JP7010107B2 - 弾塑性材料の変形抵抗測定方法 - Google Patents
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Description
本発明は、弾塑性材料の変形抵抗測定方法に関する。
変形抵抗を測定するには、引張試験片または圧縮試験片を素材から切り出して試験する必要があるため、微小な領域の変形抵抗の測定は容易ではない。一方、ナノインデンターを用いて変形抵抗を推定する手法も試みられているが、圧子が極めて小さいため、フェライト、パーライト、マルテンサイトなどの組織ごとの変形抵抗を知ることはできるものの、母材の平均値としてのマクロな変形抵抗を導出するためには多数の測定点での測定値を平均化する必要があり、これも容易ではない。また、ナノインデンターを用いた場合、推定される変形抵抗が最大数%のひずみまでであるため、鍛造や伸線などの大変形における変形抵抗は推定できない。
これに対して、例えば特許文献1では、硬さ試験機を用いて弾塑性材料の材料定数を得る方法が提案されている。具体的には特許文献1では、弾塑性材料に対して硬さ試験を行った際に生じる荷重P-変位δ曲線の式をP=aδ2+bδ+cとしたときのa,b,cからなる曲線定数組と、ある弾塑性材料における降伏応力σy、加工硬化指数n、加工硬化係数Aからなる材料定数組との関係を予めデータベース化しておき、調査対象材料の硬さ試験によって得られた荷重-変位曲線から実際の曲線定数組を得て、この曲線定数組をデータベースと照合させることで調査対象材料の材料定数組を決定する方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載された技術のように弾性変形と塑性変形との複合変形である載荷曲線を用いて変形抵抗を推定した場合、例えばデータベース作成時の試験片の弾性率と調査対象の試験片の弾性率が異なると十分な精度が得られないという問題があった。
そこで、本発明は、弾塑性材料の変形抵抗をより高い精度で測定することが可能な、新規かつ改良された弾塑性材料の変形抵抗測定方法を提供することを目的とする。
本発明のある観点によれば、弾塑性材料の硬さ試験時の荷重-変位曲線に含まれる載荷曲線および除荷曲線から塑性載荷曲線を抽出し、塑性載荷曲線の近似曲線の係数組と弾塑性材料の硬化則の係数組との関係式を算出するステップと、測定対象弾塑性材料の硬さ試験時の荷重-変位曲線に含まれる載荷曲線および除荷曲線から塑性載荷曲線を抽出し、塑性載荷曲線の近似曲線の係数組と関係式とに基づいて測定対象弾塑性材料の硬化則の係数組を決定するステップとを含む、弾塑性材料の変形抵抗測定方法が提供される。
上記の構成によれば、載荷工程で発生する塑性変位を示す塑性載荷曲線に基づいて測定対象弾塑性材料の硬化則の係数組が決定されるため、より高い精度で弾塑性材料の変形抵抗を測定することができる。
上記の構成によれば、載荷工程で発生する塑性変位を示す塑性載荷曲線に基づいて測定対象弾塑性材料の硬化則の係数組が決定されるため、より高い精度で弾塑性材料の変形抵抗を測定することができる。
上記の弾塑性材料の変形抵抗測定方法において、塑性載荷曲線の近似曲線は、原点を通る3次曲線であり、弾塑性材料および測定対象弾塑性材料の硬化則は、Ludwik硬化則であってもよい。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る変形抵抗測定方法の概略的なステップを示すフローチャートである。本実施形態において、変形抵抗測定方法は、硬化則の係数組(以下、材料定数組ともいう)が既知である弾塑性材料の硬さ試験時の荷重-変位曲線から塑性載荷曲線を抽出し、塑性載荷曲線の近似曲線の係数組(以下、曲線定数組ともいう)と弾塑性材料の材料定数組との関係式を算出するステップS10と、材料定数組が未知である測定対象弾塑性材料の硬さ試験時の荷重-変位曲線から塑性載荷曲線を抽出し、塑性載荷曲線の近似曲線の曲線定数組と上記の関係式とに基づいて測定対象弾塑性材料の材料定数組を決定するステップS20とを含む。