本発明の技術的思想は、あらゆる作業車両に適用することが可能である。本願では、代表的な作業車両であるトラクタを用いて説明する。
まず、トラクタ1について簡単に説明する。
図1は、トラクタ1を示している。図2は、図1の矢印Xから見た図であり、図3は、図1の矢印Yから見た図である。また、図4は、図1の矢印Zから見た図である。なお、図中には、トラクタ1の前後方向、左右方向及び上下方向を表す。
トラクタ1は、主に、フレーム11と、エンジン12と、トランスミッション13と、フロントアクスル14とリヤアクスル15と、で構成されている。また、トラクタ1は、キャビン16を備えている。キャビン16は、その内側が操縦室になっており、運転座席161のほか、アクセルペダル162やシフトレバー163などが配置されている(図7参照)。
フレーム11は、トラクタ1の前部における骨格をなす。フレーム11は、トランスミッション13やリヤアクスル15とともにトラクタ1のシャシを構成する。以下に説明するエンジン12は、フレーム11によって支持される。
エンジン12は、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを運動エネルギーに変換する。つまり、エンジン12は、燃料を燃やすことによって回転動力を生み出す。なお、エンジン12には、エンジン制御装置が接続されている(図示せず)。エンジン制御装置は、オペレータがアクセルペダル162(図7参照)を操作すると、その操作に応じてエンジン12の運転状態を変更する。また、エンジン12には、排気浄化装置12Eが備えられている。排気浄化装置12Eは、排気に含まれる微粒子や一酸化炭素、炭化水素などを酸化させる。
トランスミッション13は、エンジン12の回転動力をフロントアクスル14やリヤアクスル15に伝達する。トランスミッション13には、連結機構を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、トランスミッション13には、無段変速装置33が備えられている(図5参照)。無段変速装置33は、オペレータがシフトレバー163(図7参照)を操作すると、その操作に応じてトランスミッション13の作動状態を変更する。
フロントアクスル14は、エンジン12の回転動力をフロントタイヤ141に伝達する。フロントアクスル14には、トランスミッション13を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、フロントアクスル14には、操舵装置が並設されている(図示せず)。操舵装置は、オペレータがハンドル164(図7参照)を操作すると、その操作に応じてフロントタイヤ141の舵角を変更する。
リヤアクスル15は、エンジン12の回転動力をリヤタイヤ151に伝達する。リヤアクスル15には、トランスミッション13を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、リヤアクスル15には、PTO出力装置が設けられている(図示せず)。PTO出力装置は、オペレータがPTOスイッチ165(図7参照)を操作すると、その操作に応じて牽引する作業機械に回転動力を伝達する。
次に、トラクタ1の動力伝達系統について説明する。
図5は、トラクタ1の動力伝達系統を示している。図6は、無段変速装置33を示している。
トラクタ1の動力伝達系統は、主に、エンジン12と、トランスミッション13と、フロントアクスル14と、リヤアクスル15と、で構成されている。ここでは、トランスミッション13の構造に着目して説明する。
トランスミッション13は、無段変速装置33と、前後進切換装置34と、副変速装置35と、を備えている。
無段変速装置33は、入力シャフト331と出力シャフト332の回転速度の比を連続的に変更できる。入力シャフト331は、回転自在に支持されたプランジャブロック333に連結されている。プランジャブロック333は、高圧の作動油を送り出し、油圧ポンプ33Pとしての機能を果たす。出力シャフト332は、回転自在に支持されたモータケース334に連結されている。モータケース334は、高圧の作動油を受けることによって回転し、油圧モータ33Mとして機能を果たす。なお、出力シャフト332には、前進駆動ギヤ335と後進駆動ギヤ336が取り付けられている。
前後進切換装置34は、前進用クラッチ341と後進用クラッチ342を互いに独立して作動できる。前進用クラッチ341は、前進駆動ギヤ335に噛み合う前進従動ギヤ343を有している。前進用クラッチ341は、作動することにより、出力シャフト332の回転動力をセンターシャフト345に伝達する。後進用クラッチ342は、リバースギヤを介して後進駆動ギヤ336に噛み合う後進従動ギヤ344を有している。後進用クラッチ342は、作動することにより、出力シャフト332の回転動力をセンターシャフト345に伝達する。なお、センターシャフト345には、超低速駆動ギヤ346と一速駆動ギヤ347と二速駆動ギヤ348が取り付けられている。
