JP6455933B2 - 回折光学素子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は光信号をスペクトル分析(分光)する際に用いられる回折光学素子およびその製造方法に関する。
回折光学素子は光信号をその波長に応じてスペクトル分解(分光)するデバイス(波長分散素子)であり、分光計測や光通信など幅広い分野で用いられている。
回折光学素子の性能は波長分解能で与えられ、光信号に含まれる波長成分をいかに精細に分解して計測、制御できるかで表現される。波長分解能は、デバイスの面積の逆数と分散性能の積で与えられることが知られている。
このような回折光学素子の構造としては、光の波長と同程度の周期構造を形成したブレーズドグレーティングやホログラフィックグレーティングが一般的に使用されているが、近年、光導波路をもちいた回折光学素子として、ブラッグ反射鏡導波路(BRW:Bragg Reflector Waveguide)回折光学素子などの導波型の回折光学素子が提案されており、大きな分散性能を得ることができることが示されている。すなわち、BRW型の回折光学素子は高い波長分解能を持つ回折光学素子として、その実用化が期待されている。
BRW型の回折光学素子は、基板上に形成された光導波路(コア)の上下面に多層構造のブラッグ反射鏡をもつ基本構造を有する。
(BRW型回折光学素子の原理)
非特許文献1によれば、BRW型の回折光学素子は以下の原理で動作する。
すなわち、BRW回折光学素子が形成された基板面に対して、光導波路の一端からある特定の斜めの角度で光信号をBRWに入射すると、光信号は上下面のブラッグ反射鏡により反射を繰り返しつつ光導波路を伝搬する。光信号が光導波路を伝搬するに従って、ブラッグ反射鏡の反射率が小さい光導波路の上面より光信号が漏れて出射されるが、その出力量は上面に設置されたブラッグ反射鏡の透過率に依存し、出射位置は光信号の主光線が上面のブラッグ反射鏡に着弾する位置によって決まる光導波路上の離散的な点列となる。
これらの離散的な複数の出射位置は、光導波路上にリニアアレイを構成する波源となり、全体として出射光のビームを形成する。
BRW型の回折光学素子においては、出力される光信号は、その波長によって自由空間における伝搬方向が異なり、波長に応じて形成される出射光ビームの方向が異なることによって波長分散機能を実現する。この際、光導波路から出力される離散的な点光源の列の空間長を長く取ることによって、特定波長で見たときの出射光のビーム形状を絞ることができ、非常に高い分散能を実現できる。
X. Gu,T. Shimada,A. Matsutani,F. Koyama,"Miniature Nonmechanical Beam Deflector Based on Bragg Reflector Waveguide With a Number of Resolution Points Larger Than 1000",IEEE Photonics Journal,Volume 4,Number 5,pp. 1712-1719,October 2012
しかしながら上述のBRW型の回折光学素子においては、リニアアレイを構成する複数の波源それぞれから空間に出力される光信号の強度が、光導波路の伝播方向に向かって指数関数的に減少するという問題を生じていた。
すなわち、空間に出力される光信号の強度は、上部ブラッグ反射鏡の透過率と、導波路を伝搬する光信号のその位置における強度の積に比例するため、光信号が導波路を伝搬するに従って上方に出射(漏出)した分だけ光導波路を伝搬する光信号の強度が減衰し、結果として光導波路上の複数の波源それぞれから上方空間に出力される光信号の空間強度分布は、光導波路の伝搬方向に向かって減少する指数関数で重み付けされたものとなる。
