JP2021113898A - 透過型レリーフ回折格子素子 - Google Patents

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Yoshiaki Ota
圭亮 太田
祥子 常喜
Sachiko Joki
祥子 常喜
真児 折原
Shinji Orihara
真児 折原
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Abstract

【課題】 位相制御層を無機材料で形成した構造の信頼性の高い透過型のレリーフ回折格子素子を提供し、さらに回折効率の点でも優れた性能を有する透過型のレリーフ回折格子素子を提供する。【解決手段】 光の回折を利用して光を波長に応じた向きに透過させる透過型レリーフ回折格子素子において、透明な基板1上に形成された格子層2は、酸化シリコン製のグリッド21が周期的に配設された微細構造を有し、各グリッド21の間のギャップ20は材料が充填されていない空洞である。各グリッド21は、基板1側の辺211が長く基板1とは反対側の辺212が短い台形状の断面形状を有し、各グリッド21の基板1側の辺211は互いに離間している。【選択図】 図1

Description

この出願の発明は、透過型のレリーフ回折格子の技術に関するものである。
回折格子は典型的な分散素子であり、分光用その他の用途で盛んに使用されている。代表的な回折格子は、刻線型の反射型回折格子である。この種の反射型回折格子は、透過型に比べて一般的に損失が少なく、内部迷光の影響がないといった長所を有する。しかしながら、組み込み先の光学系や装置の小型化という点では透過型の方が優れている。透過型の回折格子は、コリメータや結像光学素子を近傍に配置することができ、全体の小型化に貢献する。
特開昭63−74014号公報
http://www.hanamuraoptics.com/device/WasatchPhotonics/Wasatch_Photonics_Tranmitting_VPHG.htm
上述した反射型回折格子は、メカニカルな製造方法が採用されており、高い形状精度を得ることが難しい。このため、回折効率の向上に限界がある。透過型の回折格子についても、モールディングのようなメカニカルな製造方法が採用されることが多く、同様の課題がある。
上述した従来の一般的な回折格子は振幅型というべきものであるが、近年、位相型の回折格子が盛んに研究され、一部が実用化されている。位相型回折格子は、伝搬する光の位相を変化させる部位を周期的に配した構造とし、0次光を抑制して回折作用を得る素子である。周期構造としては、素子を構成する基板の表面に微細な凹凸形状を設けた構造のレリーフ型や、周期的に屈折率が異なる領域を基板内に形成した構造の屈折率変調型が知られている。
また位相型回折格子として、ホログラフィを利用して作製される位相型ホログラフィック回折格子が知られている。位相型ホログラフィック回折格子もレリーフ型と屈折率変調型とがあるが、屈折率変調型のもの(体積位相型ホログラフィック回折格子、非特許文献1)は、レリーフ型に比べて高い回折効率を発揮することから、天文学やハイパースペクトルイメージング等の用途で使用されている。
体積位相型ホログラフィック回折格子(Volume Phase Holographic Grating, VPHG)は、ガラス基板にサンドイッチされた状態で重クロム酸ゼラチンのような有機感光材料で感光層を設け、感光層に対して二光束干渉法により干渉縞を投影して屈折率変調を施すことで製作される素子である。VPHGは、このような光学的なプロセスで製作される素子であるため、形状精度が高く、回折効率の大幅な向上が可能な素子となっている。
しかしながら、VPHGのように有機材料で位相制御層(周期的に位相を変化させる層)を形成した構造では、製品の信頼性の点では問題が生じ得る。例えば、湿度の高い環境で使用される場合、吸湿によって特性が変化し得る。また、強い光の照射を長期間受ける結果、劣化する場合もあり得る。したがって、無機材料で位相制御層を形成した構造とすることが望ましい。
また、素子の汎用性のためには、より広い波長範囲に亘って高い回折効率が得られるようにすることが重要である。そして、製造プロセスの観点では、多少の寸法のバラツキがあっても高い回折効率が発揮されることが重要である。
