JP6467791B2 - ブランク製造方法およびブランクを製造するための打抜機 - Google Patents

ブランク製造方法およびブランクを製造するための打抜機 Download PDF

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Description

本発明は、シート材を打ち抜くとともにシート材を押圧することにより、模様が形成されたブランクを製造するブランク製造方法およびブランクを製造するための打抜機に関する。
紙容器などを形成するためのブランクの表面に、絵柄や文字などの模様を形成するための方法として、所定の凹凸パターンを有する版を用いてブランクを押圧する方法が知られている。模様を形成する方法の1つとして、エンボス加工法が挙げられる。エンボス加工法においては、ブランクの表面側に位置する凸版と、ブランクの裏面側に位置する凹版とを用いてブランクを挟み込む。この結果、ブランクの表面には、凸版のパターンに対応する凹部が形成され、またブランク板の裏面には、表面の凹部に対応する位置に凸部が形成される。
その他にも、ブランクを押圧して模様を形成する方法として、例えば特許文献1に開示されているように、空押し法が知られている。空押し法においては、ブランクを押圧する押圧面を含む押圧部と、押圧面から凹んだ凹部と、を有する模様版を用いて、ブランクの表面を押圧する。この際、ブランクの裏面は一般に、平坦な表面を有する受板によって支持される。このような模様版および受板を用いてブランクを押圧してブランクを部分的に圧縮することにより、ブランクの表面に所望のパターンで凹部を形成することができる。なおブランクの裏面を支持する受板の表面が平坦である場合、ブランクの裏面には凹部や凸部が形成されないか、若しくは、エンボス加工法の場合に比べれば小さな凹部や凸部が形成される。空押し法は、模様版の形状によっては、型押し法と称されることもある。
特開2006−225004号公報
ブランクは一般に、ブランクよりも大きな寸法を有するシート材を、打抜機を用いて打ち抜くことによって作製される。打抜機は、ブランクの外形に対応した位置に延在する全切刃が設けられた抜型と、抜型との間でシート材を挟み込む受板と、を備えている。この場合、受板によって支持されているシート材に向けて抜型を移動させ、そして抜型を用いて抜型を用いて押圧することにより、全切刃に対応した形状でシート材が打ち抜かれてブランクが作製される。この際、抜型は、全切刃の先端がシート材を貫通して受板に当接するようになる位置まで、シート材に向けて動かされる。
ブランクに模様を形成する場合は、このようにして作成されたブランクが、上述の模様版および受板によって再び押圧される。
シート材を打ち抜いてブランクを作製する打ち抜き工程、および、模様版を用いてブランクに模様を形成する模様形成工程はいずれも、シート材またはブランクという板状の部材を押圧する工程である。従って、生産効率を向上させるためには、打ち抜き工程および模様形成工程が同時に実施されることが好ましいと考えられる。すなわち、打ち抜きのための全切刃、および模様形成のための模様版の両方が設けられた抜型を用いてシート材を押圧することが好ましいと考えられる。
ところで、所望の模様を形成するためには、模様版および受板を用いてシート材を押圧してシート材を部分的に圧縮する際の圧縮力を適切に制御することが求められる。一方、全切刃が設けられた抜型に模様版を取り付け、打ち抜き工程および模様形成工程を同時に実施する場合は、抜型と受板との間に生じる圧縮力が、全切刃および模様版の両方に分配される。圧縮力の分配の比率は、全切刃の配置や形状の影響を受けると考えられる。また、模様版の領域内における圧縮力の分布も、全切刃の配置や形状の影響を受けると考えられる。例えば、抜型の一端側に設けられる全切刃の高さと、抜型の他端側に設けられる全切刃の高さとが若干異なる場合、一端側の全切刃までの距離や、他端側の全切刃までの距離に応じて、模様版の領域内における圧縮力の分布が不均一になることが考えられる。一方、模様版の領域内における圧縮力の分布が不均一になってしまうと、ブランクの表面に形成される凹部の深さや凹部のエッジ部の鋭さが場所によって不均一になってしまい、この結果、ブランクの模様を均一に発現させることができなくなってしまう。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得るブランク製造方法およびブランクを製造するための打抜機を提供することを目的とする。
