JP6460200B1 - 電動車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】車体前方から衝撃荷重が作用するときにモータを制御する制御装置の損傷を抑制すると共にダッシュパネルの車体後側への移動を抑制する。【解決手段】車輪を駆動させるモータ10が車両前方のモータルーム2内に配置された電動車両は、モータルーム2の上部に配設されてモータ10を制御する制御装置30と、制御装置30の後方に配設される冷却サブタンク40とを備える。制御装置30は、車体後側が車体前側に比して下方に傾斜して配置され、冷却サブタンク40は、車体前側の下面41aが制御装置30の上面34fに車体前後方向に対向して車体前側から車体後側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成されている。【選択図】図4
Description
本発明は、電動車両に関し、特に車輪を駆動させる動力源としてのモータが車両前方のモータルーム内に配置された電動車両に関する。
自動車等の車両では、車輪を駆動させる動力源としてのモータと、モータに供給する電力を貯蔵するバッテリとを備え、車両前方にモータ及び該モータを駆動するためのインバータなどのモータ用の電装部品が配置された電気自動車等の電動車両が知られている。
例えば特許文献1には、モータとエンジンとを備えたハイブリッド車に関するものであるが、車両前方にエンジンに加えて車輪を駆動させる走行用のモータ及び該モータを駆動するためのインバータなどが配置された電動車両が開示されている。
車輪を駆動させるモータが車両前方のモータルーム内に配置された電動車両では、モータを含む電動車両の各種システムを制御する制御装置をモータルームの後方にダッシュパネルを介して設けられた車室内の助手席の足元部に配置することがある。
しかしながら、制御装置を車室内の助手席の足元部に配置する場合、車体を製造するときに、電動車両が右ハンドル車であるか左ハンドル車であるかに応じて制御装置の位置を変更して車体を製造することが必要となる。
これに対し、車両前方のモータルームに制御装置を配置することで、右ハンドル車であるか左ハンドル車であるかに応じて制御装置の位置を変更する必要がなく、左右ハンドル車で制御装置の位置を共通化することができる。このとき、重量が大きいモータなどに比して重量が小さい制御装置は、モータルームの上部に配置される。
電動車両ではまた、車両前方のモータルームにモータやモータを駆動するためのインバータなどを冷却する冷却液が収容される冷却サブタンクが配設され、冷却サブタンクがモータルームの上部において制御装置の後方に配置される場合がある。
このように、モータルームの上部において制御装置の後方に冷却サブタンクなどの構造部材が配置される場合、前面衝突(前突)時に車体前方から衝撃荷重が作用するときに、車体前部が変形されて制御装置が損傷したり制御装置及び該制御装置の後方に配置される構造部材が車体後側に移動されてダッシュパネルが車体後側に移動したりするおそれがある。
そこで、本発明は、車輪を駆動させるモータが車両前方のモータルーム内に配置された電動車両において、左右ハンドル車でモータを制御する制御装置の位置を共通化しつつ、車体前方から衝撃荷重が作用するときに制御装置の損傷を抑制すると共にダッシュパネルの車体後側への移動を抑制することができるようにすることを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、車輪を駆動させる動力源としてのモータが車両前方のモータルーム内に配置された電動車両であって、前記モータルームの上部に配設されて前記モータを制御する制御装置と、前記モータルームの上部において前記制御装置の後方に配設される構造部材と、を備え、前記制御装置は、車体後側が車体前側に比して下方に傾斜して配置され、前記構造部材は、車体前側の下面が前記制御装置の上面に車体前後方向に対向して車体前側から車体後側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成されていることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記制御装置は、車体前側から下方に延びて前記制御装置の下方に配設される部品に取り付けられる前方脚部を備え、前記前方脚部は、前記制御装置に上方から衝撃荷重が作用したときに前記衝撃荷重を吸収する衝撃吸収部を備えていることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記モータルームの上部に配設される前記モータ用の電装部品を備え、前記制御装置と前記構造部材とは、前記モータルームの車幅方向外側に前記電装部品を避けた位置に車体前後方向に設けられていることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3の何れか1項に記載の発明において、前記制御装置の後方に配設される構造部材は、前記モータ用の電装部品を冷却する冷却液が収容される冷却サブタンクであることを特徴とする。
