JP6467031B2 - 非水電解質二次電池用負極材及び非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
この二次電池は、小型の電子機器に限らず、自動車などに代表される大型の電子機器、家屋などに代表される電力貯蔵システムへの適用も検討されている。
電池容量向上のために、負極活物質材としてケイ素を用いることが検討されている。なぜならば、ケイ素の理論容量(4199mAh/g)は黒鉛の理論容量(372mAh/g)よりも10倍以上大きいため、電池容量の大幅な向上を期待できるからである。
負極活物質材としてのケイ素材の開発はケイ素単体だけではなく、合金、酸化物に代表される化合物などについても検討されている。
また、活物質形状は、炭素材では標準的な塗布型から、集電体に直接堆積する一体型まで検討されている。
負極活物質表層が割れると、それによって新表面が生じ、活物質の反応面積が増加する。この時、新表面において電解液の分解反応が生じるとともに、新表面に電解液の分解物である被膜が形成されるため電解液が消費される。このためサイクル特性が低下しやすくなる。
また、高い電池容量や安全性を得るために、ケイ素酸化物粒子の表層に炭素材(電子伝導材)を設けている(例えば特許文献2参照)。
さらに、サイクル特性を改善するとともに高入出力特性を得るために、ケイ素及び酸素を含有する活物質を作製し、かつ、集電体近傍での酸素比率が高い活物質層を形成している(例えば特許文献3参照)。
また、サイクル特性を向上させるために、ケイ素活物質中に酸素を含有させ、平均酸素含有量が40at%以下であり、かつ集電体に近い場所で酸素含有量が多くなるように形成している(例えば特許文献4参照)。
また、サイクル特性改善のため、SiOx(0.8≦x≦1.5、粒径範囲=1μm〜50μm)と炭素材を混合して高温焼成している(例えば特許文献6参照)。
また、サイクル特性改善のために、負極活物質中におけるケイ素に対する酸素のモル比を0.1〜1.2とし、活物質、集電体界面近傍におけるモル比の最大値、最小値との差が0.4以下となる範囲で活物質の制御を行っている(例えば特許文献7参照)。
また、電池負荷特性を向上させるため、リチウムを含有した金属酸化物を用いている(例えば特許文献8参照)。
また、サイクル特性を改善させるために、ケイ素材表層にシラン化合物などの疎水層を形成している(例えば特許文献9参照)。
また、サイクル特性改善のため、酸化ケイ素を用い、その表層に黒鉛被膜を形成することで導電性を付与している(例えば特許文献10参照)。特許文献10において、黒鉛被膜に関するRAMANスペクトルから得られるシフト値に関して、1330cm−1及び1580cm−1にブロードなピークが現れるとともに、それらの強度比I1330/I1580が1.5<I1330/I1580<3となっている。
また、高い電池容量、サイクル特性の改善のため、二酸化ケイ素中に分散されたケイ素微結晶相を有する粒子を用いている(例えば、特許文献11参照)。
また、過充電、過放電特性を向上させるために、ケイ素と酸素の原子数比を1:y(0<y<2)に制御したケイ素酸化物を用いている(例えば特許文献12参照)。
また、高い電池容量、サイクル特性の改善のため、ケイ素と炭素の混合電極を作成しケイ素比率を5質量%以上13質量%以下で設計している(例えば、特許文献13参照)。
この問題を解決する1つの手法として、ケイ素材を主材として用いた負極からなるリチウムイオン二次電池の開発が望まれている。
また、ケイ素材を用いたリチウムイオン二次電池は、炭素材を用いたリチウムイオン二次電池と同等に近いサイクル特性が望まれている。
しかしながら、炭素材を用いたリチウムイオン二次電池と同等のサイクル安定性を示す負極電極を提案するには至っていなかった。
また、本発明の非水電解質二次電池用負極材における、負極活物質粒子は、水酸基を1分子中に2個以上有する物質、フッ化ホスホリル、炭酸リチウム、及び炭化水素のうち2種以上が含まれる被膜によって、その表面が被覆されたものである。特に、水酸基を1分子中に2個以上有する物質は、電池の電解液に含まれる環状カーボネートの分解を抑制し、フッ化ホスホリルは電解液に含まれる支持塩の分解を抑制する。炭酸リチウムは電解液に含まれる鎖状カーボネートの分解を抑制し、炭化水素は電解液に含まれる添加剤、特にビニレンカーボネートの分解抑制に効果的である。このように、負極活物質粒子に被覆した上記の被膜により、電池内での電解液の分解反応を効果的に抑制することができる。
