以下、本発明のダブルエンド絶縁型のスイッチング電源装置及びその制御方法の第一の実施形態について、図1〜図10に基づいて説明する。この実施形態のスイッチング電源装置10は、一定のスイッチング周期Tswで動作するハーフブリッジ方式の電源装置であり、図1に示すように、互いに直列接続された第一及び第二のスイッチング素子12,14を備えている。第一及び第二のスイッチング素子12,14の両端には入力電源Eiが接続され、入力電圧Viが供給される。ハイサイド側の第一のスイッチング素子12は、NチャネルのMOS型FETであり、ゲートソース間に入力される駆動パルスVg12がハイレベルの期間にオンし、ローレベルの期間にオフする。ローサイド側の第二のスイッチング素子14も、同一のMOS型FETであり、ゲートソース間に入力される駆動パルスVg14がハイレベルの期間にオンし、ローレベルの期間にオフする。
第一及び第二のスイッチング素子12,14の両端には、2つの入力側コンデンサ16,18の直列回路が接続されている。ハイサイド側の入力側コンデンサ16とローサイド側の第二の入力側コンデンサ18は同一の規格及び性能の部品であり、互いに接続された中点に、入力電圧Viのほぼ1/2の電圧が発生する。
トランス20は、入力巻線20aと出力巻線20b(1),20b(2)とを有し、入力巻線20aが、第一及び第二のスイッチング素子12,14の中点と2つの入力側コンデンサ16,18の中点との間に接続されている。入力巻線20aは、一端が入力側コンデンサ16,18によりバイアスされ、第一及び第二のスイッチング素子12,14のどちらかがオンした時、両端に電圧Vi/2が印加される。各巻線に付したドットは極性を表している。
トランス20の出力巻線20b(1)には、出力巻線20b(1)に発生する電圧を整流する第一の同期整流素子22が接続され、出力巻線20b(2)には、出力巻線20b(2)に発生する電圧を整流する第二の同期整流素子24が接続されている。第一の同期整流素子22はNチャネルのMOS型FETであり、ここでは動作説明の便宜のため、FET素子である第一の整流FET22aと、そのドレインソース間に存在する第一の寄生ダイオード22bとに分けて表している。第一の整流FET22aは、ゲートソース間に入力される駆動パルスVg22がハイレベルの期間にオンし、ローレベルの期間にオフする。第二の同期整流素子24も同一のMOS型FETであり、FET素子である第二の整流FET24aと、そのドレインソース間に存在する第二の寄生ダイオード24bとに分けて表している。第二の整流FET24aは、ゲートソース間に入力される駆動パルスVg24がハイレベルの期間にオンし、ローレベルの期間にオフする。
第一及び第二の同期整流素子22,24の後段には、第一及び第二の同期整流素子22,24により整流された電圧を平滑する出力平滑回路26が接続されている。出力平滑回路26は、出力インダクタ26aと出力コンデンサ26bで構成されたローパスフィルタであり、出力コンデンサ26bの両端に出力電圧Voを発生させ、負荷Loに出力電圧Vo及び出力電流Ioを供給する
第一及び第二のスイッチング素子12,14のオンオフと第一及び第二の整流FET22a,24aのオンオフは、スイッチング制御回路28によって制御される。スイッチング制御回路28には、図1、図2に示すように、PWMパルス生成部30と、第一乃至第四デッドタイム制御手段32,34,36,38とが設けられている。以下、各ブロックの詳しい構成を順番に説明する。
PWMパルス生成部30は、出力電圧Voを目標値Vorに近づけるために設けられたブロックで、2つのスイッチング素子12,14の各オン時間Ton12,Ton14を可変するためのPWMパルスVpwm1,Vpwm2を生成する働きをする。
PWMパルス生成部30は、図2に示すように、パルス幅制御用の電圧制御信号Vfbを生成する電圧制御信号生成回路40を備えている。電圧制御信号生成回路40は、出力電圧Voと目標値Vorとの差を反転増幅回路40aで増幅し、フォトカプラ等の絶縁素子40bを通じて電圧制御信号Vfbを出力する。電圧制御信号Vfbはほぼ直流の電圧信号である。例えば、何らかの原因で出力電圧Voが目標値Vorより高くなると、その差に応じて電圧制御信号Vfbが低下する。その結果、後述するPWM比較器42等の働きで駆動パルスVg12,Vg14のハイレベルの時間(第一及び第二のスイッチング素子12,14のオン時間Ton12,Ton14)が短くなり、出力電圧Voが目標値Vorに向かって低下する。反対に、出力電圧Voが目標値Vorより低くなると、上記と逆の動作が行われ、出力電圧Voが目標値Vorに向かって上昇する。
PWM比較器42は、パルス幅変調を行うコンパレータ素子である。非反転入力には、電圧制御信号生成回路40の出力と後述するソフトスタート手段44とが接続され、非反転入力の電圧Vciは、通常時は電圧制御信号Vfbであるが、特定の期間はソフトスタート手段44により決定される。反転入力には、三角波発生器46が出力する三角波電圧Voscが入力される。三角波電圧Voscは、周期がTsw/2のノコギリ波である。したがって、PWM比較器42が出力する電圧Vcoは、図3(a)に示すように、電圧Vciが三角波電圧Voscよりも高いThの期間がハイレベル、それ以外の期間がローレベルになる。
