JP6454723B2 - アウターソール、シューズ、及びアウターソールの製造方法 - Google Patents

アウターソール、シューズ、及びアウターソールの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、シューズのアウターソール、及びそれを備えるシューズなどに関する。
スポーツ用シューズなどの各種シューズは、シューズ本体と、そのシューズ本体の下面に設けられたアウターソールと、を有する。
一般に、シューズには、路面に対するグリップ性が求められる。本明細書において、「グリップ性」は、滑り難い性質をいう。また、本明細書において、「路面」は、シューズを履いた人が歩行又は走る面をいい、歩道などの道路の表面、体育館などの建築物内の床面、未舗装の地面などの総称である。路面に接する部材であるアウターソールのグリップ性を向上させることによって、より滑り難いシューズが得られ得る。
グリップ性を向上させたアウターソールとして、従来、ガラス転移温度が比較的高い高分子材料を配合したアウターソールや、短繊維を配合したアウターソールなどが知られている(特許文献1)。
しかしながら、アウターソールのグリップ性は、未だ十分なものとは言えない。特に、濡れた路面とアウターソールの表面との間には、液体が介在するため、アウターソールの濡れた路面に対するグリップ性は、不十分である。なお、前記アウターソールの表面は、路面に接する側の面を指す。また、本明細書において、液体は、路面上に存在する水、油などである。
特開2009−249457号公報
本発明の目的は、グリップ性に優れたアウターソール及びそれを用いたシューズ及びアウターソールの製造方法を提供することである。
本発明のアウターソールは、熱可塑性エラストマーをポリマー全体を100質量部とした場合に20質量部以上含み且つ下記測定方法によって測定される表面自由エネルギーが12mJ/m以上とされた組成物から形成されている
アウターソールの表面に、1μLのイオン交換水と、1μLのジヨードメタンとをそれぞれ滴下した後、10秒後にそれぞれの液滴の接触角を測定し、それらの接触角を元に、式(x1)及び(x2)の連立方程式を解き、その解γ 及びγ を、式(y)に代入することによって、表面自由エネルギーを求める。式(x1)、(x2)及び(y)において、γ ,γ 及びγ total は、それぞれ表面自由エネルギーにおける分散成分、極性成分及びこれらの和を示し、γ H2O 及びγ CH3I は、それぞれ水及びジヨードメタンの表面自由エネルギー、θ H2O 及びθ CH3I は、それぞれ水及びジヨードメタンの接触角を示し、水及びジヨードメタンの表面自由エネルギーは、文献値(D.H.Kaelble,The Journal of Adhesion,2,2 (1970) 66.)とする。
Figure 0006454723
発明の好ましいアウターソールは、その算術平均粗さRaが1000μm以下である。
本発明の好ましいアウターソールは、前記熱可塑性エラストマーが、塩素化ポリエチレン系エラストマー、クロロスルホン化ポリエチレン系エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー及びウレタン系エラストマーから選ばれる少なくとも1種を含む。
本発明の好ましいアウターソールは、前記熱可塑性エラストマーが、塩素化ポリエチレン系エラストマー及びクロロスルホン化ポリエチレン系エラストマーの少なくとも一方を含む。
本発明の別の局面によれば、シューズが提供される。
本発明のシューズは、上記いずれかのアウターソールを備える。
本発明の別の局面によれば、アウターソールの製造方法が提供される。
本発明のアウターソールの製造方法は、グリップ性に優れたアウターソールの製造方法であって、上記測定方法によって測定される表面自由エネルギーが12mJ/m以上の組成物であってポリマー全体を100質量部とした場合に熱可塑性エラストマーを20質量部以上含む組成物を成形することによってアウターソールを得る
本発明のアウターソールは、グリップ性に優れ、特に、濡れた路面に対するグリップ性に優れている。
かかるアウターソールを備えるシューズは、乾いた路面のみならず、濡れた路面上を歩行する際に滑り難い。
本発明のシューズの第1の実施形態を示す側面図。 図1のII−II線で切断した拡大断面図であって、シューズ本体の上部を省略した拡大断面図。 本発明のシューズの第2の実施形態を示す側面図。 実施例1乃至5及び比較例1のアウターソールの静摩擦係数及び動摩擦係数の測定結果を示すグラフ図。 予備的な知見を説明するために必要な試験結果を示す参考表(A)。 同参考表(B)。 予備的な知見において行った摩擦試験を示す参考図(C)。 予備的な知見を説明するために必要な試験結果を示す参考表(D)。 予備的な知見において拡張係数を説明するための参考図(E)。 予備的な知見において付着仕事を説明するための参考図(F)。 予備的な知見を説明するために必要な試験結果を示す参考図(G)。 同参考図(H)。 同参考図(I)。 同参考図(J)。 同参考図(K)。 同参考図(L)。
