JP2005176512A - スイッチング電源及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 より効率の良い、スイッチング電源を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明のスイッチング電源は、3巻線トランスの2次側の2本の巻線に誘起される互いに逆位相の第1及び第2交流電圧を、第1及び第2トランジスタスイッチを用いて整流する同期整流回路を用いるスイッチング電源であって、上記同期整流回路内において、上記第1及び第2トランジスタスイッチを、第1及び第2交流電圧によって交互にオンに切り換える制御回路であって、第1及び第2トランジスタスイッチのゲート電極に印加される電圧が共にしきい値よりも低い値の時に、第1又は第2トランジスタスイッチをオフに切り換える制御回路を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】 本発明のスイッチング電源は、3巻線トランスの2次側の2本の巻線に誘起される互いに逆位相の第1及び第2交流電圧を、第1及び第2トランジスタスイッチを用いて整流する同期整流回路を用いるスイッチング電源であって、上記同期整流回路内において、上記第1及び第2トランジスタスイッチを、第1及び第2交流電圧によって交互にオンに切り換える制御回路であって、第1及び第2トランジスタスイッチのゲート電極に印加される電圧が共にしきい値よりも低い値の時に、第1又は第2トランジスタスイッチをオフに切り換える制御回路を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、直流間接変換を行うスイッチング電源及びその制御方法に関する。ここで直流間接変換とは、半導体スイッチを用いて直流電圧を一旦交流電圧に変換し、再び、極性、電圧値が異なる直流電圧とする直流電圧変換のことを言う。
直流間接変換を行う電流共振型のスイッチング電源には、3巻線トランスの2次側に誘起される互いに逆位相の2つの交流電圧を直流電圧に変換する同期整流回路が用いられている。なお、上記3巻線トランスとは、1次側に1次巻線を備え、2次側に2個の2次巻線を備えるトランスであって、1次側の巻線に対する交流電圧の印加に対して、上記2次側の2個の2次巻線に、互いに逆位相の交流電圧を誘起するものをいう。
上記同期整流回路は、交互にオンに切り換えられる2個のスイッチを用いて、上記互いに逆位相の2つの交流電圧の全波整流を行う回路をいい、同期整流を行わずにダイオードのみで構成される整流回路と区別される。
図3は、同期整流型の電流共振型スイッチング電源200の回路の一例を示す図である。当該スイッチング電源200の同期整流回路を構成する2個のスイッチ回路は、半周期毎にオンに切り換えられるトランジスタスイッチ209,210と、当該トランジスタスイッチ209,210に逆接続されたダイオード211,212とで構成されている。なお、図には、各トランジスタスイッチ209,210の寄生容量213,214をコンデンサの記号で示してある。
スイッチング電源200は、小型化を図るため、トランジスタスイッチ209及び210のオン/オフを、これらのトランジスタのゲート電極に印加する信号を発生する第1駆動装置(図示せず)を用いる代わりに、トランス203の2次側に追加した補助巻線205及び208に誘起される電圧を利用する。
図示しない第2駆動装置によってトランジスタスイッチ201及び202を交互にオンに切り換えることで、トランス203の1次巻線204に交流電圧V1が印加され、2次巻線206,207及び補助巻線205,208に、交流電圧V2〜V5が誘起される。トランジスタスイッチ209,210は、それぞれ補助巻線205,208に誘起する電圧V2,V5によりオン/オフに切り換わり、ダイオード211,212でのロスを低減させつつ、2次巻線206,207に誘起される交流電圧V3,V4を整流して出力Voutを生成する。
なお、上記スイッチング電源200は、例えば、以下の特許文献1に記載されている。
特開平11−332233号公報
