以下、図面を参照して、本発明の入力スイッチおよび入力装置の具体的な実施形態について説明をする。なお、各図面の寸法は適宜変更して示している。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態おける入力スイッチ1は、主に絶縁性樹脂からなる略長方状のハウジング2と、入力スイッチ1内をX1−X2方向にスライドするスライド部材3と、該スライド部材3を包み込んでハウジング2上に保持するための金属製のフレーム部材4を備えている。
まず、ハウジング2について図2乃至図4および図7を用いて説明する。図2に示すように、ハウジング2の上面2aのX1方向側の端部には、略円形の第1凹部5が形成されている。この第1凹部5の底部5aの中心部には、円盤状の第1中央固定接点部6がハウジング2にインサート成形にて配置されており、その中心にはV字溝6aが形成されている。
第1凹部5の周縁部分のハウジング2中央側には、略四角形形状の2つの第1周縁固定接点部7、7がハウジング2にインサート成形にて配置されている。また、2つの第1周縁固定接点部7、7とは反対側の第1凹部5の周縁には、半円状の第1台座8が形成されおり、第1中央固定接点部6、第1周縁固定接点部7、7と第1台座8の上面の高さは同一となるように配置されている。
ハウジング2の上面2aのX2方向の端部には、第1凹部5と対称な形状の第2凹部9が形成されている。この第2凹部9の底部9aの中心部にも、円盤状の第2中央固定接点部10がハウジング2にインサート成形にて配置されており、その中心にはV字溝10aが形成されている。
第2凹部9の周縁部分のハウジング2中央側には、略四角形形状の2つの第2周縁固定接点部11、11がハウジング2にインサート成形にて配置されている。また、2つの第2周縁固定接点部11、11とは反対側の第2凹部9の周縁には、半円状の第2台座12が形成されおり、第2中央固定接点部10、第2周縁固定接点部11、11と第2台座12の上面の高さは同一となるように配置されている。
またハウジング2の上面2aには、第1凹部5と第2凹部9を繋ぐように段差溝2bが形成されており、ハウジング2の四隅にはフレーム部材4を支えるためのフレーム支柱2c、2c、2c、2cが形成されている。このフレーム支柱2c、2c、2c、2cの上面部2d、2d、2d、2dがフレーム部材4の下面と当接させることにより、ハウジング2とフレーム部材4の間に、スライド部材3を保持しスライドさせるための空間が形成される。ハウジング2のフレーム支柱2c、2c、2c、2cの下部には、フレーム部材4を取り付けるための絞り部2e、2e、2e、2eが形成されており、その近傍に外部接続端子13a、13b、13c、13dが露出している。
第1凹部5の内部には、導電性金属からなるドーム形状の第1可動接点部材14が配置されている。この第1可動接点部材14の周縁部分の一部が第1周縁固定接点部7、7と第1台座8上に常に接しており、その頂部14aは第1中央固定接点部6の上方空間に離間状態で位置している。
同様に第2凹部9の内部にも、導電性金属からなるドーム形状の第2可動接点部材15が配置されている。この第2可動接点部材15の周縁部分の一部が第2周縁固定接点部11、11と第2台座12上に常に接しており、その頂部15aは第2中央固定接点部10の上方空間に離間状態で位置している。
図4に、ハウジング2にインサート成形されている各固定接点部の構造を示す。図4(a)は上面図であり、図4(b)は側面図である。各図に示すように、一端に第1中央固定接点部6がZ2方向に突出して形成され、他端にZ2方向に直角に折り曲げられた外部接続端子13aを有する端子部品16aが一枚の導電性の金属板を打ち抜き・プレス加工して製造される。また、一端に第1周縁固定接点部7、7がZ2方向に突出して形成され、他端がZ2方向に直角に折り曲げられた外部接続端子13bを有する端子部品16bが製造される。同様に、第2中央固定接点部10と外部接続端子13cを有する端子部品16cと、第2周縁固定接点部11、11と外部接続端子13dを有する端子部品16dが製造される。これらの端子部品13a、13b、13c、13dをインサート成形用金型内に配置して合成樹脂を流し込むことにより、ハウジング2が出来上がる。
また図3や図7に示すように、ハウジング2の上面2aには、段差溝2b、第1凹部5および第2凹部9を全て覆うように絶縁シート17が配置されている。この絶縁シート17は、ハウジング2の上面2aと接する接合面全体をレーザー溶着することにより、第1可動接点部材14と第2可動接点部材15をそれぞれ第1凹部5、第2凹部9内に保持するとともに、この入力スイッチ1を防塵・防水に対応できるものとしている。
またスライド部材3は、図2、図5および図6に示すように、立方体状のスライダ本体部3aと、スライダ本体部3aのY1方向の側面下部からX1−X2方向に延びるスライダ脚部3bと、スライダ本体部3aのY2方向の側面下部からX1−X2方向に延びるスライダ脚部3cと、スライダ本体部3aからスライダ脚部3b、3c間をX1方向に延びる角柱状の第1腕部3dと、第1腕部3dとは反対のX2方向に延びる第2腕部3eを有しており、それぞれ第1可動接点部材14の頂部14aと第2可動接点部材15の頂部15aの上方近傍に配置されるような長さで設計されている。
スライド部材3の下面3a1のスライダ脚部3b、3c端部には、それぞれ摺動凸部3f、3f、3g、3gがX1−X2方向に細長く形成されている。この各摺動凸部3f、3f、3g、3gのZ軸方向の高さは、絶縁シート17の厚さよりも高くなっており、また摺動凸部3f、3fと摺動凸部3g、3gのY軸方向の間隔は、絶縁シート17のY軸方向の幅よりも広く、かつハウジング2のZ軸方向の幅よりも狭くなるように設定されている。これにより、各摺動凸部3f、3f、3g、3gは、絶縁シート17を避けて、ハウジング2の上面2a上を直接摺動することとなる。
またスライド部材3の第1腕部3dのX1方向の先端上部はY1−Y2を軸とした円柱状の曲面部3d1となっており、第1腕部3dのX1方向の先端下部には、半球状の突起3d2が形成されている。同様に、第2腕部3eのX2方向の先端上部はY1−Y2を軸とした円柱状の曲面部3e1となっており、第2腕部3eのX2方向の先端下部には、半球状の突起3e2が形成されている。
フレーム部材4は、図2および図7に示すように、アルミ等の金属板をX1−X2方向に長い蓋状の長方体に成形したものであり、そのZ2方向の上面にはスライダ本体部3aの上部3a2を突出させるための長方形の窓部18が形成されている。また図7に示すように、この窓部18のX1方向近傍には、Z1方向に突出する第1凸部19がプレス絞り加工で形成されている。この第1凸部19のX2方向の側面には、X1方向からX2方向に向かうにしたがって深くなるような傾斜面19aとなっており、その底部19bはハウジング2上の絶縁シート17に接する深さとなるように形成されている。