ここで、硬化則は弾塑性材料の変形抵抗を数式で表現したものであるため、硬化則の材料定数組を決定することは、弾塑性材料の変形抵抗を測定することと等価である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る変形抵抗測定方法の概略的なステップを示すフローチャートである。本実施形態において、変形抵抗測定方法は、硬化則の係数組(以下、材料定数組ともいう)が既知である弾塑性材料の硬さ試験時の荷重-変位曲線から塑性載荷曲線を抽出し、塑性載荷曲線の近似曲線の係数組(以下、曲線定数組ともいう)と弾塑性材料の材料定数組との関係式を算出するステップS10と、材料定数組が未知である測定対象弾塑性材料の硬さ試験時の荷重-変位曲線から塑性載荷曲線を抽出し、塑性載荷曲線の近似曲線の曲線定数組と上記の関係式とに基づいて測定対象弾塑性材料の材料定数組を決定するステップS20とを含む。ここで、硬化則は弾塑性材料の変形抵抗を数式で表現したものであるため、硬化則の材料定数組を決定することは、弾塑性材料の変形抵抗を測定することと等価である。
図2Aおよび図2Bは、図1の例において弾塑性材料の硬さ試験時の荷重-変位曲線を取得する方法について説明するための図である。なお、図2Bは図2Aの拡大図である。弾塑性材料の硬化則の材料定数組が既知である場合、有限要素法(FEM)を用いることによって、硬さ試験時の押し込み量に対する荷重、すなわち荷重-変位曲線を高い精度で予測することができる。図2Aおよび図2Bには、このような方法で荷重-変位曲線を得るために用いられる2次元軸対称モデルの例が示されている。図示された例において、圧子1は弾性率1050GPa、ポアソン比0.1のダイヤモンドを想定した弾性体であり、先端球面の曲率半径は1/16インチ≒1.6mmである。圧子1の押し込み量は20μmとした。試験体2は直径20mm、高さ25mmの弾塑性体であり、弾性率190GPa、ポアソン比0.3である。
なお、上記のようなモデルにおいて、圧子1の先端球面の曲率半径が大きい方が、摩擦の影響が小さくなるため材料定数組の推定精度は向上する。その一方で、圧子1の先端球面の曲率半径を大きくすると押し込み時の反力が増加し、硬さ試験機の剛性を高めるために試験機が大型化する。これらの観点から、圧子1の先端球面の曲率半径は10mm~0.25mmが望ましい。また、圧子1の先端形状は、球面には限られず、四角錐(ビッカース)、または三角錐(バーコビッチ)とすることも可能であるが、モデルを2次元軸対称にすることが可能である点で、球面または円錐などの軸対称な形状が有利である。
ここで、試験体2を構成する弾塑性材料については、Ludwik硬化則(σ=Y0+Kεp
n)の材料定数組(Y0,K,n)が既知である。図1に示したステップS10では、硬化則の材料定数組が異なる複数の弾塑性材料について硬さ試験時の荷重-変位曲線を取得し、それぞれの荷重-変位曲線から抽出される塑性載荷曲線の近似曲線の曲線定数組と弾塑性材料の材料定数組との関係式を算出することによって、測定対象弾塑性材料の材料定数組を精度よく決定することが可能な関係式を得ることができる。以下で説明する例では、Ludwik硬化則の材料定数組について、Y0(500MPa,1000MPa,2000MPa)、K(2000MPa,4000MPa,8000MPa)、およびn(0.1,0.2,0.4)にそれぞれ3通りの値を設定した3×3×3=27通りの弾塑性材料を用いて関係式を算出する。
図3は、本発明の第1の実施形態における荷重-変位曲線の例を示すグラフである。図示された例では、Ludwik硬化則の材料定数組をY0=2000MPa、K=4000MPa、n=0.2とした弾塑性材料について、上記で図2Aおよび図2Bを参照して説明した方法で取得された荷重-変位曲線が示されている。荷重-変位曲線は、圧子1を試験体2に所定荷重で押し込んだ時(載荷工程)の変位を示す載荷曲線と、その後に圧子1の押し込みを解除した時(除荷工程)の変位を示す除荷曲線とを含む。除荷工程では塑性変位が復元しないため、除荷曲線には残留塑性変位δ0が残る。除荷曲線を残留塑性変位δ0だけシフトして原点を通るようにしたシフト除荷曲線は、載荷工程で発生する弾性変位に対応する。従って、荷重-変位曲線に含まれる載荷曲線の変位(弾性変位+塑性変位)からシフト除荷曲線の変位(弾性変位)を引くことによって、載荷工程で発生する塑性変位を示す塑性載荷曲線を抽出することができる。
