JP6467266B2 - 穿孔治具及び穿孔方法ならびに施工方法 - Google Patents
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Description
この構成によれば、先行して穿設した孔に挿入した穿孔治具の凹状案内壁によって、次の孔を穿設する穿孔工具の位置ずれを防止することができる。したがって、精度の良いスリット状の孔を形成することができる。
この構成によれば、治具基体の外周に回転止め凸部を設けているので、治具基体を回転止めすることができる。
この方法によれば、先行して穿設した孔に挿入した穿孔治具の凹状案内壁によって、次の孔を穿設する穿孔工具の位置ずれを防止することができ、したがって、精度の良いスリット状の孔を形成することができる。
この方法によれば、穿孔工具に穿孔治具を取り付けることによって、穿孔工具の位置ずれを防止することができる。したがって、穿孔治具の取り扱いを容易にすることができる。
また、穿孔工具の位置ずれを防ぐことができるため、穿孔位置の正確さを損なうことなく、耐久性に優れるドリルビットを使用することができる。
図1は実施形態の穿孔治具を示す斜視図、図2は実施形態の穿孔治具を用いて壁体に形成したスリット状の貫通孔を示す斜視図である。
穿設する孔は、貫通孔でもよいし、先端が閉じた形状の孔でもよい。また、穿孔方向は水平方向であってもよいし、垂直方向であってもよく、方向は問わない。穿孔対象は、コンクリートなどの壁体(パネルを含む)であってもよいし、地盤であってもよい。以下の実施形態では、水平方向に貫通孔を穿設する場合を例にとって説明する。
図1に示すように、実施形態の穿孔治具70は、円柱体71の外周面で構成された治具基体72を有する。治具基体72は、先行して穿設された貫通孔に挿入されることで、貫通孔の内壁に当接または近接する直径寸法を有している。実際には、治具基体72の外周と前記孔の内壁との間に、治具基体72の挿入及び抜き取りが容易にできる程度の僅かな隙間が確保されているのがよい。
ストッパ75は、小円柱体(丸鋼など)で構成されており、治具基体72が貫通孔の中に挿入された際に前記孔の内壁に係合して、治具基体72の無用の回転を阻止する。ストッパ75は、治具基体72の回転を有効に阻止するために2つ以上間隔をおいて設けられているのがよい。1つでも、設ける場所によっては回転を止めることができるが、安定して回転を止めるには、2つ以上設けるのがよい。なお、ストッパ75は、治具基体72の外周に突設されたものであれば形状を問わない。例えば、治具基体72が貫通孔の中に挿入するときに、一緒に貫通孔の周壁(土砂)に切り込んで行けるリブ状の板片であってもよい。
図示例では、第1の穿孔治具70Aの円柱体71の第2端部に、第2の穿孔治具70Bの円柱体71の第1端部が接合され、第2の穿孔治具70Bの円柱体71の第2端部に、第3の穿孔治具70Cの円柱体71の第1端部が接合されることによって、3つの穿孔治具70A〜70Cが直列に連結されている。円柱体71どうしの接合には、凹凸嵌合、ネジ止め等を採用できる。第2の穿孔治具70Bおよび第3の穿孔治具70Cは、ストッパ75がないことが好ましい。
複数の穿孔治具70A〜70Cからなる穿孔治具70Dを用いることによって、壁体5(図2参照)が厚い場合でも、深部に至るまで正確な位置に貫通孔51を形成することができる。
図2に示すように、スリット状の貫通孔50は、穿孔工具により、複数の貫通孔51を列の端から順番に、隣合う孔同士の一部を重複させながら、一列に直線に沿って穿設することにより形成されている。
図3〜図13は貫通孔50を形成する手順を説明するための図である。
まず、図3に示すように、壁体5に、表側壁面5Aから大径の穿孔工具(ドリル)101で第1の貫通孔51Aを形成する。次に、図4に示すように、貫通孔の51Aの周壁の2箇所に、穿孔治具70のストッパ75の係合する小孔52を、小径ドリル102で形成する。
