JP6277779B2 - 溶接部の破断限界線の算出方法、算出システム、及び、溶接部を備えた部材の製造方法 - Google Patents

溶接部の破断限界線の算出方法、算出システム、及び、溶接部を備えた部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有限要素法解析(Finite Element Method解析。以下において「FEM解析」ということがある。)を用いた溶接部の破断限界線の算出方法、該算出方法を実施可能な算出システム、及び、溶接部を備えた部材を、上記算出方法を用いて製造する方法に関する。
溶接、特にスポット溶接は、自動車組立工程における鋼板の接合方法として広く用いられている。スポット溶接で組み立てた部材においては、溶接ナゲット径や打点位置が適切でない場合、衝突変形中に溶接部が破断してエネルギー吸収性能の低下を招くことがある。また、近年は、片側アクセス、連続溶接が可能なレーザ溶接が注目されており、自動車部材の接合方法として実用化が進んでいる。部材の衝突エネルギー吸収性能の評価に多用されているFEM解析の解析精度の向上には、これら溶接部の破断を考慮することが重要であり、破断の発生を防ぐための溶接条件の検討を可能にする方法が求められている。また、これらの検討は機械的特性が異なる多種の鋼板を対象に実施できることが望ましい。
非特許文献1や非特許文献2には、平行部が平滑形状の超小型試験片を用いた引張試験によりスポット溶接部の溶接金属部分、溶接熱影響部(Heat Affected Zone。以下において「HAZ部分」ということがある。)、及び、母材部分それぞれの、応力−歪み、引張強さ、破断伸び、破断絞りを個別かつ定量的に測定する方法や、その応力−歪み関係と破断絞りとから超小型試験片の引張試験を模擬したFEM解析によって各部位の局所的な破断ひずみ(以下において、平滑形状の試験片で導出した破断ひずみを「平滑破断ひずみ」、切欠付き形状の試験片で導出した破断ひずみを「切欠破断ひずみ」ということがある。)を導出する方法が開示されている。また、平滑破断ひずみ及び切欠破断ひずみを累乗関数で近似し破断限界線(応力三軸度をパラメータにした破断ひずみ)を構築する方法も開示されている。かかる技術によれば、破断限界線をスポット溶接部の各部位の破断基準としてFEM解析を行い、溶接部にかかる負荷モードがそれぞれ異なる複数のスポット溶接継手の継手強度と破断部位とを高精度に予測することができる、とされている。
中山英介、外5名、「スポット溶接部の力学特性の測定と継手引張強度の予測」、自動車技術会論文集、Vol.36、No.1、(2005)、p.205−210 上田秀樹、外3名、「応力三軸度を考慮したスポット溶接部破断予測技術の研究(第1報)」、自動車技術会論文集、Vol.44、No.2、(2013)、p.727−738
非特許文献1や非特許文献2に記載の技術では、スポット溶接継手の引張試験条件を対象にした破断予測、及び、詳細な破断因子の検討が可能である。これらの技術では、溶接手法により破断ひずみが異なる場合があるため、溶接手法毎に平滑形状及び切欠付き形状の超小型試験片の引張試験結果とFEM解析結果から平滑破断ひずみ及び切欠破断ひずみを求めている。また、平滑破断ひずみ及び切欠破断ひずみを累乗関数で近似し破断限界線を求めている(以下、この処理を「破断限界線導出プロセス」という場合がある。)。しかしながら、破断限界線が未導出である鋼種及び溶接条件からなる継手を対象に破断予測FEM解析を行う場合、当該鋼種について、事前に破断限界線導出プロセスが必要となり、破断限界線導出プロセスの増加は、作業時間と人的労力を要し問題であった。
そこで本発明は、破断限界線が未導出である溶接手法を用いる継手について、破断限界線導出プロセスを行わずに破断限界線を精度良く算出することが可能な、溶接部の破断限界線の算出方法、当該算出方法を実施可能な算出システム、及び、当該算出方法を用いる、溶接部を備えた部材の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、同一鋼種のスポット溶接部及びレーザ溶接部を対象に、あらかじめ、破断限界線を導出して破断限界線基準データとする。図1に、例として引張強さ590MPa級鋼板の、スポット溶接部及びレーザ溶接部の破断限界線を示す。一般に、破断ひずみは応力三軸度が大きいほど低下し、図1に示すように破断ひずみと応力三軸度は負の相関を示す。そこで、破断限界線は下記式(1)で表される累乗関数で近似ができる。本発明者らが鋭意研究した結果、
(a)スポット溶接部破断限界線を式(1)とした場合、レーザ溶接部破断限界線の式(2)は式(3)に置き換えることができること、
(b)式(1)を式(3)に変換するための変換係数a及びbは、スポット溶接部硬さHv(spot)とレーザ溶接部硬さHv(laser)との比RHv(=Hv(laser)/Hv(spot))に対して図2及び図3に示す関係が成り立つこと、
(c)式(4)及び(5)を用いてRHvから変換係数a及びbを算出できること、