Tフリップフロップ48は、三角波電圧Voscが入力され、一方の出力から電圧Vq1、他方の出力から電圧Vg2を出力する。電圧Vq1は、三角波電圧Voscの周期Tsw/2毎にハイレベルとローレベルのロジックが反転する周期Tswのパルスで、周期Tswの駆動パルスVg12,Vg22を生成するために使用される。電圧Vq2は、電圧Vq1とロジックが反転した周期Tswのパルスで、周期Tswの駆動パルスVg14,Vg24を生成するために使用される。
電圧Vcoと電圧Vq1はAND50に入力され、AND50は、これらの論理積をとったPWMパルスVpwm1を生成し、第一及び第三デッドタイム制御手段32,36に向けて出力する。また、電圧Vcoと電圧Vq2はAND52に入力され、AND52は、これらの論理積をとったPWMパルスVpwm2を生成し、第二及び第四デッドタイム制御手段34,38に向けて出力する。
ソフトスタート手段44は、スイッチング動作が開始した当初は、電圧Vciをほぼゼロボルトまで低下させ、その後、時間の経過とともに徐々に電圧Vciを上昇させる動作を行う。その後、電圧Vciが電圧制御信号Vfbに達すると、ソフトスタート手段44は動作を停止し、電圧Vciは電圧制御信号Vfbと等しくなる。したがって、PWMパルスVpwm1,Vpwm2のハイレベルの時間Thは、図3(b)に示すように変化する。
第一デッドタイム制御手段32は、NOT32a、第一デジタルカウンタ32b及び第一ドライバ32cで構成されている。NOT32aは、図4(a)、(b)に示すように、PWMパルスVpwm1が入力され、ロジックを反転させた電圧Vaを出力する。第一デジタルカウンタ32bは、電圧Vaが入力され、電圧Vaの立ち上がるタイミングを時間Td22だけ遅らせられた電圧Vg22を出力する。第一ドライバ32cは、電圧Vg22を電流増幅する非反転型のドライバであり、第一の同期整流素子22のゲートソース間にハイパワーの駆動パルスVg22を出力する。詳しくは後で説明するが、時間Td22は、第一の整流FET22aがターンオンする際のデッドタイム(第一のスイッチング素子12がターンオフした後、第一の整流FET22aがターンオンするまでの遅れ時間)となる。以下、時間Td22を第一デッドタイムTd22と称する。
第一デジタルカウンタ32bは、スイッチング動作が開始した当初は、第一デッドタイムTd22を相対的に長くし、その後、時間の経過とともに徐々に短くして時間Tdyに収束させる動作を行う。つまり、第一デッドタイムTd22は、図4(c)に示すように変化する。
第二デッドタイム制御手段34は、NOT34a、第二デジタルカウンタ34b及び第二ドライバ34cで構成されている。NOT34aは、図4(a)、(b)に示すように、PWMパルスVpwm2が入力され、ロジックを反転させた電圧Vbを出力する。第二デジタルカウンタ34bは、電圧Vbが入力され、電圧Vbの立ち上がるタイミングを時間Td24(≒Td22)だけ遅らせられた電圧Vg24を出力する。第二ドライバ34cは、電圧Vg24を電流増幅する非反転型のドライバであり、第二の同期整流素子24のゲートソース間にハイパワーの駆動パルスVg24を出力する。詳しくは後で説明するが、時間Td24は、第二の整流FET24aがターンオンする際のデッドタイム(第二のスイッチング素子14がターンオフした後、第二の整流FET24aがターンオンするまでの遅れ時間)となる。以下、時間Td24を第二デッドタイムTd24と称する。
第二デジタルカウンタ34bは、第一デジタルカウンタ32bと同様に、スイッチング動作が開始した当初は、第二デッドタイムTd24を相対的に長くし、その後、時間の経過とともに徐々に短くして時間Tdyに収束させる動作を行う。つまり、第二デッドタイムTd24も、図4(c)に示すように変化する。
第三デッドタイム制御手段36は、第三デジタルカウンタ36a及び第三ドライバ36bで構成されている。第三デジタルカウンタ36aは、図5(a)、(b)に示すように、PWMパルスVpwm1が入力され、PWMパルスVpwm1の立ち上がるタイミングを時間Td12だけ遅らせられた電圧Vg12を出力する。第三ドライバ36bは、電圧Vg12を電流増幅する非反転型のハイサイドドライバであり、第一のスイッチング素子12のゲートソース間にハイパワーの駆動パルスVg12を出力する。詳しくは後で説明するが、時間Td12は、第一のスイッチング素子12がターンオンする際のデッドタイム(第一の整流FET22aがターンオフした後、第一のスイッチング素子12がターンオンするまでの遅れ時間)となる。以下、時間Td12を第三デッドタイムTd12と称する。
第三デジタルカウンタ36aは、第三デッドタイムTd12を変化させる動作は行わない。すなわち、第三デッドタイムTd12は、図5(c)に示すように、短い時間Tdyに保持される。
