのような特性を有することで、目的とする導電体に気泡が残留することが一層効果的に防止される。導電性組成物のゲルタイムは、上述した熱硬化性樹脂成分のゲルタイムと同様の方法で測定される。ギ酸銅−アミン錯体の熱分解終了時間と、熱硬化性樹脂成分のゲルタイムとの間には、1.0分以上又は/及び5.0分以下の差があると、より好ましくは1.2分以上又は/及び4.5分以下の差があると、熱処理温度においてギ酸銅−アミン錯体の熱分解に伴う気泡の抜けなども十分となり、硬化体を緻密なものとすることができると共に、熱硬化反応に必要な硬化剤、硬化触媒などの成分の過剰揮発を抑えることが可能である。導電性組成物のゲルタイムは、例えば導電性組成物を構成する熱硬化性樹脂の種類や、配合する溶媒の種類によって制御することができる。
熱硬化性樹脂は、本発明の導電性組成物中に1質量%以上50質量%以下の割合で含まれていることが好ましく、2質量%以上45質量%以下の割合で含まれていることが更に好ましく、3質量%以上40質量%以下の割合で含まれていることが一層好ましい。
また熱硬化性樹脂の配合量は、銅粒子の配合量との関係で、銅粒子の質量を基準とした熱硬化性樹脂の質量比が1質量%以上55質量%以下であることが好ましく、3質量%以上50質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以上45質量%以下であることが一層好ましい。
本発明の導電性組成物は、これまで説明してきた成分に加えて、必要に応じ他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば上述した粘度調整剤、表面張力調整剤、有機溶剤などが挙げられる。
粘度調整剤としては、例えば常圧(=1気圧)での沸点が100℃〜300℃であるアルコール類、テルペン類、エーテル類、ケトン類、アミド類などを用いることができる。
常圧での沸点が100℃〜300℃であるアルコール類としては、例えば1−ペンタノール、2−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、イソブチルアルコール、ウンデカノール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、2−オクタノール、1−オクタノール、グリシドール、シクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−デカノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、テルピネオール、ネオペンチルアルコール、1−ノナノール、1−ブタノール、フルフリルアルコール、プロパルギルアルコール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
常圧での沸点が100℃〜300℃であるテルペン類としては、例えばテルピネオール、ジヒドロテルピネオール等が挙げられる。
常圧での沸点が100℃〜300℃であるエーテル類としては、例えばアニソール、エチルイソアミルエーテル、エチルベンジルエーテル、エピクロロヒドリン、クレジルメチルエーテル、イソペンチルエーテル、アセタール、ジオキサン、シネオール、フェニルエーテル、ブチルエーテル、ベンジルエーテル、トリオキサン、ジクロロエチルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、フルフラール、モノクロロジエチルエーテル、1,2−ジエトキシエタン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,2−ジブトキシエタン、2−エトキシエチル−2−メトキシエチルエーテル、ジエチルカルビトール、ジブチルカルビトール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリグリコールジクロリド、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
常圧での沸点が100℃〜300℃であるケトン類としては、例えばアセチルアセトン、アセトフェノン、イソホロン、エチルブチルケトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、3−ペンタノン、シクロヘキサノン、4−ヘプタノン、ホロン、メチルオキシド、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、2−ヘキサノン、2−ペンタノン、2−オクタノン、2−ノナノン等が挙げられる。常圧での沸点が100℃〜300℃であるアミド類としては、例えばジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
