以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、駆動装置100の概略構成を示す。駆動装置100は、ステッピングモータ等の駆動装置であり、複数のコイル6及び回転子(不図示)を有する。本明細書では、説明の便宜上、複数のコイル6を代表して1つのコイル6のみを示す。駆動装置100は、それぞれのコイルに対して励磁電流の目標波形に応じて目標値を設定し、コイルに流す電流を制御して順次変化させることによって、回転子を回転させる。駆動装置100は、駆動装置100を制御するサイクル内の一期間において、コイル6を流れる励磁電流を検出し、その検出結果を基準値と比較するコンパレータを較正し、サイクル内の別の期間においてコンパレータの出力をクロックと非同期に監視し、その出力の変化を検出したクロック非同期のタイミングで、その出力に基づいて駆動装置100の動作モードを変更することで、コイルに流れる励磁電流の大きさを励磁電流の目標に精密に追従させることを可能とする。
駆動装置100は、ドライバ部5、センス抵抗7、タイミング生成部10、比較部20、切替部30、及び制御部40を備える。
ドライバ部5は、コイル6に供給する励磁電流を制御する回路であり、コイル6及び4つのトランジスタTr1,Tr2,Tr3,Tr4を有する。トランジスタTr1,Tr2,Tr3,Tr4としては、一例として、n型のMOSトランジスタを採用してよい。ダイオードDi1,Di2,Di3,Di4は、トランジスタTr1,Tr2,Tr3,Tr4のそれぞれの寄生ダイオードを説明の便宜上図示したものである。トランジスタTr1のドレイン及びソースは、それぞれ、電源及びコイル6の一端に接続される。トランジスタTr2のドレイン及びソースは、それぞれ、電源及びコイル6の他端に接続される。トランジスタTr3のドレイン及びソースは、それぞれ、コイル6のトランジスタTr1側の一端及びセンス出力に接続される。トランジスタTr4のドレイン及びソースは、それぞれ、コイル6のトランジスタTr3側の他端及びセンス出力に接続される。トランジスタTr1,Tr2,Tr3,Tr4のゲートは制御部40内のドライバ制御部44に接続され、それぞれに対して、ドライバ制御部44から出力されるゲート信号SC1,SC2,SC3,SC4が入力される。
センス抵抗7は、コイル6に流れる励磁電流を検出するための検出素子である。センス抵抗7の一端及び他端は、それぞれ、ドライバ部5のセンス出力(すなわち、トランジスタTr3,Tr4のソース)及び基準電位(例えば、GND)に接続される。また、センス抵抗7の一端は、切替部30を介して、比較部20のコンパレータの非反転入力に接続される。それにより、センス抵抗7は、コイル6の励磁電流を流すことにより、センス出力と基準電位との間に励磁電流の大きさに応じた電位差を生じ、その電位差をセンス電圧ISとしてコンパレータに入力する。
ここで、図2Aから図2Dを参照して駆動装置100の動作モードを説明する。
図2Aから図2Dは、それぞれ、駆動装置100が有する4つの動作モード、すなわち駆動モード、循環モード、回生モード、及び準備モードにおけるドライバ部5の動作及び励磁電流の流れを示す。なお、コイル6の図中左端から右端に向けて励磁電流を印加する方向を正の印加方向、コイル6の図中右端から左端に向けて励磁電流を印加する方向を負の印加方向とする。
駆動モードでは、電源からコイル6へと励磁電流を印加する。駆動モードにおいて励磁電流を正の印加方向に印加する場合、駆動装置100は、ゲート信号SC1,SC4をアサート(一例として、ハイレベル。以下同様。)し、ゲート信号SC2,SC3をデアサート(一例として、ローレベル。以下同様。)する。それにより、図2Aに示すように、駆動装置100は、トランジスタTr1,Tr4をオン状態、トランジスタTr2,Tr3をオフ状態にする。このとき、励磁電流は、電源から、図中の矢印に沿って順に、トランジスタTr1、コイル6、トランジスタTr4、及びセンス抵抗7を経由して基準電位へと流れる。これにより、駆動装置100は、コイル6に通電して、励磁電流を急速に増大させることができる。なお、駆動モードでは、センス抵抗7は、励磁電流をドライバ部5(すなわち、センス出力)から基準電位に向かって流す。このとき、センス出力の電位(すなわち、センス電圧IS)は正となる。
一方、駆動モードにおいて励磁電流を負の印加方向に印加する場合、駆動装置100は、ハイレベルのゲート信号SC2,SC3をそれぞれトランジスタTr2,Tr3に出力し、ローレベルのゲート信号SC1,SC4をそれぞれトランジスタTr1,Tr4に出力する。これにより、駆動装置100は、トランジスタTr2,Tr3をオン状態、トランジスタTr1,Tr4をオフ状態にする。このとき、励磁電流は、電源から、トランジスタTr2、コイル6、トランジスタTr3、センス抵抗7、そして基準電位に流れる。それにより、駆動装置100は、コイル6に通電して、負の印加方向の励磁電流を急速に増大させることができる。
循環モードでは、コイル6を含むドライバ部5の閉回路内で励磁電流を循環させる。循環モードにおいて、駆動装置100は、ゲート信号SC3,SC4をそれぞれトランジスタTr3,Tr4に出力し、ローレベルのゲート信号SC1,SC2をそれぞれトランジスタTr1,Tr2に出力する。それにより、図2Bに示すように、駆動装置100は、トランジスタTr3,Tr4をオン状態、トランジスタTr1,Tr2をオフ状態にする。正方向の励磁電流が流れている状態で循環モードとすると、励磁電流は、図中の矢印に沿って順に、トランジスタTr3、コイル6、及びトランジスタTr4を循環する。また、負方向の励磁電流が流れている状態で循環モードとすると、励磁電流は、図中の矢印とは逆方向に循環する。これにより、励磁電流は、これらの回路素子のオン抵抗による損失等により、緩やかに減衰する。なお、循環モードでは、励磁電流は、センス抵抗7を流れない。
回生モードでは、コイル6から電源へと励磁電流を回生する。電源は、例えばキャパシタ等の蓄電素子を有し、回生されて蓄電された電力を将来の電流供給に利用し得る。回生モードにおいて励磁電流を正の印加方向に流す場合、駆動装置100は、ハイレベルのゲート信号SC3をトランジスタTr3に出力し、ローレベルのゲート信号SC1,SC2,SC4をそれぞれトランジスタTr1,Tr2,Tr4に出力する。それにより、図2Cに示すように、駆動装置100は、トランジスタTr3のみをオン状態、トランジスタTr1,Tr2,Tr4をオフ状態にする。このとき、励磁電流は、基準電位から、図中の矢印に沿って順に、トランジスタTr3、コイル6、及びトランジスタTr2のダイオード(寄生ダイオード)Di2を経由して電源へと回生させる。このとき、励磁電流は急速に減衰する。ただし、ダイオードDi2の整流作用により、励磁電流はこの経路を逆向きには流れない(すなわち、励磁電流の大きさはゼロを下回って負になることはない)。なお、回生モードでは、センス抵抗7は、励磁電流を基準電位からドライバ部5に向かって流す。このとき、センス出力の電位(すなわち、センス電圧IS)は負となる。
