以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例について詳細に説明する。なお、以下では、説明の便宜上、スマートデバイス14を現に所持している所持者を、単に「所持者」と称する。
一例として図1に示すように、本実施形態に係る測量システム10は、測量機12、及び、本発明に係る端末装置の一例であるスマートデバイス14を含む。
測量機12は、照射受光部16、受信部18、及び測量機制御部20を備えている。照射受光部16は、水平方向に回転可能であり、反射体に対して光を照射して反射体での反射光を受光する。受信部18は、スマートデバイス14により送信された後述の指示情報を受信する。測量機制御部20は、受信部18により受信された指示情報に基づいて照射受光部16を回転させるように照射受光部16を制御する。
スマートデバイス14は、取得部22、通信部24、制御部26、提示部28、及び基準方位検出部30を備えている。
取得部22は、異なる測点の位置を各々特定する複数の座標から、測量対象とされた測点の位置を特定する座標である測量対象座標を取得する。通信部24は、測量機12と通信を行う。制御部26は、照射受光部16の現在の位置及び向きを示す照射受光部情報と取得部22により取得された測量対象座標とに基づいて、照射受光部16を測量対象座標により特定される位置に向けるために要する回転角度を求める。そして、制御部26は、求めた回転角度で測量機12に対して照射受光部16を回転させることを指示する第1指示情報が測量機12に送信されるように通信部24を制御する。
取得部22は、スマートデバイス14の現在位置を特定する現在位置特定情報を取得する。制御部26は、所持者を測量対象座標により特定される位置まで誘導する誘導情報が提示部28によって提示されるように提示部28を制御する。ここで、誘導情報は、距離及び方向の少なくとも1つに関する情報を含む情報である。「距離」とは、取得部22により取得された現在位置特定情報により特定される現在位置から測量対象座標により特定される位置までの距離を指す。また、「方向」とは、取得部22により取得された現在位置特定情報により特定される現在位置から測量対象座標により特定される位置への方向を指す。
基準方位検出部30は、基準方位を検出する。ここで、上述した「方向に関する情報」とは、スマートデバイス14に対して固定された基準方向と方向との成す角度に相当する情報であって、基準方位検出部30により検出された基準方位と基準方向との成す角度の変化量に応じて更新される情報である。
スマートデバイス14は、撮影が可能な撮影部32を含む。制御部26は、通信部24と測量機12との通信によって得られた測量機12での測量結果から特定される座標と測量対象座標とが所定範囲内で一致した場合に、反射体が置かれている場所が撮影部32によって撮影されるように撮影部32を制御する。
制御部26は、照射受光部16により反射光が受光された状態が解除された場合に、指示情報が測量機12に再送されるように通信部24を制御する。
一例として図2に示すように、測量機12は、器械点38に設置された三脚40と、三脚40の上部に固定された支持体42と、水平方向及び鉛直方向に回転可能に支持体42に支持された測量機本体44と、を含む。測量機本体44は、照射受光部16を備えており、測量機本体44が回転することによって照射受光部16による光の照射方向が変更される。照射受光部16は、光の一例であるレーザ光Lを、細長の棒形状のピンポール46にスライド自在に取り付けられた反射体の一例であるプリズム48に照射し、プリズム48でレーザ光Lが反射されて得られた反射光を受光する。
ピンポール46には、ホルダ56がスライド自在に取り付けられている。スマートデバイス14は、ホルダ56によって特定の姿勢で保持される。ここで、特定の姿勢とは、例えば、ピンポール46が測点58に置かれた場合に、スマートデバイス14のディスプレイ72Bの面とは反対側の面であるスマートデバイス14の背面が測点58に対面する水平な姿勢を指す。
スマートデバイス14は、インターネット回線や専用回線等のネットワーク50に接続されているWi−Fiアクセスポイント(以下、「AP」という)52とWi−Fi通信を行うことで、ネットワーク50に接続されている外部装置(図示省略)と通信を行う。また、スマートデバイス14は、測量機12とWi−Fi通信を直接行う。更に、スマートデバイス14は、複数のGPS(Global Positioning System)衛星54からの電波を受信する。
一例として図3に示すように、スマートデバイス14は、CPU60、一次記憶部62、及び二次記憶部64を備えている。一次記憶部62は、揮発性のメモリ(例えばRAM(Random Access Memory))である。二次記憶部64は、不揮発性のメモリ(例えばフラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)など)である。CPU60、一次記憶部62、及び二次記憶部64は、バス66を介して相互に接続されている。
一次記憶部62は、移動距離記憶領域62A、磁北角度記憶領域62B、及び移動角度記憶領域62Cを有する。
二次記憶部34は、第1測量補助プログラム63、第2測量補助プログラム68、及び座標変換テーブル69を記憶している。なお、以下では、説明の便宜上、第1測量補助プログラム63及び第2測量補助プログラム68を区別して説明する必要がない場合、これらを総称して「測量補助プログラム」と称する。
CPU60は、二次記憶部64から測量補助プログラムを読み出して一次記憶部62に展開し、測量補助プログラムを実行する。CPU60は、測量補助プログラムを実行することで、図1に示す取得部22及び制御部26として動作する。
座標変換テーブル69は、CPU60によって第2測量補助プログラム68が実行されることによって用いられるテーブルであり、GPSを利用して算出された緯度及び経度を含むGPS情報を平面直角座標に変換するテーブルである。ここで、平面直角座標は、例えば、国土地理院によって定められた複数の区画の各々を個別に規定する平面直角座標である。