この被膜による反応抑制機構、及びケイ素化合物の内部に存在するLi化合物によって、安定した電池サイクル特性を得ることができるとともに、ケイ素化合物を負極活物質として使用する場合の問題であった初期効率を、大幅に改善することが可能なものとなる。
このようなものであれば、特に環状カーボネートの分解をより効果的に抑制できるものとなる。
このようなものであれば、特にサイクル維持率を効果的に向上させることができるものとなる。
このようなものであれば、導電性を大きく向上させることができるものとなる。また、この場合、実質的に上記分解抑制機構が、炭素被膜の表面に被覆されたものであることが望ましい
炭素被膜の上記含有率が0.1質量%以上であれば、充分な導電性向上効果を得ることができる。また、含有率が15質量%以下であれば、電池容量を十分に確保することができる。
このようなものであれば、負極活物質粒子間及び負極活物質粒子とその他の活物質粒子(例えば炭素系活物質粒子など)との電子コンタクトをスムーズに得ることができるものとなる。
メディアン径が20nm以上であれば、電子コンタクトを十分に取れるし、炭素粒子が電池特性に悪影響を及ぼすことが無い。また、メディアン径が200nm以下であれば、電子コンタクトを十分に得るために必要な炭素粒子が多くなり過ぎず、電池全体の容量を十分に確保することができる。
これらのようなものが、負極活物質粒子と炭素粒子との間に介在する結着剤として好適である。
本発明に用いる水酸基を1分子中に2個以上有する物質としては、これらの物質が特に好適であり、電池の電解液に含まれる環状カーボネートの分解をより一層抑制できる。
このようなものであれば、ケイ素化合物が、リチウムの挿入、脱離時に不安定化するSiO2成分部が予め別のLi化合物に改質させたものであるので、充電時に発生する不可逆容量を低減することができる。その結果、高い充放電効率を得られると共に、バルク安定性が向上させることができる。またこのようなものは、例えば電気化学的手法でケイ素化合物を改質することで得ることができる。
このようなものであれば、Si結晶核が少ないため、良好な電池サイクル特性が得られる。
メディアン径が0.5μm以上であれば、負極活物質粒子の表面における副反応量を抑制することができる。また、メディアン径は20μm以下であれば、充放電に伴う体積変化の影響を受けにくくなり、負極活物質粒子の崩壊が起こり難い。
このようなものであれば、電池容量を顕著に増加させることができるものとなる。
カーボンナノチューブ(CNT)は膨張率及び収縮率が高いケイ素系活物質と炭素系活物質の電気コンタクトを得ることに適しており、負極に良好な導電性を付与することができる。
このようなものをバインダーとして含むものであれば、本発明の非水電解質二次電池用負極材を安定的に使用することができる。
このようなものであれば、本発明の非水電解質二次電池用負極材により、非水電解質の分解反応が効果的に抑制されるため、高容量であるとともに良好なサイクル特性及び初期充放電特性が得られる非水電解質二次電池となる。
本発明の非水電解質二次電池における非水電解質においては、特に、鎖状カーボネート、環状カーボネートの分解反応が効果的に抑制されるものとなる。
このように電気化学的手法により、ケイ素化合物を同時に改質及び被覆することにより、安定したLi化合物及び被膜層を効率よく得ることができる。
前述のように、リチウムイオン二次電池の電池容量を増加させる1つの手法として、ケイ素材を主材として用いた負極をリチウムイオン二次電池の負極として用いることが検討されている。
このケイ素材を用いたリチウムイオン二次電池は、炭素材を用いたリチウムイオン二次電池と同等に近いサイクル特性が望まれているが、炭素材を用いたリチウムイオン二次電池と同等のサイクル安定性を示す負極電極を提案するには至っていなかった。
本発明の非水電解質二次電池用負極材は、Li化合物が含まれるケイ素化合物(SiOx:0.5≦x≦1.6)から成る負極活物質粒子を含む。そして、負極活物質粒子は、水酸基を1分子中に2個以上有する物質、フッ化ホスホリル、炭酸リチウム、及びTOF−SIMSで得られる陽イオンスペクトルとしてCyHz(1≦y≦3、2≦z≦5)が検出される炭化水素のうち少なくとも2種以上が含まれる被膜で被覆されているものである。尚、TOF−SIMSとは、飛行時間型二次イオン質量分析法(Time−of−Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)の略である。