一方、回生モードにおいて励磁電流を負の印加方向に流す場合、駆動装置100は、ゲート信号SC4をトランジスタTr4に出力し、ローレベルのゲート信号SC1,SC2,SC3をそれぞれトランジスタTr1,Tr2,Tr3に出力する。それにより、駆動装置100は、トランジスタTr4のみをオン状態、トランジスタTr1,Tr2,Tr3をオフ状態にする。このとき、励磁電流は、基準電位から、トランジスタTr4、コイル6、及びトランジスタTr1のダイオード(寄生ダイオード)Di1を経由して電源へと回生させる。なお、循環モード及び回生モードはいずれも励磁電流を減衰させることから、減衰(DECAY)モードとも称する。そして、回生モードは循環モードと比較して励磁電流をより早く減衰させることから、高速減衰(FAST DECAY)モードとも称する。
準備モードは、励磁電流を測定するべく駆動モードとするのに先立って、励磁電流を予め駆動モードとは逆方向に増減しておくためのモードである。準備モードにおいて励磁電流を正の印加方向に印加する場合、駆動装置100は、ハイレベルのゲート信号SC2,SC3をトランジスタTr2,Tr3に出力し、ローレベルのゲート信号SC1,SC4をそれぞれトランジスタTr1,Tr4に出力する。これにより、図2Dに示すように、駆動装置100は、トランジスタTr2,Tr3をオン状態、トランジスタTr1,Tr4をオフ状態にする。このとき、励磁電流は、基準電位から、トランジスタTr3、コイル6、及びトランジスタTr2を経由して電源へと流れる。これにより、励磁電流は急速に減衰する。この励磁電流の流れは、励磁電流を正の印加方向に印加した回生モードと同様である。ただし、準備モードでは、回生モードと異なり、励磁電流がダイオードDi2ではなくトランジスタTr2をオン状態としていることで、励磁電流がゼロを超えて減少し、逆方向(負の方向)へと流れ出す。この状態において、励磁電流は、電源から順に、トランジスタTr2、コイル6、トランジスタTr3、センス抵抗7、そして基準電位へ流れる。この状態は、励磁電流を負の印加方向に印加した(逆方向の)駆動モードと同様であるので、準備モードを広義の駆動モードとして含めてもよい。
一方、励磁電流を負の印加方向に印加する準備モードにおいて、駆動装置100は、ハイレベルのゲート信号SC1,SC4をトランジスタTr1,Tr4に出力し、ローレベルのゲート信号SC2,SC3をそれぞれトランジスタTr2,Tr3に出力する。これにより、駆動装置100は、トランジスタTr1,Tr4をオン状態、トランジスタTr2,Tr3をオフ状態にする。このとき、励磁電流は、基準電位から、トランジスタTr4、コイル6、及びトランジスタTr1を経由して電源に流れる。この場合、励磁電流は急速に減衰する。ここで、励磁電流がダイオードDi1ではなくトランジスタTr1をオン状態としていることにより、励磁電流はゼロを超えて減少し得る(すなわち、励磁電流は正の方向に増大し得る)。この状態において、励磁電流は、電源から順に、トランジスタTr1、コイル6、トランジスタTr4、センス抵抗7、そして基準電位へ流れる。
本実施形態において、駆動装置100は、各サイクル期間内に、動作モードを必要に応じて準備モード(図2D)として励磁電流を一旦減少させた後、駆動モード(図2A)として励磁電流を増加させつつセンス抵抗7に励起電流を流す。次に、駆動装置100は、そのサイクル期間内の予め定められた比較タイミングで、励磁電流が目標値を超えたか否かを比較する。励磁電流が目標値以下の場合、駆動装置100は、駆動モードを維持する。ここで励磁電流が目標値を超えたならば、駆動装置100は、動作モードを循環モード(図2B)として励磁電流の流れを極力維持する。
比較タイミングで励磁電流が目標値を超える場合、駆動装置100は、動作モードを回生モード(図2C)として励磁電流を減少させていく。駆動装置100は、励磁電流が目標値以下とならない場合、回生モードを継続し、励磁電流が目標値以下となったら動作モードを循環モード(図2B)として励磁電流の流れを極力維持する。
以上の動作によれば、駆動装置100は、駆動モード及び回生モードにおいて、センス抵抗7に流れる励磁電流の大きさに応じたセンス電圧ISを用いる。
次に、図1に戻り、駆動装置100におけるドライバ部5およびセンス抵抗7以外の構成について説明を続ける。
タイミング生成部10は、制御部40に接続され、ドライバ部5及び切替部30を制御するための1又は複数のタイミング信号をサイクル毎に生成して、これら複数のタイミング信号を制御部40へと出力する。一例として、タイミング生成部10は、各サイクル期間内においてクロック同期カウンタを用いてカウント動作を行い、予め定められたカウント値となったことに応じてクロック同期でこれら複数のタイミング信号を生成する。
本実施形態において、ドライバ部5を制御するためのタイミング信号は、プリファースト(PFAST)信号、ブランキング(BLNK)信号、及びファーストブランキング(FAST_BLNK)信号を含む。PFAST信号、BLNK信号、及びFAST_BLNK信号は、それぞれ、励磁電流の増大時及び減衰時における比較の開始タイミング及び動作モード遷移のタイミングを規定する信号である。具体的には、PFAST信号は準備モードの期間及びタイミングを規定する信号であり、BLNK信号は準備モードの後、比較タイミングまでの間における駆動モードの期間及びタイミングを規定する信号であり、FAST_BLNK信号は比較タイミングの後に回生モードとする場合における回生モードにおける比較の開始タイミングを規定する。これらのタイミング信号において、まずPFAST信号が一定期間ハイレベルとなり、続いてBLNK信号が一定期間ハイレベルとなり、その後FAST_BLNK信号が一定期間ハイレベルとなる。これらのタイミング信号の変化は、予め定められたサイクル周期で繰り返される。
また、切替部30を制御するための1又は複数のタイミング信号signalsもまた制御部40へと供給される。タイミング信号signalsについては後述する。
比較部20は、切替部30に接続され、センス出力に応じたセンス電圧ISを基準値Refと比較して比較結果COMPOUTを制御部40へと出力する。また、比較部20は、内蔵するコンパレータのオフセット補償をするオートゼロ機能を有しており、制御部40から切替部30を介して受け取るZERO信号に応じてオフセット補償動作をする。
切替部30は、制御部40及びセンス出力に接続され、制御部40が出力する1又は複数のスイッチ信号に基づいて、駆動装置100の動作モードに応じて、比較部20へと入力するセンス電圧IS及び基準値Refを比較用の値に切り替える。本実施形態において、切替部30は、1又は複数のスイッチ信号として、ZERO信号、COMP_SW信号、FAST_SW信号、及びSIG信号を入力する。動作モードに応じてセンス電圧IS及び基準値Refを切り替えることにより、切替部30は、センス電圧ISが正の場合と負の場合とによらず、共通のコンパレータを使用して、励磁電流の大きさを制御目標値と比較することが可能となる。
制御部40は、タイミング生成部10及び比較部20に接続され、比較部20の比較結果COMPOUTに基づいて、上記複数の動作モードの中から駆動装置100及びコイル6の動作モードを決定して、コイル6に流れる電流の向き及び大きさ(すなわち、電流を増加させるか減少させるか)を制御する。具体的には、制御部40は、タイミング生成部10及び比較部20からの入力に応じてドライバ部5及び切替部30を制御して、コイル6の励磁電流を制御する。制御部40は、ドライバ信号生成部42、ドライバ制御部44、及びスイッチ信号生成部46を含む。