本発明は、模様が形成されたブランクを製造するブランク製造方法であって、抜型および受板を含む打抜機を準備する工程と、前記打抜機の前記抜型と前記受板との間にシート材を配置して、前記抜型および前記受板を用いて前記シート材を押圧する押圧工程と、を備え、前記抜型は、前記ブランクの外形に対応した位置に延在する全切刃と、前記シート材を部分的に押圧して模様を形成するための模様版と、を有し、前記受板は、前記全切刃に対向する表面を含む第1受け部と、前記模様版に対向する表面を含む第2受け部と、に少なくとも区画され、前記抜型の前記模様版は、前記押圧工程の際に前記シート材を押圧する押圧面を含む押圧部と、前記押圧面よりも前記受板の前記第2受け部の表面から遠位に位置する凹部と、を含み、前記受板の前記第2受け部は、前記押圧工程の際に前記シート材に接する第1面、および、前記第1面の反対側にある第2面を有し、硬質材料からなる第1基板と、前記第1基板の前記第2面側に配置され、弾性材料からなる第2基板と、を含む、ブランク製造方法である。
本発明によるブランク製造方法において、前記第1基を構成する前記硬質材料は、金属材料、熱硬化性樹脂、繊維強化プラスチックまたは熱可塑性樹脂の少なくともいずれかを含み、前記第2基を構成する前記弾性材料は、天然ゴムまたは合成ゴムの少なくともいずれかを含んでいてもよい。
本発明は、シート材を押圧して、模様が形成されたブランクを製造するための打抜機であって、シート材の表面側に配置される抜型と、シート材の裏面側に配置される受板と、を備え、前記抜型は、前記ブランクの外形に対応した位置に延在する全切刃と、前記ブランクを部分的に押圧して模様を形成するための模様版と、を有し、前記受板は、前記全切刃に対向する表面を含む第1受け部と、前記模様版に対向する表面を含む第2受け部と、に少なくとも区画され、前記抜型の前記模様版は、前記シート材を押圧する押圧面を含む押圧部と、前記押圧面よりも前記受板の前記第2受け部の前記表面から遠位に位置する凹部と、を含み、前記受板の前記第2受け部は、前記シート材を押圧する際に前記シート材に接する第1面、および、前記第1面の反対側にある第2面を有し、硬質材料からなる第1基板と、前記第1基板の前記第2面側に配置され、弾性材料からなる第2基板と、有する、打抜機である。
本発明によれば、受板は、全切刃に対向する表面を含む第1受け部と、模様版に対向する表面を含む第2受け部と、に少なくとも区画される。受板の第2受け部は、押圧工程の際にシート材に接する第1面、および、第1面の反対側にある第2面を有し、硬質材料からなる第1基板と、第1基板の第2面側に配置され、弾性材料からなる第2基板と、を有する。このため、模様版がシート材に接触した直後に模様版と第2受け部との間に生じる圧縮力の分布が、全切刃の配置や形状などに起因して不均一であったとしても、圧縮力の分布の不均一さを軽減するように第2基板が縮むことにより、模様版からシート材に加えられる圧縮力の分布を均一化することがきる。また第2受け部の第1基板を硬質材料によって構成することにより、模様に対応するよう形成された模様版の押圧面がシート材に及ぼす局所的な圧縮力が分散してしまうことを抑制することができる。このため、シート材を適切に打ち抜くとともに、適切な模様をシート材の表面に形成することができる。
本発明の実施の形態による打抜機を用いて作製されたブランクを示す平面図。 図1に示すブランクを製函することにより得られる容器を示す斜視図。 本発明の実施の形態による打抜機の抜型を示す平面図。 本発明の実施の形態による打抜機の受板を示す平面図。 本発明の実施の形態による打抜機を示す断面図。 図5に示す打抜機の模様版および第2受け部を拡大して示す断面図。 図5に示す打抜機を用いてシート材を打ち抜いてブランクを製造する工程を示す図。 製造されたブランクを示す断面図。 本発明の実施の形態による模様版の一変形例を示す図。 本発明の実施の形態による打抜機の一変形例を示す図。
以下、図1乃至図8を参照して、本発明の実施の形態について説明する。まず図1および図2を参照して、本発明の実施の形態による打抜機を用いてシート材を打ち抜くことにより得られるブランク20、および、ブランク20を製函することによって得られる容器10について説明する。