またフレーム部材4の窓部18のX2方向近傍には、第1凸部19と対称な形状の第2凸部20が同様に形成されており、この第2凸部20の窓部18側は、X2方向に向かうにしたがってZ1方向に深くなる傾斜面20aとなっており、その底部20bはハウジング2上の絶縁シート17に接する深さとなるように形成されている。
このフレーム部材4のX1−X2方向の両端には、ハウジング2の絞り部2e、2e、e、2e、2eに係合する第1係合腕部21、21、21、21と、ハウジング2のフレーム支柱2c、2c間に係合する第2係合腕部22、22が設けられている。そして、第1可動接点部材14、第2可動接点部材15、絶縁シート17、スライド部材3をハウジング2上の配置したのち、フレーム部材4をハウジング2に取り付けて、第1係合腕部21、21、21、21と第2係合腕部22、22をハウジング2側に折り曲げることによりにより、フレーム部材4をハウジング2に固定して入力スイッチ1が完成する。
次に、入力スイッチ1の動作について説明する。図7は入力スイッチ1の初期位置を示しており、第1可動接点部材14と第2可動接点部材15の周縁部が第1周縁固定接点部7、7と第2周縁固定接点部11、11にそれぞれ接触しており、各頂部14a、15aは第1中央固定接点部6と第2中央固定接点部10とは離間した状態となっている。
またスライド部材3の第1腕部3dの曲面部3d1と第2腕部3eの曲面部3e1は、フレーム部材4の第1凸部19の傾斜面19aと第2凸部20の傾斜面20aにそれぞれ当接した状態となっている。これにより、スライド部材3はハウジング2とフレーム部材4に囲まれた空間内で保持される。
次に、入力スイッチ1のスライド部材3をX1方向にスライドさせた状態を図8を用いて説明する。スライド部材3のスライダ本体部3aをX1方向に押すと、スライダ脚部3b、3b、3c、3cに設けられた摺動凸部3f、3f、3g、3g(図5参照)が、ハウジング2の上面2aの絶縁シート17が設けられていない箇所で摺動する。また第1腕部3dの曲面部3d1が、フレーム部材4の傾斜面19a上を摺動してZ1方向に押し下げられ、突起3d2が絶縁シート17を介して第1可動接点部材14の頂部14aに接触して押し下げる。この時、フレーム部材4の傾斜面19aに第1腕部3dの曲面部3d1が接触するため、傾斜面19aと曲面部3d1が滑らかに摺動する。
そして、突起3d2の押し下げる力により、第1可動接点部材14はZ1方向に凹む形状に反転して、その頂部14aがハウジング2の第1中央固定接点部6に接触する。この際、第1中央固定接点部6にV字溝6aが形成されているため、頂部14aとV字溝6aの上辺部と接触することとなり、第1中央固定接点部6と第1可動接点部材14の接触状態が安定する。また、第1可動接点部材14は第1周縁固定接点部7、7と常時接触しているため、第1中央固定接点部6、第1可動接点部材14と第1周縁固定接点部7、7が電気的に接続されることとなり、外部接続端子13a、13bが電気的に導通し、入力スイッチ1のX1方向のスイッチ機能がオンとなる。
また突起3d2は半球状であるため、ドーム状の第1可動接点部材14の頂部14aと最少面積で接触するため、第1可動接点部材14を押す力を頂部14aの一点に集中させることができる。また、突起3d2は絶縁シート17と常に曲面で接触することとなり、絶縁シート17を傷つけ難い。
スライダ本体部3aをX1方向に押す力を解放すると、第1可動接点部材14が元の形状に戻る際の反発力と第1腕部3dがZ1方向に押し下げられた状態から元の状態に戻ろうとする復元力により、第1腕部の曲面部3d1が傾斜面19aをX2、Z2方向に摺動し、スライド部材3が初期位置に戻る。
入力スイッチ1をX1方向にスライドさせようとした場合、Z2方向の押圧力も少なからず発生する。しかし上記の構成では、その押圧力はスライダ脚部3b、3cを通してハウジング2に直接加わり、第1可動接点部材14には伝わらない。このため、第1可動接点部材14の設計をする場合には、スライド部材3に加わるZ2方向の力を考慮する必要が無くなり、第1可動接点部材14の設計が容易になる。
また、入力スイッチ1には第2凹部に第2中央固定接点部10、第2周縁固定接点部11、11および第2可動接点部材15を有している。このため、スライド部材3をX2方向にスライドさせた場合は、第2腕部3eと曲面部3e1が、フレーム部材4の傾斜面20aを摺動してZ1方向に押し下げられ、突起3e2が絶縁シート17を介して第2可動接点部材15の頂部15aに点接触して押し下げる。この押圧力により、第2可動接点部材15はクリック感触を伴って反転し、その頂部15aがハウジング2の第2中央固定接点部10に接触する。第2可動接点部材15は第2周縁固定接点部11、11と常時接触しているため、第2中央固定接点部10、第2可動接点部材15と第2周縁固定接点部11、11が電気的に接続されることとなり、外部接続端子13c、13dが電気的に導通して、入力スイッチ1のX2方向のスイッチ機能がオンとなる。また、スライダ本体部3aをX2方向に押す力を解放すると、第2可動接点部材15が元の形状に戻る際の反発力と第2腕部3eがZ1方向に押し下げられた状態から元の状態に戻ろうとする復元力により、第2腕部3eの曲面部3e1が傾斜面20aをX1、Z2方向に摺動することにより、スライド部材3が初期位置に戻る。
この場合も、入力スイッチ1をX1方向にスライドさせた場合と同様に、スライド部材3をX2方向にスライドさせようとした場合に発生するZ2方向の押圧力がスライダ脚部3b、3cを通してハウジング2に直接加わり、第2可動接点部材15には伝わらない。このため、第2可動接点部材15の設計が容易になる。
次に、第1の実施例の変形例を図9乃至図16を用いて説明する。なお、第1の実施例と同一の部材については、同一の符号を付して説明は省略する。
まず第1の変形例では、図9および図10に示すように、スライド部材30が、正方体状のスライダ本体部30aと、スライダ本体部30aの中央付近からX1方向に延びる第1腕部30bと、スライダ本体部30aの中央付近からX2方向に延びる第2腕部30cを有している。また第1腕部30b、第2腕部30cの先端には、第1の実施例と同様に、曲面部30b1、30c1と半円球状の突起30b2、30c2がそれぞれ形成されている。
またスライダ本体部30aの下面30a1には、4つの円柱状の摺動突部30d、30d、30d、30dが設けられている。この摺動突部30d、30d、30d、30dの高さは、絶縁シート31の厚さよりも高く設定されている。また絶縁シート31は、ハウジング2の上面2aと接する部分が接合面31aとなるが、スライダ本体部30aの摺動突部30d、30d、30d、30dに対応する部分に、X1−X2方向に長い摺動用スペース孔31b、31b、31b、31bが設けられている。
本構成によれば、絶縁シート31の内側の摺動用スペース孔31b、31b、31b、31b内で、スライダ本体部30aの摺動突部30d、30d、30d、30dがハウジング2上を摺動することとなるため、Y1−Y2方向の幅を狭くすることが可能となり、小型化が図れる。