ドライバ信号生成部42は、タイミング生成部10及び比較部20に接続され、タイミング生成部10から出力されるBLNK信号、FAST_BLNK信号、PFAST信号及び比較部20から出力される比較結果COMPOUTを入力する。ドライバ信号生成部42は、これらの信号を用いて駆動装置100の動作モードを決定するためのPFAST信号、FAST信号、及びDECAY信号を生成等し、ドライバ制御部44へと出力する。また、ドライバ信号生成部42は、ハイレベルのBLNK信号の間の比較タイミング及びハイレベルのFAST_BLNK信号の間の比較タイミングにおいて比較結果COMPOUTをサンプリングし、FAST_LAT信号をスイッチ信号生成部46に出力する。
ドライバ信号生成部42は、FAST信号、DECAY信号、及びPFAST信号の組み合わせにより、駆動装置100の動作モードを定義する。具体的には、PFAST信号がハイレベルの場合、駆動装置100は準備モードとなる。PFAST信号がローレベルの場合、駆動装置100は、DECAY信号がローレベルであれば駆動モードとなり、DECAY信号がハイレベル且つFAST信号がハイレベルの場合には回生モードとなり、DECAY信号がハイレベル且つFAST信号がローレベルの場合には循環モードとなる。
ドライバ制御部44は、ドライバ信号生成部42に接続され、ドライバ信号生成部42から出力されるPFAST信号、FAST信号、及びDECAY信号並びにコイル6の励磁電流の目標波形に応じて設定される励磁電流の印加方向(正の印加方向又は負の印加方向)を示す信号の組み合わせに応じてゲート信号SC1,SC2,SC3,SC4を生成して、ドライバ部5に供給する。これにより、ドライバ制御部44は、動作モードに応じて、ドライバ部5に含まれるトランジスタTr1,Tr2,Tr3,Tr4を図2A〜図2Dに示したようにスイッチングさせる。
スイッチ信号生成部46は、タイミング生成部10及びドライバ信号生成部42に接続され、タイミング生成部10から入力されるタイミング信号signals及びドライバ信号生成部42が出力するFAST_LAT信号に基づいて、切替部30内のスイッチ素子の動作を制御するためのZERO信号、COMP_SW信号、FAST_SW信号、及びSIG信号を生成する。
図3は、ドライバ信号生成部42の構成を示す。ドライバ信号生成部42は、2つのSRフリップフロップ(SR−FF)42a,42b、Dフリップフロップ(D−FF)42c(及びNOT回路42d)、及びAND回路42eを含む。
SR−FF42aのReset入力には、タイミング生成部10の出力が接続され、BLNK信号が入力される。SR−FF42aのSet入力には、比較部20の出力が接続され、比較結果COMPOUTが入力される。SR−FF42aは、BLNK信号によりリセットされて、比較結果COMPOUTによりセットされるDECAY信号を生成し、ドライバ制御部44に出力する。なお、SR−FF42aは、リセット優先である。これにより、DECAY信号は、BLNK信号がハイレベルの場合にローレベルにリセットされ、BLNK信号がローレベル且つCOMPOUTがハイレベルの場合にハイレベルにセットされ、BLNK信号がローレベル且つCOMPOUTもローレベルの場合にレベルを保持する。
SR−FF42bのSetポートには、タイミング生成部10の出力が接続され、FAST_BLNK信号が入力される。SR−FF42bのResetポートには、比較部20の出力が接続され、比較結果COMPOUTが入力される。SR−FF42bは、比較結果COMPOUTによりリセットされて、FAST_BLNK信号によりセットされるFASTFALL信号を生成し、AND回路42eに出力する。FASTFALL信号は、FAST_BLNK信号の立ち上がり時から、駆動モードにおいては励磁電流が目標値より大きくなるまで(すなわち、センス電圧IS>基準値Ref)、回生モードにおいては励磁電流が目標値以下となるまで(すなわち、センス電圧IS≧基準値Ref)の期間を示す。なお、SR−FF42bも、リセット優先である。
D−FF42cのクロック入力(CK入力とも呼ぶ)には、NOT回路42dを介してタイミング生成部10の出力が接続され、BLNK信号の論理反転が入力される。D−FF42cのデータ入力(D入力とも呼ぶ)には、比較部20の出力が接続され、比較結果COMPOUTが入力される。D−FF42cは、BLNK信号の立下りで比較結果COMPOUTをサンプルしてFAST_LAT信号を生成し、AND回路42eに出力する。なお、FAST_LAT信号は、BLNK信号の立下り時において、センス電圧ISが基準値Refより大きい場合(IS>Ref)にハイレベルになる。これにより、FAST_LAT信号は、BLNK信号の立下りタイミングにおいて励磁電流が目標値を超えている場合にハイレベルになり、その後回生モードによって励磁電流が減少してBLNK信号の立下り時にCOMPOUTに等しいレベルになり、そのレベルが次のBLNK信号の立下り時まで保持される。
AND回路42eは、SR−FF42bの出力ポート(Qポート)及びD−FF42cの出力ポート(Qポート)が接続され、FASTFALL信号及びFAST_LAT信号の論理積をとってFAST信号を生成し、ドライバ制御部44に出力する。
上述の構成により、ドライバ信号生成部42は、比較部20から出力される比較結果COMPOUTの変化をクロック信号と非同期にSR−FF42aのセット入力及びSR−FF42bのリセット入力を用いて監視し、そのクロック非同期のタイミングで、FAST信号及びDECAY信号を生成することで、駆動装置100の動作モードをクロック非同期で切り替えることができる。
図4Aは、比較部20の構成を示す。比較部20は、コンパレータを含む。コンパレータの非反転入力(+)には、センス電圧ISが切替部30を介して接続される。コンパレータの反転入力(−)には、切替部30が接続され、切替部30が生成する励磁電流の制御目標値が電圧信号である基準値Refとして入力される。比較部20の出力は制御部40に接続され、これによって比較部20は、センス電圧ISと基準値Refとの比較結果COMPOUTを制御部40に供給する。比較結果COMPOUTは、例えば、センス電圧ISが基準値Refより大きい場合(IS>Ref)にハイレベル(H)、センス電圧ISが基準値以下の場合(IS≦Ref)にローレベル(L)となる。
コンパレータは、一例として、2つのインバータ(NOT)回路22a,24a、2つのキャパシタ22b,24b、4つのスイッチ21a,21b,22c,24c、及びSRフリップフロップ(SR−FF)26を含む(チョッパ型)コンパレータを採用してよい。このコンパレータにより、制御部40等を動作するクロックと非同期のタイミングで入力を基準値と比較し、その比較結果を出力することができる。