このような指数関数状の強度分布は、リニアアレイとしてのビームパターンを変形させるから、回折光学素子としての波長分解能を劣化させる。たとえば、集光レンズを介して角度分散をもつBRW素子からの出力電界分布を位置分散に変換する際に、BRW素子出力直後の電界分布を反映したスペクトル分布となるため、隣接した波長位置に長い裾を引く強度分布となり、波長分解能の劣化のみならず、例えば隣接波長チャネルとの間に漏話を生じるという問題を生じていた。
本発明は、BRW型回折光学素子における上述の問題を解決するためになされたものであり、高分解能かつ低漏話な回折光学素子を提供するものである。
本発明は、このような目的を達成するために、以下のような構成を備えることを特徴とする。
(発明の構成1)
被分析対象である光信号が、光ファイバを介して光導波路に対し所定の角度を持って入力される基板上に形成された光導波路型の回折光学素子であって、
光導波路のコア層の上面および下面には上部ブラッグ反射鏡および下部ブラッグ反射鏡が設置され、
前記上部ブラッグ反射鏡は、光信号の伝搬方向に向かって光信号の上方空間への透過率が変化する反射構造部を有し、
前記反射構造部は、光信号の伝搬方向に向かってブラッグ反射鏡の多層構造を構成する層の層数または層のペアのペア数が変化する構造を有する
ことを特徴とする回折光学素子。
(発明の構成
前記光導波路の層構造を構成する材料系は、使用波長における屈折率の異なる少なくとも2種類の材料から選択された3つの材料を含み、
第1の材料が前記光導波路の前記コア層に用いられ、
前記上部ブラッグ反射鏡および前記下部ブラッグ反射鏡の多層構造において、
前記コア層に隣接する層を構成する第2の材料は、前記第1の材料と屈折率が異なるものが選択され、
前記コア層に隣接しない層を構成する第3の材料は、前記第1の材料と同じ種類であっても良い前記第2の材料と異なる屈折率を有する材料が選択される
ことを特徴とする発明の構成記載の回折光学素子。
(発明の構成
基板の上に形成された光導波路のコア層の上面および下面に上部ブラッグ反射鏡および下部ブラッグ反射鏡が設置された光導波路型の回折光学素子であり、被分析対象である光信号が、光ファイバを介して前記光導波路に対し所定の角度を持って入力される、所望の透過率分布を有するブラッグ反射鏡光導波路型の回折光学素子の製造方法であって、
前記所望の透過率分布を実現するための前記上部ブラッグ反射鏡の光伝搬方向における層数またはペア数の変化を、
前記回折光学素子の波長範囲、波長分解能および単色光に対するスペクトル形状を決定する第1手順と、
前記第1手順で決定した波長範囲、波長分解能および単色光に対するスペクトル形状から、前記回折光学素子からの出力直後の光電界の分布を決定する第2手順と、
前記回折光学素子の層構造として、前記光導波路の層構造を構成する材料系と使用波長範囲を制約条件として、前記上部ブラッグ反射鏡の層および前記光導波路のコア層の厚みを決める第3手順と、
前記第3手順で決定した層構造に対して、前記上部ブラッグ反射鏡の前記層数またはペア数と透過率の関係を導出する第4手順と、
前記第4手順で導出した前記層数またはペア数と透過率の関係から、前記第2手順で決定した前記光電界の分布を実現する前記上部ブラッグ反射鏡の前記層数またはペア数の伝搬方向に対する分布を決定する第5手順と
で決定し、
前記基板上に前記下部ブラッグ反射鏡、前記コア層をこの順で形成後、前記上部ブラッグ反射鏡に必要となる最大の均一の層数またはペア数で多層構造を成膜し、
前記多層構造の上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィによりパターン化し、パターン化したレジストをマスクとして前記多層構造を1層分または1ペア分エッチングして除去した後、使用したレジストを除去する工程を、エッチングにより除去する領域を拡大しながら、前記上部ブラッグ反射鏡の所望の前記層数またはペア数の変化パターンが得られるまで繰り返して行い、前記所望の透過率分布を有する上部ブラッグ反射鏡を形成する
ことを特徴とする回折光学素子の製造方法。