第四デッドタイム制御手段38は、第四デジタルカウンタ38a及び第四ドライバ38bで構成されている。第四デジタルカウンタ38aは、図5(a)、(b)に示すように、PWMパルスVpwm2が入力され、PWMパルスVpwm2の立ち上がるタイミングを時間Td14(≒Td12)だけ遅らせられた電圧Vg14を出力する。第四ドライバ38bは、電圧Vg14を電流増幅する非反転型のドライバであり、第二のスイッチング素子14のゲートソース間にハイパワーの駆動パルスVg14を出力する。詳しくは後で説明するが、時間Td14は、第二のスイッチング素子14がターンオンする際のデッドタイム(第二の整流FET24aがターンオフした後、第二のスイッチング素子14がターンオンするまでの遅れ時間)となる。以下、時間Td14を第四デッドタイムTd14と称する。
第四デジタルカウンタ38aは、第四デッドタイムTd14を変化させる動作は行わない。すなわち、第四デッドタイムTd14は、図5(c)に示すように、短い時間Tdyに保持される。
ここで、図4(c)及び図5(c)に示す時間Tdyは、上述した特許文献1のデッドタイムtd1,td2,td3,td4に相当する短い時間であり、第一のスイッチング素子12と第一の整流FET22aとが同時にオンして貫通電流が流れる不具合を防止するとともに、第二のスイッチング素子14と第二の整流FET24aとが同時にオンして貫通電流が流れる不具合を防止するために設定された時間である。
その他、スイッチング電源装置10は、図1に示すように、ON/OFF信号によってPWMパルス生成部30を制御する構成を備えている。ON/OFF信号は、スイッチング電源装置10の使用者によって外部から入力されるリモートON/OFF用の信号である。図2では、ON/OFF信号を受けて動作する部分の構成を省略してあるが、ローレベルのON/OFF信号が入力されると、PWMパルス生成部30が上記のPWMパルスVpwm1,Vpwm2を出力し、スイッチング電源装置10がスイッチング動作を行うことができる。一方、ハイレベルのON/OFF信号が入力されると、PWMパルスVpwm1,Vpwm2を出力しなくなり(又は、ハイレベルの時間Thが強制的にゼロなり)、スイッチング動作を停止する。
次に、スイッチング電源装置10の動作について、図6〜図8に基づいて説明する。ここでは、スイッチング電源装置10は、図6(a)に示すように、入力端に入力電源Eiが接続され、出力端に大容量のコンデンサCoが接続されている。負荷Loは接続されておらず、いわゆる無負荷状態になっている。そして、ON/OFF信号により、スイッチング動作の開始と停止が制御される。
まず、図6(b)のタイムチャートにおける動作点P1の動作を説明する。動作点P1は、ON/OFF信号がローレベルで、スイッチング電源装置10が安定にスイッチング動作を行っている定常状態である。動作点P1では、第一及び第二のスイッチング素子12,14のオン時間Ton12,Ton14は、出力電圧Voを目標値Vorに保持するための時間となる。また、第一及び第二デッドタイムTd22,Td24は、ごく短い時間Tdyとなる。したがって、第一及び第二の整流FET22a,24bのオン時間Ton22,Ton24は、それぞれ、スイッチング周期Tswからオン時間Ton12又はTon14と時間Tdyとを差し引いた時間となる。
図7は、動作点P1の各部の動作波形を示しており、時間軸は、図6(b)よりも大幅に拡大してある(例えば約1000倍)。以下、1つのスイッチング周期Tswの動作を、期間(1)〜(8)に区分して説明する。
期間(1)は、駆動パルスVg12がハイレベルで第一のスイッチング素子12がオンし、駆動パルスVg14がローレベルで第二のスイッチング素子14がオフしている。したがって、入力巻線20aの両端には、ドットの向きに電圧Vi/2が印加される。また、駆動パルスVg22がローレベルで第一の整流FET22aがオフし、駆動パルスVg24がハイレベルで第二の整流FET24がオンしている。したがって、出力インダクタ26aの電流I26aは、そのほとんどが第二の整流FET24aを通じて流れ、出力コンデンサ26b(及びコンデンサCo)を充電する方向に、右肩上がりに変化する。
期間(2)は、駆動パルスVg12がローレベルで第一のスイッチング素子12がオフし、駆動パルスVg14がローレベルで第二のスイッチング素子14もオフしている。したがって、期間(1)とは異なり、入力巻線20aには電圧Vi/2が印加されない。また、駆動パルスVg22がローレベルで第一の整流FET22aがオフし、駆動パルスVg24がハイレベルで第二の整流FET24がオンしている。したがって、出力インダクタ26aの電流I26aは、そのほとんどが第二の整流FET24aを通じて流れ、出力コンデンサ26b(及びコンデンサCo)を放電する方向に、右肩下がりに変化する。
期間(3)は、期間(2)と異なるのが、駆動パルスVg22がハイレベルで第一の整流FET22aがオンしている点である。しかし、出力インダクタ26aの電流I26aが第一の整流FET22aにも分流するようになるだけで、実質的な動作は期間(2)とほぼ同じである。つまり、出力インダクタ26aの電流I26aは、第一及び第二の整流FET24a,24bを通じて流れ、出力コンデンサ26b(及びコンデンサCo)を放電する方向に、右肩下がりに変化する。