図4は、本発明の第1の実施形態における塑性載荷曲線の近似曲線の例を示すグラフである。図示された例では、図3に例示された塑性載荷曲線の変位の33%~100%の範囲が、原点を通る3次曲線(P=aδ3+bδ2+cδ)で近似されている。ここで、近似する範囲を変位の33%~100%の範囲に限定したのは、変位が小さい領域では降伏伸びなどによる乱れによって近似の精度が低下する可能性があるためである。また、近似曲線を原点を通る3次曲線としたのは、塑性載荷曲線が原点を通り、またLudwik硬化則の材料定数組(Y0,K,n)が3つの要素を含むためである。上述した27通りの弾塑性材料の材料定数組(Y0,K,n)と、塑性載荷曲線の近似曲線の曲線定数組(a,b,c)とを以下の表1に示す。
表1に示された材料定数組と曲線定数組との関係から、以下の式(1)および表2の係数で表される関係式を算出することができる。式(1)では、曲線定数組(a,b,c)のそれぞれについて以下の表2に示すような係数d1~d27を設定することによって、27通りの弾塑性材料のすべてについて、材料定数組(Y0,K,n)から曲線定数組(a,b,c)を算出することができる。なお、式(1)においてαはa,b,cのいずれか1つを示す。
上記の式(1)および表2の係数で表される関係式によって、測定対象弾塑性材料の硬さ試験時の荷重-変位曲線から抽出される塑性載荷曲線の近似曲線の曲線定数組(a,b,c)から測定対象弾塑性材料の硬化則の材料定数組(Y0,K,n)を決定することができる。具体的には、測定対象弾塑性材料について算出された曲線定数組(a,b,c)と、式(1)および表2の係数で表される関係式によって算出される曲線定数組(a,b,c)とが所定の誤差の範囲内で整合するような材料定数組(Y0,K,n)として、測定対象弾塑性材料の材料定数組を決定することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態として、上記の第1の実施形態と同様のステップで測定対象弾塑性材料の材料定数組を決定する変形抵抗測定方法において、弾塑性材料の硬化則としてLudwik硬化則に代えてn乗硬化則(σ=Kεp n)を用いてもよい。この場合、第1の実施形態と同様の方法で弾塑性材料の硬さ試験時の荷重-変位曲線から抽出された塑性載荷曲線を、原点を通過する2次曲線(P=aδ2+bδ)で近似する。以下で説明する例では、n乗硬化則の材料定数組について、K(500MPa,1000MPa,2000MPa,8000MPa)に4通り、n(0.1,0.2,0.4)に3通りの値を設定した4×3=12通りの弾塑性材料を用いて関係式を算出する。12通りの弾塑性材料の材料定数組(K,n)と、塑性載荷曲線の変位の33%~100%の範囲の近似曲線の曲線定数組(a,b)とを以下の表3に示す。
本発明の第2の実施形態として、上記の第1の実施形態と同様のステップで測定対象弾塑性材料の材料定数組を決定する変形抵抗測定方法において、弾塑性材料の硬化則としてLudwik硬化則に代えてn乗硬化則(σ=Kεp n)を用いてもよい。この場合、第1の実施形態と同様の方法で弾塑性材料の硬さ試験時の荷重-変位曲線から抽出された塑性載荷曲線を、原点を通過する2次曲線(P=aδ2+bδ)で近似する。以下で説明する例では、n乗硬化則の材料定数組について、K(500MPa,1000MPa,2000MPa,8000MPa)に4通り、n(0.1,0.2,0.4)に3通りの値を設定した4×3=12通りの弾塑性材料を用いて関係式を算出する。12通りの弾塑性材料の材料定数組(K,n)と、塑性載荷曲線の変位の33%~100%の範囲の近似曲線の曲線定数組(a,b)とを以下の表3に示す。
表3に示された材料定数組と曲線定数組との関係から、以下の式(2)および表4の係数で表される関係式を算出することができる。式(2)では、曲線定数組(a,b)のそれぞれについて以下の表4に示すような係数d1~d12を設定することによって、12通りの弾塑性材料のすべてについて、材料定数組(K,n)から曲線定数組(a,b)を算出することができる。なお、式(2)においてαはa,bのいずれか1つを示す。
