JP6459877B2 - 溶接部の破断限界線の導出方法、溶接部を備えた部材の製造方法、プログラム、および、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents
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Description
εp = Fs・σtriax^Ns …(1)
εp = Fl・σtriax^Nl …(2)
ここで、εpは破断ひずみ、σtriaxは応力三軸度(0.7<σtriax<2.0)であり、Fs、Ns、Fl、および、Nlは、鋼種毎や部位毎に異なるパラメータである。
上記式(1)のパラメータFs、および、Nsを用いて、上記式(2)は下記式(3)に書き換えることができる。
εp = Fs・Fr・σtriax^(Ns・Nr) …(3)
ここで、FrおよびNrは、式(2)を式(3)に書き換えるために用いる変換係数である。
Fr = −a1・ln(Cr) + a2 …(4)
Nr = b1・ln(Cr) − b2 …(5)
ここで、a1、a2、b1、b2はパラメータ(>0)である。
本発明の第1の態様では、あらかじめ導出されたスポット溶接部の破断限界線およびレーザ溶接部の破断限界線を用いて算出した変換係数と、スポット溶接部およびレーザ溶接部の冷却速度とが満たす関係式を作成する。さらに、レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種のレーザ溶接部の冷却速度を導出し、これを、作成しておいた上記関係式へ代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種の変換係数を算出する。この変換係数は、スポット溶接部の破断限界線をレーザ溶接部の破断限界線へと変換する係数なので、この変換係数と、導出済みであるスポット溶接部の破断限界線とを用いることにより、破断限界線導出プロセスを行わずに、レーザ溶接部の破断限界線を求めることができる。このようにして導出されたレーザ溶接部の破断限界線は、破断限界線導出プロセスにより導出されたレーザ溶接部の破断限界線と良く一致する。したがって、本発明の第1の態様によれば、破断限界線が未導出であるレーザ溶接継手について、破断限界線導出プロセスを行わずに破断限界線を精度良く導出することが可能な、溶接部の破断限界線の導出方法を提供することができる。
本発明の第1の態様では、レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種(以下、本段落において、「評価対象鋼種」と称する。)の、スポット溶接部の破断限界線は導出されているので、上記式(1)におけるFsおよびNsは特定されている。それゆえ、特定されているこれらの係数、および、レーザ溶接部の冷却速度を用いて算出した変換係数を上記式(3)に代入することにより、破断限界線導出プロセスを行うことなく、評価対象鋼種のレーザ溶接部の破断限界線を導出することができる。このようにして導出されたレーザ溶接部の破断限界線は、破断限界線導出プロセスにより導出されたレーザ溶接部の破断限界線と良く一致する。したがって、このような形態であっても、破断限界線が未導出であるレーザ溶接継手について、破断限界線導出プロセスを行わずに破断限界線を精度良く導出することが可能な、溶接部の破断限界線の導出方法を提供することができる。
本発明の第2の態様では、あらかじめ導出されたスポット溶接部の破断限界線およびレーザ溶接部の破断限界線を用いて算出した変換係数と、スポット溶接部およびレーザ溶接部の冷却速度とが満たす関係式を作成する。さらに、スポット溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種のスポット溶接部の冷却速度を把握し、これを、作成しておいた上記関係式へ代入することにより、スポット溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種の変換係数を算出する。この変換係数は、レーザ溶接部の破断限界線をスポット溶接部の破断限界線へと変換する係数なので、この変換係数と、導出済みであるレーザ溶接部の破断限界線とを用いることにより、破断限界線導出プロセスを行わずに、スポット溶接部の破断限界線を導出することができる。このようにして導出されたスポット溶接部の破断限界線は、破断限界線導出プロセスにより導出されたスポット溶接部の破断限界線と良く一致する。したがって、本発明の第2の態様によれば、破断限界線が未導出であるスポット溶接継手について、破断限界線導出プロセスを行わずに破断限界線を精度良く導出することが可能な、溶接部の破断限界線の導出方法を提供することができる。
εp = Fs・σtriax^Ns …(X)
εp = Fl・Fr’・σtriax^(Nl・Nr’) …(Y)
εp = Fl・σtriax^Nl …(Z)
ここで、εpは破断ひずみ、σtriaxは応力三軸度(0.7<σtriax<2.0)である。
本発明の第2の態様では、スポット溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種(以下、本段落において、「評価対象鋼種」と称する。)の、レーザ溶接部の破断限界線は導出されているので、上記式(Z)における係数FlおよびNlは特定されている。それゆえ、特定されているこれらの係数、および、スポット溶接部の冷却速度を用いて算出した変換係数を上記式(Y)に代入することにより、破断限界線導出プロセスを行うことなく、評価対象鋼種のスポット溶接部の破断限界線を導出することができる。このようにして導出されたスポット溶接部の破断限界線は、破断限界線導出プロセスにより導出されたスポット溶接部の破断限界線と良く一致する。したがって、このような形態であっても、破断限界線が未導出であるスポット溶接継手について、破断限界線導出プロセスを行わずに破断限界線を精度良く導出することが可能な、溶接部の破断限界線の導出方法を提供することができる。