上記のコンパレータでは、切替部30に接続される反転入力及び非反転入力に対応する2つのスイッチ21a及び21bが並列に接続され、この後段にキャパシタ22b、NOT回路22a、キャパシタ24b、NOT回路24a、及びSR−FF26が直列接続される。SR−FF26のSet入力にはNOT回路24aの出力端が接続され、Reset入力にはZERO信号が入力され、出力ポート(Qポート)は比較結果COMPOUTを出力する。さらに、NOT回路22a,24aに並列にそれぞれスイッチ22c,24cが接続される。スイッチ21a,22c,及び24cは、スイッチ信号生成部46から出力されるZERO信号により動作し、スイッチ21bはZERO信号の論理反転により動作する。なお、2つのNOT回路22a及び24aを直列に接続することにより、大きなゲインを得ることができる。ただし、NOT回路の数は2に限らずそれ以上でもよく、必要とされるゲインに応じて任意に定めてよい。
図4Bのタイミングチャートは、比較部20の動作、すなわちBLNK信号、ZERO信号、基準値、入力、比較結果(COMPOUT)の変化を示す。制御部40は、ハイレベルのBLNK信号の期間において動作モードを駆動モードとし、BLNK信号の立下りにおける比較タイミングにおいて比較結果COMPOUTをサンプリングする。このハイレベルのBLNK信号の前の部分において、制御部40は、ZERO信号をハイレベルとし、コンパレータのオフセット補償を行う。
すなわち、比較部20において、ZERO信号の立ち上がりにより、スイッチ21a,22c,24cがオン状態、スイッチ21bがオフ状態になり、NOT回路22a,24aの入出力が短絡し、キャパシタ22b,24bを介して反転入力に接続される。それにより、NOT回路22a,24aの入出力が基準値の電位で平衡するようにキャパシタ22b,24bが充電されることで、オフセットが補償される。これと同時に、SR−FF42aはリセットされる。
次に、ZERO信号の立下りにより、スイッチ21a,22c,24cがオフ状態、スイッチ21bがオン状態になることで、NOT回路22a,24aがキャパシタ22b,24bを介して直列し、非反転入力に接続される。それにより、比較対象となる非反転入力が接続され、基準値との比較が開始する。
本タイミングチャートにおいては、BLNK信号の立下りの比較タイミングにおいては非反転入力が基準値よりも低い電位から駆動モードによって上昇して時刻Xにおいて基準値の電位を超える場合を示す。比較の開始直後では、入力は基準値以下であるため、NOT回路22aの出力は基準値よりも高くなり、NOT回路24aの出力は基準値よりも低くなってローレベルを示す電位となり、それによってSR−FF26はローレベルの比較結果COMPOUTを維持する。なお、この時点で入力が基準値を超える場合には、SR−FF26はセットされる。
次に、BLNK信号の立下りタイミング(クロック同期のタイミング)において、比較結果COMPOUTはドライバ信号生成部42内のD−FF42cによってサンプリングされる。次に、BLNK信号が立下がってから時刻Xまでは、入力が基準値よりも低いことからSR−FF26はローレベルの比較結果COMPOUTを維持する。
時刻Xにて入力が基準値を超えると、NOT回路22aの出力は基準値よりも低くなり、NOT回路24aの出力は基準値よりも高くなってハイレベルを示す電位となり、それによりSR−FF26はハイレベルの比較結果COMPOUTを出力する。従って、比較部20は、時刻Xにて入力が基準値を超えたクロック非同期のタイミングで、ハイレベルの比較結果COMPOUTを出力する。そして、この比較結果COMPOUTの変化により、ドライバ信号生成部42のSR−FF42a及びSR−FF42bにおいて、FAST信号及びDECAY信号がクロック非同期に変化する。
以上に示したように、本実施形態に係るコンパレータは、BLNK信号の立下りタイミングにおいてクロック同期で比較結果COMPOUTをサンプリングするのに用いるとともに、クロック非同期で入力が基準値を超えた時点を検出するためにも用いることができる。
図5は、切替部30の構成を示す。切替部30は、センス側切替部32及び基準値側切替部34を含む。なお、センス側切替部32及び基準値側切替部34内のスイッチ素子の動作は、スイッチ信号生成部46から出力されるZERO信号、COMP_SW信号、FAST_SW信号、及びSIG信号により制御される。ここで、ZERO信号は比較部20に含まれるコンパレータをオフセット補償するタイミングを与える信号である。COMP_SW信号は、センス電圧ISを比較部20に入力するタイミングを与える信号である。FAST_SW信号は、センス電圧ISを正電圧に昇圧するとともに、基準値を切り替えるタイミングを与える信号である。SIG信号は、比較部20に入力する基準値を切り替える信号である。
センス側切替部32は、スイッチ32a、キャパシタ32b、及び2つの切り替えスイッチ32cを有する。
スイッチ32aは、センス電圧ISを比較部20に入力するためのスイッチ素子である。スイッチ32aの一端及び他端は、それぞれ、センス出力及び比較部20の非反転入力に接続される。スイッチ32aは、スイッチ信号生成部46から出力されるCOMP_SW信号により動作する。ハイレベルのCOMP_SW信号によりスイッチ32aがオン状態となることで、センス電圧ISが比較部20に入力される。
キャパシタ32bは、センス電圧ISが負の場合に、これにオフセット電圧を加え、正電圧に昇圧して比較部20に入力するための容量である。これに代えて、電圧源を用いてもよい。キャパシタ32bは、2つの切り替えスイッチ32cを介して、スイッチ32aと並列に接続される。
2つの切り替えスイッチ32cは、キャパシタ32bを、センス出力及び比較部20の非反転入力の間と、オフセット電位DAREF及び基準電位の間と、で切換え接続するスイッチ素子である。一方の切り替えスイッチ32c(図面上側)の共通接点、H接点、及びL接点は、それぞれ、キャパシタ32bの一端、比較部20、及び電源に接続される。他方の切り替えスイッチ32c(図面下側)の共通接点、H接点、及びL接点は、それぞれ、キャパシタ32bの他端、センス出力、及び基準電位に接続される。2つの切り替えスイッチ32cは、スイッチ信号生成部46から出力されるFAST_SW信号により動作し、ハイレベルのFAST_SW信号によりキャパシタ32bをセンス出力及び比較部20の間に接続し、ローレベルのFAST_SW信号によりキャパシタ32bをオフセット電位DAREF及び基準電位の間に接続する。
基準値側切替部34は、基準値生成器(不図示)、切り替えスイッチ34e、スイッチ34a、キャパシタ34b、切り替えスイッチ34c、及び2つのスイッチ34dを有する。
基準値生成器(不図示)は、コイル6の励磁電流の目標波形に応じて定まる制御目標値から基準値電位を生成する変換器である。本実施形態では、センス電圧ISが正の場合だけでなく負の場合においてもセンス電圧ISを基準値と比較するため、基準値生成器(不図示)は、それぞれの場合に用いる2つの基準値電位DACP及びDACNを生成する。基準値生成器(不図示)は、一例として、それぞれ基準値電位DACP,DACNを生成する2つのD/Aコンバータ(不図示)を有する。
一方のD/Aコンバータは、励磁電流の制御目標値(すなわち、デジタル値)Targetが入力され、これをアナログ値に変換して基準値電位DACP(=Target)として出力する。
他方のD/Aコンバータは、励磁電流の制御目標値(すなわち、デジタル値)Target及びオフセット電位DAREF(すなわち、アナログ値)に基づく差分DAREF−Targetを生成し、これを基準値電位DACN(=DAREF−Target)として出力する。
