以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
図1には、実施形態にかかる携帯型撮影装置の構成図が示される。図1において、携帯型撮影装置は、撮影装置10、角度距離計測器12、磁場計測器14、座標計測装置16、制御装置18を含んで構成されている。
撮影装置10は、CCDカメラその他の適宜なカメラにより構成され、撮影対象を撮影して、撮影対象の画像情報を生成する。なお、撮影装置10には、動画を撮影するビデオカメラを含んでもよい。また、撮影装置10は、撮影方向の俯角が異なる複数のカメラを上下あるいは左右方向に並べて備える構成としてもよい。更に、焦点距離の異なる複数のカメラを用い、広角レンズの撮影範囲に望遠レンズの撮影範囲が含まれるように構成してもよい。これにより、画角が広くなるとともに、高解像度を維持することができる。
角度距離計測器12は、撮影装置10の撮影位置と撮影対象との距離、撮影装置10の撮影方向の方位角、仰俯角を計測する。撮影位置と撮影対象との距離は、例えば従来公知のレーザー距離計等を使用して計測する。また、撮影方向は、例えば撮影装置10を構成するカメラのレンズの光軸方向であり、予め100m〜200mといった遠方において、カメラレンズの光軸と、角度距離計測器12を構成するレーザー距離計等の光軸が略平行となるよう調整された角度距離計測器12を用いて、撮影対象を標的する(撮影対象Pが角度距離計測器12の光軸上に位置する)ように筐体20の向きを調整し、上記撮影方向の方位角、仰俯角を計測する。この場合、撮影方向の方位角は、従来公知の磁気センサにより地磁気の方向を検出することにより計測する。また、撮影方向の仰俯角は、従来公知のジャイロスコープ等を使用して計測する。
なお、方位角の計測に磁気センサを用いる場合、磁気センサの設置場所すなわち携帯型撮影装置の設置場所によっては設置場所周辺の磁場の影響を受ける可能性がある。特に、ヘリコプター等の航空機上から計測を行う場合には、航空機を構成する金属材料やエンジンの動作に基づき地磁気以外の磁場が発生し、あるいは地磁気の歪み(大きさや方向の変動)が生じやすい。このため、磁気センサを使用して計測する撮影方向の方位角に誤差を生じさせる可能性が高い。
そこで、本実施形態では、後述する磁場総和を求め、撮影位置が携帯型撮影装置による撮影に適切な場所であるか否かを判定する構成となっている。
また、磁気センサ設置場所周辺に磁場の歪がある条件下で、地図データ等により別途座標値(例えば、経度、緯度、標高等、適宜な座標軸に基づいて決定することができる)が求まっている撮影対象の座標値と撮影位置の座標値とに基づき、撮影位置から別途座標値が求まっている撮影対象を臨む方位角を演算し、上記角度距離計測器12が計測した撮影位置から別途座標値が求まっている撮影対象の撮影方向の方位角と、上記方位角の演算結果との誤差を、複数の方位角毎に求めて、複数の方位角毎に演算された誤差と方位角との関係を補正情報として保持する構成とするのが好適である。この補正情報により、角度距離計測器12が計測した方位角を補正することができる。上記補正情報の取得及び方位角の補正処理は、後述する制御装置18が行う。
角度距離計測器12による上記距離及び角度の計測は、撮影装置10のシャッターと同期して行われてもよいし、シャッターとは別に上記距離及び角度を計測する構成としてもよい。なお、動画撮影を行っている場合には、所定時間間隔毎に上記計測を行う構成としてもよい。
磁場計測器14は、磁気センサにより構成され、上記磁場総和を求めるために、携帯型撮影装置の周辺の磁場の強度を任意の3軸方向で計測する。なお、磁場計測器14は、上記角度距離計測器12に含まれる磁気センサと兼用してもよい。この場合には、角度距離計測器12とは別に磁場計測器14を設ける必要はない。
座標計測装置16は、GPS(全地球測位システム)受信機を含んで構成され、撮影装置10の撮影位置の座標値(例えば、経度、緯度、標高)を計測する。なお、撮影対象の画像を平面(2次元)地図上に表示する場合には、撮影対象の座標(Z)の算出に必要な撮影位置のz座標の取得は必ずしも必要ではない。上記座標値の計測は、撮影装置10のシャッターと同期して行われる。なお、動画撮影を行っている場合には、所定時間間隔毎に上記座標値の計測を行う構成としてもよい。なお、図1では、座標計測装置16が通信線により制御装置18に接続されているが、この例は使用者が撮影時に自身の身につけて(例えばポケット等に挿入して)使用し、撮影装置10と使用者とが同じ位置であるとみなせることが前提となっている。この座標計測装置16は、後述する筐体20に固定してもよい。この場合、例えばヘリコプターの窓際等、GPS衛星からの電波を良好に受信できる場所に筐体20を配置することが好ましい。また、座標計測装置16のみをヘリコプターの窓際等、GPS衛星からの電波を良好に受信できる場所に配置し、GPS衛星からの電波を受信させてもよい。