副変速装置35は、超低速クラッチ351と一速クラッチ352と二速クラッチ353を互いに独立して作動できる。超低速クラッチ351は、超低速駆動ギヤ346に噛み合う超低速従動ギヤ354を有している。超低速クラッチ351は、作動することにより、センターシャフト345の回転動力をカウンタシャフト357に伝達する。一速クラッチ352は、一速駆動ギヤ347に噛み合う一速従動ギヤ355を有している。一速クラッチ352は、作動することにより、センターシャフト345の回転動力をカウンタシャフト357に伝達する。二速クラッチ353は、二速駆動ギヤ348に噛み合う二速従動ギヤ356を有している。二速クラッチ353は、作動することにより、センターシャフト345の回転動力をカウンタシャフト357に伝達する。なお、カウンタシャフト357には、フロントドライブギヤ358とリヤドライブギヤ359が取り付けられている。
このような構造により、カウンタシャフト357の回転動力は、フロントアクスル14を介してフロントタイヤ141に伝達される。また、カウンタシャフト357の回転動力は、リヤアクスル15を介してリヤタイヤ151に伝達される。
ところで、無段変速装置33は、作動状態を変更することにより、出力シャフト332の回転速度を変更できる。詳細に説明すると、無段変速装置33は、クレイドル337が可動して作動油の送り出し量を変えることにより、出力シャフト332の回転速度を変更できる。従って、トラクタ1は、無段変速装置33が出力シャフト332の回転を止めると、走行状態から停止することとなる。反対に、トラクタ1は、無段変速装置33が出力シャフト332を回転させると、停止状態から発進することとなる。また、トラクタ1は、無段変速装置33が出力シャフト332の回転速度を変えると、走行速度を変更することとなる。
次に、トラクタ1の操縦室について説明する。
図7は、運転座席161とその周囲を示している。また、図8は、オペレータの視界を示している。
上述したように、キャビン16は、その内側が操縦室になっており、運転座席161のほか、アクセルペダル162やシフトレバー163などが配置されている。また、運転座席161の周囲には、ブレーキペダル166やクラッチペダル167、リバーサレバー168、スピードダイヤル169、インストルメントパネル170、コントロールパネル171、変速レバー172、などが配置されている。オペレータは、運転座席161に座った状態でアクセルペダル162やシフトレバー163などを操作し、トラクタ1を操縦することができる。なお、オペレータがシフトレバー163を操作すると、副変速装置35が作動する。そして、シフトレバー163の操作位置(「超低速」、「一速」、「二速」のいずれかの位置)に応じて回転動力が伝達されることとなる。
更に、本トラクタ1においては、運転座席161の近傍にディスプレイ2を具備している。ディスプレイ2は、オペレータが右手で操作できるよう、運転座席161の右前側に配置されている。以下に、トラクタ1の情報ネットワークについて簡単に説明するとともに、ディスプレイ2及び該ディスプレイ2に関する制御システムについて説明する。
図9は、トラクタ1の情報ネットワークを示している。また、図10は、ディスプレイ2を示している。そして、図11は、ディスプレイ2に関する制御システムを示している。
本トラクタ1は、最大限の性能を発揮できるよう、各所に情報ネットワークが張り巡らされている。具体的には、エンジン12のほか、トランスミッション13、インストルメントパネル170、コントロールパネル171、ディスプレイ2が互いに情報を共有できるコントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)を構成している。
本トラクタ1において、ディスプレイ2は、サイドコンソールの上に配置されている(図7、図8参照)。ディスプレイ2は、液晶パネル21と、エンコーダダイヤル22と、エンターボタン23と、を有している。また、ディスプレイ2は、五つのコマンドボタン24・25・26・27・28を有している。
液晶パネル21は、ディスプレイ2の前面中央に設けられている。液晶パネル21は、制御装置3からの指示に基づいて所定の画面を表示できる。なお、液晶パネル21は、いわゆるタッチパネルであっても良い。
エンコーダダイヤル22は、ディスプレイ2の上面右側に設けられている。エンコーダダイヤル22は、液晶パネル21に表示された要素の選択に際して、タブをスクロールさせる若しくはハイライトをトラバースさせる旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる。