切り替えスイッチ34eは、基準値電位DACP,DACNを切り替えて比較部20に入力するためのスイッチ素子である。切り替えスイッチ34eの共通接点は、スイッチ34aの一端、切り替えスイッチ34cのL端、及び2つのスイッチ34dのそれぞれの一端に接続される。切り替えスイッチ34eの+接点及び−接点は、それぞれ、基準値生成器(不図示)から出力される基準値電位DACP及びDACNに接続される。切り替えスイッチ34eは、スイッチ信号生成部46から出力されるSIG信号により動作し、ハイレベル(+レベル)のSIG信号により基準値電位DACPを比較部20又はキャパシタ34bに接続し、ローレベル(−レベル)のSIG信号により基準値電位DACNを比較部20に接続する。
スイッチ34aは、基準値電位DACP又はDACNを比較部20の反転入力に入力するためのスイッチ素子である。スイッチ34aの一端及び他端は、それぞれ、基準値電位(すなわち、基準値電位を切り替える切り替えスイッチ34eの共通接点)及び比較部20に接続される。スイッチ34aは、スイッチ信号生成部46から出力されるCOMP_SW信号により動作する。ハイレベルのCOMP_SW信号によりスイッチ34aがオン状態となることで、基準値が比較部20に入力される。
キャパシタ34bは、センス電圧ISが負の場合に、これを正電圧に昇圧して比較部20に入力するのに対応して、基準値を切り替えるための容量である。キャパシタ34bの一端及び他端は、それぞれ、切り替えスイッチ34cの共通接点及び基準電位に接続される。
切り替えスイッチ34cは、キャパシタ34bの一端を、比較部20の反転入力及び基準値電位(すなわち、基準値電位を切り替える切り替えスイッチ34eの共通接点)の間で切り替えるスイッチ素子である。切り替えスイッチ34cの共通接点、H接点、及びL接点は、それぞれ、キャパシタ34bの一端、比較部20、及び基準値電位に接続される。切り替えスイッチ34cは、スイッチ信号生成部46から出力されるFAST_SW信号により動作し、ハイレベルのFAST_SW信号によりキャパシタ34bを比較部20に接続し、ローレベルのFAST_SW信号によりキャパシタ34bを基準値電位に接続する。
2つのスイッチ34dは、基準値電位DACP又はDACNを比較部20の反転入力及び非反転入力に入力するためのスイッチ素子である。一方のスイッチ34dの一端及び他端は、それぞれ、基準値電位(すなわち、基準値電位を切り替える切り替えスイッチ34eの共通接点)及び比較部20の反転入力に接続される。他方のスイッチ34dの一端及び他端は、それぞれ、基準値電位(すなわち、スイッチ34eの共通接点)及び比較部20の非反転入力に接続される。2つのスイッチ34dは、スイッチ信号生成部46から出力されるZERO信号により動作する。ハイレベルのZERO信号により2つのスイッチ34dがオン状態となることで、基準値電位が比較部20の反転入力及び非反転入力の両方に入力される。
上述の構成の切替部30により、センス電圧ISが正の場合(IS≧0)と負の場合(IS<0)とで、比較部20に入力されるセンス電圧IS及び基準値Refを切り替えることができる。センス電圧ISが正の場合、図5に示すように、スイッチ32a,34aをオン状態とし、スイッチ34dをオフ状態とし、切り替えスイッチ32c,34cをL端に接続し、切り替えスイッチ34eを+端に接続する。それにより、センス電圧ISが比較部20の非反転入力に入力されるとともに、基準値電位DACP(=Target)が比較部20の反転入力に入力される。比較部20では、センス電圧IS(≧0)が基準値Targetに対して比較され、IS>Targetの場合にハイレベル、IS≦Targetの場合にローレベルの比較結果COMPOUTが出力される。
センス電圧ISが負の場合における比較動作に先立って、キャパシタ32b,34bが充電される。スイッチ32a,34a,34dをオフ状態とし、切り替えスイッチ32c,34cをL端に接続し、切り替えスイッチ32cを−端に接続する。それにより、キャパシタ32bがオフセット電位DAREF及び基準電位の間に接続され、充電される。同時に、キャパシタ34bが基準値電位DACNに接続され、電位DACN(=DAREF−Target)に充電される。
一方、センス電圧ISが負(IS<0)の場合、スイッチ32a,34a,34dをオフ状態とし、切り替えスイッチ32c,34cをH端に接続する。それにより、センス電圧ISが、キャパシタ32bを介すことで電圧DAREF昇圧されて、比較部20の非反転入力に入力されるとともに、基準値電位DACN(=DAREF−Target)が比較部20の反転入力に入力される。比較部20では、センス電圧DAREF−|IS|(≧0)が基準値DAREF−Targetに対して比較され、|IS|<Targetの場合にハイレベル、|IS|≧Targetの場合にローレベルの比較結果COMPOUTが出力される。
図6のタイミングチャートは、上段に、ドライバ部5を制御するためのPFAST信号、BLNK信号、及びFAST_BLNK信号及び切替部30を制御するためのタイミング信号signals、すなわちBLNK_SMPL信号、DAC_PLUS信号、FAST_SMPL信号、BLNK_CMP信号、及びFAST_CMP信号を示す。ここで、BLNK_SMPL信号及びFAST_SMPL信号は、それぞれ励磁電流の増大時及び減衰時において、比較部20に含まれるコンパレータをオフセット補償するタイミングを与える信号である。BLNK_CMP信号は、励磁電流の増大時において、センス電圧ISを比較部20に入力するタイミングを与える信号である。FAST_CMP信号は、励磁電流の減衰時において、センス電圧ISを正電圧に昇圧するとともに、基準値電位を切り替えるタイミングを与える信号である。DAC_PLUS信号は、励磁電流の減衰時において、比較部20に入力する基準値電位を切り替えるタイミングを与える信号である。図6の中段には、BLNK信号の立下りタイミングでCOMPOUTがローレベルの場合におけるFAST_LAT信号、ZERO信号、COMP_SW信号、FAST_SW信号、及び比較部20の動作を示す。図6の下段には、BLNK信号の立下りタイミングでCOMPOUTがハイレベルの場合におけるFAST_LAT信号、ZERO信号、COMP_SW信号、FAST_SW信号、及び比較部20の動作状態の関係を示す。
図6の上段に示すように、PFAST信号、BLNK信号、及びFAST_BLNK信号は、一例として、約0.1マイクロ秒(又は約0.05マイクロ秒)を1パルスとするクロックの25クロック分、24クロック分、及び24クロック分のパルス幅(ハイレベルになる期間)を有する。これらのタイミング信号において、PFAST信号は第0〜第25クロックにおいてハイレベルになり、BLNK信号は第25〜第49クロックにおいてハイレベルになり、FAST_BLNK信号は第51〜第75クロックにおいてハイレベルになる。これらのタイミング信号は、一例として300クロック分のサイクル周期で繰り返される。