上記の式(2)および表4の係数で表される関係式によって、測定対象弾塑性材料の硬さ試験時の荷重-変位曲線から抽出される塑性載荷曲線の近似曲線の曲線定数組(a,b)から測定対象弾塑性材料の硬化則の材料定数組(K,n)を決定することができる。具体的には、測定対象弾塑性材料について算出された曲線定数組(a,b)と、式(2)および表4の係数で表される関係式によって算出される曲線定数組(a,b)とが所定の誤差の範囲内で整合するような材料定数組(K,n)として、測定対象弾塑性材料の材料定数組を決定することができる。
(比較例)
比較例として、上記の第2の実施形態と同様に弾塑性材料の硬化則としてn乗硬化則(σ=Kεp n)を用いながら、弾塑性材料の硬さ試験時の荷重-変位曲線に含まれる載荷曲線(図3参照。塑性載荷曲線とは異なる)を近似の対象とした例について説明する。以下で説明する例では、上記の第2の実施形態と同様にn乗硬化則の材料定数組について、Kに4通り、nに3通りの値を設定した12通りの弾塑性材料を用いて関係式を算出した。12通りの弾塑性材料の材料定数組(K,n)と、載荷曲線の変位を33%~100%の範囲での近似した原点を通る2次曲線の曲線定数組(a,b)との関係を求めた結果を以下の表5に示す。
比較例として、上記の第2の実施形態と同様に弾塑性材料の硬化則としてn乗硬化則(σ=Kεp n)を用いながら、弾塑性材料の硬さ試験時の荷重-変位曲線に含まれる載荷曲線(図3参照。塑性載荷曲線とは異なる)を近似の対象とした例について説明する。以下で説明する例では、上記の第2の実施形態と同様にn乗硬化則の材料定数組について、Kに4通り、nに3通りの値を設定した12通りの弾塑性材料を用いて関係式を算出した。12通りの弾塑性材料の材料定数組(K,n)と、載荷曲線の変位を33%~100%の範囲での近似した原点を通る2次曲線の曲線定数組(a,b)との関係を求めた結果を以下の表5に示す。
表5に示された材料定数組と曲線定数組との関係から、上記の第2の実施形態で用いた式(2)および表6の係数で表される関係式を算出することができる。式(2)では、曲線定数組(a,b)のそれぞれについて以下の表6に示すような係数d1~d12を設定することによって、12通りの弾塑性材料のすべてについて、材料定数組(K,n)から曲線定数組(a,b)を算出することができる。
本比較例でも、上記の式(2)および表6の係数で表される関係式によって、測定対象弾塑性材料の硬さ試験時の荷重-変位曲線に含まれる載荷曲線の近似曲線の曲線定数組(a,b)から測定対象弾塑性材料の硬化則の材料定数組(K,n)を決定することができる。具体的には、測定対象弾塑性材料について載荷曲線から算出された曲線定数組(a,b)と、式(2)および表6の係数で表される関係式によって算出される曲線定数組(a,b)とが所定の誤差の範囲内で整合するような材料定数組(K,n)として、測定対象弾塑性材料の材料定数組を決定することができる。
(検証)
以上で説明した本発明の第1の実施形態(実施例1)、第2の実施形態(実施例2)、および比較例について、検証を実施した。具体的には、SUJ2-QT材、SCr420ノルマ材、およびS10Cノルマ材のそれぞれからJIS4号サブサイズ引張試験片を切り出して引張試験を行い、応力-ひずみ曲線から変形抵抗を求めた。なお、弾性率はSUJ2-QT材が190GPa、SCr420ノルマ材が200GPa、S10Cノルマ材が224GPaであった。この変形抵抗と弾性率を用いて、図2Aおよび図2Bを参照して説明したような方法で硬さ試験時の荷重-変位曲線を取得した。この荷重-変位曲線に対して、上記の実施例1(塑性載荷曲線を原点を通る3次曲線で近似)、実施例2(塑性載荷曲線を原点を通る2次関数で近似)、および比較例(載荷曲線を原点を通る2次関数で近似)でそれぞれ曲線定数組を得た結果を表7に示す。