次に、第2の変形例について図11を用いて説明する。本変形例では、ハウジング2の上面2aに、4つの円柱状の摺動凸部2f、2f、2f、2fが、第1周縁固定接点部7、7と第2周縁固定接点部11、11近傍に設けられている。この摺動凸部2f、2f、2f、2fの高さは、図11(b)に示すように、絶縁シート32の厚さよりも高く設定されている。また絶縁シート32には、図11(a)に示すように、摺動凸部2f、2f、2f、2fが貫通する貫通孔32b、32b、32b、32bが設けられており、その他のハウジング2の上面2aと接する部分はレーザー加工による溶着面となる。
本変形例では、絶縁シート32に開ける貫通孔32b、32b、32b、32bの面積を第1の変形例の摺動用スペース孔31b、31b、31b、31bに比べて小さくできるため、絶縁シート32の接合面32aをより強固にハウジング2の上面2aにレーザー加工で溶着ことができる。また絶縁シート32をハウジング2上に取り付ける際には、貫通孔32b、32b、32b、32bを位置合わせ用の穴として利用できる。
次に、第3の変形例について図12を用いて説明する。本変形例では、ハウジング2の上面2aに、絶縁シート17より一回り大きい凹部2gが形成されている。この凹部2gのZ1方向の深さは、絶縁シート17の厚さよりも深くなるように設定されている。本構成においては、凹部2g内の凹部上面2a1に絶縁シート17が配置・接着される。またスライド部材3は、凹部2gとハウジング2のY1,Y2方向の側面との間にある側部上面2a2、2a2が摺動凸部となって、スライド部材3が側部上面2a2、2a2上を摺動する。
次に、第4の変形例について図13を用いて説明する。本変形例では、ハウジング2の上面2aのY1方向およびY2方向の端辺に、レール状の摺動凸部2h、2hがそれぞれX1−X2方向に延設されている。この摺動凸部2h、2hのハウジング2の上面2aからの高さは、絶縁シート17の厚さよりも高く設定されている。
なお、上記の第2乃至第4の変形例においては、スライド部材3の下面3a1に摺動凸部3f、3f、3g、3g、を必ずしも設ける必要がなく、図14に示すように、下面3a1を平面とすることもできる。
本また第4の変形例においては、図15に示すように、スライド部材3のY1方向およびY2方向の下面3a1に、X1−X2方向に延びる溝部3h、3hを形成しておいても良い。この場合、摺動凸部2h、2hの高さは、絶縁シート17の厚さとスライダ本体部3aの溝部3h、3hのZ1方向の深さの和よりも十分高く設定しておけばよい。
次に、本発明の第2の実施例について図16乃至図34を用いて説明する。
図16に示すように、本発明の第2の実施形態おける入力スイッチ40は、主に絶縁性樹脂からなる略長方状のハウジング41と、ハウジング41上をX1−X2方向にスライドするスライド部材42と、該スライド部材42を包み込んでハウジング41上に保持するための金属製のフレーム部材43を備えている。
まず、ハウジング41について図17乃至図19を用いて説明する。図17および図18に示すように、ハウジング41の上面41aのX1方向側およびX2方向側の各端部には、第1の実施例と同様に、略円形の第1凹部44および第2凹部48が形成されている。この第1凹部44および第2凹部48の各底部44a、48aの中心部には、円盤状の第1中央固定接点部45および第2中央固定接点部49がハウジング41にインサート成形にて配置されており、その中心にはV字溝45a、49aが形成されている。
第1凹部44と第2凹部48の周縁部分のハウジング41中央側には、略四角形形状の第1周縁固定接点部46、46と第2周縁固定接点部50、50がハウジング41にインサート成形にて配置されている。また、第1周縁固定接点部46、46および第2周縁固定接点部50、50とは反対側の第1凹部44と第2凹部48内部には、半円状の第1台座47および第2台座51が形成されている。
またハウジング2の上面2aの第1凹部44と第2凹部48の中間部分には、略円形の第3凹部52が形成されている。この第3凹部52の底部52aの中心部には、円盤状の第3中央固定接点部53がハウジング41にインサート成形にて配置されており、その中心にはV字溝53aが形成されている。この第3凹部52のY2方向の周縁部分には、ハウジング41にインサート成形された略四角形形状の2つの第3周縁固定接点部54、54と、半円状の第3台座55が形成されている。
なお、第1中央固定接点部45、第1周縁固定接点部46、46、第1台座47、第2中央固定接点部49、第2周縁固定接点部50、50、第2台座51、第3中央固定接点部53、第3周縁固定接点部54、54、第3台座55の上面の高さは同一となるように設定されている。
また、ハウジング41の四隅にはフレーム部材43を支えるためのフレーム支柱41b、41b、41b、41bが形成されている。このフレーム支柱41b、41b、41b、41bの上面部41c、41c、41c、41cがフレーム部材43の下面と当接することにより、ハウジング41とフレーム部材43の間に、スライド部材42を保持しスライドさせるための空間が形成される。ハウジング41のフレーム支柱41b、41b、41b、41bの下部には、フレーム部材43を取り付けるための絞り部41d、41d、41d、41dが形成されており、その近傍に外部接続端子56a、56b、56c、56dが露出している。
図19に、ハウジング41にインサート成形されている各固定接点部の構造を示す。図19(a)は上面図であり、図19(b)は側面図である。各図に示すように、X2方向の端部に第1中央固定接点部45がZ2方向に突出形成され、X1方向の端部がZ2方向に直角に折り曲げられた外部接続端子56aを有する端子部品57aが一枚の導電性金属板を打ち抜き・プレス加工して製造される。同様に、X1方向の端部に第2中央固定接点部49、第3中央固定接点部53がZ2方向に突出形成され、X2方向の端部がZ2方向に直角に折り曲げられた外部接続端子56c、56dを有する端子部品57c、57dが一枚の導電性金属板より製造される。
また、X1方向の端部にZ2方向に直角に折り曲げられた外部接続端子56bを有し、X2方向に延伸した部分からY1方向に延びる第1周縁固定接点部46、46、第3周縁固定接点部54、54、第2周縁固定接点部50、50がX1側からX2方向側に向かって順番に並んで形成された端子部品57bも、一枚の導電性金属板より製造される。そして、これらの端子部品57a、57b、57c、57dをインサート成形用金型内に配置して合成樹脂を流し込むことにより、図18に示すようなハウジング41が出来上がる。