(ブランク)
図1に示すように、ブランク20においては、前面13底面12、後面14および天面11が図1の上下方向で順に並べられ、かつ罫線25を介して連接されている。また底面12には、罫線25を介して第1側面15および第2側面16が図1の左右方向で連接されている。天面11には、容器10に製函された状態のとき(図2参照)に前面13の内側に位置する折込片17が罫線25を介して連接されている。また前面13および後面14の側辺には、側面15,16に接着されるフラップ15a,16aが罫線25を介して連接されている。なお図1においては、ブランク20に形成されている罫線25が一点鎖線で表されている。また図1において、符号21は、ブランク20の表面を表し、符号裏面22は、ブランク20の裏面を表している。
図1に示すように、ブランク20の表面21には模様18が形成されている。図1に示す例においては、天面11および底面12の表面21に模様18が形成される例が示されている。模様18は、後述する模様版50を用いて表面21を押圧および圧縮することによって形成される。
ブランク20を構成する材料が特に限られることはなく、ブランク20を製函することによって得られる容器に収容される内容物に応じて適宜選択される。例えば、ブランク20は、紙を含む材料とすることができる。例えばブランク20は、紙単体で構成されていてもよい。またブランク20は、外面側から熱可塑性樹脂層、紙および熱可塑性樹脂層が順に積層された積層体から構成されていてもよい。
なお、模様版50を用いた押圧および圧縮によってブランク20に模様18を形成する場合、ブランク20が、ある程度圧縮可能であるよう構成されていることが求められる。この点を考慮すると、ブランク20を構成する紙として、坪量が120〜600g/mの範囲内のものが好適に用いられる。
次に図3乃至図6を参照して、シート材を打ち抜いて図1に示すブランク20を作製するための打抜機について説明する。ここでは、打抜機が平板状の抜型および受板を含む例について説明する。抜型は、打ち抜きの際にシート材の表面側に配置されるものであり、受板は、打ち抜きの際にシート材の裏面側に配置されるものである。
(抜型)
はじめに抜型31について、図3を参照して説明する。図3は、抜型31を、抜型31の面のうち受板と対向する側の面から見た場合を示す平面図である。図3に示すように、抜型31は、第1支持基板40と、第1支持基板40の面のうち受板36側の面に設けられた全切刃41および模様版50と、を有している。全切刃41は、後述するシート材90を打ち抜いてブランク20を作製するためのものであり、ブランク20の外形20aに対応した位置に延在している。模様版50は、ブランク20の表面21を部分的に押圧して模様18を形成するためのものである。模様版50の構造については後述する。なお第1支持基板40には、ブランク20に罫線25を形成するための罫線刃48がさらに設けられていてもよい。
模様版50を第1支持基板40に取り付ける方法が特に限られることはなく、様々な方法が用いられ得る。例えば図3に示すように、模様版50は、ネジなどの取付具57を用いることによって第1支持基板40に取り付けられ得る。
(受板)
次に受板36について、図4を参照して説明する。図4は、受板36を、受板36の面のうち抜型31と対向する側の面から見た場合を示す平面図である。図4に示すように、受板36は、抜型31の全切刃41に対向する表面を含む第1受け部37と、抜型31の模様版50に対向する表面を含む第2受け部38と、に少なくとも区画される。第1受け部37および第2受け部38の構造については後述する。抜型31に罫線刃48が設けられている場合、受板36には、図4に示すように、罫線刃48に対応した位置に延在する溝73が設けられる。
次に図5および図6を参照して、抜型31および受板36についてさらに説明する。図5は、図3に示す抜型31および図4に示す受板36をそれぞれV−V線に沿って切断した場合を示す断面図である。また図6は、図5に示す打抜機30の模様版50および第2受け部38を拡大して示す断面図である。