なお、ここでは測量補助プログラムを二次記憶部64から読み出す場合を例示したが、必ずしも最初から二次記憶部64に記憶させておく必要はない。例えば、スマートデバイス14に接続されて使用されるSSD(Solid State Drive)、DVDディスク、ICカード、光磁気ディスク、CD−ROMなどの任意の可搬型の記憶媒体に先ずは測量補助プログラムを記憶させておいてもよい。そして、CPU60がこれらの可搬型の記憶媒体から測量補助プログラムを取得して実行するようにしてもよい。また、通信回線を介してスマートデバイス14に接続されるコンピュータ又はサーバ装置等の外部電子計算機の記憶部に測量補助プログラムを記憶させておいてもよい。この場合、CPU60は外部電子計算機から測量補助プログラムを取得して実行する。
スマートデバイス14は、リアルタイムクロック(以下、「RTC」という)65、図1に示す撮影部32の一例であるカメラ67、ハードキー70、タッチパネル・ディスプレイ72、及びスピーカ74を備えている。
RTC65は、現在時刻を刻む装置である。RTC65は、バス66に接続されており、CPU60からの要求に応じて現在時刻をCPU60へ出力する。ここで、現在時刻とは、年月日及び時分秒を指す。なお、本実施形態に係るスマートデバイス14では、電源投入後、AP52を介して時刻を示す時刻情報が受信され、受信された時刻情報により示される時刻が現在時刻としてRTC65に上書きされる。これにより、バッテリ無し又はバッテリ放電後でもRTC65の現在時刻が高精度に計時される。
カメラ67は、バス66に接続されており、CPU60からの要求に応じて撮影して得た画像をCPU60に出力する。なお、カメラ67は、スマートデバイス14の背面視上部に備えられている。カメラ67のレンズは、スマートデバイス14の背面から露出している。従って、スマートデバイス14が特定の姿勢でホルダ56によって保持された状態でピンポール46が測点58に置かれた場合、カメラ67の被写体領域は測点58側となり、測点58側がカメラ67によって撮影される。
ハードキー70は、所持者からの指示を受け付ける。ハードキー70は、バス66に接続されている。従って、ハードキー70によって受け付けられた指示は、CPU60によって把握される。
タッチパネル・ディスプレイ72は、タッチパネル72A及びディスプレイ72Bを備えている。ディスプレイ72Bは、バス66に接続されており、CPU60の制御下で各種情報を表示する。タッチパネル72Aは、透過型のタッチパネルであり、ディスプレイ72Bに重ねられている。タッチパネル72Aは、バス66に接続されており、タッチパネル72Aに対する指示体(例えば、所持者の指)による接触の有無や接触位置等の検知結果をCPU60に出力する。
スピーカ74は、バス66に接続されており、CPU60の制御下で音声を出力する。
スマートデバイス14は、モーションセンサ76、Wi−Fiインタフェース78、GPS受信部80、及び外部インタフェース82を備えている。モーションセンサ76、Wi−Fiインタフェース78、GPS受信部80、及び外部インタフェース82は、バス66に接続されている。
モーションセンサ76は、3軸加速度センサ84(以下、加速度センサ84と称する)、3軸角速度センサ86(以下、角速度センサ86と称する)及び3軸地磁気センサ88(以下、地磁気センサ88と称する)を有する9軸モーションセンサである。加速度センサ84は、3軸の加速度を検出する。角速度センサ86は、3軸の角速度を検出する。図1に示す基準方位検出部30の一例である地磁気センサ88は、3軸の地磁気の向きを検出することにより本発明に係る基準方位の一例である磁北を検出する。ここで、3軸とは、例えば、スマートデバイス14における3次元空間を規定し、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を指す。X軸とは、スマートデバイス14の筐体の正面視短辺方向に沿った軸を指す。Y軸とは、スマートデバイス14の筐体の正面視長辺方向に沿った軸を指す。Z軸とは、X軸及びY軸の双方に対して直交する方向(スマートデバイス14の筐体の厚さ方向)に沿った軸を指す。
モーションセンサ76は、CPU60の要求に応じて、加速度センサ84、角速度センサ86、及び地磁気センサ88の各々による検出結果を含むモーションセンサ情報をCPU60に出力する。従って、CPU60は、モーションセンサ76から入力されたモーションセンサ情報に基づいて、スマートデバイス14の動きの変化、スマートデバイス14の傾き、スマートデバイス14の回転角度、及び磁北等を検出することができる。
図1に示す通信部24の一例であるWi−Fiインタフェース78は、バス66に接続されている。Wi−Fiインタフェース78は、AP52を利用してスマートデバイス14と、ネットワーク50に接続されている外部装置とを通信可能に接続する。
Wi−Fiインタフェース78は、例えば、無線通信プロセッサ(図示省略)、送受信回路(図示省略)及びアンテナ(図示省略)により実現される。無線通信プロセッサは、CPU60と情報の授受を行う。また、無線通信プロセッサは、CPU60の指示を受けて送受信回路及びアンテナを介して、複数のAP52及び測量機12の何れかを通信先として設定する。
スマートデバイス14は、無線通信プロセッサによって何れかのAP52が通信先として設定された場合、Wi−Fiインタフェース78を介してAP52と無線通信を行うことが可能となる。なお、スマートデバイス14では、無線通信プロセッサと特定の通信装置(例えば、CPU60によって選択されたAP52又は測量機12)との間でアソシエーションが行われて通信路が確立されることで、特定の通信装置が通信先として設定される。
GPS受信部80は、CPU60からの指示に応じて複数のGPS衛星54からの電波を受信し、受信結果を示す受信結果情報をCPU60に出力する。CPU60は、GPS受信部80から入力された受信結果情報に基づいてGPS情報を算出する。
外部インタフェース82は、パーソナル・コンピュータ(以下、「PC」と称する)やUSBメモリ等の外部装置が接続され、外部装置とCPU60との間の各種情報の送受信を司る。
一例として図4に示すように、測量機12は、CPU90、一次記憶部92、及び二次記憶部94を備えている。CPU90、一次記憶部92、及び二次記憶部94は、バス96を介して相互に接続されている。
二次記憶部94は、第1測量機側プログラム98及び第2測量機側プログラム100を記憶している。なお、以下では、説明の便宜上、第1測量機側プログラム98及び第2測量機側プログラム100を区別して説明する必要がない場合、これらを総称して「測量機側プログラム」と称する。
CPU90は、二次記憶部94から測量機側プログラムを読み出して一次記憶部92に展開し、測量機側プログラムを実行する。CPU90は、測量機側プログラムを実行することで、図1に示す測量機制御部20として動作する。