[本発明の課題解決原理]
本発明のアウターソールは、熱可塑性エラストマーを含む組成物から形成されており、12mJ/m以上の表面自由エネルギーを有する。
かかる熱可塑性エラストマーを含み且つ表面自由エネルギーが12mJ/m以上であるアウターソールを備えるシューズは、グリップ性に優れており、特に、濡れた路面に対するグリップ性に優れている。
一般に、濡れた路面上をシューズで歩行すると、アウターソールの表面と路面との間に液体が介在し、その液体が前記表面と路面の間に薄い膜となって介在する。前記液体からなる膜の介在によって、アウターソールの表面と路面の直接的な接触が妨げられるので、シューズが滑り易くなる。以下、アウターソールの表面と路面との間に介在する液体からなる膜を「液膜」という。本発明者は、この液膜の形成を抑制できるアウターソールが、路面に直接接触し易くなり、濡れた路面に対するグリップ性が向上すると推察した。そして、熱可塑性エラストマーを含み且つ表面自由エネルギーが12mJ/m以上のアウターソールによれば、アウターソールの表面と路面との間に介在する液体が自発的にアウターソールの表面と路面の間から排出されることを見出した。かかる表面自由エネルギーが12mJ/m以上のアウターソールは、路面に直接的に接触し易いのでグリップ性に優れており、特に、濡れた路面に対するグリップ性に優れている。本発明は、本発明者が行った予備的な知見に基づいている。以下、この知見について、まず説明する。
[予備的な知見]
本発明者は、ゴム材料と床材との摩擦における表面自由エネルギーの影響を検討するため、同一ゴム材料に対し、表面自由エネルギーが異なる床材及び潤滑剤を用いた摩擦試験を行った。この[予備的な知見]の欄における「ゴム材料」は、本明細書のアウターソールに対応し、「床材」は、本明細書の路面に対応し、「潤滑剤」は、本明細書の液体に対応する。
床材として、Polytetrafluoroethylene(PTFE)、Polypropylene(PP)、大理石、Polymethylmethacrylate(PMMA)、Polyethyleneterephthalate (PET)の5種類を準備した。図5の参考表(A)に、ゴム材料及び各床材の算術平均粗さRa(表面粗さ)及び二乗平均粗さRqを示す。合成粗さσは、式(1)より導出した。
Figure 0006454723
ここで、Rq、Rqは、それぞれゴム材料、床材の二乗平均粗さを示す。算術平均粗さRaは、原子力間顕微鏡((株)日立ハイテクサイエンス製環境制御型ユニットE−sweep)にて測定し、カンチレバーは、日立ハイテクサイエンス製SI−DF20を使用した。参考表(A)より、合成粗さσは床材に関わらず十分に近く、算術平均粗さRa(表面粗さ)は摩擦試験における効果に対して大きな影響を及ぼさないと判断した。
潤滑剤は、水、水とエタノールの混合物(エタノール濃度10、30、90 vol%)を使用した。図6の参考表(B)に各潤滑剤の粘度を示す。水はアドバンテック製REP343RBにて精製したイオン交換水を、エタノールは和光純薬(株)製1級試薬を使用した。前記各潤滑剤の粘度は、文献値(化学便覧 基礎編(改訂2版)、P.574(1975)丸善出版)を用いた。
摩擦試験機(新東科学(株)製HEIDON14)の概略を図7の参考図(C)に示す。摩擦試験には、半球状(この半球状は、直径25mmの球体の半分の形状)に成型した初期弾性率3.28MPaの架橋イソプレンゴムを使用した。潤滑剤に完全に浸漬させた平滑な床材上にゴム材料を接地させ、垂直荷重1.96Nを付加し、1.67mm/秒で2.0秒以上直動させた際の摩擦力を測定した。すべり出し時の摩擦力に基づいて静摩擦係数を算出し、摩擦力が一定値を示す1.5秒〜2.0秒直動させた際の摩擦力の平均値に基づいて動摩擦係数を算出した。なお、床材及び潤滑剤の条件に関わらず、スティックスリップは確認されなかった。サンプリング数は3回とし、それらの平均値を実験値として用いた。サンプリング周波数は1kHzとした。この実験は、温度22.9℃〜24.0℃、相対湿度56%〜60%の大気下にて実施した。また、各潤滑剤に対する各床材の耐溶解性を検討するため、各床材を各潤滑剤に25.6℃にて10分間浸漬させた際の質量変化を測定した。全ての床材と潤滑剤の組み合わせにおいて、質量変化率は0.06%未満であった。このため、全ての床材は、水、及び、水とエタノールの混合物に対して実質的に浸食されないことが確認された。
図8の参考表(D)に、ゴム材料、床材、及び潤滑剤の表面自由エネルギーを示す。ゴム材料及び床材の表面自由エネルギーは、イオン交換水及びジヨードメタン(和光純薬(株)製1級試薬)1.0μLを滴下10秒後の接触角を基に、Kaelble−Uy理論により算出した。接触角は、接触角計(協和界面科学(株)製DM−510Hi)にて測定した。水及びジヨードメタンの表面自由エネルギーは、文献値(D.H.Kaelble,The Journal of Adhesion,2,2 (1970) 66.)を用い、潤滑剤の表面自由エネルギーは、文献値(J.R.Dann,Journal of Colloid and Interface Science,32,2(1970)302.)を用いた。