まず、受板36の構造について説明する。図5に示すように、受板36は、第2支持基板60と、第2支持基板60の面のうち抜型31側の面に設けられた受け基板70並びに第1基板74および第2基板75の積層体と、を有している。上述の第1受け部37は、受け基板70を含んでいる。具体的には、後述する押圧工程の際にシート材90の裏面22に接するとともに全切刃41の先端に当接する第1受け部37の表面は、受け基板70の表面によって構成されている。また上述の第2受け部38は、後述する押圧工程の際にシート材90に接する第1面74a、および、第1面74aの反対側にある第2面74bを有する第1基板74と、第1基板74の第2面74b側に配置された第2基板75と、を有している。図5に示す例において、第1基板74の第1面74aは、平坦な面として構成されている。また、第1受け部37の受け基板70の表面と、第2受け部38の第1基板74の表面とは、同一水平面上に位置している。
なお図5においては、第2基板75が第1基板74の第2面74bに接している例が示されているが、これに限られることはない。第2基板75が厚み方向において縮むことにより模様版50からシート材90に加えられる圧縮力が模様版50の位置によらず均一になるよう、第2基板75が機能する限りにおいて、第1基板74と第2基板75との間にその他の部材が介在されていてもよい。
次に図6を参照して、模様版50の構造について説明する。模様版50は、シート材90を押圧して圧縮することによって、シート材90の表面に所定の模様を形成するためのものである。なお「模様」とは、絵柄や文字など、視覚的に認識され得る様々な形状を含む概念である。
図6に示すように、模様版50は、後述する押圧工程の際にシート材90を押圧する押圧面を含む複数の押圧部51と、押圧部51の押圧面よりも受板36の第2受け部38の表面から遠位に位置する複数の凹部52と、を有している。なお図6においては、凹部52の断面が矩形状である例が示されているが、これに限られることはない。押圧部51によってシート材90を押圧および圧縮することによって得られるブランク20の模様18の凹部18aのエッジ部が、模様を発現させる上で十分な鋭さを有する限りにおいて、様々な形状の凹部52を採用することができる。
図6において、凹部52の深さが符号h1で表されている。凹部52の深さh1は、ブランク20に形成される模様18の種類に応じて適切に定められる。例えば、凹部52の深さh1は、10〜20μmの範囲内に設定されることもあれば、100μm程度に設定されることもある。また、各凹部52は、深さh1が異なるように形成されていてもよい。
図5および図6において、抜型31および受板36を用いてシート材90を押圧していない状態における、抜型31の全切刃41の先端と受板36の第1受け部37の受け基板70の表面との間の距離が、符号d1で表されている。また、抜型31および受板36を用いてシート材90を押圧していない状態における、抜型31の模様版50の押圧部51の押圧面と受板36の第2受け部38の第1基板74の表面との間の距離が、符号d2で表されている。距離d1と距離d2との関係は、シート材90に含まれる紙の坪量または厚みや、シート材90に形成される模様版50の種類などに応じて適宜設定される。例えば、抜型31および受板36を用いてシート材90を押圧していない状態において、押圧部51の押圧面と第1基板74の表面との間の距離d2が、全切刃41の先端と受け基板70の表面との間の距離d1よりも小さくなるよう、全切刃41、模様版50、受け基板70および第1基板74の寸法や配置が決定される。例えば、(距離d1−距離d2)が0.1mm以上になっている。これによって、模様版50の押圧部51の押圧面が全切刃41の先端よりも先にシート材90に接するようになり、このことにより、模様18を構成するための凹部18aをより確実にシート材90に形成することができる。
(各基板および版の材料)
次に、抜型31および受板36を構成する各基板および版の材料について説明する。
〔第1支持基板および第2支持基板〕
全切刃41や模様版50を適切に支持することができる限りにおいて、第1支持基板40を構成する材料は特には限られない。例えば第1支持基板40を構成する材料として、エポキシ樹脂などの樹脂材料や、鉄鋼などの金属材料を用いることができる。第2支持基板60についても同様に、受け基板70や第2基板75を適切に支持することができる限りにおいて、第2支持基板60を構成する材料は特には限られない。