本発明の非水電解質二次電池用負極材を用いた非水電解質二次電池用負極について説明する。図1は、本発明の一実施形態における非水電解質二次電池用負極(以下、単に「負極」と称することがある。)の断面構成を表している。
図1に示すように、負極10は、負極集電体11の上に負極活物質層12を有する構成になっている。この負極活物質層12は負極集電体11の両面、又は、片面だけに設けられていても良い。さらに、本発明の非水電解質二次電池用負極においては、負極集電体11はなくてもよい。
負極集電体11は、優れた導電性材料であり、かつ、機械的な強度に長けた物で構成される。負極集電体11に用いることができる導電性材料として、例えば銅(Cu)やニッケル(Ni)があげられる。この導電性材料は、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しない材料であることが好ましい。
負極活物質層12は、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な複数の粒子状の負極活物質とバインダー(負極結着剤)を含んでおり、電池設計上、さらに導電助剤等の他の材料を含んでいても良い。
以上のような分解反応抑制被膜は、実質的に、炭素被膜の上に被覆されていることが好ましい。
Li化合物はNMR(核磁気共鳴)とXPS(X線光電子分光)で定量可能である。XPSとNMRの測定は、例えば、以下の条件により行うことができる。
XPS
・装置: X線光電子分光装置、
・X線源: 単色化Al Kα線、
・X線スポット径: 100μm、
・Arイオン銃スパッタ条件: 0.5kV 2mm×2mm。
29Si MAS NMR(マジック角回転核磁気共鳴)
・装置: Bruker社製700NMR分光器、
・プローブ: 4mmHR−MASローター 50μL、
・試料回転速度: 10kHz、
・測定環境温度: 25℃。
本発明では、非水電解質二次電池用負極における負極活物質の総量に対するケイ素化合物の比が、4質量%以上であることが望ましい。尚、この比は実質的に100%であっても十分な電池容量を得られる。これは、放電カーブ、負極容量、初期効率、及び厚み膨張を考慮した場合、電池容量を向上させることができるからである。
特に、負極導電助剤としてカーボンナノチューブが含まれていることが好ましい。カーボンナノチューブは、膨張収縮率が高いケイ素材と炭素材の電気コンタクトを得ることに向いている。
最初に本発明の非水電解質二次電池用負極材に含まれる負極活物質粒子の製造方法を説明する。まず、SiOx(0.5≦x≦1.6)で表されるケイ素化合物を作製する。次に、ケイ素化合物にLiを挿入することにより、ケイ素化合物の内部にLi化合物を生成させることができる。このとき、ケイ素化合物を、水酸基を1分子中に2個以上有する物質やフッ化ホスホリル、炭酸リチウム、及びTOF−SIMSで得られる陽イオンスペクトルとしてCyHz(1≦y≦3、2≦z≦5)が検出される炭化水素のうち少なくとも2種以上が含まれる被膜で被覆する。尚、炭化水素はその材料の作り方によって変化するが、Li挿入時、または炭素被膜生成時のどちらでも制御が可能である。
次に、上記した本発明の負極を用いた非水電解質二次電池の具体例として、リチウムイオン二次電池について説明する。
図3に示すラミネートフィルム型二次電池30は、主にシート状の外装部材35の内部に巻回電極体31が収納されたものである。この巻回電極体31は正極、負極間にセパレータを有し、巻回されたものである。また正極、負極間にセパレータを有し積層体を収納した場合も存在する。どちらの電極体においても、正極に正極リード32が取り付けられ、負極に負極リード33が取り付けられている。電極体の最外周部は保護テープにより保護されている。
正極は、例えば、図1の負極10と同様に、正極集電体の両面又は片面に正極活物質層を有している。
リチウムと遷移金属元素とを有するリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4)あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1−uMnuPO4(0<u<1))などが挙げられる。これらの正極材を用いれば、高い電池容量を得ることができるとともに、優れたサイクル特性も得ることができる。