拡張係数Sは、図9の参考図(E)に示すように、ゴム材料、床材及び潤滑剤が接触する3重界線における潤滑剤の濡れの進展を表すパラメータであり、式(2)より算出される。
Figure 0006454723
ここで、γSL、γRL及びγRSは、それぞれ、床材と潤滑剤間、ゴム材料と潤滑剤間、ゴム材料と床材間の界面自由エネルギーを示す。界面自由エネルギーは、Kaelble−Uy理論に基づき、式(3)より導出した。ゴム材料と床材、潤滑剤の3重界線においては、拡張係数Sが負の場合、液膜の形成は抑制され、正の場合、その形成が促進されやすいと判断できる。ここで、γ及びγは、それぞれ物質i及び物質jの表面自由エネルギーを示し、γijは、物質ij間の界面自由エネルギーを示す。また、γ及びγは、それぞれ表面自由エネルギーにおける分散成分及び極性成分を示す。
一方、付着仕事Wは、図10の参考図(F)に示すように接触するゴム材料と床材を剥離する場合に必要な仕事に相当し、式(4)により算出される。ここで、γ及びγは、それぞれ床材とゴム材料の表面自由エネルギーを示す。一般的に、固体間の界面、固体表面及び液体表面は、それぞれバルクと比較し熱力学的に不安定である。このため、付着仕事Wを算出することによって、ゴム材料と床材の剥離に要する仕事の把握が可能となる。
Figure 0006454723
Figure 0006454723
潤滑剤の表面自由エネルギーとゴム材料の静摩擦係数及び動摩擦係数との関係を図11の参考図(G)に示す。以下、静摩擦係数及び動摩擦係数を「静・動摩擦係数」と記す。すべての床材において、潤滑剤の表面自由エネルギーの増大に伴い、ゴム材料の静・動摩擦係数は共に増大する傾向を示した。また、潤滑剤の表面自由エネルギーが51.3mJ/m以上の条件においては、ゴム材料の静・動摩擦係数は、PTFE、大理石、PMMA、PP、PETの順に増加傾向を示すことが確認された。その一方で、潤滑剤の表面自由エネルギーの低下に伴い、ゴム材料の静・動摩擦係数の床材間の差異が小さくなることがわかる。
床材の表面自由エネルギーとゴム材料の静・動摩擦係数の関係を図12の参考図(H)に示す。ゴム材料の静・動摩擦係数は、床材の表面自由エネルギーの影響を受け変化することが確認できるが、床材の表面自由エネルギーとゴム材料の静・動摩擦係数の間に相関関係は認められなかった。
ゴム材料と床材間の界面自由エネルギーγRSとゴム材料の静・動摩擦係数の関係を図13の参考図(I)に示す。同図によれば、静・動摩擦係数は、界面自由エネルギーの影響を受け変化し、すべての潤滑剤において、ゴム材料と床材間の界面自由エネルギーが約8mJ/mのときに、ゴム材料の静・動摩擦係数が最大値を示すことが確認できる。
拡張係数Sは、潤滑剤の相手材に対する広がりやすさを表す指標である。ゴム材料と床材、潤滑剤が接触する3重界線においては、ゴム材料と床材の界面への潤滑剤の進展しやすさの尺度となり、拡張係数Sが負の場合、液膜の形成は抑制され、正の場合、その形成が促進されやすいと判断できる。潤滑剤のエタノール濃度と拡張係数の関係を図14の参考図(J)に示す。すべての床材において、エタノール濃度の増大に伴い、拡張係数が増大したことがわかる。また、エタノール濃度に関わらず、床材を大理石とした場合、拡張係数は最大となることがわかる。この結果は、大理石が他の床材と比較して表面自由エネルギーの極性成分γが大きいためである。
拡張係数とゴム材料の静・動摩擦係数の関係を図15の参考図(K)に示す。床材が同一の場合においては、拡張係数の増大に伴い、ゴム材料の静・動摩擦係数は共に減少傾向を示す。特に、拡張係数がゼロ近傍では、ゴム材料の静・動摩擦係数が大きく減少したことが確認できる。上述したように液膜の形成状態は、拡張係数の正負によって変化し、拡張係数が負の場合に液膜の形成が抑制され、拡張係数が正の場合に液膜の形成が促進されることが考えられる。このことから、拡張係数がゼロ近傍では、潤滑状態が変化したため、ゴム材料の静・動摩擦係数が急激に変化したと推察される。また、図15の参考図(K)より、拡張係数が等しい場合において、床材の変化により、静・動摩擦係数が異なる値を示すことが確認できる。この結果より、ゴム材料の静・動摩擦係数は、拡張係数及び床材条件の影響を受けて変化することがわかる。
ゴム材料と床材の接触界面は、界面自由エネルギーγRSを有しており、外部からのエネルギーの作用により界面に剥離が生じる。この剥離に必要なエネルギーは付着仕事Wによって表すことができる。付着仕事とゴム材料の静・動摩擦係数の関係を図16の参考図(L)に示す。潤滑剤が同一の場合においては、付着仕事の増大に伴い、ゴム材料の静・動摩擦係数は共に増大傾向を示すことがわかる。また、図16の参考図(L)より、付着仕事が等しい場合で比較すると、潤滑剤におけるエタノール濃度の増大に伴い、ゴム材料の静・動摩擦係数は共に減少する傾向が確認できる。