エンターボタン23は、エンコーダダイヤル22と一体的に設けられている。エンターボタン23は、液晶パネル21に表示された要素のうち、一の要素を決定した旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる。なお、本ディスプレイ2において、エンターボタン23は、エンコーダダイヤル22自体が押し込まれる構造となっているが、該エンコーダダイヤル22の上端面に押しボタンを設けた構造であっても良い。
コマンドボタン24・25・26・27・28は、ディスプレイ2の前面上部に設けられている。コマンドボタン24・25・26は、液晶パネル21に所定の画面が表示されている場合において、他の画面に切り替える旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる。コマンドボタン27は、エンターボタン23と同様に、一の要素を決定した旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる。コマンドボタン28は、液晶パネル21に所定の画面が表示されている場合において、一つ前の画面に戻る旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる。
次に、ブレーキペダル166の操作によって発進する際の加速特性を調節する操作方法について説明する。ここで、「ブレーキペダル166の操作によって発進する」とは、オペレータがブレーキペダル166の踏み込みをやめることによって停止状態から発進することをいう。また、「発進」とは、前進と後進を含む概念である。
所定の操作をした場合、ディスプレイ2には、第一設定画面S1が表示される(図12参照)。第一設定画面S1では、オペレータがブレーキペダル166の踏み込みをやめて発進する際の加速特性を調節することができる。第一設定画面S1では、操作方法が記されたダイヤログボックスD1が表示される。また、第一設定画面S1では、一つのスライドバーB1が表示される。以降に、スライドバーB1の意味について具体的に説明する。
スライドバーB1は、オペレータがブレーキペダル166の踏み込みをやめて発進するときの加速特性を調節可能とした部分である。スライドバーB1は、左端側が遅鈍な加速特性になる方向であり、右端側が鋭敏な加速特性になる方向である。また、スライドバーB1の略中央部では、矢印A1が標準状態となる位置を指し示している。つまり、スライドバーB1のインジケータI1が矢印A1にある場合は、標準的な加速特性が実現され、オペレータの操作に対して過不足なく加速していくこととなる(図16(A)のX参照)。一方、スライドバーB1のインジケータI1が矢印A1よりも左側にある場合は、標準状態よりも遅鈍な加速特性が実現され、オペレータの操作に対してゆっくり加速していくこととなる(図16(A)のY参照)。他方、スライドバーB1のインジケータI1が矢印A1よりも右側にある場合は、標準状態よりも鋭敏な加速特性が実現され、オペレータの操作に対して素早く加速していくこととなる(図16(A)のZ参照)。
このような加速特性の調節は、制御装置3が無段変速装置33の応答速度を調節することによって実現される。具体的に説明すると、無段変速装置33を構成するクレイドル337が可動する速度を調節することによって実現される。なお、本トラクタ1においては、発進してから所定の時間Tが過ぎると、加速度が一定となる。オペレータは、かかる時間Tを任意に設定することができる。
このように、本トラクタ1(作業車両)は、操縦具としてブレーキ操作具(ブレーキペダル166)を具備している。そして、本トラクタ1(作業車両)は、ブレーキ操作具(ブレーキペダル166)の操作によって発進する際の加速特性を調節できる。これにより、本トラクタ1(作業車両)は、オペレータの好みに合ったドライブフィーリングを実現できる。
次に、クラッチペダル167の操作によって発進する際の加速特性を調節する操作方法について説明する。ここで、「クラッチペダル167の操作によって発進する」とは、オペレータがクラッチペダル167の踏み込みをやめることによって停止状態から発進することをいう。また、「発進」とは、前進と後進を含む概念である。
所定の操作をした場合、ディスプレイ2には、第二設定画面S2が表示される(図13参照)。第二設定画面S2では、オペレータがクラッチペダル167の踏み込みをやめて発進する際の加速特性を調節することができる。第二設定画面S2では、操作方法が記されたダイヤログボックスD2が表示される。また、第二設定画面S2では、一つのスライドバーB2が表示される。以降に、スライドバーB2の意味について具体的に説明する。