上述するように、トランジスタスイッチ209及び210は、それぞれトランス203の2次側に設けた補助巻線205及び208に誘起される電圧V2及びV5により交互に駆動される。例えば、交流電圧V3の低下に伴い、トランジスタスイッチ209をオフに切り換え、交流電圧V4の増加に伴いトランジスタスイッチ210をオンに切り換える場合を考察する。この場合、交流電圧V3と共に補助コイル205に誘起されている交流電圧V2の値も減少するが、トランジスタスイッチ209の寄生容量213の作用により、交流電圧V2の値がしきい値Vth以下になっているにもかかわらず、オンの状態を維持することがある。この場合、トランジスタスイッチ209及び210が共にオンの状態になり、2次側のコイル206,207に短絡電流が流れ、トランジスタスイッチ209,210が破損する恐れがある。その他、逆電流の発生による1次側回路の破損や、効率の低下等の恐れもある。
また、2次巻線に誘起されている電圧の反転時、ゲートの寄生容量により、トランジスタスイッチ209,210に逆電流が流れようとするが、この場合、スイッチング電源200では、コイル215で生じる逆起電力により、上記逆電流が流れることを防いでいる。しかし、無負荷時には、コイル215に電流が流れないため上記逆起電力は発生せず、上述する逆電流が流れることを抑制することができない。
本発明は、より効率及び安定性の良い、直流間接変換を行うスイッチング電源及びその制御方法を提供することを目的とする。
本発明のスイッチング電源(以下、第1のスイッチング電源という)は、上記第1及び第2トランジスタスイッチの寄生容量によるオフ時の時間遅れを防ぎ、制御の安定化を図ったものであり、3巻線トランスの2次側の2本の巻線に誘起される互いに逆位相の第1及び第2交流電圧を、第1及び第2トランジスタスイッチを用いて整流する同期整流回路を用いるスイッチング電源であって、上記同期整流回路内において、上記第1及び第2トランジスタスイッチを、第1及び第2交流電圧によって交互にオンに切り換える制御回路であって、第1及び第2トランジスタスイッチのゲート電極に印加される電圧が共にしきい値よりも低い値の時に、第1又は第2トランジスタスイッチをオフに切り換える制御回路を備えたことを特徴とする。
上記3巻線トランスとは、通常、2次側に出力電圧を形成するための交流電圧を誘起する巻線を2本有するものをいう。しかし、当該構成のトランスに補助コイル等を追加し、見かけ上、2次側に3本以上の巻線を有するトランスも、3巻線トランスに含むものとする。
上記動作を行う制御回路は、第1及び第2交流電圧が、第1及び第2トランジスタスイッチのしきい値よりも低くなっているにも拘わらず、上記寄生容量により、オンしつづけてしまうモードを防ぐことができる。
本発明の上記とは別のスイッチング電源(以下、第2のスイッチング電源という)は、上記第1のスイッチング電源において、上記制御回路は、上記第1及び第2交流電圧が、ベース電極及びコレクタ電極に互い違いに、かつ、所定の負荷を介して印加され、各コレクタ電極が上記第1及び第2トランジスタスイッチのゲート電極に接続されているエミッタ接地の第1及び第2バイポーラトランジスタで構成され、上記所定の負荷は、第1及び第2バイポーラトランジスタが、第1及び第2交流電圧によりコレクタ電極に印加される電圧が上記第1及び第2トランジスタスイッチのしきい値よりも低い値で遮断状態になるように設定されていることを特徴とする。
なお、上気第1及び第2のスイッチング電源は、電流共振型のスイッチング電源であることが好ましい。
本発明のスイッチング電源の制御方法は、上記スイッチング電源が、3巻線トランスの2次側の2本の巻線に誘起される互いに逆位相の第1及び第2交流電圧を、第1及び第2トランジスタスイッチを用いて整流する同期整流回路を用い、上記同期整流回路内において、上記第1及び第2トランジスタスイッチを、第1及び第2交流電圧によって交互にオンに切り換える制御工程であって、第1及び第2トランジスタスイッチのゲート電極に印加される電圧が共にしきい値よりも低い値の時に、第1又は第2トランジスタスイッチをオフに切り換える制御工程を備えたことを特徴とする。