本発明の第3の態様では、レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種(以下、本段落において、「評価対象鋼種」と称する。)の、スポット溶接部の破断限界線は導出されているので、上記式(1)におけるFsおよびNsは特定されている。それゆえ、特定されているこれらの係数、および、レーザ溶接部の冷却速度を用いて算出した変換係数を上記式(3)に代入することにより、破断限界線導出プロセスを行うことなく、評価対象鋼種のレーザ溶接部の破断限界線を導出することができる。このようにして導出されたレーザ溶接部の破断限界線は、破断限界線導出プロセスにより導出されたレーザ溶接部の破断限界線と良く一致する。したがって、このような形態であっても、破断限界線が未導出であるレーザ溶接継手について、破断限界線導出プロセスを行わずに破断限界線を精度良く導出することが可能な、溶接部の破断限界線の導出方法を提供することができる。
本発明の第4の態様では、スポット溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種(以下、本段落において、「評価対象鋼種」と称する。)の、レーザ溶接部の破断限界線は導出されているので、上記式(Z)における係数FlおよびNlは特定されている。それゆえ、特定されているこれらの係数、および、スポット溶接部の冷却速度を用いて算出した変換係数を上記式(Y)に代入することにより、破断限界線導出プロセスを行うことなく、評価対象鋼種のスポット溶接部の破断限界線を導出することができる。このようにして導出されたスポット溶接部の破断限界線は、破断限界線導出プロセスにより導出されたスポット溶接部の破断限界線と良く一致する。したがって、このような形態であっても、破断限界線が未導出であるスポット溶接継手について、破断限界線導出プロセスを行わずに破断限界線を精度良く導出することが可能な、溶接部の破断限界線の導出方法を提供することができる。
本発明の第6の態様では、レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種(以下、本段落において、「評価対象鋼種」と称する。)の、スポット溶接部の破断限界線は既知なので、上記式(1)におけるFsおよびNsは特定されている。それゆえ、特定されているこれらの係数、および、レーザ溶接部の冷却速度を用いて算出した変換係数を上記式(3)に代入することにより、破断限界線導出プロセスを行うことなく、評価対象鋼種のレーザ溶接部の破断限界線を導出することができる。このようにして導出されたレーザ溶接部の破断限界線は、破断限界線導出プロセスにより導出されたレーザ溶接部の破断限界線と良く一致する。したがって、このような形態であっても、破断限界線が未導出であるレーザ溶接継手について、破断限界線導出プロセスを行わずに破断限界線を精度良く導出することが可能な、プログラムを提供することができる。
本発明の第7の態様では、スポット溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種(以下、本段落において、「評価対象鋼種」と称する。)の、レーザ溶接部の破断限界線は既知なので、上記式(Z)における係数FlおよびNlは特定されている。それゆえ、特定されているこれらの係数、および、スポット溶接部の冷却速度を用いて算出した変換係数を上記式(Y)に代入することにより、破断限界線導出プロセスを行うことなく、評価対象鋼種のスポット溶接部の破断限界線を導出することができる。このようにして導出されたスポット溶接部の破断限界線は、破断限界線導出プロセスにより導出されたスポット溶接部の破断限界線と良く一致する。したがって、このような形態であっても、破断限界線が未導出であるスポット溶接継手について、破断限界線導出プロセスを行わずに破断限界線を精度良く導出することが可能な、プログラムを提供することができる。
本発明の第8の態様では、レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種(以下、本段落において、「評価対象鋼種」と称する。)の、スポット溶接部の破断限界線は既知なので、上記式(1)におけるFsおよびNsは特定されている。それゆえ、特定されているこれらの係数、および、レーザ溶接部の冷却速度を用いて算出した変換係数を上記式(3)に代入することにより、破断限界線導出プロセスを行うことなく、評価対象鋼種のレーザ溶接部の破断限界線を導出することができる。このようにして導出されたレーザ溶接部の破断限界線は、破断限界線導出プロセスにより導出されたレーザ溶接部の破断限界線と良く一致する。したがって、このような形態であっても、破断限界線が未導出であるレーザ溶接継手について、破断限界線導出プロセスを行わずに破断限界線を精度良く導出することが可能な、プログラムを提供することができる。
本発明の第9の態様では、スポット溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種(以下、本段落において、「評価対象鋼種」と称する。)の、レーザ溶接部の破断限界線は既知なので、上記式(Z)における係数FlおよびNlは特定されている。それゆえ、特定されているこれらの係数、および、スポット溶接部の冷却速度を用いて算出した変換係数を上記式(Y)に代入することにより、破断限界線導出プロセスを行うことなく、評価対象鋼種のスポット溶接部の破断限界線を導出することができる。このようにして導出されたスポット溶接部の破断限界線は、破断限界線導出プロセスにより導出されたスポット溶接部の破断限界線と良く一致する。したがって、このような形態であっても、破断限界線が未導出であるスポット溶接継手について、破断限界線導出プロセスを行わずに破断限界線を精度良く導出することが可能な、プログラムを提供することができる。