期間(4)は、期間(3)と異なるのが、駆動パルスVg24がローレベルで第二の整流FET24aがオフしている点である。しかし、出力インダクタ26aの電流I26aのほとんどが第一の整流FET22aに流れるようになるだけで、実質的な動作は期間(3)とほぼ同じである。つまり、出力インダクタ26aの電流I26aは、ほぼ第一の整流FET22aを通じて流れ、出力コンデンサ26b(及びコンデンサCo)を放電する方向に、右肩下がりに変化する。
なお、図7は、動作波形を見やすくするため、期間(2),(4)を長めに描いているが、実際は、期間(3)よりも十分短い。したがって、期間(2),(3),(4)における出力インダクタ26のVT積の合計は、期間(1)のVT積とほぼ等しくなり、期間(2)〜(4)における電流I26aの変化幅は、期間(1)における変化幅とほぼ等しい。
期間(5)は、駆動パルスVg12がローレベルで第一のスイッチング素子12がオフし、駆動パルスVg14がハイレベルで第二のスイッチング素子14がオンしている。したがって、入力巻線20aの両端には、ドットと逆向きに電圧Vi/2が印加される。また、駆動パルスVg22がハイレベルで第一の整流FET22aがオンし、駆動パルスVg24がローレベルで第二の整流FET24がオフしている。したがって、出力インダクタ26aの電流I26aは、そのほとんどが第一の整流FET22aを通じて流れ、出力コンデンサ26b(及びコンデンサCo)を充電する方向に、右肩上がりに変化する。
期間(6)は、駆動パルスVg12がローレベルで第一のスイッチング素子12がオフし、駆動パルスVg14がローレベルで第二のスイッチング素子14もオフしている。したがって、期間(5)とは異なり、入力巻線20aには電圧Vi/2が印加されない。また、駆動パルスVg22がハイレベルで第一の整流FET22aがオンし、駆動パルスVg24がローレベルで第二の整流FET24がオフしている。したがって、出力インダクタ26aの電流I26aは、そのほとんどが第一の整流FET22aを通じて流れ、出力コンデンサ26b(及びコンデンサCo)を放電する方向に、右肩下がりに変化する。
期間(7)は、期間(6)と異なるのが、駆動パルスVg24がハイレベルで第二の整流FET24aがオンしている点である。しかし、出力インダクタ26aの電流I26aが第二の整流FET24aにも分流するようになるだけで、実質的な動作は期間(6)と同じである。つまり、出力インダクタ26aの電流I26aは、第一及び第二の整流FET24a,24bを通じて流れ、出力コンデンサ26b(及びコンデンサCo)を放電する方向に、右肩下がりに変化する。
期間(8)は、期間(7)と異なるのが、駆動パルスVg22がローレベルで第一の整流FET22aがオフしている点である。しかし、出力インダクタ26aの電流I26aのほとんどが第二の整流FET24aに流れるようになるだけで、実質的な動作は期間(7)と同じである。つまり、出力インダクタ26aの電流I26aは、ほぼ第二の整流FET24aを通じて流れ、出力コンデンサ26b(及びコンデンサCo)を放電する方向に、右肩下がりに変化する。
なお、図7は、動作波形を見やすくするため、期間(6),(8)を長めに描いているが、実際は、期間(7)よりも十分短い。したがって、期間(6),(7),(8)における出力インダクタ26のVT積の合計は、期間(5)のVT積とほぼ等しくなり、期間(6)〜(8)における電流I26aの変化幅は、期間(5)における変化幅とほぼ等しい。
期間(8)が終了すると次の期間(1)が始まり、以降、上述した期間(1)〜(8)の動作を繰り返す。期間(1)と期間(5)における出力インダクタ26のVT積はほぼ等しいので、期間(1)と期間(5)における電流I26aの変化幅もほぼ等しくなる。したがって、電流I26aは、ほぼゼロアンペアを中心に均等に振幅する。以上が動作点P1の動作である。
動作点P1の後、図6(b)に示すように、ON/OFF信号がハイレベルに切り替えられると、スイッチング動作が停止する。しかし、スイッチング電源装置10は、出力端に大容量のコンデンサCoが接続され、しかも無負荷状態なので、出力電圧Voがほぼ目標値Vorに保持される。その後、ON/OFF信号がローレベルに切り替えられると、スイッチング動作を再開する。
動作点P2は、スイッチング動作を再開した直後であり、第一及び第二のスイッチング素子12,14のオン時間Ton12,Ton14は、ソフトスタート手段44が動作することによって、定常状態よりも非常に短い時間となる。第一及び第二デッドタイムTd22,Td24は、第一及び第二デッドタイム制御手段32,34の動作により、定常状態よりも長い時間Tdxとなる。したがって、第一及び第二の整流FET22a,24bのオン時間Ton22,Ton24は、それぞれ、スイッチング周期Tswからオン時間Ton12又はTon14と時間Tdxとを差し引いた時間、すなわち定常状態よりも非常に短い時間となる。
図8は、動作点P2の各部の動作波形を示しており、時間軸は、図6(b)よりも大幅に拡大してある。以下、1つのスイッチング周期Tswの動作を、期間(a)〜(h)に区分して説明する。
