JP6468149B2 - 溶接部の変形抵抗曲線の算出方法、溶接部を備えた部材の製造方法、プログラム、および、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録 - Google Patents

溶接部の変形抵抗曲線の算出方法、溶接部を備えた部材の製造方法、プログラム、および、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録 Download PDF

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Description

本発明は、有限要素法解析(Finite Element Method解析。以下において「FEM解析」と称することがある。)を用いた溶接部の変形抵抗曲線の算出方法、当該算出方法を用いて溶接部を備えた部材を製造する方法、当該算出方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、および、当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
片側アクセスや連続溶接が可能なレーザ溶接は、自動車組立工程における鋼板の接合方法として注目されており、近年、自動車部材の接合方法として実用化が進んでいる。FEM解析により部材の溶接部の強度評価を行う際、溶接部の周辺は、溶接金属部、熱影響部(以下において、「HAZ」と称する。)、および、母材から成り、それぞれ機械的特性が異なるため、解析精度の向上にはこれらの特性を考慮することが重要である。
このような解析に関する技術として、例えば特許文献1、特許文献2、および、特許文献3には、数値解析モデルの変形抵抗、又は、応力−ひずみ関係を予測する技術が開示されている。また、特許文献4には、被圧延材の変形抵抗を予測する変形抵抗予測装置、および、この変形抵抗予測装置によって予測された被圧延材の変形抵抗に基づいて圧延機を制御する圧延機の制御方法に関する技術が開示されている。
また、非特許文献1および非特許文献2には、スポット溶接部から採取した超小型試験片の引張試験により、溶接金属部分、HAZ部分、および、母材部分のそれぞれの応力−歪みデータを測定し、そのデータから、スポット溶接継手の強度を評価するFEM解析に用いる変形抵抗曲線を設定する方法が開示されている。また、非特許文献3には、非特許文献1および非特許文献2の方法を、レーザ溶接継手の強度を評価するFEM解析に応用する方法が開示されている。
特開平11−156413号公報 特開2014−178168号公報 特開2003−270060号公報 特開2012−166264号公報
中山英介、外5名、自動車技術会論文集、2005年、Vol.36、No.1、p.205−210 上田秀樹、外3名、自動車技術会論文集、2013年、Vol.44、No.2、p.727−738 上田秀樹、外2名、溶接学会秋季全国大会講演概要、2014年、No.95、p.326−327
特許文献1に開示されている技術によれば、温度、歪速度、歪、残留歪、粒径、および、化学成分から変形抵抗を予測することが可能と考えられる。また、特許文献2に開示されている技術によれば、降伏曲面の移動最大量、降伏応力、降伏曲面の移動ベクトル、応力ベクトル、応力反転からの降伏曲面移動硬化量、および、相当塑性ひずみ増分から応力−ひずみ関係をシミュレートすることが可能と考えられる。しかしながら、これらの技術では母材を対象としているため、母材とは組織が異なる溶接金属部には適用ができない。また、特許文献3には、はんだ材料を対象にした変形抵抗の予測方法が開示されているに留まり、冷却速度については考慮されていない。また、圧延工程に関する変形抵抗の予測方法が開示されている特許文献4では、簡易な数式でモデル化することを否定している。
また、非特許文献1および非特許文献2に記載の技術では、スポット溶接周辺の機械的特性を模擬しているため、継手の引張試験条件を対象にした詳細な強度評価が可能である。非特許文献3に記載の技術も同様に、レーザ溶接周辺の機械的特性を模擬しているため、継手の引張試験条件を対象にした詳細な強度評価が可能である。しかしながら、溶接手法が異なると、同じ材質であっても溶接部の冷却速度の違いから溶接部硬さが異なり、機械的特性も変化する。したがって、ある材質に関して、スポット溶接部の変形抵抗曲線を測定済みであっても、レーザ溶接継手の変形抵抗曲線はこれと異なるため新たに測定することが必要となり、作業時間と人的労力を要し問題であった。
そこで本発明は、変形抵抗曲線が未測定である溶接手法からなる継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能な、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法、当該変形抵抗曲線の算出方法を用いて溶接部を備えた部材を製造する方法、当該算出方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、および、当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを課題とする。
同一鋼種の、スポット溶接部、および、溶接冷却速度を変えた複数のレーザ溶接部を対象に、あらかじめ、変形抵抗曲線を測定して変形抵抗曲線データとする。図1に、例として引張強さ590MPa級鋼板のスポット溶接部および溶接冷却速度を変えた2種類のレーザ溶接部の変形抵抗曲線を示す。変形抵抗曲線は関数で近似することが多く、ここではLudwikの式で近似する。スポット溶接部の変形抵抗曲線は下記式(1)で表すことができ、レーザ溶接部の変形抵抗曲線は下記式(2)で表すことができる。
σ = YP + F・ε^N …(1)
σ = YP + F・ε^N …(2)
ここで、σは真応力(MPa)、εは塑性ひずみであり、YP、F、N、YP、F、および、Nは、鋼種毎に異なるパラメータである。
上記式(1)のパラメータYP、F、および、Nを用いて、上記式(2)は下記式(3)に書き換えることができる。
σ = YP・YP + F・F・ε^(N・N) …(3)
ここで、YP、F、および、Nは、式(2)を式(3)に書き換えるために用いる変換係数である。
本発明者らが鋭意研究したところ、上記式(3)の変換係数YP、F、および、Nは、溶接部の冷却速度Cに対して図2に示す関係が成り立ち、これらは下記式(4)、(5)、および、(6)で表すことができることを知見した。下記式(4)、(5)、および、(6)のCに、溶接部の冷却速度を代入することにより、変換係数YP、F、および、Nを算出できる。スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定済みであれば、上記式(1)のYP、F、および、Nは既知なので、算出した変換係数YP、F、および、Nを上記式(3)に代入することにより、レーザ溶接部の変形抵抗曲線を導出することができる。なお、スポット溶接部とレーザ溶接部の冷却速度は、放射温度計等による測定で求めることができる。
YP = a1・ln(C) − a2 …(4)
= −b1・ln(C) + b2 …(5)
= −c1・ln(C) + c2 …(6)
ここで、a1、a2、b1、b2、c1、c2はパラメータ(>0)である。
このように、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が未測定である鋼種であっても、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定済みであり、且つ、溶接部の冷却速度(以下において、「溶接冷却速度」と称することがある。)が判明していれば、上述した方法を用いることにより、レーザ溶接部の変形抵抗曲線を容易に求めることができる。また、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式で使用される係数を用いて、スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式を表す際に使用される変換係数を用いるほかは、上述の方法と同様の方法により、スポット溶接部の変形抵抗曲線が未測定である鋼種であっても、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定済みであり、且つ、溶接部の冷却速度が判明していれば、スポット溶接部の変形抵抗曲線を容易に求めることができる。本発明は、このような知見に基づいて完成させた。以下、本発明について説明する。
本発明の第1の態様は、有限要素法解析により溶接部の強度評価を実施する際に用いられる、変形抵抗曲線の算出方法であって、あらかじめ引張試験により、スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた複数のレーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、レーザ溶接部の変形抵抗曲線を、近似式の形で表す数式化工程と、スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式で使用される係数を用いて、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式を表わす際に使用される、変形抵抗曲線が測定された上記鋼種における変換係数、を算出する第1変換係数算出工程と、上記スポット溶接部および上記レーザ溶接部の冷却速度を求める冷却速度特定工程と、該冷却速度特定工程で求めた冷却速度と、変形抵抗曲線が測定された上記鋼種における上記変換係数と、が満たす関係式を作成する関係式作成工程と、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種について、レーザ溶接の送り速度から、レーザ溶接部の冷却速度を導出するレーザ溶接部冷却速度導出工程と、該レーザ溶接部冷却速度導出工程で導出されたレーザ溶接部の冷却速度を、関係式作成工程で作成された上記関係式へと代入することにより、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない上記鋼種における変換係数を算出する第2変換係数算出工程と、該第2変換係数算出工程で算出された変換係数を用いて、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない上記鋼種における、あらかじめ測定されたスポット溶接部の変形抵抗曲線を、レーザ溶接部の変形抵抗曲線へと変換する変形抵抗曲線変換工程と、を有する、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法である。
本発明において、「溶接部」は、特に鋼材の溶接部分とすることが好ましく、溶接金属部分(スポット溶接の場合はナゲット部分、レーザ溶接の場合は溶接ビード部分)、HAZ部分、および、母材部分に大別することができる。また、「変形抵抗曲線」は、弾塑性解析を行う場合に用いる塑性ひずみと真応力との関係を表した材料特性データであり、本発明における変形抵抗曲線は、シーム溶接等の溶接手段における溶接部にも適用可能な、塑性ひずみと真応力との関係を表した材料特性データである。変形抵抗曲線は、対象材料で加工した試験片の引張試験で測定することができ、例えば、溶接部における母材部分の変形抵抗曲線、溶接金属部分の変形抵抗曲線等を例示することができる。また、本発明で使用可能な変形抵抗曲線の近似式としては、例えば、Ludwikの式のほか、n乗硬化則やSwiftの式のような、ひずみ−応力の関係式を挙げることができる。また、本発明において、「冷却速度」は、溶接プロセスにおける溶接部の冷却速度であり、一般には、800℃から500℃までの冷却時における、秒あたりの温度差分(℃/s)を単位として表すことが多い。
本発明の第1の態様では、あらかじめ測定されたスポット溶接部の変形抵抗曲線およびレーザ溶接部の変形抵抗曲線を用いて算出した変換係数と、スポット溶接部およびレーザ溶接部の冷却速度とが満たす関係式を作成する。さらに、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種のレーザ溶接部の冷却速度を導出し、これを、作成しておいた上記関係式へ代入することにより、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種の変換係数を算出する。この変換係数は、スポット溶接部の変形抵抗曲線をレーザ溶接部の変形抵抗曲線へと変換する係数なので、この変換係数と、測定済みであるスポット溶接部の変形抵抗曲線とを用いることにより、引張試験を行わずに、レーザ溶接部の変形抵抗曲線を求めることができる。このようにして算出されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線は、引張試験により測定されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線と良く一致する。したがって、本発明の第1の態様によれば、変形抵抗曲線が未測定であるレーザ溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能な、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法を提供することができる。
また、上記本発明の第1の態様において、上記数式化工程で、スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式が上記式(1)で表され、且つ、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式が上記式(2)および上記式(3)で表され、上記第1変換係数算出工程で算出される変換係数が、上記式(3)におけるYP、F、および、Nであっても良い。