本発明によれば、光導波路型の回折光学素子の光導波路コアの上部に、光信号の伝搬方向に向かって光信号の上方空間への透過率が変化する反射構造部を設けることによって、従来の回折光学素子では得られなかった、非常に高い分散を保ちつつ、波長分解能に優れた回折光学素子の実現が可能になる。
本発明の実施形態1にかかる回折光学素子の側面図と上面図である。 本発明の実施形態1にかかる回折光学素子の光導波路の詳細を説明する図である。 本発明の実施形態1にかかる回折光学素子の光導波路の層構造の例を示す図である。 ブラッグ反射鏡の透過率Tとブラッグ反射鏡ペア数の関係を示す図である。 本発明の実施形態2にかかる回折光学素子の設計方法の工程を示す図である。 本発明の実施形態3にかかる回折光学素子の側面図である。 本発明の実施形態3にかかる上部ブラッグ反射鏡の透過率分布を説明する図である。 本発明の実施形態3のブラッグ反射鏡型回折光学素子の製造方法のプロセス工程を示す図である。 本発明の上部ブラッグ反射鏡のペア数(層数)パターンを決定する方法を説明する図である。
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1にかかる回折光学素子10の概略を示す図である。
図1には、回折光学素子10の側面図1(a)と上面図1(b)が示される。
本発明に開示される回折光学素子10は、光導波路基板1上に設置された光導波路2からなる。光導波路2には、被分析対象である光信号が、光ファイバ3を介して光導波路2に対し所定の角度を持って入力される。光導波路2は、図2に詳述するように光導波路2のコア層11と、その下面の下部ブラッグ反射鏡13と、上面の上部ブラッグ反射鏡12からなる多層構造を有する。
側面図1(a)には、本発明の回折光学素子10に加えてレンズ4とその結像面5を示した。前述のように、左の光ファイバ3より光導波路2に対し所定の角度を持って入力された光信号が、回折光学素子10の光導波路2内を反射を繰り返しながらz軸方向に伝搬するに従って、光導波路面から暫時光信号の一部(6a、6b)が出力される。光信号が出力される際に、その出力方向(y−z面内でz軸と光信号の伝搬方向がなす角)は、光信号の波長によって変化する。
したがって、光導波路2からy方向にfの距離に設置された焦点距離fを有するレンズ4により、光導波路2の上面から出力された光信号6は結像面5に結像され、波長分波機能が実現される。
たとえば、ある波長λを有する光信号は実線6aの方向に出力され、結像面5上の点7aに結像され、また、λよりも長波の光信号は点線6bの方向に出力され、結像面5上の点7bに結像される。
(光導波路の詳細)
図2は、図1における光導波路2の詳細を説明する図である。図2に示されるように、光導波路2は、光信号が伝搬するコア層11と、その下面に設置された多層構造の下部ブラッグ反射鏡13と、上面に設置された多層構造の上部ブラッグ反射鏡12からなる。
図2の左上部からエッチングされた薄い上部ブラッグ反射鏡12を介してコア層11に入射された光信号は、ブラッグ反射鏡12,13間で反射を繰り返しながらz方向右に伝搬するに伴って、相対的に層数の少ない上部ブラッグ反射鏡12側から徐々に上方に出力される。この際、コア層11の下面の下部ブラッグ反射鏡13の反射率は100%が設定されるため、光信号は反射されブラッグ反射鏡13側には出力されない。
一方、上面側の上部ブラッグ反射鏡12は、図2に示すように光の伝搬方向に向かって層数が変化する構造とすることによって、上方空間への光信号の透過率(ほぼ、1−反射率に等しい)が変化する反射構造部とすることができる。すなわち、図2に示されるように、光の伝搬方向に従って上部ブラッグ反射鏡の層数が変化する。この層数の変化の分布(パターン)を、後述する方法を適用して設計することにより、光導波路2の上面から出力される光信号の強度を光導波路2の伝搬方向に沿って任意に調整することができる。