負極は、上記した図1のリチウムイオン二次電池用負極10と同様の構成を有し、例えば、集電体の両面に負極活物質層を有している。この負極は、正極活物質剤から得られる電気容量(電池としての充電容量)に対して、負極充電容量が大きくなることが好ましい。これにより、負極上でのリチウム金属の析出を抑制することができる。
セパレータは正極、負極を隔離し、両極接触に伴う電流短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータは、例えば合成樹脂、あるいはセラミックからなる多孔質膜により形成されており、2種以上の多孔質膜が積層された積層構造を有しても良い。合成樹脂として例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
活物質層の少なくとも一部、又は、セパレータには、液状の電解質(電解液)が含浸されている。この電解液は、溶媒中に電解質塩(支持塩)が溶解されており、添加剤など他の材料を含んでいても良い。
以上のようにして、ラミネートフィルム型二次電池30を製造することができる。
負極利用率を93%以上の範囲とすれば、初回充電効率が低下せず、電池容量の向上を大きくできる。また、負極利用率を99%以下の範囲とすれば、Liが析出してしまうことがなく安全性を確保できる。
以下の手順により、図3に示したラミネートフィルム型の二次電池30を作製した。
まず、本発明の負極材に含まれる負極活物質粒子は以下のように作製した。
初めに、金属ケイ素と二酸化ケイ素を混合した原料を反応炉へ設置し、10Paの真空度の雰囲気中で気化させたものを吸着板上に堆積させ、十分に冷却した後、堆積物を取出しボールミルで粉砕した。粒径を調整した後、必要に応じて熱分解CVDを行うことで炭素被膜を被覆した。作製した粉末はエチレンカーボネート及びジメチルカーボネートの体積比が3:7の混合溶媒(電解質塩としてLiPF6を1.3mol/kgの濃度で含んでいる。)中で電気化学法を用い、バルク改質を行うことで、負極活物質粒子を作製した。
続いて、この負極活物質粒子と、必要に応じて炭素系活物質として天然黒鉛(必要に応じて人造黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボンを一部配合)を所定の重量比で配合し、負極材を作製した。
本実験で用いるポリアクリル酸は特に限定する事は無いが、25万〜125万の分子量範囲が望ましく、より望ましいのは100万である(例えば、和光純薬工業株式会社製品を使用できる)。
負極材を製造する際のケイ素化合物のバルク内酸素量を調整したことを除き、実施例1−1と同様に、二次電池の製造を行った。この場合、気化出発材の比率や温度を変化させ堆積される酸素量を調整した。実施例1−1〜1−3、後述する比較例1−1、1−2における、SiOxで表されるケイ素化合物のxの値を表1中に示した。
実施例1−2(x=1.0)と同様に、二次電池を作製したが、負極材中のケイ素化合物の粉末表面を被覆する被膜に含まれる物質を変更した。実施例2−1ではエチレングリコールと炭酸リチウムを、実施例2−2ではプロパンジオールと炭酸リチウムを、実施例2−3ではエチレングリコール、炭酸リチウム、及びフッ化ホスホリルを、実施例2−4では炭酸リチウムとフッ化ホスホリルを、実施例2−5ではエチレングリコール、炭酸リチウム、及びTOF−SIMSで得られる陽イオンスペクトルとしてCH2、C2H3、C3H5が検出される炭化水素を含んだ被膜を被覆した。
実施例1−2(x=1.0)と同様に、二次電池を作製したが、負極材中のケイ素化合物の粉末表面を被覆する被膜に含まれる物質を炭酸リチウムの1種類とした。
負極活物質粒子のメディアン径D50は4μmであった。X線回折により得られる(111)結晶面に起因する回折ピークの半値幅(2θ)は2.593°であり、その結晶面(111)に起因する結晶子サイズは3.29nmであった。負極活物質粒子は、内部にLi2SiO3及びLi4SiO4が含まれているものであった。また、炭素被膜の含有率が負極活物質粒子及び炭素被膜の合計に対し、5質量%であった。
表2から分かるように、実施例2−3では、エチレングリコール、炭酸リチウムに加え、フッ化ホスホリルも被膜に含まれているため、電解質塩(支持塩)の分解も抑制することができ実施例2−1、2−2よりも、更に良好な電池特性を得ることができた。