第1凹部44、第2凹部48および第3凹部52の内部には、導電性金属からなるドーム形状の第1可動接点部材58、第2可動接点部材59および第3可動接点部材60が配置されている。この第1可動接点部材58、第2可動接点部材59および第3可動接点部材60の形状・特性は同じで、その周縁部分の一部は第1周縁固定接点部46、46、第2周縁固定接点部50、50および第3周縁固定接点部部54、54と第1台座47、第2台座51、第3台座55上に常に接しており、その各頂部58a、頂部59aおよび頂部60aは、第1中央固定接点部45、第2中央固定接点部49および第3中央固定接点部53の上方空間に離間状態で位置している。
また図18や図20に示すように、ハウジング41の上面41aには、第1凹部44、第2凹部48および第3凹部52を全て覆うように絶縁シート61が配置されている。この絶縁シート61は、ハウジング41の上面41aと接する接合面61aをレーザー溶着することにより、第1可動接点部材58、第2可動接点部材59および第3可動接点部材60をそれぞれ第1凹部44、第2凹部48および第3凹部52内に保持するとともに、この入力スイッチ40を防塵・防水に対応できるものとしている。
またスライド部材42は、図17、図21に示すように、立方体状のスライダ本体部42aと、スライダ本体部42aのY1方向の側面下部からX1−X2方向に延びるスライダ脚部42bと、スライダ本体部42aのY2方向の側面下部からX1−X2方向に延びるスライダ脚部42cと、スライダ本体部42aからスライダ脚部42b、42c間をX1方向に延びる角柱状の第1腕部42dと、第1腕部42dとは反対のX2方向に延びる第2腕部42eを有している。またスライダ本体部42aの中央には、スライダ本体部42aをZ1−Z2方向に貫く操作用貫通孔42fが形成されている。
スライド部材42の下面42a1の各スライダ脚部42b、42c端部には、第1の実施例と同様に、絶縁シート61の厚さよりも高い摺動凸部42g、42g、42h、42hが絶縁シート61のY軸方向の幅よりも広くなるように設けられている。これにより、各摺動凸部42g、42g、42h、42hは、絶縁シート61を避けて、ハウジング41の上面41a上を直接摺動することとなる。
またスライド部材42の第1腕部42dのX1方向の先端部分には、第1の実施例と同様に、円柱状の曲面部42d1と、半球状の突起42d2が形成されている。また、第2腕部42eのX2方向の先端部分には、第1の実施例と同様に、円柱状の曲面部42e1と、半球状の突起42e2が形成されている。
フレーム部材43は第1の実施例とフレーム部材と同一の構造であり、アルミ等の金属板をX1−X2方向に長い蓋状の長方体に成形したものであり、そのZ2方向の上面には長方形の窓部62が形成されており、この窓部62からは、スライダ本体部42aの上面42a2の一部(操作用貫通孔42fの周辺部分)が露出している。また図17や図22に示すように、この窓部62のX1方向近傍には、Z1方向に突出する第1凸部63がプレス絞り加工で形成されている。この第1凸部63のX2方向の側面には、X1方向からX2方向に向かうにしたがって深くなるような傾斜面63aとなっており、その底部63bはハウジング41上の絶縁シート61に接する深さとなるように形成されている。
またフレーム部材43の窓部62のX2方向近傍には、第1凸部63と対称な形状の第2凸部64が同様に形成されており、この第2凸部64の窓部62側は、X2方向に向かうにしたがってZ1方向に深くなる傾斜面64aとなっており、その底部64bはハウジング41上の絶縁シート61に接する深さとなるように形成されている。
このフレーム部材43のX1−X2方向の両端には、ハウジング41の絞り部41d、41d、41d、41dに係合する第1係合腕部65、65、65、65と、ハウジング41のフレーム支柱41b、41b間に係合する第2係合腕部66、66が設けられている。そして、第1可動接点部材58、第2可動接点部材59、第3可動接点部材60、絶縁シート61、スライド部材42をハウジング41上に配置したのち、フレーム部材43をハウジング41に取り付けて、第1係合腕部65、65、65、65と第2係合腕部66、66をハウジング41側に折り曲げることによりにより、フレーム部材43をハウジング41に固定して入力スイッチ40が完成する。
次に、入力スイッチ40の動作について図22乃至図25を用いて説明する。図22は入力スイッチ40の初期位置を示しており、第1可動接点部材58、第2可動接点部材59および第3可動接点部材60の周縁部が第1周縁固定接点部46、46、第2周縁固定接点部50、50および第3周縁固定接点部54、54にそれぞれ接触しており、各頂部58a、59a、60aは、第1中央固定接点部45、第2中央固定接点部49および第3中央固定接点部53とは離間した状態となっている。
またスライド部材42の第1腕部42dの曲面部42d1と第2腕部42eの曲面部42e1は、フレーム部材43の第1凸部63の傾斜面63aと第2凸部64の傾斜面64aにそれぞれ当接した状態となっている。これにより、スライド部材42はハウジング41とフレーム部材43に囲まれた空間内で保持される。
次に、入力スイッチ40のスライド部材42をX1方向にスライドさせた状態を図21および図23を用いて説明する。入力スイッチ40の外部から一部が棒状に形成された操作部材67をスライド部材42の操作用貫通孔42fに差し込んでスライダ本体部42aをX1方向に押す。そして、第1の実施例と同様に、スライダ脚部42b、42cに設けられた摺動凸部42g、42g、42h、42hが、ハウジング41の上面41aの絶縁シート61が設けられていない箇所で摺動する。また第1腕部42dの曲面部42d1が、フレーム部材43の傾斜面63a上を摺動してZ1方向に押し下げられ、突起42d2が絶縁シート61を介して第1可動接点部材58の頂部58aに接触して押し下げる。この時、フレーム部材43の傾斜面63aに第1腕部42dの曲面部42d1が接触するため、傾斜面63aと曲面部42d1が滑らかに摺動する。
そして、突起42d2の押し下げる力により、第1可動接点部材58はZ1方向に凹む形状にクリック感を伴って反転して、その頂部58aがハウジング41の第1中央固定接点部45に接触する。この際、第1中央固定接点部45にV字溝45aが形成されているため、頂部58aとV字溝6aの上辺部と接触することとなり、第1中央固定接点部45と第1可動接点部材58が安定して接触する。また、第1可動接点部材58は第1周縁固定接点部46、46と常時接触しているため、第1中央固定接点部45、第1可動接点部材58と第1周縁固定接点部46、46が電気的に接続されることとなり、外部接続端子56a、56bが電気的に導通し、入力スイッチ40のX1方向のスイッチ機能がオンとなる。
また突起42d2は半球状であるため、ドーム状の第1可動接点部材58の頂部58aと最少面積で接触するため、第1可動接点部材58を押す力を頂部58aの一点に集中させることができる。また、突起42d2は絶縁シート61と常に曲面で接触することとなり、絶縁シート61を傷つけ難い。