(光導波路の層構造)
図3の上図は、光導波路2の層構造の一例を示す断面図である。
図3の下表に例示するように、光導波路2のブラッグ反射鏡の層構造を構成する3つの材料は、使用波長における屈折率の異なる少なくとも2種類の材料から選択され、各層の厚みとともに回折光学素子の使用波長帯域によって決定される。
図3の上図に図示の様に、材料1が光導波路のコア11として用いられ、上下のブラッグ反射鏡12,13では材料2の層と材料3の層の繰り返しにより多層構造が構成されている。コア層11に隣接しない層を構成する材料3は材料1と同じであっても良く、コア層11に隣接する層を構成する材料2の屈折率は、材料1の屈折率と異なるものが選択される。
図3の下表に挙げるように、材料1〜3の組み合わせ例としては、
(例1)SiO2,Si,SiO2
(例2)空気(air),Si,SiO2
(例3)AlxGa1-xAs,GaAs,AlxGa1-xAs、
(例4)空気(air),GaAs,AlxGa1-xAs、
(例5)SiO2,GaAs、AlxGa1-xAs
(例6)SiO2,Ta25,SiO2
(例7)SiO2,LiNbO3,SiO2
などが挙げられるが、層構造としてはここに挙げたものに限られなく、ブラッグ反射鏡として十分な反射率を得ることができるように、その多層構造が実現されればよい。
図4は、ブラッグ反射鏡の透過率Tとブラッグ反射鏡ペア数の関係である。ここでペアとは、図3上図のブラッグ反射鏡12,13を構成する多層構造において、屈折率の異なる材料2および3の隣接する2層を1対の組としたペアを意味し、ペア数が多いほどブラッグ反射鏡としての反射率は1に近づき、逆に透過率は低下する。
たとえば、下部ブラッグ反射鏡13としてペア数を40とすると、下部ブラッグ反射鏡全体として、透過率を0.0001以下(この場合、反射率は100%−0.01%=99.99%が得られる)と設定することができ、下部ブラッグ反射鏡13より下側には光を放射させずに、光導波路の伝搬方向斜めに反射を繰り返し回折格子を機能させることが可能になる。
また、上部ブラッグ反射鏡12は、後述する方法にて、その層数を例えば10層から20層程度で光導波路の伝搬方向に変化することで所望の透過率分布を得ることができ、層数の位置分布にパターンを持たせて形成すれば、光導波路の伝搬方向斜めに反射を繰り返すとともに、回折格子上方に所望の出射光のビーム形状を構成する光電界分布を形成することができる。
(実施形態2)
実施形態1で説明した光導波路2から出力される光信号の強度の設定は、図5に示す以下の設計手順に従って上部ブラッグ反射鏡12のペア数を決定することで実現される。
すなわち、図5の第一の工程S501として、求められる回折光学素子の使用波長範囲および波長分解能を決定する。また、波長分解能が決まれば、回折光学素子の有効素子長が決定される。加えて、単色光を回折光学素子に入力したときの結像面5における光信号強度分布(スペクトル形状)、すなわち波長分解スポット(集光スポット)形状を決定する。
第二の工程S502では、第一の工程で決定した波長範囲、波長分解スポットの大きさ(分解能)および集光スポットの形状(単色光に対するスペクトル形状)から、光導波路2出力直後の光電界分布を決定する。決定にあたっては、集光スポット形状における光電界分布をビーム伝搬法などで逆伝搬させることで求めてもよいし、2f系のレンズ系であれば、集光スポット形状における光電界分布をフーリエ変換することで決定してもかまわない。
第三の工程S503では、第一の工程で決定した使用波長範囲をもとに図3に述べたような導波路の層構造を構成する材料系を決定する。たとえば、1.5ミクロン帯の通信波長帯が使用波長範囲であれば、Si/SiO2による多層構造とすることで低損失な導波路が実現できる。使用波長範囲が可視光帯であれば、ニオブ酸リチウム結晶とSiO2の多層構造などを用いてもよい。