制御装置18は、適宜なコンピュータにより構成され、上記座標計測装置16が計測した撮影位置の座標値、上記角度距離計測器12が計測した撮影位置と撮影対象との距離、上記方位角及び上記仰俯角に基づき、撮影対象の座標情報を求める。また、角度距離計測器12が計測した撮影位置と撮影対象との距離、上記方位角及び上記仰俯角、制御装置18が求めた座標情報等と、撮影装置10が撮影した撮影対象の画像情報とを関連付けて出力する。さらに、磁場計測器14が計測した任意の3軸方向の磁場の強度の大きさから磁場総和を算出する。ここで、磁場総和は、上記3軸方向における磁場の強度成分の2乗和の平方根である。磁場総和の値と基準値との差の絶対値が、予め定めた閾値を超えたときに、制御装置18が報知信号を出力する構成とするのが好適である。また、制御装置18は、上述した補正情報の取得及び方位角の補正処理も実行する。
なお、撮影装置10、角度距離計測器12及び磁場計測器14は、使用者が手で持って撮影等の操作ができるように、使用者が把持可能な適宜な筐体20に固定されている。なお、図1に示された例では、角度距離計測器12及び磁場計測器14が筐体20の外表面に配置されているが、これらの配置は図1の例に限定されない。筐体20の内部及び筐体20の周囲(外表面)に一体的に固定されて配置され、使用者が筐体20を手で持ちながら撮影等の操作を行い易ければ適宜採用することができる。また、この筐体20には、制御装置18を収容する構成としてもよい。さらに、GPS衛星からの電波を受信して撮影位置の座標値が計測できるのであれば、更に座標計測装置16を筐体20に収容する構成としてもよい。実施形態にかかる携帯型撮影装置は、角度距離計測器12が地磁気を検出することにより方位角を計測するので、航空機、車両等の移動体に固定された軸に対してカメラの回転角度を求める必要がない。このため、使用者が手で持った状態でも方位角を計測することができる。また、筐体20には、使用者が手で持つときに握るための把持部材22を設けるのが好適である。
図2には、図1に示された制御装置18を構成するコンピュータのハードウェア構成の例が示される。図2において、制御装置18は、中央処理装置(例えばマイクロプロセッサ等のCPUを使用することができる)24、ランダムアクセスメモリ(RAM)26、読み出し専用メモリ(ROM)28、入力装置30、表示装置32、通信装置34及び記憶装置36を含んで構成されており、これらの構成要素は、バス38により互いに接続されている。
CPU24は、RAM26またはROM28に格納されている制御プログラムに基づいて、後述する各部の動作を制御する。RAM26は主としてCPU24の作業領域として機能し、ROM28にはBIOS等の制御プログラムその他のCPU24が使用するデータが格納されている。
また、入力装置30は、キーボード、ポインティングデバイス等により構成され、使用者が動作指示等を入力するために使用する。また、入力装置30は、撮影装置10のシャッターと同期して撮影対象の画像情報の取得指示その他の情報を入力する構成としてもよい。
また、表示装置32は、液晶ディスプレイ等により構成され、地図情報、撮影装置10が撮影した画像情報等を表示する。
また、通信装置34は、USB(ユニバーサルシリアルバス)ポート、ネットワークポートその他の適宜なインターフェースにより構成され、CPU24がネットワーク等の通信手段を介して外部の装置とデータをやり取りするために使用する。また、撮影装置10、角度距離計測器12、磁場計測器14、座標計測装置16から画像情報、距離と角度の計測値、磁場の強度及び座標値を、通信装置34を介して取得する。
また、記憶装置36は、ハードディスク等の磁気記憶装置であり、後述する処理に必要となる種々のデータを記憶する。なお、記憶装置36としては、ハードディスクの代わりに、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ等を使用してもよい。