なお、ここでは測量機側プログラムを二次記憶部94から読み出す場合を例示したが、必ずしも最初から二次記憶部94に記憶させておく必要はない。例えば、測量機12に接続されて使用される任意の可搬型の記憶媒体に先ずは測量機側プログラムを記憶させておいてもよい。そして、CPU90が可搬型の記憶媒体から測量機側プログラムを取得して実行するようにしてもよい。また、通信回線を介して測量機12に接続されるコンピュータ又はサーバ装置等の外部電子計算機の記憶部に測量機側プログラムを記憶させておいてもよい。この場合、CPU90は外部電子計算機から測量機側プログラムを取得して実行する。
測量機12は、受付部102及びディスプレイ104を備えている。受付部102は、タッチパネル及びタッチパネル外に設けられたキー(ハードキー)等を含み、測量機12の利用者からの指示を受け付ける。ディスプレイ104は、例えば、タッチパネルに重ねられた液晶ディスプレイであり、CPU90の制御下で、各種情報を表示する。
測量機12は、外部インタフェース106を備えている。外部インタフェース106は、PCやUSBメモリ等の外部装置が接続され、外部装置とCPU90との間の各種情報の送受信を司る。
照射受光部16は、光照射部16A及び受光部16Bを有している。光照射部16Aは、バス96に接続されており、CPU90の制御下でレーザ光Lを照射する。受光部16Bは、プリズム48でレーザ光Lが反射されて得られた反射光を受光する。受光部16Bは、バス96に接続されており、CPU90は、受光部16Bでの受光結果を取得し、取得した受光結果に基づいて測距及び測角を行う。
測量機12は、各々モータやギア等を有する水平方向駆動部108及び鉛直方向駆動部110を備えている。水平方向駆動部108及び鉛直方向駆動部110は、バス96に接続されている。水平方向駆動部108は、CPU90の指示に従って測量機本体44を水平方向に回転させる。鉛直方向駆動部110は、CPU90の指示に従って測量機本体44を鉛直方向に回転させる。
測量機12は、図1に示す受信部18の一例であるWi−Fiインタフェース112を備えており、Wi−Fiインタフェース112は、バス96に接続されている。Wi−Fiインタフェース112は、例えば、無線通信プロセッサ(図示省略)、送受信回路(図示省略)及びアンテナ(図示省略)により実現される。無線通信プロセッサは、CPU90と情報の授受を行う。また、無線通信プロセッサは、CPU90の制御下で、送受信回路及びアンテナを介してスマートデバイス14とWi−Fi方式で通信を行う。
次に、本実施形態に係る測量システム10の作用を説明する。先ず、タッチパネル72Aによって第1測量補助処理の開始指示が受け付けられた場合にCPU60が第1測量補助プログラム63を実行することでCPU60によって行われる第1測量補助処理について、図5を参照して説明する。なお、第1測量補助処理の開始指示は、例えば、図2に示すように、測量アプリアイコン120に対する所持者によるタッチパネル72Aを介したタッチであるが、これに限らず、例えば、音声認識機能を利用した開始指示であってもよい。
また、以下では、説明の便宜上、地図内の特定の区画に含まれる複数の測点58に関するCAD(Computer Aided Design)データがCPU60によってネットワーク50経由で既に取得され、二次記憶部64に記憶されていることを前提として説明する。ここで、特定の区画とは、例えば、国土地理院によって1つの平面直角座標が割り当てられた区画を指す。また、CADデータは、複数の測点58の各々の平面直角座標である測点座標と、測点座標を一意に特定可能な測点特定情報とを含む。測点特定情報の一例としては、測点58の各々に予め付与された識別番号が挙げられる。
また、以下では、説明の便宜上、特定の区画内における器械点38の平面直角座標である器械点座標が既に二次記憶部64に記憶されている場合について説明する。また、以下では、説明の便宜上、スマートデバイス14がホルダ56によって特定の姿勢に保持されていることを前提として説明する。また、以下では、説明の便宜上、測量機本体44を水平方向に回転させる角度を「水平回転角度」と称し、測量機本体44を鉛直方向に回転させる角度を「鉛直回転角度」と称する。更に、説明の便宜上、測量機12において照射受光部16が作動していることを前提として説明する。
図5に示す第1測量補助処理では、先ず、ステップ150で、取得部22は、タッチパネル72Aが測点特定情報を受け付けたか否かを判定する。ステップ150において、タッチパネル72Aが測点特定情報を受け付けていない場合は、判定が否定されて、ステップ150の判定が再び行われる。ステップ150において、タッチパネル72Aが測点特定情報を受け付けた場合は、判定が肯定されて、ステップ152へ移行する。
なお、以下では、説明の便宜上、ステップ150でタッチパネル72Aによって受け付けられた測点特定情報により特定される測点58を「目標測点58A」と称する。また、以下では、説明の便宜上、ステップ150で測点特定情報が受け付けられてから後述のステップ180で移動角度が算出されるまでの間、スマートデバイス14のY軸の正方向が器械点38に正対していることを前提として説明する。
ステップ152で、取得部22は、目標測点58Aの測点座標を取得する。なお、本ステップ152で取得される測点座標は、本発明に係る測量対象座標の一例である。
次のステップ154で、制御部26は、プリズム48の捕捉を測量機12に対して指示する捕捉指示情報を測量機12に送信する。ここで、プリズム48の捕捉とは、光照射部16Aによりレーザ光Lがプリズム48に照射された際の反射光を受光部16Bが受光している状態を指す。
次のステップ156で、制御部26は、後述のステップ214の処理が測量機制御部20によって実行されることで送信された捕捉情報を受信したか否かを判定する。ステップ156において、捕捉情報を受信していない場合は、判定が否定されて、ステップ158へ移行する。ステップ156において、捕捉情報を受信した場合は、判定が肯定されて、ステップ166へ移行する。
ステップ158で、制御部26は、後述のステップ204の処理が測量機制御部20によって実行されることで送信された未捕捉情報を受信したか否かを判定する。ステップ158において、未捕捉情報を受信していない場合は、判定が否定されて、ステップ156へ移行する。ステップ158において、未捕捉情報を受信した場合は、判定が肯定されて、ステップ160へ移行する。