本発明の上記第1のスイッチング電源、当該スイッチング電源が電流共振型のもの、及び上記スイッチング電源の制御方法を用いることで、一方のトランジスタスイッチを当該トランジスタスイッチのゲート電極に印加される上記交流電圧がしきい値電圧よりも低い値でオフに切り換えた後に、他方のトランジスタスイッチをオンの状態に切り換えることになる。これにより、両方のトランジスタスイッチが同時にオンに切り換わることを防止して、整流回路における整流動作の効率を向上することができる。
本発明の第2のスイッチング電源、又は、当該スイッチング電源が電流共振型のものを用いることで、オフに切り換えるトランジスタスイッチの寄生容量の電荷を効果的に放電して、当該寄生容量によって上記トランジスタがオンのままの状態を保つことを防止することができる。これにより、両方のトランジスタスイッチが同時にオンに切り換わることを防止して、整流回路における整流動作の効率を向上することができる。
図1は、実施の形態に係る電流共振型スイッチング電源100の構成を示す回路図である。後に詳しく説明するが、スイッチング電源100は、同期整流回路C2aを構成する2個のトランジスタスイッチ108,109を交互にオンに切り換える制御回路であって、一方のトランジスタスイッチをオフに切り換えてから他方をオンに切り換えて、これら2個のトランジスタスイッチが同時にオンに切り換わることを排除する機能を備えた制御回路C2bとを採用したことを特徴とする。
スイッチング電源100は、点線で囲んで示すように、3巻線トランス101の1次巻線102側の回路C1と、2次巻線103,104側の回路C2とで構成されている。
通常、3巻線トランスとは、2次側に出力電圧を形成するための交流電圧を誘起する主巻線を2本有するものをいう。本実施の形態には該当しないが、3巻線トランスに、補助コイル等を追加し、見かけ上、2次側に3本以上の巻線を有する場合であっても、2次側に出力電圧を形成するための交流電圧を誘起する主巻線を2本有するものである限りにおいて、3巻線トランスの概念に含むものとする。
回路C1は、交流電圧V1を生成して1次巻線102に印加する回路であり、周知の電流共振型スイッチング電源のトランスの1次側に備えるものと同じ回路(例えば、図3を参照)を採用する。
具体的には、回路C1は、直列に接続されたコンデンサ104と2個のトランジスタスイッチ105,106、及び、上記トランジスタスイッチ106に並列に接続された1次巻線102とコンデンサ107で構成される。2個のトランジスタスイッチ105,106を、図示しない駆動装置により交互にオンに切り換えることにより、コンデンサ107の充電と放電が繰り返し行われ、この結果、1次巻線102に交流電圧V1が印加される。
回路C2は、2次巻線103及び104に誘起する交流電圧V2,V3を整流して直流電圧を生成する整流回路C2aと、上記整流回路C2aの整流回路111及び112を構成する2個のトランジスタスイッチ108,109を交互に駆動する制御回路C2bとで構成されている。
整流回路C2aは、3巻線トランス101の2次巻線103,104と、当該2本の巻線間よりのびる第1端子110、各巻線に誘起する交流電圧V2,V3を整流する整流回路111,112、各巻線に流れる電流が反転した際に現れる逆電流を抑制するためのコイル113,114、及び、平滑コンデンサ115で構成される。上記コイル113,114は、それぞれ2次巻線103,104と整流回路111,112の間に直列接続されている。上記整流回路111,112の出力端子は、互いに結線された後に第2端子116に接続されている。以下、第2端子116の電位をGと表す。
整流回路111は、しきい値電圧がVth3のトランジスタスイッチ(NチャンネルMOSFET)108と、上記トランジスタスイッチ108のソース・ドレイン間に逆接続されたダイオード130とで構成される。なお、図には、トランジスタスイッチ108の寄生容量131をコンデンサの記号で明示してある。
整流回路112は、しきい値電圧がVth2のトランジスタスイッチ(NチャンネルMOSFET)109と、上記トランジスタスイッチ109のソース・ドレイン間に逆接続されたダイオード132とで構成される。なお、図には、トランジスタスイッチ109の寄生容量133をコンデンサの記号で明示してある。
