JP6455128B2 - パーライトレール及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、重荷重鉄道で使用されるレールにおいて、頭部の耐摩耗性と延性を同時に向上させることを目的としたパーライトレールに関するものである。
海外の重荷重鉄道では、鉄道輸送の高効率化を図るため、貨物の高集積化を進めており、特に急曲線のレールでは、G.C.部や頭側部の耐摩耗性が十分確保できず、磨耗によるレール使用寿命の低下が問題となってきた。このような背景から、現用の共析炭素鋼含有の高強度レール以上の耐摩耗性を有するレールの開発が求められている。
一般に耐摩耗性はレールの硬度が高いほど優れることが知られている。しかし実際には、非特許文献1にあるように、使用中に表層部が加工硬化して硬度が上昇することによって耐摩耗性が向上することが報告されている。非特許文献2に記載されているように、単に初期硬度が高いマルテンサイト鋼やベイナイト鋼よりも、加工硬化特性に優れたパーライト鋼が、耐摩耗性に優れていることが示されている。しかしながら、仮に、初期材として同一硬度のパーライト鋼においても、どのような組織構造のパーライト鋼の耐摩耗性が優れるかについては示されておらず、レール製造における指針は不足していた。
一方で、特許文献1ではTi、V、Nb、Mo等の炭窒化物生成元素を一定量添加することで、オーステナイト相にこれらの炭窒化析出物粒子を生成し、熱間圧延時のオーステナイトの粒成長を抑制し微細粒とすることで、パーライト変態後のブロックサイズを微細化し、延性を向上させることが述べられている。さらに一方で、特許文献2ではW、V、Nb等を添加することで、パーライト変態後にフェライト相中に炭窒化物を析出させ、フェライト相を強化することにより、耐磨耗性を向上させる方法が開示されている。この2つの文献では、同種の元素を添加することで、レールの異なる特性を向上させることを示唆しているが、レール鋼の金属組織のどの部分が特性向上に寄与するかは示されておらず、レール製造における指針は不足していたままであった。
特開2010−1500公報 特開2007−51348公報
鉄と鋼 Vol.87(2001)P190 鉄と鋼 Vol.90(2004)P1023
このような背景から、重荷重鉄道で使用されるレール頭部の耐摩耗性と延性の同時に優れたパーライトレールと、それらの製造方法が求められていた。本発明は上述した問題点に鑑み案出されたものであり、その目的とするところは、重荷重鉄道のレールで要求される頭頂部の耐磨耗性を向上させることを目的としたものである。
本発明者は、パーライト鋼の磨耗表面に関し、詳細な組織学的な研究を重ねた結果、摩耗試験によって接触表面領域のパーライトラメラの間隔が狭くなり(パーライトラメラ微細化)、さらにそれらが微結晶化することによって、表面領域の硬度上昇が著しく大きくなり、その硬度上昇が大きいほど耐摩耗性が優れることを見出した。このラメラ微細化、微結晶化による硬度上昇は、パーライトラメラ中のフェライトラメラ(フェライト相)が軟質かつ延性に富むことによって、塑性変形が容易になり、パーライトラメラが微細化されやすくなることがわかった。これによってより大きな加工硬化が生じる。しかしながら、パーライト中のフェライト相は無加工材(初期レール)において100〜200nmと非常に微細であるため、マイクロビッカース試験はもちろん、ナノインデンテーションを用いても、フェライト相のみの硬度を正確に測定することは難しかった。なぜならば、仮に小さな荷重によって小さな圧痕を加えたとしても、転位の発生や集積等がラメラ界面で生じ、フェライト素地の正しい硬度は得られないためである。そこで、本発明者は、パーライト鋼におけるフェライトラメラ中の強化に寄与する析出物等を観察することで、実質的にフェライトの硬度と関連づけ、耐摩耗性との関係を見出した。
本発明は、前記課題を解決するために、以上の新知見に基づきなされたものであり、その要旨とするところは、以下の通りである。
(1)質量%で、C:0.65〜1.20%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%、Cr:0.02〜2.00%を含有し、さらに、V、Nb、Ti、Moの2種以上がそれぞれ少なくとも0.005%以上でV+Nb+Ti+Mo:0.02〜0.20%含有し、
さらに、B:0.0001〜0.0050%、Co:0.01〜2.00%、Ni:0.01〜3.00%、Mg:0.0005〜0.0300%、Ca:0.0005〜0.00150%、Al:0.005〜3.00%、フェライト相中に固溶したCu:0.25%以下のいずれか1種以上を含有し、