期間(a)は、駆動パルスVg12がハイレベルで第一のスイッチング素子12がオンし、駆動パルスVg14がローレベルで第二のスイッチング素子14がオフしている。したがって、入力巻線20aの両端には、ドットの向きに電圧Vi/2が印加される。また、駆動パルスVg22がローレベルで第一の整流FET22aがオフし、駆動パルスVg24がローレベルで第二の整流FET24もオフしているが、第二の寄生ダイオード24bが順バイアスされて導通する。したがって、出力インダクタ26aの電流I26aは、第二の寄生ダイオード24bを通じて流れ、出力コンデンサ26b(及びコンデンサCo)を充電する方向に、右肩上がりに変化する。
期間(b)は、駆動パルスVg12がローレベルで第一のスイッチング素子12がオフし、駆動パルスVg14がローレベルで第二のスイッチング素子14もオフしている。したがって、期間(a)とは異なり、入力巻線20aには電圧Vi/2が印加されない。また、駆動パルスVg22がローレベルで第一の整流FET22aがオフし、駆動パルスVg24がローレベルで第二の整流FET24もオフしているが、第一及び第二の寄生ダイオード22b,24bの双方が順バイアスされて導通する。したがって、期間(b)の当初、出力インダクタ26aの電流I26aは、第一及び第二の寄生ダイオード22b,2bを通じて流れ、出力コンデンサ26b(及びコンデンサCo)を放電する方向に、右肩下がりに変化する。その後、期間(b)の途中で電流I26aがゼロアンペアに達する。このタイミングは、期間(a)に出力インダクタ26aに蓄積された励磁エネルギーがすべて放出されたタイミングであり、これ以降は第一及び第二の寄生ダイオード22b,24bが非導通となり、電流I26aがゼロアンペアに保持される。
期間(c)は、期間(b)と異なるのが、駆動パルスVg24がハイレベルで第二の整流FET24aがオンしている点であり、出力インダクタ26a及び出力巻線20b(2)の直列回路の両端に出力電圧Voが印加される。したがって、出力インダクタ26aの電流I26aは、出力巻線20b(2)及び第二の整流FET24aを通じて流れ、出力コンデンサ26b(及びコンデンサCo)を放電する方向に、右肩下がりに変化する。ただ、出力巻線20b(2)のインダクタンスが比較的大きいので、右肩下がりの変化幅は小さい。
期間(d)は、期間(c)と異なるのが、駆動パルスVg24がローレベルで第二の整流FET24aがオフしている点であり、期間(c)に流れていた電流I26aの経路が遮断される形になる。したがって、電流I26aは、出力インダクタ26aと図示しない浮遊容量等との共振により、ほぼゼロアンペアに戻る。
期間(e)は、駆動パルスVg12がローレベルで第一のスイッチング素子12がオフし、駆動パルスVg14がハイレベルで第一のスイッチング素子12がオンしている。したがって、入力巻線20aの両端には、ドットと逆向きに電圧Vi/2が印加される。また、駆動パルスVg22がローレベルで第一の整流FET22aがオフし、駆動パルスVg24がローレベルで第二の整流FET24もオフしているが、第一の寄生ダイオード22bが順バイアスされて導通する。したがって、出力インダクタ26aの電流I26aは、第一の寄生ダイオード22bを通じて流れ、出力コンデンサ26b(及びコンデンサCo)を充電する方向に、右肩上がりに変化する。
期間(f)は、駆動パルスVg12がローレベルで第一のスイッチング素子12がオフし、駆動パルスVg14がローレベルで第二のスイッチング素子14もオフしている。したがって、期間(e)とは異なり、入力巻線20aには電圧Vi/2が印加されない。また、駆動パルスVg22がローレベルで第一の整流FET22aがオフし、駆動パルスVg24がローレベルで第二の整流FET24もオフしているが、第一及び第二の寄生ダイオード22b,24bの双方が順バイアスされて導通する。したがって、期間(f)の当初、出力インダクタ26aの電流I26aは、第一及び第二の寄生ダイオード22b,2bを通じて流れ、出力コンデンサ26b(及びコンデンサCo)を放電する方向に、右肩下がりに変化する。その後、期間(b)の途中で電流I26aがゼロアンペアに達する。このタイミングは、期間(e)に出力インダクタ26aに蓄積された励磁エネルギーがすべて放出されたタイミングであり、これ以降は第一及び第二の寄生ダイオード22b,24bが非導通になり、電流I26aがゼロアンペアに保持される。
期間(g)は、期間(f)と異なるのが、駆動パルスVg22がハイレベルで第一の整流FET22aがオンしている点であり、出力インダクタ26a及び出力巻線20b(1)の直列回路の両端に出力電圧Voが印加される。したがって、出力インダクタ26aの電流I26aは、出力巻線20b(1)及び第一の整流FET22aを通じて流れ、出力コンデンサ26b(及びコンデンサCo)を放電する方向に、右肩下がりに変化する。ただ、出力巻線20b(1)のインダクタンスが比較的大きいので、右肩下がりの変化幅は小さい。
期間(h)は、期間(g)と異なるのが、駆動パルスVg22がローレベルで第一の整流FET22aがオフしている点であり、期間(g)に流れていた電流I26aの経路遮断される形になる。したがって、電流I26aは、出力インダクタ26aと図示しない浮遊容量等との共振により、ほぼゼロアンペアに戻る。
