JP6468716B2 - リソグラフィー用洗浄液、及び基板のエッチング加工方法 - Google Patents
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Description
本発明に係るリソグラフィー用洗浄液は、塩基性化合物と、水溶性有機溶剤と、水と、LogP値が0.5以下である多価メルカプタン化合物とを含有する。本発明に係るリソグラフィー用洗浄液は、例えば、タングステン、コバルト、銅、及びこれらのいずれかの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属からなる金属領域を備え、上記金属領域の少なくとも一部が表面に露出した基板の洗浄に用いられる。上記基板としては、シリコンウェーハ等の基板上に金属配線層、低誘電体層、絶縁層等を積層して半導体デバイスが形成された基板が挙げられる。本発明に係るリソグラフィー用洗浄液は、タングステン、コバルト、銅、及びこれらのいずれかの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属に対する腐食抑制機能に優れる。そのため、上記基板の洗浄時に、本発明に係るリソグラフィー用洗浄液が上記金属領域に接触しても、上記金属領域の腐食は良好に抑制される。
以下、本発明に係るリソグラフィー用洗浄液の各成分を詳細に説明するが、特に断らない限り、上記成分としては市販のものを用いることができる。
塩基性化合物としては、エッチング処理後に残存する残渣物を除去することができるものであれば、特に限定されない。塩基性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水溶性有機溶剤としては、当該分野で慣用される化合物を用いることができる。水溶性有機溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水の含有量は、リソグラフィー用洗浄液全量に対し、10〜80質量%であることが好ましく、35〜70質量%であることがより好ましく、55〜80質量%であることが更により好ましい。このような含有量とすることにより、タングステン、コバルト、銅、及びこれらのいずれかの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属の腐食を抑えながら、エッチング処理後に残存する残渣物を効果的に除去することができる。
本発明に係るリソグラフィー用洗浄液は、LogP値が0.5以下である多価メルカプタン化合物を含有し、タングステン、コバルト、銅、及びこれらのいずれかの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属に対する腐食抑制機能に優れる。上記多価メルカプタン化合物は、優れた溶解性により、本発明に係るリソグラフィー用洗浄液中で安定に存在するとともに、高い酸化防止作用により、上記金属に対して優れた腐食抑制機能を発揮する。上記多価メルカプタン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るリソグラフィー用洗浄液には、防食剤、界面活性剤等の、その他の成分が添加されてもよい。防食剤としては、特に限定されず、例えば、イミダゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、LogP値が0.5以下である多価メルカプタン化合物以外のメルカプト基含有化合物等が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
本発明に係る基板のエッチング加工方法は、タングステン、コバルト、銅、及びこれらのいずれかの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属からなる金属領域を備える基板の表面に、所定のパターンのエッチングマスク層を形成するエッチングマスク層形成工程と、上記エッチングマスク層より露出する上記基板をエッチングするエッチング工程と、本発明に係るリソグラフィー用洗浄液を用いて、エッチングされた上記基板を洗浄する洗浄工程とを含むものであり、上記洗浄工程において、上記基板の表面には上記金属領域の少なくとも一部が露出している。
以下、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る基板のエッチング加工方法について説明する。
エッチングマスク層形成工程では、図1(a)及び図1(b)に示されるように、タングステン、コバルト、銅、及びこれらのいずれかの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属からなる金属領域11を備える基板10の表面に、所定のパターンのエッチングマスク層12を形成する。エッチングマスク層12の材料は特に限定されない。エッチングマスク層12の好適な材料としては、例えば、種々のレジスト材料や、SiO2やSiN等の無機ケイ素化合物が挙げられる。エッチングマスク層12がレジスト材料からなる場合、エッチングマスク層12は、従来公知のフォトリソグラフィー法により形成される。エッチングマスク層12が無機ケイ素化合物である場合、エッチングマスク層12は、基板10の表面に無機ケイ素化合物の薄膜を形成した後、無機ケイ素化合物の薄膜上にエッチングマスク層12の開口部に相当する箇所に開口を有するレジストパターンを形成し、レジストパターンの開口部から露出する無機ケイ素化合物の薄膜をエッチングにより剥離させ、次いで、レジストパターンを除去することにより形成することができる。また、エッチングマスク層12は、エッチングマスク層12に相当する箇所に開口を有するレジストパターンを形成した後、CVD法により無機ケイ素化合物をレジストパターンの開口部に堆積させ、次いで、レジストパターンを除去する方法によっても形成することができる。
エッチング工程では、図1(b)及び図1(c)に示されるように、エッチングマスク層12より露出する基板10をエッチングして凹部13を形成する。凹部13の形成により、基板10の表面には金属領域11の少なくとも一部が露出する。エッチング工程において、エッチングマスク層12より露出する基板10をエッチングする方法としては、特に限定されず、例えば、プラズマ(酸素、アルゴン等)、コロナ放電等によるドライエッチングが挙げられる。