ステップ160で、制御部26は、後述のステップ206の処理が測量機制御部20によって実行されることで送信された向き情報を受信したか否かを判定する。ここで、向き情報とは、測量機本体44の現在の向き、すなわち、測量機本体44の現在の水平方向における回転角度を示す情報を指す。向き情報とは、例えば、測量機本体44の正面を特定の区画の原点に正対させた状態を0度とした場合の測量機本体44の水平方向における回転角度を示す情報を指す。
ステップ160において、向き情報を受信していない場合は、判定が否定されて、ステップ160の判定が再び行われる。ステップ160において、向き情報を受信した場合は、判定が肯定されて、ステップ162へ移行する。
ステップ162で、制御部26は、光照射部16Aによるレーザ光Lの照射方向をステップ152で取得された測点座標により特定される測点58に正対させるために要する水平回転角度を算出する。水平回転角度は、器械点座標、ステップ152で取得された測点座標、及びステップ160で受信した向き情報に基づいて算出される。なお、器械点座標及びステップ160で受信した向き情報は、本発明に係る照射受光部情報の一例である。
次のステップ164で、制御部26は、ステップ162で算出した水平回転角度を示す回転角度情報を送信し、その後、ステップ156へ移行する。なお、本ステップ164で送信される回転角度情報は、本発明に係る指示情報の一例である。
ステップ166で、制御部26は、測量機12に対して測量の開始を指示する測量開始指示情報を測量機12に送信する。
次のステップ168で、制御部26は、後述のステップ220の処理が測量機制御部20によって実行されることで送信された測量情報を受信したか否かを判定する。ここで、測量情報とは、測量機12により測量結果である測距値及び測角値を示す情報を指す。測距値とは、照射受光部16からプリズム48までの斜距離を指し、測角値とは、基準点からプリズム48までの水平回転角度及び鉛直回転角度を指す。
ステップ168において、測量情報を受信していない場合は、判定が否定されて、ステップ168の判定が再び行われる。ステップ168において、測量情報を受信した場合は、判定が肯定されて、ステップ170へ移行する。
ステップ170で、制御部26は、器械点座標、及びステップ168で受信した測量情報から、現在位置の平面直角座標である現在位置座標を算出する。なお、ここで言う「現在位置座標」は、本発明に係る現在位置特定情報の一例である。
次のステップ172で、制御部26は、ステップ152で取得された測点座標、及びステップ170で算出した現在位置座標から目標測点58Aまでの移動に要する距離である移動距離を算出する。そして、制御部26は、算出した移動距離を移動距離記憶領域62Aに記憶(上書き保存)する。なお、移動距離記憶領域62Aに記憶された移動距離は、本発明に係る距離の一例である。
次のステップ174で、制御部26は、地磁気センサ88での検出結果に基づいて、X−Y平面内での磁北の角度である磁北角度を算出する。ここで、X−Y平面とは、スマートデバイス14のY軸の正方向を0度としたスマートデバイス14でのX−Y平面を指す。
次のステップ176で、制御部26は、ステップ174で算出した磁北角度が初期磁北角度か否かを判定する。なお、初期磁北角度とは、ステップ150で測点特定情報が受け付けられてから最初にステップ174で算出された磁北角度を指す。
ところで、磁北角度記憶領域62Bには、実際に算出不可能な角度として予め定められた初期設定角度(例えば10000度)が記憶されており、後述のステップ178で磁北角度が記憶(上書き保存)される。磁北角度記憶領域62Bの記憶内容は、例えば、ステップ150で新たな測点特定情報が受け付けられた場合に、初期設定角度にリセットされる。従って、本ステップ176において、ステップ174で算出した磁北角度が初期磁北角度か否かは、初期設定角度が磁北角度記憶領域62Bに記憶されていないか否かによって判定される。すなわち、本ステップ176では、初期設定角度が磁北角度記憶領域62Bに記憶されている場合は、ステップ174で算出した磁北角度が初期磁北角度であると判定される。
ステップ176において、ステップ174で算出した磁北角度が初期磁北角度の場合は、判定が肯定されて、ステップ178へ移行する。ステップ176において、ステップ174で算出した磁北角度が初期磁北角度でない場合は、判定が否定されて、ステップ182へ移行する。
ステップ178で、制御部26は、ステップ174で算出した磁北角度を磁北角度記憶領域62Bに記憶(上書き保存)する。
次のステップ180で、制御部26は、器械点座標、ステップ152で取得された測点座標、及びステップ170で算出した現在位置座標から、X−Y平面内における現在位置から目標測点58Aへの移動に要する角度である移動角度を算出する。そして、制御部26は、算出した移動角度を移動角度記憶領域62Cに記憶(上書き保存)し、その後、ステップ186へ移行する。なお、移動角度記憶領域62Cに記憶された移動角度は、本発明に係る方向の一例である。
ステップ182で、制御部26は、磁北角度差を算出する。ここで、磁北角度差とは、磁北角度記憶領域62Bに記憶されている初期磁北角度から、ステップ174で算出した磁北角度を減じて得た角度差を指す。
次のステップ184で、制御部26は、ステップ182で算出した磁北角度差に基づいて、移動角度記憶領域62Cに記憶されている移動角度を更新する。すなわち、制御部26は、移動角度記憶領域62Cに記憶されている移動角度から、ステップ182で算出した磁北角度差を減じて得た角度を最新の移動角度として移動角度記憶領域62Cに記憶(上書き保存)する。
ここで、移動角度の更新方法の具体例について図8を参照しながら説明する。図8には、スマートデバイス14が第1配置例⇒第2配置例の順に遷移する状態の一例を示す状態遷移図が示されている。なお、図8に示す第1配置例及び第2配置例では、説明の便宜上、所持者がスマートデバイス14のY軸の正方向と反対方向(Y軸の負方向)に立ってスマートデバイス14の方向を向いてピンポール46を把持していることを前提として説明する。
一例として図8に示すように、第1配置例は、Y軸の正方向が器械点38に向けられたスマートデバイス14の配置例である。第1配置例では、ステップ174で算出される磁北角度が315度であり、ステップ180で算出される移動角度が270度である。第2配置例は、第1配置例に比べ、中心点Oを軸にしてスマートデバイス14が反時計回りに90度回転している点が異なる。第2配置例では、ステップ174で算出される磁北角度が45度である。
