JP6468799B2 - スパウト付パウチ - Google Patents

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Description

本発明は、スパウト並びにその製造に用いる多層樹脂成形体及びそれが取付けられたスパウト付パウチに関する。
合成樹脂製のフィルムを袋状に溶着して形成した一般に「パウチ」と呼ばれる袋状容器において、内容物の酸化等を防ぐためにガスバリア性を有するものがある。パウチには合成樹脂製の一般に「スパウト」と呼ばれる注出具が装着されるスパウト付パウチがあるが、装着されるスパウトもガスバリア性を有するものであることが好ましい。
パウチは、重ね合わせた合成樹脂製フィルムの外縁部を溶着して袋状に製造するものであり、その形成に用いるフィルムにガスバリア性樹脂を用いることで、ガスバリア性に優れたパウチを容易に製造することができるが、スパウトは、通常、ポリエチレン乃至ポリプロピレン等の単一の樹脂を射出成形により製造するものであり、ポリエチレン乃至ポリプロピレンはガスバリア性が低いため、ガスバリア性を有するスパウトの製造方法については、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1に記載されたスパウトにおいては、中間層にガスバリア性樹脂層を有する多層且つ円筒形状のスリーブをインサート成形することにより、ガスバリア性を有するスパウトを製造している。
特開2007−238104号公報
従来のガスバリア性を有するスパウトには、以下の様な問題がある。ガスバリア樹脂層の端面が露出した状態で、パウチ内の内容物に常時接触させると、同樹脂成分が内容物に溶出し、衛生上好ましくない。この問題に対し、例えば、特許文献1に記載されたスパウトにおいては、スリーブをインサート成形する際に、当該端面を、スパウトを構成する樹脂で被覆することで解決しているが、金型の構造等が複雑となると共に製造工程が煩雑となるという欠点がある。
更に、特許文献1に記載のスパウトにおいては、スパウトの排出開口を封止キャップにより封止するが、該封止部分から酸素等の侵入を許すこととなってしまい、ガスバリア性が低下する要因となる。
そこで、本発明は、より容易に製造可能で且つよりガスバリア性を担保することのできるスパウトを提供することを目的とする。
本発明は、なくともスパウト本体と、多層樹脂成形体とからなり、該スパウト本体は、注出部と、基部と、該注出部及び該基部を貫通する注出孔とを備え、該多層樹脂成形体は、筒部と、鍔部とを備え、その最内層以外の何れかの層がガスバリア性樹脂層となっており、該筒部は、連通予定部が形成された頂壁を有すると共に該注出孔内に位置しており、該鍔部は、該基部の底面と底面視略同形に形成され、該ガスバリア性樹脂層が該鍔部の外周縁部のみ露出しているスパウトがパウチに取付けられたスパウト付パウチであって、該外周縁部パウチに溶着又は接着されていることを特徴とするスパウト付パウチである。
本発明は、スパウトを、少なくともスパウト本体と、上記の様な鍔部を有する多層性樹脂成形体からなるものとすることで、機能性樹脂層の端面である鍔部の外周縁部を、パウチと溶着又は接着させ、外部に露出しない様にすることが可能であるため、内容物への同樹脂成分の溶出を防止することができると共に、より容易にガスバリア性等を備えるスパウトを製造することができる。
又、本発明は、頂壁を有する多層性樹脂成形体を注出孔内に位置させることによって、開封前まで注出孔をガスバリア層等の機能性樹脂層で塞いでおくことができ、内容物の品質劣化、フレーバー低下を防ぐことができる。
本発明の第1及び第2実施形態を示す正面図である。 本発明の第1及び第2実施形態を示す底面図である。 本発明の第1実施形態を示す平面図である。 図3におけるIV−IV線断面図である。 図4の要部拡大図であり、(A)は頂壁付近の要部拡大図であり、(B)は鍔部の外周縁部付近の要部拡大図である。 本発明の第1実施形態の多層樹脂成形体を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態を示す平面図である。 図6におけるVIII−VIII線断面図である。 本発明の第2実施形態の多層樹脂成形体を示す斜視図である。 本発明の第1又は第2実施形態が取付けられたスパウト付パウチの一例である。
本発明の第1実施形態を図1乃至図6及び図10基づき説明する。先ず、スパウト1の構成について説明する。
スパウト1は、少なくともスパウト本体2と多層樹脂成形体(以下、成形体ともいう)3Aとから構成されている。スパウト本体2は、スパウト1の外壁面を形成しており、注出部20と、基部21と、注出部20の先端20bから基部21底面21bまで貫通する注出孔24とを備えている。注出部20は、略円筒形状に形成され、その外周面に上蓋(図示せず)を螺着するための螺条22が形成されている。基部21は、注出部20の基端20aと連続する様に設けられており、略舟形に形成されている。尚、本実施形態においては、基部21の外面21aには、外面21aをパウチ4に溶着するための複数のフランジ23が形成されている。
成形体3Aは、スパウト1の内壁面を形成しており、筒部33と鍔部34とを備えている。筒部33は、注出孔24内に位置する様に設けられた頂壁35を有する有頂無底の筒体である。従って、筒部33は、注出孔24内に収まる様な太さ(大きさ)に形成され、本実施形態においては、注出孔24と略同径に形成されている。