期間(h)が終了すると次の期間(a)が始まり、以降、上述した期間(a)〜(h)の動作を繰り返す。したがって、電流I26aは、ゼロアンペア付近を中心に振幅する。以上が動作点P2の動作である。
動作点P2の後は、図6(b)に示すように、第一及び第二のスイッチング素子12,14のオン時間Ton12,Ton14が徐々に長くなり、同時に第一及び第二のデッドタイムTd22,Td24が徐々に短くなり、やがて上述した動作点P1と同様の動作を行う定常状態になる。
図6(b)では、動作点P2の後、次の動作点P1に戻る過程で、出力電圧Voが少し低下するように描いている。これは、動作点P2とは少し異なる動作を行う動作点P3が想定されるからである。動作点P3とは、第一のスイッチング素子12と第二の整流FET24aが同時にオンする期間と、第二のスイッチング素子14と第一の整流FET22aが同時にオンする期間とが存在する動作点である。つまり、動作点P3では、出力コンデンサ26b(及びコンデンサCo)に蓄えられたエネルギーを入力側に回生する動作が行われるので、出力電圧Voが少し低下する。ただ、この出力電圧Voの低下量は、オン時間Ton12,Ton14(期間(a)、(e)の長さ)の変化とオン時間Ton22,Ton24(期間(c)、(g)の長さ)の変化の兼ね合いによって決まるので、例えば、動作点P2の後、オン時間Ton12,Ton14がもっと長くなってから動作点P3が始まるようにオン時間Ton22,Ton24を変化させれば、出力電圧Voがほとんど低下しないようにすることができる。
このように、スイッチング電源装置10は、スイッチング動作を再開した直後の動作点P2において、第一及び第二のスイッチング素子12,14のソフトスタート(オン時間Ton12,Ton14を徐々に長くする制御)が行われるが、出力インダクタ26aの電流I26aが異常に大きくなるという現象は発生しない。つまり、特許文献2に記載された問題(出力コンデンサ26b及びコンデンサCoに電荷が残った状態で起動すると、出力コンデンサ26b及びコンデンサCoを放電する大電流が各同期整流素子22,24を通じて流れ、回路素子が破壊するおそれがあるという問題)は発生しない。動作点P3においても同様である。
なお、本発明のスイッチング電源装置の制御方法の第一の実施形態は、「第一のスイッチング素子12がターンオフした後、所定の第一デッドタイムTd22が経過した時に第一の同期整流素子22をターンオンさせ、第二のスイッチング素子14がターンオフした後、所定の第二デッドタイムTd24が経過した時に第二の同期整流素子24をターンオンさせ、さらに、出力インダクタ26aに流れる電流I26aが、出力コンデンサ26bを放電する方向に一定以上の大きさになるのを、第一及び第二デッドタイムTd22,Td24を相対的に長くすることによって抑制する」というものである。さらに、「第一及び第二のスイッチング素子12,14がスイッチング動作を開始した当初、第一及び第二デッドタイムTd22,Td24を相対的に長くし、その後、時間の経過とともに第一及び第二デッドタイムTd22,Td24を短くして所定の値に収束させる」というものである。さらに、「第一の同期整流素子22がターンオフした後、所定の第三デッドタイムTd12が経過した時に第一のスイッチング素子12をターンオンさせ、第二の同期整流素子24がターンオフした後、所定の第四デッドタイムTd14が経過した時に第二のスイッチング素子14をターンオンさせる」というものである。この制御方法は、上記のスイッチング制御回路28により実行されている。
次に、比較例として、従来のスイッチング電源装置54の動作を、図9に基づいて説明する。スイッチング電源装置54は、上述したスイッチング電源装置10と構成が異なるのは、第一及び第二のデッドタイムTd22,Td24が一定の短い時間Tdyに固定されているという点であり、その他の構成は同様である。
スイッチング電源装置54の場合、図9(b)に示す動作点P1(定常状態)の動作は、スイッチング電源装置10と同じであり、図7のように表される。しかしながら、ON/OFF信号が切り替えられて、スイッチング動作を再開した直後の動作(以下、動作点P2xと称する)が異なる。
図10は、動作点P2xの各部の動作波形を示しており、時間軸は、図9(b)よりも大幅に拡大してある。スイッチング電源装置54の動作点P2xの動作は、1つのスイッチング周期Tswを期間(1)〜(8)に区分して説明することができ、各期間における各素子の状態(オン又はオフ、導通又は非導通)は、図7に示す動作点P1と同じである。しかし、各期間の長さが動作点P1と違ってくるので、出力インダクタ26aの電流I26aの挙動に差が生じる。
スイッチング電源装置54の場合、第一のスイッチング素子12のソフトスタートが行われてオン時間Ton12が短くなると、これに対応して第一の整流FET22aのオン時間が長くなる。したがって、図10から分かるように、期間(2)、(3)、(4)の合計長さが期間(1)の長さよりも長くなり、その結果、期間(2),(3),(4)における出力インダクタ26のVT積の合計が、期間(1)のVT積よりも大きくなる。そのため、期間(2)〜(4)における電流I26aの右肩下がりの変化幅が、期間(1)における右肩上がりの変化幅よりも格段に大きくなる。