ここで、第1配置例に示される磁北角度を初期磁北角度とすると、ステップ182で算出される磁北角度差は270度(=315度−45度)である。この場合、ステップ184では、第1配置例に示される移動角度の270度から磁北角度差の270度を減じて得た角度である0度が最新の移動角度(更新後の移動角度)として移動角度記憶領域62Cに記憶される。
ステップ186で、制御部26は、ステップ172で算出した移動距離、及び本発明に係る方向に関する情報の一例である移動方向を、ディスプレイ72Bに表示し、かつ、スピーカ74により音声で出力する。なお、ディスプレイ72Bに表示され、かつ、スピーカ74により音声で出力される移動距離及び移動方向は、本発明に係る誘導情報の一例である。
ここで、移動方向とは、移動角度記憶領域62Cに記憶されている移動角度から一意に定まる方向を指す。ステップ186では、例えば、図8に示す第1配置例の場合、Y軸の正方向に対して時計回りに270度回転した方向を指し示す矢印がディスプレイ72Bに表示されると共に、ステップ172で算出された移動距離が表示される。また、スピーカ74により、「左方向にXXXメートル移動して下さい」とのメッセージが音声で出力される。このように、スピーカ74によって移動方向が提示される場合、所持者がスマートデバイス14のY軸の負方向に位置し、ディスプレイ72Bに対して正対している場合を前提とした方向が可聴表示される。
なお、図8に示す第2配置例の場合、例えば、Y軸の正方向が移動方向に該当するため、Y軸の正方向を指し示す矢印がディスプレイ72Bに表示されると共に、ステップ172で算出された移動距離が表示される。また、スピーカ74により、「前方にYYYメートル移動して下さい」とのメッセージが音声で出力される。
次のステップ188で、制御部26は、ステップ152で取得された測点座標とステップ170で算出した現在位置座標とが所定範囲内(一例として、10ミリメートル以内)で一致しているか否かを判定する。ステップ188において、ステップ152で取得された測点座標とステップ170で算出した現在位置座標とが所定範囲内で一致していない場合は、判定が否定されて、ステップ154へ移行する。ステップ188において、ステップ152で取得された測点座標とステップ170で算出した現在位置座標とが所定範囲内で一致している場合は、判定が肯定されて、ステップ190へ移行する。
ステップ190で、制御部26は、目標測点58Aの位置が未撮影位置か否かを判定する。未撮影位置とは、後述のステップ192でカメラ67によって未だに撮影されていない位置を指す。なお、目標測点58Aの位置が未撮影位置か否かは、ステップ150で受け付けられた測定特定情報を含む後述の撮影情報が二次記憶部64に記憶されているか否かによって判定される。
ステップ190において、ステップ150で受け付けられた測定特定情報により特定される目標測点58Aの位置が未撮影位置の場合は、判定が肯定されて、ステップ192へ移行する。ステップ190において、ステップ150で受け付けられた測定特定情報により特定される目標測点58Aの位置がカメラ67によって既に撮影された位置である場合は、判定が否定されて、ステップ196へ移行する。
ステップ192で、制御部26は、カメラ67による撮影を行う。ここで、カメラ67によって撮影されて得られた画像は、目標測点58A側を示す画像である。
次のステップ194で、制御部26は、撮影情報を二次記憶部64に記憶する。撮影情報とは、ステップ186でカメラ67によって撮影されて得られた画像と、ステップ150で受け付けられた測点特定情報と、ステップ188の処理が実行されたときにRTC65から取得した現在時刻とが互いに関連付けられた情報を指す。
次のステップ196で、制御部26は、第1測量補助処理を終了する条件を満たしたか否かを判定する。第1測量補助処理を終了する条件とは、例えば、ハードキー70及びタッチパネル72Aによって第1測量補助処理の終了指示が受け付けられたとの条件や、第1測量補助処理の実行が開始されてから所定時間(例えば、1時間)経過したとの条件を指す。
ステップ196において、第1測量補助処理を終了する条件を満たしていない場合は、判定が否定されて、ステップ154へ移行する。そして、測量機12によってプリズム48が捕捉されていない場合(ステップ158:Y)、ステップ164の処理が実行されることによって回転角度情報が測量機12に再送される。
ステップ196において、第1測量補助処理を終了する条件を満たした場合は、判定が肯定されて、第1測量補助処理を終了する。
次に、第1測量機側処理の開始条件を満たした場合にCPU90が第1測量機側プログラム98を実行することでCPU90によって行われる第1測量機側処理について、図7を参照して説明する。なお、第1測量機側処理の開始条件の一例としては、測量機12の主電源スイッチがオンされたとの条件が挙げられる。第1測量機側処理の開始条件の他例としては、タッチパネル72Aによって第1測量補助処理の開始指示が受け付けられた場合にスマートデバイス14から送信されるトリガ信号を受信したとの条件が挙げられる。
図7に示す第1測量機側処理では、ステップ200で、測量機制御部20は、制御部26によってステップ154の処理が実行されることで送信される捕捉指示情報を受信したか否かを判定する。ステップ200において、捕捉指示情報を受信していない場合は、判定が否定されて、ステップ200の判定が再び行われる。ステップ200において、捕捉指示情報を受信した場合は、判定が肯定されて、ステップ202へ移行する。
ステップ202で、測量機制御部20は、プリズム48を捕捉しているか否かを判定する。ステップ202において、プリズム48を捕捉している場合は、判定が肯定されて、ステップ214へ移行する。ステップ202において、プリズム48を捕捉していない場合は、判定が否定されて、ステップ204へ移行する。
ステップ204で、測量機制御部20は、プリズム48が未だに捕捉されていないことを示す未捕捉情報をスマートデバイス14に送信する。
次のステップ206で、測量機制御部20は、向き情報を生成し、生成した向き情報をスマートデバイス14に送信する。
次のステップ208で、測量機制御部20は、制御部26によってステップ164の処理が実行されることで送信される回転角度情報を受信したか否かを判定する。ステップ208において、回転角度情報を受信した場合は、判定が肯定されて、ステップ210へ移行する。ステップ208において、回転角度情報を受信していない場合は、判定が否定されて、ステップ208の判定が再び行われる。