表面張力調整剤としては、常圧での沸点が100℃〜300℃であるアルコール類、グリコール類、エーテル類又はケトン類を用いることができる。アルコール類としては、例えば、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−n−ブトキシエタノール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ジメチルカルビトール、ジエチルカルビトール、n−ブチルカルビトール等が挙げられる。グリコール類としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールが挙げられる。エーテル類としては、1,4−ジオキサン、γ−ブチロラクトン、ジ−n−ブチルエーテルが挙げられる。ケトン類としては、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、2−ヘプタノン等が挙げられる。
有機溶剤としては、常圧での沸点が100℃以上300℃以下であるアルコール類やグリコール類を用いることができる。アルコール類としては、例えば1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、グリシドール、ベンジルアルコール、メチルシクロヘキサノール、2−メチル1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、イソプロピルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、2−オクタノール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−n−ブトキシエタノール、2−フェノキシエタノール、カルビトール、エチルカルビトール、n−ブチルカルビトール、ジアセトンアルコール、ジメチルカルビトール、ジエチルカルビトールなどが挙げられる。グリコール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、へキシレングリコールなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、本発明の導電性組成物の粘度や表面張力が上述した範囲内となるように、適切な量が配合される。
本発明においては、導電性組成物を基材の表面に塗布することで塗布体を形成し、該塗布体を加熱することで導電体を形成する。基材としては、金属材料及び非金属材料の双方を用いることができる。例えば樹脂、紙、ガラス、シリコン系半導体、化合物半導体、金属酸化物、金属窒化物、木材、これら二種以上の複合基材などが挙げられる。樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、セルロース誘導体等が挙げられる。紙としては、例えば非塗工印刷用紙、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙(アート紙、コート紙)、特殊印刷用紙、コピー用紙(PPC用紙)、未晒包装紙(重袋用両更クラフト紙、両更クラフト紙)、晒包装紙(晒クラフト紙、純白ロール紙)、コートボール、チップボール、段ボール等が挙げられる。ガラスとしては、例えばソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、シリカガラス、石英ガラス等が挙げられる。シリコン系半導体としては、例えば単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、ポリシリコン等が挙げられる。化合物半導体としては、例えばCdS、CdTe、GaAs等が例示される。金属酸化物としては、例えばアルミナ、サファイア、ジルコニア、チタニア、酸化イットリウム、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、フッ素ドープ酸化錫、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛等が挙げられる。金属窒化物としては、例えば窒化アルミニウム、窒化珪素等が挙げられる。