を知見した。また、スポット溶接部とレーザ溶接部の硬さは、化学成分から炭素当量を用いて近似的に算出することができる。これにより、レーザ溶接部破断限界線が未導出である鋼種であっても、スポット溶接部破断限界線が導出済みで化学成分が判明していれば、これを用いてレーザ溶接部破断限界線を容易に求めることができる。
ε = a・σtriax^b (1)
ε = a・σtriax^b (2)
ε = a・a・σtriax^(b・b) (3)
= p1・RHv + p2 (4)
= p3・RHv + p4 (5)
式(1)〜(5)において、εは破断ひずみ、σtriaxは応力三軸度(0.8<σtriax<2.0)、a、b、a、及び、bは鋼種・部位毎に異なる係数、a及びbは鋼種・部位毎に異なる変換係数であり、p1、p2、p3、及び、p4はパラメータである。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。本発明について以下に説明する。
本発明の第1の態様は、有限要素法解析により溶接部の破断予測を実施する際に用いられる、溶接部の破断限界線の算出方法であって、あらかじめ破断限界線導出プロセスによりスポット溶接部の破断限界線及びレーザ溶接部の破断限界線が導出されている金属材料について、下記式(1)で表されるスポット溶接部の破断限界線の構成式、及び、下記式(2)で表されるレーザ溶接部の破断限界線の構成式を準備するとともに、下記式(2)の表現を変更した下記式(3)でレーザ溶接部の破断限界線の構成式を表現する破断限界線構成式準備工程と、下記式(1)で用いられる係数a及びbと、下記式(2)で用いられる係数a及びbから、下記式(3)で用いられる変換係数a及びbを算出する変換係数算出工程と、スポット溶接部硬さ及びレーザ溶接部硬さの比RHvを算出する第1硬さ比算出工程と、該第1硬さ比算出工程で算出したRHv及び変換係数aを用いて、下記式(4)で表される変換係数aの算出式におけるパラメータp1及びp2を算出する第1パラメータ算出工程と、第1硬さ比算出工程で算出したRHv及び変換係数bを用いて、下記式(5)で表される変換係数bの算出式におけるパラメータp3及びp4を算出する第2パラメータ算出工程と、レーザ溶接部の破断限界線の構成式が未導出である金属材料の化学成分を用いて、該金属材料のスポット溶接部硬さ及びレーザ溶接部硬さの比RHvを算出する第2硬さ比算出工程と、該第2硬さ比算出工程で算出されたRHvを下記式(4)へと代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線の構成式で用いる変換係数aを算出する変換係数a算出工程と、第2硬さ比算出工程で算出されたRHvを下記式(5)へと代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線の構成式で用いる変換係数bを算出する変換係数b算出工程と、あらかじめ破断限界線導出プロセスにより導出されている、下記式(1)で表されるスポット溶接部の破断限界線構成式で用いられる係数a及びbと、変換係数a算出工程で算出された変換係数aと、変換係数b算出工程で算出された変換係数bとを、下記式(3)へと代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線の構成式を導出するレーザ溶接部破断限界線構成式導出工程と、を有する、溶接部の破断限界線の算出方法である。
ε = a・σtriax^b (1)
ε = a・σtriax^b (2)
ε = a・a・σtriax^(b・b) (3)
= p1・RHv + p2 (4)
= p3・RHv + p4 (5)
上記式(1)〜(5)において、εは破断ひずみ、σtriaxは応力三軸度(0.8<σtriax<2.0)、a、b、a、及び、bは鋼種・部位毎に異なる係数、a及びbは鋼種・部位毎に異なる変換係数であり、p1、p2、p3、及び、p4はパラメータである。
ここに、本発明の第1の態様及び以下に示す本発明の他の態様(以下において、これらをまとめて「本発明」ということがある。)において、「溶接部」とは、特に鋼材の溶接部分とすることが好ましく、溶接金属部分(スポット溶接の場合はナゲット部分、レーザ溶接の場合は溶接ビード部分)、HAZ部分、母材部分に大別することができる。また、「破断限界線」とは、平滑破断ひずみ及び切欠破断ひずみを累乗関数で近似し導出されたものであり、例えば、溶接部における母材部分の破断限界線、HAZ部分の破断限界線、溶接金属部分の破断限界線等を挙げることができる。本発明における「破断限界線」は、シーム溶接等のその他溶接手段における溶接部にも適用可能な破断判定の基準値である。また、本発明において、「化学成分」とは、溶接される金属材料に含まれる成分の質量%濃度やモル濃度、体積%濃度や組成比等を挙げることができる。