なお、制御装置18を筐体20に収容するために小型化する必要がある場合には、上記入力装置30、表示装置32等を省略してもよい。入力装置30を省略する場合、動作指示等のデータ入力は、撮影装置10等の操作ボタン(シャッター等)その他の入力装置を介して行い、制御装置18には通信装置34を介して入力する構成としてもよい。また、表示装置32を省略する場合、地図情報、画像情報等は、本実施形態の携帯型撮影装置による撮影が終了後、他のコンピュータ等に通信装置34を介してデータを出力して、当該他のコンピュータ等に表示させてもよい。
図3には、実施形態にかかる制御装置18の機能ブロック図が示される。図3において、制御装置18は、画像情報取得部40、GPS情報取得部42、距離情報取得部44、角度情報取得部46、方位角演算部48、誤差演算部50、補正情報記憶部52、方位角補正部54、対象座標演算部56、出力部58、磁場強度取得部60、磁場総和算出部62及び監視部64を含んで構成されており、これらの機能は、例えばCPU24とCPU24の処理動作を制御するプログラムとにより実現される。
画像情報取得部40は、撮影装置10が撮影した撮影対象の画像情報を取得する。取得した画像情報には適宜な識別情報を付して出力部58に出力する。この識別情報としては、例えば角度距離計測器12及び座標計測装置16の計測タイミングである撮影装置10のシャッターの動作時刻とすることができる。この場合、画像情報取得部40が撮影装置10のシャッターを動作させるトリガー信号を発生させ、このトリガー信号の発生時刻を識別情報とする。このときには、シャッターを動作させるトリガー信号を角度距離計測器12及び座標計測装置16に同時に出力して各計測を行わせてもよいし、角度距離計測器12及び座標計測装置16に撮影装置10を動作させるトリガー信号とは別に、同期を取らずにトリガー信号を出力して各計測を行わせる構成としてもよい。なお、画像情報取得部40が取得する画像情報には、静止画の他、動画が含まれていてもよい。
GPS情報取得部42は、座標計測装置16が撮影装置10のシャッターに同期あるいは非同期で計測した撮影装置10の撮影位置の座標値を座標情報として取得する。当該座標情報には、撮影装置10のシャッターの動作時刻等の識別情報を付し、画像情報取得部40が取得した画像情報との対応関係を判定できる構成としておく。また、時刻情報を識別情報とするために、座標計測装置16が受信するGPS信号に含まれる時刻情報に基づいて制御装置18の時計を初期化し、同期が取れるようにしておく。なお、GPS情報取得部42が座標情報を取得できない場合には、前後数点の座標情報を用いて補間したり、あるいはGPSの代わりにジャイロ、加速度計等を使用した公知の方法により座標情報を取得してもよい。
距離情報取得部44は、角度距離計測器12を構成するレーザー距離計が撮影装置10のシャッターに同期あるいは非同期で計測した距離データを取得する。この距離データは、撮影装置10の撮影位置と撮影対象との距離(例えばメートル単位の値)である。なお、上記レーザー距離計が距離とは異なる形式のデータ(例えばパルス信号)を出力する場合には、距離情報取得部44がレーザー距離計の計測データから撮影装置10の撮影位置と撮影対象との距離を演算する構成としてもよい。当該距離データにも、撮影装置10のシャッターの動作時刻等の識別情報を付し、画像情報取得部40が取得した画像情報との対応関係を判定できる構成としておく。
角度情報取得部46は、撮影装置10のシャッターに同期あるいは非同期で角度距離計測器12を構成する磁気センサが計測した撮影装置10の撮影方向の方位角及びジャイロスコープ等が計測した撮影装置10の撮影方向の仰俯角を取得する。なお、ジャイロスコープとして、仰俯角だけの計測が可能な機器に限定されない。また、上記磁気センサは、磁北に対する撮影装置10の撮影方向の角度、あるいは真北に対する撮影装置10の撮影方向の角度として方位角を計測する。当該方位角、仰俯角にも、撮影装置10のシャッターの動作時刻等の識別情報を付し、画像情報取得部40が取得した画像情報との対応関係を判定できる構成としておく。
方位角演算部48は、別途座標値が求まっている撮影対象の座標値と、GPS情報取得部42が取得した撮影位置の座標値とに基づき、撮影位置から別途座標値が求まっている撮影対象を臨む撮影方向の方位角を演算する。別途座標値が求まっている撮影対象は、例えばヘリコプター等から撮影できる目標物を撮影対象として決定したものであり、地図データ等でその緯度、経度等の座標値を取得できるものである。