ステップ210で、測量機制御部20は、ステップ208で受信した回転角度情報により示される水平回転角度が0度でないか否かを判定する。ステップ210において、ステップ208で受信した回転角度情報により示される水平回転角度が0度でない場合は、判定が肯定されて、ステップ212へ移行する。ステップ210において、ステップ208で受信した回転角度情報により示される水平回転角度が0度の場合は、判定が否定されて、ステップ213へ移行する。
ステップ212で、測量機制御部20は、水平方向駆動部108を駆動させることで、ステップ208で受信した回転角度情報により示される水平回転角度だけ測量機本体44を水平方向に回転させる。これにより、プリズム48が目標測点58Aに到達する前に、光照射部16Aが水平方向において目標測点58Aに先回りして正対することになる。
次のステップ213で、測量機制御部20は、プリズム48を捕捉しているか否かを判定する。ステップ213において、プリズム48を捕捉している場合は、判定が肯定されて、ステップ214へ移行する。ステップ213において、プリズム48を捕捉していない場合は、判定が否定されて、ステップ213の判定が再び行われる。
なお、図示は省略するが、ステップ213において判定が最初に否定された場合、測量機制御部20は、回転角度情報により示される水平回転角度だけ測量機本体44を水平方向に回転させたことを示す回転完了情報をスマートデバイス12に送信する。スマートデバイス12は、回転完了情報を受信すると、プリズム48の探索を測量機12に指示する探索指示情報を送信する。CPU90は、Wi−Fiインタフェース112によって探索指示情報が受信されたことを条件に所定の制御プログラム(図示省略)を実行することで、プリズム48を捕捉するまで、測量機本体44を水平方向及び鉛直方向に回転させる。
ステップ214で、測量機制御部20は、プリズム48が捕捉されていることを示す捕捉情報をスマートデバイス14に送信する。
次のステップ216で、測量機制御部20は、制御部26によってステップ166の処理が実行されることで送信される測量開始指示情報を受信したか否かを判定する。ステップ216において、測量開始指示情報を受信していない場合は、判定が否定されて、ステップ216の判定が再び行われる。ステップ216において、測量開始指示情報を受信した場合は、判定が肯定されて、ステップ218へ移行する。
ステップ218で、測量機制御部20は、測距及び測角を行う。
次のステップ220で、測量機制御部20は、ステップ218で行った測距及び測角によって得られた測距値及び測角値を示す測量情報をスマートデバイス14に送信する。
次のステップ222で、測量機制御部20は、第1測量機側処理を終了する条件を満たしたか否かを判定する。第1測量機側処理を終了する条件とは、例えば、受付部102によって第1測量機側処理の終了指示が受け付けられたとの条件や、第1測量補助処理の実行が開始されてから所定時間(例えば、1時間)経過したとの条件を指す。
ステップ222において、第1測量機側処理を終了する条件を満たしていない場合は、判定が否定されて、ステップ200へ移行する。ステップ222において、第1測量機側処理を終了する条件を満たした場合は、判定が肯定されて、第1測量機側処理を終了する。
次に、第2測量補助処理の開始条件を満たした場合にCPU60が第2測量補助プログラム68を実行することでCPU60によって行われる第2測量補助処理について、図9を参照して説明する。なお、第2測量補助処理の開始条件の一例としては、スマートデバイス14の主電源スイッチがオンされたとの条件や、主電源スイッチがオンされた状態でタッチパネル72Aによって第2測量補助処理の開始指示が受け付けられたとの条件が挙げられる。
図9に示す第2測量補助処理では、ステップ250で、取得部22は、GPS受信部80から入力された受信結果情報に基づいてGPS情報を算出する。
次のステップ252で、制御部26は、座標変換テーブル69を参照して、ステップ250で算出したGPS情報を平面直角座標に変換する。
次のステップ254で、制御部26は、器械点38からスマートデバイス14の現在位置までの距離を算出する。器械点38からスマートデバイス14の現在位置までの距離とは、器械点座標とステップ252で得られた平面直角座標との距離を指す。なお、以下では、説明の便宜上、スマートデバイス14の現在位置を「デバイス現在位置」と称する。
次のステップ256で、制御部26は、ステップ254で算出した距離が所定距離(例えば、2000m)未満か否かを判定する。所定距離とは、例えば、光学的にプリズム48が捕捉可能な上限の距離以下であり、かつ、上述した特定の区画内に収まる距離を指す。本ステップ256で用いる所定距離は、固定値であってもよいし、ハードキー70又はタッチパネル72Aによって受け付けられた指示に応じてカスタマイズ可能な可変値であってもよい。
ステップ256において、ステップ254で算出した距離が所定距離以上の場合は、判定が否定されて、ステップ250へ移行する。ステップ256において、ステップ254で算出した距離が所定距離未満の場合は、判定が肯定されて、ステップ258へ移行する。
ステップ258で、制御部26は、第1測量補助処理を実行中か否かを判定する。ステップ258において、第1測量補助処理を実行中の場合は、判定が肯定されて、ステップ250へ移行する。ステップ258において、第1測量補助処理を実行していない場合は、判定が否定されて、ステップ260へ移行する。
ステップ260で、制御部26は、所持者が測量機本体44の水平方向における回転を指示する際に所持者によってタッチパネル72Aを介してオンされる回転指示ボタンをディスプレイ72Bに表示する。
ステップ262で、制御部26は、回転指示ボタンがオンされたか否かを判定する。ステップ262において、回転指示ボタンがオンされていない場合は、判定が否定されて、ステップ250へ移行する。ステップ262において、回転指示ボタンがオンされた場合は、判定が肯定されて、ステップ264へ移行する。
ステップ264で、制御部26は、測量機12に対して向き情報の送信を要求する送信要求情報を測量機12に送信する。
ステップ266で、制御部26は、後述のステップ302の処理が測量機制御部20によって実行されることで送信される向き情報を受信したか否かを判定する。ステップ266において、向き情報を受信していない場合は、判定が否定されて、ステップ266の判定が再び行われる。ステップ266において、向き情報を受信した場合は、判定が肯定されて、ステップ268へ移行する。