以上で説明した本発明の第1の実施形態(実施例1)、第2の実施形態(実施例2)、および比較例について、検証を実施した。具体的には、SUJ2-QT材、SCr420ノルマ材、およびS10Cノルマ材のそれぞれからJIS4号サブサイズ引張試験片を切り出して引張試験を行い、応力-ひずみ曲線から変形抵抗を求めた。なお、弾性率はSUJ2-QT材が190GPa、SCr420ノルマ材が200GPa、S10Cノルマ材が224GPaであった。この変形抵抗と弾性率を用いて、図2Aおよび図2Bを参照して説明したような方法で硬さ試験時の荷重-変位曲線を取得した。この荷重-変位曲線に対して、上記の実施例1(塑性載荷曲線を原点を通る3次曲線で近似)、実施例2(塑性載荷曲線を原点を通る2次関数で近似)、および比較例(載荷曲線を原点を通る2次関数で近似)でそれぞれ曲線定数組を得た結果を表7に示す。
ここで、実施例1では、SUJ2-QT材、SCr420ノルマ材、およびS10Cノルマ材のそれぞれについて算出された曲線定数組(a,b,c)と、上記の式(1)および表2の係数で表される関係式によって算出される曲線定数組(a,b,c)とが1.0%以下の誤差の範囲内で整合するように、表計算ソフトのエクセル(Excel;登録商標)のソルバー機能を用いてLudwik硬化則の材料定数組(Y0,K,n)を決定した。同様に、実施例2では、曲線定数組(a,b)と上記の式(2)および表4の係数で表される関係式によって算出される曲線定数組(a,b)とが1.0以下の誤差の範囲内で整合するようにn乗硬化則の材料定数組(K,n)を決定した。比較例でも同様に、曲線定数組(a,b)と上記の式(2)および表6に示した係数で表される関係式によって算出される曲線定数組(a,b)とが1.0以下の誤差の範囲内で整合するようにn乗硬化則の材料定数組(K,n)を決定した。実施例1、実施例2、および比較例において決定された材料定数組を表8に示す。
図5、図6および図7は、それぞれ、SUJ2-QT材、SCr420ノルマ材、およびS10Cノルマ材について、実施例および比較例で決定された材料定数組から算出された塑性ひずみと、引張試験における塑性ひずみの実測値とを示す応力-塑性ひずみグラフである。SUJ2-QT材、SCr420ノルマ材、およびS10Cノルマ材のそれぞれについて、実施例1(Ludwik硬化則+塑性載荷曲線)が実測値を最も高い精度で再現している。また、実施例2(n乗硬化則+塑性載荷曲線)も、比較例(n乗硬化則+載荷曲線)よりも高い精度で実測値を再現している。SCr420ノルマ材およびS10Cノルマ材の弾性率は図2Aおよび図2Bを参照して説明した有限要素法(FEM)のモデルにおける試験体2の弾性率(190GPa)とは異なっているが、実施例1および実施例2ではそのような場合においても実測値を高い精度で再現することができた。
上記のような検証の結果から、測定対象弾塑性材料の材料定数組を決定するために硬さ試験時の荷重-変位曲線から抽出される塑性載荷曲線を用いる本発明の実施形態は、幅広い強度レベルの鋼材について、弾性率が関係式の算出時とは異なっていても、精度よく測定対象弾塑性材料の変形抵抗を測定するために有効であることが示された。また、本発明の実施形態において、硬化則としてLudwik硬化則を用い、近似曲線を原点を通る3次曲線とするとさらに精度が向上することも示された。
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲はこれらの実施形態に限定されることなく、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が想到しうるところに従って変更または修正された実施形態を含む。
1…圧子、2…試験体。
Claims (2)
- 弾塑性材料の硬さ試験時の荷重-変位曲線に含まれる載荷曲線および除荷曲線から塑性載荷曲線を抽出し、前記塑性載荷曲線の近似曲線の係数組と前記弾塑性材料の硬化則の係数組との関係式を算出するステップと、
測定対象弾塑性材料の硬さ試験時の荷重-変位曲線に含まれる載荷曲線および除荷曲線から塑性載荷曲線を抽出し、前記塑性載荷曲線の近似曲線の係数組と前記関係式とに基づいて前記測定対象弾塑性材料の硬化則の係数組を決定するステップと
を含む、弾塑性材料の変形抵抗測定方法。 - 前記塑性載荷曲線の近似曲線は、原点を通る3次曲線であり、
前記弾塑性材料および前記測定対象弾塑性材料の硬化則は、Ludwik硬化則である、請求項1に記載の弾塑性材料の変形抵抗測定方法。
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