なお、例えばヘリコプター等から撮影対象を撮影する場合には、撮影対象の座標値を地図データにより取得する代わりに、ヘリコプターを撮影対象の直上に移動させ、座標計測装置16で撮影対象の緯度、経度等の座標値を取得し、3次元地図上の地表面との垂線により標高を求めてもよい。
また、対象座標演算部56により撮影対象の座標値を演算してもよい。この場合には、撮影により標的しやすい同一の撮影対象を少なくとも2点の異なる撮影位置から撮影し、座標計測装置16で撮影位置の座標値を取得し、角度距離計測器12が計測した撮影位置と撮影対象との距離と撮影位置間距離(座標計測装置16で計測した異なる撮影位置の座標値から演算される撮影位置間距離)から、三角測量の原理により撮影対象の座標値を算出することができる。
誤差演算部50は、角度距離計測器12が計測し角度情報取得部46が取得した、撮影位置から別途座標値が求まっている撮影対象を臨む撮影方向の方位角(計測方位角)と、上記方位角演算部48が演算した方位角(計算方位角)との差を方位角の誤差とする。複数の計測方位角について方位角の誤差を演算し、計測方位角に対する方位角の誤差の関係から計測方位角に対する補正情報を求める。なお、方位角の誤差を複数の計測方位角について演算するために、上記撮影対象を複数の撮影位置から撮影する。補正情報としては、例えば複数求められた計測方位角と方位角の誤差との関係から、誤差演算部50が最小自乗法等により求めた方位角と誤差との関数である誤差補正関数とするのが好適である。
方位角の誤差を複数の計測方位角について演算するために、ヘリコプターから撮影する場合には、上記目標撮影対象の上空を旋回しつつ撮影することが望ましい。計測方位角のドリフト変化量が時間1分当たり1度程度の方位角計測用ジャイロスコープを利用する場合には、上記計算方位角の代わりにジャイロスコープの計測値である方位角を用いてもよく、この場合、上記目標撮影対象に対する方位角を一度計測したのち、上記目標撮影対象の上空を旋回せず、直ちにその場でヘリコプターを水平に近い姿勢で短時間に360度回転させて、複数の計測方位角について方位角の誤差を演算し、計測方位角に対する方位角の誤差の関係を定める関数を求めることとしてもよい。
補正情報記憶部52は、誤差演算部50で求めた計測方位角に対する方位角の誤差の関係を補正情報として記憶装置36等に記憶する。
方位角補正部54は、補正情報記憶部52が記憶した補正情報に基づき、角度距離計測器12が計測し、角度情報取得部46が取得した方位角の計測値を補正する。補正処理は、例えば上記誤差補正関数から、角度距離計測器12が計測した方位角における誤差を求め、求めた誤差により計測した方位角を補正する(誤差値を方位角の計測値に加減する)方法が挙げられる。
対象座標演算部56は、GPS情報取得部42が取得した撮影位置の座標情報(緯度、経度等の座標値)、距離情報取得部44が取得した撮影装置10の撮影位置と撮影対象との距離、角度情報取得部46が取得した撮影装置10の撮影方向の方位角及び仰俯角に基づき、撮影対象の座標情報を演算する。この演算には、上記識別情報にて対応関係があると判別された座標情報、距離、方位角及び仰俯角が使用される。また、上記方位角は、方位角補正部54が補正した値を使用することができる。補正値を使用するか否かは、利用者が入力装置30から入力する指示情報に基づいて決定する方法、方位角補正部54が求めた、上記方位角の誤差が予め定めた閾値を超えたときに補正値を使用する方法等、適宜に設定することができるが、これらに限定されるものではない。演算した座標情報には、上述した撮影装置10のシャッターの動作時刻等の識別情報を付して出力する。
なお、対象座標演算部56は、角度距離計測器12の計測値に欠測がある場合に、計測できた撮影対象の座標情報、距離、方位角及び仰俯角の補間処理を行う構成とするのが好適である。この場合、対象座標演算部56は、上記補間処理で得られた座標情報、距離データ及び角度情報(方位角及び仰俯角)に対して、撮影装置10のシャッターの動作時刻等の識別情報を付し、画像情報取得部40が取得した画像情報との対応関係を判定できるようにする。