制御回路C2bは、上記2個のトランジスタスイッチ108,109を、交互にオンに切り換えるものであり、特に、各トランジスタスイッチ108,109のゲート電極に印加される電圧が、共にしきい値よりも低い値の期間に、トランジスタスイッチ108又は109をオフに切り換えることを特徴とする。
当該制御を行うことで、トランジスタスイッチのゲートの寄生容量の作用によるオフへの切り換わりの遅延を防ぎ、当該トランジスタスイッチが完全にオフに切り換わってから、他方のトランジスタスイッチをオンの状態に切り換えることができる。これにより、トランジスタスイッチ108及び109が同時にオンの状態になることを防止すると共に、無負荷時に各トランジスタスイッチ108,109に逆電流が流れるのを防止することができる。
制御回路C2bは、より具体的には、上記2つの交流電圧V2,V3がベース電極及びコレクタ電極に互い違いに、かつ、所定の負荷(抵抗120,121,123及び124等)を介して印加され、互いのエミッタ電極が上記整流回路C2aの端子116に接続されると共に、各コレクタ電極が上記2個のトランジスタスイッチ108,109のゲート電極に接続されている2個のバイポーラトランジスタ125,126で構成されている。上記所定の負荷は、バイポーラトランジスタ125,126が、コレクタ電極に印加される電圧が上記2個のトランジスタスイッチ108,109のしきい値Vth3,Vth2以下のときに、遮断状態になるように設定されている。
以下、制御回路C2bの構成について詳細に説明する。制御回路C2bは、抵抗120,121,123,124,127,128,129、及び、同一特性の2個のnpn型バイポーラトランジスタ(以下、単にトランジスタという)125,126で構成される。
なお、抵抗120と抵抗121とは1kΩ、抵抗123と抵抗124とは56Ω、抵抗127は5.1kΩ、抵抗128は7.5Ω、抵抗129は5.1kΩである。
トランジスタ125のベース電極は、抵抗120を介して整流回路C2aの点P1に接続されると共に、抵抗127を介して点P5に接続されている。上記構成において、トランジスタ125のベース電極には、点P1と点P5との間の電位差を、抵抗120及び抵抗127の抵抗値の比率で抵抗分割した電圧が印加される。
また、トランジスタ125のコレクタ電極は、整流回路111を構成するトランジスタスイッチ108のゲート電極に接続されると共に、抵抗123を介して整流回路C2aの点P4に接続されている。トランジスタ125のエミッタ電極は、抵抗128を介して整流回路C2aの第2端子116に接続されている。
一方、トランジスタ126のベース電極は、抵抗121を介して整流回路C2aの点P2に接続されると共に、抵抗129を介して点P6に接続されている。上記構成において、トランジスタ126のベース電極は、点P2と点P6との間の電位差を、抵抗121及び抵抗129の抵抗値の比率で抵抗分割した電圧が印加される。
また、トランジスタ126のコレクタ電極は、整流回路112を構成するトランジスタスイッチ109のゲート電極に接続されると共に、抵抗124を介して整流回路C2aの点P3に接続されている。トランジスタ126のエミッタ電極は、抵抗128を介して整流回路C2aの第2端子116に接続されている。
以下、上記構成の制御回路C2bを備えた整流回路C2aの動作について説明する。図2は、2次巻線103,104に誘起される交流電圧V2,V3の波形を示す図である。また、表1は、交流電圧V2がHighレベル(V2)からLowレベル(G=0v)へと電位の降下を開始して、降下し終わるまでの期間T1、次の電位上昇開始までの期間T2、電位上昇開始から上昇し終わるまでの期間T3、次の電圧降下開始までの期間T4の各々の期間におけるトランジスタ108,109,125,126(表中、トランジスタをTrと表す)のオン/オフの状態変化を示す。交流電圧V2の電圧降下に伴い、点P1の電位が低下し、この結果、トランジスタ125のベース・コレクタ間における電荷の流れが停止する、いわゆる遮断(cut off)状態になる時の電圧V2の値を、Voff2と記す。同様に、トランジスタ126が遮断状態になるときの電圧V3の値を、Voff3と記す。本例では、Voff2=Voff3である。