残部はFe及び不可避的不純物からなり、頭頂部の硬度が少なくとも340Hvである鋼レールにおいて、フェライト相中の10nm以下の炭窒化析出物粒子の個数密度が5×1015cm-3以下であることを特徴とするパーライトレール
(2)質量%で、C:0.65〜1.20%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%、Cr:0.02〜2.00%を含有し、さらに、V、Nb、Ti、Moの2種以上がそれぞれ少なくとも0.005%以上でV+Nb+Ti+Mo:0.02〜0.20%含有し、
さらに、B:0.0001〜0.0050%、Co:0.01〜2.00%、Ni:0.01〜3.00%、Mg:0.0005〜0.0300%、Ca:0.0005〜0.00150%、Al:0.005〜3.00%、フェライト相中に固溶したCu:0.25%以下のいずれか1種以上を含有し、
残部はFe及び不可避的不純物からなるレール用鋼片からパーライトレールを製造する際に、
仕上げ圧延を900〜950℃で行い、
20〜50℃/sの冷却速度で790〜820℃まで冷却し、
2〜10℃/sの冷却速度で730〜760℃まで冷却し、
5〜15℃/sの冷却速度でレール頭部をオーステナイト温度域から540〜380℃まで冷却することを、特徴とする(1)に記載のパーライトレールの製造方法
本発明によれば、パーライト組織の鋼レールにおいて耐磨耗性と延性に優れたレールを提供することが可能となる。すなわち、本発明は、フェライト相の素地の硬度を低く塑性変形しやすいものとし、摩耗時にラメラ微細化による加工硬化を生じやすくすることで表面硬度を大きくし、耐磨耗性に優れたレールを製造する方法を提示するものである。
レールパーライト組織中の析出粒子の分布を示す概略図である。 レールパーライト組織中の摩耗表面のL断面からのTEM写真である。 炭窒化析出物の個数密度と摩耗量の関係を示す図である。
本発明者は、パーライトレールにおける耐磨耗性が何によって強く影響を受けるかを調べるために、いろいろな成分、製法のパーライト鋼の転がり摩耗試験を行い、磨耗試験前の組織と摩耗試験後の摩耗組織を透過型電子顕微鏡(TEM)によって、組織変化と磨耗特性の関係を詳細に調べた。さらに、パーライト鋼中の微細な析出粒子を3次元アトムプローブ(3DAP)によって調べ、磨耗特性との関係を調べた。この方法は、鋼レールの構成原子を1個1個カウントし、元素種を割り出し、同時に鋼材中の存在位置を原子間隔レベルの空間分解能をもって調べることができるため、微細な析出物であっても観察することができる。これによって、磨耗試験前後のフェライト相中に存在する固溶原子とクラスタや析出物等の存在状態とその分布、個数密度を調べることができる。
図1はレールパーライト組織中の析出粒子や固溶原子の分布を示す図である。一般にパーライトラメラは、100〜200nmのフェライトラメラと10〜20nm幅のセメンタイトラメラから構成されている。同一のC量において、レールの硬度を上げるためには、パーライトラメラ間隔を小さくするか(微細化強化)、フェライト相の硬度を高くするかのどちらかである。セメンタイト相の硬度を上げる方法も考えられるが、すでに硬度はかなり高く、意図的にこの硬度をさらに上昇させることは実質的には困難である。後者のフェライト相(フェライトラメラ)の硬度を上げるためには、フェライト中にV、Ti、Nb、Mo等からなる炭窒化析出物や、Cu析出物等の微細な析出物粒子を高い個数密度で析出させ、析出強化機構によって強度を上げる方法がある。ここで、炭窒化物とは、炭化物と窒化物さらにそれらが混在したものをすべて含むものとする。
成分や熱処理等を工夫することによって、初期パーライトの硬度(強度)がほぼ同等でありながらフェライト素地の硬度が異なるパーライトレールを作製し、磨耗試験と組織解析からどのようなフェライト素地が耐磨耗性を向上させるかを調べた。耐磨耗性の定量評価には、西原式磨耗試験機を用い、接触面圧640MPa、すべり率20%にて、70万回の繰り返し回数での磨耗量を比較した。
図2に、耐摩耗特性が良好であったレール試料のころがり摩耗試験後の摩耗表面の断面TEM写真を示す。摩耗表面はすべり率によって発生する接線力により生じる摩擦力によって、転がり方向と反対方向に塑性変形を示している。ラメラは接触面にほぼ平行に塑性変形しており、表面のラメラ間隔は20nm以下に微細化していた。元々は150nmのラメラ間隔であったため、摩耗試験による塑性変形によって10分の1程度のラメラ間隔に減少したことがわかる(ラメラ微細化)。