基材上に導電性組成物を塗布する方法としては、例えばスクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、インクジェット法、ディスペンサーでの塗布法等が挙げられる。また、プリント配線基板のビアやスルーホール、溝といった凹部を包埋し得る塗布方法を採用することもできる。
基材上に導電性組成物を塗布して塗布体を形成したら、この塗布体を熱処理する。本発明においては、ギ酸銅−アミン錯体の熱分解によって生成する銅を利用して、銅粒子間の電気的な結合を確保しているので、加熱雰囲気は還元雰囲気及び非還元雰囲気、酸化雰囲気のいずれを採用しても、目的とする導電体を形成することができる。安全性の観点からは、非還元雰囲気を用いることが好ましい。
導電性組成物の熱処理温度は、ギ酸銅−アミン錯体の熱分解温度以上であり、かつ、ガス放出が突沸現象を生じにくい温度域であることが好ましい。導電性組成物の具体的な熱処理温度としては、好ましくは100℃以上200℃以下、更に好ましくは105℃以上190℃以下、一層好ましくは110℃以上180℃以下、さらに好ましくは140℃以上170℃以下である。後述する実施例においては、導電性組成物のゲル化時間及びギ酸銅−アミン錯体の熱分解時間を測定するための基準となる熱処理温度として160℃を採用している。
この温度範囲において、導電性組成物の熱処理時間は1分以上240分以下とすることが好ましく、3分以上90分以下とすることが更に好ましく、一層好ましくは5分以上80分以下、更に一層好ましくは10分以上70分以下、より一層好ましくは30分以上60分以下である。
熱処理に用いられる熱源としては、例えば熱風乾燥炉、抵抗炉、赤外炉、レーザー、キセノンフラッシュランプ等既知のものを使用することができるが、高面積で均一に熱処理するためには、乾燥炉、抵抗炉、赤外炉が好ましい。
塗布体の加熱によって、該塗布体中のギ酸銅−アミン錯体が熱分解して微粒の銅が生成する。この微粒の銅は、例えばサブミクロンサイズないしナノサイズのものである。この微粒の銅が導電部位となり、該導電部位を介して銅粒子間が電気的に結合する。
塗布体の加熱において、熱硬化性樹脂として、ギ酸銅−アミン錯体の熱分解温度以上の温度で粘度上昇が開始するものを用いると、ギ酸銅−アミン錯体が熱分解している間は、熱硬化性樹脂の流動性が高い状態が保たれているので、分解ガスが系外に放出されやすくなり、気泡の残留が抑制される。また銅粒子間に形成された空間に、熱硬化性樹脂が流動して充填されやすくなる。そして、加熱温度が熱硬化温度にまで到達すると、熱硬化性樹脂の硬化が起こり、導電体と基材との密着性が強固なものとなる。また、導電体の強度が向上する。
以上のとおり、本発明の導電性組成物を用いることで、これまでよりも低温で導電体を形成することができる。また、基材の種類によらず密着性を向上させることができる。しかも、導電体の導電性を十分に高くすることができる。その上、導電体製造時の寸法安定性が高いものとなる。したがって本発明の導電性組成物は、例えばプリント配線基板の配線材料、配線間補修材料、プリント配線基板のビアやスルーホールの充填性導電体、導電性接着剤、部品実装材料、端子接合材料、ディスプレイ用回路、はんだ代替材料、建築用窓や自動車用窓の熱線ヒーター、などとして有用なものである。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」及び「部」はそれぞれ「質量%」及び「質量部」を意味する。
〔実施例1〕
(1)ギ酸銅の準備
ギ酸銅4水和物(和光純薬工業社製)を100部蒸発皿に秤量し、60℃で真空乾燥することでギ酸銅無水和物を得た。
(2)ギ酸銅−アミン錯体の合成
(1)で得られたギ酸銅無水和物100部に、オクチルアミン(和光純薬工業社製)185部、IPA300部を加え、60℃で加温することでギ酸銅−オクチルアミン溶液を得た。この溶液を精製することで、ワックス状のギ酸銅−オクチルアミン錯体を得た。このようにして合成されたギ酸銅−オクチルアミン錯体の熱分解温度は145℃であった。また、後述する熱処理温度である160℃まで50℃/minで昇温、その後160℃保持した場合のTG測定における熱分解終了時間は3.5分であった。
これとは別のギ酸銅−アミン錯体も合成した。(1)で得られたギ酸銅無水和物100部に、ヘキシルアミン(東京化成工業株式会社製)145部、IPA300部を加え、60℃で加温することでギ酸銅−ヘキシルアミン溶液を得た。この溶液を精製することで、ワックス状のギ酸銅−ヘキシルアミン錯体を得た。このようにして合成されたギ酸銅−ヘキシルアミン錯体の熱分解温度は140℃であった。また160℃保持における熱分解終了時間は0.4分であった。