上記本発明の第6の態様および上記本発明の第8の態様によれば、破断限界線が未導出であるレーザ溶接継手について、破断限界線導出プロセスを行わずに破断限界線を精度良く導出することが可能である。また、上記本発明の第7の態様および上記本発明の第9の態様によれば、破断限界線が未導出であるスポット溶接継手について、破断限界線導出プロセスを行わずに破断限界線を精度良く導出することが可能である。したがって、本発明の第10の態様によれば、破断限界線が未導出である溶接手法からなる継手について、破断限界線導出プロセスを行わずに破断限界線を精度良く導出することが可能なプログラム、を記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することができる。
上記非特許文献1および2によれば、平滑形状および切欠付き形状の超小型試験片の引張試験を模擬したFEM解析結果の試験部断面積が破断試験片での実測値に達したときの最大相当塑性ひずみを、その試験片の局所的な平滑破断ひずみおよび切欠破断ひずみと定義できる。同様に、破断限界の応力三軸度も定義できる。また、このプロセスを溶接金属部分、HAZ部分、および、母材部分毎に行うことで、各部位での平滑破断ひずみおよび切欠破断ひずみと破断限界の応力三軸度を導出することができる。そして、破断ひずみと応力三軸度の関係を累乗関数で近似することにより、破断限界線を構築することができる。
2.1.レーザ溶接部の破断限界線の導出方法
本発明の1つの実施形態に係る溶接部の破断限界線の導出方法S10(以下において、単に「導出方法S10」と称する。)を図3に示す。図3に示した導出方法S10は、数式化工程S11と、第1変換係数算出工程S12と、冷却速度特定工程S13と、関係式作成工程S14と、レーザ溶接部冷却速度導出工程S15と、第2変換係数算出工程S16と、破断限界線変換工程S17と、を有している。
工程S11は、あらかじめ破断限界線導出プロセスにより、スポット溶接部の破断限界線、および、溶接冷却速度を変えた複数のレーザ溶接部の破断限界線が導出された鋼種について、スポット溶接部の破断限界線を上記式(1)の形で表し、且つ、レーザ溶接部の破断限界線を上記式(2)および上記式(3)の形で表す工程である。ここで、破断限界線が導出された鋼種の破断限界線は、上記式(1)〜(3)の係数を具体的な数値に置き換えた式で表すことができる。すなわち、「上記式F(Fは(1)、(2)、または、(3)。)の形で表す」とは、Fs、Ns、Fl、および、Nlを具体的な数値に置き換えた式で表すことを意味する。工程S11では、破断限界線導出プロセスによってスポット溶接部および2種類のレーザ溶接部の破断限界線が既知である鋼種として、例えば、母材強度クラス590MPa級鋼板を用いることができる。
工程S12は、工程S11で表した式を用いて、工程S11の鋼種に関する、上記式(3)の変換係数FrおよびNrを算出する工程である。上記式(2)および(3)より、Fr=Fl/Fs、Nr=Nl/Nsなので、Fl、Fs、Nl、および、Nsに数値を代入することにより、FrおよびNrを算出することができる。
工程S13は、スポット溶接部およびレーザ溶接部の冷却速度Crを求める工程である。工程S13は、工程S11で用いた鋼種の、スポット溶接部およびレーザ溶接部の冷却速度Crを求める工程なので、工程S11で母材強度クラス590MPa級鋼板を用いた場合、工程S13は、例えば、当該鋼板の、スポット溶接部の冷却速度、および、レーザ溶接部の2種類の冷却速度を特定する工程とすることができる。スポット溶接部とレーザ溶接部の冷却速度は、溶接サンプル製作時に放射温度計等による測定で求めることができる。また、レーザ溶接においては、送り速度Wrと冷却速度Crとの間に図4に示す関係が成り立つ。そのため、レーザ溶接部の冷却速度Crは、下記式(6)に示す関数(d1およびd2はパラメータ)で近似することが可能である。なお、測定条件を増すことにより、下記式(6)に示す線形近似以外の近似(例えば、対数近似や累乗近似等。)を用いることも可能である。
Cr = d1・Wr + d2 …(6)
工程S14は、冷却速度Crと、式(3)の変換係数FrおよびNrと、が満たす関係式を作成する工程である。上述のように、冷却速度Crと変換係数FrおよびNrとの間には、図2に示す関係が成り立つ。そのため、冷却速度Crと変換係数FrおよびNrとが満たす関係式として、上記式(4)および式(5)を導出することができる。なお、工程S14では、工程S13で特定した冷却速度Crを用いる。
工程S15は、レーザ溶接部の破断限界線が測定されていない鋼種(導出方法S10の説明において、「評価対象鋼種」と称することがある。)について、レーザ溶接の送り速度Wrから、レーザ溶接部の冷却速度Crを導出する工程である。工程S15では、上記式(6)を用いて、レーザ溶接部の冷却速度Crを導出することができる。
工程S16は、上記工程S15で導出された評価対象鋼種のレーザ溶接部の冷却速度Crを、上記工程S4で作成した関係式(式(4)および式(5))へと代入することにより、評価対象鋼種の変換係数を算出する工程である。
工程S17は、上記工程S16で算出された評価対象鋼種の変換係数を用いて、破断限界線導出プロセスにより導出された評価対象鋼種のスポット溶接部の破断限界線を、評価対象鋼種のレーザ溶接部の破断限界線へと変換する工程である。上述のように、スポット溶接部の破断限界線は上記式(1)の形で表すことができ、その破断限界線が導出されている場合には、式(1)におけるFsおよびNsの具体的な数値が判明している。それゆえ、FsおよびNsの具体的な数値と、上記工程S16で算出した評価対象鋼種の変換係数とを、上記式(3)へ代入することにより、上記式(3)の形で表される、評価対象鋼種のレーザ溶接部の破断限界線の構成式を導出することができる。