スライダ本体部42aに加わっているX1方向の力を解放すると、第1可動接点部材58が元の形状に戻る際の反発力と第1腕部42dがZ1方向に押し下げられた状態から元の状態に戻ろうとする復元力により、第1腕部42dの曲面部42d1が傾斜面63aをX2、Z2方向に摺動し、スライド部材42が初期位置に戻る。なお、スライド部材42をX2方向にスライドさせた場合は、スライド部材42の第2腕部42eや第2可動接点部材59等が同様の動作を行い、外部接続端子56b、56cが電気的に導通して、入力スイッチ40のX2方向のスイッチ機能がオンとなる。
また、本実施例では操作部材67が操作用貫通孔42f内をZ1−Z2方向に自由に動ける構造だが、入力スイッチ40をX1―X2のどちらかの方向にスライドさせようとした場合に、操作部材67からスライド部材42に対してZ2方向の押圧力は発生せず、スライド部材42のX1−X2方向のスライド動作がスムーズとなる。
図24は、操作部材67をスライド部材42の操作用貫通孔42f内でZ1方向に押下した場合の説明図である。この時、スライド部材42はハウジング41とフレーム部材43に囲まれた空間で保持されて動かない。そして、操作部材67が絶縁シート61を介して操作用貫通孔42fの直下に位置する第3可動接点部材60の頂部60aを押圧することにより、第3可動接点部材60がクリック感を伴って反転して第3中央固定接点部53のV字溝53aに接触し、外部接続端子56aと外部接続端子56dが電気的に導通して、入力スイッチ40のZ1方向のスイッチ機能がオンとなる。
図25は、スライド部材42をX1方向に移動させた状態で操作部材67をスライド部材42の操作用貫通孔42f内でZ1方向に押した場合の説明図である。この時、スライド部材42はX1方向に移動し、第1可動接点部材58と第1中央固定接点部45が接触するとともに、操作部材67により押下された第3可動接点部材60が第3中央固定接点部53と接触する。このため、外部接続端子56a、56b、56dが電気的に導通して、X1方向およびZ1方向のスイッチ機能がオンとなる。
本実施例においては、スライド部材42はフレーム部材43の窓部62から露出しているだけで、フレーム部材43の上面から突出はしていないため、第1の実施例の入力スイッチ1に比べて低背化が可能となる。
また、ハウジング41の第3凹部52内に第3中央固定接点部53および第3周縁固定接点部54を設け、第3凹部52内に第3可動接点部材60を配置すると共に、スライド部材42に操作用貫通孔42fを形成しておくことにより、入力スイッチ40を製品に組み込むユーザ側が操作部材67を自由に設計・取り付けすることができる。つまり、ユーザは入力スイッチ40を、X1方向、X2方向およびX3方向の3方向の入力スイッチとして使用したり、操作部材67をスライド部材42に固着することにより、操作部材67のZ軸方向への移動ができないようにして、X1方向およびX2方向の2方向の入力スイッチとして使用することもできる。逆に、製造者側の立場では、操作部材67を有しない入力スイッチ40を供給することにより、二種類の入力動作に対応した入力スイッチを一種類の入力スイッチ40で兼用することができる。つまり、入力スイッチ40は、ユーザ側および製造者側の双方にとって汎用性の高い入力スイッチとなる。
次に、第2実施例の変形例を図26乃至図34を用いて説明する。なお、第2の実施例と同一の部材については、同一の符号を付して説明は省略する。
まず第2実施例の第1の変形例では、図26および図27に示すように、第3可動接点部材60と絶縁シート61の間に、中間部材68が配置されている。この中間部材68は、上面68aが平面の円板状で、その直径はスライド部材42がX1方向またはX2方向にスライドした場合でも操作用貫通孔42fの少なくとも一部をカバーするような大きさで、かつ第3凹部52の内径よりも小さい円形にとなっている。中間部材68の下面68bには、第3可動接点部材60の頂部60aと対向する位置にZ1方向に突出する凸部68cが絞りプレス加工で形成されている。
この中間部材68により、絶縁シート61がZ2方向に若干突出するが、絶縁シート61がスライダ本体部42aの下面42a1と擦れないように、中間部材68のZ方向の厚みは調整されている。
本構成によれば、中間部材68の上面68aが平面の円板状となっているため、入力スイッチ40のユーザが使用する操作部材67の底面67aがどのような形状であっても、そのZ1方向への押圧力は中間部材68の凸部68cを通して第3可動接点部材60の頂部60aに正確に加えることができる。また、スライド部材42をX1方向またはX2方向にスライドさせた場合でも、中間部材68の直径はスライド部材42の操作用貫通孔42fの少なくとも一部をカバーする大きさのため、操作部材67のZ1方向への押圧力を第3可動接点部材60の頂部60aに正確に加えることができる。
図28に第2実施例の第2の変形例を示す。
本変形例では、ハウジング41の第3凹部69のZ1方向の深さを、第1凹部44と第2凹部48よりも中間部材68の厚さ分だけ深く設定している。各本構成によれば、絶縁シート61全体をフラットな状態とするにより、スライダ本体部42aの下面42a1と絶縁シート61とが擦れることが無くなる。
図29に第2実施例の第3の変形例を示す。
本変形例では、ハウジング41の第1凹部70および第2凹部71のZ1方向の深さを第2の変形例における第3凹部69の深さと同じで、かつ各固定接点部の表面の高さが同一となるように設定している。また、第1凹部70および第2凹部71に配置される第1可動接点部材72と第2可動接点部材73は、第3可動接点部材60よりもZ方向の高さが高いドーム形状となっている。
本構成によれば、第1凹部70および第2凹部71の内部に配置する第1可動接点部材72と第2可動接点部材73を第3可動接点部材60よりも大きな部材とすることができる。これにより、入力スイッチ40のスライド動作の際に、第1可動接点部材72と第2可動接点部材73の反転動作に伴うクリック感を強くすることができる。また、各固定接点部の表面の高さが同じなので、各端子部品57a、57b、57c、57dをハウジング41内にインサート成形する際の第1凹部70、第2凹部71および第3凹部69のZ軸方向の厚みが同じとなり、インサート成形用金型の設計が容易になる。
次に、第2実施例の第4の変形例を図30乃至図32を用いて説明する。
本変形例では、図28に示す第2実施例の第1可動接点部材58、中間部材68および第2可動接点部材59を連結部材74、74で連結されている。この場合、第1可動接点部材58、中間部材68、第2可動接点部材59および連結部材74、74は、一枚の金属板より打ち抜き・プレス成形にて製造される。
また図31に示すように、この連結部材74、74には、Z1方向に曲がった屈曲部74a、74aが設けられており、第1可動接点部材58、第2可動接点部材59と中間部材68のZ1方向の高さの差を補正している。