〔模様版〕
模様版50を構成する材料としては、シート材90を押圧および圧縮して模様18の凹部18aを適切に形成できる程度の剛性を有する材料が用いられる。例えば、第1基板74の場合と同様に、鉄、ステンレス、銅、真鍮などの金属や、熱硬化性樹脂、繊維強化プラスチック、熱可塑性樹脂などの樹脂材料を用いることができる。
〔受け基板〕
受け基板70を構成する材料としては、全切刃41からの圧力や衝撃を適切に受け止めることができる程度の剛性および強度を有する材料が用いられる。例えば、鉄鋼材料を用いることができる。なお受け基板70が鉄鋼材料から構成されている場合、受け基板70の表面にはクロムメッキなどの表面処理が施されていてもよい。
〔第1基板〕
第1基板74を構成する材料としては、模様版50の押圧部51の押圧面との間でシート材90を挟み込んで圧縮して模様18の凹部18aを適切に形成できる程度の剛性を有する硬質材料が用いられる。例えば、鉄、ステンレス、銅などの金属や、熱硬化性樹脂、繊維強化プラスチック、熱可塑性樹脂などの樹脂材料を用いることができる。熱硬化性樹脂の例としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などを挙げることができる。繊維強化プラスチックの例としては、例えば、ガラスエポキシ樹脂などを挙げることができる。熱可塑性樹脂の例としては、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)などのエンジニアリングプラスチックを挙げることができる。
〔第2基板〕
第2基板75を構成する材料としては、模様版50からシート材90に加えられる圧縮力を適切に緩和することができる程度の弾性を有する弾性材料が用いられる。例えば、天然ゴムや合成ゴムを用いることができる。合成ゴムの例としては、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴムや熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。第2基板75の弾性係数は、第1基板74の弾性係数よりも少なくとも小さくなっている。
第2基板75の厚みは、必要とされる収縮の程度に応じて適宜定められ、例えば、シート材90の厚みや、上述の距離d1と距離d2との差などに応じて定められる。一例として、第2基板75の厚みは、0.2〜0.6mmの範囲内になっている。
以下、打抜機30のその他の特徴についてさらに説明する。
図5に示すように、抜型31は、全切刃41の周囲に設けられた弾性部材43をさらに含んでいてもよい。弾性部材43は、全切刃41の先端よりも下方にまで達するように構成されている。弾性部材43としては、例えばスポンジなどが用いられ得る。このような弾性部材43を設けることにより、全切刃41によりシート材を打ち抜く際にシート材の位置ズレが生じてしまうことを抑制することができる。
図5に示すように、全切刃41は、第1支持基板40に形成された貫通孔に嵌めこまれたものであってもよい。また図5に示すように、第1支持基板40の上面が組み付けベース44によって囲われていてもよい。また組み付けベース44の上面のうち第1支持基板40の法線方向から見た場合に全切刃41と重なる位置には、テープ46が貼り付けられていてもよい。この場合、設けられるテープ46の枚数や厚みを調整することにより、シート材に対する全切刃41の押し込み圧を微調整することが可能になる。なお組み付けベース44の上面に台紙45が設けられ、そして、テープ46が台紙45の上面に貼り付けられていてもよい。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。ここでは、上述の打抜機30を用いてシート材を打ち抜くとともにシート材90を押圧することにより、模様18が形成されたブランク20を製造する方法について、図7(a)〜(c)を参照して説明する。
ブランクの製造方法