図3は、10nm以下の炭窒化析出物の個数密度と摩耗量の関係を示す図である。ここで元材のビッカース硬度は340Hv以上のものを特定の硬度領域毎に比較して示した。析出粒子の存在の有無やその個数密度や大きさは3DAPによって調べた。フェライト相中の炭窒化析出物粒子の個数密度が5×1015cm-3より高い場合に、レール硬度にかかわらず、摩耗量が多いことがわかる。5×1015cm-3以下であれば、実質的に析出物を含まない場合に近い値を示していた。
この原因として、フェライト相中に高い個数密度の析出物が分散すると、フェライト相は粒子分散強化によって硬度が増加し、塑性加工性が低下し、さらに摩耗試験中によって転位が蓄積され破断の原因になり、摩耗しやすくなったものと考える。
一方Cu粒子などのように、軟質な粒子による析出強化では、Cu粒子もフェライト相と同様に塑性変形したため、摩耗性にはそれほど影響を与えないとの知見も得た。
すなわちパーライト鋼においては、炭窒化粒による硬質粒子の析出強化によってフェライト素地を硬化させることは好ましくなく、塑性変形を軟質なフェライト相で担いラメラ微細化によって加工硬化させることが耐摩耗性の観点から望ましい。
以下に本発明の限定範囲の理由を述べる。
(1)フェライト中の炭窒化析出物個数密度の限定理由
フェライト中に析出物粒子が存在すると、転位が析出物でピンニングを受けるために、降伏応力が増加する。これを析出強化(粒子分散強化)と呼ぶ。この場合、一般に析出物の個数密度が高いほど、降伏応力の増加は大きくなる。これは、転位が析出物と接触する間隔が小さくなるからである。一定量の析出物合金元素を含有した場合、大型の析出物が生成される場合は個数密度が小さくなるため、析出強化にはほとんど利かなくなる。析出物が微細な場合は、析出物個数密度も高くなるため、析出強化に有効に作用する。従って、本発明では10nm以下の微細な析出物の個数密度に注目した。ここで、析出物が板状の場合は、板面の直径、球状の場合は球の直径、棒状の場合は棒の長軸の長さとする。
硬度の大きな析出物粒子による析出強化量(MPa)は、レスリー鉄鋼材料学(丸善、1985年)P212ページに記載されているように、次の式により表わされる。
σ=(5.2/L)ln(X/(2.5×10-4)) (式1)
ここで、Lは粒子隙間間隔(m)、Xは析出粒の平均直径(m)である。この式で示させるように、析出強化量は、析出物個数密度が高くなることによって増加する。これは、析出強化量は析出物粒子の隙間間隔に反比例するためである。
この析出物個数密度が特定の値以上に高くなると、フェライト相の強度は大きく増大する。フェライト相はパーライト組織の塑性変形を担うため、フェライトの強度が増加しすぎると、塑性変形がし難くなり、磨耗によるラメラ微細化が生じ難くなる。従って、磨耗による表面硬度の増加(加工硬化)が生じ難くなり、耐摩耗性が低下する。従って、フェライト相が十分に塑性加工できるために、硬度に寄与する10nm以下の炭窒化析出物の個数密度を、5×1015cm-3以下とした。より好ましくは、1×1015cm-3以下と実質的にフェライト中に強化に作用する析出物粒子がほとんど存在しない場合とした。
(2)鋼化学成分の限定理由
本発明のパーライトレールの成分組成に以下の理由で限定を加える。なお、以下に示す「%」は特に説明がない限り「質量%」を意味するものとする。
Cは、パーライト変態を促進させて、かつ、耐磨耗性を確保する有効な元素である。C量が0.65%未満では、レールに要求される最低限の強度や耐磨耗性が維持できない。また、C量が1.20%を超えると、粗大な初析セメンタイト組織が多量に生成し、耐磨耗性や延性が低下する。このため、C添加量を0.65%〜1.20%に限定した。なお、C量を0.90%以上にすると、耐磨耗性がより一層向上し、レールの使用寿命がより一段と改善する。
Siは、脱酸材として必須の成分である。また、パーライト組織中のフェライト相への固溶強化によりレール頭部の硬度(強度)を向上させる元素である。さらに、過共析鋼において、初析セメンタイト組織の生成を抑制し、延性の低下を抑制する元素である。しかし、Si量が0.05%未満では、これらの効果が十分に期待できない。またSi量が2.0%を超えると、熱間圧延時に表面疵が多く生成することや、酸化物の生成により溶接性が低下する。さらに、焼入れ性が著しく増加し、レールの耐磨耗性や延性に有害なマルテンサイト組織が生成する。このためSi量を0.05〜2.0%に限定した。
Mnは、焼入れ性を高め、パーライトラメラ間隔を微細化することにより、パーライト組織の硬度を確保し、耐磨耗性を向上させる元素である。しかし、Mn量が0.05%未満では、その効果が小さくレールに必要とされている耐磨耗性の確保が困難となる。また、Mn量が2.0%を超えると焼入性が著しく増加し、耐磨耗性や延性に有害なマルテンサイト組織が生成しやすくなる。このため、Mn添加量を0.05〜2.0%に限定した。