本発明の第2の態様は、有限要素法解析により溶接部の破断予測を実施する際に用いられる、溶接部の破断限界線を算出するシステムであって、上記破断限界線は破断限界線構成式で近似され、入出力部と、金属材料の破断限界線構成式を蓄積したデータベースと、変換係数算出式作成部と、破断限界線変換部とを有し、上記変換係数算出式作成部は、データベースから選択された、スポット溶接部破断限界線構成式の係数及びレーザ溶接部破断限界線構成式の係数を用いて、スポット溶接部破断限界線構成式からレーザ溶接部破断限界線構成式を導出する際に用いられる変換係数を算出する第1変換係数算出部と、スポット溶接部硬さとレーザ溶接部硬さとの比RHvを算出する第1硬さ比算出部と、算出されたRHv及び変換係数を用いて、RHvと変換係数との関係式で用いられるパラメータを算出するパラメータ算出部と、を有し、上記破断限界線変換部は、レーザ溶接部の破断限界線構成式が未導出である金属材料の化学成分を用いて、該金属材料のスポット溶接部硬さとレーザ溶接部硬さとの比RHvを算出する第2硬さ比算出部と、該第2硬さ比算出部で算出されたRHvを、RHvと変換係数との上記関係式へと代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線構成式で用いられる変換係数を算出する第2変換係数算出部と、あらかじめ破断限界線導出プロセスにより導出されているスポット溶接部の破断限界線構成式で用いられる係数と、上記第2変換係数算出部で算出された変換係数とを用いるレーザ溶接部の破断限界線構成式を導出するレーザ溶接部破断限界線構成式導出部と、を有する、溶接部の破断限界線の算出システムである。
本発明の第3の態様は、上記本発明の第1の態様に係る溶接部の破断限界線の算出方法により算出された破断限界線を用いて有限要素法解析を行い、その解析結果に基づいて部材の板組み、溶接部の大きさ及び/又は溶接位置を決定し、該決定された板組み、溶接部の大きさ及び/又は溶接位置にしたがって部材を溶接する工程を有する、溶接部を備えた部材の製造方法である。
本発明においては、破断限界線の変換係数を、溶接対象金属材料の化学成分から計算した硬さを用いて算出する。これにより、破断限界線が未導出であるレーザ溶接部の破断限界線を算出・予測する場合であっても、溶接対象である金属材料の化学成分を特定し、スポット溶接部破断限界線が導出済みであれば変換係数を用いてレーザ溶接部破断限界線を容易に算出・予測することができる。したがって、本発明によれば、破断限界線が未導出である鋼種からなる部材に対しても、破断限界線導出プロセスを行わずに破断限界線を精度良く算出することが可能な、溶接部の破断限界線の算出方法を提供することができる。また、本発明によれば、この算出方法を実施可能な算出システム、及び、当該算出方法を用いる、溶接部を備えた部材の製造方法を提供することができる。
スポット溶接部及びレーザ溶接部の破断限界線を示す図である。 変換係数aと硬さ比RHvの関係を示す図である。 変換係数bと硬さ比RHvの関係を示す図である。 本発明に係る溶接部の破断限界線の算出方法の一例を示す図である。 複数の鋼板を対象にした溶接部硬さと炭素当量の分布を示した図である。 本発明に係る溶接部の破断限界線の算出システムの一例を示す図である。 実施例における、評価対象の鋼種の真応力と塑性ひずみとの関係を示す図である。 実施例における、レーザ溶接継手引張試験モデルの継手形状を示す図である。 実施例の解析結果を説明する図である。
1.本発明完成までの経緯
上記非特許文献1及び2によれば、平滑形状及び切欠付き形状の超小型試験片の引張試験を模擬したFEM解析結果の試験部断面積が破断試験片での実測値に達したときの最大相当塑性ひずみを、その試験片の局所的な平滑破断ひずみ及び切欠破断ひずみと定義できる。同様に、破断限界の応力三軸度も定義できる。また、このプロセスを溶接金属部分、HAZ部分、及び、母材部分毎に行うことで、各部位(溶接金属部分、HAZ部分、及び、母材部分。以下において同じ。)での平滑破断ひずみ及び切欠破断ひずみと破断限界の応力三軸度を導出することができる。そして、破断ひずみと応力三軸度との関係を累乗関数で近似することにより、各部位の破断限界線を構築することができる。
図1は、スポット溶接部及びレーザ溶接部の破断ひずみと応力三軸度との関係を示す図である。図1に示したように、破断限界線の破断ひずみは、スポット溶接部のものよりもレーザ溶接部のものの方が応力三軸度の影響が小さく、増大傾向を示す。そのため、破断限界線の係数a及びbは、スポット溶接部のものよりもレーザ溶接部のものの方が大きくなると考えられる。また、鉄鋼材料では、炭素以外の元素の影響力を炭素量に換算した炭素当量という指標があり、鉄鋼材料の引張強さに対応したもの、溶接部硬さに対応したもの等がある。このように、鉄鋼材料では、化学成分と機械的特性との間に相関性があると考えられている。また、引張試験において、破断試験片の断面積は破断絞りに換算される。破断絞りは機械的特性の一つであるため、本発明者らは、破断絞り及びそれから導出される破断ひずみと化学成分との間にも相関性があると考えた。そこで、上記式(4)及び式(5)を用いることで、スポット溶接部破断限界線の構成式(上記式(1))をレーザ溶接部破断限界線の構成式(上記式(3))に変換する変換係数a及びbを算出できることを知見した。
本発明は上記知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明においては、レーザ溶接部の破断部位(例えば、溶接ビード部分)に係る破断限界線について、式(2)及び(3)を用いることで、スポット溶接部破断限界線の構成式(式(1))から変換するための変換係数a及びbを算出し、当該鋼種のレーザ溶接部の破断部位に係る破断限界線を適切に導出・予測することができる。