はじめに打抜機30を準備し、次に図7(a)に示すように、打抜機30の抜型31と受板36との間に、紙材を含むシート材90を配置する。次に図7(b)および図7(c)に示すように、抜型31と受板36との間の間隔を縮め、抜型31および受板36を用いてシート材90を押圧する押圧工程を実施する。図7(b)においては、抜型31と受板36との間の間隔が、全切刃41の先端がシート材90の表面に接するようになる間隔(以下、第1間隔とも称する)となっている状態が示されている。図7(c)においては、抜型31と受板36との間の間隔が、全切刃41の先端が受板36の第1受け部37の受け基板70の表面に当接するようになる間隔(以下、第2間隔とも称する)となっている状態が示されている。図7(c)に示すように、抜型31と受板36との間の間隔を第2間隔にまで縮めることにより、シート材90が全切刃41によって打ち抜かれて、図8に示すようにブランク20が得られる。以下、図7(b)の状態から図7(c)の状態に至って図8に示すブランク20が得られるまでの様子について、詳細に説明する。
上述のように、本実施の形態においては、模様版50に対向する表面を含む第2受け部38が、弾性材料からなる第2基板75を含んでいる。このため、模様版50がシート材90に接触した直後(例えば図7(b)の状態のとき)に模様版50と第2受け部38との間に生じる圧縮力の分布が、全切刃41の配置や形状などに起因して不均一であったとしても、圧縮力の分布の不均一さを軽減するように第2基板75が縮むことにより、模様版50からシート材90に加えられる圧縮力の分布を、模様版50の全域にわたって均一化することができる。また第2受け部38の第1基板74を硬質材料によって構成することにより、模様18に対応するよう形成された模様版50の押圧部51がシート材90に及ぼす局所的な圧縮力が分散してしまうことを抑制することができる。このため、模様を発現させる上で十分な鋭さを有するエッジ部を含む凹部18aを、シート材90上に形成することができる。従って、全切刃41を用いてシート材90を適切に打ち抜くとともに、適切な模様18をシート材90の表面に形成することができる。
また本実施の形態においては、模様版50の押圧部51の押圧面と第2受け部38の第1基板74の表面との間の距離d2が、全切刃41の先端と受け基板70の表面との間の距離d1よりも小さくなっている。このため図7(b)に示すように、全切刃41の先端がシート材90の表面に接する際、押圧部51の押圧面は既にシート材90の表面に接しており、そして、押圧部51はシート材90を押圧し圧縮している。
その後、図7(b)の状態からさらに抜型31と受板36との間の間隔を縮めると、押圧部51からシート材90に加えられる圧縮力に応じて、シート材90が圧縮され、シート材90のうち押圧部51に当接している部分の厚みが小さくなっていく。一方、押圧部51からシート材90に加えられる圧縮力が大きくなりすぎると、通常の圧縮力ではシート材90がそれ以上は圧縮され得ないという状況(本願においては圧縮限界とも称する)に達してしまうことが考えられる。圧縮限界に達してしまうと、抜型31と受板36との間の間隔をさらに縮めることが不可能または困難になってしまう。従って、圧縮限界に達した時点で全切刃41の先端が未だ受け基板70の表面に当接していない場合、シート材90を全切刃41によって適切に打ち抜くことができないということになる。
ここで本実施の形態においては、模様版50の押圧部51がシート材90を押圧すると、図7(c)に示すように、シート材90と同時に第2基板75も圧縮されて厚み方向において縮む。従って、第2基板75が、模様版50からシート材90に加えられる圧縮力を緩和することができる。このため、全切刃41の先端が第1受け部37の受け基板70の表面に当接するよりも前に、模様版50と第2受け部38との間で圧縮されているシート材90が圧縮限界に達することを抑制することができる。この点でも、シート材90をより適切に打ち抜くことが可能になる。また、模様版50の押圧部51からシート材90に加えられる圧縮力が過剰に大きくなることを抑制することができるため、押圧部51からの圧縮力によってシート材90が損傷してしまうことを抑制することができる。このため図8に示すように、適切な深さの凹部18aを含む模様18をブランク20の表面21に形成することができる。
このように本実施の形態によれば、全切刃41および模様版50がいずれも単一の組み付けベース44に組み込まれて同時に駆動される場合であっても、シート材90を適切に打ち抜いてブランク20を得るとともに、適切な模様18をブランク20の表面21に形成することができる。ここで、適切な模様とは、模様版50の凹部52の深さh1と、ブランク20の凹部18aの深さh2とが略同一であり、且つ、一部が欠けることなく形成されていることを指す。