同様に、第二のスイッチング素子14のソフトスタートが行われてオン時間Ton14が短くなると、これに対応して第二の整流FET24aのオン時間が長くなる。したがって、図10から分かるように、期間(6)、(7)、(8)の合計長さが期間(5)の長さよりも長くなり、その結果、期間(6),(7),(8)における出力インダクタ26のVT積の合計が、期間(5)のVT積よりも大きくなる。そのため、期間(6)〜(8)における電流I26aの右肩下がりの変化幅が、期間(5)における右肩上がりの変化幅よりも格段に大きくなる。
その後、期間(1)〜(8)の動作を複数回繰り返すうちに、電流I26aがどんどん負方向に大きくなり、第一及び第二の同期整流素子22,24に大電流が流れ、第一及び第二の同期整流素子22,24に大きいストレスが加わる。さらに、出力インダクタ26aの偏磁が進行して飽和に至ると、電流I26aの負方向の電流量を制限することができなくなり、第一及び第二の同期整流素子22,24にさらに大きい電流が流れ、第一及び第二の同期整流素子22,24が破損してしまう可能性がある。
このように、図10に示す比較例の動作(スイッチング電源装置54の動作点P2xの動作)では、スイッチング動作を再開するとき、電流I26aが、出力コンデンサ26aを放電する向きに異常に大きくなり、第一及び第二の同期整流素子22,24を通じて大電流が流れるという問題が発生する。これに対して、図8に示す本発明の動作(スイッチング電源装置10の動作点P2の動作)では、このような問題は発生しない。
以上説明したように、スイッチング電源装置10及びその制御方法によれば、第一及び第二のスイッチング素子12,14のソフトスタートが行われたとき、第一及び第二デッドタイムTd22,Td24を可変することにより、出力側から大電流が流れ込むという同期整流に特有の問題を確実に解決することができる。しかも、この制御方法は、独特な第一及び第二のデッドタイム制御手段32,32を設けることにより、シンプルかつ安価に実現することができる。
さらに、第三及び第四のデッドタイムTd12,Td14が設けられているので、第一のスイッチング素子12と第一の整流FET22aとが同時にオンして貫通電流が流れる不具合、及び第二のスイッチング素子14と第二の整流FET24aとが同時にオンして貫通電流が流れる不具合も、確実に防止することができる。
次に、第一及び第二デッドタイム制御手段32,34の変形例について、図11に基づいて説明する。第一及び第二デッドタイム制御手段32,34が有する第一及び第二デジタルカウンタ32b,34bは、図11(a)に示す第一及び第二の立ち上がりエッジ遅延回路56,58に置き換えることができる。
第一の立ち上がりエッジ遅延回路56は、タイマコンデンサ60(コンデンサ60(1)〜60(4)を合成したもの)及び充電抵抗62から成る積分回路と、比較器64を備えている。積分回路は、図11(b)に示すように、NOT32aが出力した電圧Vaの立ち上がりを緩やかにした電圧Vatを出力する。また、充電抵抗62の両端には、タイマコンデンサ60を瞬時に放電するためのダイオード66が並列接続され、充電抵抗62と直列の位置に逆流阻止用のダイオード68が挿入され、電圧Vatの立ち下がりが電圧Vaと同様に急峻になるよう構成されている。比較器64は、非反転入力に入力された電圧Vatと反転入力に入力された一定の閾値Vthとを比較し、電圧Vatが閾値Vthよりも高いときにハイレベル、低いときにローレベルとなる駆動パルスVg22を出力する。したがって、第一デッドタイムTd22は、タイマコンデンサ60と充電抵抗62の時定数τにより決定され、時定数τを大きくすると、第一デッドタイムTd22が相対的に長くなる。
さらに、コンデンサ60(1)〜60(3)と直列の位置には、それぞれスイッチ素子70が挿入されている。スイッチ素子70は、例えばMOS型FET等であり、図示しない駆動回路により駆動されてオン状態又はオフ状態になる。駆動回路は、スイッチ素子70を選択的にオン又はオフさせ、タイマコンデンサ60の合成容量を変化させることによって時定数τを変化させ、第一デッドタイムTd22を可変する。具体的には、スイッチング動作を開始した当初は、3つのトランジスタ70をすべてオンにしてタイマコンデンサ60の合成容量を大きくすることによって時定数τを大きくし、第一のデッドタイムTd22を長くする。その後、時間の経過とともにスイッチ素子70を1つずつ順番にオフにし、タイマコンデンサ60の合成容量を段階的に小さくすることによって時定数τを小さくし、第一のデッドタイムTd22を短くする。これによって、図11(c)に示す特性を得ることができる。
第二の立ち上がりエッジ遅延回路58は、第一の立ち上がりエッジ遅延回路56と同様の構成である。上記の第一及び第二デジタルカウンタ32b,34bを第一及び第二の立ち上がりエッジ遅延回路56,58に置き換えた場合も、同様の作用効果が得られる。