BLNK_SMPL信号、DAC_PLUS信号、FAST_SMPL信号、BLNK_CMP信号、及びFAST_CMP信号は、それぞれ、12クロック分、25クロック分、12クロック分、24クロック分、13クロック分、12クロック分、及び39クロック分のパルス幅(ただし、BLNK_CMP信号及びFAST_CMP信号については反転パルス幅)を有する。これらのタイミング信号において、BLNK_SMPL信号は第25〜第37クロックにおいてハイレベルになり、DAC_PLUS信号は第25〜第50クロックにおいてハイレベルになり、FAST_SMPL信号は第51〜第63クロックにおいてハイレベルになり、BLNK_CMP信号は第25〜第38クロックにおいてローレベルになり、FAST_CMP信号は第25〜第64クロックにおいてローレベルになる。これらのタイミング信号も、一例として300単位の周期で繰り返される。
スイッチ信号生成部46は、FAST_LAT信号及びタイミング信号(BLNK_SMPL信号、DAC_PLUS信号、FAST_SMPL信号、BLNK_CMP信号、及びFAST_CMP信号)から、論理積"AND"、論理和"OR"、及び否定"NOT"を用いて、一例として次のように、ZERO信号、COMP_SW信号、FAST_SW信号、及びSIG信号を生成する。
ZERO = BLNK_SMPL OR (FAST_SMPL AND FAST_LAT)
COMP_SW = BLNK_CMP AND NOT(FAST_LAT)
FAST_SW = FAST_CMP AND FAST_LAT
SIG = DAC_PLUS OR NOT(FAST_LAT)
駆動装置100が駆動モード、すなわちセンス電圧ISが正であり(プラス時)、励磁電流が基準値より小さい場合、FAST_LAT信号はローレベルを維持する。この場合、図6の中段に示すように、タイミング信号の1サイクルにおいて、まず、PFAST信号が立ち上がり、これに応じて駆動装置100が準備モードに設定される。
次に、PFAST信号が立下り、これに応じて準備モードが終了する。これと同時にBLNK信号が立ち上がることで、センス電圧ISが正の時(プラス時)の励磁電流の比較手順が開始される。比較手順は、オートゼロ及び励磁電流の比較を含む。
センス電圧ISが正の時(プラス時)の励磁電流の比較手順が開始されると、ZERO信号がBLNK_SMPL信号の立ち上がりに応じてハイレベルにセットされ、COMP_SW信号がBLNK_CMP信号の立下りに応じてローレベルにセットされ、FAST_SW信号がローレベルのFAST_LAT信号によりローレベルを維持し、SIG信号がハイレベルのDAC_PLUS信号又はローレベルのFAST_LAT信号によりハイレベル(+レベル)を維持する。それにより、図7Aに示すように、センス電圧ISが正の時(プラス時)のオートゼロが実行される。すなわち、ローレベルのCOMP_SW信号により切替部30のスイッチ32a,34aがオフ状態になり、ローレベルのFAST_SW信号により切り替えスイッチ32c,34cがL端に接続され、ハイレベル(+レベル)のSIG信号により切り替えスイッチ34eが+端に接続される。この状態において、さらに、ハイレベルのZERO信号により比較部20のスイッチ21a,22c,24c及び切替部30のスイッチ34dがオン状態になり、比較部20のスイッチ21bがオフ状態になることで、2つのNOT回路22a,24aの入出力が短絡し、キャパシタ22b,24bを介して基準値電位DACPに接続され、オフセット補償される。ZERO信号がBLNK_SMPL信号の立下りに応じてローレベルにセットされ、スイッチ21a,22c,24c,34dがオフ状態、スイッチ21bがオン状態になることで、オートゼロが終了する。
次に、COMP_SW信号がBLNK_CMP信号の立ち上がりに応じてハイレベルにセットされ、FAST_SW信号がローレベルのFAST_LAT信号によりローレベルを維持し、SIG信号がハイレベルのDAC_PLUS信号又はローレベルのFAST_LAT信号によりハイレベル(+レベル)を維持する。それにより、図7Bに示すように、センス電圧ISが正の時(プラス時)の励磁電流の比較が実行される。すなわち、ハイレベルのCOMP_SWにより切替部30のスイッチ32a,34aがオン状態になることで、センス電圧ISが比較部20の非反転入力に入力されるとともに、基準値電位DACPが比較部20の反転入力に入力される。
以降、次のサイクルに移行するまで又は循環モードに移行するまで、励磁電流の比較が継続される。
一方、駆動装置100が駆動モード、すなわちセンス電圧ISが正(プラス時)の状態において、励磁電流が基準値を超えると比較結果COMPOUTがハイレベルになり、それに伴いDECAY信号がハイレベルにセットされ、これと同時に、図6の下段に示すように、BLNK信号の立下りに応じてFAST_LAT信号がハイレベルにセットされる(すなわち、FAST信号がハイレベルにセットされる)ことで、駆動装置100は回生モードに設定される。それにより、センス抵抗7を流れる電流の向きが変わり、センス電圧ISが負になる。係る場合、FAST_BLNK信号が立ち上がることで、センス電圧ISが正の時(プラス時)の励磁電流の比較手順に続いて、センス電圧ISが負の時(マイナス時)の励磁電流の比較手順が開始される。比較手順は、オートゼロ及び励磁電流の比較を含む。
センス電圧ISが負の時(マイナス時)の励磁電流の比較手順が開始されると、ZERO信号がBLNK_SMPL信号の立ち上がりに応じてハイレベルにセットされ、COMP_SW信号がFAST_LAT信号の立ち上がりに応じてローレベルにセットされ、FAST_SW信号がローレベルのFAST_CMP信号によりローレベルを維持し、SIG信号がローレベルのDAC_PLUS信号及びハイレベルのFAST_LAT信号よりローレベル(−レベル)にセットされる。それにより、図7Cに示すように、センス電圧ISが負の時(マイナス時)のオートゼロが実行される。すなわち、ローレベルのCOMP_SW信号により切替部30のスイッチ32a,34aがオフ状態になり、ローレベルのFAST_SW信号により切り替えスイッチ32c,34cがL端に接続し、ローレベル(−レベル)のSIG信号により切り替えスイッチ34eが−端に接続される。この状態において、さらに、ハイレベルのZERO信号により比較部20のスイッチ21a,22c,24c及び切替部30のスイッチ34dがオン状態になり、比較部20のスイッチ21bがオフ状態になることで、2つのNOT回路22a,24aの入出力が短絡し、キャパシタ22b,24bを介して基準値電位DACNに接続され、オフセット補償される。これと同時に、キャパシタ34bは、基準値電位DACNに接続されてその電位に充電される。ZERO信号がFAST_SMPL信号の立下りに応じてローレベルにセットされ、スイッチ21a,22c,24c,34dがオフ状態、スイッチ21bがオン状態になることで、オートゼロが終了する。
次に、COMP_SW信号がハイレベルのFAST_LAT信号によりローレベルを維持し、FAST_SW信号がハイレベルのFAST_LAT信号及びFAST_CMP信号の立ち上がりに応じてハイレベルにセットされ、SIG信号がローレベルのDAC_PLUS信号及びハイレベルのFAST_LAT信号よりローレベル(−レベル)を維持する。それにより、図7Dに示すように、センス電圧ISが負の時(マイナス時)の励磁電流の比較が実行される。すなわち、ハイレベルのFAST_SW信号により切り替えスイッチ32c,34cがH端に接続されることで、センス電圧ISが、キャパシタ32bを介すことで電圧DAREF分昇圧されて、比較部20の非反転入力に入力されるとともに、キャパシタ34bに充電された基準値電位DACNが反転入力に入力される。