この連結部材74、74により、中間部材68が第1可動接点部材58と第2可動接点部材59の間で支持されることとなる。このため、入力スイッチ40の組立時においては、中間部材68の位置合わせが容易となる。また、中間部材68の直径が第3凹部69の内径よりも小さいため、第3可動接点部材60を押圧操作する際に、中間部材68が第3凹部69の内壁面と摺動することがなく、接点不良の原因となる削りカスが発生することもない。
また図32に示すように、操作部材67をX1、Z1方向に操作した際に、第1可動接点部材58が反転・変形するとともに中間部材68はZ1方向へ若干移動するので、第1可動接点部材58と中間部材68にX1−X2方向へ移動する力が発生するが、中間部材68の両側に配置された連結部材74、74の屈曲部74a、74aが撓んでその力を吸収するので、第1可動接点部材58と第1中央固定接点部45、第1周縁固定接点部46との位置ズレが小さくでき、接触状態が安定する。また、中間部材68も位置ずれが最小限となるため、中間部材68の凸部68cが、第3可動接点部材60の頂部60aを正確に押すことができる。
次に、本発明の第3の実施例について図33乃至図41を用いて説明する。なお、第2の実施例と同一の部材には同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
本発明の第3の実施形態おける入力スイッチ80は、第2実施例と同一構成のハウジング41、フレーム部材43および絶縁シート61を備えている。
スライド部材81の構成について、図34乃至図36を用いて説明する。本実施例におけるスライド部材81は、第2実施例のスライド部材42と基本的には同様の構成であり、立方体状のスライダ本体部81aと、スライダ本体部81aのY1方向の側面下部からX1−X2方向に延びるスライダ脚部81bと、スライダ本体部81aのY2方向の側面下部からX1−X2方向に延びるスライダ脚部81cと、スライダ本体部81aからスライダ脚部81b、81c間をX1方向に延びる角柱状の第1腕部81dと、第1腕部81dとは反対のX2方向に延びる第2腕部81eを有している。またスライダ本体部81aの中央には、スライダ本体部81aをZ1−Z2方向に貫く操作用貫通孔として、上部操作用貫通孔81f、下部操作用貫通孔81gが形成されている。上部操作用貫通孔81fの上面開口部81f1の直径は、下部操作用貫通孔81gの下面開口部81g1の直径よりも小さくなるように設定されている。
スライド部材81の下面81a1の各スライダ脚部81b、81c端部には、第2の実施例と同様に、絶縁シート61の厚さよりも高い摺動凸部81h、81h、81k、81kが絶縁シート61のY軸方向の幅よりも広くなるように設けられている。
またスライド部材81の第1腕部81dおよび第2腕部81eのX1、X2方向の先端部分には、第1の実施例と同様に、円柱状の曲面部81d1、81e1と、半球状の突起81d2、81e2が形成されている。
操作部材82は、図37に示すように、スライド部材81の上部操作用貫通孔81fの上面開口部81f1に対応する直径の上部操作部82aと、下部操作用貫通孔81gの下面開口部81g1に対応する直径の下部操作部82bからなっている。またハウジング41側の底面82cは平面形状となっている。
次に、この入力スイッチ80の動作について、図38乃至図41を用いて説明する。図38は、入力スイッチ80の初期状態を示す。第1可動接点部材58、第2可動接点部材59および第3可動接点部材60の周縁部が第1周縁固定接点部46、46、第2周縁固定接点部50、50および第3周縁固定接点部54、54にそれぞれ接触しており、各頂部58a、59a、60aは、第1中央固定接点部45、第2中央固定接点部49および第3中央固定接点部53とは離間した状態となっている。
またスライド部材81の第1腕部81dの曲面部81d1と第2腕部81eの曲面部81e1は、フレーム部材43の第1凸部63の傾斜面63aと第2凸部64の傾斜面64aにそれぞれ当接した状態となっている。これにより、スライド部材81はハウジング41とフレーム部材43に囲まれた空間内で保持される。
また、スライド部材81の上部操作用貫通孔81fと下部操作用貫通孔81gには、操作部材82が挿入されている。この操作部材82は、上部操作用貫通孔81fと下部操作用貫通孔81gの直径の差により生じる段部81mに操作部材82の下部操作部82bが当接することにより、スライド部材81から操作部材82が抜けないように保持されている。
次に、入力スイッチ80のスライド部材81をX1方向にスライドさせた状態を図39を用いて説明する。操作部材82を介してスライダ本体部81aをX1方向に押す。そして、第2の実施例と同様に、スライダ脚部81b、81cに設けられた摺動凸部81h、81h、81k、81kが、ハウジング41の上面41aの絶縁シート61が設けられていない箇所で摺動する。また第1腕部81dの曲面部81d1が、フレーム部材43の傾斜面63a上を摺動してZ1方向に押し下げられ、突起81d2が絶縁シート61を介して第1可動接点部材58の頂部58aに接触して押し下げる。この時、フレーム部材43の傾斜面63aに第1腕部81dの曲面部81d1が接触するため、傾斜面63aと曲面部81d1が滑らかに摺動する。
そして、突起81d2の押し下げる力により、第1可動接点部材58はZ1方向に凹む形状にクリック感を伴って反転して、その頂部58aがハウジング41の第1中央固定接点部45に接触する。この際、第1中央固定接点部45にV字溝45aが形成されているため、頂部58aとV字溝45aの上辺部と接触することとなり、第1中央固定接点部45と第1可動接点部材58が安定して接触する。また、第1可動接点部材58は第1周縁固定接点部46、46と常時接触しているため、第1中央固定接点部45、第1可動接点部材58と第1周縁固定接点部46、46が電気的に接続されることとなり、外部接続端子56a、56bが電気的に導通し、入力スイッチ80のX1方向のスイッチ機能がオンとなる。
また突起81d2は半球状であるため、ドーム状の第1可動接点部材58の頂部58aと最少面積で接触するため、第1可動接点部材58を押す力を頂部58aの一点に集中させることができる。また、突起81d2は絶縁シート61と常に曲面で接触することとなり、絶縁シート61を傷つけ難い。
スライダ本体部81aに加わっているX1方向の力を解放すると、第1可動接点部材58が元の形状に戻る際の反発力と第1腕部81dがZ1方向に押し下げられた状態から元の状態に戻ろうとする復元力により、第1腕部81dの曲面部81d1が傾斜面63aをX2、Z2方向に摺動し、スライド部材81が初期位置に戻る。なお、スライド部材81をX2方向にスライドさせた場合は、スライド部材81の第2腕部81eや第2可動接点部材59等が同様の動作を行い、外部接続端子56b、56cが電気的に導通して、入力スイッチ80のX2方向のスイッチ機能がオンとなる。