以下、本発明の実施形態について詳述する。なお、以下の説明では、金属材料が鋼板であり、その溶接金属部分の破断限界線を算出する場合を主に例示するが、本発明は以下に説明する形態に限定されない。
2.溶接部の破断限界線の算出方法
本発明の第1実施形態に係る溶接部の破断限界線の算出方法S10(以下において、単に「算出方法S10」という。)を図4に示す。図4に示すように、算出方法S10は、破断限界線構成式準備工程S1と、変換係数算出工程S2と、第1硬さ比算出工程S3と、第1パラメータ算出工程S4と、第2パラメータ算出工程S5と、第2硬さ比算出工程S6と、変換係数a算出工程S7と、変換係数b算出工程S8と、レーザ溶接部破断限界線構成式導出工程S9と、を有している。以下の説明では、破断限界線導出プロセスによってスポット溶接部の破断限界線構成式が既知である鋼種として母材強度クラス590MPa級鋼板を用い、レーザ溶接部の破断限界線構成式を決定した例を示す。
2.1.破断限界線構成式準備工程S1
破断限界線構成式準備工程S1は、あらかじめ破断限界線導出プロセスによりスポット溶接部の破断限界線及びレーザ溶接部の破断限界線が導出されている鋼種について、上記式(1)で表されるスポット溶接部の破断限界線の構成式、及び、上記式(2)で表されるレーザ溶接部の破断限界線の構成式を準備するとともに、上記式(2)の表現を変更した上記式(3)でレーザ溶接部の破断限界線の構成式を表現する工程である。
2.2.変換係数算出工程S2
変換係数算出工程S2は、上記工程S1で準備した上記式(1)で用いられている係数a及びbと、上記式(2)で用いられている係数a及びbから、上記式(3)で用いられる変換係数a及びbを算出する工程である。
2.3.第1硬さ比算出工程S3
第1硬さ比算出工程S3は、スポット溶接部硬さHv(spot)とレーザ溶接部硬さHv(laser)との比RHv(=Hv(laser)/Hv(spot))を算出する工程である。RHvは、スポット溶接部硬さHv(spot)及びレーザ溶接部硬さHv(laser)の測定結果から算出することができる。このほか、スポット溶接部硬さHv(spot)及びレーザ溶接部硬さHv(laser)は、直接測定する以外にも鋼種の化学成分から炭素当量を用いて近似的に求める方法もある。以下にその一例を示す。
鋼種の化学成分から炭素当量の式を用いて、スポット溶接部の硬さ及びレーザ溶接部の硬さをそれぞれ計算する。スポット溶接部硬さの炭素当量の構成式は、例えば式(6)で表すことができ、レーザ溶接部硬さの炭素当量の構成式は、例えば式(7)で表すことができる。なお、式(6)は「及川初彦、他4名、「自動車用高強度鋼板のスポット溶接性」、新日鐵技法、第385号、(2006)、p.36−41」に記載されており、式(7)は「N.J. den Uijl et al.、Welding in the World、Vol.52、Issue11-12、(2008)、p.18-29」に記載されている。
Ceq(spot)=C+Si/90+(Mn+Cr)/100+1.5P+3S(6)
Ceq(laser)=C+Si/77+Mn/21+Cr/28+Mo/30 (7)
図5は270MPa級〜980MPa級鋼板を対象にした溶接部硬さと炭素当量の分布を示した図である。本例では、スポット溶接部は式(8)、レーザ溶接部は式(9)で示す曲線関数で近似が可能である。そこで、式(8)及び式(9)を用いて炭素当量からスポット溶接部硬さHv(spot)及びレーザ溶接部硬さHv(laser)をそれぞれ求め、RHv(=Hv(laser)/Hv(spot))を計算することができる。式(8)及び式(9)において、h1、h2、h3、及び、h4はパラメータである。
Hv(spot)=log(Ceq(spot)/h1)/h2 (8)
Hv(laser)=(Ceq(laser)+h3)/h4 (9)
2.4.第1パラメータ算出工程S4
第1パラメータ算出工程S4は、上記工程S3で算出したRHv、及び、上記工程S2で算出した変換係数aを用いて、上記式(4)で表される変換係数aの算出式におけるパラメータp1及びp2を算出する工程である。変換係数aとRHvとの間には図2に示す関係が成り立つので、図2に記載した直線から、パラメータp1及びp2を算出することができる。
2.5.第2パラメータ算出工程S5
第2パラメータ算出工程S5は、上記工程S3で算出したRHv、及び、上記工程S2で算出した変換係数bを用いて、上記式(5)で表される変換係数bの算出式におけるパラメータp3及びp4を算出する工程である。変換係数bとRHvとの間には図3に示す関係が成り立つので、図3に記載した直線から、パラメータp3及びp4を算出することができる。
2.6.第2硬さ比算出工程S6
第2硬さ比算出工程S6は、レーザ溶接部の破断限界線の構成式が未導出である鋼種の化学成分を用いて、該鋼種の、スポット溶接部硬さHv(spot)とレーザ溶接部硬さHv(laser)との比RHv(=Hv(laser)/Hv(spot))を算出する工程である。工程S6では、例えば、鋼種の化学成分(C、Si、Mn、P、S、Cr、Mo)から、上記式(6)及び式(7)を用いてスポット溶接部の炭素当量Ceq(spot)及びレーザ溶接部の炭素当量Ceq(laser)を求める。次に、上記式(8)及び式(9)を用いてスポット溶接部硬さHv(spot)及びレーザ溶接部硬さHv(laser)をそれぞれ求めることにより、RHv(=Hv(laser)/Hv(spot))を算出することができる。