なお全切刃41および模様版50がいずれも単一の組み付けベース44に組み込まれて同時に駆動される場合であっても、全切刃41と模様版50との間の距離が大きければ、上述のテープ46などを用いることにより、シート材90に対する全切刃41の押し込み圧を、模様版50とは独立に実施可能である場合がある。一方、全切刃41と模様版50との間の距離が小さい場合、模様版50とは独立に全切刃41の押し込み圧のみを調整することは容易ではない。一方、本実施の形態によれば、全切刃41と模様版50との間の距離が小さい場合であっても、第2基板75が縮むことによって、模様版50からシート材90に加えられる圧縮力の分布が均一化され得る。従って、本実施の形態は、全切刃41と模様版50との間の距離が小さい場合、例えば水平方向(シート材90が広がる方向)における全切刃41と模様版50の端部との間の距離の最小値が5mm以下の場合により有用であると考えられる。なお通常は、全切刃41と模様版50の端部との間の距離の最小値が5mm以下であるということは、ブランク20の外形20aと模様18の端部との間の距離t(図1参照)の最小値が5mm以下であることと同義である。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(模様版の変形例)
上述の本実施の形態においては、模様版50の表面において、押圧部51の比率の方が凹部52の比率よりも高くなっている例を示した。しかしながら、シート材90を部分的に所定のパターンで圧縮することによって模様18を形成することができる限りにおいて、模様版50の具体的な構成が特に限られることはない。例えば図9に示すように、模様版50の表面において、凹部52の比率の方が押圧部51の比率よりも高くなっていてもよい。
(打抜機の変形例)
図10に示すように、第1支持基板40と模様版50との間には、弾性材料からなるシム42が介在されていてもよい。この場合、受板36側において第2基板75が縮むことだけでなく、抜型31側においてシム42がさらに縮むことにより、押圧部51からシート材90に加えられる圧縮力をより精密に調整することができる。シム42を構成する材料としては、第2基板75の場合と同様に、天然ゴムや合成ゴムを用いることができる。また、シム42に加えて、シム42に比べて弾性変形しにくい材料(剛性が高い材料)をさらに介在させてもよい。例えば、変形しにくい材料として、熱可塑性樹脂フィルム(例えばPETフィルム)、金属(例えばアルミニウム)、紙、木などを用いることができ、その中でも、熱可塑性樹脂フィルムや金属が好ましい。
(その他の変形例)
また上述の本実施の形態において、ブランク20が、互いに連接された複数の略矩形状の面を含み、また容器10が、複数の平面状の面を組み合わせることによって得られる直方体形状のものである例を示した。しかしながら、上述した本実施の形態による打抜機30および打抜機30を用いたブランク製造方法によって製造され得るブランク20の形状が特に限られることはない。
また本実施の形態においては、第1支持基板40と模様版50とが別個の部材として構成される例を示した。しかしながら、押圧部51からシート材90に加えられる圧縮力を、第2基板75が縮むことによって模様版50の全域にわたって均一化することができる限りにおいて、第1支持基板40および模様版50の構成が特に限られることはない。例えば、模様版50が第1支持基板40と一体的に構成されていてもよい。
また本実施の形態においては、押圧部51の押圧面と第1基板74の表面との間の距離d2が、全切刃41の先端と受け基板70の表面との間の距離d1よりも小さくなっている例を示した。しかしながら、全切刃41の先端が受板36の第1受け部37の受け基板70の表面に当接するよりも前に、押圧部51がシート材90を押圧し圧縮して適切な模様18をシート材90上に形成することができる限りにおいて、距離d1と距離d2との関係が特に限られることはない。例えば、シート材90の厚みが大きい場合、押圧部51の押圧面と第1基板74の表面との間の距離d2が、全切刃41の先端と受け基板70の表面との間の距離d1よりも大きくなるよう打抜機30が構成されることもある。