以降、次のサイクルに移行するまで又は循環モードに移行するまで、励磁電流の比較が継続される。
図8のタイミングチャートは、動作モード信号並びに駆動装置の動作モード、電流目標、及び励磁電流の関係を示す。図中の最上段は、電流目標(目標値)、励磁電流、及び動作モードの時間変化を示す。なお、動作モード1は駆動モード(図2A)、動作モード2は循環モード(図2B)、動作モード3は回生モード(図2C)、及び動作モード4は準備モード(図2D)を意味する。第2〜9段目は、それぞれ、比較結果COMPOUT、BLNK信号、FAST_BLNK信号、FASTFALL信号、FAST_LAT信号、DECAY信号、FAST信号、及びPFAST信号の時間変化を示す。
前提として、時刻t0前において、励磁電流は目標値より小さいとする。また、目標値は、時刻t4まで一定を維持し、時刻t4にてステップ状に下がり、再度一定を維持するものとする。
時刻t0にて、PFAST信号が立ち上がる。これに応じて、ドライバ制御部44は、駆動装置100を準備モード(一例として励磁電流を正の印加方向に印加した準備モード)に設定する。それにより、励磁電流は、急速に減衰する。
時刻t1にて、PFAST信号が立ち下がる。これと同時にBLNK信号が立ち上がることにより、DECAY信号がローレベルにリセットされる。これに応じて、ドライバ制御部44は、駆動装置100を駆動モードに設定する。それにより、励磁電流は、急速に増大する。
このとき、FAST_LAT信号は、BLNK信号の立下りタイミングで比較結果COMPOUTをサンプルした結果、励磁電流が目標値以下であることからローレベルにセットされ、FASTFALL信号は、FAST_BLNK信号の立ち上がりによりハイレベルにセットされる。それにより、FAST信号はローレベルを維持する。この結果、BLNK信号の立下り後も駆動モードが維持される。
励磁電流が増大し、時刻t2にて目標値を超えると、クロック非同期のタイミングで比較結果COMPOUTが立ち上がる。それにより、DECAY信号がハイレベルにセットされる。このとき、FAST_LAT信号はローレベルであり、FASTFALL信号はローレベルにリセットされることで、FAST信号はローレベルを維持する。これに応じて、ドライバ制御部44は、駆動装置100を循環モードとする。この結果、励磁電流は、緩やかに減衰する。
次のサイクル期間における時刻t3にて、PFAST信号が立ち上がり、駆動装置100は準備モード(励磁電流を正の印加方向に印加した準備モード)となる。これにより、励磁電流は、急速に減衰する。
時刻t4にて、PFAST信号が立ち下がり、ブランキング信号BLNKが立ち上がって、DECAY信号がローレベルにリセットされる。これに応じて、駆動装置100は駆動モードとなり、励磁電流を急速に増大させる。
さらに、駆動モードでは、励磁電流がセンス抵抗7を正の方向に流れ、正のセンス電圧ISが生じることで、比較部20によるプラス時の励磁電流の比較が開始される。このとき、励磁電流は目標値より大きいため、比較結果COMPOUTはハイレベルになる。
時刻t5にて、BLNK信号の立ち下がると、DECAY信号は、比較結果COMPOUTによりハイレベルにセットされる。また、FAST_LAT信号は、BLNK信号の立下りで比較結果COMPOUTをサンプルしてハイレベルにセットされ、FASTFALL信号は、FAST_BLNK信号の立ち上がりによりハイレベルにセットされる。それにより、FAST信号はハイレベルにセットされる。これに応じて、ドライバ制御部44は、駆動装置100を回生モードに設定する。それにより、励磁電流は、急速に減衰する。
なお、回生モードでは、励磁電流がセンス抵抗7を負の方向に流れ、負のセンス電圧ISが生じることで、比較部20によるマイナス時の励磁電流の比較が開始される。また、励磁電流の大きさが目標値を下回らない限り、回生モードが継続される。
時刻t6にて、励磁電流が目標値を下回る。このとき、センス電圧|IS|は目標値より小さいため、比較結果COMPOUTはハイレベルになる。これに応じて、FASTFALL信号がローレベルにリセットされる。それにより、FAST信号はローレベルにセットされる。これに応じて、ドライバ制御部44は、駆動装置100を循環モードに設定する。それにより、励磁電流は、緩やかに減衰する。
なお、循環モードでは、先述の通り、比較部20による励磁電流の比較が停止するため、次のタイミング信号の発生(t7)まで循環モードが維持される。
ここで、マイナス時の励磁電流の比較を実行しない場合、励磁電流はさらに減衰して目標値から大きく乖離し、次のタイミング信号の発生(t7)後に駆動モードに設定して励磁電流を目標値に向けて回復することとなる。これに対して、本実施形態ではマイナス時の励磁電流の比較を実行することで、励磁電流は目標値から大きく乖離することなく、すなわち小さいリプルで、目標値に追従することとなる。
時刻t7からt10における駆動装置の動作は、時刻t0からt3における動作と同様である。
時刻t10にて、PFAST信号が立ち上がる。これに応じて、ドライバ制御部44は、先と同様に、駆動装置100を準備モード(励磁電流を正の印加方向に印加した準備モード)に設定する。それにより、励磁電流は、急速に減衰する。
時刻t11にて、PFAST信号が立ち下がる。これと同時にBLNK信号が立ち上がることにより、DECAY信号がローレベルにリセットされる。これに応じて、ドライバ制御部44は、駆動装置100を駆動モードに設定する。それにより、励磁電流は、急速に増大する。
時刻t12にて、BLNK信号の立下り及びFAST_BLNK信号の立ち上がりと同時(或いはBLNK信号の発生中)にノイズが発生する等により、励磁電流が過度に増大して目標値を超えたとする。それにより、比較結果COMPOUTが立ち上がる。このとき、FAST_LAT信号は、BLNK信号の立下りで比較結果COMPOUTをサンプルしてハイレベルにセットされ、FASTFALL信号は、FAST_BLNK信号の立ち上がりによりハイレベルにセットされる。それにより、FAST信号はハイレベルにセットされる。これに応じて、ドライバ制御部44は、ノイズ等により誤って、駆動装置100を回生モードに設定することとなる。それにより、励磁電流は、急速に減衰して、目標値から離れ始める。しかし、本実施形態では、回生モード、すなわち負のセンス電圧ISが生じる場合において、比較部20によるマイナス時の励磁電流の比較を実行する。
それにより、時刻t13にて、DECAY信号が比較結果COMPOUTによりハイレベルにセットされる。FAST_LAT信号はハイレベルを維持し、FASTFALL信号はローレベルにリセットされることで、FAST信号はローレベルにセットされる。これに応じて、ドライバ制御部44は、駆動装置100を循環モードに設定する。従って、励磁電流は、緩やかに減衰することとなる。