まず、期間T1について考察する。期間T1では、交流電圧V2がHighレベルからLowレベルに切り換わり、代わりに、交流電圧V3がLowレベル(G=0v)からHighレベル(V3(但し、V3=V2である))に切り換わる。電圧V2の電圧の減少により、P1、P3点の電位も下がるが、この際、Vg1の電圧降下は、トランジスタスイッチ109の寄生容量133の作用により遅くなる。
電圧V2>電圧V3の関係を満たす期間中、トランジスタ125はオン、トランジスタ126はオフである。更に、電圧V2が減少し、V2≒V3の状態になり、Voff2以下になるとトランジスタスイッチ125,126は共にオフの状態になる。更に、電圧V2が減少して電圧V2<電圧V3の状態になり、電圧V3の上昇値がVoff3を超えると、トランジスタスイッチ126がオンし始める。この際、P3点は、P2の減少によりLowレベルであるため、トランジスタスイッチ126のコレクタ電流Icは、抵抗124を介して供給されない。これにより、トランジスタスイッチ109の寄生容量133から、トランジスタ126のコレクタ電流Icが供給され、V3の上昇により、トランジスタスイッチ108のゲートがVth3を超える前に、トランジスタ109の寄生容量133の放電が行われる。この結果、トランジスタスイッチ108,109のオン及びオフが速やかに行われるのである。
上記回路動作をより詳細に説明すると以下のとおりになる。交流電圧V2及びV3の変化に伴い、電圧V2がVoff2以下になると、トランジスタ125が遮断状態になる。上述したように、トランジスタ125のベース電極には、交流電圧V2が抵抗120及び抵抗127により抵抗分割された電圧が印加され、コレクタ電極には、交流電圧V3が抵抗123において電圧降下した値が印加される。
トランジスタ126のベース電極には、交流電圧V3が抵抗121及び抵抗129により抵抗分割された電圧が印加され、コレクタ電極には、交流電圧V2が抵抗124において電圧降下された値が印加される。
以上の説明より、期間T1において、交流電圧V2がVoff2の値以下になった後、交流電圧V3がVoff3以上の値になるまでの間は、トランジスタ125とトランジスタ126の両方が遮断状態になることが理解される。
整流回路111及び112を構成するトランジスタスイッチ108及び109は、ゲート電極に印加される電圧(トランジスタ125及び126のコレクタ電極の電圧と同じ)が、しきい値電圧Vth2,Vth3(但し、Vth2>Voff2及びVth3>Voff3の関係を満たす)を超えた場合にオンに切り換わる。トランジスタスイッチ108及び109のゲート電極には、電圧V3及び電圧V2が、それぞれ抵抗123及び124による電圧降下を伴いながら、印加されている。
上述した制御回路C2bでは、トランジスタ125が完全にオフに切り換わった時点で、トランジスタ109のゲートの寄生容量により、トランジスタ109のゲート電極の電位Vg1は当該トランジスタ109をオンの状態を維持する(しきい値Vth2以上の)値を維持している。この後、トランジスタ126がオンに切り換わることで、電流Icが流れてゲート電圧Vg1を低下させると共に、トランジスタスイッチ109の寄生容量133に充電されている電荷を放電する。当該放電実行時、交流電圧V2、即ち点P3の電位は、既にトランジスタスイッチ109のしきい値電圧Vth2以下になっているため、両方のトランジスタスイッチがオンすることを、完全に排除することができる。
トランジスタ125がオフに切り換わることで、点P4の電位が抵抗123を介してトランジスタスイッチ108のゲート電極に印加されることになる。トランジスタスイッチ108は、交流電圧V3の上昇に伴いゲート電圧Vg2がしきい値電圧Vth3(但し、Vth3>Voff3の関係を満たす)を超えるとオンに切り換わる。
整流回路C2aでは、期間T1において、上記トランジスタスイッチ109をオフに切り換えるタイミングを、トランジスタスイッチ108のゲート電極に印加される電圧がしきい値Vth3を越えるタイミングの前に設定する。これにより、両方のトランジスタスイッチが同時にオンの状態になる期間を無くし、整流動作の効率を向上することができる。