図5に示す穿孔工具101、102は、ドリルビットである。穿孔工具101、102としては、耐久性に優れるドリルビットが好ましいが、コアドリルを使用してもよい。
この際、回転する穿孔工具101の外周が穿孔治具70の凹状案内壁74に当たって穿孔工具101の位置ずれが規制されることによって、正しい位置に穿孔工具101が位置決めされながら第2の貫通孔51Bの穿設が行われる。
図9に示すように、穿設した第2の貫通孔51Bに穿孔治具70を挿入する。この際、穿孔治具70の治具基体72の外周に設けた2つのストッパ75を、第2の貫通孔51Bの周壁に形成した2つの小孔52に挿入することにより、穿孔工具70を第2の貫通孔51B内で回り止めする。穿孔治具70の切欠部73は、次に穿孔しようとする貫通孔(第3の貫通孔51C)の中心に向ける。
この際、回転する穿孔工具101の外周が穿孔治具70の凹状案内壁74に当たって穿孔工具101の位置ずれが規制されることによって、正しい位置に穿孔工具101が位置決めされながら第3の貫通孔51Cの穿設が行われる。
図12に示すように、穿設した第3の貫通孔51Cに穿孔治具70を挿入する。この際、穿孔治具70の治具基体72の外周に設けた2つのストッパ75を、第3の貫通孔51Cの周壁に形成した2つの小孔52に挿入することにより、穿孔工具70を第3の貫通孔51C内で回り止めする。穿孔治具70の切欠部73は、次に穿孔しようとする貫通孔(第4の貫通孔51D)の中心に向ける。
アンカー10は、側壁5に対して取り付けられる。アンカー10の施工は内空側Aからのみ行うことができる。
図14及び図15に示すように、壁体5に、壁体5の表側壁面5Aから裏側壁面5Bまで貫通するスリット状の貫通孔50が形成されており、そのスリット状の貫通孔50に、アンカー10が取り付け固定されている。
アンカー10は、図16に示すように、棒材11の先端部11aに長円形板状の係止体12を固着したもので、側方から見た形状がT字形をなしている。棒材11の基端部11bには、ナット15(図14及び図15参照)を螺合するための雄ねじ13が形成されている。
アンカー10は、「アンカーボルト」とも言う。棒材11はボルト本体11ともいう。なお、係止体12の平面視形状は図示例に限定されない。係止体12は、第1の方向の寸法が第2の方向の寸法より大きくされていればよく、例えば長方形板状であってもよい。
棒材11及び係止体12は、例えばステンレス鋼などの金属製とすることができる。アンカー10は、金属製に限らず、樹脂製、炭素繊維製などであってもよい。なお、係止体12が棒材11に固定される位置は、係止体12の長手方向の中間部に限らず、係止体12の長手方向の端部であってもよい。
次に、実際に行うアンカーの取付方法について説明する。
上述したように、壁体5にスリット状の貫通孔50が形成したら、図17及び図18に示すように、係止体12が壁体5の裏側(土砂側B)に達するまでアンカー10をスリット状の貫通孔50に挿入する。
次いで、図21に示すように、係止体12の回転を止めた状態で、当て板18を介して棒材11の基端の雄ねじ13にナット15を螺合して締め付けることにより、棒材11に引き抜き方向の力を加える。それにより、係止体12を壁体5の裏側壁面5Bに押圧係止させることができ、アンカー10を壁体5に固定することができる。
また、穿孔工具101の位置ずれを防ぐことができるため、穿孔位置の正確さを損なうことなく、耐久性に優れるドリルビットを使用することができる。
穿孔治具70では、治具基体72の回転止め手段として、治具基体72の外周にストッパ75(回転止め凸部)を設けているので、治具基体72を回転止めすることができる。