更に別のギ酸銅−アミン錯体も合成した。(1)で得られたギ酸銅無水和物100部に、ジアザビシクロクロウンデセン(東京化成工業株式会社製、以下「DBU」とも言う)203部、IPA300部を加え、60℃で加温することでギ酸銅−DBU溶液を得た。この溶液を精製することで、ワックス状のギ酸銅−DBU錯体を得た。このようにして合成されたギ酸銅−DBU錯体の熱分解温度は117℃であった。また160℃保持における熱分解終了時間は2.0分であった。
(3)熱硬化性樹脂成分及び導電性組成物の調製
熱硬化性樹脂としては、群栄化学製のフェノール系熱硬化性樹脂PL−2243を用い、以下の表1に示す質量部で溶剤とレベリング剤を撹拌脱泡機で3分混合して目的とする熱硬化性樹脂成分を得た。
前記の熱硬化性樹脂成分に、前記で得られたギ酸銅−オクチルアミン錯体と、銅粒子として、湿式球状銅粒子(三井金属鉱業株式会社製:D504.3μm、タップ密度5.5g/cm)を表1に示す質量部で追加し、更に3分混合することで目的とする導電性組成物を得た。
この導電性組成物の性状を評価した。撹拌容器を傾斜させた際、流動性のあるペースト状である性状を良好(○)とし、流動せず塗布体形成が不可能なものを不良(×)とした。
また、導電性組成物のゲルタイムを井元製作所製ゲル化試験機(熱板中央部凹型仕様)にて測定した。
(4)導電体の製造
前記で得られた導電性組成物を、ガラスエポキシ樹脂板の表面にアプリケータを用いて塗工して塗布体を形成した。塗布体は、20μmの厚みとなるように形成した。窒素雰囲気下に、この塗布体を160℃で1時間加熱して、導電体を形成した。このようにして得られた導電体の体積抵抗率を、25℃、60%RH下に、三菱化学株式会社製ロレスタGPを用い、四端子法に従い測定した。更に、導電体の密着性をJIS K 5600 パラグラフ5−6に準じ、クロスカット法により評価した。更に、導電体の外観を50倍の実態顕微鏡観察で評価した。実態顕微鏡観察でクラックの発生が見られないものを良好(○)とし、クラックの発生が若干観察されたものをやや良(△)とし、クラックの発生が多数観察されたものを不良(×)とした。これらの結果を以下の表1に示す。
〔実施例2並びに比較例1ないし3〕
導電性組成物の組成を表1に示すとおりにした以外は実施例1と同様にして、導電性組成物を調製し、その導電性組成物を用いて導電体を製造した。ここで比較例3は導電性組成物の流動性が悪く、塗布膜を形成することができない状態であった。
次いで、導電体の体積抵抗率ρ及び密着性を実施例1と同様に測定・評価した。更に、実施例2及び比較例1については、高温高湿下(85℃、85%RH下)に400時間放置後の体積抵抗率ρも測定した。結果を以下の表1に示す。
尚、導電体の体積抵抗率ρは、下記の通りの基準で判定した。
ρ<1.0×10−4Ω・cm(良好 ○)
ρ≧1.0×10−4Ω・cm(不良 ×)
〔実施例3ないし5及び比較例4〕
銅粒子として、湿式プレート状銅粒子(三井金属鉱業株式会社製D505.2μm、タップ密度3.3g/cmで)を用いた。また、導電性組成物の組成を表1に示すとおりにした。これら以外は実施例1と同様にして、導電性組成物を調製し、その導電性組成物を用いて導電体を製造した。そして、導電体の体積抵抗率及び密着性を実施例1と同様に測定・評価した。結果を以下の表1に示す。
〔実施例6〕
銅粒子として、湿式球状銅粒子(D501.0μm、タップ密度4.1g/cmで)を用いた。また、導電性組成物の組成を表1に示すとおりにした。これら以外は実施例1と同様にして、導電性組成物を調製し、その導電性組成物を用いて導電体を製造した。そして、導電体の体積抵抗率及び密着性を実施例1と同様に測定・評価した。結果を以下の表1に示す。
〔実施例7〕
ギ酸銅−アミン錯体としてギ酸銅−ヘキシルアミン錯体を用いた。また、導電性組成物の組成を表1に示すとおりにした。これら以外は実施例1と同様にして、導電性組成物を調製し、その導電性組成物を用いて導電体を製造した。そして、導電体の体積抵抗率及び密着性を実施例1と同様に測定・評価した。結果を以下の表1に示す。
〔実施例8〕
ギ酸銅−アミン錯体としてギ酸銅−ヘキシルアミン錯体を用い、溶媒としてメタノールを用いた。また、導電性組成物の組成を表1に示すとおりにした。これら以外は実施例1と同様にして、導電性組成物を調製し、その導電性組成物を用いて導電体を製造した。そして、導電体の体積抵抗率及び密着性を実施例1と同様に測定・評価した。結果を以下の表1に示す。
〔実施例9〕