また本実施の形態においては、第2受け部38の最表面を構成する第1基板74の第1面74aが、平坦な面として構成されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第2受け部38の最表面のうち模様版50の押圧部51に対応する位置に、押圧部51によって押圧されたシート材90を受け入れ可能な凹部が形成されていてもよい。すなわち本実施の形態による抜型31および受板36は、エンボス加工法を実施するためのものであってもよい。この場合、模様版50の凹部52の深さ、すなわち押圧部51の高さは、例えば0.1〜1.0mmの範囲内になっていてもよい。
また本実施の形態においては、第1基板74の第1面74aが、第2受け部38の最表面を構成する例を示した。しかしながら、模様版50の押圧部51がシート材90に及ぼす局所的な圧縮力が分散してしまうことを抑制するという機能を第1基板74が果たすことができる限りにおいて、第1基板74の第1面74a上に、コーティング層などのさらなる層が設けられていてもよい。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
10 容器
18 模様
18a 凹部
20 ブランク
25 罫線
30 打抜機
31 抜型
36 受板
37 第1受け部
38 第2受け部
40 第1支持基板
41 全切刃
42 シム
43 弾性部材
44 組み付けベース
45 台紙
46 テープ
48 罫線刃
50 模様版
51 押圧部
52 凹部
60 第2支持基板
70 受け基板
73 溝
74 第1基板
75 第2基板
90 シート材

Claims (3)

  1. 模様が形成されたブランクを製造するブランク製造方法であって、
    抜型および受板を含む打抜機を準備する工程と、
    前記打抜機の前記抜型と前記受板との間にシート材を配置して、前記抜型および前記受板を用いて前記シート材を押圧する押圧工程と、を備え、
    前記抜型は、前記ブランクの外形に対応した位置に延在する全切刃と、前記シート材を部分的に押圧して模様を形成するための模様版と、を有し、
    前記受板は、前記全切刃に対向する表面を含む第1受け部と、前記模様版に対向する表面を含む第2受け部と、に少なくとも区画され、
    前記抜型の前記模様版は、前記押圧工程の際に前記シート材を押圧する押圧面を含む押圧部と、前記押圧面よりも前記受板の前記第2受け部の表面から遠位に位置する凹部と、を含み、
    前記受板の前記第2受け部は、前記押圧工程の際に前記シート材に接する第1面、および、前記第1面の反対側にある第2面を有し、硬質材料からなる第1基板と、前記第1基板の前記第2面側に配置され、弾性材料からなる第2基板と、を含み、
    前記第1面が平面である、ブランク製造方法。
  2. 前記第1基を構成する前記硬質材料は、金属材料、熱硬化性樹脂、繊維強化プラスチックまたは熱可塑性樹脂の少なくともいずれかを含み、
    前記第2基を構成する前記弾性材料は、天然ゴムまたは合成ゴムの少なくともいずれかを含む、請求項1に記載のブランク製造方法。
  3. シート材を押圧して、模様が形成されたブランクを製造するための打抜機であって、
    シート材の表面側に配置される抜型と、
    シート材の裏面側に配置される受板と、を備え、
    前記抜型は、前記ブランクの外形に対応した位置に延在する全切刃と、前記ブランクを部分的に押圧して模様を形成するための模様版と、を有し、
    前記受板は、前記全切刃に対向する表面を含む第1受け部と、前記模様版に対向する表面を含む第2受け部と、に少なくとも区画され、
    前記抜型の前記模様版は、前記シート材を押圧する押圧面を含む押圧部と、前記押圧面よりも前記受板の前記第2受け部の前記表面から遠位に位置する凹部と、を含み、
    前記受板の前記第2受け部は、前記シート材を押圧する際に前記シート材に接する第1面、および、前記第1面の反対側にある第2面を有し、硬質材料からなる第1基板と、前記第1基板の前記第2面側に配置され、弾性材料からなる第2基板と、有し、
    前記第1面が平面である、打抜機。
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