本願の発明は、これらの課題を解決するために為されたものであり、位相制御層を無機材料で形成した構造の信頼性の高い透過型のレリーフ回折格子素子を提供し、さらに回折効率の点でも優れた性能を有する透過型のレリーフ回折格子素子を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、この出願の発明は、光の回折を利用して光を波長に応じた向きに透過させる透過型レリーフ回折格子素子であって、透明な基板と、基板上に形成された格子層とを備えている。格子層は、酸化シリコン製のグリッドが周期的に配設された微細構造を有しており、各グリッドの間のギャップは材料が充填されていない空洞である。各グリッドは、基板側の辺が長く基板とは反対側の辺が短い台形状の断面形状を有し、各グリッドの基板側の辺は互いに離間している。
また、上記課題を解決するため、透過型レリーフ回折格子素子は、グリッドの基板側の辺の長さをx、グリッドの基板とは反対側の辺の長さをy、グリッドの配設における周期をpとしたとき、y/xは、−4.26(x/p)+3.06≦y/x≦−2.08(x/p)+2.44を満足するという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、透過型レリーフ回折格子素子は、y/xが0.1以上又は0.2以上であり得る。
以下に説明する通り、この出願の発明に係る透過型レリーフ回折格子素子によれば、格子層に有機材料を使用していないので、製品の高信頼性化に貢献する。即ち、湿度や温度等の点で厳しい環境下で使用されたり、強い光の照射を長期間受ける条件で使用されたりした場合でも劣化が少なく、品質の良い回折光を長期間得ることができる。このため、組み込み先の製品の信頼性を高く維持することができる。そして、各グリッドの断面形状が台形状であるため、より広い波長範囲に亘って高い回折効率が得られ、また製造の際の多少の寸法のバラツキにかかわらず安定して高い回折効率が得られる。
また、グリッドの基板側の辺の長さをx、グリッドの基板とは反対側の辺の長さをy、グリッドの周期をpとしたとき、y/xは、−4.26(x/p)+3.06≦y/x≦−2.08(x/p)+2.44を満足する構成としておくと、より高い回折効率が得られる。
また、y/xが0.1以上又は0.2以上としておくと、上記効果がより確実に得られる。
実施形態の透過型レリーフ回折格子素子の断面概略図である。 実施形態の透過型レリーフ回折格子素子の斜視概略図である。 実施形態の透過型レリーフ回折格子素子の動作原理について示した概略図である。 シミュレーション実験において前提条件とした酸化シリコンの屈折率を示した図である。 シミュレーション実験の結果を示した概略図である。 シミュレーション実験の結果を示した概略図である。 実施形態の透過型レリーフ回折格子素子の製造方法を示した概略図である。
次に、この出願の発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
図1及び図2は、実施形態の透過型レリーフ回折格子素子の概略図であり、図1は断面概略図、図2は斜視概略図である。
実施形態のレリーフ回折格子素子は、光の回折を利用して光を波長に応じた向きに透過させる透過型の回折格子素子である。この回折格子素子は、透明な基板1と、基板1上に形成された格子層2とを備えている。尚、「回折格子素子」という用語は、一般的に使われている「回折格子」という用語と同様の意味であるが、格子層という部分を備えているので、混乱を避けるために「回折格子素子」と言い換えている。
基板1は、対象波長(回折を利用して所望の向きに進ませる光の波長)について透明な材料で形成されたものである。基板1の材料は無機材料であることが好ましく、例えば石英ガラスが使用される。溶融石英ガラス製の他、合成石英ガラス製の基板1が使用されることもある。尚、基板1の厚さはmmオーダーである場合が多く、図1等はこの厚さを忠実に表したものではない。
この回折格子素子は位相型であるレリーフ回折格子であり、格子層2は、基板1の面内の方向において周期的に位相を変化させて0次光を抑制しつつ回折作用を得るための層である。格子層2は、ギャップ20に対して屈折率差を持つグリッド21を周期的に配した微細構造とすることで形成されている。