出力部58は、撮影装置10が撮影した撮影対象の画像情報を、対象座標演算部56が演算して求めた撮影対象の座標情報とともに出力する。なお、上記方位角は、方位角補正部54が補正した値としてもよい。この場合、撮影対象の画像情報と方位角または座標情報とは、上記識別情報に基づいて関連づけを行う。出力部58が上記情報を出力する先は、例えば表示装置32等であり、液晶ディスプレイ等に上記画像情報、方位角、座標情報に含まれる座標値等を表示する。また、座標情報に基づいて、対応する地図を表示装置32に表示させてもよい。この場合、例えば、撮影対象の座標情報に基づいて、所定の地図上の撮影対象の位置に、撮影対象の画像情報を関連付け、入力装置30のポインティングデバイスにより撮影対象の位置を表す画素領域(1つまたは複数の画素により構成される)をクリック(領域指定)することにより、当該画像情報を表示する構成が好適である。なお、撮影対象の画像の2次元地図上への表示には、撮影対象の標高は必ずしも必要ではない。一方、3次元地図上へ表示する場合には、上記座標情報に標高を含めたり、あるいは2次元の座標を基にして3次元の地表面に位置を定めることにより行うことができる。
また、出力部58は、後述する監視部64が出力する報知信号に基づき、警報を発する構成とするのが好適である。警報としては、音声、文字、文字以外の画像等を使用することができる。音声を使用する場合には、例えば制御装置18を構成するコンピュータに付属のスピーカあるいは制御装置18とは独立して設けられたスピーカ等の音声出力装置を介して警報を発する。文字または文字以外の画像等を使用する場合には、例えば制御装置18を構成するコンピュータに備えられた表示装置32を介して警報を発する。
なお、出力部58は、制御装置18とは異なるコンピュータ上に実現してもよい。この場合には、各情報を通信装置34を介して上記異なるコンピュータに送信する構成とする。
磁場強度取得部60は、磁場計測器14が任意の3軸方向で計測した、携帯型撮影装置の周辺の磁場の強度を磁場計測器14から取得して磁場総和算出部62に出力する。
磁場総和算出部62は、上記磁場強度取得部60が取得した、携帯型撮影装置の周辺の任意の3軸方向における磁場の強度の2乗和の平方根を磁場総和として算出する。詳細は後述する。
監視部64は、上記磁場総和算出部62が算出した磁場総和の値とその基準値との差の絶対値が予め定めた閾値を超えたか否かを監視する。上記絶対値が閾値を超えた場合には、適宜な報知信号を出力する。詳細は後述する。
図4(a),(b)には、図3に示された対象座標演算部56の演算処理の説明図が示される。撮影装置10及び角度距離計測器12は、使用者が手で持って操作できるものであり、図4(a),(b)は、ヘリコプターから使用者が携帯型撮影装置の筐体18を手で持って地表を撮影した場合の例である。
図4(a)が(x,y)座標で規定される平面図であり、ヘリコプターH上の撮影位置Cから真北Nに対して角度αの方位にある撮影対象Pを撮影している状態が示されている。また、ヘリコプターH上の撮影位置Cすなわち携帯型撮影装置の撮影装置10の位置から撮影対象Pの位置までの水平距離をdで示している。なお、図4(a)では、x方向及びy方向をそれぞれ矢印で示している。
図4(b)が(x,z)座標で規定される側面図であり、高度hで飛行するヘリコプターHから下方の地表面B上の撮影対象Pを撮影している状態が示されている。この場合、撮影方向(仰俯角方向)は、角度θの俯角となっている。また、撮影位置Cと撮影対象Pとの距離をDで示している。なお、図4(b)では、x方向及びz方向をそれぞれ矢印で示している。
上記方位角α、俯角θ及び距離Dには、角度距離計測器12により計測した値を用いる。なお、角度距離計測器12が計測した方位角αが磁北からの角度である場合には、真北からの角度に磁気偏角を補正した値を用いる。これらの値は距離情報取得部44及び角度情報取得部46が取得し、対象座標演算部56に渡す。なお、方位角は、方位角補正部54が補正した値を使用する場合もある。対象座標演算部56は、これらの値とGPS情報取得部42が取得した撮影位置Cの座標情報とを使用して撮影対象Pの座標情報を演算する。この場合の演算式は以下の通りである。
撮影対象Pの座標を(Xp,Yp,Zp)とし、撮影位置Cの座標を(Xc,Yc,Zc)とすると、
Xp=Xc−d・sinα
Yp=Yc+d・cosα … (1)
Zp=Zc−D・sinθとなる。
ただし、d=D・cosθ及びh=D・sinθである。
なお、撮影位置Cの座標値が経度、緯度、標高で取得されている場合は、下記式(2)により撮影対象Pの座標値を求める。