本願の請求項1に記載の発明によれば、車輪を駆動させる動力源としてのモータが車両前方のモータルーム内に配置された電動車両は、モータルームの上部に配設されてモータを制御する制御装置と、制御装置の後方に配設される構造部材とを備える。制御装置は、車体後側が車体前側に比して下方に傾斜して配置され、構造部材は、車体前側の下面が制御装置の上面に車体前後方向に対向して車体前側から車体後側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成されている。
これにより、モータを制御する制御装置がモータルームの上部に配設されるので、制御装置が車室内の助手席の足元部に配置される場合のように右ハンドル車であるか左ハンドル車であるかに応じて制御装置の位置を変更する必要がなく、左右ハンドル車で制御装置の位置を共通化することができる。
制御装置は、車体後側が車体前側に比して下方に傾斜して配置され、制御装置の後方に配設される構造部材は、車体前側の下面が車体後側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成されるので、前突時に車体前方から衝撃荷重が作用するときに車体前部が変形されて制御装置が車体後側に移動して制御装置の後方に配設される構造部材を上方に移動させることができ、制御装置が損傷することを抑制することができる。
また、車体前方から衝撃荷重が作用するときに制御装置が車体後側に移動して制御装置の後方に配設される構造部材を上方に移動させることができるので、制御装置の後方に配設される構造部材が車体後側に移動して構造部材の車体後側に配設されるダッシュパネルが車体後側に移動することを抑制することができる。
したがって、車輪を駆動させるモータが車両前方のモータルーム内に配置された電動車両において、左右ハンドル車でモータを制御する制御装置の位置を共通化しつつ、車体前方から衝撃荷重が作用するときにモータを制御する制御装置の損傷を抑制すると共にダッシュパネルの車体後側への移動を抑制することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、制御装置の前方脚部は、制御装置に上方から衝撃荷重が作用したときに衝撃荷重を吸収する衝撃吸収部を備えることにより、ボンネットの下方に制御装置が配設される場合に、車両が歩行者と衝突して歩行者がボンネットに跳ね上げられてボンネットが下方に移動するときに制御装置の前方脚部が衝撃荷重を吸収することができるので、歩行者のダメージを軽減することができ、歩行者保護性能を向上させることができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、モータルームの上部にモータ用の電装部品を備え、制御装置と構造部材とは、電装部品を避けた位置に車体前後方向に設けられることにより、モータルームの上部にモータ用の電装部品が配置される場合においても、電装部品を避けた位置に制御装置と構造部材とを車体前後方向に設けることで、前記効果を有効に得ることができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、制御装置の後方に配設される構造部材は、モータ用の電装部品を冷却する冷却液が収容される冷却サブタンクであることにより、制御装置の後方に冷却サブタンクが配設される場合に、前記効果を有効に得ることができる。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態に係る電動車両は、車輪を駆動させる動力源としてモータと、モータに供給するモータ用の電力を貯蔵するバッテリとを備えた電気自動車であり、車体には、モータ及びバッテリに加え、バッテリに供給するモータ用の電力を発電する発電機及び発電機を駆動するエンジンとを備えたレンジエクステンダ装置が配設されている。車体前部にモータが配設され、車室フロア部の下方にバッテリが配設され、車体後部にレンジエクステンダ装置が配設されている。
図1は、本発明の実施形態に係る電動車両のモータルームを模式的に示す斜視図である。図1では、車体前部に配設されるボンネットを取り除いて車両前方に設けられたモータルームを示すと共にモータルーム内に配設される構成部品の一部のみを示している。
図2は、モータルーム内に配設される制御装置及び冷却サブタンクを示す斜視図、図3は、図1におけるY3−Y3線に沿ってモータルーム内に配設される構成部品を模式的に示す図、図4は、図1におけるY4−Y4線に沿ってモータルーム内に配設される構成部品を模式的に示す図である。なお、図4では、車体構成部材及びモータルーム内に配設される構成部品の一部を断面で示している。