ギャップ20には材料は充填されておらず、空気又は真空の屈折率である。各グリッド21の材料には、ギャップ20に対して屈折率差を有する材料として酸化シリコンが使用されている。各グリッド21は、後述するように堆積膜をエッチングすることで形成されており、アモルファスの状態である。
この実施形態では、対象波長は790〜890nmの波長域となっている。この波長域において酸化シリコンの屈折率(屈折率の実部)は1.4程度であり、空気又は真空であるギャップ20に対して屈折率差が存在する。
図2に示すように、基板1に対して平行な面内では、格子層2は、いわゆるラインアンドスペース(L&S,Line and Space)の構造となっている。そして、図1及び図2に示すように、各グリッド21は、長手方向に垂直な面の断面の形状が台形となっている。より具体的には、各グリッド21は、基板1側の辺が長く、基板1とは反対側の辺が短い台形状の断面形状となっている。以下、基板1側の辺211を底辺と呼び、反対側の辺212を上辺と呼ぶ。図1及び図2に示すように、この実施形態では、各グリッド21は、両側の側辺(斜辺)213は基板1に垂直な中心線に対して線対称となっており、同様の傾斜角度となっている。尚、「底辺」、」「上辺」は、説明の便宜上であり、製品の使用状態において下側、上側に位置することを限定する趣旨ではない。
このような実施形態の透過型レリーフ回折格子素子の動作原理について、図3を参照して説明する。図3は、実施形態の透過型レリーフ回折格子素子の動作原理について示した概略図である。
図3に示すように、回折格子素子に対して入射角度αで光L1が入射する。このとき、高い効率で出射回折光を得るためには、入射角度αに対して以下の式1を満たす必要がある。式1において、nは雰囲気の屈折率、pは格子周期、λは光の波長である。
Figure 2021113898
一方、回折格子素子において、以下に式2として示す回折格子方程式が成立する。式2において、βは出射回折光の角度、mは回折光の次数(整数)である。
Figure 2021113898
式1と式2から、出射回折光の角度βについて、以下の式3が成り立つ。
Figure 2021113898
|sinβ|≦1であるから、式3より、次数mは以下の式4の条件を満たす整数となる。
Figure 2021113898
式4において、ある条件ではαが存在し得ない場合がある。例えば、例えばn=1(空気)、p=0.1λとすると、αはsinα=5を満たさなければならないが、そのようなαは存在しない。また、n=1、p=0.5λとすると、α=90°という解になるが、これは光が水平に入射する状態を表しており、光学配置としては実現できない。逆に言えば、式4が成立するαが存在していれば、回折格子として機能することになる。例えば、n=1、p=λとすると、αはsinα=1/2を満たしていればよい。即ち、α=30°が入射光の条件となる。
このようにある角度αで光L1が入射すると、式2の関係を満たす角度βで回折光L2が出射する。つまり、透過した光L2は、波長λに応じた向き(出射角度β)で進んでいく。この際、格子周期pを光の波長程度まで小さくすればm=0,1となり、m=0の光(0次光)を抑制すれば、効率良く1次回折光を取り出すことができるようになる。
尚、ギャップ20に対する屈折率差は、概ね0.3以上あると好ましく、ギャップ20が空気である場合、グリッド21の屈折率は1.3以上ということになる。
実施形態の透過型レリーフ回折格子素子が前述したように各グリッド21の断面形状を台形状とすることは、発明者が行った研究の結果に基づいている。以下、この点について説明する。
特許文献1に開示されているように、従来知られているレリーフ回折格子は、グリッドの断面形状が長方形であるか又は三角形であるかのいずれかである。断面三角形状のグリッドである場合、振幅型の刻線回折格子(ブレーズド回折格子)と同様、各三角形状は底辺においてつながっており、離間していない。