本発明の第1の態様では、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種(以下、本段落において、「評価対象鋼種」と称する。)の、スポット溶接部の変形抵抗曲線は測定されているので、上記式(1)における係数YP、F、および、Nは特定されている。それゆえ、特定されているこれらの係数、および、レーザ溶接部の冷却速度を用いて算出した変換係数を上記式(3)に代入することにより、引張試験を行うことなく、評価対象鋼種のレーザ溶接部の変形抵抗曲線を算出することができる。このようにして算出されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線は、引張試験により測定されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線と良く一致する。したがって、このような形態であっても、変形抵抗曲線が未測定であるレーザ溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能な、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法を提供することができる。
本発明の第2の態様は、有限要素法解析により溶接部の強度評価を実施する際に用いられる、変形抵抗曲線の算出方法であって、あらかじめ引張試験により、レーザ溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた、複数の、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、レーザ溶接部の変形抵抗曲線、および、スポット溶接部の変形抵抗曲線を、近似式の形で表す数式化工程と、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式で使用される係数を用いて、スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式を表わす際に使用される、変形抵抗曲線が測定された上記鋼種における変換係数、を算出する第1変換係数算出工程と、上記スポット溶接部および上記レーザ溶接部の冷却速度を求める冷却速度特定工程と、該冷却速度特定工程で求めた冷却速度と、変形抵抗曲線が測定された上記鋼種における上記変換係数と、が満たす関係式を作成する関係式作成工程と、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種について、スポット溶接部の冷却速度を把握するスポット溶接部冷却速度把握工程と、該スポット溶接部冷却速度把握工程で把握されたスポット溶接部の冷却速度を、関係式作成工程で作成された上記関係式へと代入することにより、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない上記鋼種における変換係数を算出する第2変換係数算出工程と、該第2変換係数算出工程で算出された変換係数を用いて、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない上記鋼種における、あらかじめ測定されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線を、スポット溶接部の変形抵抗曲線へと変換する変形抵抗曲線変換工程と、を有する、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法である。
本発明において、スポット溶接部の冷却速度は、放射温度計等による測定で求めることができる。また、例えば保持時間等を変化させることにより、溶接冷却速度を変えた、複数の、スポット溶接部の変形抵抗曲線を測定することができる。
本発明の第2の態様では、あらかじめ測定されたスポット溶接部の変形抵抗曲線およびレーザ溶接部の変形抵抗曲線を用いて算出した変換係数と、スポット溶接部およびレーザ溶接部の冷却速度とが満たす関係式を作成する。さらに、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種のスポット溶接部の冷却速度を把握し、これを、作成しておいた上記関係式へ代入することにより、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種の変換係数を算出する。この変換係数は、レーザ溶接部の変形抵抗曲線をスポット溶接部の変形抵抗曲線へと変換する係数なので、この変換係数と、測定済みであるレーザ溶接部の変形抵抗曲線とを用いることにより、引張試験を行わずに、スポット溶接部の変形抵抗曲線を求めることができる。このようにして算出されたスポット溶接部の変形抵抗曲線は、引張試験により測定されたスポット溶接部の変形抵抗曲線と良く一致する。したがって、本発明の第2の態様によれば、変形抵抗曲線が未測定であるスポット溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能な、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法を提供することができる。
また、上記本発明の第2の態様において、上記数式化工程で、スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(X)および下記式(Y)で表され、且つ、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(Z)で表され、上記第1変換係数算出工程で算出される変換係数が、下記式(Y)におけるYP’、F’、および、N’であっても良い。
σ = YP + F・ε^N …(X)
σ = YP・YP’ + F・F’・ε^(N・N’) …(Y)
σ = YP + F・ε^N …(Z)
ここで、σは真応力(MPa)であり、εは塑性ひずみである。
本発明の第2の態様では、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種(以下、本段落において、「評価対象鋼種」と称する。)の、レーザ溶接部の変形抵抗曲線は測定されているので、上記式(Z)における係数YP、F、および、Nは特定されている。それゆえ、特定されているこれらの係数、および、スポット溶接部の冷却速度を用いて算出した変換係数を上記式(Y)に代入することにより、引張試験を行うことなく、評価対象鋼種のスポット溶接部の変形抵抗曲線を算出することができる。このようにして算出されたスポット溶接部の変形抵抗曲線は、引張試験により測定されたスポット溶接部の変形抵抗曲線と良く一致する。したがって、このような形態であっても、変形抵抗曲線が未測定であるスポット溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度よく算出することが可能な、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法を提供することができる。
本発明の第3の態様は、有限要素法解析により溶接部の強度評価を実施する際に用いられる、変形抵抗曲線の算出方法であって、あらかじめ引張試験により、スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた複数のレーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、レーザ溶接部の変形抵抗曲線を、近似式の形で表す数式化工程と、スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式で使用される係数を用いてレーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式を表わす際に使用される、変形抵抗曲線が測定された上記鋼種における変換係数、を算出する第1変換係数算出工程と、上記スポット溶接部および上記レーザ溶接部の冷却速度を求める冷却速度特定工程と、該冷却速度特定工程で求めた冷却速度と、変形抵抗曲線が測定された上記鋼種における上記変換係数と、が満たす関係式を作成する関係式作成工程と、を実行し、上記関係式作成工程で作成した関係式をあらかじめ準備しておき、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種について、レーザ溶接の送り速度から、レーザ溶接部の冷却速度を導出するレーザ溶接部冷却速度導出工程と、該レーザ溶接部冷却速度導出工程で導出されたレーザ溶接部の冷却速度を、あらかじめ準備した上記関係式作成工程で作成された上記関係式へと代入することにより、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない上記鋼種における変換係数を算出する第2変換係数算出工程と、該第2変換係数算出工程で算出された変換係数を用いて、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない上記鋼種における、あらかじめ測定されたスポット溶接部の変形抵抗曲線を、レーザ溶接部の変形抵抗曲線へと変換する変形抵抗曲線変換工程と、を有する、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法である。
本発明の第3の態様は、上記本発明の第1の態様における数式化工程〜関係式作成工程を事前に行うことにより作成された、冷却速度と、変形抵抗曲線が測定されている鋼種における変換係数と、が満たす関係式を用いて、レーザ溶接部冷却速度導出工程〜変形抵抗曲線変換工程を行う態様に相当する。このような形態であっても、引張試験を行わずに、レーザ溶接部の変形抵抗曲線を求めることができ、このようにして算出されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線は、引張試験により測定されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線と良く一致する。したがって、本発明の第3の態様によれば、変形抵抗曲線が未測定であるレーザ溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能な、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法を提供することができる。
また、上記本発明の第3の態様において、上記数式化工程で、スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式が上記式(1)で表され、且つ、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式が上記式(2)および上記式(3)で表され、変換係数が、上記式(3)におけるYP、F、および、Nであっても良い。
本発明の第3の態様では、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種(以下、本段落において、「評価対象鋼種」と称する。)の、スポット溶接部の変形抵抗曲線は測定されているので、上記式(1)における係数YP、F、および、Nは特定されている。それゆえ、特定されているこれらの係数、および、レーザ溶接部の冷却速度を用いて算出した変換係数を上記式(3)に代入することにより、引張試験を行うことなく、評価対象鋼種のレーザ溶接部の変形抵抗曲線を算出することができる。このようにして算出されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線は、引張試験により測定されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線と良く一致する。したがって、このような形態であっても、変形抵抗曲線が未測定であるレーザ溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能な、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法を提供することができる。
本発明の第4の態様は、有限要素法解析により溶接部の強度評価を実施する際に用いられる、変形抵抗曲線の算出方法であって、あらかじめ引張試験により、レーザ溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた、複数の、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、レーザ溶接部の変形抵抗曲線、および、スポット溶接部の変形抵抗曲線を、近似式の形で表す数式化工程と、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式で使用される係数を用いてスポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式を表わす際に使用される、変形抵抗曲線が測定された上記鋼種における変換係数、を算出する第1変換係数算出工程と、上記スポット溶接部および上記レーザ溶接部の冷却速度を求める冷却速度特定工程と、該冷却速度特定工程で求めた冷却速度と、変形抵抗曲線が測定された上記鋼種における上記変換係数と、が満たす関係式を作成する関係式作成工程と、を実行し、上記関係式作成工程で作成した関係式をあらかじめ準備しておき、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種について、スポット溶接部の冷却速度を把握するスポット溶接部冷却速度把握工程と、該スポット溶接部冷却速度把握工程で把握されたスポット溶接部の冷却速度を、あらかじめ準備した上記関係式作成工程で作成された上記関係式へと代入することにより、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない上記鋼種における変換係数を算出する第2変換係数算出工程と、該第2変換係数算出工程で算出された変換係数を用いて、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない上記鋼種における、あらかじめ測定されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線を、スポット溶接部の変形抵抗曲線へと変換する変形抵抗曲線変換工程と、を有する、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法である。