このように、本発明者は、上記実験から、表面自由エネルギーが大きくなると、アウターソールの表面と路面との接触界面の剥離に要する仕事が増大するので、アウターソールの路面に対する静・動摩擦係数が増加するという知見を得た。さらに、表面自由エネルギーが大きくなると、アウターソールの表面と路面との間の液膜の除去が熱力学的に促進されるので、アウターソールが路面に直接接触し易くなり、アウターソールの路面に対する静・動摩擦係数が増加するという知見を得た。それ故、表面自由エネルギーが比較的大きい組成物を用いてアウターソールを形成することにより、濡れていない路面のみならず、濡れた路面に対する静・動摩擦係数が大きなアウターソール、即ち、路面に対するグリップ性に優れたアウターソールを提供できる。
[本発明のアウターソールの構成]
次に、本発明のアウターソールについて、具体的に説明する。
なお、本明細書において、「XXX〜YYY」という表記は、「XXX以上YYY以下」を意味する。
本発明のアウターソールは、熱可塑性エラストマーを含む組成物から形成され、表面自由エネルギーが12mJ/m以上である。
好ましくは、前記アウターソールの表面自由エネルギーは、15mJ/m以上であり、より好ましくは20mJ/m以上であり、さらに好ましくは25mJ/m以上であり、特に好ましくは30mJ/m以上である。前記アウターソールの表面自由エネルギーは、高いほど好ましく、その上限は特に限定されない。もっとも、熱可塑性エラストマーを含む組成物から形成されるアウターソールの現実的な上限は、例えば、73mJ/m以下である。
前記アウターソールの表面自由エネルギーは、上記[予備的な知見]と同様に、Kaelble−Uy理論に従って得ることができる。
具体的には、表面自由エネルギーは、測定対象のアウターソールの表面に、1μLのイオン交換水と、1μLのジヨードメタンとをそれぞれ滴下した後、その10秒後にそれぞれの液滴の接触角を測定する。それらの接触角を元に、下記式(x1)及び(x2)の連立方程式を解き、その解γ及びγを、式(y)に代入することによって、アウターソールの表面自由エネルギーを求めることができる。
なお、ジヨードメタンは、和光純薬(株)製の1級試薬を用いることができ、接触角の測定装置は、接触角計(協和界面科学(株)製DM−510Hi)を用いることができる。
Figure 0006454723
ただし、式(x1)、(x2)及び(y)において、γ,γ及びγtotalは、それぞれ表面自由エネルギーにおける分散成分、極性成分及びこれらの和を示し、γH2O及びγCH3Iは、それぞれ水及びジヨードメタンの表面自由エネルギー、θH2O及びθCH3Iは、それぞれ水及びジヨードメタンの接触角を示す。なお、水及びジヨードメタンの表面自由エネルギーは、文献値(D.H.Kaelble,The Journal of Adhesion,2,2 (1970) 66.)を用いるものとする。
本発明のアウターソールの表面粗さである算術平均粗さRaは、特に限定されないが、好ましくは、1000μm以下であり、より好ましくは5〜100μmであり、さらに好ましくは5〜20μmである。このような算術平均粗さRaを有するアウターソールは、路面に対する静・動摩擦係数が増し、特にグリップ性に優れている。なお、前記算術平均粗さRaは、アウターソールの表面(路面に接する側の面)の算術平均粗さであり、JIS B0601−2001に準拠して測定される。
このような算術平均粗さRaを有するアウターソールを得る方法としては、(1)組成物を発泡させる、(2)表面に微細な凹凸を形成する、などの方法が挙げられる。
前記組成物は、熱可塑性エラストマーを含み且つ表面自由エネルギーが12mJ/m以上となることを条件として、熱可塑性エラストマー以外の成分を含んでいてもよい。熱可塑性エラストマー以外の成分としては、熱可塑性エラストマー以外のポリマー;発泡剤、補強剤、架橋剤などの各種の添加剤;などが挙げられる。
ここで、本明細書において、「熱可塑性エラストマー」は、熱を加えると軟化して流動性を示し、冷却するとゴム状弾性体に戻る性質を有するエラストマーをいう。
前記熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されず、塩素化ポリエチレン系エラストマー、クロロスルホン化ポリエチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、アクリル系エラストマー、酢酸ビニル系エラストマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を併用して用いてもよい。好ましくは、熱可塑性エラストマーとして、塩素化ポリエチレン系エラストマー、クロロスルホン化ポリエチレン系エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー及びウレタン系エラストマーから選ばれる少なくとも1種が用いられる。