Crは、平衡変態温度を上昇させ、結果としてフェライト組織やパーライト組織を微細化して高硬度化に寄与すると同時に、セメンタイト相を強化して、パーライト組織の硬度(強度)を向上させる元素であるが、Cr量が0.02%未満ではその効果は小さく、レール鋼の硬度を向上させる効果が見られなくなる。またCr量が2.00%を超える過剰な添加を行うと、焼入れ性が増加し、マルテンサイト組織が生成し、頭部コーナー部や頭頂部にマルテンサイト組織を起点としたスポーリグ損傷が発生し、耐表面損傷性が低下する。このため、Cr添加量を0.02〜2.00%に限定した。
さらに、本発明のパーライトレールには、V、Nb、Ti、Moの2種以上を含有するものとし、それらの合計を0.02〜0.20%に限定する。但し、複数元素添加においては、複合添加効果を発現するために、それぞれの元素は少なくとも0.005%以上とすることが好ましい。V、Nb、Ti、Moは、高温度に加熱する熱処理が行われる場合に、炭窒化物のピンニング効果による粒成長の抑制によって、オーステナイト粒を微細化し、それによってパーライト変態後のブロックサイズを微細化し、延性を向上させるのに有効な元素である。この効果は複合添加によってより顕著になる。これは、高温での炭窒化物の析出がより生じやすくなるか、または、ピンニング硬化が強まるためと考えられる。V+Nb+Ti+Moが0.02%未満ではその効果が十分に期待できず、パーライト組織の硬度の向上や延性の改善は認められない。一方、熱間圧延後の冷却過程でフェライト中に多量に微細な炭窒化物が析出してしまうと、不要な析出強化によってフェライト相の硬度が上昇してしまい、塑性変形能を低下し、磨耗性を低下させる原因になる。従って、0.20%を上限とした。このため、V+Nb+Ti+Mo添加量を0.02〜0.20%に限定した。
V、Nb,Tiは、Ac1点以下の温度域に再加熱された熱影響部において、比較的高温域で炭化物や窒化物を生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化や脆化を防止するのに有効な元素である。
また、Moは、Crと同様に、平衡変態温度を上昇させ、結果としてフェライト組織やパーライト組織を微細化にして高硬度化に寄与すると同時に、セメンタイト相を強化して、パーライト組織の硬度(強度)を向上させる元素である。
また、上記の成分組成で製造されるレールは、パーライトの組織微細化や強度の上昇、延性の向上、溶接熱影響部の軟化の防止、レール頭部内部の断面硬度分布の制御等を図る目的で、B、Co、Ni、Mg、Ca、Alの元素を必要に応じて添加する。
Bはオーステナイト粒界に鉄炭硼化物(Fe23(CB)6)を形成し、パーライト変態の促進効果により、パーライト変態温度の冷却速度依存性を低減させ、頭表面から内部までより均一な硬度分布をレールに付与し、レールを高寿命化する元素であるが、B量が0.0001%未満では、その効果が十分ではなく、レール頭部の硬度分布には改善が見られない。また、B量が0.0050%を超えると、粗大な鉄炭硼化物が生成し、延性や靭性の低下を招く。このため、B添加量を0.0001〜0.0050%に限定した。
Coは、固溶強化にはほとんど作用せずに、レール頭頂部の磨耗面において、車輪との接触により形成させる微細なフェライト組織をより一層微細化し、耐磨耗性を向上させる元素である。Co量が0.01%未満ではラメラ構造やフェライト粒径の微細化が図れず、耐磨耗性の向上効果が期待できない。またCo量が2.00%を超えると、パーライト組織の延性が著しく低下する。また、合金コストの増大により、経済性が低下する。このため、Co量を0.01〜2.00%に限定した。
Niは、パーライト組織中の延性を向上させ、Co添加による延性低下を抑制すると同時に、固溶強化により高硬度(強度)化を図る元素である。Ni量が0.01%未満ではその効果が著しく小さく、またNi量が3.00%を超えると、パーライト組織中のフェライト相の延性が著しく低下することや、パーライト組織中の耐磨耗性を大きく低下させる。このため、Ni添加量を0.01〜3.00%とした。
Mgは、OまたはSやAlと結合して微細な酸化物を形成し、レール圧延時の再加熱において、結晶粒の粒成長を抑制し、オーステナイト粒の微細化を図り、フェライト組織やパーライト組織の延性を向上させるのに有効な元素である。さらに、MgO、MgSがMnSを微細に分散させ、MnSの周囲にMnの希薄層を形成し、フェライトやパーライト変態の生成に寄与する。その結果、主にパーライトブロックサイズが微細化するので、Mgは、パーライト組織の延性を向上させるのに有効な元素である。しかし、Mg量が0.0005%未満ではその効果は弱く、Mg量が0.0300%を超えると、Mgの粗大酸化物が生成し、レールの靭性が低下すると同時に、粗大な析出物から疲労損傷が発生する。このため、Mg添加量を0.0005〜0.0300%に限定した。