図1から図4に示すように、本実施形態に係る電動車両の車体1は、車輪Wを駆動させる動力源としてのモータ10が車両前方のモータルーム2内にモータ出力軸11が車幅方向に延びるように横置き式に配設されている。モータルーム2は、車体上下方向に延びるダッシュパネル3によってモータルーム2の後方に設けられた車室4と区画されている。
ダッシュパネル3の車体上側には、車幅方向に延びるカウルパネル5が配設されている。カウルパネル5の車体上側にはボンネット6の車体後側が取り付けられている。ボンネット6は、車体後側の車幅方向両端部にヒンジ部材が取り付けられ、モータルーム2の上方を前開き式に開閉可能に覆うように構成されている。
図3に示すように、モータルーム2の車体上下方向中央側には、ダッシュパネル3から車体前側に延びて閉断面状に形成された左右一対のサイドフレーム7が配設されている。左右のサイドフレーム7の車体前側は、車体前後方向に延びるクラッシュカンを介して車幅方向に延びるバンパレインの両端部に連結されている。
左右のサイドフレーム7間には、車幅方向に延びるクロスメンバ8が架設されている。クロスメンバ8は、左右のサイドフレーム7の車幅方向内側の側面部にそれぞれ接合されて結合されている。なお、クロスメンバ8にクロスメンバ側ブラケットを固定すると共にサイドフレーム7にサイドフレーム側ブラケットを固定し、クロスメンバ側ブラケットとサイドフレーム側ブラケットとをゴムなどの弾性部材を介して連結し、クロスメンバ8をサイドフレーム7にマウント支持して結合することも可能である。
クロスメンバ8には、車体前部に配設されるモータ10が取り付けられている。モータ10は、クロスメンバ8の車体下側に配置され、モータ10の車幅方向両側に設けられたマウントブラケット12を介してクロスメンバ8に吊り下げられて支持されている。
モータ10には、図示されていないが、モータ10の出力を車輪W、具体的には前輪Wに伝達するための減速機構及び差動機構を含む動力伝達機構が連結されている。モータ10は、モータ10の出力が動力伝達機構からドライブシャフトを介して左右の前輪Wに伝達され、前輪Wを駆動させるようになっている。
クロスメンバ8の車体上側には、モータ10用の電装部品として、車室フロア部の下方に配設されたバッテリに貯蔵された直流電力を交流電力に変換してモータ10に供給するインバータ21、100Vや200Vの家庭用電源などの外部電源からの電力が入力されてバッテリを充電する車載充電器22、バッテリの電圧を適切なレベルに変換するDC/DCコンバータ23、及び、電線の接続、分岐などの機能を有するジャンクションボックス24などが配設されている。
クロスメンバ8の車体上側にはまた、モータ10を含む電動車両の各種システムを制御する制御装置として車両制御モジュール(VCM:Vehicle Control Module)30が配設されている。車両制御モジュール30は、モータ10を含む電動車両の各種システムを制御し、前突時に車体前方からの衝撃荷重が作用するときには乗員が感電しないようにモータ10及びインバータ21などの高電圧部品を制御する。
図3に示すように、クロスメンバ8の車体上側に、インバータ21と車載充電器22とは車幅方向に並んで取り付けられている。インバータ21は、クロスメンバ8の車幅方向中央側に配置され、車載充電器22は、クロスメンバ8の車幅方向右側に配置されている。
インバータ21の車体上側には、ジャンクションボックス24が取り付けられている。ジャンクションボックス24は、モータ10及びインバータ21に比して重量が小さく、モータルーム2の上部に配置されている。一方、車載充電器22の車体上側には、DC/DCコンバータ23が取り付けられ、DC/DCコンバータ23の車体上側には、車両制御モジュール30が取り付けられている。車両制御モジュール30は、モータ10、車載充電器22及びDC/DCコンバータ23に比して重量が小さく、モータルーム2の上部に配置されている。
図4に示すように、車載充電器22は、外部電源からの電力が入力されてバッテリを充電する充電器本体部22aと、充電器本体部22aが内部に配設された充電器ケース22bとを有し、充電器ケース22bがクロスメンバ8の上面に取り付けられている。
DC/DCコンバータ23は、バッテリの電圧を適切なレベルに変換するコンバータ本体部23aと、コンバータ本体部23aが内部に配設されたコンバータケース23bとを有し、コンバータケース23bが充電器ケース22bの上面に取り付けられている。
車両制御モジュール30は、モータ10を含む電動車両の各種システムを制御する制御本体部31と、制御本体部31が内部に配設される制御ケース32とを有し、制御ケース32がコンバータケース23bの上面に取付けられている。車両制御モジュール30は、偏平状に形成され、車体後側が車体前側に比して下方に傾斜して配置されている。