この好ましい使用例としては、例えば、(1)塩素化ポリエチレン系エラストマーを単独で使用する、(2)クロロスルホン化ポリエチレン系エラストマーを単独で使用する、(3)塩素化ポリエチレン系エラストマーとオレフィン系エラストマーを少なくとも使用する、(4)スチレン系エラストマーを単独で使用する、(5)ポリアミド系エラストマーを単独で使用する、(6)スチレン系エラストマーとポリアミド系エラストマーを少なくとも使用する、(7)スチレン系エラストマーとウレタン系エラストマーを少なくとも使用する、(8)スチレン系エラストマーとオレフィン系エラストマーを少なくとも使用する、(9)スチレン系エラストマーとオレフィン系エラストマーとポリアミド系エラストマー及び/又はウレタン系エラストマーを少なくとも使用する、(10)オレフィン系エラストマーを使用せず、スチレン系エラストマーとポリアミド系エラストマーを少なくとも使用する、(11)オレフィン系エラストマーを使用せず、スチレン系エラストマーとウレタン系エラストマーを少なくとも使用する、或いは、(12)ウレタン系エラストマーを少なくとも使用する、場合などが挙げられる。以下、塩素化ポリエチレン系エラストマー、クロロスルホン化ポリエチレン系エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー及びウレタン系エラストマーを総称して「第1エラストマー」といい、第1エラストマー以外の熱可塑性エラストマーを総称して「第2エラストマー」という。
本発明では、熱可塑性エラストマーとして、(a)第1エラストマーから選ばれる少なくとも1種、(b)第2エラストマーから選ばれる少なくとも1種、或いは、(c)第1エラストマーから選ばれる少なくとも1種と第2エラストマーから選ばれる少なくとも1種が用いられる。表面自由エネルギーが12mJ/m以上のアウターソールを容易に得ることができることから、熱可塑性エラストマーとしては少なくとも第1エラストマーを用いることが好ましい。さらに、第1エラストマーの中でも、塩素化ポリエチレン系エラストマー及びクロロスルホン化ポリエチレン系エラストマーのうち少なくとも一方を用いることがより好ましい。
前記塩素化ポリエチレン系エラストマーは、ポリエチレンの水素の一部又は全部が塩素に置換されたポリマーである。なお、塩素化ポリエチレン系エラストマーは、クロロ基を有していることを条件として、ポリエチレンの水素の一部がクロロ基以外の置換基で置換されていてもよい。塩素化ポリエチレン系エラストマーは、例えば、ポリエチレンの粉末又は粒子を水性懸濁液中で塩素化する、或いは、有機溶媒中に溶解させたポリエチレンを塩素化することによって得られる。前記塩素化ポリエチレン系エラストマーの塩素含有量は、例えば、塩素化ポリエチレン全量中、20質量%〜50質量%であり、好ましくは25質量%〜45質量%である。また、塩素化ポリエチレン系エラストマーは、非結晶性のものが好ましい。塩素化ポリエチレン系エラストマーとしては、塩素化されたエチレンの単独重合体、塩素化されたエチレンとα−オレフィン(好ましくは、炭素数12以下のα−オレフィン)との共重合体が挙げられる。前記共重合体において、α−オレフィンの量は、塩素化ポリエチレン全量中、0を超え10質量%以下が好ましいが、これに限定されるわけではない。塩素化ポリエチレン系エラストマーの密度は、特に限定されないが、例えば、1.07〜1.21g/cmである。また、塩素化ポリエチレン系エラストマーの分子量は、特に限定されないが、例えば、5万〜70万である。また、塩素化ポリエチレン系エラストマーは、架橋されたものでもよく、或いは、架橋されていなくてもよい。
塩素化ポリエチレン系エラストマーは、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、昭和電工(株)製の商品名「エラスレン」などが挙げられる。
なお、本明細書における共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、又は、グラフト共重合体の何れでもよい。
前記クロロスルホン化ポリエチレン系エラストマーは、ポリエチレンの水素の一部がクロロスルホニル基で置換されたポリマーである。なお、クロロスルホン化ポリエチレン系エラストマーは、クロロスルホニル基を有していることを条件として、ポリエチレンの水素の一部がクロロスルホニル基以外の置換基で置換されていてもよい。クロロスルホン化ポリエチレン系エラストマーは、例えば、ポリエチレンを塩素と亜硫酸ガスを用いてクロロスルホン化することによって得られる。前記クロロスルホン化ポリエチレン系エラストマーの塩素含有量は、例えば、クロロスルホン化ポリエチレン全量中、20質量%〜50質量%であり、好ましくは30質量%〜40質量%である。また、クロロスルホン化ポリエチレン系エラストマーは、非結晶性のものが好ましい。