このようなレリーフ回折格子は、各グリッドの配設周期(格子周期、図1にpで示す)を対象波長に対して適宜選定することで0次回折光が抑制され、所望の回折効率が得られる。この際、特許文献1に示されたように、グリッドの断面形状は方形(方形型)か又は三角形(三角形型)であるが、発明者が行ったシミュレーション実験によると、各グリッド21の断面形状を台形とし、且つ底辺211を互いに離間させた構造とすると、より広い範囲に亘って高い回折効率が得られることが判ってきた。
図4〜図6は、このシミュレーション実験に示す図である。シミュレーション実験では、上記のように基板1は石英ガラス製、各グリッド21は酸化シリコン(アモルファス)製とし、固定された格子周期pに対してグリッド21の底辺211と上辺212の幅を順次変更した条件にて回折効率をシミュレーションにより計算した。シミュレーションにはRCWA法が使用され、市販のソフトウェアにより回折効率が計算された。尚、ここでの回折効率は、いわゆる絶対回折効率であり、入射光強度に対する回折光強度の比である。このシミュレーション実験では、TE波とTM波の二つの偏光光について回折効率を計算し、さらにその平均値を計算した。
図4は、回折効率をシミュレーションする上で前提とした酸化シリコンの屈折率を示した図である。図4において、nは屈折率の実部、kは虚部(消衰係数)である。
また、このシミュレーション実験では、790〜890nmの範囲内の波長の光について用いる回折格子素子を想定した。「790〜890nmの範囲内の波長の光」とは、790〜890nmの範囲内の全ての波長の場合もあるし、範囲内のいずれかの波長のみを対象とする場合もある。格子周期pは、対象波長に一致又は近いことが好ましく、この例では833nmとしている。
図5には、一例としてグリッド21の高さ(図1にhで示す)を1400nmとし、光を840nmの単一波長とした場合のシミュレーション実験の結果が示されている。入射角αは、基板1に垂直でグリッド21の長さ方向に沿った面に対して30°であるとした。図5において、横軸は、格子周期pに対するグリッド21の底辺211の長さxの比(x/p)である。縦軸は、底辺211の長さxに対する上辺212の長さyの比(y/x)である。pは一定であるが、x,yを順次変更し、回折効率が計算された。
図5において、60%以上の回折効率が得られた条件がグレースケール(白黒の濃淡)で表されている。より濃い色はより高い回折効率を意味する。
図5において、縦軸の値が1のところは、y/x=1であるから、従来の方形型の格子層の場合である(右端のx/p=0を除く)。また、y/x=0でx/p=1の条件は、上辺の長さyがゼロで底辺の長さxが格子周期pに一致しているから、従来の三角形型の格子層の場合である。
レリーフ回折格子素子では、対象波長に対して格子周期pを適宜選択することで所望の回折効率が得られる。図5に示す例では、方形型の格子層の場合(y/x=1の場合)、x/pが0.3〜0.75の範囲で60%超の回折効率が得られている。したがって、この程度の範囲内で格子周期pが選択される。
ここで興味深いことは、それより下側のy/x<1の範囲でも60%以上の高い回折効率が得られることが示されており、且つその範囲が横軸方向でより広くなっていることである。即ち、60%以上の回折効率が得られるx/pの範囲が従来の方形型の格子層の場合より広くなっている。
格子周期pは対象波長に応じて選択されるから、高い回折効率が得られる範囲が広がるということは、逆に言えば、高い回折効率が得られる波長範囲が広がることを意味する。つまり、広い波長範囲に亘って高い回折効率が得られる回折格子素子が提供されるということである。また、高い回折効率が得られるx/pの範囲が広がるということは、製造の際にxやpが多少ばらついたとしても性能には影響が出ないことを意味し、性能の安定性、再現性という意味でも大きな意義がある。実施形態のレリーフ回折格子素子が台形型の各グリッド21を採用しているのは、上記のような知見、意義に基づいている。
図6には、同一の条件でグリッド高さhを変えた場合の各結果が示されている。「h=」で示された数値がグリッド高さである。
図6の(1)〜(3)にそれぞれ示されているように、グリッド高さhを変えたシミュレーシ実験においても、60%以上の回折効率が得られる範囲は上端の方形型の格子層より下側において広がっており、台形型の格子層の方が汎用性の点で優れていることを示している。