ギ酸銅−アミン錯体としてギ酸銅−オクチルアミン錯体0.26gを用いた。これエタノール10gに溶解し、更に銅粒子(プレート状,D50=5.2μm)20gと混合後、乾燥させることでギ酸銅−オクチルアミン錯体により被覆された銅粉を得た。この銅粉10.13gを使用した以外は、比較例1と同様にして、導電性組成物を調製し、その導電性組成物を用いて導電体を製造した。そして、導電体の体積抵抗率及び密着性を実施例1と同様に測定・評価した。結果を以下の表1に示す。
〔実施例10〕
ギ酸銅−アミン錯体としてギ酸銅−オクチルアミン錯体0.26gを用いた。これをエタノール10gに溶解し、銅粒子(プレート状,D50=5.2μm)20gと混合後、乾燥させることでギ酸銅−オクチルアミン錯体により被覆された銅粉を得た。この銅粉10.13gを使用した以外は実施例2と同様にして、導電性組成物を調製し、その導電性組成物を用いて導電体を製造した。そして、導電体の体積抵抗率及び密着性を実施例1と同様に測定・評価した。結果を以下の表1に示す。
〔実施例11〕
ギ酸銅−アミン錯体としてギ酸銅−DBU錯体を用いた以外は実施例1と同様にして、導電性組成物を調製し、その導電性組成物を用いて導電体を製造した。そして、導電体の体積抵抗率及び密着性を実施例1と同様に測定・評価した。結果を以下の表1に示す。
〔比較例5〕
本比較例は、導電性組成物に配合される溶媒としてメタノールを用い、導電性組成物のゲルタイムを短縮させた例である。また、ギ酸銅−アミン錯体としてギ酸銅−オクチルアミン錯体を用いた。これら以外は実施例4と同様にして、導電性組成物を調製し、その導電性組成物を用いて導電体を製造した。そして、導電体の体積抵抗率及び密着性を実施例1と同様に測定・評価した。結果を以下の表1に示す。
表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られた導電体組成物は、対応する比較例で得られた導電体組成物に比較して、流動性に優れる性状を有していることが判る。また、各実施例で得られた導電体は、比較例で得られた導電体に比して導電性が高いものであることが判る。更に各実施例で得られた導電体は、基材との密着性が高いものであることが判る。更に、実施例2と比較例1との対比から明らかなとおり、実施例2の導電体は、高温高湿下に長時間保存後であっても、体積抵抗率の低下が小さいものであることが判る。

Claims (8)

  1. 銅粒子、ギ酸銅−アミン錯体及び熱硬化性樹脂を含む導電性組成物であって、
    ギ酸銅−アミン錯体が下記の式(1)で表されるものであるか、又はギ酸銅と複素環化合物であるアジミン骨格を分子内にもつアミノ化合物との錯体であり、
    銅粒子の質量を基準としたギ酸銅−アミン錯体の質量比が3.0質量%以上25質量%以下であり、
    銅粒子の質量を基準とした熱硬化性樹脂の質量比が5質量%以上45質量%以下であり、
    前記導電性組成物は、導電性組成物の熱処理温度において、ギ酸銅−アミン錯体の熱分解終了後にゲル化するものである導電性組成物。
    式(1)中、R −R は、同一の又は異なる水素原子、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、直鎖又は分岐鎖のアルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基を表す。ただし、R 及びR の両方が同時に水素原子にはならず、R 及びR の両方が同時に水素原子にはならない。
  2. 前記導電性組成物は、該導電性組成物の熱処理温度において、ギ酸銅−アミン錯体の熱分解終了時間よりも、ゲルタイムが長いものである請求項1に記載の導電性組成物。
  3. 前記熱処理温度は、100℃以上200℃以下である請求項1又は2に記載の導電性組成物。
  4. 銅粒子は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50が0.05μm以上20μm以下である請求項1ないし3のいずれか一項に記載の導電性組成物。
  5. 銅粒子の表面がギ酸銅−アミン錯体によって被覆されている請求項1ないし4のいずれか一項に記載の導電性組成物。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の導電性組成物を基材表面に塗布して塗布体を形成し、該塗布体を加熱する工程を有する導電体の製造方法。
  7. 100℃以上200℃以下の温度範囲で、1分以上240分以下の時間にわたり加熱する請求項に記載の製造方法。
  8. 非還元雰囲気で加熱する請求項又はに記載の製造方法。
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