Caは、Sとの結合力が強く、CaSとして硫化物を形成し、さらに、CaSがMnSを微細に分散させ、MnSの周囲にMnの希釈帯を形成し、フェライトやパーライトの変態の生成に寄与し、その結果、主に、パーライトブロックサイズを微細化することにより、パーライト組織の延性を向上させるのに有効な元素である。しかし、Ca量が0.0005%未満ではその効果が弱く、Ca量が0.00150%を超えると、Caの粗大酸化物が生成し、レールの靭性を低下させるため、Ca添加量を0.0005〜0.00150%に限定した。
Alは、脱酸材として有効な成分である。また、共析変態温度を高温側へ移動させる元素であり、パーライト組織の高硬度化(強度)に寄与する元素であるが、Al量が0.005%未満では、その効果が弱い。また、Al量が3.00%を超えると、鋼中に固溶させることが困難になり、粗大なアルミナ系介在物の数が少なく、レールの靭性が低下すると同時に、粗大な析出物から疲労損傷が発生する。さらに、溶接部に酸化物が生成し、溶接性が著しく低下するため、Al添加量を0.005〜3.00%に限定した。
Cuは、フェライト組織やパーライト組織に固溶または析出し、固溶強化や析出強化により、パーライト組織の硬度(強度)を向上させる元素であるが、反面、耐磨耗性を低下させる作用がある。パーライト組織中のフェライト相への固溶量が高いほど、耐磨耗性を低下させるが、フェライト相中の固溶量が0.25%以下であれば、実質的にこの影響は除去できる。前述したように析出粒子の場合は、軟質であるがゆえに、フェライト相中に析出した状態では摩耗性に悪影響は及ぼさない。一方で、鋼材のスクラップの再利用の観点からCuを含有する可能性は高く、さらにまた、固溶強化元素としての利用や耐表面損傷性の観点等から、意図的にCuを添加する場合もある。この意味で固溶Cu含有量を0.25%以下とした。
また、上記成分以外にレール鋼に含まれる元素として、P、SやNがある。
Pは、レール鋼の延性を劣化させる元素であり、0.035%を超えて含有すると、その影響が無視できなくなる。そのため、Pの含有量は0.035%以下とすると好ましい。より好ましくは、0.020%以下である。
Sは、主として介在物(MnS等)の形態で鋼中に存在し、鋼の脆化を引き起こす元素である。特に、S含有量が0.035%を超えると、脆化への悪影響を無視できなくなる。よって、Sの含有量は0.035%以下とすると好ましい。より好ましくは、0.020%以下である。
Nは、あえて添加する元素ではないが、0.0040%以上含有すると、溶鋼中で晶出した窒化物が粗大になり、レール圧延時の加熱段階でオーステナイト中に十分に固溶せず、熱間圧延中やその直後にオーステナイトの粒成長を抑制するための炭窒化物を析出できなくなる。また、フェライト域で微細析出物を形成することによって、析出強化によってレール硬度を増加させる場合がある。従って、N含有量は0.0040%未満が好ましい。
(3)レール頭頂部硬度の限定理由
レール頭頂部の硬度を少なくとも340Hvと限定した理由について説明する。本成分範囲において、硬度が340Hv未満になると、レール頭頂部の転がり面に塑性変形起因のフレーキング損傷や発生することや、重荷重鉄道での使用においては、耐摩耗性の確保が困難となり、レールの使用寿命が低減する。このため、レール頭頂部の硬度を少なくとも340Hvと限定した。一般には硬度が高いほど耐摩耗性には良好であるため、硬度の上限は特に規定しない。
上記のような成分組成で構成させるレール鋼は、転炉、電気炉などの通常使用される溶解炉で溶製を行い、この溶鋼を造塊・分塊法あるいは、連続鋳造法、さらに熱間圧延を経てレールとして製造させる。
本発明における好ましいレールの製造方法について述べる。すなわち、フェライト相中の10nm以下の炭窒化析出物の個数密度が5×1015cm-3以下であり、頭頂部の硬度が少なくとも340Hvであるパーライトレールである。
フェライト相中の10nm以下の析出物の個数密度を5×1015cm-3以下とする製法とし、さらに、頭頂部の硬度が少なくとも340Hvであるパーライトレールの製法は、例えば、以下のものである。
まずは、炭窒化物としてオーステナイト相中に析出し組織微細化に寄与する元素、Ti、Nb、V、Moなどの添加を必要最小限とする。しかし、これらの元素の添加が少ない場合は、オーステナイト粒のピンニングの効果が現れずパーライトブロックが微細化しないため、延性が低下する。従って、例えば、パーライト変態時の冷却速度を大きくしまた冷却終了温度をより低くして、フェライト相に実際に析出する時間を与えないか、熱延時にオーステナイト相中での析出を促し、変態前の固溶量を少なくして、フェライト相中での析出を少なくすることができる。