装置: ION−TOF社製 飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)
1次イオン: Bi3+、
イオン銃加速電圧: 25kV、
操作範囲:250μm×250μm
基本的に実施例1−2と同様に二次電池の製造を行ったが、負極活物質粒子を、さらに、エチレンカーボネートの重合物、及びプロピレンカーボネートの重合物のうち少なくとも1種以上が含まれる被膜で被覆した。実施例3−1ではエチレンカーボネートの重合物を、実施例3−2ではプロピレンカーボネートの重合物を、実施例3−3ではエチレンカーボネートの重合物とプロピレンカーボネートの重合物の両方を含む被膜をさらに被覆した。これらの被膜は、電気化学手法において、電位や電流の規制、放電過程を制御する手法を用いることで生成する。
負極活物質粒子のメディアン径D50は4μmであった。X線回折により得られる(111)結晶面に起因する回折ピークの半値幅(2θ)は2.593°であり、その結晶面(111)に起因する結晶子サイズは3.29nmであった。負極活物質粒子は、内部にLi2SiO3及びLi4SiO4が含まれているものであった。また、炭素被膜の含有率が負極活物質粒子及び炭素被膜の合計に対し、5質量%であった。
基本的に実施例1−2と同様に二次電池の製造を行ったが、負極活物質粒子を、さらに、フッ化リチウム、及び酸化リチウムのうち少なくとも1種以上が含まれる被膜で被覆した。実施例4−1ではフッ化リチウムを、実施例4−2では酸化リチウムを、実施例4−3ではフッ化リチウムと酸化リチウムの両方を含む被膜をさらに被覆した。
負極活物質粒子のメディアン径D50は4μmであった。X線回折により得られる(111)結晶面に起因する回折ピークの半値幅(2θ)は2.593°であり、その結晶面(111)に起因する結晶子サイズは3.29nmであった。負極活物質粒子は、内部にLi2SiO3及びLi4SiO4が含まれているものであった。また、炭素被膜の含有率が負極活物質粒子及び炭素被膜の合計に対し、5質量%であった。
基本的に実施例1−2と同様に二次電池の製造を行ったが、負極活物質粒子の表層に、カルボキシル基を有する結着剤を介して、以下の表5に示すようなメディアン径の炭素粒子を付着させた。
負極活物質粒子のメディアン径D50は4μmであった。X線回折により得られる(111)結晶面に起因する回折ピークの半値幅(2θ)は2.593°であり、その結晶面(111)に起因する結晶子サイズは3.29nmであった。負極活物質粒子は、内部にLi2SiO3及びLi4SiO4が含まれているものであった。また、炭素被膜の含有率が負極活物質粒子及び炭素被膜の合計に対し、5質量%であった。
基本的に実施例5−3と同様に二次電池の製造を行ったが、負極活物質粒子を被覆している被膜には、水酸基を1分子中に2個以上有する物質としてプロパンジオール、炭酸リチウム、フッ化ホスホリル、及びTOF−SIMSで得られる陽イオンスペクトルとしてCH2、C2H3、C3H5が検出される炭化水素が含まれていた。
負極活物質粒子のメディアン径D50は4μmであった。X線回折により得られる(111)結晶面に起因する回折ピークの半値幅(2θ)は2.593°であり、その結晶面(111)に起因する結晶子サイズは3.29nmであった。負極活物質粒子は、内部にLi2SiO3及びLi4SiO4が含まれているものであった。また、炭素被膜の含有率が負極活物質粒子及び炭素被膜の合計に対し、5質量%であった。
基本的に実施例5−3と同様に二次電池の製造を行ったが、ケイ素化合物のバルク改質時の、Li化合物作製時の電位、電流量、Liの挿入離脱手法を制御し、ケイ素化合物に生成される含有物の状態を変化させた。電気化学的に改質すると、内部にLi2SiO3、Li6Si2O7、Li4SiO4が生成する。これにより、実施例7−1では、ケイ素化合物内部にLi2SiO3、Li6Si2O7、Li4SiO4が生成した状態とした。実施例7−2では、ケイ素化合物内部にLi2SiO3が、実施例7−3ではケイ素化合物内部にLi4SiO4が存在する状態とした。
XPS
・装置: X線光電子分光装置
・X線源: 単色化Al Kα線
・X線スポット径: 100μm
・Arイオン銃スパッタ条件: 0.5kV 2mm×2mm
29Si MAS NMR(マジック角回転核磁気共鳴)
・装置: Bruker社製700NMR分光器
・プローブ: 4mmHR−MASローター 50μL
・試料回転速度: 10kHz