次に、第三及び第四デッドタイム制御手段36,38の変形例について、図12に基づいて説明する。第三及び第四デッドタイム制御手段36,38が有する第三及び第四デジタルカウンタ36a,38aは、図12(a)に示す第三及び第四の立ち上がりエッジ遅延回路72,74に置き換えることができる。
第三の立ち上がりエッジ遅延回路72は、第一の立ち上がりエッジ遅延回路56と同様に、タイマコンデンサ60と充電抵抗62の時定数τに基づいて第三デッドタイムTd12を制御する構成であるが、第三デッドタイムTd12は一定の時間Tdyなので、時定数τを可変するためのスイッチ素子70が省略され、タイマコンデンサ60が1つのコンデンサ素子により構成されている。第四の立ち上がりエッジ遅延回路74は、第三の立ち上がりエッジ遅延回路72と同様の構成である。上記の第三及び第四デジタルカウンタ36b,38bを第三及び第四の立ち上がりエッジ遅延回路72,74に置き換えた場合も、同様の作用効果が得られる。
次に、本発明のダブルエンド絶縁型のスイッチング電源装置及びその制御方法の第二〜第五の実施形態について、図13、図14に基づいて説明する。
第二の実施形態のスイッチング電源装置76は、図13(a)に示すように、スイッチング電源措置10から入力側コンデンサ16を省略したハーフブリッジ方式の電源装置である。第一のスイッチング素子12、第二のスイッチング素子14、第一の同期整流素子22、第二の同期整流素子24を、それぞれ、上記のスイッチング制御回路28が出力する駆動パルスVg12,Vg14,Vg22,Vg24で駆動することによって、同様の作用効果を得ることができる。
第三の実施形態のスイッチング電源装置78は、図13(b)に示すように、スイッチング電源措置10のトランス20の出力側の回路構成をセンタタップ整流型からブリッジ整流型に変更したハーフブリッジ方式の電源装置である。この場合、出力巻線が20bで、第一の同期整流素子が22(1)及び22(2)で、第二の同期整流素子が24(1)及び24(2)となる。第一のスイッチング素子12、第二のスイッチング素子14、第一の同期整流素子22(1)及び22(2)、第二の同期整流素子24(1)及び24(2)を、それぞれ、上記のスイッチング制御回路28が出力する駆動パルスVg12,Vg14,Vg22,Vg24で駆動することによって、同様の作用効果を得ることができる。
第四の実施形態のスイッチング電源装置80は、図14(a)に示すように、スイッチング電源措置10のトランス20の入力側の回路構成を変更したフルブリッジ方式の電源装置である。この場合、第一のスイッチング素子が12(1)及び12(2)で、第二のスイッチング素子が14(1)及び14(2)となる。第一のスイッチング素子12(1)及び12(2)、第二のスイッチング素子14(1)及び14(2)、第一の同期整流素子22、第二の同期整流素子24を、それぞれ、上記のスイッチング制御回路28が出力する駆動パルスVg12,Vg14,Vg22,Vg24で駆動することによって、同様の作用効果を得ることができる。
第五の実施形態のスイッチング電源装置82は、図14(b)に示すように、スイッチング電源措置10のトランス20の入力側の回路構成を変更したプッシュプル方式の電源装置である。この場合、入力巻線が20a(1)及び20a(2)となる。第一のスイッチング素子12、第二のスイッチング素子14、第一の同期整流素子22、第二の同期整流素子24を、それぞれ、上記のスイッチング制御回路28が出力する駆動パルスVg12,Vg14,Vg22,Vg24で起動することによって、同様の作用効果を得ることができる。
なお、本発明のスイッチング電源装置は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、スイッチング制御回路の内部構成は、上述したような独特な動作が実現できるものであればよく、上記のPWM制御部30と第一乃至第四デッドタイム制御手段32,34,36,38とを組み合わせた構成に限定されるものではない。
また、上記のスイッチング制御回路28は、スイッチング動作を開始した当初、第一及び第二デッドタイムTd22,Td24を相対的に長くし、その後、時間の経過とともに第一及び第二デッドタイムTd22,Td24を短くして所定の値Tdyに収束させる動作を行うことによって、出力インダクタ26aの電流I26aが、出力コンデンサ26bを放電する方向に一定以上の大きさになるのを抑制している。これ以外に、例えば、出力インダクタ26aの電流I26a又はこれに対応した電流を観測し、電流I26aが出力コンデンサ26bを放電する方向に一定の大きさになったことを検知すると、第一及び第二デッドタイムTd22,Td24を相対的に長くし、電流I26aが大きくなるのを抑制する構成に変更してもよい。このように構成することによって、スイッチング電源装置のスイッチング動作が開始する時以外の時にも、同様の作用効果を得ることができる。
また、本発明のスイッチング電源装置の制御方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、この制御方法を実行するスイッチング制御回路の構成は特に限定されず、上記のスイッチング制御回路28とは別の構成のスイッチング制御回路によって実行してもよい。