Xp=Xc−d・sinα/Kx
Yp=Yc+d・cosα/Ky … (2)
Zp=Zc−D・sinθ
ここで、Kxは緯度Ycにおける経度1度当たりの距離であり、Kyは緯度1度当たりの距離である。
以上のようにして求めた撮影対象Pの座標情報は、上述した撮影装置10のシャッターの動作時刻等の識別情報に基づいて、出力部58が撮影対象Pの画像情報と関連付ける。この場合、例えば地図情報上の上記座標(Xp,Yp,Zp)で表される点(画素)を含む所定の大きさの画素領域を設定し、この領域に撮影装置10が撮影した撮影対象Pの画像情報を関連付ける。これにより、例えば表示装置32上に表示された地図上で、上記領域を入力装置30のポインティングデバイスによりクリックすることにより、当該画素領域に関連付けられた画像情報を表示する構成とすることができる。その際には、当該画像情報を、上記関連付けられた座標(Xp,Yp,Zp)の近傍に表示するのが好適である。また、上記画像情報を表示させておき、これをクリックすることにより地図上の関連付けられた領域(撮影対象Pを含む領域)を、点滅あるいは色変更等により表示する構成とすることもできる。さらに、複数の上記画像情報を表す文字列(例えば地名)等の一覧表を作成しておき、当該文字列毎にこれを表示している領域を対応する画像情報及び画像情報に関連付けられた地図上の領域と関連付けておいてもよい。これにより、この一覧表を表示装置32上に表示しつつ当該文字列毎にこれを表示している領域をクリックすることにより、対応する画像情報と画像情報に関連付けられた地図上の領域の一方または両方を表示する構成とすることができる。なお、本実施形態では3次元地図上に表示する場合を例に説明しているが、2次元地図上に表示する場合には必ずしもZp座標を求める必要はない。
以上に説明した実施形態は、携帯型撮影装置の筐体18をヘリコプター上に載せて飛行しながら撮影対象Pを撮影する例であったが、他の種類の航空機または建物の上から撮影を行うこともできる。
また、角度距離計測器12で撮影位置と撮影対象Pとの距離、方位角及び仰俯角を計測する際には、上述したように、角度距離計測器12の光軸方向で行うが、距離を計測する場合には、当該光軸方向に地表面等の撮影対象Pが存在していることが前提となる。しかし、撮影方向のぶれ等により、撮影対象Pが存在しない方向で撮影装置10のシャッターが押されることも考えられる。このときには、例えば撮影方向が天空を向いている等の理由で、角度距離計測器12から出射したレーザ光が反射することができず、距離を計測することができない。この場合には、距離が計測できた点の間で直線補間を行い、距離が計測できなかった点の距離を付加する構成としてもよい。
また、撮影装置10が、撮影方向の俯角が異なる複数のカメラを並べて備える構成の場合には、角度距離計測器12を構成するレーザー距離計が、この複数のカメラのうち、最も俯角が大きい(撮影方向が最も下方向を向いている)カメラの撮影方向にレーザー光を発射し、距離計測を行うのが好適である。これにより、上記撮影対象Pが存在しない方向にレーザー光を発射することを防止するとともに、カメラの向きを頻繁に上下することなく広い画角で撮影できることから方位角の計測の誤差要因となるカメラの向きの変動を防止する。このことにより、撮影対象Pの座標を決定する確実性を高める。また、カメラの向きを頻繁に上下する必要がないので、撮影装置10を操作する撮影者の負荷を軽減することもできる。
次に、磁場計測器14の計測結果に基づいて、磁場総和算出部62が磁場総和を算出し、監視部64が、携帯型撮影装置の配置位置が撮影に適切であるか否か、すなわち撮影方向の方位角の計測値が磁場の歪みにより誤差が大きくなる計測位置であるか否かを判定する動作を説明する。
磁場計測器14は、上述したように、携帯型撮影装置の周辺の磁場Mの強度を任意の3軸方向で計測する。上記任意の3軸方向を、図4(a),(b)に示されるように、空間に任意に設定したx軸、y軸、z軸方向とすると、磁場計測器14が計測する磁場Mの各方向の成分は、Mx、My、Mzとなる。
磁場総和算出部62は、磁場強度取得部60が磁場計測器14から取得した磁場Mの上記3軸方向成分(Mx,My,Mz)を磁場強度取得部60から受け取り、以下の演算を行って磁場総和Msを算出する。
Ms=(Mx2+My2+Mz2)1/2 … (3)
このように、磁場総和Msは、携帯型撮影装置の周辺の任意の3軸方向における磁場の強度(Mx,My,Mz)の2乗和の平方根となっている。