クロロスルホン化ポリエチレン系エラストマーとしては、クロロスルホン化されたエチレンの単独重合体、クロロスルホン化されたエチレンとα−オレフィン(好ましくは、炭素数12以下のα−オレフィン)との共重合体が挙げられる。前記共重合体において、α−オレフィンの量は、クロロスルホン化ポリエチレン全量中、0を超え10質量%以下が好ましいが、これに限定されるわけではない。クロロスルホン化ポリエチレン系エラストマーの密度は、特に限定されないが、例えば、1.10〜1.40g/cmである。また、クロロスルホン化ポリエチレン系エラストマーは、架橋されたものでもよく、或いは、架橋されていなくてもよい。
クロロスルホン化ポリエチレン系エラストマーは、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、東ソー(株)製の商品名「TOSO−CSM TS−530」、デュポン社製の商品名「ハイパロン」などが挙げられる。
前記ポリエステル系エラストマーは、エステル成分を含むポリマーである。ポリエステル系エラストマーは、エステル単独重合体から構成されていてもよい。好ましくは、前記ポリエステル系エラストマーは、分子内のハードセグメントとしてポリエステル又はその誘導体を、ソフトセグメントとしてガラス転移温度(Tg)の低いポリエーテル又はポリエステルを有する共重合体である。具体的には、ポリエステル系エラストマーとしては、ハードセグメントとしてポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系結晶性ポリエステルを、ソフトセグメントとしてポリエーテルを用いたポリエステル/ポリエーテル型、ハードセグメントとして芳香族系結晶性ポリエステルを、ソフトセグメントとして脂肪族系ポリエステルを用いたポリエステル/ポリエステル型などが挙げられる。
前記ポリアミド系エラストマーは、ポリアミド成分を含むポリマーである。ポリアミド系エラストマーは、アミド単独重合体から構成されていてもよく、或いは、ポリアミド成分と他の成分の共重合体から構成されていてもよい。前記共重合体としては、例えば、分子内のハードセグメントとして脂肪族又は芳香族ポリアミド又はその誘導体を、ソフトセグメントとしてポリエステル又はポリエーテルなどの成分を有する共重合体などが挙げられる。前記脂肪族又は芳香族ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン64、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、N−アルコキシメチル変性ナイロン、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸縮重合体、メタキシロイルジアミン−アジピン酸縮重合体などが挙げられる。
前記ポリスチレン系エラストマーは、スチレン成分を含むポリマーである。ポリスチレン系エラストマーは、スチレン単独重合体から構成されていてもよい。好ましくは、前記ポリスチレン系エラストマーは、分子内のハードセグメントとしてポリスチレン又はその誘導体を、ソフトセグメントとしてブタジエンなどの成分を有する共重合体である。
ポリスチレン系エラストマーにおけるハードセグメントの占める割合は、特に限定されないが、それが余りに小さいと、ハードセグメントが凝集し難くなり、それが余りに大きいと、柔軟性及び弾力性が低下するおそれがある。かかる観点から、ポリスチレン系エラストマーにおけるハードセグメントの占める割合は、エラストマー全量中、10〜65質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。
前記ポリスチレン系エラストマーは、特に限定されないが、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(略称SBR)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIR)、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、及び、これらの変性物などが挙げられる。
前記オレフィン系エラストマーは、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンにゴム弾性を付与した重合体である。
オレフィン系エラストマーとしては、代表的には、ポリプロピレン系エラストマー、α−オレフィン系エラストマーが挙げられる。
前記ポリプロピレン系エラストマーは、ポリプロピレン成分を含み、好ましくは、プロピレンとエチレンの共重合体を含む。ポリプロピレン系エラストマーは、プロピレン単独重合体から構成されていてもよく、或いは、ポリプロピレン成分と他の成分の共重合体から構成されていてもよい。ポリプロピレン系エラストマーとしては、例えば、ポリプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体などが挙げられる。