制御ケース32は、図2に示すように、略平板状に形成された下側ケース33と、略矩形箱状に形成された上側ケース34とを有している。下側ケース33は、略矩形状に形成されて車体前側に比して車体後側が車体下側に傾斜して配置される底面部33aと、底面部33aから車体前側に延びる第1フランジ部33bと、底面部33aから車体後側に延びる第2フランジ部33cと、底面部33aから車幅方向内側に延びる第3フランジ部33dとを備えている。
上側ケース34は、略矩形箱状に形成された箱状部34aと、箱状部34aから車体前側に延びる第1フランジ部34bと、箱状部34aから車体後側に延びる第2フランジ部34cとを備えている。箱状部34aには、電力ケーブル9を接続するために切欠部34dが形成されている。車両制御モジュール30では、箱状部34aの上面34fは、車体前側に比して車体後側が車体下側に傾斜して設けられている。
下側ケース33と上側ケース34とは、第1フランジ部33b、34b同士を重ね合わせて締結ボルト及びナットを用いて結合されると共に、第2フランジ部33c、34c同士を重ね合わせてDC/DCコンバータ23の上面に締結ボルトを用いて結合されている。下側ケース33は、第3フランジ部33dがDC/DCコンバータ23の上面に締結ボルトを用いて結合されている。
下側ケース33はまた、第1フランジ部33bから車幅方向内側且つ車体下側に傾斜して延びて車両制御モジュール30の下方に配設される部品であるDC/DCコンバータ23に取り付けられる前方脚部35を備えている。
前方脚部35は、下端部にDC/DCコンバータ23の上面に締結ボルトを用いて結合されるフランジ部35aと、車両制御モジュール30に上方から衝撃荷重が作用したときに衝撃荷重を吸収する衝撃吸収部35bとを備えている。衝撃吸収部35bは、屈曲部35bによって構成されている。
このようにして、車両制御モジュール30は、モータルーム2の上部に配設され、車体後側が車体前側に比して下方に傾斜してDC/DCコンバータ23に取り付けられている。車両制御モジュール30の下側ケース33及び上側ケース34は、例えば金属製の板状素材をプレス加工して形成されている。なお、下側ケース33に、前方脚部35に代え、あるいは前方脚部35に加え、前方脚部35と同様に衝撃吸収部を備えた前方脚部を、第1フランジ部33bから車幅方向外側且つ車体下側に傾斜して延びるように設けてもよい。
車体1ではまた、モータルーム2内に配設される構造部材として、車体後部に配設されたレンジエクステンダ装置を冷却する冷却液が収容される冷却メインタンク25と、車体前部に配設されたモータ10及びインバータ21などのモータ用の電装部品を冷却する冷却液が収容される冷却サブタンク40とが備えられている。
冷却メインタンク25及び冷却サブタンク40は、冷却液を補給できるようにモータルーム2の上部における周縁部に配置されている。冷却メインタンク25は、モータルーム2の車体左側且つ車体前側に配置され、冷却サブタンク40は、モータルーム2の車体右側且つ車体後側に配置されている。
車体1では、冷却サブタンク40は、車両制御モジュール30の後方に配設されている。冷却サブタンク40は、車両制御モジュール30と車幅方向に略等しい幅を有し、車両制御モジュール30と冷却サブタンク40とは、モータルーム2の車幅方向外側にモータルーム2の上部に配置されるモータ10用の電装部品を避けた位置に車体前後方向に設けられている。
冷却サブタンク40は、車体下側に配置されて箱状に形成される下側タンク41と車体上側に配置されて箱状に形成される上側タンク42とが溶着されて形成されている。下側タンク41及び上側タンク42は、例えばガラス繊維強化樹脂を射出成形して形成されている。
冷却サブタンク40はまた、下側タンク41に設けられた車体前側の下面41aが車体前側から車体後側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成されている。下側タンク41の車体前側の下面41aは、車両制御モジュール30の上面34fに車体前後方向に対向して車両制御モジュール30の上面34fに平行に配置されている。
車体1では、下側タンク41の車体前側の下面41aは、図4に示すように、車両制御モジュール30の上面34fに車体前後方向に重なるように設けられているが、車両制御モジュール30の上面34fに車体前後方向に離間するように設けるようにしてもよい。
冷却サブタンク40は、下側タンク41から車幅方向内側に延びるフランジ部41bを備え、フランジ部41bがジャンクションボックス24の上面に締結ボルトを用いて結合されてジャンクションボックス24に取り付けられ、車両制御モジュール30の後方に配置されている。
このようにして構成された車体1では、前突時に車体前方から衝撃荷重が作用する場合、車体前部が車体前側から変形されてバンパレインに衝撃荷重が入力されると、サイドフレーム7が車体前側から座屈変形して衝撃荷重を吸収すると共にクロスメンバ8が車体後側に移動される。