スライドバーB2は、オペレータがクラッチペダル167の踏み込みをやめて発進するときの加速特性を調節可能とした部分である。スライドバーB2は、左端側が遅鈍な加速特性になる方向であり、右端側が鋭敏な加速特性になる方向である。また、スライドバーB2の略中央部では、矢印A2が標準状態となる位置を指し示している。つまり、スライドバーB2のインジケータI2が矢印A2にある場合は、標準的な加速特性が実現され、オペレータの操作に対して過不足なく加速していくこととなる(図16(B)のX参照)。一方、スライドバーB2のインジケータI2が矢印A2よりも左側にある場合は、標準状態よりも遅鈍な加速特性が実現され、オペレータの操作に対してゆっくり加速していくこととなる(図16(B)参照)。他方、スライドバーB2のインジケータI2が矢印A2よりも右側にある場合は、標準状態よりも鋭敏な加速特性が実現され、オペレータの操作に対して素早く加速していくこととなる(図16(B)のZ参照)。
このような加速特性の調節は、制御装置3が無段変速装置33の応答速度を調節することによって実現される。具体的に説明すると、無段変速装置33を構成するクレイドル337が可動する速度を調節することによって実現される。なお、本トラクタ1においては、発進してから所定の時間Tが過ぎると、加速度が一定となる。オペレータは、かかる時間Tを任意に設定することができる。
このように、本トラクタ1(作業車両)は、操縦具としてクラッチ操作具(クラッチペダル167)を具備している。そして、本トラクタ1(作業車両)は、クラッチ操作具(クラッチペダル167)の操作によって発進する際の加速特性を調節できる。これにより、本トラクタ1(作業車両)は、オペレータの好みに合ったドライブフィーリングを実現できる。
次に、リバーサレバー168の操作によって発進する際の加速特性を調節する操作方法について説明する。ここで、「リバーサレバー168の操作によって発進する」とは、オペレータがリバーサレバー168を所定の位置に設定することによって停止状態から発進することをいう。また、「発進」とは、前進と後進を含む概念である。
所定の操作をした場合、ディスプレイ2には、第三設定画面S3が表示される(図14参照)。第三設定画面S3では、オペレータがリバーサレバー168を所定の位置に動かして発進する際の加速特性を調節することができる。第三設定画面S3では、操作方法が記されたダイヤログボックスD3が表示される。また、第三設定画面S3では、一つのスライドバーB3が表示される。以降に、スライドバーB3の意味について具体的に説明する。
スライドバーB3は、オペレータがリバーサレバー168を所定の位置に動かして発進するときの加速特性を調節可能とした部分である。スライドバーB3は、左端側が遅鈍な加速特性になる方向であり、右端側が鋭敏な加速特性になる方向である。また、スライドバーB3の略中央部では、矢印A3が標準状態となる位置を指し示している。つまり、スライドバーB3のインジケータI3が矢印A3にある場合は、標準的な加速特性が実現され、オペレータの操作に対して過不足なく加速していくこととなる(図16(C)のX参照)。一方、スライドバーB3のインジケータI3が矢印A3よりも左側にある場合は、標準状態よりも遅鈍な加速特性が実現され、オペレータの操作に対してゆっくり加速していくこととなる(図16(C)のY参照)。他方、スライドバーB3のインジケータI3が矢印A3よりも右側にある場合は、標準状態よりも鋭敏な加速特性が実現され、オペレータの操作に対して素早く加速していくこととなる(図16(C)のZ参照)。
このような加速特性の調節は、制御装置3が無段変速装置33の応答速度を調節することによって実現される。具体的に説明すると、無段変速装置33を構成するクレイドル337が可動する速度を調節することによって実現される。なお、本トラクタ1においては、発進してから所定の時間Tが過ぎると、加速度が一定となる。オペレータは、かかる時間Tを任意に設定することができる。
このように、本トラクタ1(作業車両)は、操縦具として前後進切り替え操作具(リバーサレバー168)を具備している。そして、本トラクタ1(作業車両)は、前後進切り替え操作具(リバーサレバー168)の操作によって発進する際の加速特性を調節できる。これにより、本トラクタ1(作業車両)は、オペレータの好みに合ったドライブフィーリングを実現できる。
加えて、本トラクタ1(作業車両)は、前後進切り替え操作具(リバーサレバー168)の操作によって走行方向を逆転させて発進(前進から後進への切り替え発進又は後進から前進への切り替え発進)する際の加速特性を調節できる。これにより、本作業車両は、オペレータの好みに合ったドライブフィーリングを実現できる。