2.7.変換係数a算出工程S7
変換係数a算出工程S7は、上記工程S6で算出されたRHvを上記式(4)へと代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線の構成式で用いる変換係数aを算出する工程である。
2.8.変換係数b算出工程S8
変換係数b算出工程S8は、上記工程S6で算出されたRHvを上記式(5)へと代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線の構成式で用いる変換係数bを算出する工程である。
2.9.レーザ溶接部破断限界線構成式導出工程S9
レーザ溶接部破断限界線構成式導出工程S9は、あらかじめ破断限界線導出プロセスにより導出されている、上記式(1)で表されるスポット溶接部の破断限界線構成式で用いられる係数a及びbと、上記工程S7で算出された変換係数aと、上記工程S8で算出された変換係数bとを、上記式(3)へと代入することにより、破断限界線構成式が導出されていなかった鋼種の、レーザ溶接部の破断限界線構成式を導出する工程である。
以上説明したように、上記工程S1〜工程S9を有する本発明に係る溶接部の破断限界線の算出方法では、破断限界線構成式で用いられる変換係数a及びbを、溶接対象鋼種の化学成分から計算した硬さを用いて算出する。これにより、破断限界線が未導出であるレーザ溶接部の破断限界線を算出・予測する場合であっても、溶接対象である鋼種の化学成分を特定することにより硬さを算出して変換係数a及びbを特定し、特定した変換係数a及びbと、既知のスポット溶接部破断限界線における係数a及びbとを用いて、レーザ溶接部の破断限界線を容易に算出・予測することができる。本発明によれば、レーザ溶接部の破断限界線が未導出である鋼種からなる部材に対しても、破断限界線導出プロセスを行わずにレーザ溶接部破断限界線を精度良く算出することが可能である。
3.溶接部の破断限界線の算出システム
本発明の第2実施形態に係る破断ひずみの算出システム10(以下、単に「算出システム10」という。)を図6に示す。図6に示すように、算出システム10は、スポット溶接部破断限界線及びレーザ溶接部破断限界線を蓄積したデータベース1と、変換係数算出式作成部2と、破断限界線変換部3と、入出力部4と、を備えている。
データベース1には、ある鋼種について過去に導出したスポット溶接部破断限界線及びレーザ溶接部破断限界線のデータが蓄積されている。算出システム10において、データベース1の形態は特に限定されない。
変換係数算出式作成部2は、データベース1から選択されたスポット溶接部破断限界線の構成式の係数a及びbとレーザ溶接部破断限界線の構成式の係数a及びbから変換係数a及びbを算出し、次に、スポット溶接部硬さとレーザ溶接部硬さとの比RHvを算出し、変換係数a及びbとRHvから上記式(4)及び式(5)のパラメータp1〜p4を算出する部位である。すなわち、算出システム10における変換係数算出式作成部2は、第1変換係数算出部、第1硬さ比算出部、及び、パラメータ算出部として機能する。ここで、第1変換係数算出部は、上記工程S2を実施可能な部位であり、データベース1から選択されたスポット溶接部破断限界線の構成式の係数a及びbとレーザ溶接部破断限界線の構成式の係数a及びbから変換係数a及びbを算出する部位である。また、第1硬さ比算出部は、上記工程S3を実施可能な部位であり、スポット溶接部硬さとレーザ溶接部硬さとの比RHvを算出する部位である。また、パラメータ算出部は、上記工程S4及び工程S5を実施可能な部位であり、算出したRHv及び変換係数aを用いて、上記式(4)で表される変換係数aの算出式におけるパラメータp1及びp2を算出し、算出したRHv及び変換係数bを用いて、上記式(5)で表される変換係数bの算出式におけるパラメータp3及びp4を算出する部位である。
変換係数算出式作成部2は、上記工程S1〜工程S5を実行可能な手段であればよく、例えば、表計算ソフトウェア等がインストールされた公知の演算装置を適宜用いることができる。変換係数算出式作成部2では、データベース1に記録された破断限界線の構成式の各係数が、対応する溶接手法(スポット溶接及びレーザ溶接)の溶接金属部硬さとともに入力され、表計算ソフトウェアによって、破断限界線構成式の変換係数a及びbの算出式である上記式(4)及び式(5)が決定される。具体的な計算内容については上記した通りであり、ここでは説明を省略する。