・測定環境温度: 25℃
負極活物質粒子のメディアン径D50は4μmであった。X線回折により得られる(111)結晶面に起因する回折ピークの半値幅(2θ)は2.593°であり、その結晶面(111)に起因する結晶子サイズは3.29nmであった。また、炭素被膜の含有率が負極活物質粒子及び炭素被膜の合計に対し、5質量%であった。
基本的に実施例5−3と同様に二次電池の製造を行ったが、負極活物質粒子を覆う炭素被膜の量を変化させることで、負極活物質粒子及び炭素被膜の合計に対する炭素被膜の含有率を表8に示すように変化させた。炭素被膜の量は、ケイ素化合物を熱分解CVD処理する際の、温度、処理時間を変化させることで調整している。
負極活物質粒子のメディアン径D50は4μmであった。X線回折により得られる(111)結晶面に起因する回折ピークの半値幅(2θ)は2.593°であり、その結晶面(111)に起因する結晶子サイズは3.29nmであった。
ケイ素化合物の結晶性を変化させた他は、実施例5−3と同様に二次電池の製造を行った。結晶性の変化はLiの挿入、脱離後の非大気雰囲気下の熱処理で制御可能である。実施例9−1〜9−9のケイ素化合物の半値幅を表9中に示した。実施例9−9では半値幅を20°以上と算出しているが、解析ソフトを用いフィッティングした結果であり、実質的にピークは得られていない。よって実施例9−9のケイ素系活物質は、実質的に非晶質であると言える。
ケイ素化合物のメディアン径を変化させた他は、実施例5−3と同様に二次電池の製造を行った。実施例10−1〜10−7のケイ素化合物のメディアン径を表10中に示した。
X線回折により得られる(111)結晶面に起因する回折ピークの半値幅(2θ)は2.593°であり、その結晶面(111)に起因する結晶子サイズは3.29nmであった。
基本的に実施例5−3と同様に二次電池の製造を行ったが、本発明の負極材と混合する炭素系活物質の割合を変化させて負極電極の作製を行った。
表11に、負極における負極活物質の総量に対する、ケイ素化合物の比を示す。
負極活物質粒子のメディアン径D50は4μmであった。X線回折により得られる(111)結晶面に起因する回折ピークの半値幅(2θ)は2.593°であり、その結晶面(111)に起因する結晶子サイズは3.29nmであった。
しかしながら一般的な炭素材の可逆容量が330mAh/g程度であり、1500mAh/g(0V−1.2V)で得られるケイ素材は十分に容量が高く、実質的な使用方法として、ケイ素材を添加する事で電池容量維持率は低下するが、電池容量が大幅に向上する。特にケイ素材は炭素材に対して放電電位が高く、電池容量を考慮した場合、実質的な容量向上に繋がりづらい。
そこで実際に得られたケイ素材をもって容量向上がどの領域から得られるか算出したところ、4質量%程度添加すれば容量向上となることがわかった。
図4中のaで示すグラフは、負極活物質中において本発明の負極材の比率を増加させた場合の電池容量の増加率を示している。一方、図4中のbで示すグラフは、Liをドープしていないケイ素系活物質の比率を増加させた場合の電池容量の増加率を示している。図4から分かるように、負極活物質中での本発明の負極活物質粒子の比率が4質量%以上となると、電池容量の増加率は従来に比べて大きくなり、体積エネルギー密度が、特に顕著に増加する。
基本的に実施例5−3と同様に二次電池の製造を行ったが、実施例12−1では、負極合剤スラリーの作製の際、導電助剤としてカーボンナノチューブ(CNT)を添加しなかった。
負極活物質粒子のメディアン径D50は4μmであった。X線回折により得られる(111)結晶面に起因する回折ピークの半値幅(2θ)は2.593°であり、その結晶面(111)に起因する結晶子サイズは3.29nmであった。
20…バルク内改質装置、 21…陽電極(リチウム源、改質源)、
22…酸化ケイ素の粉末、 23…有機溶媒、 24…セパレータ、
25…粉末格納容器、 26…電源、 27…浴槽、
30…リチウム二次電池(ラミネートフィルム型)、 31…巻回電極体、
32…正極リード、 33…負極リード、 34…密着フィルム、
35…外装部材。
Claims (16)
- Li化合物が含まれるケイ素化合物(SiOx:0.5≦x≦1.6)から成る負極活物質粒子を含む非水電解質二次電池用負極材であって、