次に、変速レバー172の操作によって発進する際の加速特性を調節する操作方法について説明する。ここで、「変速レバー172の操作によって発進する」とは、オペレータが変速レバー172を任意の位置に設定することによって停止状態から発進することをいう。また、「発進」とは、前進と後進を含む概念である。
所定の操作をした場合、ディスプレイ2には、第四設定画面S4が表示される(図15参照)。第四設定画面S4では、オペレータが変速レバー172を任意の位置に動かして発進する際の加速特性を調節することができる。第四設定画面S4では、操作方法が記されたダイヤログボックスD4が表示される。また、第四設定画面S4では、一つのスライドバーB4が表示される。以降に、スライドバーB4の意味について具体的に説明する。
スライドバーB4は、オペレータが変速レバー172を任意の位置に動かして発進するときの加速特性を調節可能とした部分である。スライドバーB4は、左端側が遅鈍な加速特性になる方向であり、右端側が鋭敏な加速特性になる方向である。また、スライドバーB4の略中央部では、矢印A4が標準状態となる位置を指し示している。つまり、スライドバーB4のインジケータI4が矢印A4にある場合は、標準的な加速特性が実現され、オペレータの操作に対して過不足なく加速していくこととなる(図16(D)のX参照)。一方、スライドバーB4のインジケータI4が矢印A4よりも左側にある場合は、標準状態よりも遅鈍な加速特性が実現され、オペレータの操作に対してゆっくり加速していくこととなる(図16(D)のY参照)。他方、スライドバーB4のインジケータI4が矢印A4よりも右側にある場合は、標準状態よりも鋭敏な加速特性が実現され、オペレータの操作に対して素早く加速していくこととなる(図16(D)のZ参照)。
このような加速特性の調節は、制御装置3が無段変速装置33の応答速度を調節することによって実現される。具体的に説明すると、無段変速装置33を構成するクレイドル337が可動する速度を調節することによって実現される。なお、本トラクタ1においては、発進してから所定の時間Tが過ぎると、加速度が一定となる。オペレータは、かかる時間Tを任意に設定することができる。
このように、本トラクタ1(作業車両)は、操縦具として変速操作具(変速レバー172)を具備している。そして、本トラクタ1(作業車両)は、変速操作具(変速レバー172)の操作によって発進する際の加速特性を調節できる。これにより、本トラクタ1(作業車両)は、オペレータの好みに合ったドライブフィーリングを実現できる。
加えて、本トラクタ1(作業車両)は、変速操作具(変速レバー172)の操作によって走行速度を変更(走行速度を増速する変更又は走行速度を減速する変更)する際の加速特性を調節できる。これにより、本作業車両は、オペレータの好みに合ったドライブフィーリングを実現できる。
以上より、本トラクタ1においては、操縦具(ブレーキペダル166・クラッチペダル167・・・)ごとに加速特性を調節することができる。そのため、例えば、ブレーキペダル166やクラッチペダル167の踏み込みをやめて発進するときの加速特性を標準的なものとし(図17のX参照)、リバーサレバー168を所定の位置に動かして発進するときの加速特性を緩慢にし(図17のY参照)、変速レバー172を任意の位置に動かして発進するときの加速特性を急激にする(図17のZ参照)ことができる。なお、ディスプレイ2には、全ての操縦具(ブレーキペダル166・クラッチペダル167・・・)について加速特性を調節できる一の画面が表示されるとしても良い。
次に、シフトレバー163の操作位置(「超低速」、「一速」、「二速」の位置)ごとに加速特性を調節する操作方法について説明する。ここで、「加速特性」とは、停止状態から発進する際の加速特性のほか、走行速度を変更した際の加速特性も含む。また、「発進」とは、前進と後進を含む概念である。
所定の操作をした場合、ディスプレイ2には、第五設定画面S5が表示される(図18参照)。第五設定画面S5では、シフトレバー163の操作位置(「超低速」、「一速」、「二速」の位置)ごとに加速特性を調節することができる。第五設定画面S5では、操作方法が記されたダイヤログボックスD5が表示される。また、第五設定画面S5では、三つのスライドバーBa5・Bb5・Bc5が表示される。以降に、各スライドバーBa5・Bb5・Bc5の意味について具体的に説明する。
スライドバーBa5は、シフトレバー163の操作位置が「超低速」であるときの加速特性を調節可能とした部分である。スライドバーBa5は、左端側が遅鈍な加速特性になる方向であり、右端側が鋭敏な加速特性になる方向である。また、スライドバーBa5の略中央部では、矢印A5が標準状態となる位置を指し示している。つまり、スライドバーBa5のインジケータIa5が矢印A5にある場合は、標準的な加速特性が実現され、オペレータの操作に対して過不足なく加速していくこととなる(図19(A)のX参照)。一方、スライドバーBa5のインジケータIa5が矢印A5よりも左側にある場合は、標準状態よりも遅鈍な加速特性が実現され、オペレータの操作に対してゆっくり加速していくこととなる(図19(A)のY参照)。他方、スライドバーBa5のインジケータIa5が矢印A5よりも右側にある場合は、標準状態よりも鋭敏な加速特性が実現され、オペレータの操作に対して素早く加速していくこととなる(図19(A)のZ参照)。