本発明の第4の態様は、上記本発明の第2の態様における数式化工程〜関係式作成工程を事前に行うことにより作成された、冷却速度と、変形抵抗曲線が測定されている鋼種における変換係数と、が満たす関係式を用いて、スポット溶接部冷却速度導出工程〜変形抵抗曲線変換工程を行う態様に相当する。このような形態であっても、引張試験を行わずに、スポット溶接部の変形抵抗曲線を求めることができ、このようにして算出されたスポット溶接部の変形抵抗曲線は、引張試験により測定されたスポット溶接部の変形抵抗曲線と良く一致する。したがって、本発明の第4の態様によれば、変形抵抗曲線が未測定であるスポット溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能な、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法を提供することができる。
また、上記本発明の第4の態様において、上記数式化工程で、スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式が上記式(X)および上記式(Y)で表され、且つ、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式が上記式(Z)で表され、変換係数が、上記式(Y)におけるYP’、F’、および、N’であっても良い。
本発明の第4の態様では、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種(以下、本段落において、「評価対象鋼種」と称する。)の、レーザ溶接部の変形抵抗曲線は測定されているので、上記式(Z)における係数YP、F、および、Nは特定されている。それゆえ、特定されているこれらの係数、および、スポット溶接部の冷却速度を用いて算出した変換係数を上記式(Y)に代入することにより、引張試験を行うことなく、評価対象鋼種のスポット溶接部の変形抵抗曲線を算出することができる。このようにして算出されたスポット溶接部の変形抵抗曲線は、引張試験により測定されたスポット溶接部の変形抵抗曲線と良く一致する。したがって、このような形態であっても、変形抵抗曲線が未測定であるスポット溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度よく算出することが可能な、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法を提供することができる。
本発明の第5の態様は、上記本発明の第1の態様乃至上記本発明の第4の態様にかかる溶接部の変形抵抗曲線の算出方法により算出された変形抵抗曲線を用いて有限要素法解析を行い、その解析結果に基づいて、部材の板組み、溶接部の大きさ、および/または、溶接位置を決定し、該決定された板組み、溶接部の大きさ、および/または、溶接位置にしたがって、部材を溶接する工程を備える、溶接部を備えた部材の製造方法である。
本発明の第5の態様における「溶接部」は、スポット溶接部およびレーザ溶接部を含む概念である。本発明の第5の態様において、レーザ溶接部の大きさやレーザ溶接の位置を決定する際には、本発明の第1の態様や本発明の第3の態様によって算出された、レーザ溶接部の変形抵抗曲線を用いれば良く、スポット溶接部の大きさやスポット溶接の位置を決定する際には、本発明の第2の態様や本発明の第4の態様によって算出された、スポット溶接部の変形抵抗曲線を用いれば良い。本発明の第1の態様乃至本発明の第4の態様によれば、変形抵抗曲線を高精度に算出することができるので、本発明の第1の態様乃至本発明の第4の態様により算出された変形抵抗曲線を用いた有限要素法解析は、解析精度が高い。高精度な有限要素法解析の結果を用いて部材を溶接することにより、板組み、溶接部の大きさや溶接位置が適切とされた溶接部材を製造することができる。
本発明の第6の態様は、有限要素法解析により溶接部の強度評価を実施する際に用いられる、変形抵抗曲線を算出するプログラムであって、あらかじめ引張試験により、スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた複数のレーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、レーザ溶接部の変形抵抗曲線を、近似式の形で表す数式化ステップと、スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式で使用される係数を用いて、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式を表わす際に使用される、変形抵抗曲線が測定された上記鋼種における変換係数、を算出する第1変換係数算出ステップと、上記スポット溶接部および上記レーザ溶接部の冷却速度を求める冷却速度特定ステップと、該冷却速度特定ステップで求められた冷却速度と、上記第1変換係数算出ステップで算出された変換係数と、が満たす関係式を作成する関係式作成ステップと、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種について、レーザ溶接の送り速度から、レーザ溶接部の冷却速度を導出するレーザ溶接部冷却速度導出ステップと、該レーザ溶接部冷却速度導出ステップで導出されたレーザ溶接部の冷却速度を、関係式作成ステップで作成された上記関係式へと代入することにより、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない上記鋼種における変換係数を算出する第2変換係数算出ステップと、該第2変換係数算出ステップで算出された変換係数を用いて、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない上記鋼種における、あらかじめ測定されたスポット溶接部の変形抵抗曲線を、レーザ溶接部の変形抵抗曲線へと変換する変形抵抗曲線変換ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
本発明の第6の態様は、上記本発明の第1の態様にかかる溶接部の変形抵抗曲線の算出方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムである。上述のように、本発明の第1の態様によれば、変形抵抗曲線が未測定であるレーザ溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能である。したがって、本発明の第6の態様によれば、変形抵抗曲線が未測定であるレーザ溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能な、プログラムを提供することができる。
また、上記本発明の第6の態様において、上記数式化ステップで表される、スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式が上記式(1)であり、且つ、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式が上記式(2)および上記式(3)であり、上記第1変換係数算出ステップで算出される変換係数が、上記式(3)におけるYP、F、および、Nであっても良い。
本発明の第6の態様では、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種(以下、本段落において、「評価対象鋼種」と称する。)の、スポット溶接部の変形抵抗曲線は既知なので、上記式(1)における係数YP、F、および、Nは特定されている。それゆえ、特定されているこれらの係数、および、レーザ溶接部の冷却速度を用いて算出された変換係数を上記式(3)に代入することにより、引張試験を行うことなく、評価対象鋼種のレーザ溶接部の変形抵抗曲線を算出することができる。このようにして算出されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線は、引張試験により測定されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線と良く一致する。したがって、このような形態であっても、変形抵抗曲線が未測定であるレーザ溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能な、プログラムを提供することができる。
本発明の第7の態様は、有限要素法解析により溶接部の強度評価を実施する際に用いられる、変形抵抗曲線を算出するプログラムであって、あらかじめ引張試験により、レーザ溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた、複数の、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、レーザ溶接部の変形抵抗曲線、および、スポット溶接部の変形抵抗曲線を、近似式の形で表す数式化ステップと、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式で使用される係数を用いて、スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式を表わす際に使用される、変形抵抗曲線が測定された上記鋼種における変換係数、を算出する第1変換係数算出ステップと、上記スポット溶接部および上記レーザ溶接部の冷却速度を求める冷却速度特定ステップと、該冷却速度特定ステップで求められた冷却速度と、上記第1変換係数算出ステップで算出された変換係数と、が満たす関係式を作成する関係式作成ステップと、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種について、スポット溶接部の冷却速度を把握するスポット溶接部冷却速度把握ステップと、該スポット溶接部冷却速度把握ステップで把握されたスポット溶接部の冷却速度を、関係式作成ステップで作成された上記関係式へと代入することにより、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない上記鋼種における変換係数を算出する第2変換係数算出ステップと、該第2変換係数算出ステップで算出された変換係数を用いて、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない上記鋼種における、あらかじめ測定されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線を、スポット溶接部の変形抵抗曲線へと変換する変形抵抗曲線変換ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
本発明の第7の態様は、上記本発明の第2の態様にかかる溶接部の変形抵抗曲線の算出方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムである。上述のように、本発明の第2の態様によれば、変形抵抗曲線が未測定であるスポット溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能である。したがって、本発明の第7の態様によれば、変形抵抗曲線が未測定であるスポット溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能な、プログラムを提供することができる。
また、上記本発明の第7の態様において、上記数式化ステップで表される、スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式が上記式(X)および上記式(Y)であり、且つ、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式が上記式(Z)であり、上記第1変換係数算出ステップで算出される変換係数が、上記式(Y)におけるYP’、F’、および、N’であっても良い。
本発明の第7の態様では、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種(以下、本段落において、「評価対象鋼種」と称する。)の、レーザ溶接部の変形抵抗曲線は既知なので、上記式(Z)における係数YP、F、および、Nは特定されている。それゆえ、特定されているこれらの係数、および、スポット溶接部の冷却速度を用いて算出された変換係数を上記式(Y)に代入することにより、引張試験を行うことなく、評価対象鋼種のスポット溶接部の変形抵抗曲線を算出することができる。このようにして算出されたスポット溶接部の変形抵抗曲線は、引張試験により測定されたスポット溶接部の変形抵抗曲線と良く一致する。したがって、このような形態であっても、変形抵抗曲線が未測定であるスポット溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能な、プログラムを提供することができる。