破断限界線変換部3は、レーザ溶接部の破断限界線を導出する対象となる鋼種の化学成分からスポット溶接部硬さとレーザ溶接部硬さとの比RHvを算出し、算出したRHvを上記式(4)及び式(5)へとそれぞれ代入して変換係数a及びbを算出することにより、レーザ溶接部の破断限界線を算出する部位である。すなわち、算出システム10における破断限界線変換部3は、第2硬さ比算出部、第2変換係数算出部、及び、レーザ溶接部破断限界線構成式導出部として機能する。ここで、第2硬さ比算出部は、上記工程S6を実施可能な部位であり、レーザ溶接部の破断限界線の構成式が未導出である鋼種の化学成分を用いて、該鋼種に関する、スポット溶接部硬さHv(spot)とレーザ溶接部硬さHv(laser)との比RHv(=Hv(laser)/Hv(spot))を算出する部位である。また、第2変換係数算出部は、上記工程S7及び工程S8を実施可能な部位であり、第2硬さ比算出部で算出されたRHvを上記式(4)へと代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線の構成式で用いる変換係数aを算出し、第2硬さ比算出部で算出されたRHvを上記式(5)へと代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線の構成式で用いる変換係数bを算出する部位である。また、レーザ溶接部破断限界線構成式導出部は、上記工程S9を実施可能な部位であり、あらかじめ破断限界線導出プロセスにより導出されている、上記式(1)で表されるスポット溶接部の破断限界線構成式で用いられる係数a及びbと、変換係数a算出部で算出された変換係数aと、変換係数b算出部で算出された変換係数bとを、上記式(3)へと代入することにより、破断限界線構成式が導出されていなかった鋼種の、レーザ溶接部の破断限界線構成式を導出する部位である。
破断限界線変換部3は、上記工程S6〜工程S9を実行可能な手段であればよく、例えば、変換係数算出式作成部2と同様に、公知の演算装置を適宜用いることができる。破断限界線変換部3では、上記式(6)及び式(7)へ化学成分がパラメータ値として代入されることにより炭素当量が算出され、上記式(8)及び式(9)へ炭素当量がパラメータ値として代入されることによりスポット溶接部硬さ及びレーザ溶接部硬さが算出される。また、上記式(4)及び式(5)へ比RHvがパラメータ値として代入されることにより変換係数a及びbが算出され、破断限界線導出プロセスで導出済みの評価対象鋼種のスポット溶接部破断限界線の係数a及びbと、変換係数a及びbとを上記式(3)へ代入することにより、レーザ溶接部破断限界線の構成式(式(2))が導出される。具体的な計算内容については上記した通りであり、ここでは説明を省略する。
このように、算出システム10は、算出方法S10における準備工程S1で用いるデータを蓄積したデータベース1と、変換係数算出工程S2、第1硬さ比算出工程S3、第1パラメータ算出工程S4、及び、第2パラメータ算出工程S5を実施可能な変換係数算出式作成部2と、第2硬さ比算出工程S6、変換係数a算出工程S7、変換係数b算出工程S8、及び、レーザ溶接部破断限界線構成式導出工程S9を実施可能な破断限界線変換部3を有しているので、算出方法S10を実施することができる。したがって、かかる形態とすることにより、本発明によれば、破断限界線が未導出である鋼種について、高精度の破断限界線を算出することが可能な、算出システム10を提供することができる。
算出システム10に関する上記説明では、それぞれ別々の、変換係数算出式作成部2、及び、破断限界線変換部3を有している形態を例示したが、本発明の第2実施形態に係る溶接部の破断限界線の算出システムは当該形態に限定されない。一の演算装置を変換係数算出式作成部2、及び、破断限界線変換部3として機能させても良い。
4.溶接部を備えた部材の製造方法
本発明の第3実施形態に係る溶接部を備えた部材の製造方法(以下において、「本発明の製造方法」ということがある。)は、本発明の第1実施形態に係る溶接部の破断限界線の算出方法により算出された破断限界線を用いて有限要素法解析を行い、その解析結果に基づいて部材の板組み、溶接部の大きさ及び/又は溶接位置を決定し、このようにして決定された板組み、溶接部の大きさ及び/又は溶接位置にしたがって部材を溶接する工程を有している。
本発明の製造方法では、例えば、算出方法S10により算出された破断限界線を用いて有限要素法解析を行い、その解析結果に基づいて継手の板組み、溶接ビードの幅、及び/又は、間隔を決定する。そして、決定された板組み、溶接ビードの幅、及び/又は、間隔にしたがって部材をレーザ溶接することで、レーザ溶接部を備えた継手を製造する形態、とすることができる。本発明の製造方法によれば、板組み、溶接部の大きさや溶接位置が適切とされた溶接部材を製造することができる。これを、例えば自動車部材等の設計に反映させることにより、自動車の衝突変形中における溶接部破断を抑制し、適切にエネルギーを吸収することが可能な自動車構造部材を製造することが可能になる。
本発明に関する上記説明では、主に、本発明がレーザ溶接部の解析に適用される形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、あらかじめ破断限界線導出プロセスにより、上記式(2)で表されるレーザ溶接部の破断限界線構成式が導出されている一方、スポット溶接部等のその他溶接手段により溶接された部位の破断限界線構成式が導出されていない場合には、上記式(1)を用いて上記式(2)を導出する上記説明の考え方を、上記式(2)を用いて上記式(1)を導出するように変換するほかは、上記形態と同様の手順により、レーザ溶接部の破断限界線構成式を用いて、破断限界線構成式を導出することができる。また、上記説明では、本発明が溶接材料として鉄鋼材料を用いた場合に適用される形態について主に言及したが、本発明は当該形態に限定されない。チタンやアルミニウム等、他の金属材料で構成される溶接部材を解析する場合であっても、本発明を適用することができる。