本実施例では操作部材82が上部操作用貫通孔81f、下部操作用貫通孔81g内で保持されているため、入力スイッチ80をX1―X2のどちらかの方向にスライドさせようとした場合に、操作部材82からスライド部材81に対してZ2方向の押圧力は発生せず、スライド部材81のX1−X2方向のスライド動作がスムーズとなる。
図40は、操作部材82をスライド部材81の上部操作用貫通孔81f、下部操作用貫通孔81g内でZ1方向に押下した場合の説明図である。この時、スライド部材81はハウジング41とフレーム部材43に囲まれた空間で保持されて動かない。そして、操作部材82の底面82cが絶縁シート61を介して下部操作用貫通孔81gの直下に位置する第3可動接点部材60の頂部60aを押圧する。これにより、第3可動接点部材60がクリック感を伴って反転して第3中央固定接点部53のV字溝53aに接触し、外部接続端子56aと外部接続端子56dが電気的に導通して、入力スイッチ80のZ1方向のスイッチ機能がオンとなる。
図41は、スライド部材81をX1方向に押す(移動させる)とともに、操作部材82をZ1方向に押した場合の説明図である。この時、スライド部材81はX1方向に移動し、第1可動接点部材58と第1中央固定接点部45が接触するとともに、操作部材82の底面82cにより押下された第3可動接点部材60の頂部60aが第3中央固定接点部53と接触する。このため、外部接続端子56a、56b、56dが電気的に導通して、X1方向およびZ1方向のスイッチ機能がオンとなる。
本構成によれば、操作部材82がスライド部材81から抜けることが無いので、予め操作部材82を備えた3方向の入力検出が可能な入力スイッチ80を提供することができる。また、操作部材82の底面82cが平面であるため、スライド部材81をX1またはX2方向にスライドさせてから操作部材82をZ1方向に操作しても、操作部材82の底面82cが第3可動接点部材60の頂部60aに接することになり、第3可動接点部材60の押圧・反転動作が安定する。
なお図42、43に示すように、本実施例の入力スイッチ80においては、第3可動接点部材60と操作部材82の間に、図27、図29および図31に示した中間部材68を配置しても良い。
次に、操作部材82の変形例について説明する。まず、第1の変形例を図44乃至図46を用いて説明する。本変形例の操作部材85でも、円柱状の上部操作部85aと、上部操作部85aよりも直径が大きい下部操作部85bを有している。またその底面85cには、中心部に中央凸部85c1、そのX2側に第1押圧凸部85c2、X1側に第2押圧凸部85c3が突出して形成されている。
本変形例では、入力スイッチ80が初期状態のとき、操作部材85の底面85cにある中央凸部85c1が第3可動接点部材60の頂部60aと対向する位置となる。このため、図45に示すように、操作部材85をZ1方向に押圧した場合、中央凸部85c1が第3可動接点部材60の頂部60aを押圧し、第3可動接点部材60が反転して第3中央固定接点部53との接触が安定する。
次に、図46に示すように、操作部材85を介してスライド部材81をX1方向に移動させ、操作部材85をZ1方向に押圧移動させた場合、操作部材85の底面85cにある第1押圧凸部85c2が第3可動接点部材60の頂部60aと対向する位置となる。このため、操作部材85をZ1方向に押圧した場合、第3可動接点部材60の頂部60aに押圧力が集中して伝わり、第3可動接点部材60が反転して第3中央固定接点部53との接触が安定する。同様に、操作部材85を介してスライド部材81をX2方向に移動させ、操作部材85をZ1方向に押圧移動させた場合は、第2押圧凸部85c3が第3可動接点部材60の頂部60aと対向し、第3可動接点部材60が反転して第3中央固定接点部53との接触が安定する。
次に、第2の変形例について、図47乃至図49を用いて説明する。本変形例の操作部材86でも、円柱状の上部操作部86aと、上部操作部86aよりも直径が大きい下部操作部86bを有しているが、その底面86cには、中心部からX2方向にズレた位置に第1押圧凸部86c1が形成されており。X1方向にズレた位置に第2押圧凸部86c2が形成されている。
本変形例において、入力スイッチ80が初期状態のとき、操作部材86の底面86cにある第1押圧凸部86c1と第2押圧凸部86c2の中間が、第3可動接点部材60の頂部60aと対向する位置となる。このため、図48に示すように、操作部材85をZ1方向に押圧した場合、第1押圧凸部86c1と第2押圧凸部86c2の押圧力が、第3可動接点部材60の頂部60aに集中し、第3可動接点部材60が反転して第3中央固定接点部53との接触が安定する。
次に、操作部材86を介してスライド部材81をX1方向に移動させ、操作部材86をZ1方向に押圧移動させた場合を図49に示す。操作部材86を介してスライド部材81をX1方向に移動させ、操作部材86をZ1方向に押圧移動させた場合、操作部材86の底面86cにある第1押圧凸部86c1が第3可動接点部材60の頂部60aと対向する位置となる。このため、操作部材86をZ1方向に押圧した場合、第1押圧凸部86c1が第3可動接点部材60の頂部60aを押圧することとなり、第3可動接点部材60が反転して第3中央固定接点部53との接触が安定する。同様に、操作部材86をX2、Z1方向に押圧移動させた場合は、第2押圧凸部86c2が第3可動接点部材60の頂部60aと対向し、第3可動接点部材60が反転して第3中央固定接点部53との接触が安定する。
次に、第3の変形例について図50を用いて説明する。本変形例の操作部材87も、円柱状の上部操作部87aと、上部操作部87aよりも直径が大きい下部操作部87bを有しており、その底面87cは平面形状である。また、上部操作部87aのZ2方向端部には、鍔状の規制部87dが形成されており、この規制部87dとスライダ本体部81aとの間に、弾性部材としてコイルばね88が配置されており、操作部材87は常にZ2方向に押し上げる力が働くようになっている。
本構成によれば、入力スイッチ80の初期状態において、操作部材87の底面87cが絶縁シート61と離間させておくことができ、またX1、X2方向への移動の際も絶縁シート61と擦れることがなくなり、入力スイッチ80の長寿命化につながる。
次に、本発明の入力スイッチ40を用いた入力装置の実施例について図51乃至図53を用いて説明する。まず、入力装置100は、操作部材101と、操作部材101を保持する筐体102と信号ケーブル103、103からなっており、その内部に前述した入力スイッチ40と、入力スイッチ40を取り付ける回路基板104および操作部材101をZ2方向へ付勢する弾性部材としてのコイルばね105が内蔵されている。
図52および図53を用いて各構成部材を詳細に説明する。操作部材101には、X1−X2方向に細長い平面状の操作面101aと、操作面101aからZ2方向に盛り上がったストッパー部101b、101bと、ストッパー部101b、101bからそれぞれX1、X2方向に延出する平板状の端部101c、101dが設けられている。