加熱温度の上限は特に規定しないが、あまり高温度にすると液相が現れてオーステナイト相が不安定になるため、温度は実質1350℃が上限となる。加熱保持後の熱間圧延では、完全なオーステナイトからパーライト変態させるため、圧延直後のレール頭部においてはAr1点以上の温度域とする。尚、再加熱してレールを製造する場合には再加熱されたレール頭部においてはAc1点+30℃以上の温度とする。好ましくは、仕上げ圧延を900〜950℃で行い、好ましくは、20〜50℃/sの冷却速度で790〜820℃まで水冷等によって急速冷却し(熱延直後冷却)、オーステナイト中の粒成長を抑制する。50℃/sより大きな冷却速度の実現は技術的に難しく、20℃/sよりも小さな速度では、粒成長の抑制効果は小さい。そこから、パーライト変態が始まる直前の温度域730〜760℃までを2〜10℃/sで徐冷することで(制御冷却前冷却)、オーステナイト中の炭窒化物析出を促進させることができる。これによって、V+Nb+Ti+Moの固溶量を減らし、パーライト変態後のフェライト中での炭窒化物の析出を抑制できる。これよりも小さな冷却速度では粗大なセメンタイトが生成し延性に悪影響を及ぼし、また、大きな冷却速度ではV+Nb+Ti+Mo固溶量を減らす効果は得られない。引き続き、レール頭部をオーステナイト温度域から好ましくは540〜380℃までの間を、好ましくは5〜15℃/sの冷却速度で制御冷却し、完全なパーライト組織を得る。制御冷却の冷却速度が速く、また終了温度をより低くすることが、フェライト相中の析出物生成の抑制には好ましい。制御冷却の冷却速度が速く、また終了温度をより低くすることが、フェライト相中の析出物生成の抑制には好ましい。しかし、この冷却速度が大き過ぎたり、または終了温度が低すぎる場合は、完全にパーライト変態せずに、耐摩耗性に劣るベイナイトが混在した組織となる。また、この冷却速度が小さ過ぎたり、または、終了温度が高すぎる場合は、パーライト変態が高温度側で進行するため、荒いパーライトとなってしまい、さらに、フェライト相中に、より多くの炭窒化物が析出することになる。実際には、V+Nb+Ti+Mo含有量やその元素種類、またCやNの含有量によって析出駆動力が異なるため、好ましい製法との対応は単純ではない。なお、制御冷却の方法については、例えば、空気や空気を主としミスト等を加えた冷媒媒体及びこれらの組み合わせにより、所定の冷却速度を得ることが可能である。ここで述べた製法は、一例であり、請求項で記述した組織の特徴を有するパーライトレールを限定するものではなく、他の製法で同様の組織の有するパーライトレールを得られたものであっても本発明に属する。
本発明レールの頭部金属組織はパーライト組織であるが、レールの成分系や熱処理製造方法によっては、パーライト組織中に面積率で、5%以下の微量な初析フェライト組織、初析セメンタイト組織、ベイナイト組織やマルテンサイト組織が混入することがある。しかし、これらの組織が混入しても、レール頭部の耐磨耗性及び延性には大きな影響を及ぼさないため、耐磨耗性及び延性に優れたパーライトレールの組織としては、5%以下の微量な初析フェライト組織、初析セメンタイト組織、ベイナイト組織やマルテンサイト組織の混在も含んでいる。言い換えれば、本発明レールの頭部金属組織は、95%以上がパーライト組織であれば良く、耐磨耗性や延性を十分に確保するためには、頭部金属組織の98%以上をパーライト組織とすることが望ましい。
次に本発明の実施例について説明する。
表1に供試レール鋼の鋼種A〜Nについて、化学成分の含有率を示す。表2に、鋼種A〜Nのいずれかからなる供試レール鋼(試験No.1〜25)の材料、製造条件、フェライト相中の析出状態、レールの特性と耐磨耗性試験の結果を示す。製造条件として冷却速度を示す。レール特性として、頭頂部硬度(Hv)(試験荷重98N)と引張試験による全伸び率を示す。耐磨耗試験として、70万回の摩耗試験における摩耗量(g)を示す。これら鋼レールは、転炉で成分調整された後、連続鋳造法で鋳造したレール圧延用鋼片を加熱温度1250℃x1時間以上で加熱した。加熱保持後の熱間圧延に際して、仕上圧延は900〜950℃で1パス当り断面減少率10%で行った。
熱延終了温度920℃にて、20〜40℃/sの冷却速度で800℃まで急速冷却し、1〜15℃/sの冷却速度で740℃まで冷却し、このオーステナイト温度域から、冷却速度1〜16℃/秒で制御冷却し、レールの表面温度が600〜370℃になった時点で制御冷却を終了したレール試料を下記の方法で特性評価した。比較のため、熱間圧延後に10℃/sの冷却速度で740℃まで徐冷し、その後、制御冷却したレール試料も含める。