実施例を参照しつつ、本発明の算出方法についてさらに説明を続ける。
上述の工程S1〜工程S5を行うことにより、上記式(4)及び式(5)のパラメータ(p1、p2、p3、p4)を得た。
レーザ溶接部の破断限界線構成式が特定されていない金属材料の化学成分(質量%)は、以下の通りであった。
C:0.08質量%
Si:0.05質量%
Mn:2.43質量%
P:0.009質量%
S:0.001質量%
Cr:0.02質量%
Mo:0.01質量%
上記化学成分を、上記式(6)及び式(7)へと代入することにより、スポット溶接部炭素当量Ceq(spot)及びレーザ溶接部炭素当量Ceq(laser)を算出した。算出されたスポット溶接部炭素当量は、Ceq(spot)=0.118であり、レーザ溶接部炭素当量は、Ceq(laser)=0.193であった。次に、算出された炭素当量を上記式(8)及び式(9)へと代入することにより、スポット溶接部硬さHv(spot)及びレーザ溶接部硬さHv(laser)を算出した。算出されたスポット溶接部硬さは、Hv(spot)=359.5であり、レーザ溶接部硬さは、Hv(laser)=323.7であった。次に、これらの値を用いて、硬さ比RHv(=Hv(laser)/Hv(spot))を計算した。計算された硬さ比は、RHv=0.9004であった。このようにして得られたRHvを上記式(4)及び式(5)へとそれぞれ代入することにより、変換係数at及びbtを算出した。算出された変換係数は、at=1.043、bt=0.874であった。次に、予め破断限界線導出プロセスで導出済みの評価対象鋼種のスポット溶接部破断限界線構成式から得られる係数as及びbsと、上記手順で算出した変換係数at及びbtを式(3)へと代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線構成式を求めた。
本発明の算出方法によりレーザ溶接部の破断限界線構成式を算出した金属材料は、引張強さ590MPa級、ヤング率206GPa、ポアソン比0.3の鋼種であった。この鋼種の真応力と塑性ひずみとの関係を図7に示す。図7に示した材料特性データと破断限界線データを、図8(a)及び図8(b)に示すレーザ溶接継手の引張試験モデルに適用し、FEM解析を行った。図8において、(a)は引張せん断に用いる継手T、(b)はL字引張に用いる継手Lを示す。また、図8(c)は溶接金属部分を示す図であり、11に母材部分、12にHAZ部分、13に溶接金属部分の真応力と塑性ひずみとの関係をそれぞれ設定する。また、図9(a)は継手Tの破断形態の解析結果を示す図であり、図9(b)は継手Lの破断形態の解析結果を示す図である。図9(c)に解析結果と試験結果の最大荷重の比較を示す。FEM解析結果は、何れの継手においても試験結果と良好に対応した。すなわち、本発明によれば、レーザ破断限界線未導出の鋼種についても、破断限界線導出プロセスを省略して、破断限界線を精度よく算出できることが分かった。
本発明によれば、溶接部を備えた各種部材のFEM解析時に用いられる溶接部の破断限界線を、精度良く算出することができる。これにより、FEM解析の際、個別に破断限界線導出プロセスを行う必要がなくなり、労力を低減することができる。本発明により算出された破断限界線は、例えば、レーザ溶接継手の板組みや溶接ビード幅を検討するためのFEM解析の際に用いることができ、さらにその結果を自動車の部材設計に反映させることができる。
1…データベース
2…変換係数算出式作成部
3…破断限界線変換部
4…入出力部
10…溶接部の破断限界線の算出システム
11…母材部分
12…HAZ部分
13…溶接金属部分

Claims (3)

  1. 有限要素法解析により溶接部の破断予測を実施する際に用いられる、溶接部の破断限界線の算出方法であって、
    あらかじめ破断限界線導出プロセスによりスポット溶接部の破断限界線及びレーザ溶接部の破断限界線が導出されている金属材料について、下記式(1)で表されるスポット溶接部の破断限界線の構成式、及び、下記式(2)で表されるレーザ溶接部の破断限界線の構成式を準備するとともに、下記式(2)の表現を変更した下記式(3)でレーザ溶接部の破断限界線の構成式を表現する、破断限界線構成式準備工程と、
    下記式(1)で用いられる係数a及びbと、下記式(2)で用いられる係数a及びbから、下記式(3)で用いられる変換係数a及びbを算出する、変換係数算出工程と、
    スポット溶接部硬さ及びレーザ溶接部硬さの比RHvを算出する、第1硬さ比算出工程と、
    算出した前記RHv及び前記変換係数aを用いて、下記式(4)で表される変換係数aの算出式におけるパラメータp1及びp2を算出する、第1パラメータ算出工程と、