各グリッド21を断面台形としておくことで高回折効率の条件が広がる理由としては、レリーフ回折格子の作用がグリッド21の高さ方向で分布することによると推測できる。つまり、ギャップ20の幅ないしグリッド21の幅がグリッド21の高さ方向で異なることになるので、期待される回折作用が高さ方向のいずれかの位置で生じることになり、このために高回折効率のx/pの範囲が広がるものと推測できる。
尚、グリッド高さh=2000nmを超える条件については、図示を省略するが、同様の結果が得られている。但し、hが2000nmを超える場合、各グリッド21はより高アスペクト比の断面構造となるので、製造上の困難性が増したり、機械的強度が低下したりする欠点がある。したがって、hは2000nm以下とすることが好ましい。尚、アスペクト比は、グリッド21の幅に対する高さhの比である。
図5及び図6において、60%以上の回折効率が得られる範囲は概ね共通している。数式で示すと、図5に示すように、 −4.26(x/p)+3.06≦y/x≦−2.08(x/p)+2.44の範囲となる。また、図示は省略するが、70%以上の回折効率が得られる範囲は、−3.52(x/p)+2.83≦y/x≦−2.16(x/p)+2.40、80%以上の回折効率が得られる範囲は、−3.15(x/p)+2.79≦y/x≦−2.61(x/p)+2.58となる。
尚、図5及び図6の各グラフにおいて、下端付近の領域では、高い回折効率が得られる領域が狭くなる傾向があり、これは図5の例(h=1400nm)において顕著である。図6の各例でも、下端付近では90%以上の高い回折効率が得られる領域が狭くなっている。したがって、下端付近の領域の条件は回避することが望ましい。具体的には、y/xが0.1未満又は0.2未満の条件は回避することが望ましい。
このように、実施形態の透過型レリーフ回折格子素子によれば、各グリッド21が無機材料である酸化シリコンで形成されているので、製品の高信頼性化に貢献する。即ち、湿度や温度等の点で厳しい環境下で使用されたり、強い光の照射を長期間受ける条件で使用されたりした場合もで劣化が少なく、品質の良い回折光を長期間得ることができる。このため、組み込み先の製品の信頼性を高く維持することができる。そして、各グリッド21の断面形状が台形状であるので、より広い波長範囲において高い回折効率を得られたり、製造上の寸法のバラツキにかかわらず高い回折効率が得られたりする優れた素子が提供される。
尚、基板1が石英ガラス製である点は、酸化シリコンである各グリッド21との密着性を高くする効果を有し、製品の機械的安定性を高める意義を有する。
次に、このような実施形態の透過型レリーフ回折格子素子の製造方法について説明する。図7は実施形態の透過型レリーフ回折格子素子の製造方法を示した概略図である。
図7(1)に示すように、基板1上にグリッド21の材料(酸化シリコン)で格子層用膜3を作成する。作成方法は、スパッタリング、ALD(原子層堆積法)、ゾルゲル法、CVD、メッキ等、任意のものを採用し得る。また、別の基板を貼り合わせ、研磨して所定の厚さとする方法でも良い。いずれにしても、格子層用膜3の厚さは、作成する回折格子素子の各グリッド21の高さに一致しているか、又はそれより少し厚い厚さである。
次に、レジストを塗布してフォトリソグラフィによりパターニングし、図7(2)に示すようにレジストパターン層4を形成する。レジストパターン層4は、形成する格子層2のラインアンドスペースと同様の縞状である。フォトリソグラフィにおいては、必要な微細構造が得られる限り、種々の露光方法を採用することができる。例えば、g線、i線、エキシマ光による露光、電子ビーム又はレーザーによる直接描画露光、二光束干渉露光、タルボ干渉露光等を採用することができる。
次に、図7(3)に示すように、レジストパターン層4をマスクにしてドライエッチングを行い、格子層2を形成する。ドライエッチングは、反応性イオンビーム法のような異方性エッチングである。その後、図7(4)に示すように、レジストパターン層4をアッシング等により除去する。これにより、実施形態の透過型レリーフ回折格子素子が得られる。尚、マスクには、レジストの他、格子層用膜3の材料に対して十分なエッチングレートの差が得られるものであれば、他の任意の材料を使用することができる。