前記α−オレフィン系エラストマーは、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンとα−オレフィンとの共重合体である。前記α−オレフィンは、特に限定されないが、炭素数4〜20のα−オレフィンであることが好ましい。これらは単独でも、2種以上混合されたものであってもよい。炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどが挙げられ、好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
前記α−オレフィン系エラストマーとしては、例えば、エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上併用してもよい。
α−オレフィン系エラストマーは、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、三井化学(株)製の商品名「タフマー」などが挙げられる。
前記ウレタン系エラストマーは、ウレタン成分を含むポリマーである。ウレタン系エラストマーは、ウレタン単独重合体から構成されていてもよく、或いは、ポリウレタン成分と他の成分の共重合体から構成されていてもよい。好ましくは、前記ウレタン系エラストマーは、分子内のハードセグメントとしてポリウレタン又はその誘導体を、ソフトセグメントとしてポリエーテルやポリエステルなどの成分を有する共重合体である。
ウレタン系エラストマーとしては、例えば、ポリエーテル含有ポリウレタン、ポリエステル含有ポリウレタンなどが挙げられる。
前記塩化ビニル系エラストマーとしては、例えば、高重合度のポリ塩化ビニルを用いたエラストマー、部分架橋のポリ塩化ビニルであってその架橋部分がハードセグメントとして機能し且つ直鎖部分がソフトセグメントとして機能するエラストマーなどが挙げられる。
前記アクリル系エラストマーは、1種または2種以上のアクリル系モノマーを含むアクリル系重合体である。
上述のように、本発明においては、熱可塑性エラストマーとして、(a)第1エラストマー、(b)第2エラストマー、或いは、(c)第1エラストマーと第2エラストマー、を用いることができる。第1エラストマーと第2エラストマーの双方を用いる場合、第2エラストマーは、塩素化ポリエチレン系エラストマー、クロロスルホン化ポリエチレン系エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー及びウレタン系エラストマーの6種以外の熱可塑性エラストマーの中から適宜選択される。
前記熱可塑性エラストマーが、第1エラストマーと第2エラストマーとからなる場合、それらの配合比は特に限定されない。表面自由エネルギーを12mJ/m以上に容易に調製できることから、第1エラストマー:第2エラストマー(質量比)=100:0〜60:40であることが好ましく、さらに、85:15〜65:35であることがより好ましい。なお、前記第1エラストマー:第2エラストマー=100:0は、熱可塑性エラストマーが第1エラストマーのみからなる場合であるので、熱可塑性エラストマーが第1エラストマーと第2エラストマーを含む場合に該当しないが、両エラストマーの配合比の表記上、第1エラストマー:第2エラストマー(質量比)=100:0〜60:40と記載している。
前記熱可塑性エラストマー以外のポリマーとしては、ゴムなどが挙げられる。
前記ゴムとしては、特に限定されず、例えば、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレン(CR)などの合成ゴム;天然ゴム(NR);スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)などの共重合体ゴム;などが挙げられる。前記ゴムは、それぞれ1種単独で、又は2種以上を併用できる。
熱可塑性エラストマー以外のポリマーを配合する場合、その配合量は、アウターソールの表面自由エネルギーが12mJ/m以上となることを条件として、特に限定されない。例えば、熱可塑性エラストマー以外のポリマーは、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、0を越え500質量部以下であり、好ましくは0を越え400質量部以下である。
発泡体は、通常、化学的発泡法によって製造されるため、適切な発泡剤が用いられる。
前記発泡剤は、本発明のアウターソールを発泡体とする場合に配合される。もっとも、発泡剤は、前記組成物を化学的発泡法によって発泡させる場合に配合されるものなので、前記組成物を物理的発泡法で発泡させる場合には、発泡剤を配合しないで発泡体を形成することも可能である。
前記発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジン(OBSH)などが挙げられる。
また、発泡を促進するため、発泡剤と共に発泡助剤を用いてもよい。発泡助剤としては、酸化亜鉛、尿素、尿素誘導体などが挙げられる。
前記発泡剤の配合量は、特に限定されず、適宜設計される。前記発泡剤の配合量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、例えば、0.5質量部〜5質量部である。