レール頭部磨耗評価には、西原式磨耗試験を行った。試験条件は次の通りである。
試験機:西原式磨耗試験機
試験片形状:円盤状試験片(外径:30mm、厚さ:8mm)
試験片採取位置:レール頭部表面下2mm
試験荷重:684N(接触面圧640MPa)
すべり率:20%
相手材:パーライト鋼(360Hv)
雰囲気:大気中
冷却:圧搾空気による強制冷却(流量:100NI/min)
繰返し回数:70万回
磨耗量は、試験後の試験片の質量の減少分として求めた。磨耗量が1gを下回る試料を耐摩耗性が良好とした。さらに摩耗量が0.8gを下回る試料をより良好とした。
さらに、レール頭部から試験片を切り出し、引っ張り試験から全伸びを見積もった。条件を示す。
試験機:万能小型引張試験機
試験片形状:JIS4号相似
平行部長さ:30mm、平行部直径:6mm、伸び測定評点間距離:25mm
試験片採取位置:レール頭頂部表面下5mm
引張速度:10mm/min、試験温度:常温
全伸び値が10%以上の場合を良好とした。
頭頂部の硬度は、1kgの荷重を用いて、ビッカース硬度測定から求めた。場所は頭頂部表面下5mm位置とした。ばらつきがあるため、5点の平均とした。340Hv以上の値を良好とした。
フェライト相中の析出物種類とその個数密度は以下のようにして見積もった。試料のパーライトレールの頭頂部から、FIB加工によって曲率半径30〜80nmの針試料を作製した。3DAPによって500〜1000万原子の測定を複数回行った。例えば、1000万原子の測定の場合は、イオン検出器の検出率(〜0.35)で割り、その値をFeの原子密度(〜85個数/nm3)で割った値が、測定体積V(nm3)とみなせる。フェライト相中の個数密度を求めるためには、測定視野内にセメンタイト相が含まれている場合は、この体積分を除いてフェライト相の測定体積を求める。この測定体積内にn個の析出物が観察された場合は、その個数密度は、n/V(nm-3)として求まる。表2のように、単位をcm-3に変換する場合にはこの値に1021を掛ければよい。精度を高めるために、セメンタイトラメラを横断するように測定を行い、複数回の測定を行った。例えば、フェライト中3000万原子の相当する体積の測定で、1個の析出物が観察された場合は、1.0×1015(cm-3)の個数密度となる。またこのような測定によって、析出物が観察されなかった場合は「―」と表記した。従って観察されない場合は、1.0×1015(cm-3)以下の個数密度とみなしてよい。観察された炭窒化物種類としては、主な組成成分で表した。
また、研磨表面のナイタールエッチングによって、各相の分率を調べた。第2相が面積率で5%を上回る場合に、表に記述した。
表2に示されるように、本発明の所定成分内にあり、頭頂部硬度が340Hv以上あり、かつ、フェライト相中の10nm以下の炭窒化析出物粒子の個数密度が5×1015cm-3以下である鋼レールにおいて、全伸び率は10%以上となり、摩耗量が1gを下回り、延性及び耐摩耗性は良好となっている(試験No.2、5、8、10、11、12、14、16、17、18)。
試験No.1においては、鋼レールの成分のうち、C量が0.55%と規定値0.65%に満たなかったため、初析フェライトが混在し、頭頂部硬度が低く、フェライト相中の炭窒化物の個数密度が4×1015cm-3と良好であるが、耐摩耗性が低下した。
試験No.3においては、V+Nb+Ti+Moの量が0.0011%と本発明の範囲(0.02〜0.2%)に満たなかったため、オーステナイト粒の粗大化を抑制できず、パーライトブロックサイズが大きくなったため、全伸びが低下した。一方、頭頂部硬度が高く、フェライト相中に炭窒化物は実質的に存在せず、耐摩耗性は良好であった。
試験No.4においては、V+Nb+Ti+Moの量が0.33%と本発明の範囲(0.02〜0.2%)を上回ったため、オーステナイト粒の粗大化は抑制でき全伸びが少し上昇したが、フェライト相中に4×1017cm-3の高い個数密度の炭窒化物が生成したため、フェライト相が大きく強化され、耐摩耗性は著しく低下した。
試験No.6、No.7、No.9においては、含有成分はすべて規定内にあるが、フェライト相中の炭窒化物の個数密度が規定値以上となり、フェライト相が大きく強化されたため、耐摩耗性は低下した。冷却速度が小さいまたは制御冷却終了温度が高いため、パーライト変態の直後に、フェライト相中に多くの炭窒化析出物が生成したと考えられる。
試験No.13、No.15においては、含有成分はすべて規定内にあるが、金属組織が完全なパーライトではなくベイナイトも含まれたため、パーライト中のフェライト相中に炭窒化物が実質的に存在しなくとも、耐摩耗性は低下した。冷却速度が大きいまたは制御冷却終了温度が低いため、パーライト変態が完全に行われず、ベイナイトがかなりの量生成したものである。