スライドバーBb5は、シフトレバー163の操作位置が「一速」であるときの加速特性を調節可能とした部分である。スライドバーBb5は、左端側が遅鈍な加速特性になる方向であり、右端側が鋭敏な加速特性になる方向である。また、スライドバーBb5の略中央部では、矢印A5が標準状態となる位置を指し示している。つまり、スライドバーBb5のインジケータIb5が矢印A5にある場合は、標準的な加速特性が実現され、オペレータの操作に対して過不足なく加速していくこととなる(図19(B)のX参照)。一方、スライドバーBb5のインジケータIb5が矢印A5よりも左側にある場合は、標準状態よりも遅鈍な加速特性が実現され、オペレータの操作に対してゆっくり加速していくこととなる(図19(B)のY参照)。他方、スライドバーBb5のインジケータIb5が矢印A5よりも右側にある場合は、標準状態よりも鋭敏な加速特性が実現され、オペレータの操作に対して素早く加速していくこととなる(図19(B)のZ参照)。
スライドバーBc5は、シフトレバー163の操作位置が「二速」であるときの加速特性を調節可能とした部分である。スライドバーBc5は、左端側が遅鈍な加速特性になる方向であり、右端側が鋭敏な加速特性になる方向である。また、スライドバーBc5の略中央部では、矢印A5が標準状態となる位置を指し示している。つまり、スライドバーBc5のインジケータIc5が矢印A5にある場合は、標準的な加速特性が実現され、オペレータの操作に対して過不足なく加速していくこととなる(図19(C)のX参照)。一方、スライドバーBc5のインジケータIc5が矢印A5よりも左側にある場合は、標準状態よりも遅鈍な加速特性が実現され、オペレータの操作に対してゆっくり加速していくこととなる(図19(C)のY参照)。他方、スライドバーBc5のインジケータIc5が矢印A5よりも右側にある場合は、標準状態よりも鋭敏な加速特性が実現され、オペレータの操作に対して素早く加速していくこととなる(図19(C)のZ参照)。
このような加速特性の調節は、制御装置3が無段変速装置33の応答速度を調節することによって実現される。具体的に説明すると、無段変速装置33を構成するクレイドル337が可動する速度を調節することによって実現される。なお、本トラクタ1においては、発進してから所定の時間Tが過ぎると、加速度が一定となる。オペレータは、かかる時間Tを任意に設定することができる。
このように、本トラクタ1(作業車両)は、無段変速装置33を含むトランスミッション13と、トランスミッション13の作動状態を変更するシフトレバー163と、を具備している。そして、本トラクタ1(作業車両)は、シフトレバー163の操作位置(「超低速」、「一速」、「二速」の位置)ごとに加速特性を調節できる。これにより、本トラクタ1(作業車両)は、オペレータの好みに合ったドライブフィーリングを実現できる。
以上より、本トラクタ1においては、シフトレバー163の操作位置(「超低速」、「一速」、「二速」の位置)ごとに加速特性を調節することができる。そのため、例えば、シフトレバー163の操作位置が「超低速」であるときの加速特性を標準的なものとし(図20のX参照)、シフトレバー163の操作位置が「一速」であるときの加速特性を緩慢にし(図20のY参照)、シフトレバー163の操作位置が「二速」であるときの加速特性を急激にする(図20のZ参照)ことができる。なお、ディスプレイ2には、シフトレバー163の全ての操作位置(「超低速」、「一速」、「二速」の位置)について加速特性を調節できる一の画面が表示されるとしても良い。
まとめると、本トラクタ1(作業車両)は、操縦具(ブレーキペダル166・クラッチペダル167・・・)を具備している。そして、本トラクタ1(作業車両)は、操縦具(ブレーキペダル166・クラッチペダル167・・・)の操作によって発進及び走行速度を変更する際の加速特性を調節できる。これにより、本トラクタ1(作業車両)は、オペレータの好みに合ったドライブフィーリングを実現できる。
なお、トラクタ1に取り付けられた作業機械に応じて発進及び走行速度を変更する際の加速特性を調節できるとしても良い。また、トラクタ1の牽引荷重に応じて発進及び走行速度を変更する際の加速特性を調節できるとしても良い。このようにすれば、圃場を荒らさずに効率良く作業を行なうことが可能となる。