また、材料系の決定に伴って屈折率が決まり、材料系と使用波長範囲を制約条件として、上部ブラッグ反射鏡の層および前記光導波路コアの厚みも定まり、光導波路の層構造が決定されることとなる。
第四の工程S504では、第三の工程で決定した層構造に対して、図4に示したようなブラッグ反射鏡ペア数と透過率(反射率)の関係を求める。
第五の工程S505では、第四の工程で決定した、ブラッグ反射鏡ペア数と透過率の関係と、第二の工程で決定した光電界分布を対照して、光導波路層2の光の伝搬方向の上部ブラッグ反射鏡の層数またはペア数の位置分布(パターン)を決定する。
連続的な光電界分布を実現するための透過率分布も連続的なものとなるから、これを実現するための理想的なブラッグ反射鏡ペア分布も連続的な曲線となるが、実現可能な上部ブラッグ反射鏡の層数またはペア数それ自体は整数値であるから、後述(図9)の手法により量子化してパターン化し、後述(図8)のような製造プロセスで製造する。
図5に示した工程はこの順に限るものではなく、たとえば各種材料系に対して第三の工程から第四の工程を予め実施しておき、その後、第一の工程から第二の工程で回折光学素子の仕様(波長範囲、分解能)が決定されるに応じて、第五の工程をおこなってもよい。
以下の実施形態3では、光導波路2から出力される光電界の決定の詳細について説明する。
(実施形態3)
本実施形態3では、一般的な回折光学素子に要求される波長分解スポットの形状であるガウス関数形状を実現する例について説明する。図6は本実施形態3にかかる回折光学素子の側面図である。
たとえば、図6に示すように、結像面5における集光スポットの形状をガウス分布22とする場合には、ガウス分布のフーリエ変換もまたガウス分布であることより、回折光学素子から出力される光信号の強度分布もガウス分布21とするのが適切である。
図7は、回折光学素子から出力される光信号の伝搬方向に渡る強度分布をガウス分布23(図6の21に対応)とする際に必要となる、上部ブラッグ反射鏡12の光信号の透過率分布24を示す図である。またその際にコア層11に閉じ込められる光信号強度の伝搬方向に渡る分布25も同時に示した。
図7において、左端より回折光学素子に入力された光は、光導波路2を右方向へ伝搬するにつれて上方へ漏出、出力され、光導波路2を伝播する光信号強度は減衰して分布25を形成する。
したがって、回折光学素子から出力される光信号の強度分布をガウス分布23とするためには、光信号強度25が減衰した図7の右側の部分において上部ブラッグ反射鏡12の透過率を高めた、透過率分布24のような形状とする必要がある。
すなわち、分布24となる透過率を実現する上部ブラッグ反射鏡12をコア層11上に装荷することで、出力光信号の強度分布を分布23に示される所望のガウス状の分布とすることができる。
なお、図7において、ガウス分布23、透過率分布24はそのピークを1に、伝搬方向に渡る光信号強度の分布25は左端の伝搬距離0の入力点を1となるように正規化して表現してある。
上部ブラッグ反射鏡12の層数(ペア数)は、図7の透過率分布24をもとに、図4の透過率とペア数の関係を参照して決定すればよい。
(実施形態3のブラッグ反射鏡型回折光学素子の製造方法)
図7の分布24のような透過率分布を有するブラッグ反射鏡型回折光学素子を得るためには、実施形態2で示した図4をもとに、図8に示すような製造方法のプロセス工程で上部ブラッグ反射鏡12のペア数(層数)を透過率分布にあわせて変えるようにパターン形成すればよい。
すなわち、まず、図8(a)に示す第一の工程において、基板14上に下部ブラッグ反射鏡13、コア層11をこの順で形成した後、その上に上部ブラッグ反射鏡12を必要となる最大の均一のペア数(層数)で成膜する。たとえば、図3の例1に示したSiO2/Si/SiO2を材料系とする場合は、スパッタリングで成膜すればよい。
図8(b)の第二の工程では、第一の工程で成膜した上部ブラッグ反射鏡12上にレジスト31を塗布する。