本発明の第8の態様は、有限要素法解析により溶接部の強度評価を実施する際に用いられる、変形抵抗曲線を算出するプログラムであって、あらかじめ引張試験により、スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた複数のレーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、レーザ溶接部の変形抵抗曲線を、近似式の形で表す数式化ステップと、スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式で使用される係数を用いて、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式を表わす際に使用される、変形抵抗曲線が測定された上記鋼種における変換係数、を算出する第1変換係数算出ステップと、上記スポット溶接部および上記レーザ溶接部の冷却速度を求める冷却速度特定ステップと、該冷却速度特定ステップで求められた冷却速度と、上記第1変換係数算出ステップで算出された変換係数と、が満たす関係式を作成する関係式作成ステップと、をコンピュータに実行させることにより、上記関係式作成ステップで作成した関係式をあらかじめ準備しておき、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種について、レーザ溶接の送り速度から、レーザ溶接部の冷却速度を導出するレーザ溶接部冷却速度導出ステップと、該レーザ溶接部冷却速度導出ステップで導出されたレーザ溶接部の冷却速度を、あらかじめ準備した関係式作成ステップで作成された上記関係式へと代入することにより、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない上記鋼種における変換係数を算出する第2変換係数算出ステップと、該第2変換係数算出ステップで算出された変換係数を用いて、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない上記鋼種における、あらかじめ測定されたスポット溶接部の変形抵抗曲線を、レーザ溶接部の変形抵抗曲線へと変換する変形抵抗曲線変換ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
本発明の第8の態様は、上記本発明の第6の態様における数式化ステップ〜関係式作成ステップを事前にコンピュータに実行させることにより作成された、冷却速度と、変形抵抗曲線が測定されている鋼種における変換係数と、が満たす関係式を用いて、レーザ溶接部冷却速度導出ステップ〜変形抵抗曲線変換ステップをコンピュータに実行させる態様に相当する。このような形態であっても、引張試験を行わずに、レーザ溶接部の変形抵抗曲線を求めることができ、このようにして算出されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線は、引張試験により測定されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線と良く一致する。したがって、本発明の第8の態様によれば、変形抵抗曲線が未測定であるレーザ溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能な、プログラムを提供することができる。
また、上記本発明の第8の態様において、上記数式化ステップで表される、スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式が上記式(1)であり、且つ、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式が上記式(2)および上記式(3)であり、上記第1変換係数算出ステップで算出される変換係数が、上記式(3)におけるYP、F、および、Nであっても良い。
本発明の第8の態様では、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種(以下、本段落において、「評価対象鋼種」と称する。)の、スポット溶接部の変形抵抗曲線は既知なので、上記式(1)における係数YP、F、および、Nは特定されている。それゆえ、特定されているこれらの係数、および、レーザ溶接部の冷却速度を用いて算出された変換係数を上記式(3)に代入することにより、引張試験を行うことなく、評価対象鋼種のレーザ溶接部の変形抵抗曲線を算出することができる。このようにして算出されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線は、引張試験により測定されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線と良く一致する。したがって、このような形態であっても、変形抵抗曲線が未測定であるレーザ溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能な、プログラムを提供することができる。
本発明の第9の態様は、有限要素法解析により溶接部の強度評価を実施する際に用いられる、変形抵抗曲線を算出するプログラムであって、あらかじめ引張試験により、レーザ溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた、複数の、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、レーザ溶接部の変形抵抗曲線、および、スポット溶接部の変形抵抗曲線を、近似式の形で表す数式化ステップと、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式で使用される係数を用いて、スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式を表わす際に使用される、変形抵抗曲線が測定された上記鋼種における変換係数、を算出する第1変換係数算出ステップと、上記スポット溶接部および上記レーザ溶接部の冷却速度を求める冷却速度特定ステップと、該冷却速度特定ステップで求められた冷却速度と、上記第1変換係数算出ステップで算出された変換係数と、が満たす関係式を作成する関係式作成ステップと、をコンピュータに実行させることにより、上記関係式作成ステップで作成した関係式をあらかじめ準備しておき、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種について、スポット溶接部の冷却速度を把握するスポット溶接部冷却速度把握ステップと、該スポット溶接部冷却速度把握ステップで把握されたスポット溶接部の冷却速度を、あらかじめ準備した関係式作成ステップで作成された上記関係式へと代入することにより、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない上記鋼種における変換係数を算出する第2変換係数算出ステップと、該第2変換係数算出ステップで算出された変換係数を用いて、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない上記鋼種における、あらかじめ測定されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線を、スポット溶接部の変形抵抗曲線へと変換する変形抵抗曲線変換ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
本発明の第9の態様は、上記本発明の第7の態様における数式化ステップ〜関係式作成ステップを事前にコンピュータに実行させることにより作成された、冷却速度と、変形抵抗曲線が測定されている鋼種における変換係数と、が満たす関係式を用いて、スポット溶接部冷却速度導出ステップ〜変形抵抗曲線変換ステップをコンピュータに実行させる態様に相当する。このような形態であっても、引張試験を行わずに、スポット溶接部の変形抵抗曲線を求めることができ、このようにして算出されたスポット溶接部の変形抵抗曲線は、引張試験により測定されたスポット溶接部の変形抵抗曲線と良く一致する。したがって、本発明の第9の態様によれば、変形抵抗曲線が未測定であるスポット溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能な、プログラムを提供することができる。
また、上記本発明の第9の態様において、上記数式化ステップで表される、スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式が上記式(X)および上記式(Y)であり、且つ、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式が上記式(Z)であり、上記第1変換係数算出ステップで算出される変換係数が、上記式(Y)におけるYPr’、Fr’、および、Nr’であっても良い。
本発明の第9の態様では、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種(以下、本段落において、「評価対象鋼種」と称する。)の、レーザ溶接部の変形抵抗曲線は既知なので、上記式(Z)における係数YP、F、および、Nは特定されている。それゆえ、特定されているこれらの係数、および、スポット溶接部の冷却速度を用いて算出された変換係数を上記式(Y)に代入することにより、引張試験を行うことなく、評価対象鋼種のスポット溶接部の変形抵抗曲線を算出することができる。このようにして算出されたスポット溶接部の変形抵抗曲線は、引張試験により測定されたスポット溶接部の変形抵抗曲線と良く一致する。したがって、このような形態であっても、変形抵抗曲線が未測定であるスポット溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度よく算出することが可能な、プログラムを提供することができる。
本発明の第10の態様は、上記本発明の第6の態様乃至上記本発明の第9の態様にかかるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
上記本発明の第6の態様および上記本発明の第8の態様によれば、変形抵抗曲線が未測定であるレーザ溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能である。また、上記本発明の第7の態様および上記本発明の第9の態様によれば、変形抵抗曲線が未測定であるスポット溶接継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能である。したがって、本発明の第10の態様によれば、変形抵抗曲線が未測定である溶接手法からなる継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能なプログラム、を記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することができる。
本発明においては、特定した溶接部の冷却速度と関係式とを用いて、変形抵抗曲線の変換係数を算出する。これにより、変形抵抗曲線が未測定である溶接手法からなる溶接部の変形抵抗曲線を算出・予測する場合であっても、特定した溶接部の冷却速度を用いて変換係数を算出できる。そして、この変換係数と測定済みの溶接手法からなる溶接部の変形抵抗曲線とを用いることにより、引張試験を行わずに、変形抵抗曲線が未測定である溶接手法からなる溶接部の変形抵抗曲線を容易に算出・予測することができる。したがって、本発明によれば、変形抵抗曲線が未測定である溶接手法からなる継手について、引張試験を行わずに変形抵抗曲線を精度良く算出することが可能な、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法、当該算出方法を用いて溶接部を備えた部材を製造する方法、当該算出方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、および、当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することができる。
スポット溶接部およびレーザ溶接部の変形抵抗曲線を示す図である。 変換係数YP、F、および、Nと冷却速度Cとの関係を示す図である。 本発明の変形抵抗曲線の算出方法S10を説明する図である。 レーザ溶接の送り速度と冷却速度との関係を示す図である。 本発明の変形抵抗曲線の算出方法S20を説明する図である。 変形抵抗曲線の算出システム10を説明する図である。 変形抵抗曲線の算出システム20を説明する図である。 評価対象の鋼種の変形抵抗曲線を示す図である。 実施例のレーザ溶接継手引張試験モデルの継手形状を示す図である。
1.本発明完成までの経緯
上記非特許文献1および2によれば、スポット溶接周辺を、溶接金属部分(又はナゲット部分)や母材部分等の組織毎にそれぞれ変形抵抗曲線を設定することで、継手の引張試験条件を対象にした詳細な強度評価のFEM解析が可能である。また、非特許文献3によれば、スポット溶接と同様にレーザ溶接に関しても、溶接金属部分や母材部分等の組織毎にそれぞれ変形抵抗曲線を設定することで、継手の引張試験条件を対象にした詳細な強度評価のFEM解析が可能である。