壁体5の裏側で係止体12を、壁体5の裏側壁面5Aに係止し得る位置まで回転させ、その状態で棒材11に引き抜き方向の力を付与することで、係止体12を壁体5の裏側壁面5Bに押圧係止させることができるため、スリットやピン等の強度低下を招く要素を必要としない構造のアンカー10、すなわち係止体12と棒材11を強固に接合した構造のアンカー10を用いることができる。したがって、壁体5に対するアンカー10の取付強度を高めることができる。
図20、図22および図23に示すように、スリット状の貫通孔を採用することによって、施工条件等に合わせて、その条件等に適した係止体の形状を選択できる。
また、上記実施形態では、係止体12は一定厚さの板状であるが、係止体12は、回転方向側の側縁部を他の部分より薄く形成してもよい。これによって、係止体12を土砂中で回転させる際の抵抗を少なくすることができる。
挿入部177は、図1に示す治具基体72と類似の形状を有する。穿孔治具170は、図1に示す治具基体72を2つ並列させ、一方の治具基体72の切欠部73内に他方の治具基体72の一部を配置した状態で、これら2つの治具基体72を一体化した形状を有する。なお、挿入部の数は3以上の任意の数でもよい。
図25(a)に示すように、この例の貫通孔50の形成方法は、第2の貫通孔51Bを穿設するまでは、図3〜図7により説明した方法と同じである。
図25(b)に示すように、貫通孔51A,51B内に穿孔治具170を挿入した状態で、図25(c)に示すように、穿孔治具170の切欠部173に穿孔工具101の一部が入り込むようにしつつ、穿孔工具101で第3の貫通孔51Cを形成する。この際、穿孔工具101の外周が穿孔治具170の凹状案内壁174に当たって穿孔工具101の位置ずれが規制されることによって、正しい位置に穿孔工具101が位置決めされながら第3の貫通孔51Cの穿設が行われる。次いで、図25(d)に示すように、穿孔治具170を貫通孔51A,51Bから引き抜く。これらの工程を順次繰り返すことにより、図13に示すスリット状の貫通孔50を形成することができる。
この方法では、貫通孔51B〜51Eについては小孔52を形成する必要がないため、作業が容易となる。
穿孔治具270は、細径の連結軸部276により軸方向に互いに連結された2つの治具基体272(先端側の治具基体272Aと基端側の治具基体272B)を有する。治具基体272は、断面円弧状の切欠部273を画成する凹状案内壁274を有する。
穿孔治具270は、ドリルビット302Aの一部が治具基体272Aの切欠部273に入り込み、かつドリルビット302Bの一部が治具基体272Bの切欠部273に入り込んだ状態で、穿孔工具301と並列して配置される。
図26(a)および図26(b)に示すように、穿孔治具270の連結軸部276と、穿孔工具301の連結軸部306とは、ともに筒状の連結体280に挿通している。穿孔治具270と穿孔工具301とは、連結体280によって、互いに離間する方向の移動が規制されている。図26(c)に示すように、穿孔治具270は、穿孔工具301の回転を妨げることなく穿孔工具301に取り付け可能である。すなわち、ドリルビット302は、穿孔治具270が装着された状態のまま軸回り方向に回転可能である。
また、アンカー10を取り付けた後、貫通孔50の内部の空間にモルタル等の充填材を充填することによって、構造物の強度を高めることもできる。
次の貫通孔の穿設の際に貫通孔への穿孔工具101の挿入と並行して、先行して穿設された隣の貫通孔に穿孔治具70を挿入することで、穿孔治具70によって、次の貫通孔を穿設する穿設治具101の位置ずれを規制することができる。この際、穿孔工具101を支持する部材により、穿孔治具70の回転止めを行うことができるので、穿孔治具70の取付構造部分が回転止め手段に相当する。この方法を採用する場合は、穿孔治具70の取り扱いが容易となる。
本発明では、壁体に形成する孔は貫通孔でなくてもよい。
5A 表側壁面
5B 裏側壁面
10 アンカー
11 棒材
11a 先端部
11b 基端部
12 係止体
50 スリット状の貫通孔