期間T2においては、表1に示すように、トランジスタスイッチ108がオン、トランジスタスイッチ109がオフ、トランジスタ125がオフ、及び、トランジスタ126がオンの状態を維持する。
期間T3においては、トランジスタ125,126の動作とトランジスタ108,109の動作が入れ換わるだけで、期間T1において生じる現象と同様の現象が生じる。これにより、両方のトランジスタスイッチが同時にオンの状態になる期間を無くし、整流動作の効率を向上することができる。
期間T4においては、表1に示すように、トランジスタスイッチ108がオフ、トランジスタスイッチ109がオン、トランジスタ125がオン、及び、トランジスタ126がオフの状態を維持する。
整流回路C2aは、制御回路C2bの働きにより、以上の期間T1〜T4における動作を繰り返す。
最後に、上記整流回路C2aに設けたコイル113,114の奏する作用および効果について説明しておく。図3に示した従来のスイッチング電源200のコイル215には全波整流後の電流が流れるのに対して、整流回路C2aに設けたコイル113,114は、2本の2次巻線の各々に誘起する電圧V2,V3が整流される前の状態、即ち、半波分の電流が流れる。この場合、各コイルのリアクタンス成分が同じであるとしても、コイル215における消費電力Pに対し、コイル113,114で消費する電力はP/4、即ち、回路全体でみると消費電力は、P/2となる。このように、実施の形態に係るスイッチング電源100では、逆電流の防止用のコイル113,114において消費される電力の合計を、図3に示したスイッチング電源200のコイル215において消費される電力の半分に低減することができる。
100,200 同期整流を採用した電流共振型スイッチング電源、111,112 整流回路、108,109 Nチャンネル型MOSFET、125,126 npn型トランジスタ、C1 1次巻線側回路、C2 2次巻線側回路、C2a 整流回路、C2b 差動増幅器。
Claims (4)
- 3巻線トランスの2次側の2本の巻線に誘起される互いに逆位相の第1及び第2交流電圧を、第1及び第2トランジスタスイッチを用いて整流する同期整流回路を用いるスイッチング電源であって、
上記同期整流回路内に、上記第1及び第2トランジスタスイッチを、第1及び第2交流電圧によって交互にオンに切り換える制御回路であって、第1及び第2トランジスタスイッチのゲート電極に印加される電圧が共にしきい値よりも低い値の時に、第1又は第2トランジスタスイッチをオフに切り換える制御回路を備えたことを特徴とするスイッチング電源。 - 上記制御回路は、上記第1及び第2交流電圧が、ベース電極及びコレクタ電極に互い違いに、かつ、所定の負荷を介して印加され、各コレクタ電極が上記第1及び第2トランジスタスイッチのゲート電極に接続されているエミッタ接地の第1及び第2バイポーラトランジスタで構成され、
上記所定の負荷は、第1及び第2バイポーラトランジスタが、第1及び第2交流電圧によりコレクタ電極に印加される電圧が上記第1及び第2トランジスタスイッチのしきい値よりも低い値で遮断状態になるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源。 - 上記スイッチング電源が、電流共振型のスイッチング電源であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスイッチング電源。
- スイッチング電源の制御方法であって、
上記スイッチング電源は、3巻線トランスの2次側の2本の巻線に誘起される互いに逆位相の第1及び第2交流電圧を、第1及び第2トランジスタスイッチを用いて整流する同期整流回路を用い、
上記同期整流回路内において、上記第1及び第2トランジスタスイッチを、第1及び第2交流電圧によって交互にオンに切り換える制御工程であって、第1及び第2トランジスタスイッチのゲート電極に印加される電圧が共にしきい値よりも低い値の時に、第1又は第2トランジスタスイッチをオフに切り換える制御工程を備えたことを特徴とするスイッチング電源の制御方法。
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