図1に示すように、変形抵抗は、スポット溶接部よりもレーザ溶接部の方が低下傾向を示す。そのため、レーザ溶接部はスポット溶接部よりも、Ludwikの式における係数YPが小さくなり、係数FおよびNは大きくなると考えられる。また、スポット溶接部と比較してレーザ溶接部の冷却速度は遅い傾向があり、冷却速度が遅いほど溶接金属部の硬さは低下する。このように、溶接部では冷却速度と機械的特性との間に相関性があると考えられている。また、引張試験において測定される変形抵抗曲線は機械的特性の一つであるため、本発明者らは、溶接部の変形抵抗曲線と冷却速度との間にも関係があると考えた。このような考えに基づいて鋭意研究を行った結果、本発明者らは、上記式(4)、(5)、および、(6)と、スポット溶接部の変形抵抗曲線の構成式(式(1))における係数とを用いて、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の構成式(式(2))を書き換えた構成式(式(3))を特定できることを知見した。また、本発明者らは、後述する式(4)’、(5)’、および、(6)’と、レーザ溶接部の変形抵抗曲線の構成式(式(Z))における係数とを用いて、スポット溶接部の変形抵抗曲線の構成式(式(X))を書き換えた構成式(式(Y))を特定できることも知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明においては、測定済みのスポット溶接部の変形抵抗曲線と、上記式(4)〜(6)に冷却速度を代入することによって得られる変換係数YP、F、および、Nと、を用いて、未測定であるレーザ溶接部の変形抵抗曲線を、引張試験を行わずに精度良く算出することができる。また、本発明においては、測定済みのレーザ溶接部の変形抵抗曲線と、後述する式(4)’〜(6)’に冷却速度を代入することによって得られる変換係数YP’、F’、および、N’と、を用いて、未測定であるスポット溶接部の変形抵抗曲線を、引張試験を行わずに精度良く算出することができる。
以下、実施形態に係る本発明について詳述する。なお、以下に示す実施形態は本発明の例であり、本発明は以下に説明する実施形態に限定されない。
2.溶接部の変形抵抗曲線の算出方法
2.1.レーザ溶接部の変形抵抗曲線の算出方法
本発明の1つの実施形態に係る溶接部の変形抵抗曲線の算出方法S10(以下において、単に「算出方法S10」と称する。)を図3に示す。図3に示した算出方法S10は、数式化工程S11と、第1変換係数算出工程S12と、冷却速度特定工程S13と、関係式作成工程S14と、レーザ溶接部冷却速度導出工程S15と、第2変換係数算出工程S16と、変形抵抗曲線変換工程S17と、を有している。
2.1.1.数式化工程S11(工程S11)
工程S11は、あらかじめ引張試験により、スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた複数のレーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、スポット溶接部の変形抵抗曲線を上記式(1)の形で表し、且つ、レーザ溶接部の変形抵抗曲線を上記式(2)および上記式(3)の形で表す工程である。ここで、変形抵抗曲線が測定された鋼種の変形抵抗曲線をLudwikの式で近似すると、上記式(1)〜(3)の係数を具体的な数値に置き換えた式で、それぞれの変形抵抗曲線を表すことができる。すなわち、「上記式F(Fは(1)、(2)、または、(3)。)の形で表す」とは、YP、F、N、YP、F、および、Nを具体的な数値に置き換えた式で表すことを意味する。工程S11では、引張試験によってスポット溶接部および2種類のレーザ溶接部の変形抵抗曲線が既知である鋼種として、例えば、母材強度クラス590MPa級鋼板を用いることができる。
2.1.2.第1変換係数算出工程S12(工程S12)
工程S12は、工程S11で表した式を用いて、工程S11の鋼種に関する、上記式(3)の変換係数YP、F、および、Nを算出する工程である。上記式(2)および(3)より、YP=YP/YP、F=F/F、N=N/Nなので、YP、YP、F、F、N、および、Nに数値を代入することにより、YP、F、および、Nを算出することができる。
2.1.3.冷却速度特定工程S13(工程S13)
工程S13は、スポット溶接部およびレーザ溶接部の冷却速度Cを求める工程である。工程S13は、工程S11で用いた鋼種の、スポット溶接部およびレーザ溶接部の冷却速度Cを求める工程なので、工程S11で母材強度クラス590MPa級鋼板を用いた場合、工程S13は、例えば、当該鋼板の、スポット溶接部の冷却速度、および、レーザ溶接部の2種類の冷却速度を特定する工程とすることができる。スポット溶接部とレーザ溶接部の冷却速度は、溶接サンプル製作時に放射温度計等による測定で求めることができる。また、レーザ溶接においては、送り速度Wと冷却速度Cとの間に図4に示す関係が成り立つ。そのため、レーザ溶接部の冷却速度Cは、下記式(7)で示す関数(d1およびd2はパラメータ)で近似することが可能である。なお、測定条件を増すことにより、下記式(7)に示す線形近似以外の近似(例えば、対数近似や累乗近似等。)を用いることも可能である。
= d1・W + d2 …(7)
2.1.4.関係式作成工程S14(工程S14)
工程S14は、冷却速度Cと、式(3)の変換係数YP、F、および、Nと、が満たす関係式を作成する工程である。上述のように、冷却速度Cと変換係数YP、F、および、Nとの間には、図2に示す関係が成り立つ。そのため、冷却速度Crと変換係数YP、F、および、Nとが満たす関係式として、上記式(4)、式(5)、および、式(6)を導出することができる。なお、工程S14では、工程S13で特定した冷却速度Cを用いる。
2.1.5.レーザ溶接部冷却速度導出工程S15(工程S15)
工程S15は、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種(以下において、「評価対象鋼種」と称することがある。)について、レーザ溶接の送り速度Wから、レーザ溶接部の冷却速度Cを導出する工程である。工程S15では、上記式(7)を用いて、冷却速度Cを導出することができる。
2.1.6.第2変換係数算出工程S16(工程S16)
工程S16は、上記工程S15で導出された評価対象鋼種のレーザ溶接部の冷却速度Cを、上記工程S14で作成した関係式(式(4)〜式(6))へと代入することにより、評価対象鋼種の変換係数を算出する工程である。
2.1.7.変形抵抗曲線変換工程S17(工程S17)
工程S17は、上記工程S16で算出された評価対象鋼種の変換係数を用いて、引張試験で測定された評価対象鋼種のスポット溶接部の変形抵抗曲線を、評価対象鋼種のレーザ溶接部の変形抵抗曲線へと変換する工程である。上述のように、スポット溶接部の変形抵抗曲線は上記式(1)の形で表すことができ、その変形抵抗曲線が測定されている場合には、式(1)におけるYP、F、および、Nの具体的な数値が判明している。それゆえ、YP、F、および、Nの具体的な数値と、上記工程S16で算出した評価対象鋼種の変換係数とを、上記式(3)へ代入することにより、上記式(3)の形で表される、評価対象鋼種のレーザ溶接部の変形抵抗曲線の構成式を導出することができる。
このように、工程S11〜工程S17を有する算出方法S10によれば、未測定である評価対象鋼種のレーザ溶接部の変形抵抗曲線を、引張試験を行わずに算出することができる。
2.2.スポット溶接部の変形抵抗曲線の算出方法
本発明の他の実施形態に係る溶接部の変形抵抗曲線の算出方法S20(以下において、単に「算出方法S20」と称する。)を図5に示す。図5に示した算出方法S20は、数式化工程S21と、第1変換係数算出工程S22と、冷却速度特定工程S23と、関係式作成工程S24と、スポット溶接部冷却速度把握工程S25と、第2変換係数算出工程S26と、変形抵抗曲線変換工程S27と、を有している。
2.2.1.数式化工程S21(工程S21)
工程S21は、あらかじめ引張試験により、レーザ溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた複数の、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、スポット溶接部の変形抵抗曲線を上記式(X)および上記式(Y)の形で表し、且つ、レーザ溶接部の変形抵抗曲線を上記式(Z)の形で表す工程である。ここで、変形抵抗曲線が測定された鋼種の変形抵抗曲線をLudwikの式で近似すると、上記式(X)〜(Z)の係数を具体的な数値に置き換えた式で、それぞれの変形抵抗曲線を表すことができる。すなわち、「上記式F’(F’は(X)、(Y)、または、(Z)。)の形で表す」とは、YP、F、N、YP、F、および、Nを具体的な数値に置き換えた式で表すことを意味する。工程S21では、引張試験によってレーザ溶接部および2種類のスポット溶接部の変形抵抗曲線が既知である鋼種として、例えば、母材強度クラス590MPa級鋼板を用いることができる。
2.2.2.第1変換係数算出工程S22(工程S22)
工程S22は、工程S21で表した式を用いて、工程S21の鋼種に関する、上記式(Y)の変換係数YP’、F’、および、N’を算出する工程である。上記式(X)および(Y)より、YP’=YP/YP、F’=F/F、N’=N/Nなので、YP、YP、F、F、N、および、Nに数値を代入することにより、YP’、F’、および、N’を算出することができる。
2.2.3.冷却速度特定工程S23(工程S23)
工程S23は、スポット溶接部およびレーザ溶接部の冷却速度Cを求める工程である。工程S23は工程S13と同様の工程であるので、ここでは説明を省略する。
2.2.4.関係式作成工程S24(工程S24)
工程S24は、冷却速度Cと、式(Y)の変換係数YP’、F’、および、N’と、が満たす関係式を作成する工程である。冷却速度Cと変換係数YP’、F’、および、N’との間には、図2に示す関係が成り立つ。そのため、冷却速度Crと変換係数YP’、F’、および、N’とが満たす関係式として、下記式(4)’、式(5)’、および、式(6)’を導出することができる。なお、工程S24では、工程S23で特定した冷却速度Cを用いる。
YP’ = a1’・ln(C) − a2’ …(4)’
’ = −b1’・ln(C) + b2’ …(5)’
’ = −c1’・ln(C) + c2’ …(6)’
ここで、a1’、a2’、b1’、b2’、c1’、c2’はパラメータ(>0)である。
2.2.5.スポット溶接部冷却速度把握工程S25(工程S25)
工程S25は、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種(以下において、「評価対象鋼種」と称することがある。)について、スポット溶接部の冷却速度を把握する工程である。スポット溶接では、溶接条件によって冷却条件が大きく変化しないため、例えば代表値をスポット溶接部の冷却速度とすることができ、具体的には、工程S21で用いた鋼種のスポット溶接部の冷却速度を、工程S25で把握するスポット溶接部の冷却速度とすることができる。このほか、評価対象鋼種のスポット溶接部の冷却速度を、放射温度計等を用いて予め測定しておき、当該測定しておいた冷却速度を、工程S25で把握するスポット溶接部の冷却速度とすることもできる。
2.2.6.第2変換係数算出工程S26(工程S26)
工程S26は、上記工程S25で把握した評価対象鋼種のスポット溶接部の冷却速度を、上記工程S24で作成した関係式(式(4)’〜式(6)’)へと代入することにより、評価対象鋼種の変換係数を算出する工程である。
2.2.7.変形抵抗曲線変換工程S27(工程S27)
工程S27は、上記工程S26で算出された評価対象鋼種の変換係数を用いて、引張試験で測定された評価対象鋼種のレーザ溶接部の変形抵抗曲線を、評価対象鋼種のスポット溶接部の変形抵抗曲線へと変換する工程である。上述のように、レーザ溶接部の変形抵抗曲線は上記式(Z)の形で表すことができ、その変形抵抗曲線が測定されている場合には、式(Z)におけるYP、F、および、Nの具体的な数値が判明している。それゆえ、YP、F、および、Nの具体的な数値と、上記工程S26で算出した評価対象鋼種の変換係数とを、上記式(Y)へ代入することにより、上記式(Y)の形で表される、評価対象鋼種のスポット溶接部の変形抵抗曲線の構成式を導出することができる。
このように、工程S21〜工程S27を有する算出方法S20によれば、未測定である評価対象鋼種のスポット溶接部の変形抵抗曲線を、引張試験を行わずに算出することができる。
3.溶接部の変形抵抗曲線の算出システム
3.1.レーザ溶接部の変形抵抗曲線の算出システム
本発明の他の実施形態に係る溶接部の変形抵抗曲線の算出システム10(以下において、単に「算出システム10」と称する。)を図6に示す。図6に示した算出システム10は、スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接部の冷却速度を変えた複数の、レーザ溶接部の変形抵抗曲線に関するデータ(少なくとも近似式の係数YP、F、N、YP、F、Nに関するデータ。以下において同じ。)、ならびに、溶接部の冷却速度に関するデータを蓄積したデータベース1と、該データベース1から選択されたデータを用いて、変換係数YP、F、および、Nと冷却速度Cとの関係式を作成する関係式作成部2と、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種(評価対象鋼種)の、レーザ溶接部の冷却速度Cを用いて算出した、評価対象鋼種の変換係数YP、F、および、Nと、当該評価対象鋼種のスポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式における係数とを用いて、評価対象鋼種のレーザ溶接部の変形抵抗曲線を算出する変形抵抗曲線変換部3と、を有している。