図8(c)の第三の工程では、第二の工程で塗布したレジスト31をフォトリソグラフィによりパターン化する。この際、最終的に上部ブラッグ反射鏡の層数が最も少なくなる領域を、次の工程で1層分(1ペア分)除去できるようにパターン化するのが好ましい。
図8(d)の第四の工程では、第三の工程でパターン化したレジスト層31をマスクとして、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)もしくはイオンミリング等で、上部ブラッグ反射鏡12をエッチングして、層数(ペア数)が最も少なくなる領域の最上層を1層分(1ペア分)除去する。
SiO2/Si/SiO2の材料系において、RIEを用いてパターン形成する場合は、SiO2のエッチングにはCF系のガスを、SiのエッチングにはSF系のガスを用いればよい。
図8(e)の第五の工程では、第四の工程で使用したレジスト層31を除去したのちに、あらたにレジスト層32を塗布し、フォトリソグラフィによりパターン化する。この際、エッチングにより除去する領域を、前工程で除去した層数(ペア数)が最も少なくなる領域に加えて最終的に上部ブラッグ反射鏡の層数(ペア数)が2番目に少なくなる領域を含めて拡大して、次の工程で1層分(1ペア分)除去できるようにパターン化するのが好ましい。
図8(f)の第六の工程では、第四の工程と同じく、RIE法、イオンミリング法等を用いて上部ブラッグ反射鏡12をエッチングして、層数が2番目に少なくなる領域の最上層および層数が最も少なくなる領域の第2層を1層分(1ペア分)除去する。
以下同様に上記の工程(e)および(f)を、エッチングにより除去する領域を拡大しながら、所望の上部ブラッグ反射鏡のペア数(層数)パターンが得られるまで繰り返して行い、1層分(1ペア分)づつ除去を繰り返し、所望の透過率分布パターンを有する上部ブラッグ反射鏡12を形成する。(図8(g)、図8(h))
(上部ブラッグ反射鏡のペア数のパターン化)
上述の工程において、上部ブラッグ反射鏡のペア数(層数)のパターン化(量子化)は、理想的なペア数(層数)の分布をもっともよく近似できるように決定するのが好ましい。たとえば、ブラッグ反射鏡ペアを単位として層分布を決定するのであれば、図9に示す方式でパターンを決定するのが良い。
すなわち、図4を参照して必要とされる透過率からペア数をもとめ、図9に示すような、所望の透過率(反射率)分布を得るための理想的なブラッグ反射鏡ペア分布の曲線41を決定する。
この理想的なブラッグ反射鏡ペア分布の曲線41に対して、ブラッグ反射鏡各ペアを構成する材料3と材料2の層間境界線をなす複数の平行線との交点を、ペア数を変化させる階段の段差部分とする。
例えば、図9において、曲線41と、最上部のペアを構成する材料3と材料2の層間境界線との交点を42とすれば、第一の交点42と次の第二の交点43を両端の段差とする階段の段差レベル44として、パターンを決定する。
同様に、第二の交点43と第三の交点45を両端とする階段を次の段差レベル46としてペア数のパターンを決定する。
上記の方法では段差の高さはペア単位(2層分)となるが、パターンの決定方法は、上述の方法に限らず、ブラッグ反射鏡を構成する各層のすべての境界線(各層の厚み中心線でも良い)と理想的なブラッグ反射鏡ペア分布の曲線41の交点を基準として決定しても構わない。
また、図8で述べた上部ブラッグ反射鏡のパターンの形成プロセスは、上記方法を用いずとも、ペア数を削減する領域以外の部分において、基板14の上方に設置したシャドウマスクを用いても構わない。
このように、本発明によれば、従来の回折光学素子では得られなかった、非常に高い分散を保ちつつ、波長分解能に優れた回折光学素子の実現が可能になる。
1、14 光導波路基板
2 光導波路
3 光ファイバ
4 レンズ
5 結像面
6a、6b 出射光信号
7a,7b 出射光信号の像
10 回折光学素子
11 コア層
12 上部ブラッグ反射鏡(層)
13 下部ブラッグ反射鏡(層)