ステップ268で、制御部26は、光照射部16Aによるレーザ光Lの照射方向を、ステップ252で得られた平面直角座標により特定されるデバイス現在位置に正対させるために要する水平回転角度を算出する。水平回転角度は、器械点座標、ステップ252で得られた平面直角座標、及びステップ266で受信した向き情報に基づいて算出される。
次のステップ270で、制御部26は、ステップ268で算出した水平回転角度を示す回転角度情報を送信し、その後、ステップ272へ移行する。
ステップ272で、制御部26は、第2測量補助処理を終了する条件を満たしたか否かを判定する。第2測量補助処理を終了する条件とは、例えば、ハードキー70及びタッチパネル72Aによって第2測量補助処理の終了指示が受け付けられたとの条件や、第2測量補助処理の実行が開始されてから所定時間(例えば、1時間)経過したとの条件を指す。
ステップ272において、第2測量補助処理を終了する条件を満たしていない場合は、判定が否定されて、ステップ250へ移行する。ステップ272において、第2測量補助処理を終了する条件を満たした場合は、判定が肯定されて、第2測量補助処理を終了する。
次に、第2測量機側処理の開始条件を満たした場合にCPU90が第2測量機側プログラム100を実行することでCPU90によって行われる第2測量機側処理について、図10を参照して説明する。なお、第2測量機側処理の開始条件の一例としては、測量機12の主電源スイッチがオンされたとの条件や、タッチパネル72Aによって第2測量補助処理の開始指示が受け付けられた場合にスマートデバイス14から送信されるトリガ信号を受信したとの条件が挙げられる。
図10に示す第2測量機側処理では、ステップ300で、測量機制御部20は、ステップ264の処理が制御部26によって実行されることで送信される送信要求情報を受信したか否かを判定する。ステップ300において、送信要求情報を受信していない場合は、判定が否定されて、ステップ300の判定が再び行われる。ステップ300において、送信要求情報を受信した場合は、判定が肯定されて、ステップ302へ移行する。
ステップ302で、測量機制御部20は、向き情報を生成し、生成した向き情報をスマートデバイス14に送信する。
次のステップ304で、測量機制御部20は、制御部26によってステップ270の処理が実行されることで送信される回転角度情報を受信したか否かを判定する。ステップ304において、回転角度情報を受信した場合は、判定が肯定されて、ステップ306へ移行する。ステップ304において、回転角度情報を受信していない場合は、判定が否定されて、ステップ304の判定が再び行われる。
ステップ306で、測量機制御部20は、ステップ304で受信した回転角度情報により示される水平回転角度が0度でないか否かを判定する。ステップ306において、ステップ304で受信した回転角度情報により示される水平回転角度が0度でない場合は、判定が肯定されて、ステップ308へ移行する。ステップ306において、ステップ304で受信した回転角度情報により示される水平回転角度が0度の場合は、判定が否定されて、ステップ310へ移行する。
ステップ308で、測量機制御部20は、水平方向駆動部108を駆動させることで、ステップ304で受信した回転角度情報により示される水平回転角度だけ測量機本体44を水平方向に回転させる。
次のステップ310で、測量機制御部20は、第2測量機側処理を終了する条件を満たしたか否かを判定する。第2測量機側処理を終了する条件とは、例えば、受付部102によって第2測量機側処理の終了指示が受け付けられたとの条件や、第2測量補助処理の実行が開始されてから所定時間(例えば、1時間)経過したとの条件を指す。
ステップ310において、第2測量機側処理を終了する条件を満たしていない場合は、判定が否定されて、ステップ300へ移行する。ステップ310において、第2測量機側処理を終了する条件を満たした場合は、判定が肯定されて、第2測量機側処理を終了する。
以上説明したように、スマートデバイス14では、制御部26により、器械点座標、向き情報、及び測点座標に基づいて水平回転角度が求められる(ステップ162)。そして、制御部26により、求められた水平回転角度を示す回転角度情報が測量機12に送信される(ステップ164)。測量機12では、測量機制御部20により、スマートデバイス14により送信された回転角度情報により示される水平回転角度で照射受光部16を回転させるように水平方向駆動部108が制御される(ステップ212)。従って、測量システム10は、照射受光部16を目標測点58Aに向ける作業に要する手間を軽減することができる。
また、スマートデバイス14では、移動距離及び移動方向がディスプレイ72Bに表示され、かつ、スピーカ74により移動距離及び移動方向が音声で出力される(ステップ186)。従って、スマートデバイス14は、所持者を目標測点58Aに高精度に誘導することができる。
また、スマートデバイス14では、ディスプレイ72B及びスピーカ74によって提示される移動方向が、磁北角度の変化量に応じて更新される移動角度から一意に定まる。従って、スマートデバイス14は、スマートデバイス14の向きに拘わらず、所持者に対して移動方向を高精度に提示することができる。
また、スマートデバイス14では、スピーカ74により移動距離及び移動方向が音声で出力される(ステップ186)。従って、スマートデバイス14は、所持者を音声で目標測点58Aに誘導することができる。
また、スマートデバイス14では、器械点座標、向き情報、及びGPS情報に基づいて水平回転角度が求められる(ステップ268)。そして、制御部26により、求められた水平回転角度を示す回転角度情報が測量機12に送信される(ステップ270)。測量機12では、測量機制御部20により、スマートデバイス14により送信された回転角度情報により示される水平回転角度で照射受光部16を回転させるように水平方向駆動部108が制御される(ステップ308)。従って、測量システム10は、測量機12に対してプリズム48を捕捉させる作業に要する手間を軽減することができる。
また、スマートデバイス14では、測点座標と現在位置座標とが所定範囲内で一致している場合(ステップ188:Y)、目標測点58A側がカメラ67によって撮影される。従って、スマートデバイス14は、測量完了時の撮影作業に要する手間を軽減することができる。