本発明の他の実施形態に係る溶接部の破断限界線の導出方法S20(以下において、単に「導出方法S20」と称する。)を図5に示す。図5に示した導出方法S20は、数式化工程S21と、第1変換係数算出工程S22と、冷却速度特定工程S23と、関係式作成工程S24と、スポット溶接部冷却速度把握工程S25と、第2変換係数算出工程S26と、破断限界線変換工程S27と、を有している。
工程S21は、あらかじめ破断限界線導出プロセスにより、レーザ溶接部の破断限界線、および、溶接冷却速度を変えた複数の、スポット溶接部の破断限界線が導出された鋼種について、スポット溶接部の破断限界線を上記式(X)および上記式(Y)の形で表し、且つ、レーザ溶接部の破断限界線を上記式(Z)の形で表す工程である。ここで、破断限界線が導出された鋼種の破断限界線は、上記式(X)〜(Z)の係数を具体的な数値に置き換えた式で表すことができる。すなわち、「上記式F’(F’は(X)、(Y)、または、(Z)。)の形で表す」とは、Fs、Ns、Fl、および、Nlを具体的な数値に置き換えた式で表すことを意味する。工程S21では、破断限界線導出プロセスによってレーザ溶接部および2種類のスポット溶接部の破断限界線が既知である鋼種として、例えば、母材強度クラス590MPa級鋼板を用いることができる。
工程S22は、工程S21で表した式を用いて、工程S21の鋼種に関する、上記式(Y)の変換係数Fr’およびNr’を算出する工程である。上記式(X)および(Y)より、Fr’=Fs/Fl、Nr’=Ns/Nlなので、Fl、Fs、Nl、および、Nsに数値を代入することにより、Fr’およびNr’を算出することができる。
工程S23は、スポット溶接部およびレーザ溶接部の冷却速度Crを求める工程である。工程S23は工程S13と同様の工程であるので、ここでは説明を省略する。
工程S24は、冷却速度Crと、式(Y)の変換係数Fr’およびNr’と、が満たす関係式を作成する工程である。上述のように、冷却速度Crと変換係数Fr’およびNr’との間には、図2に示す関係が成り立つ。そのため、冷却速度Crと変換係数Fr’およびNr’とが満たす関係式として、下記式(4)’および式(5)’を導出することができる。なお、工程S24では、工程S23で特定した冷却速度Crを用いる。
Fr’ = −a1’・ln(Cr) + a2’ …(4)’
Nr’ = b1’・ln(Cr) − b2’ …(5)’
ここで、a1’、a2’、b1’、b2’はパラメータ(>0)である。
工程S25は、スポット溶接部の破断限界線が測定されていない鋼種(導出方法S20の説明において、「評価対象鋼種」と称することがある。)について、スポット溶接部の冷却速度を把握する工程である。スポット溶接では、溶接条件によって冷却条件が大きく変化しないため、例えば代表値をスポット溶接部の冷却速度とすることができ、具体的には、工程S21で用いた鋼種のスポット溶接部の冷却速度を、工程S25で把握するスポット溶接部の冷却速度とすることができる。このほか、評価対象鋼種のスポット溶接部の冷却速度を、放射温度計等を用いて予め測定しておき、当該測定しておいた冷却速度を、工程S25で把握するスポット溶接部の冷却速度とすることもできる。
工程S26は、上記工程S25で把握した評価対象鋼種のスポット溶接部の冷却速度を、上記工程S24で作成した関係式(式(4)’および式(5)’)へと代入することにより、評価対象鋼種の変換係数を算出する工程である。
工程S27は、上記工程S26で算出された評価対象鋼種の変換係数を用いて、破断限界線導出プロセスにより導出された評価対象鋼種のレーザ溶接部の破断限界線を、評価対象鋼種のスポット溶接部の破断限界線へと変換する工程である。上述のように、レーザ溶接部の破断限界線は上記式(Z)の形で表すことができ、その破断限界線が導出されている場合には、式(Z)におけるFlおよびNlの具体的な数値が判明している。それゆえ、FlおよびNlの具体的な数値と、上記工程S26で算出した評価対象鋼種の変換係数とを、上記式(Y)へ代入することにより、上記式(Y)の形で表される、評価対象鋼種のスポット溶接部の破断限界線の構成式を導出することができる。
3.1.レーザ溶接部の破断限界線の導出システム
本発明の他の実施形態に係る溶接部の破断限界線の導出システム10(以下において、単に「導出システム10」と称する。)を図6に示す。図6に示した導出システム10は、スポット溶接部の破断限界線、および、溶接部の冷却速度を変えた複数の、レーザ溶接部の破断限界線に関するデータ(少なくとも近似式の係数Fs、Ns、Fl、Nlに関するデータ。以下において同じ。)、ならびに、溶接部の冷却速度に関するデータを蓄積したデータベース1と、該データベース1から選択されたデータを用いて、変換係数FrおよびNrと冷却速度Crとの関係式を作成する関係式作成部2と、レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種(評価対象鋼種)の、レーザ溶接部の冷却速度Crを用いて算出した、評価対象鋼種の変換係数FrおよびNrと、当該評価対象鋼種のスポット溶接部の破断限界線の近似式における係数とを用いて、評価対象鋼種のレーザ溶接部の破断限界線を導出する破断限界線変換部3と、を有している。
本発明の他の実施形態に係る溶接部の破断限界線の導出システム20(以下において、単に「導出システム20」と称する。)を図7に示す。図7において、導出システム10と同様に構成されるものには、図6で使用した符号と同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。図7に示した導出システム20は、データベース1と、該データベース1から選択されたデータを用いて、変換係数Fr’およびNr’と冷却速度Crとの関係式を作成する関係式作成部2’と、スポット溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種(評価対象鋼種)の、スポット溶接部の冷却速度を用いて算出した、評価対象鋼種の変換係数Fr’およびNr’と、当該評価対象鋼種のレーザ溶接部の破断限界線における係数とを用いて、評価対象鋼種のスポット溶接部の破断限界線を導出する破断限界線変換部3’と、を有している。