21、23 出力される光信号の強度分布
22 集光スポットの形状
24 上部ブラッグ反射鏡の透過率分布
25 光導波路を伝搬する光信号の強度分布
31,32,33 レジスト
41 理想的なブラッグ反射鏡ペア分布の曲線
42、43、45 交点
44、46 段差レベル

Claims (3)

  1. 被分析対象である光信号が、光ファイバを介して光導波路に対し所定の角度を持って入力される基板上に形成された光導波路型の回折光学素子であって、
    光導波路のコア層の上面および下面には上部ブラッグ反射鏡および下部ブラッグ反射鏡が設置され、
    前記上部ブラッグ反射鏡は、光信号の伝搬方向に向かって光信号の上方空間への透過率が変化する反射構造部を有し、
    前記反射構造部は、光信号の伝搬方向に向かってブラッグ反射鏡の多層構造を構成する層の層数または層のペアのペア数が変化する構造を有する
    ことを特徴とする回折光学素子。
  2. 前記光導波路の層構造を構成する材料系は、使用波長における屈折率の異なる少なくとも2種類の材料から選択された3つの材料を含み、
    第1の材料が前記光導波路の前記コア層に用いられ、
    前記上部ブラッグ反射鏡および前記下部ブラッグ反射鏡の多層構造において、
    前記コア層に隣接する層を構成する第2の材料は、前記第1の材料と屈折率が異なるものが選択され、
    前記コア層に隣接しない層を構成する第3の材料は、前記第1の材料と同じ種類であっても良い前記第2の材料と異なる屈折率を有する材料が選択される
    ことを特徴とする請求項記載の回折光学素子。
  3. 基板の上に形成された光導波路のコア層の上面および下面に上部ブラッグ反射鏡および下部ブラッグ反射鏡が設置された光導波路型の回折光学素子であり、被分析対象である光信号が、光ファイバを介して前記光導波路に対し所定の角度を持って入力される、所望の透過率分布を有するブラッグ反射鏡光導波路型の回折光学素子の製造方法であって、
    前記所望の透過率分布を実現するための前記上部ブラッグ反射鏡の光伝搬方向における層数またはペア数の変化を、
    前記回折光学素子の波長範囲、波長分解能および単色光に対するスペクトル形状を決定する第1手順と、
    前記第1手順で決定した波長範囲、波長分解能および単色光に対するスペクトル形状から、前記回折光学素子からの出力直後の光電界の分布を決定する第2手順と、
    前記回折光学素子の層構造として、前記光導波路の層構造を構成する材料系と使用波長範囲を制約条件として、前記上部ブラッグ反射鏡の層および前記光導波路のコア層の厚みを決める第3手順と、
    前記第3手順で決定した層構造に対して、前記上部ブラッグ反射鏡の前記層数またはペア数と透過率の関係を導出する第4手順と、
    前記第4手順で導出した前記層数またはペア数と透過率の関係から、前記第2手順で決定した前記光電界の分布を実現する前記上部ブラッグ反射鏡の前記層数またはペア数の伝搬方向に対する分布を決定する第5手順と
    で決定し、
    前記基板上に前記下部ブラッグ反射鏡、前記コア層をこの順で形成後、前記上部ブラッグ反射鏡に必要となる最大の均一の層数またはペア数で多層構造を成膜し、
    前記多層構造の上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィによりパターン化し、パターン化したレジストをマスクとして前記多層構造を1層分または1ペア分エッチングして除去した後、使用したレジストを除去する工程を、エッチングにより除去する領域を拡大しながら、前記上部ブラッグ反射鏡の所望の前記層数またはペア数の変化パターンが得られるまで繰り返して行い、前記所望の透過率分布を有する上部ブラッグ反射鏡を形成する
    ことを特徴とする回折光学素子の製造方法。
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