洗浄工程では、図1(d)に示されるように、本発明に係るリソグラフィー用洗浄液14を用いて、エッチングされた基板10を洗浄する。この際、金属領域11の少なくとも一部は、基板10の表面に露出しており、リソグラフィー用洗浄液14と接触する。リソグラフィー用洗浄液14は、タングステン、コバルト、銅、及びこれらのいずれかの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属に対する腐食抑制機能に優れる。そのため、リソグラフィー用洗浄液14が金属領域11に接触しても、金属領域11の腐食は良好に抑制される。よって、洗浄工程を経ることにより、金属領域11の腐食を抑えながら、エッチング処理後に残存する残渣物を効果的に除去することができる。
TMAH:テトラメチルアンモニウム水酸化物
溶剤1:3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール
化合物1:1,3−ジメルカプトプロパノール(HS−CH2−CH(OH)−CH2−SH、2価メルカプタン化合物、LogP値:0.092)
化合物2:ジチオトレイトール(HS−CH2−CH(OH)−CH(OH)−CH2−SH、2価メルカプタン化合物、LogP値:−0.316)
化合物3:トリメルカプトペンタエリスリトール(HO−CH2−C(CH2−SH)3、3価メルカプタン化合物、LogP値:0.206)
比較化合物1:チオグリセロール(HO−CH2−CH(OH)−CH2−SH、1価メルカプタン化合物、LogP値:0.168)
比較化合物2:ヘプタンチオール(n−C7H15−SH、1価メルカプタン化合物、LogP値:2.7)
比較化合物3:メルカプトエトキシエトキシエタノール(HS−(CH2CH2O)2−CH2CH2−OH、1価メルカプタン化合物、LogP値:−0.451)
比較化合物4:テトラメルカプトペンタエリスリトール(C(CH2−SH)4、4価メルカプタン化合物、LogP値:0.793)
表1に示す材料を表1に示す量(単位:質量%)で混合し、リソグラフィー用洗浄液を調製した。なお、各試薬については、特に記載の無いものに関しては、一般に市販されている試薬を用いた。また、実施例及び比較例(比較例1を除く。)の間でメルカプト基のモル数が等しくなるように、メルカプタン化合物の量を調整した。
タングステン又はコバルトをシリコン基板上に成膜し、100nmのタングステン層又はコバルト層を備えたシリコン基板を得た。このシリコン基板を、50℃に加温した上記リソグラフィー用洗浄液に60分浸漬させた。浸漬終了後、シリコン基板を純水でリンスし、タングステン層又はコバルト層の膜厚を測定して、浸漬前後の膜厚の差からタングステン層又はコバルト層のエッチング速度を求めた。結果を表1に示す。
上記エッチング後、コバルト層を備えたシリコン基板上のコバルト層の表面状態をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
良好:コバルト層の表面は滑らかであり、荒れは生じていなかった。
不良:コバルト層の表面に荒れが生じていた。
一方、1価メルカプタン化合物を含有する比較例2及び4のリソグラフィー用洗浄液は、メルカプタン化合物を含有しない比較例1のリソグラフィー用洗浄液と比較して、タングステン層のエッチング速度が遅かったが、依然として、タングステンに対する腐食抑制機能に劣っていた。また、比較例2及び4のリソグラフィー用洗浄液は、比較例1のリソグラフィー用洗浄液と比較して、コバルト層のエッチング速度が著しく上昇しており、むしろコバルトに対する腐食が促進されていた。
比較例3では、LogP値が0.5超である1価メルカプタン化合物が本願の洗浄液組成に溶解しなかったため、リソグラフィー用洗浄液を評価することができなかった。
比較例5で用いたメルカプタン化合物は、多価であるものの、LogP値が0.5超であり、本願の洗浄液組成に溶解しなかったため、リソグラフィー用洗浄液を評価することができなかった。
11 金属領域
12 エッチングマスク層
13 凹部
14 本発明に係るリソグラフィー用洗浄液
Claims (6)
- 塩基性化合物と、水溶性有機溶剤と、水と、LogP値が0.5以下である多価メルカプタン化合物とを含有し、
タングステン、コバルト、及びこれらのいずれかの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属からなる金属領域を備え、前記金属領域の少なくとも一部が表面に露出した基板の洗浄に用いられるリソグラフィー用洗浄液。 - 前記多価メルカプタン化合物が2価メルカプタン化合物、3価メルカプタン化合物、又はこれらの組み合わせである請求項1に記載のリソグラフィー用洗浄液。
- 前記多価メルカプタン化合物中の炭素数が3〜8である請求項1又は2に記載のリソグラフィー用洗浄液。
- 前記多価メルカプタン化合物が少なくとも1個の水酸基を有する請求項1から3のいずれか1項に記載のリソグラフィー用洗浄液。
- 前記多価メルカプタン化合物が1,3−ジメルカプトプロパノール、ジチオトレイトール、及びトリメルカプトペンタエリスリトールからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1から4のいずれか1項に記載のリソグラフィー用洗浄液。
- タングステン、コバルト、及びこれらのいずれかの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属からなる金属領域を備える基板の表面に、所定のパターンのエッチングマスク層を形成するエッチングマスク層形成工程と、
前記エッチングマスク層より露出する前記基板をエッチングするエッチング工程と、
請求項1から5のいずれか1項に記載のリソグラフィー用洗浄液を用いて、エッチングされた前記基板を洗浄する洗浄工程とを含み、
前記洗浄工程において、前記基板の表面には前記金属領域の少なくとも一部が露出している、基板のエッチング加工方法。
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