試験No.19においては、鋼レールの成分のうち、C量が1.32%と規定値(1.20%)を上回り、初析セメンタイトが混在し、頭頂部硬度は410Hvと高く、フェライト相中の炭窒化物の個数密度が5×1015cm-3と比較的良好であるが、延性が低下した。
試験No.20においては、鋼レールの成分のうち、Si量が2.10%と規定値(2.00%)を上回り、頭頂部硬度は390Hvと高く、フェライト相中の炭窒化物は実質的に存在しないが、耐摩耗性が低下した。
試験No.21においては、鋼レールの成分のうち、Mn量が2.35%と規定値(2.00%)を上回り、頭頂部硬度は390Hvと高く、フェライト相中の炭窒化物は実質的に存在しないが、耐摩耗性が低下した。
試験No.22においては、鋼レールの成分のうち、Cr量が2.05%と規定値(2.00%)を上回り、頭頂部硬度は400Hvと高く、一部にマルテンサイトが入り、フェライト相中の炭窒化物の個数密度が3×1015cm-3と良好であるが、耐摩耗性が低下した。
試験No.23においては、V+Nb+Ti+Moの量が0.18%と本発明の範囲(0.02〜0.2%)にあるが、Vの単独添加である。複合添加の場合に比べ、オーステナイト粒の粗大化はあまり抑制させず全伸びが低下し、フェライト相中に1×1016cm-3の高い個数密度のVC析出物が生成しフェライト相が強化され、耐摩耗性は著しく低下した。
試験No.5、17については、原料からの混入により不可避不純物の範囲内でCuが含有されているが、フェライト相中に固溶したCuは本発明範囲内であり、結果は良好であった。
試験No.24及び試験No.25においては、熱延終了温度から30℃/sの冷却速度で800℃まで急速冷却した後、800℃から740℃までの冷却速度が好ましい条件から外れた場合の比較例である。パーライト変態前の冷却速度が小さすぎる場合は、オーステナイト中の炭窒化物の析出が進み、パーライト変態後のフェライト中の微細析出を抑制する効果はあるが、パーライトラメラが荒くなり頭頂部硬度が低下し、耐摩耗性が低下した。パーライト変態前の冷却速度が大きすぎる場合は、オーステナイト中の炭窒化物の析出が抑制されたため、パーライト変態後のフェライト中の析出が生じ、硬度は上昇するものの、耐摩耗性は低下した。

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.65〜1.20%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%、Cr:0.02〜2.00%を含有し、さらに、V、Nb、Ti、Moの2種以上がそれぞれ少なくとも0.005%以上でV+Nb+Ti+Mo:0.02〜0.20%含有し、
    さらに、B:0.0001〜0.0050%、Co:0.01〜2.00%、Ni:0.01〜3.00%、Mg:0.0005〜0.0300%、Ca:0.0005〜0.00150%、Al:0.005〜3.00%、フェライト相中に固溶したCu:0.25%以下のいずれか1種以上を含有し、
    残部はFe及び不可避的不純物からなり、頭頂部の硬度が少なくとも340Hvである鋼レールにおいて、フェライト相中の10nm以下の炭窒化析出物粒子の個数密度が5×1015cm-3以下であることを特徴とするパーライトレール。
  2. 質量%で、C:0.65〜1.20%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%、Cr:0.02〜2.00%を含有し、さらに、V、Nb、Ti、Moの2種以上がそれぞれ少なくとも0.005%以上でV+Nb+Ti+Mo:0.02〜0.20%含有し、
    さらに、B:0.0001〜0.0050%、Co:0.01〜2.00%、Ni:0.01〜3.00%、Mg:0.0005〜0.0300%、Ca:0.0005〜0.00150%、Al:0.005〜3.00%、フェライト相中に固溶したCu:0.25%以下のいずれか1種以上を含有し、
    残部はFe及び不可避的不純物からなるレール用鋼片からパーライトレールを製造する際に、
    仕上げ圧延を900〜950℃で行い、
    20〜50℃/sの冷却速度で790〜820℃まで冷却し、
    2〜10℃/sの冷却速度で730〜760℃まで冷却し、
    5〜15℃/sの冷却速度でレール頭部をオーステナイト温度域から540〜380℃まで冷却することを、特徴とする請求項1に記載のパーライトレールの製造方法。
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