データベース1には、ある鋼種について過去に測定した、スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、レーザ溶接部の変形抵抗曲線に関するデータ、ならびに、溶接部の冷却速度に関するデータが記録されている。データベース1は、これらのデータを記録可能であれば、その形態は特に限定されない。
関係式作成部2は、データベース1から選択された係数を用いて変換係数YP、F、および、Nを算出する機能に加えて、データベース1から選択された冷却速度Cと、算出された変換係数YP、F、および、Nとが満たす関係式を作成する機能を有している。関係式作成部2としては、表計算ソフトウェア等がインストールされた演算装置を適宜用いることができる。関係式作成部2においては、データベース1に記録された変形抵抗曲線の構成式の各係数が、対応する溶接手法の冷却速度とともに入力され、表計算ソフトウェアによって変形抵抗曲線構成式の変換係数の算出式である上記式(4)〜式(6)が決定される。具体的な計算内容は上述のとおりであるため、ここでは説明を省略する。
変形抵抗曲線変換部3は、上記工程S15〜工程S17を実行可能であれば良く、表計算ソフトウェア等がインストールされた演算装置を適宜用いることができる。変形抵抗曲線変換部3においては、上記式(4)〜式(6)へ、評価対象鋼種の冷却速度Cがパラメータ値として代入されることにより、評価対象鋼種の変換係数YP、F、および、Nが算出される。そして、算出された変換係数YP、F、および、Nと、データベース1に記録されている、引張試験で測定された評価対象鋼種のスポット溶接部の変形抵抗曲線を近似する近似式の各係数(YP、F、および、N)の具体的な数値とが、上記式(3)へ代入されることにより、評価対象鋼種のレーザ溶接部の変形抵抗曲線の構成式が導出される。変形抵抗曲線変換部3における具体的な計算内容は上述のとおりであるため、ここでは説明を省略する。
このように、算出システム10によれば、算出方法S10を実施することができる。したがって、かかる形態とすることにより、本発明によれば、未測定であるレーザ溶接部の変形抵抗曲線を、引張試験を行わずに算出することが可能な、算出システム10を提供することができる。
3.2.スポット溶接部の変形抵抗曲線の算出システム
本発明の他の実施形態に係る溶接部の変形抵抗曲線の算出システム20(以下において、単に「算出システム20」と称する。)を図7に示す。図7において、算出システム10と同様に構成されるものには、図6で使用した符号と同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。図7に示した算出システム20は、データベース1と、該データベース1から選択されたデータを用いて、変換係数YP’、F’、および、N’と冷却速度Cとの関係式を作成する関係式作成部2’と、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種(評価対象鋼種)の、スポット溶接部の冷却速度を用いて算出した、評価対象鋼種の変換係数YP’、F’、および、N’と、当該評価対象鋼種のレーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式における係数とを用いて、評価対象鋼種のスポット溶接部の変形抵抗曲線を算出する変形抵抗曲線変換部3’と、を有している。
関係式作成部2’は、データベース1から選択された係数を用いて変換係数YP’、F’、および、N’を算出する機能に加えて、データベース1から選択された冷却速度Cと、算出された変換係数YP’、F’、および、N’とが満たす関係式を作成する機能を有している。関係式作成部2’としては、表計算ソフトウェア等がインストールされた演算装置を適宜用いることができる。関係式作成部2’においては、データベース1に記録された変形抵抗曲線の構成式の各係数が、対応する溶接手法の冷却速度とともに入力され、表計算ソフトウェアによって変形抵抗曲線構成式の変換係数の算出式である上記式(4)’〜式(6)’が決定される。具体的な計算内容は上述のとおりであるため、ここでは説明を省略する。
変形抵抗曲線変換部3’は、上記工程S25〜工程S27を実行可能であれば良く、表計算ソフトウェア等がインストールされた演算装置を適宜用いることができる。変形抵抗曲線変換部3’においては、上記式(4)’〜式(6)’へ、評価対象鋼種の冷却速度がパラメータ値として代入されることにより、評価対象鋼種の変換係数YP’、F’、および、N’が算出される。そして、算出された変換係数YP’、F’、および、N’と、データベース1に記録されている、引張試験で測定された評価対象鋼種のレーザ溶接部の変形抵抗曲線を近似する近似式の各係数(YP、F、および、N)の具体的な数値とが、上記式(Y)へ代入されることにより、評価対象鋼種のスポット溶接部の変形抵抗曲線の構成式が導出される。変形抵抗曲線変換部3’における具体的な計算内容は上述のとおりであるため、ここでは説明を省略する。
このように、算出システム20によれば、算出方法S20を実施することができる。したがって、かかる形態とすることにより、本発明によれば、未測定であるスポット溶接部の変形抵抗曲線を、引張試験を行わずに算出することが可能な、算出システム20を提供することができる。
算出システム10、20に関する上記説明では、それぞれ別々の、関係式作成部2および変形抵抗曲線変換部3、又は、関係式作成部2’および変形抵抗曲線変換部3’を有している形態を例示したが、本発明に係る溶接部の変形抵抗曲線の算出システムは当該形態に限定されない。一の演算装置を、関係式作成部および変形抵抗曲線変換部として機能させても良い。
4.溶接部を備えた部材の製造方法
本発明の他の実施形態に係る溶接部を備えた部材の製造方法(以下において、「本発明の製造方法」と称する。)は、上記本発明の変形抵抗曲線の算出方法により予測された変形抵抗曲線を用いて有限要素法解析を行い、その解析結果に基づいて部材の板組み、溶接部の大きさ、および/または、溶接位置を決定し、このようにして決定された板組み、溶接部の大きさ、および/または、溶接位置にしたがって部材を溶接する工程を有している。
本発明の製造方法の具体的な形態としては、例えば、上記算出方法S10又は上記算出方法S20により予測された変形抵抗曲線を用いて有限要素法解析を行い、その解析結果に基づいて継手の板組み、溶接ビードの幅、および/または、間隔を決定する。そして、決定された板組み、溶接ビードの幅、および/または、間隔にしたがって部材を溶接することで、溶接部を備えた継手を製造する形態を挙げることができる。本発明の製造方法によれば、板組み、溶接部の大きさ、および、溶接位置が適切とされた溶接部材を製造することができる。これを、例えば自動車部材等の設計に反映させることにより、自動車の衝突変形中における溶接部破断を抑制し、適切にエネルギーを吸収することが可能な自動車構造部材を製造することが可能になる。
上記説明では、本発明が溶接材料として鉄鋼材料を用いた場合に適用される形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。チタンやアルミニウム等、他の金属材料で構成される溶接部材を解析する場合であっても、本発明を適用することができる。
また、上記説明では、溶接部の変形抵抗曲線をLudwikの式で近似する形態を示したが、溶接部の変形抵抗曲線は、「n乗硬化則:σ = C・ε^N」や「Swiftの式:σ = C(F+ε)^N」のような公知のひずみ−応力の関係式で近似することも可能である。
また、本発明の溶接部の変形抵抗曲線の算出方法に関する上記説明では、数式化工程から変形抵抗曲線変換工程までの7工程(工程S11〜工程S17、又は、工程S21〜工程S27)を有する形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、過去に実施された数式化工程〜関係式作成工程によって作成済みの関係式を用いて、レーザ溶接部冷却速度導出工程〜変形抵抗曲線変換工程、又は、スポット溶接部冷却速度把握工程〜変形抵抗曲線変換工程のみを実施する形態とすることも可能である。このような形態であっても、算出方法S10又は算出方法S20と同様の効果を奏することができる。
5.プログラムおよび当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
本発明には、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記録媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行するように構成した形態も含まれる。すなわち、そのようなプログラム、および、当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明に含まれる。
本発明のプログラムが、未測定である評価対象鋼種のレーザ溶接部の変形抵抗曲線を、引張試験を行わずにコンピュータに算出させるプログラムである場合、数式化ステップは上記工程S11を、第1変換係数算出ステップは上記工程S12を、冷却速度特定ステップは上記工程S13を、関係式作成ステップは上記工程S14を、レーザ溶接部冷却速度導出ステップは上記工程S15を、第2変換係数算出ステップは上記工程S16を、変形抵抗曲線変換ステップは上記工程S17を、それぞれコンピュータに実行させるステップである。
また、本発明のプログラムが、未測定である評価対象鋼種のスポット溶接部の変形抵抗曲線を、引張試験を行わずにコンピュータに算出させるプログラムである場合、数式化ステップは上記工程S21を、第1変換係数算出ステップは上記工程S22を、冷却速度特定ステップは上記工程S23を、関係式作成ステップは上記工程S24を、スポット溶接部冷却速度把握ステップは上記工程S25を、第2変換係数算出ステップは上記工程S26を、変形抵抗曲線変換ステップは上記工程S27を、それぞれコンピュータに実行させるステップである。
本発明のプログラムにおける各ステップに関する説明や、本発明のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する説明は、上記「2.溶接部の変形抵抗曲線の算出方法」における対応する工程の説明や上記「3.溶接部の変形抵抗曲線の算出システム」に関する説明と、内容が重複する。そこで、ここでは、本発明のプログラム、および、当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する説明を省略する。
実施例を参照しつつ、本発明についてさらに説明を続ける。
あらかじめ引張試験により変形抵抗曲線が測定されている鋼種の、スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、2種類の溶接冷却速度の、レーザ溶接部の変形抵抗曲線を、Ludwikの式で近似した。そして、変換係数YP、F、および、Nと溶接部の冷却速度Cとの関係を上記式(4)〜(6)の形で表して、これらの式の定数(a1、a2、b1、b2、c1、c2)を特定した。また、レーザ溶接の送り速度とレーザ溶接部の冷却速度との関係を上記式(7)で表し、その定数(d1およびd2)を特定した。さらに、評価対象となるレーザ溶接部の冷却速度を算出するにあたり、溶接条件から、送り速度を2m/minと特定した。
このようにして特定した送り速度を上記式(7)へ代入することにより、レーザ溶接部の冷却速度を算出した。算出されたレーザ溶接部の冷却速度は、C=347℃/sであった。次に、このCを上記式(4)〜(6)へ代入することにより、変換係数YP、F、および、Nを算出した。算出された変換係数は、YP=0.826、F=1.134、N=1.082であった。
あらかじめ引張試験で測定済みの、評価対象鋼種のスポット溶接部の変形抵抗曲線を近似するLudwikの式における各係数(YP、F、および、N)と、算出した上記変換係数(YP=0.826、F=1.134、N=1.082)と、を上記式(3)に代入することにより、レーザ溶接部の変形抵抗曲線を近似するLudwikの式を特定した。
ここで、評価対象鋼種は引張強さ590MPa級、ヤング率206GPa、ポアソン比0.3であり、変形抵抗曲線は図8に示す通りであった。参考のため、本技術を適用せずにスポット溶接部変形抵抗曲線を設定した解析も行い、本技術を適用した場合を解析A(本発明例)、本技術を適用しない場合を解析B(比較例)とした。また、図8には、評価対象鋼種のレーザ溶接部の変形抵抗曲線の実測値もプロットした。図8に示したように、本発明例である解析Aの変形抵抗曲線は実測値と一致した。これに対し、比較例である解析Bの変形抵抗曲線は実測値と一致しなかった。
図8に示した材料特性データを、図9に示すレーザ溶接継手の引張試験モデルに適用し、FEM解析を行った。図9(a)は引張せん断の板幅方向対称形モデルを示す図であり、図9(b)は図9(a)に示したモデルの一部(溶接金属部分)を拡大して示す図である。図9(b)に示した符号11は母材、符号12はHAZ、符号13は溶接金属であり、これらに対して、変形抵抗曲線をそれぞれ設定する。なお、HAZに関しては、母材のデータと溶接金属のデータとを平均化したデータを設定する。図9(c)に解析結果の破断形態を示す。破断限界線を設定し、破断限界線に到達した要素を削除して破断による剛性低下を再現した例である。試験結果の最大荷重と解析結果の最大荷重との誤差を表1に示す。
表1に示したように、本発明例である解析Aの誤差は、比較例である解析Bの誤差よりも小さく、解析Aの誤差は解析Bの誤差の1/4未満であった。この結果から、本発明によれば、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が未測定の鋼種についても、引張試験を省略して、変形抵抗曲線を精度良く予測できることが分かった。