頂壁35は、平板状に形成されており、連通予定部36が形成されている。連通予定部36は、上蓋に形成された治具等(図示せず)によって容易に引き裂くことが可能となっており、それによって、スパウト付パウチ5内外を連通させる様になっている。尚、本実施形態において、連通予定部36は、略十文字状(略×字状)のミシン目状の弱化部であるが、その形状等は適宜変更可能である。
鍔部34は、筒部33の基端部33aより外方へと延在する様に形成されており、基部21の底面21bと底面視略同径、つまり、本実施形態においては略舟形、に形成される。又、鍔部34の外周縁部34aは、パウチ4に溶着又は接着可能に形成されている。
そして、成形体3Aは、少なくとも最内層30及び機能性樹脂層31の2層からなる。本実施形態においては、外層32、機能性樹脂層31及び最内層30の3層より形成される。最内層30を形成する樹脂は、常時、パウチ4内の内容物が触れても、同樹脂成分の溶出が起き難い又は略起きない樹脂より適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類又はポリ乳酸等のポリエステル類等から適宜選択される。尚、本実施形態において、最内層30と外層32とは、同一の樹脂で形成されていると共にスパウト本体2を形成する樹脂と同一の樹脂で形成されている。
機能性樹脂層31は、スパウト1に付与されることを所望する機能を有する樹脂、例えば、ガスバリア性を備えた樹脂によって形成されている。本実施形態においては、機能性樹脂層31を形成する樹脂として、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体やポリ塩化ビニリデン等に代表されるようなガスバリア性樹脂を採用している。尚、当該ガスバリア層は、酸素の透過を防止するものに限られず、他の気体、例えば、水蒸気や水素等の透過を防止するものであっても良い。
次に、成形体3A、スパウト1及びスパウト付パウチ5の製造方法について説明する。成形体3Aは、機能性樹脂層31が、外層32及び最内層30となる樹脂層により挟み込まれた樹脂シートを、真空(圧空)成形等の既存の成形方法で成形される。この際、機能性樹脂層31が露出する面は、鍔部34の外周縁部34aのみとなる様に形成される。
スパウト1は、成形された成形体3Aを金型(図示せず)内にセットし、インサート成形によって、スパウト本体2を成形すると共に成形される。そして、その後、任意に上蓋が螺着される。この際、スパウト本体2を、射出成形等の既存の方法で別途成形しておき、当該部材を成形体3Aに嵌着させることでスパウト1を成形してもよく、更に、スパウト本体2と成形体3Aを超音波や熱等によって溶着や接着することも可能である。
スパウト付パウチ5は、成形されたスパウト1を、内容物が充填されたパウチ4に基部21の外面21a及び鍔部34の外周縁部34aを溶着又は接着することでパウチ4にスパウト1を取付けて製造される。尚、この際、外周縁部34aは、それ全体をパウチ4に溶着又は接着しても良いが、少なくとも最内層30がパウチ4に溶着又は接着されていれば足りる。
従って、機能性樹脂層31が露出する鍔部34の外周縁部34aは、パウチ4によって被覆されていることになるため、パウチ4内の内容物が機能性樹脂層31に常時触れることを防止することができる。又、注出孔24は、ガスバリア層である機能性樹脂層31を有する成形体3Aの頂壁35によって、開封前は封止されていることになるため、注出孔24を介して、酸素等がパウチ4内に流入することも防止することが可能である。
以上、本発明を上記実施形態により説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。例えば、本発明の第2実施形態(図1、図2及び図7乃至図10を参照)の成形体3Bの様に、平板状の頂壁35の代わりに略ドーム状又は略半球状の頂壁35を形成ことも可能である。頂壁35を、略ドーム状又は略半球状にする副次的な効果として、連通予定部36を破断した後に、倒しても、直ちに液漏れすることを防止することができると共により容易な流量調整も可能となる。
又、連通予定部36の形態は適宜変更可能であり、例えば、連通予定部36を略V字又は略U字溝状の弱化部として形成することも可能である。又、成形体3A,3Bの層数は、必要に応じて適宜選択することができ、複数の機能性樹脂層31を有するものとすることもでき、この場合において、機能性樹脂層31を、各々同一の機能性樹脂より形成することもできるが、各々異なる機能性樹脂で形成することも可能である。そして、上記第1及び第2実施形態の各構成を適宜組み合わせることも可能である。
1 スパウト 2 スパウト本体 20 注出部
20a 基端 20b 先端 21 基部
21a 外面 21b 底面 22 螺条
23 フランジ 24 注出孔 3A 多層樹脂成形体
3B 多層樹脂成形体 30 最内層 31 機能性樹脂層
32 外層 33 筒部 33a 基端部
34 鍔部 34a 外周縁部 35 頂壁
36 連通予定部 4 パウチ 5 スパウト付パウチ

Claims (1)

  1. なくともスパウト本体と、多層樹脂成形体とからなり、該スパウト本体は、注出部と、基部と、該注出部及び該基部を貫通する注出孔とを備え、該多層樹脂成形体は、筒部と、鍔部とを備え、その最内層以外の何れかの層がガスバリア性樹脂層となっており、該筒部は、連通予定部が形成された頂壁を有すると共に該注出孔内に位置しており、該鍔部は、該基部の底面と底面視略同形に形成され、該ガスバリア性樹脂層が該鍔部の外周縁部のみ露出しているスパウトがパウチに取付けられたスパウト付パウチであって、
    外周縁部パウチに溶着又は接着されていることを特徴とするスパウト付パウチ
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