一般に、ヘリコプター等の航空機内では、上述したように、航空機を構成する金属材料やエンジンの動作に基づき地磁気以外の磁場が発生し、あるいは地磁気の歪みが生じている。このため、地表面等での計測に比べて、携帯型撮影装置の周辺の磁場Mが変動し、その結果、上記磁場総和Msの値も変化する。また、角度距離計測器12が計測する撮影方向の方位角の誤差も大きくなる。一方、エンジン等の磁場発生源がなく、金属に囲まれていない地表面等では、観測される磁場はほぼ地磁気のみとなるので、角度距離計測器12が計測する撮影方向の方位角の誤差は小さくなる。従って、全地球的に観測され、公的に予め決定されている各地域の地表面における磁場総和のローカル値Ms0で形成したテーブルから、GPS情報取得部42が取得した撮影位置の座標情報に基づいて読み出した上記撮影位置の磁場総和のローカル値Ms0を磁場総和の基準値とする。
監視部64は、上記磁場総和Msと磁場総和の基準値Ms0との差(偏移量)から磁場の歪を判定する。具体的には、上記偏移量として(Ms−Ms0)の絶対値を求め、この値が予め定めた閾値を超えたか否かを監視する。上記絶対値が閾値を超えた場合には、磁場の歪が大きく、方位角の計測値の誤差も大きくなるので、方位角の計測位置として不適切であることを示す適宜な報知信号を出力する。なお、上記閾値は、角度距離計測器12の特性等に応じて適宜に決定する。
以上のように、監視部64は、磁場総和Msとその基準値Ms0とに基づいて、撮影位置(携帯型撮影装置の配置場所)が携帯型撮影装置による撮影に適切であるか否かを判定する。上記報知信号は、撮影に適切な場所では無いとの判定結果を表す信号である。
図5には、補正情報記憶部52に記憶された補正情報の例が示される。図5では、横軸に方位角の計測値(0〜360度)が示され、縦軸に方位角の計測値に対する方位角の計測誤差が示されている。また、図5に示された各点は、一例として、地図データ等により別途座標値がわかっている撮影対象を複数の撮影位置から臨む方位角について、角度距離計測器12により計測した値と方位角演算部48が座標値から演算した値との差(計測誤差)及びそれらの関係を表している。なお、図5に示されるように、上記撮影対象の方位角の計測は、異なる複数の撮影位置から行い、方位角の計測値とこれに対する方位角の計測誤差との関係から誤差演算部50が最小自乗法等により実測値の近似関数として誤差補正関数を求めておく。図5の例では、誤差補正関数(近似関数)が、以下のようになっている。
近似関数:
Δα(deg) = 54.57・sin(α-70.7) +9.9
ここで、Δαが方位角の誤差、αが方位角の計測値
誤差演算部50は、上記計測誤差の分布から最小自乗法により誤差補正関数を決定する。誤差補正関数の例が、図5に曲線Rで示されている。方位角補正部54は、対象座標演算部56が撮影対象Pの座標値を演算する際に使用する方位角を、この誤差補正関数を使用して補正する。
図6には、実施形態にかかる制御装置18の動作例のフローが示される。図6において、携帯型撮影装置に電源が投入され、入力装置30から撮影開始の指示が入力されると、画像情報取得部40が、撮影装置10が撮影した撮影対象Pの画像情報を取得する(S1)。
距離情報取得部44は、角度距離計測器12が計測した、撮影装置10の撮影位置と撮影対象Pとの距離データを取得し、上述した識別情報とともに対象座標演算部56に出力する(S2)。また、角度情報取得部46が、角度距離計測器12が計測した撮影装置10の撮影方向の方位角及び仰俯角を取得し、上述した識別情報とともに対象座標演算部56に出力する(S3)。なお、距離データ取得ステップ(S2)と方位角及び仰俯角取得ステップ(S3)の順序は逆でも構わない。
GPS情報取得部42は、撮影装置10のシャッターを動作させるトリガー信号のタイミング等に合わせて、座標計測装置16から撮影装置10の撮影位置の座標情報を取得し、上述した識別情報とともに対象座標演算部56に出力する(S4)。次に、データ取得終了指示の有無を確認し(S5)、データ取得を終了しない場合にはS1に戻ってデータ取得を継続する。
S5でデータ取得を終了する場合には、方位角補正部54が、補正情報記憶部52が記憶した補正情報に基づき、方位角の計測値を補正し、補正値を対象座標演算部56に出力する(S6)。
次に、磁場計測器14が任意の3軸方向で計測した、携帯型撮影装置の周辺の磁場の強度を磁場強度取得部60が取得する(S7)。