なお、上記実施形態では、測量機12とスマートデバイス14とが直接Wi−Fi通信を行うことで、スマートデバイス14が測量機本体44の回転を制御する場合を例示したが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図11に示すように、測量機12がAP52を介してネットワーク50に接続されることを前提として、スマートデバイス14がネットワーク50経由で測量機本体44の回転を制御するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、測量機本体44に照射受光部16が一体化されて組み込まれている場合を例示したが、照射受光部16が測量機本体44とは別体化されて測量機本体44に対して水平方向に回転可能に設けられていてもよい。この場合、水平方向駆動部108は、CPU90の制御下で、照射受光部16のみを水平方向に回転させる。
また、上記実施形態では、制御部26が、器械点座標、測点座標、及びステップ170で算出した現在位置座標から移動距離を算出する場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、制御部26は、ステップ172で移動距離を1回算出した後、目標測点58Aの測量が完了するまで、加速度センサ86により検出された加速度の積分値及び角速度センサ86により検出された角速度の積分値から移動距離を推定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、制御部26がステップ182で磁北角度差を算出してからステップ184で移動角度を更新する場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、制御部26は、移動角度記憶領域62Cに記憶されている移動角度に最新の磁北角度を加算して得た角度から初期磁北角度を減じて得た角度を最新の移動角度(更新後の移動角度)としてもよい。このように、移動角度は、角速度センサ86により検出された角速度の積分値に基づいて更新されるのではなく、磁北角度の変化量に応じて更新されるようにすればよい。
また、上記実施形態では、撮影情報が二次記憶部64に記憶される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、撮影情報はネットワーク50経由で外部装置に送信されるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、CPU60がGPS情報を算出する場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、GPS機能が搭載されたPC又は他のスマートデバイス等のGPS機能付き装置が外部インタフェース82に接続された場合に、CPU60は、GPS機能付き装置からGPS情報を取得するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、CPU60がネットワーク50経由でCADデータを取得する場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、CPU60は、外部インタフェース82に接続された外部装置からCADデータを取得するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、スマートデバイス14に地磁気センサ88が内蔵されていることを前提として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、スマートデバイス14に地磁気センサ88が内蔵されていない場合、外部インタフェース82に外付け用地磁気センサを接続してもよい。この場合、CPU60は、外付けの地磁気センサにより検出された磁北を参照して磁北角度を算出すればよい。
また、上記実施形態では、CPU60が測量情報に基づいて現在位置座標を算出する場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、CPU60はスマートデバイス14に外部インタフェース82に接続された外部電子計算機に器械点座標及び測量情報を提供し、外部電子計算機で算出された現在位置座標を取得するようにしてもよい。また、移動距離及び移動角度も外部計算機に計算させるようにしてもよい。このように、現在位置座標、移動距離、及び移動角度などをスマートデバイス14に接続された外部計算機に計算させ、CPU60が計算結果を取得することで、CPU60の演算負荷が軽減される。
また、上記実施形態では、ステップ186で移動距離及び移動方向が提示される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ステップ194の処理が実行された後に移動距離及び移動方向が提示されるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、移動距離及び移動方向がディスプレイ72B及びスピーカ74によって提示される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、移動距離又は移動方向が提示されるようにしてもよい。また、移動距離及び移動方向の少なくとも一方がディスプレイ72B又はスピーカ74によって提示されるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、スマートデバイス14に搭載されているディスプレイ72B及びスピーカ74によって移動距離及び移動方向が提示される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、外部インタフェース82に接続して使用される外部装置の提示デバイスを利用して移動距離及び移動方向の少なくとも一方が提示されるようにしてもよい。外部インタフェース82に接続して使用される外部装置の提示デバイスの一例としては、他のスマートデバイスのディスプレイ及びスピーカ、PCのディスプレイやスピーカ、又はウェアラブル端末装置のディスプレイ及びスピーカが挙げられる。
また、上記実施形態では、スマートデバイス14を例に挙げて説明したが、本発明は、携帯型のPC又はウェアラブル端末装置に対しても適用可能であることは言うまでもない。
また、上記実施形態では、測量補助プログラム及び測量機側プログラムを例示したがこれはあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。