本発明によれば、溶接部を備えた各種部材のFEM解析時に用いられる溶接部の変形抵抗曲線を、精度良く予測することができる。これにより、FEM解析の際、個別に引張試験を行う必要がなくなり、労力を低減することができる。本発明により予測された変形抵抗曲線は、例えば、レーザ溶接継手またはスポット溶接継手の板組みや溶接ビード幅を検討するためのFEM解析の際に用いることができ、さらにその結果を自動車の部材設計に反映させることができる。
1…データベース
2、2’…関係式作成部
3、3’…変形抵抗曲線変換部
10、20…溶接部の変形抵抗曲線の算出システム
11…母材
12…HAZ
13…溶接金属

Claims (18)

  1. 有限要素法解析により溶接部の強度評価を実施する際に用いられる、変形抵抗曲線の算出方法であって、
    あらかじめ引張試験により、スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた複数のレーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、前記スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線を、近似式の形で表す、数式化工程と、
    前記スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式で使用される係数を用いて前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式を表わす際に使用される、変形抵抗曲線が測定された前記鋼種における変換係数を算出する、第1変換係数算出工程と、
    前記スポット溶接部および前記レーザ溶接部の冷却速度を求める、冷却速度特定工程と、
    前記冷却速度特定工程で求めた前記冷却速度と、変形抵抗曲線が測定された前記鋼種における前記変換係数と、が満たす関係式を作成する、関係式作成工程と、
    レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種について、レーザ溶接の送り速度から、レーザ溶接部の冷却速度を導出する、レーザ溶接部冷却速度導出工程と、
    前記レーザ溶接部冷却速度導出工程で導出されたレーザ溶接部の冷却速度を、前記関係式作成工程で作成された前記関係式へと代入することにより、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない前記鋼種における変換係数を算出する、第2変換係数算出工程と、
    前記第2変換係数算出工程で算出された前記変換係数を用いて、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない前記鋼種における、あらかじめ測定されたスポット溶接部の変形抵抗曲線を、レーザ溶接部の変形抵抗曲線へと変換する、変形抵抗曲線変換工程と、
    を有する、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法。
  2. 前記数式化工程で、前記スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(1)で表され、且つ、前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(2)および下記式(3)で表され、
    前記第1変換係数算出工程で算出される前記変換係数が、下記式(3)におけるYP、F、および、Nである、請求項1に記載の溶接部の変形抵抗曲線の算出方法。
    σ = YP + F・ε^N …(1)
    σ = YP + F・ε^N …(2)
    σ = YP・YP + F・F・ε^(N・N) …(3)
    ここで、σは真応力(MPa)であり、εは塑性ひずみである。
  3. 有限要素法解析により溶接部の強度評価を実施する際に用いられる、変形抵抗曲線の算出方法であって、
    あらかじめ引張試験により、レーザ溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた、複数の、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線、および、前記スポット溶接部の変形抵抗曲線を、近似式の形で表す、数式化工程と、
    前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式で使用される係数を用いて前記スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式を表わす際に使用される、変形抵抗曲線が測定された前記鋼種における変換係数を算出する、第1変換係数算出工程と、
    前記スポット溶接部および前記レーザ溶接部の冷却速度を求める、冷却速度特定工程と、
    前記冷却速度特定工程で求めた前記冷却速度と、変形抵抗曲線が測定された前記鋼種における前記変換係数と、が満たす関係式を作成する、関係式作成工程と、
    スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種について、スポット溶接部の冷却速度を把握する、スポット溶接部冷却速度把握工程と、
    前記スポット溶接部冷却速度把握工程で把握されたスポット溶接部の冷却速度を、前記関係式作成工程で作成された前記関係式へと代入することにより、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない前記鋼種における変換係数を算出する、第2変換係数算出工程と、
    前記第2変換係数算出工程で算出された前記変換係数を用いて、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない前記鋼種における、あらかじめ測定された前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線を、スポット溶接部の変形抵抗曲線へと変換する、変形抵抗曲線変換工程と、
    を有する、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法。
  4. 前記数式化工程で、前記スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(X)および下記式(Y)で表され、且つ、前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(Z)で表され、
    前記第1変換係数算出工程で算出される前記変換係数が、下記式(Y)におけるYP’、F’、および、N’である、請求項3に記載の溶接部の変形抵抗曲線の算出方法。
    σ = YP + F・ε^N …(X)
    σ = YP・YP’ + F・F’・ε^(N・N’) …(Y)
    σ = YP + F・ε^N …(Z)
    ここで、σは真応力(MPa)であり、εは塑性ひずみである。
  5. 有限要素法解析により溶接部の強度評価を実施する際に用いられる、変形抵抗曲線の算出方法であって、
    あらかじめ引張試験により、スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた複数のレーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、前記スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線を、近似式の形で表す、数式化工程と、
    前記スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式で使用される係数を用いて前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式を表わす際に使用される、変形抵抗曲線が測定された前記鋼種における変換係数を算出する、第1変換係数算出工程と、
    前記スポット溶接部および前記レーザ溶接部の冷却速度を求める、冷却速度特定工程と、
    前記冷却速度特定工程で求めた前記冷却速度と、変形抵抗曲線が測定された前記鋼種における前記変換係数と、が満たす関係式を作成する、関係式作成工程と、
    を実行し、前記関係式作成工程で作成した関係式をあらかじめ準備しておき、
    レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種について、レーザ溶接の送り速度から、レーザ溶接部の冷却速度を導出する、レーザ溶接部冷却速度導出工程と、
    前記レーザ溶接部冷却速度導出工程で導出されたレーザ溶接部の冷却速度を、あらかじめ準備した前記関係式作成工程で作成された前記関係式へと代入することにより、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない前記鋼種における変換係数を算出する、第2変換係数算出工程と、
    前記第2変換係数算出工程で算出された前記変換係数を用いて、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない前記鋼種における、あらかじめ測定されたスポット溶接部の変形抵抗曲線を、レーザ溶接部の変形抵抗曲線へと変換する、変形抵抗曲線変換工程と、
    を有する、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法。
  6. 前記数式化工程で、前記スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(1)で表され、且つ、前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(2)および下記式(3)で表され、
    前記変換係数が、下記式(3)におけるYP、F、および、Nである、請求項5に記載の溶接部の変形抵抗曲線の算出方法。
    σ = YP + F・ε^N …(1)
    σ = YP + F・ε^N …(2)
    σ = YP・YP + F・F・ε^(N・N) …(3)
    ここで、σは真応力(MPa)であり、εは塑性ひずみである。
  7. 有限要素法解析により溶接部の強度評価を実施する際に用いられる、変形抵抗曲線の算出方法であって、
    あらかじめ引張試験により、レーザ溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた、複数の、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線、および、前記スポット溶接部の変形抵抗曲線を、近似式の形で表す、数式化工程と、
    前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式で使用される係数を用いて前記スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式を表わす際に使用される、変形抵抗曲線が測定された前記鋼種における変換係数を算出する、第1変換係数算出工程と、
    前記スポット溶接部および前記レーザ溶接部の冷却速度を求める、冷却速度特定工程と、
    前記冷却速度特定工程で求めた前記冷却速度と、変形抵抗曲線が測定された前記鋼種における前記変換係数と、が満たす関係式を作成する、関係式作成工程と、
    を実行し、前記関係式作成工程で作成した関係式をあらかじめ準備しておき、
    スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種について、スポット溶接部の冷却速度を把握する、スポット溶接部冷却速度把握工程と、
    前記スポット溶接部冷却速度把握工程で把握されたスポット溶接部の冷却速度を、あらかじめ準備した前記関係式作成工程で作成された前記関係式へと代入することにより、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない前記鋼種における変換係数を算出する、第2変換係数算出工程と、
    前記第2変換係数算出工程で算出された前記変換係数を用いて、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない前記鋼種における、あらかじめ測定されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線を、スポット溶接部の変形抵抗曲線へと変換する、変形抵抗曲線変換工程と、
    を有する、溶接部の変形抵抗曲線の算出方法。
  8. 前記数式化工程で、前記スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(X)および下記式(Y)で表され、且つ、前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(Z)で表され、
    前記変換係数が、下記式(Y)におけるYPr’、Fr’、および、Nr’である、請求項7に記載の溶接部の変形抵抗曲線の算出方法。
    σ = YP + F・ε^N …(X)
    σ = YP・YP’ + F・F’・ε^(N・N’) …(Y)
    σ = YP + F・ε^N …(Z)