本発明の他の実施形態に係る溶接部を備えた部材の製造方法(以下において、「本発明の製造方法」と称する。)は、上記本発明の破断限界線の導出方法により予測された破断限界線を用いて有限要素法解析を行い、その解析結果に基づいて部材の板組み、溶接部の大きさ、および/または、溶接位置を決定し、このようにして決定された板組み、溶接部の大きさ、および/または、溶接位置にしたがって部材を溶接する工程を有している。
本発明には、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記録媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行するように構成した形態も含まれる。すなわち、そのようなプログラム、および、当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明に含まれる。
また、本発明のプログラムが、未導出である評価対象鋼種のスポット溶接部の破断限界線を、破断限界線導出プロセスを行わずにコンピュータに導出させるプログラムである場合、数式化ステップは上記工程S21を、第1変換係数算出ステップは上記工程S22を、冷却速度特定ステップは上記工程S23を、関係式作成ステップは上記工程S24を、スポット溶接部冷却速度把握ステップは上記工程S25を、第2変換係数算出ステップは上記工程S26を、破断限界線変換ステップは上記工程S27を、それぞれコンピュータに実行させるステップである。
本発明のプログラムにおける各ステップに関する説明や、本発明のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する説明は、上記「2.溶接部の破断限界線の導出方法」における対応する工程の説明や上記「3.溶接部の破断限界線の導出システム」に関する説明と、内容が重複する。そこで、ここでは、本発明のプログラム、および、当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する説明を省略する。
このようにして特定した送り速度を上記式(6)へ代入することにより、レーザ溶接部の冷却速度を算出した。算出されたレーザ溶接部の冷却速度は、Cr=347℃/sであった。次に、このCrを上記式(4)および式(5)へ代入することにより、変換係数FrおよびNrを算出した。算出された変換係数は、Fr=1.046、Nr=0.836であった。
あらかじめ破断限界線導出プロセスで導出済みの、評価対象鋼種のスポット溶接部の破断限界線を近似する式における各係数(FsおよびNs)と、算出した上記変換係数(Fr=1.046、Nr=0.836)と、を上記式(3)に代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線を近似する式を特定した。
2、2’…関係式作成部
3、3’…破断限界線変換部
10、20…溶接部の破断限界線の導出システム
11…母材
12…HAZ
13…溶接金属
Claims (18)
- 有限要素法解析により溶接部の破断予測を実施する際に用いられる、破断限界線の導出方法であって、
あらかじめ破断限界線導出プロセスにより、スポット溶接部の破断限界線、および、溶接冷却速度を変えた複数のレーザ溶接部の破断限界線が導出された鋼種について、前記スポット溶接部の破断限界線、および、前記レーザ溶接部の破断限界線を、式で表す、数式化工程と、
前記スポット溶接部の破断限界線の式で使用される係数を用いて前記レーザ溶接部の破断限界線の式を表わす際に使用される、破断限界線が導出された前記鋼種における変換係数を算出する、第1変換係数算出工程と、
前記スポット溶接部および前記レーザ溶接部の冷却速度を求める、冷却速度特定工程と、
前記冷却速度特定工程で求めた前記冷却速度と、破断限界線が導出された前記鋼種における前記変換係数と、が満たす関係式を作成する、関係式作成工程と、
レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種について、レーザ溶接の送り速度から、レーザ溶接部の冷却速度を導出する、レーザ溶接部冷却速度導出工程と、
前記レーザ溶接部冷却速度導出工程で導出されたレーザ溶接部の冷却速度を、前記関係式作成工程で作成された前記関係式へと代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない前記鋼種における変換係数を算出する、第2変換係数算出工程と、
前記第2変換係数算出工程で算出された前記変換係数を用いて、レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない前記鋼種における、あらかじめ導出された前記スポット溶接部の破断限界線を、レーザ溶接部の破断限界線へと変換する、破断限界線変換工程と、
を有する、溶接部の破断限界線の導出方法。 - 前記数式化工程で、前記スポット溶接部の破断限界線が下記式(1)で表され、且つ、前記レーザ溶接部の破断限界線が下記式(2)および下記式(3)で表され、
前記第1変換係数算出工程で算出される前記変換係数が、下記式(3)におけるFrおよびNrである、請求項1に記載の溶接部の破断限界線の導出方法。
εp = Fs・σtriax^Ns …(1)
εp = Fl・σtriax^Nl …(2)
εp = Fs・Fr・σtriax^(Ns・Nr) …(3)
ここで、εpは破断ひずみ、σtriaxは応力三軸度(0.7<σtriax<2.0)である。 - 有限要素法解析により溶接部の破断予測を実施する際に用いられる、破断限界線の導出方法であって、
あらかじめ破断限界線導出プロセスにより、レーザ溶接部の破断限界線、および、溶接冷却速度を変えた、複数の、スポット溶接部の破断限界線が導出された鋼種について、前記レーザ溶接部の破断限界線、および、前記スポット溶接部の破断限界線を、式で表す、数式化工程と、