51,50A〜50E 貫通孔
70,170,270 穿孔治具
72,172,272 治具基体
73,173,273 切欠部
74,174,274 凹状案内壁
75 ストッパ(回転止め凸部、回転止め手段)
101,301 穿孔工具
177 挿入部
Claims (7)
- 回転する穿孔工具により、複数の孔を列の端から順番に隣合う孔同士の一部を重複させながら一列に穿設して、スリット状の孔を形成する際に用いる穿孔治具であって、
先行して穿設された孔に挿入されることで前記孔の内壁に当接または近接する治具基体と、前記孔に挿入された前記治具基体の回転を阻止する回転止め手段と、を備え、
前記治具基体は、前記穿孔工具の外周が接することで前記穿孔工具の位置ずれを規制する凹状案内壁を有し、
前記凹状案内壁は、前記穿孔工具の一部が入り込む切欠部を画成するように形成され、
前記回転止め手段は、前記治具基体の外周に形成された回転止め凸部であり、
前記回転止め凸部は、先行して穿設された孔に前記治具基体が挿入された際に、前記孔の内壁に係合することで前記治具基体の回転を阻止することを特徴とする穿孔治具。 - 前記治具基体は、隣合う複数の前記孔にそれぞれ挿入される複数の挿入部が互いに一体化された形状を有し、
前記複数の挿入部は、挿入された前記孔の内壁にそれぞれ当接または近接することを特徴とする請求項1に記載の穿孔治具。 - 前記穿孔工具の回転を妨げることなく前記穿孔工具に取り付け可能であり、
前記穿孔工具に取り付けられた状態で、前記穿孔工具による前記孔の穿設の際に該孔への前記穿孔工具の挿入と並行して、先行して穿設された隣の孔に挿入可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の穿孔治具。 - 回転する穿孔工具により、複数の孔を列の端から順番に、隣合う孔同士の一部を重複させながら一列に穿設して、前記スリット状の孔を形成する穿孔方法であって、
先行して穿設した孔に請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の穿孔治具を挿入するとともに、前記穿孔工具の外周を前記凹状案内壁によって案内しながら前記穿孔工具を回転させて次の孔を穿設する工程を順次繰り返すことによって、前記複数の孔を列の端から順番に穿設して前記スリット状の孔を形成することを特徴とする穿孔方法。 - 前記穿孔工具に前記穿孔治具を取り付け、次の孔の穿設の際に該孔への前記穿孔工具の挿入と並行して、先行して穿設された隣の孔に前記穿孔治具を挿入することで、この穿孔治具によって、前記次の孔を穿設する穿設工具の位置ずれを規制することを特徴とする請求項4に記載の穿孔方法。
- 回転する穿孔工具により、対象物に、複数の孔を列の端から順番に隣合う孔同士の一部を重複させながら一列に穿設して、スリット状の孔を形成する穿孔工程と、
棒材と、前記棒材の先端部に設けられた係止体とを備えたアンカーを前記対象物に取り付けるアンカー取付け工程と、を有し、
前記穿孔工程では、先行して穿設した孔に請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の穿孔治具を挿入するとともに、前記穿孔工具の外周を前記凹状案内壁によって案内しながら前記穿孔工具を回転させて次の孔を穿設する工程を順次繰り返すことによって、前記複数の孔を列の端から順番に穿設して前記スリット状の孔を形成し、
前記アンカー取付け工程は、前記係止体が前記対象物の裏側に達するまで前記アンカーを前記スリット状の孔に挿入する第1工程と、
前記係止体を、前記アンカーの引き抜き方向の移動を規制し得るように配置する第2工程と、を有することを特徴とする施工方法。 - 前記第2工程の後に、前記スリット状の孔に充填材を充てんする、請求項6記載の施工方法。
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