    ここで、σは真応力(MPa)であり、εは塑性ひずみである。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の溶接部の変形抵抗曲線の算出方法により算出された変形抵抗曲線を用いて有限要素法解析を行い、その解析結果に基づいて、部材の板組み、溶接部の大きさ、および/または、溶接位置を決定し、該決定された板組み、溶接部の大きさ、および/または、溶接位置にしたがって、部材を溶接する工程を備える、溶接部を備えた部材の製造方法。
  10. 有限要素法解析により溶接部の強度評価を実施する際に用いられる、変形抵抗曲線を算出するプログラムであって、
    あらかじめ引張試験により、スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた複数のレーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、前記スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線を、近似式の形で表す数式化ステップと、
    前記スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式で使用される係数を用いて前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式を表わす際に使用される、変形抵抗曲線が測定された前記鋼種における変換係数を算出する、第1変換係数算出ステップと、
    前記スポット溶接部および前記レーザ溶接部の冷却速度を求める、冷却速度特定ステップと、
    前記冷却速度特定ステップで求められた前記冷却速度と、前記第1変換係数算出ステップで算出された前記変換係数と、が満たす関係式を作成する、関係式作成ステップと、
    レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種について、レーザ溶接の送り速度から、レーザ溶接部の冷却速度を導出する、レーザ溶接部冷却速度導出ステップと、
    前記レーザ溶接部冷却速度導出ステップで導出されたレーザ溶接部の冷却速度を、前記関係式作成ステップで作成された前記関係式へと代入することにより、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない前記鋼種における変換係数を算出する、第2変換係数算出ステップと、
    前記第2変換係数算出ステップで算出された前記変換係数を用いて、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない前記鋼種における、あらかじめ測定されたスポット溶接部の変形抵抗曲線を、レーザ溶接部の変形抵抗曲線へと変換する、変形抵抗曲線変換ステップと、
    をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  11. 前記数式化ステップで表される、前記スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(1)であり、且つ、前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(2)および下記式(3)であり、
    前記第1変換係数算出ステップで算出される前記変換係数が、下記式(3)におけるYP、F、および、Nである、請求項10に記載のプログラム。
    σ = YP + F・ε^N …(1)
    σ = YP + F・ε^N …(2)
    σ = YP・YP + F・F・ε^(N・N) …(3)
    ここで、σは真応力(MPa)であり、εは塑性ひずみである。
  12. 有限要素法解析により溶接部の強度評価を実施する際に用いられる、変形抵抗曲線を算出するプログラムであって、
    あらかじめ引張試験により、レーザ溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた、複数の、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線、および、前記スポット溶接部の変形抵抗曲線を、近似式の形で表す、数式化ステップと、
    前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式で使用される係数を用いて前記スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式を表わす際に使用される、変形抵抗曲線が測定された前記鋼種における変換係数を算出する、第1変換係数算出ステップと、
    前記スポット溶接部および前記レーザ溶接部の冷却速度を求める、冷却速度特定ステップと、
    前記冷却速度特定ステップで求められた前記冷却速度と、前記第1変換係数算出ステップで算出された前記変換係数と、が満たす関係式を作成する、関係式作成ステップと、
    スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種について、スポット溶接部の冷却速度を把握する、スポット溶接部冷却速度把握ステップと、
    前記スポット溶接部冷却速度把握ステップで把握されたスポット溶接部の冷却速度を、前記関係式作成ステップで作成された前記関係式へと代入することにより、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない前記鋼種における変換係数を算出する、第2変換係数算出ステップと、
    前記第2変換係数算出ステップで算出された前記変換係数を用いて、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない前記鋼種における、あらかじめ測定された前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線を、スポット溶接部の変形抵抗曲線へと変換する、変形抵抗曲線変換ステップと、
    をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  13. 前記数式化ステップで表される、前記スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(X)および下記式(Y)であり、且つ、前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(Z)であり、
    前記第1変換係数算出ステップで算出される前記変換係数が、下記式(Y)におけるYP’、F’、および、N’である、請求項12に記載のプログラム。
    σ = YP + F・ε^N …(X)
    σ = YP・YP’ + F・F’・ε^(N・N’) …(Y)
    σ = YP + F・ε^N …(Z)
    ここで、σは真応力(MPa)であり、εは塑性ひずみである。
  14. 有限要素法解析により溶接部の強度評価を実施する際に用いられる、変形抵抗曲線を算出するプログラムであって、
    あらかじめ引張試験により、スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた複数のレーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、前記スポット溶接部の変形抵抗曲線、および、前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線を、近似式の形で表す、数式化ステップと、
    前記スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式で使用される係数を用いて前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式を表わす際に使用される、変形抵抗曲線が測定された前記鋼種における変換係数を算出する、第1変換係数算出ステップと、
    前記スポット溶接部および前記レーザ溶接部の冷却速度を求める、冷却速度特定ステップと、
    前記冷却速度特定ステップで求められた前記冷却速度と、前記第1変換係数算出ステップで算出された前記変換係数と、が満たす関係式を作成する、関係式作成ステップと、
    をコンピュータに実行させることにより、前記関係式作成ステップで作成した関係式をあらかじめ準備しておき、
    レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種について、レーザ溶接の送り速度から、レーザ溶接部の冷却速度を導出する、レーザ溶接部冷却速度導出ステップと、
    前記レーザ溶接部冷却速度導出ステップで導出されたレーザ溶接部の冷却速度を、あらかじめ準備した前記関係式作成ステップで作成された前記関係式へと代入することにより、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない前記鋼種における変換係数を算出する、第2変換係数算出ステップと、
    前記第2変換係数算出ステップで算出された前記変換係数を用いて、レーザ溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない前記鋼種における、あらかじめ測定されたスポット溶接部の変形抵抗曲線を、レーザ溶接部の変形抵抗曲線へと変換する、変形抵抗曲線変換ステップと、
    をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  15. 前記数式化ステップで表される、前記スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(1)であり、且つ、前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(2)および下記式(3)であり、
    前記第1変換係数算出ステップで算出される前記変換係数が、下記式(3)におけるYP、F、および、Nである、請求項14に記載のプログラム。
    σ = YP + F・ε^N …(1)
    σ = YP + F・ε^N …(2)
    σ = YP・YP + F・F・ε^(N・N) …(3)
    ここで、σは真応力(MPa)であり、εは塑性ひずみである。
  16. 有限要素法解析により溶接部の強度評価を実施する際に用いられる、変形抵抗曲線を算出するプログラムであって、
    あらかじめ引張試験により、レーザ溶接部の変形抵抗曲線、および、溶接冷却速度を変えた、複数の、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定された鋼種について、前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線、および、前記スポット溶接部の変形抵抗曲線を、近似式の形で表す、数式化ステップと、
    前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式で使用される係数を用いて前記スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式を表わす際に使用される、変形抵抗曲線が測定された前記鋼種における変換係数を算出する、第1変換係数算出ステップと、
    前記スポット溶接部および前記レーザ溶接部の冷却速度を求める、冷却速度特定ステップと、
    前記冷却速度特定ステップで求められた前記冷却速度と、前記第1変換係数算出ステップで算出された前記変換係数と、が満たす関係式を作成する、関係式作成ステップと、
    をコンピュータに実行させることにより、前記関係式作成ステップで作成した関係式をあらかじめ準備しておき、
    スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない鋼種について、スポット溶接部の冷却速度を把握する、スポット溶接部冷却速度把握ステップと、
    前記スポット溶接部冷却速度把握ステップで把握されたスポット溶接部の冷却速度を、あらかじめ準備した前記関係式作成ステップで作成された前記関係式へと代入することにより、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない前記鋼種における変換係数を算出する、第2変換係数算出ステップと、
    前記第2変換係数算出ステップで算出された前記変換係数を用いて、スポット溶接部の変形抵抗曲線が測定されていない前記鋼種における、あらかじめ測定されたレーザ溶接部の変形抵抗曲線を、スポット溶接部の変形抵抗曲線へと変換する、変形抵抗曲線変換ステップと、
    をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  17. 前記数式化ステップで表される、前記スポット溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(X)および下記式(Y)であり、且つ、前記レーザ溶接部の変形抵抗曲線の近似式が下記式(Z)であり、
    前記第1変換係数算出ステップで算出される前記変換係数が、下記式(Y)におけるYPr’、Fr’、および、Nr’である、請求項16に記載のプログラム。
    σ = YP + F・ε^N …(X)
    σ = YP・YP’ + F・F’・ε^(N・N’) …(Y)
    σ = YP + F・ε^N …(Z)
    ここで、σは真応力(MPa)であり、εは塑性ひずみである。
  18. 請求項10乃至17に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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