前記レーザ溶接部の破断限界線の式で使用される係数を用いて前記スポット溶接部の破断限界線の式を表わす際に使用される、破断限界線が導出された前記鋼種における変換係数を算出する、第1変換係数算出工程と、
前記スポット溶接部および前記レーザ溶接部の冷却速度を求める、冷却速度特定工程と、
前記冷却速度特定工程で求めた前記冷却速度と、破断限界線が導出された前記鋼種における前記変換係数と、が満たす関係式を作成する、関係式作成工程と、
スポット溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種について、スポット溶接部の冷却速度を把握する、スポット溶接部冷却速度把握工程と、
前記スポット溶接部冷却速度把握工程で把握されたスポット溶接部の冷却速度を、前記関係式作成工程で作成された前記関係式へと代入することにより、スポット溶接部の破断限界線が導出されていない前記鋼種における変換係数を算出する、第2変換係数算出工程と、
前記第2変換係数算出工程で算出された前記変換係数を用いて、スポット溶接部の破断限界線が導出されていない前記鋼種における、あらかじめ導出された前記レーザ溶接部の破断限界線を、スポット溶接部の破断限界線へと変換する、破断限界線変換工程と、
を有する、溶接部の破断限界線の導出方法。 - 前記数式化工程で、前記スポット溶接部の破断限界線が下記式(X)および下記式(Y)で表され、且つ、前記レーザ溶接部の破断限界線が下記式(Z)で表され、
前記第1変換係数算出工程で算出される変換係数が、下記式(Y)におけるFr’およびNr’である、請求項3に記載の溶接部の破断限界線の導出方法。
εp = Fs・σtriax^Ns …(X)
εp = Fl・Fr’・σtriax^(Nl・Nr’) …(Y)
εp = Fl・σtriax^Nl …(Z)
ここで、εpは破断ひずみ、σtriaxは応力三軸度(0.7<σtriax<2.0)である。 - 有限要素法解析により溶接部の破断予測を実施する際に用いられる、破断限界線の導出方法であって、
あらかじめ破断限界線導出プロセスにより、スポット溶接部の破断限界線、および、溶接冷却速度を変えた複数のレーザ溶接部の破断限界線が導出された鋼種について、前記スポット溶接部の破断限界線、および、前記レーザ溶接部の破断限界線を、式で表す、数式化工程と、
前記スポット溶接部の破断限界線の式で使用される係数を用いて前記レーザ溶接部の破断限界線の式を表わす際に使用される、破断限界線が導出された前記鋼種における変換係数を算出する、第1変換係数算出工程と、
前記スポット溶接部および前記レーザ溶接部の冷却速度を求める、冷却速度特定工程と、
前記冷却速度特定工程で求めた前記冷却速度と、破断限界線が導出された前記鋼種における前記変換係数と、が満たす関係式を作成する、関係式作成工程と、
を実行し、前記関係式作成工程で作成した関係式をあらかじめ準備しておき、
レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種について、レーザ溶接の送り速度から、レーザ溶接部の冷却速度を導出する、レーザ溶接部冷却速度導出工程と、
前記レーザ溶接部冷却速度導出工程で導出されたレーザ溶接部の冷却速度を、あらかじめ準備した前記関係式作成工程で作成された前記関係式へと代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない前記鋼種における変換係数を算出する、第2変換係数算出工程と、
前記第2変換係数算出工程で算出された前記変換係数を用いて、レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない前記鋼種における、あらかじめ導出されたスポット溶接部の破断限界線を、レーザ溶接部の破断限界線へと変換する破断限界線変換工程と、
を有する、溶接部の破断限界線の導出方法。 - 前記数式化工程で、前記スポット溶接部の破断限界線が下記式(1)で表され、且つ、前記レーザ溶接部の破断限界線が下記式(2)および下記式(3)で表され、
前記変換係数が、下記式(3)におけるFrおよびNrである、請求項5に記載の溶接部の破断限界線の導出方法。
εp = Fs・σtriax^Ns …(1)
εp = Fl・σtriax^Nl …(2)
εp = Fs・Fr・σtriax^(Ns・Nr) …(3)
ここで、εpは破断ひずみ、σtriaxは応力三軸度(0.7<σtriax<2.0)である。 - 有限要素法解析により溶接部の破断予測を実施する際に用いられる、破断限界線の導出方法であって、
あらかじめ破断限界線導出プロセスにより、レーザ溶接部の破断限界線、および、溶接冷却速度を変えた、複数の、スポット溶接部の破断限界線が導出された鋼種について、前記レーザ溶接部の破断限界線、および、前記スポット溶接部の破断限界線を、式で表す、数式化工程と、
前記レーザ溶接部の破断限界線の式で使用される係数を用いて前記スポット溶接部の破断限界線の式を表わす際に使用される、破断限界線が導出された前記鋼種における変換係数を算出する、第1変換係数算出工程と、
前記スポット溶接部および前記レーザ溶接部の冷却速度を求める、冷却速度特定工程と、
前記冷却速度特定工程で求めた前記冷却速度と、破断限界線が導出された前記鋼種における前記変換係数と、が満たす関係式を作成する、関係式作成工程と、
を実行し、前記関係式作成工程で作成した関係式をあらかじめ準備しておき、
スポット溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種について、スポット溶接部の冷却速度を把握する、スポット溶接部冷却速度把握工程と、
前記スポット溶接部冷却速度把握工程で把握されたスポット溶接部の冷却速度を、あらかじめ準備した前記関係式作成工程で作成された前記関係式へと代入することにより、スポット溶接部の破断限界線が導出されていない前記鋼種における変換係数を算出する、第2変換係数算出工程と、