    算出した前記RHv及び前記変換係数bを用いて、下記式(5)で表される変換係数bの算出式におけるパラメータp3及びp4を算出する、第2パラメータ算出工程と、
    レーザ溶接部の破断限界線の構成式が未導出である金属材料の化学成分を用いて、該金属材料のスポット溶接部硬さ及びレーザ溶接部硬さの比RHvを算出する、第2硬さ比算出工程と、
    前記第2硬さ比算出工程で算出された前記RHvを下記式(4)へと代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線の構成式で用いる変換係数aを算出する、変換係数a算出工程と、
    前記第2硬さ比算出工程で算出された前記RHvを下記式(5)へと代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線の構成式で用いる変換係数bを算出する、変換係数b算出工程と、
    あらかじめ破断限界線導出プロセスにより導出されている、下記式(1)で表されるスポット溶接部の破断限界線構成式で用いられる係数a及びbと、前記変換係数a算出工程で算出された変換係数aと、前記変換係数b算出工程で算出された変換係数bとを、下記式(3)へと代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線の構成式を導出する、レーザ溶接部破断限界線構成式導出工程と、を有する、溶接部の破断限界線の算出方法。
    ε=a・σtriax (1)
    ε=a・σtriax (2)
    ε=a・a・σtriax (b・b) (3)
    =p1・RHv+p2 (4)
    =p3・RHv+p4 (5)
    前記式(1)〜(5)において、εは破断ひずみ、σtriaxは応力三軸度(0.8<σtriax<2.0)、a、b、a、及び、bは鋼種・部位毎に異なる係数、a及びbは鋼種・部位毎に異なる変換係数であり、p1、p2、p3、及び、p4はパラメータである。
  2. 有限要素法解析により溶接部の破断予測を実施する際に用いられる、溶接部の破断限界線を算出するシステムであって、
    前記破断限界線は、破断限界線構成式で近似され、
    入出力部と、
    金属材料の破断限界線構成式を蓄積したデータベースと、
    変換係数算出式作成部と、
    破断限界線変換部と、を有し、
    前記変換係数算出式作成部は、
    前記データベースから選択された、下記式(1)で表わされるスポット溶接部破断限界線構成式の係数 及びb 並びに下記式(2)で表わされるレーザ溶接部破断限界線構成式の係数 及びb を用いて、スポット溶接部破断限界線構成式からレーザ溶接部破断限界線構成式を下記式(3)により導出する際に用いられる変換係数 及びb を算出する、第1変換係数算出部と、
    スポット溶接部硬さとレーザ溶接部硬さとの比RHvを算出する第1硬さ比算出部と、
    算出された前記RHv及び前記変換係数を用いて、下記式(4)及び式(5)で表わされる前記RHvと前記変換係数との関係式で用いられるパラメータp1、p2、p3及びp4を算出するパラメータ算出部と、を有し、
    前記破断限界線変換部は、
    レーザ溶接部の破断限界線構成式が未導出である金属材料の化学成分を用いて、該金属材料のスポット溶接部硬さとレーザ溶接部硬さとの比RHvを算出する、第2硬さ比算出部と、
    前記第2硬さ比算出部で算出された前記RHvを、前記RHvと前記変換係数との前記関係式である下記式(4)及び式(5)へと代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線構成式で用いられる変換係数 及びb を算出する、第2変換係数算出部と、
    あらかじめ破断限界線導出プロセスにより導出されている、下記式(1)で表わされるスポット溶接部の破断限界線構成式で用いられる係数 及びb と、前記第2変換係数算出部で算出された変換係数 及びb とを下記式(3)へと代入することによりレーザ溶接部の破断限界線構成式を導出する、レーザ溶接部破断限界線構成式導出部と、
    を有する、溶接部の破断限界線の算出システム。
    ε =a ・σ triax (1)
    ε =a ・σ triax (2)
    ε =a ・a ・σ triax (b ・b ) (3)
    =p1・RHv+p2 (4)
    =p3・RHv+p4 (5)
    前記式(1)〜(5)において、ε は破断ひずみ、σ triax は応力三軸度(0.8<σ triax <2.0)、a 、b 、a 、及び、b は鋼種・部位毎に異なる係数、a 及びb は鋼種・部位毎に異なる変換係数であり、p1、p2、p3、及び、p4はパラメータである。
  3. 請求項1に記載の破断限界線の算出方法により予測された破断限界線を用いて有限要素法解析を行い、解析結果に基づいて部材の板組み、溶接部の大きさ及び/又は溶接位置を決定し、該決定された板組み、溶接部の大きさ及び/又は溶接位置にしたがって部材を溶接する工程を備える、溶接部を備えた部材の製造方法。
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