図5は、車体前方からの荷重作用時における制御装置及び冷却サブタンクの移動を説明するための説明図である。車体1の前突時に、車体前方から衝撃荷重が作用する場合、図5に示すように、車体前部が車体前側から変形されてクロスメンバ8に取り付けられたモータ10、車載充電器22、DC/DCコンバータ23及び車両制御モジュール30が車体後側に移動される。
車両制御モジュール30が矢印A1で示す車体後側に移動されるとき、車両制御モジュール30の上面34fが冷却サブタンク40の下面41aに当接して冷却サブタンク40が矢印A2で示す車体上側に押圧されて移動される。なお、冷却サブタンク40は、車両制御モジュール30によって車体上側に移動されるようにフランジ部41bに締結ボルトから抜けるように切欠部41cが形成されている。
このように、前突時に車体前方から衝撃荷重が作用するときに車両制御モジュール30が車体後側に移動して車両制御モジュール30の後方に配設される冷却サブタンク40を上方に移動させることができ、車両制御モジュール30が損傷することを抑制すると共に、冷却サブタンク40が車体後側に移動してダッシュパネル3が車体後側に移動することを抑制することができる。
図6は、車体上方からの荷重作用時における制御装置の移動を説明するための説明図である。車体1ではまた、走行中の車両が歩行者と衝突した際に歩行者がボンネット6に跳ね上げられてボンネット6に車体上方から衝撃荷重が作用する場合、図6において二点鎖線で示すように、ボンネット6が変形して車体下側に移動されると共に衝撃荷重を吸収する。
ボンネット6が車体下側に移動されるとき、ボンネット6がモータルーム2の上部に配置された車両制御モジュール30に当接すると車両制御モジュール30に車体上方からの荷重が入力され、車両制御モジュール30は、前方脚部35が屈曲部35bを起点として座屈変形して衝撃荷重を吸収すると共に、図6において二点鎖線で示すように、車体前側が車体下側に押圧されて移動される。
このように、車両が歩行者と衝突して歩行者がボンネット6に跳ね上げられてボンネット6が下方に移動するときに制御装置30の前方脚部35が衝撃荷重を吸収することができるので、歩行者のダメージを軽減することができ、歩行者保護性能を向上させることができる。
本実施形態では、車両制御モジュール30の前方脚部35に設けられた衝撃吸収部35bは、屈曲部によって形成されているが、板厚を薄くしたり凹部を形成したりして前方脚部35に脆弱部を形成して前方脚部35を変形させて衝撃荷重を吸収するようにすることが可能である。
また、本実施形態では、モータルーム2の上部において車両制御モジュール30の後方に冷却サブタンク40が配設されているが、ヒューズボックスなどの他の構造部材が配設される場合においても、前記構造部材は、冷却サブタンク40と同様に、車体前側の下面が車両制御モジュール30の上面34fに車体前後方向に対向して車体前側から車体後側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成される。
このように、本実施形態に係る電動車両によれば、車輪Wを駆動させる動力源としてのモータ10が車両前方のモータルーム2内に配置され、モータルーム2の上部に配設されてモータ10を制御する制御装置30と、制御装置30の後方に配設される構造部材40とを備える。制御装置30は、車体後側が車体前側に比して下方に傾斜して配置され、構造部材40は、車体前側の下面41aが制御装置30の上面34fに車体前後方向に対向して車体前側から車体後側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成されている。
これにより、モータ10を制御する制御装置30がモータルーム2の上部に配設されるので、制御装置30が車室4内の助手席の足元部に配置される場合のように右ハンドル車であるか左ハンドル車であるかに応じて制御装置30の位置を変更する必要がなく、左右ハンドル車で制御装置30の位置を共通化することができる。
制御装置30は、車体後側が車体前側に比して下方に傾斜して配置され、制御装置30の後方に配設される構造部材40は、車体前側の下面41aが車体後側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成されるので、前突時に車体前方から衝撃荷重が作用するときに車体前部が変形されて制御装置30が車体後側に移動して制御装置30の後方に配設される構造部材40を上方に移動させることができ、制御装置30が損傷することを抑制することができる。