前記第2変換係数算出工程で算出された前記変換係数を用いて、スポット溶接部の破断限界線が導出されていない前記鋼種における、あらかじめ導出されたレーザ溶接部の破断限界線を、スポット溶接部の破断限界線へと変換する、破断限界線変換工程と、
を有する、溶接部の破断限界線の導出方法。 - 前記数式化工程で、前記スポット溶接部の破断限界線が下記式(X)および下記式(Y)で表され、且つ、前記レーザ溶接部の破断限界線が下記式(Z)で表され、
前記変換係数が、下記式(Y)におけるFr’およびNr’である、請求項7に記載の溶接部の破断限界線の導出方法。
εp = Fs・σtriax^Ns …(X)
εp = Fl・Fr’・σtriax^(Nl・Nr’) …(Y)
εp = Fl・σtriax^Nl …(Z)
ここで、εpは破断ひずみ、σtriaxは応力三軸度(0.7<σtriax<2.0)である。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の溶接部の破断限界線の導出方法により導出された破断限界線を用いて有限要素法解析を行い、その解析結果に基づいて、部材の板組み、溶接部の大きさ、および/または、溶接位置を決定し、該決定された板組み、溶接部の大きさ、および/または、溶接位置にしたがって、部材を溶接する工程を備える、溶接部を備えた部材の製造方法。
- 有限要素法解析により溶接部の破断予測を実施する際に用いられる、破断限界線を導出するプログラムであって、
あらかじめ破断限界線導出プロセスにより、スポット溶接部の破断限界線、および、溶接冷却速度を変えた複数のレーザ溶接部の破断限界線が導出された鋼種について、前記スポット溶接部の破断限界線、および、前記レーザ溶接部の破断限界線を、式で表す、数式化ステップと、
前記スポット溶接部の破断限界線の式で使用される係数を用いて前記レーザ溶接部の破断限界線の式を表わす際に使用される、破断限界線が導出された前記鋼種における変換係数を算出する、第1変換係数算出ステップと、
前記スポット溶接部および前記レーザ溶接部の冷却速度を求める、冷却速度特定ステップと、
前記冷却速度特定ステップで求められた前記冷却速度と、破断限界線が導出された前記鋼種における前記変換係数と、が満たす関係式を作成する、関係式作成ステップと、
レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種について、レーザ溶接の送り速度から、レーザ溶接部の冷却速度を導出する、レーザ溶接部冷却速度導出ステップと、
前記レーザ溶接部冷却速度導出ステップで導出されたレーザ溶接部の冷却速度を、前記関係式作成工程で作成された前記関係式へと代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない前記鋼種における変換係数を算出する、第2変換係数算出ステップと、
前記第2変換係数算出ステップで算出された前記変換係数を用いて、レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない前記鋼種における、あらかじめ導出された前記スポット溶接部の破断限界線を、レーザ溶接部の破断限界線へと変換する、破断限界線変換ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 前記数式化ステップで表される、前記スポット溶接部の破断限界線が下記式(1)であり、且つ、前記レーザ溶接部の破断限界線が下記式(2)および下記式(3)であり、
前記第1変換係数算出ステップで算出される前記変換係数が、下記式(3)におけるFrおよびNrである、請求項10に記載のプログラム。
εp = Fs・σtriax^Ns …(1)
εp = Fl・σtriax^Nl …(2)
εp = Fs・Fr・σtriax^(Ns・Nr) …(3)
ここで、εpは破断ひずみ、σtriaxは応力三軸度(0.7<σtriax<2.0)である。 - 有限要素法解析により溶接部の破断予測を実施する際に用いられる、破断限界線を導出するプログラムであって、
あらかじめ破断限界線導出プロセスにより、レーザ溶接部の破断限界線、および、溶接冷却速度を変えた、複数の、スポット溶接部の破断限界線が導出された鋼種について、前記レーザ溶接部の破断限界線、および、前記スポット溶接部の破断限界線を、式で表す、数式化ステップと、
前記レーザ溶接部の破断限界線の式で使用される係数を用いて前記スポット溶接部の破断限界線の式を表わす際に使用される、破断限界線が導出された前記鋼種における変換係数を算出する、第1変換係数算出ステップと、
前記スポット溶接部および前記レーザ溶接部の冷却速度を求める、冷却速度特定ステップと、
前記冷却速度特定ステップで求められた前記冷却速度と、破断限界線が導出された前記鋼種における前記変換係数と、が満たす関係式を作成する、関係式作成ステップと、
スポット溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種について、スポット溶接部の冷却速度を把握する、スポット溶接部冷却速度把握ステップと、
前記スポット溶接部冷却速度把握ステップで把握されたスポット溶接部の冷却速度を、前記関係式作成ステップで作成された前記関係式へと代入することにより、スポット溶接部の破断限界線が導出されていない前記鋼種における変換係数を算出する、第2変換係数算出ステップと、
前記第2変換係数算出ステップで算出された前記変換係数を用いて、スポット溶接部の破断限界線が導出されていない前記鋼種における、あらかじめ導出された前記レーザ溶接部の破断限界線を、スポット溶接部の破断限界線へと変換する、破断限界線変換ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 前記数式化ステップで表される、前記スポット溶接部の破断限界線が下記式(X)および下記式(Y)であり、且つ、前記レーザ溶接部の破断限界線が下記式(Z)であり、