前記負極活物質粒子は、エチレングリコール、及びプロパンジオールのうち少なくとも1種以上が含まれる水酸基を1分子中に2個以上有する物質、フッ化ホスホリル、炭酸リチウム、及びTOF−SIMSで得られる陽イオンスペクトルとしてCyHz(1≦y≦3、2≦z≦5)が検出される炭化水素の4種より選択される少なくとも2種以上が含まれる被膜で被覆されたものであることを特徴とする非水電解質二次電池用負極材。 - 前記被膜が、
前記エチレングリコール、及びプロパンジオールのうち少なくとも1種以上が含まれる水酸基を1分子中に2個以上有する物質を含み、かつ、前記フッ化ホスホリル又は前記炭酸リチウムを含む被膜であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極材。 - 前記被膜が、
前記炭酸リチウムを含み、かつ、前記フッ化ホスホリル又は前記TOF−SIMSで得られる陽イオンスペクトルとしてCyHz(1≦y≦3、2≦z≦5)が検出される炭化水素を含む被膜であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極材。 - 前記負極活物質粒子が、さらに、エチレンカーボネートの重合物、及びプロピレンカーボネートの重合物のうち少なくとも1種以上含まれる被膜で被覆されたものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極材。
- 前記負極活物質粒子が炭素被膜で被覆されたものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極材。
- 前記炭素被膜の含有率が、前記負極活物質粒子及び前記炭素被膜の合計に対し、0.1質量%以上15質量%以下であることを特徴とする請求項5に記載の非水電解質二次電池用負極材。
- 前記負極活物質粒子は、その表層に、カルボキシル基を有する結着剤を介して炭素粒子が付着していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極材。
- 前記負極活物質粒子に付着している前記炭素粒子はメディアン径が20nm以上200nm以下のものであることを特徴とする請求項7に記載の非水電解質二次電池用負極材。
- 前記カルボキシル基を有する結着剤は、カルボキシメチルセルロース及びその金属塩並びに、ポリアクリル酸及びその金属塩のうち少なくとも1種以上が含まれるものであることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の非水電解質二次電池用負極材。
- 前記ケイ素化合物に含まれるLi化合物として、Li2SiO3、Li6Si2O7、及びLi4SiO4のうち、少なくとも一つ以上が、前記ケイ素化合物の内部に存在することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極材。
- 前記負極活物質粒子のメディアン径は0.5μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極材。
- 請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極材を含む非水電解質二次電池用負極であって、前記非水電解質二次電池用負極における負極活物質の総量に対する前記ケイ素化合物の比が、4質量%以上のものであることを特徴とする非水電解質二次電池用負極。
- 前記非水電解質二次電池用負極が、カーボンナノチューブを含むものであることを特徴とする請求項12に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記非水電解質二次電池用負極はバインダーとしてカルボキシメチルセルロースまたはその金属塩と、ポリアクリル酸またはその金属塩と、スチレンブタジエンゴムとを含むことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 正極活物質を含有する正極と、請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極と、非水溶媒と支持塩と添加剤を有する非水電解質とを備えたものであることを特徴とする非水電解質二次電池。
- 前記非水電解質は、前記非水溶媒として鎖状カーボネート、環状カーボネート又はその両方を含むことを特徴とする請求項15に記載の非水電解質二次電池。
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