また、車体前方から衝撃荷重が作用するときに制御装置30が車体後側に移動して制御装置30の後方に配設される構造部材40を上方に移動させることができるので、制御装置30の後方に配設される構造部材40が車体後側に移動して構造部材40の車体後側に配設されるダッシュパネル3が車体後側に移動することを抑制することができる。
したがって、車輪Wを駆動させるモータ10が車両前方のモータルーム2内に配置された電動車両において、左右ハンドル車でモータ10を制御する制御装置30の位置を共通化しつつ、車体前方から衝撃荷重が作用するときにモータ10を制御する制御装置30の損傷を抑制すると共にダッシュパネル3の車体後側への移動を抑制することができる。
また、制御装置30の前方脚部35は、制御装置30に上方から衝撃荷重が作用したときに衝撃荷重を吸収する衝撃吸収部35bを備える。これにより、ボンネット6の下方に制御装置30が配設される場合に、車両が歩行者と衝突して歩行者がボンネット6に跳ね上げられてボンネット6が下方に移動するときに制御装置30の前方脚部35が衝撃荷重を吸収することができるので、歩行者のダメージを軽減することができ、歩行者保護性能を向上させることができる。
また、モータルーム2の上部にモータ用の電装部品24を備え、制御装置30と構造部材40とは、電装部品24を避けた位置に車体前後方向に設けられる。これにより、モータルーム2の上部にモータ用の電装部品24が配置される場合においても、電装部品24を避けた位置に制御装置30と構造部材40とを車体前後方向に設けることで、モータ10を制御する制御装置30の損傷を抑制すると共にダッシュパネル3の車体後側への移動を抑制することができる。
また、制御装置30の後方に配設される構造部材40は、モータ用の電装部品21、22、23を冷却する冷却液が収容される冷却サブタンク40である。これにより、制御装置30の後方に冷却サブタンク40が配設される場合に、車体前方から衝撃荷重が作用するときにモータ10を制御する制御装置30の損傷を抑制すると共にダッシュパネル3の車体後側への移動を抑制することができる。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
以上のように、本発明によれば、車輪を駆動させるモータが車両前方のモータルーム内に配置された電動車両において、左右ハンドル車でモータを制御する制御装置の位置を共通化しつつ、車体前方から衝撃荷重が作用するときに制御装置の損傷を抑制すると共にダッシュパネルの車体後側への移動を抑制することが可能となるから、この種の電動車両において好適に利用される可能性がある。
1 車体
2 モータルーム
3 ダッシュパネル
4 車室
6 ボンネット
7 サイドフレーム
10 モータ
21 インバータ
22 車載充電器
23 DC/DCコンバータ
24 ジャンクションボックス
30 車両制御モジュール
35 前方脚部
35b 衝撃吸収部
40 冷却サブタンク
2 モータルーム
3 ダッシュパネル
4 車室
6 ボンネット
7 サイドフレーム
10 モータ
21 インバータ
22 車載充電器
23 DC/DCコンバータ
24 ジャンクションボックス
30 車両制御モジュール
35 前方脚部
35b 衝撃吸収部
40 冷却サブタンク
Claims (4)
- 車輪を駆動させる動力源としてのモータが車両前方のモータルーム内に配置された電動車両であって、
前記モータルームの上部に配設されて前記モータを制御する制御装置と、
前記モータルームの上部において前記制御装置の後方に配設される構造部材と、を備え、
前記制御装置は、車体後側が車体前側に比して下方に傾斜して配置され、
前記構造部材は、車体前側の下面が前記制御装置の上面に車体前後方向に対向して車体前側から車体後側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成されている、
ことを特徴とする電動車両。 - 前記制御装置は、車体前側から下方に延びて前記制御装置の下方に配設される部品に取り付けられる前方脚部を備え、
前記前方脚部は、前記制御装置に上方から衝撃荷重が作用したときに前記衝撃荷重を吸収する衝撃吸収部を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動車両。 - 前記モータルームの上部に配設される前記モータ用の電装部品を備え、
前記制御装置と前記構造部材とは、前記モータルームの車幅方向外側に前記電装部品を避けた位置に車体前後方向に設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動車両。 - 前記制御装置の後方に配設される構造部材は、前記モータ用の電装部品を冷却する冷却液が収容される冷却サブタンクである、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の電動車両。
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