前記第1変換係数算出ステップで算出される変換係数が、下記式(Y)におけるFr’およびNr’である、請求項12に記載のプログラム。
εp = Fs・σtriax^Ns …(X)
εp = Fl・Fr’・σtriax^(Nl・Nr’) …(Y)
εp = Fl・σtriax^Nl …(Z)
ここで、εpは破断ひずみ、σtriaxは応力三軸度(0.7<σtriax<2.0)である。 - 有限要素法解析により溶接部の破断予測を実施する際に用いられる、破断限界線を導出するプログラムであって、
あらかじめ破断限界線導出プロセスにより、スポット溶接部の破断限界線、および、溶接冷却速度を変えた複数のレーザ溶接部の破断限界線が導出された鋼種について、前記スポット溶接部の破断限界線、および、前記レーザ溶接部の破断限界線を、式で表す、数式化ステップと、
前記スポット溶接部の破断限界線の式で使用される係数を用いて前記レーザ溶接部の破断限界線の式を表わす際に使用される、破断限界線が導出された前記鋼種における変換係数を算出する、第1変換係数算出ステップと、
前記スポット溶接部および前記レーザ溶接部の冷却速度を求める、冷却速度特定ステップと、
前記冷却速度特定ステップで求められた前記冷却速度と、破断限界線が導出された前記鋼種における前記変換係数と、が満たす関係式を作成する、関係式作成ステップと、
をコンピュータに実行させることにより、前記関係式作成ステップで作成した関係式をあらかじめ準備しておき、
レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種について、レーザ溶接の送り速度から、レーザ溶接部の冷却速度を導出する、レーザ溶接部冷却速度導出ステップと、
前記レーザ溶接部冷却速度導出ステップで導出されたレーザ溶接部の冷却速度を、あらかじめ準備した前記関係式作成工程で作成された前記関係式へと代入することにより、レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない前記鋼種における変換係数を算出する、第2変換係数算出ステップと、
前記第2変換係数算出ステップで算出された前記変換係数を用いて、レーザ溶接部の破断限界線が導出されていない前記鋼種における、あらかじめ導出された前記スポット溶接部の破断限界線を、レーザ溶接部の破断限界線へと変換する、破断限界線変換ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 前記数式化ステップで表される、前記スポット溶接部の破断限界線が下記式(1)であり、且つ、前記レーザ溶接部の破断限界線が下記式(2)および下記式(3)であり、
前記第1変換係数算出ステップで算出される前記変換係数が、下記式(3)におけるFrおよびNrである、請求項14に記載のプログラム。
εp = Fs・σtriax^Ns …(1)
εp = Fl・σtriax^Nl …(2)
εp = Fs・Fr・σtriax^(Ns・Nr) …(3)
ここで、εpは破断ひずみ、σtriaxは応力三軸度(0.7<σtriax<2.0)である。 - 有限要素法解析により溶接部の破断予測を実施する際に用いられる、破断限界線を導出するプログラムであって、
あらかじめ破断限界線導出プロセスにより、レーザ溶接部の破断限界線、および、溶接冷却速度を変えた、複数の、スポット溶接部の破断限界線が導出された鋼種について、前記レーザ溶接部の破断限界線、および、前記スポット溶接部の破断限界線を、式で表す、数式化ステップと、
前記レーザ溶接部の破断限界線の式で使用される係数を用いて前記スポット溶接部の破断限界線の式を表わす際に使用される、破断限界線が導出された前記鋼種における変換係数を算出する、第1変換係数算出ステップと、
前記スポット溶接部および前記レーザ溶接部の冷却速度を求める、冷却速度特定ステップと、
前記冷却速度特定ステップで求められた前記冷却速度と、破断限界線が導出された前記鋼種における前記変換係数と、が満たす関係式を作成する、関係式作成ステップと、
をコンピュータに実行させることにより、前記関係式作成ステップで作成した関係式をあらかじめ準備しておき、
スポット溶接部の破断限界線が導出されていない鋼種について、スポット溶接部の冷却速度を把握する、スポット溶接部冷却速度把握ステップと、
前記スポット溶接部冷却速度把握ステップで把握されたスポット溶接部の冷却速度を、あらかじめ準備した前記関係式作成ステップで作成された前記関係式へと代入することにより、スポット溶接部の破断限界線が導出されていない前記鋼種における変換係数を算出する、第2変換係数算出ステップと、
前記第2変換係数算出ステップで算出された前記変換係数を用いて、スポット溶接部の破断限界線が導出されていない前記鋼種における、あらかじめ導出された前記レーザ溶接部の破断限界線を、スポット溶接部の破断限界線へと変換する、破断限界線変換ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 前記数式化ステップで表される、前記スポット溶接部の破断限界線が下記式(X)および下記式(Y)であり、且つ、前記レーザ溶接部の破断限界線が下記式(Z)であり、
前記第1変換係数算出ステップで算出される前記変換係数が、下記式(Y)におけるFr’およびNr’である、請求項16に記載のプログラム。
εp = Fs・σtriax^Ns …(X)
εp = Fl・Fr’・σtriax^(Nl・Nr’) …(Y)
εp = Fl・σtriax^Nl …(Z)
ここで、εpは破断ひずみ、σtriaxは応力三軸度(0.7<σtriax<2.0)である。 - 請求項10乃至17に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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