図7(3)のエッチングの際、エッチャントを引き込む電界の強度を調節したり、圧力を調節したりすることで、エッチング終了後の各グリッド21の各側辺213を任意の角度にすることができる。これは、各グリッド21の底辺211の長さx、上辺212の長さyを任意に調整できることを意味する。
このようにして製造される実施形態の透過型レリーフ回折格子素子は、光が所定の角度で入射する姿勢で配置される。そして、所定の角度で出射する回折光が利用される。尚、図3では、光が基板1とは反対側から格子層2に入射する状態が描かれているが、基板1の側から入射して格子層2を透過するよう配置される場合もあり得る。
いずれにしても、実施形態の透過型レリーフ回折格子素子は、上記のように光学的なプロセスにより格子層2をパターン化するので、高い形状精度が実現でき、この点でも高い回折効率が期待される。
このような実施形態の透過型レリーフ回折格子素子は、種々の用途、機器に利用できるが、例えば、OCT(光コヒーレンストモグラフィ)機器に利用することができる。具体的には、FD(Fourier Domain)−OCTにおいて、参照光と対象物からの光との干渉光が入射する位置に透過型レリーフ回折格子素子を配置し、出射する回折光が入射する位置にラインセンサを配置する。回折光は波長に応じて異なる向きに進むので、ラインセンサの各ピクセルには波長毎の光が入射し、干渉光のスペクトルが得られる。
また、別の用途として、実施形態の透過型レリーフ回折格子素子は、レーザーの波長を可変(チューナブルレーザー)にしたり、安定化(波長安定化レーザー)させたりする目的で使用することができる。例えば、実施形態の透過型レリーフ回折格子素子を外部共振器に組み込み、出射する回折光を共振させる構成としておき、回折格子素子の姿勢を変化させることで出射波長を可変とすることができる。
いずれの利用例においても、実施形態の透過型レリーフ回折格子素子は、格子層2に有機材料を使用していないので、製品の高信頼性化に貢献する。即ち、湿度や温度等の点で厳しい環境下で使用されたり、強い光の照射を長期間受ける条件で使用されたりした場合もで劣化が少なく、品質の良い回折光を長期間得ることができる。このため、組み込み先の製品の信頼性を高く維持することができる。
上記実施形態の透過型レリーフ回折格子素子において、入射側や出射側に任意の機能を有する層が形成されることがあり得る。例えば、入射面に反射防止膜を設けたり、入射面又は出射面に偏光ビームスプリッター膜を設けたりすることがあり得る。
1 基板
2 格子層
20 ギャップ
21 グリッド
211 底辺
212 上辺
213 側辺
3 格子層用膜
4 レジストパターン層
p 格子周期

Claims (3)

  1. 光の回折を利用して光を波長に応じた向きに透過させる透過型レリーフ回折格子素子であって、透明な基板と、基板上に形成された格子層とを備えており、
    格子層は、酸化シリコン製のグリッドが周期的に配設された微細構造を有しており、
    各グリッドの間のギャップは材料が充填されていない空洞であり、
    各グリッドは、基板側の辺が長く基板とは反対側の辺が短い台形状の断面形状を有し、各グリッドの基板側の辺は互いに離間していることを特徴とする透過型レリーフ回折格子素子。
  2. 前記グリッドの前記基板側の辺の長さをx、前記グリッドの前記基板とは反対側の辺の長さをy、前記グリッドの配設における周期をpとしたとき、y/xは、
    −4.26(x/p)+3.06≦y/x≦−2.08(x/p)+2.44
    を満足していることを特徴とする請求項1記載の透過型レリーフ回折格子素子。
  3. 前記y/xは0.1以上又は0.2以上であることを特徴とする請求項2記載の透過型レリーフ回折格子素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023083110A1 (zh) * 2021-11-09 2023-05-19 深圳迈塔兰斯科技有限公司 超透镜增透膜的设计方法、装置及电子设备

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