なお、本実施形態の駆動装置100において、一サイクル期間内のある期間では、比較部20から出力される比較結果COMPOUTの変化をクロック信号と非同期に監視し、別の期間では、同期して監視してもよい。例えば、ドライバ信号生成部42は、回生モード時、すなわちマイナス時の励磁電流の比較の際には、比較部20から出力される比較結果COMPOUTの変化をクロック信号と非同期に監視し、そのクロック非同期のタイミングで、FAST信号及びDECAY信号を生成し、ドライバ制御部44に出力することで、駆動装置100を循環モードに切り替えてもよい。また、ドライバ信号生成部42は、駆動モード時、すなわちプラス時の励磁電流の比較の際には、比較部20から出力される比較結果COMPOUTの変化をクロック信号と同期する予め定められた同期タイミングで監視し、FAST信号及びDECAY信号を生成し、ドライバ制御部44に出力することで、駆動装置100を回生モードに切り替えてもよい。
また、本実施形態の駆動装置100では、1つのサイクル内で、センス電圧ISが正の時(プラス時)のオートゼロ及び励磁電流の比較が実行され、その比較において励磁電流が目標値を超えたと判断されると駆動装置100が回生モードに設定され、それに伴いセンス電圧ISが負の時(マイナス時)のオートゼロ及び励磁電流の比較が実行され、その比較において励磁電流が目標値を下回ったと判断されると駆動装置100が循環モードに設定される。すなわち、プラス時のオートゼロの後の励磁電流の比較の際に、ただしマイナス時のオートゼロの前に、励磁電流が目標値を超えたと判断された場合、回生モードを経て、マイナス時の比較に応じて初めて循環モードに設定される。これに代えて、回生モードを経ることなく循環モードに設定することとしてもよい。また、プラス時の比較の際に限らず、マイナス時のオートゼロの間に循環モードに切り替えることとしてもよい。
なお、本実施形態の駆動装置100では、動作モードの変更直後においてはノイズ等が発生し比較部20の出力が不安定になり得ることから、ドライバ信号生成部42では、BLNK信号の発生中、比較部20から出力される比較結果COMPOUTをマスク(すなわち、DECAY信号の生成に反映しない)し、駆動装置100の動作モードを駆動モードに設定することとした。それにより、BLNK信号の発生中、励磁電流は増大する。そこで、BLNK信号の発生前にPFAST信号を発生して、駆動装置100を準備モードに設定することとした。PFAST信号の発生中、励磁電流は減衰する。このように、準備モードを設定して励磁電流を減衰させることで、BLNK信号の発生時における励磁電流の増大を相殺し、励磁電流のリプルを抑えることができる。
なお、本実施形態の駆動装置100では、BLNK信号の発生中、駆動装置100の動作モードを駆動モードに設定することに対応して、BLNK信号の発生前のPFAST信号の発生中、駆動モードの励磁電流の印加方向と同じ方向に励磁電流を印加した準備モードに設定することとした。逆に、BLNK信号の発生中、駆動装置100の動作モードを回生モードに設定し、これに対応して、BLNK信号の発生前のPFAST信号の発生中、回生モードの励磁電流の印加方向と同じ方向に励磁電流を印加した準備モードに設定してもよい。
また、本実施形態の駆動装置100において、励磁電流の目標がゼロ(GND)を含む予め定められた範囲内にある場合に、BLNK信号の発生前のPFAST信号の発生中、準備モード、すなわち励磁電流を負の印加方向に印加した駆動モードに設定し、BLNK信号の発生中、励磁電流を正の印加方向に印加した駆動モードに設定してもよい。同様に、PFAST信号の発生中、励磁電流を正の印加方向に印加した駆動モードに設定し、BLNK信号の発生中、励磁電流を負の印加方向に印加した駆動モードに設定してもよい。
図9のタイミングチャートに、励磁電流がゼロに近いときのタイミング信号、駆動装置の動作モード、電流目標(目標値)、及び励磁電流の関係を示す。ここで、目標値は、GND近傍に位置する場合を示す。PFAST信号の立ち上がりに応じて、ドライバ制御部44は、駆動装置100を準備モード(励磁電流を負の印加方向に印加した駆動モード(動作モード4))に設定する。それにより、励磁電流は、GND近傍から急速に減衰する(すなわち、負の方向に増大する)。次に、PFAST信号が立ち下がると同時にブランキング信号BLNKが立ち上がることにより、ドライバ制御部44は、駆動装置100を、駆動モード(励磁電流を正の印加方向に印加した駆動モード(動作モード1))に設定する。それにより、励磁電流は、GNDに向かって急速に増大する(すなわち、負の方向に減衰する)。この駆動モードでは、励磁電流がセンス抵抗7を正の方向に流れ、正のセンス電圧ISが生じることで、比較部20によるプラス時の励磁電流の比較が開始される。次に、BLNK信号が立ち下がることにより、比較部20から出力される比較結果COMPOUTのマスクが解除される。励磁電流が増大し、目標値を超えると、ドライバ制御部44は、駆動装置100を循環モード(動作モード2)に設定する。それにより、励磁電流は、目標値から緩やかに減衰する。以降、同様の動作を繰り返すことで、励磁電流をGND近傍にある電流目標(すなわち、微小な電流目標)に追従させることができる。
準備モードを利用しない場合、図中に破線を用いて示すように、ブランキング信号BLNKが立ち上がることにより(準備モードを利用しない場合、BLNK信号はPFAST信号の立ち上がりタイミングで立ち上がる)、ドライバ制御部44は、駆動装置100を、駆動モード(動作モード1)に設定する。それにより、励磁電流は、急速に増大する。同時に、比較部20によるプラス時の励磁電流の比較が開始される。次に、BLNK信号が立ち下がり、比較部20から出力される比較結果COMPOUTのマスクが解除され、励磁電流が目標値を超えていることから、ドライバ制御部44は、駆動装置100を循環モード(動作モード2)に設定する。それにより、励磁電流は、緩やかに減衰する。以降、同様の動作を繰り返す。つまり、励磁電流をGND近傍にある電流目標に追従させることはできない。
なお、PFAST信号のパルス幅をブランキング信号BLNKのパルス幅より長くするとよい。本実施形態では、先述の通り、PFAST信号のパルス幅を25クロック分、BLNK信号のパルス幅を24クロック分とした。それにより、励磁電流は、BLNK信号のハイレベルが終了して比較結果COMPOUTのマスクが解除された際、準備モードの開始時より低い位置にあることで、GND近傍に位置する電流目標を超えるタイミングを捉えて、駆動モード(動作モード1)から循環モード(動作モード2)へ確実に移行することが可能となる。ここで、PFAST信号のパルス幅は、BLNK信号のパルス幅より、少なくとも比較部20に含まれるコンパレータの応答時間より長くするとよい。PFAST信号のパルス幅は、BLNK信号のパルス幅より、例えば1%、好ましくは0.5%、より好ましくは0.3%長くするとよい。また、励磁電流がGND近傍に位置する電流目標を超えるタイミングを捉える目的において、PFAST信号のパルス幅は、電流目標(目標値)の大きさに応じて、例えば電流目標に比例して、或いは任意の関数を適用して短くすることとしてもよい。
なお、本実施形態の駆動装置100では、駆動モードの設定に先立って、PFAST信号が立ち上がりに応じて準備モード(励磁電流を正の印加方向に印加した準備モード)に設定することとしたが、励磁電流が寄生ダイオードDi2により整流されない程度に大きい場合、言い換えると寄生ダイオードDi2に加わる電圧がその閾電圧より大きい場合、準備モードに代えて回生モードに設定することとしてもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。