次に、磁場総和算出部62が、上記磁場強度取得部60が取得した、上記任意の3軸方向における磁場の強度の2乗和の平方根を磁場総和として算出する(S8)。
監視部64は、上記磁場総和算出部62が算出した磁場総和の値Msとその基準値Ms0との差の絶対値が、予め定めた閾値を超えたか否かを監視する(S9)。上記絶対値が閾値を超えた場合には、監視部64が出力する報知信号に基づき出力部58が適宜な警報を出力し(S10)、閾値を超えない場合には、上記警報を出力しない。
上記S10で警報が出力された場合、利用者は磁気的な歪が大きいと判断し、撮影装置の位置あるいは保持体勢を変更して警報が止んだ後に撮影を再開するか、所定時間経過後に再度撮影を試みる。あるいはスポット的な代替手段として、方位角や仰俯角を用いることなく、撮影対象Pを少なくとも2点の異なる撮影位置から撮影し、座標計測装置16で撮影位置の座標値を取得してもよい。
次に、対象座標演算部56は、上記S2、S3、S4で取得された、識別情報により互いに対応関係が判別された距離データ、方位角及び仰俯角のデータ及び座標情報のデータ(座標値)より、上述した式(1)または式(2)に基づいて、撮影対象Pの座標情報を演算する(S11)。なお、方位角にはS6における補正演算で求めた補正値が使用される。
最後に、S1において画像情報取得部40が取得した撮影対象Pの画像情報及びS11において対象座標演算部56が演算した座標情報を、出力部58が互いに関連付け、表示装置32に表示させる(S12)。なお、撮影対象Pの画像情報には、上記座標情報に代えて、角度情報取得部46が取得した方位角の計測値、または方位角補正部54が補正した補正値と関連付けて出力してもよい。この場合には、出力先で方位角を使用してさらに他の処理を実行する構成としてもよい。このような例として、対象座標演算部56の機能を他のコンピュータ上で構成している場合等が例示される。
また、上記互いに関連付けられた画像情報と座標情報または方位角とは、通信装置34を介して外部のコンピュータ等に送信することができる。
上述した、図6の各ステップを実行するためのプログラムは、記録媒体に格納することも可能であり、また、そのプログラムを通信手段によって提供しても良い。その場合、例えば、上記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明または「データ信号」の発明として捉えても良い。
図7には、対象座標演算部56が撮影対象Pの座標情報を演算する方法の他の例の説明図が示される。図7において、例えば、任意の2点の撮影位置C1、C2から任意の撮影方向にある撮影対象Pを撮影した場合、角度距離計測器12が上記2点の撮影位置C1、C2から上記撮影対象Pまでの距離を計測し、座標計測装置16が上記任意の2点の撮影位置C1、C2の座標値を計測し、これらの計測値を距離情報取得部44及びGPS情報取得部42を介して方位角演算部48が取得する。次に、角度距離計測器12が計測した撮影位置C1、C2から撮影対象Pまでの距離をl1、l2、撮影位置C1、C2の座標値から計算した撮影位置C1、C2間の距離をl3とし、l1とl2とl3に基づき、撮影位置C1、C2と撮影対象Pの3点で構成される三角形について、撮影位置C1における底角a1と撮影位置C2における底角a2とを求める。次に、方位角演算部48により、撮影位置C1、C2の座標値に基づき、撮影位置C1から撮影位置C2を臨む方位角を演算し、これに撮影位置C1における底角a1を加算して撮影位置C1から撮影対象Pを臨む方位角を演算する。上記方位角と角度距離計測器12が計測した撮影位置C1から撮影対象Pまでの距離l1と撮影位置C1の座標値に基づき、撮影対象Pの座標値を演算する。同様に、方位角演算部48で求めた撮影位置C2から撮影位置C1を臨む方位角とa2と撮影位置C2の座標値に基づき、撮影対象Pの座標値を演算する。なお、撮影対象Pの座標値が複数得られる場合には、これらの平均値を撮影対象Pの座標値としてもよい。また、演算で求まった撮影対象Pの複数の座標値のばらつきより閾値を設定し、当該閾値以内に収まる撮影対象Pの座標値を基にして撮影対象Pの座標値を決定してもよい。
磁気的な歪が大きい場合には、対象座標演算部56は、上記方位角補正部54が補正した方位角の代わりに、上記方位角演算部48が演算した方位角を使用して撮影対象Pの座標値を演算してもよい。