操作部材101の下部には、筐体102の内側面と平行でX1−X2方向に延びる板状の案内部材101e、101eと、入力装置100組立後に入力スイッチ40の操作用貫通孔42fに位置する操作棒101fが形成されている。なお、操作棒101fの長さは、入力装置100の組立後に、操作棒101fの先端が入力スイッチ40内の絶縁シート61に触れない様な長さに設定されている。
筐体102は、X1−X2方向に細長く内部が窪んだ下部筐体102aと、下部筐体102aのX1側端の上部およびX2端側の上部を覆う規制部102b、102cからなる。この下部筐体102aの内部底面には、Z2方向に延びる円柱状のピン102d、102dがX1−X2方向で対称な位置に設けられており、内部の中央付近の側面には半円柱状凸部102e、102eがY1−Y2方向に対称な位置に設けられている。また、下部筐体102aのY1、Y2側の縁部には、操作部材101の案内部材101e、101eと平行な内側面となる壁部102f、102fが設けられている。
規制部102b、102cは、下部筐体102aのX1、X2端部と対向する部分に、信号ケーブル用凹部102g、102hが設けられており、規制部102b、102cの筐体102中心方向は開口となっている。そして、入力装置100が組立てられた際には、信号ケーブル用凹部102g、102hから信号ケーブル103、103が筐体102より導出されとともに、前述の操作部材101の端部101c、101dの上面101c1、101d1が規制部102b、102cの内部上面に当接する。
回路基板104の表面には、入力スイッチ40の外部接続端子56a、56b、56c、56dに接続される回路パターン104a、104b、104c、104dが設けられており、また下部筐体102aのピン102dに対応する位置に取付け孔104e、104eが形成されており、Y1方向側面およびY2方向側面には下部筐体102aの半円柱状凸部102e、102eに対応する位置合わせ凹部104f、104fが形成されている。
また、入力スイッチ40のスライダ本体部42aに設けられた操作用貫通孔42fの上部には、円柱状のコイルばね105が配置されており、操作部材101の操作棒101fがこのコイルばね105の内部を貫通することとなる。
この入力装置100の組み立てにおいては、まず入力スイッチ40と信号ケーブル103、103が取り付けられた回路基板104を、ピン102d、102を回路基板104の取付け孔104e、104eと一致するようにして下部筐体102aの内部に収納する。この時、下部筐体102a内の半円柱状凸部102e、102eが回路基板104の位置合わせ凹部104f、104fと嵌合することにより、回路基板104が下部筐体102a内に固定される。
次に、コイルばね105を操作棒101fに挿入した状態の操作部材101を、操作棒101fが入力スイッチ40の操作用貫通孔42fに位置するように保持し、その上から下部筐体102aに被せる。そして、規制部102b、102cを下部筐体102aに取り付けることにより、入力装置100が完成する。この時、操作部材101はコイルばね105の上端部105aは、操作部材101の下面101gに当接するので、この下面101gがコイルばね105の保持部となる。
また、下端部105bがスライダ本体部42aと当接することにより、コイルばね105が下面101gとスライダ本体部42aで挟み込まれて圧縮される。この時のコイルばね105の反発力により、操作部材101はZ2方向に付勢されるが、操作部材101の端部101c、101dの上面101c1、101d1が筐体102の規制部102b、102cに当接してZ2方向への上昇が抑えられる。なお、この状態において、操作部材101は操作部材101の案内部材101e、101eと下部筐体102aの壁部102fによってY1−Y2方向への動きは規制されているが、X1−X2方向への移動は可能な状態となっている。これが、この入力装置100の初期状態となる。
そして、使用者が操作部材101をX1方向に操作した場合、操作棒101fにより入力スイッチ40が第2の実施例の図23で示したような動作を行う。また、操作部材101をZ1方向に操作した場合は図24で示したような動作を行い、操作部材101をX1、Z1方向に操作した場合は図25で示したようなスイッチ動作を行う。
そして、使用者が操作部材101の操作を止めたときは、入力スイッチ40のスライド部材42が中央の初期位置に戻る動作と、コイルばね105の反発力によって、操作部材101は初期位置に戻る。
本実施例によれば、先の入力スイッチ40を用いた入力装置を提供することができる。
次に、本入力装置の第2実施例を図54を用いて説明する。なお、先の実施例と同一の部材には同一番号を付して説明を省略する。
この入力装置110では、コイルばね105の代わりに、操作部材111の裏側に2つのコイルばね112、112を有している。このコイルばね112、112は、下部筐体102aのピン102d、102dに配置されている。この時、コイルばね112、112の下端部112b、112bが回路基板104に当接するので、この部分がコイルばね112、112の下部保持部となる。また、ピン102d、102dに対向する操作部材111裏面の位置に、円柱状のピン111a、111aが突出形成されており、コイルばね112、112の上端部112a、112aが操作部材111のピン111a、111a近傍の下面111bに当接し、この部分がコイルばね112、112の上部保持部として機能する。そして、コイルばね112、112は、操作部材111の下面111b(上部保持部)と回路基板104(下部保持部)で挟み込まれることにより、筐体102内で圧縮・保持されることとなる。
この時のコイルばね112、112の反発力により、操作部材111はZ2方向に付勢されるが、操作部材111の端部111c、111dの上面111c1、111d1が筐体102の規制部102b、102cに当接してZ2方向への上昇が抑えられる。
本実施例では、コイルばね112、112を有するため、第1実施例に比べて操作部材111に加わる付勢力を強くすることができる。このため、操作者がプッシュ操作が行いにくくなるため、スライド操作時に間違ってプッシュ操作を行うことを防止できる。また、コイルばね112、112の下端部112b、112bが下部筐体102aのピン102d、102dに係止されているので、操作部材111をX1方向またはX2方向に移動させる際や、元の初期状態に戻る際に、コイルばね112、112の復元力も加わるため、より強い操作感を得ることが可能となる。
なお、本実施例の弾性部材としてコイルばねを記載したが、これに限定されるものではなく、金属製の板バネや樹脂製の弾性部材であってもよい。また、バネが無い構造であっても良い。
本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲での適宜変更が可能である。