前記補強剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
補強剤としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、活性化炭酸カルシウム、超微粒子珪酸マグネシウムなどが挙げられる。
低発泡でも比較的密度が小さく且つ高い機械的強度及び高い耐摩耗性を有するアウターソールを得ることができることから、補強剤としては含水シリカ(ホワイトカーボン)を用いることが好ましい。
補強剤の配合量は、特に限定されず、適宜設計される。前記補強剤の配合量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、例えば、10質量部〜40質量部である。
前記架橋剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
架橋剤としては、例えば、硫黄を含む化合物、有機過酸化物などが挙げられる。前記硫黄を含む化合物としては、硫黄、ハロゲン化硫黄、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドなどが挙げられる。有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2.5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどが挙げられる。架橋剤を配合することにより、熱可塑性エラストマーが架橋され、弾性に優れたアウターソールを形成できる。もっとも、架橋剤を含まない組成物を用いて、本発明のアウターソールを形成することも可能である。
さらに、熱可塑性エラストマーの架橋を促進するため、架橋剤に加えて、架橋促進剤をも配合してもよい。
前記架橋剤の量は、特に限定されず、適宜設計される。前記架橋剤の配合量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、例えば、0.1質量部〜5質量部であり、好ましくは0.3質量部〜3質量部である。
なお、本発明のアウターソールを形成する組成物は、熱安定剤、光安定剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、着色剤、可塑剤、耐電防止剤、増粘剤、プロセスオイル、ステアリン酸などの他の添加剤を含んでいてもよい。
[アウターソールの製造]
上記組成物を、靴裏の形状に成形する。
具体的には、前記熱可塑性エラストマー、並びに、必要に応じて熱可塑性エラストマー以外のポリマー、さらに、架橋剤などの各種の添加剤を所定量混合した組成物を調製する。この組成物を70℃〜150℃に加熱しながら、ミキシングロール、加圧式ニーダー、押出機などを用いて混練する。
十分に混練した組成物を、プレス金型内に充填し、例えば、150℃〜200℃に加熱しながら所定時間加圧して成形することにより、アウターソールを得ることができる。また、前記十分に混練した組成物を、射出成形機に導入し、射出成形することにより、アウターソールを得ることもできる。
なお、アウターソール形状に適合したプレス金型を用いた場合には、組成物を加熱加圧して得られた一次成形品をそのまま、アウターソールとして用いることができる。また、前記組成物を加熱加圧して一次成形品を得た後、その一次成形品をさらに二次加工した加工品を、本発明のアウターソールとしてもよい。
アウターソールは、前記組成物を発泡させた発泡体から構成されていてもよく、或いは、組成物を発泡させない非発泡体から構成されていてもよい。もっとも、組成物を発泡させることにより、上述した算術平均粗さRaを有するアウターソールを容易に得ることができる。算術平均粗さが大きく且つクッション性に優れている点から、本発明のアウターソールは、発泡体から構成されていることが好ましい。
組成物を発泡させる場合、その発泡倍率は、特に限定されないが、例えば、1.05倍〜1.4倍であり、好ましくは、1.05倍〜1.2倍である。
また、アウターソールの密度は、特に限定されないが、軽量化の観点から、好ましくは0.6g/cm以下であり、より好ましくは0.55g/cm以下であり、さらに好ましくは0.5g/cm以下である。また、アウターソールの密度の下限は、出来るだけ小さいことが好ましいが、一般的には、アウターソールの密度は、0.2g/cm以上であり、好ましくは0.3g/cm以上である。前記密度は、JIS Z 8807に準拠して測定される。
[本発明のアウターソールの用途]
本発明のアウターソールは、例えば、シューズのアウターソールとして使用され、シューズ本体の下面に設けられる。
本発明のアウターソールは、シューズ本体の下面の全体的に設けられる。また、前記アウターソールを、シューズ本体の下面の一部分に設けてもよい。
また、本発明のアウターソールは、例えば、シューズのシャンク部材のような補強部材として用いることも可能である。前記シャンク部材は、土踏まず部分に配置される底部材である。
前記アウターソールは、任意の形状に形成される。例えば、前記アウターソールは、ほぼ板状、ほぼ凸状(例えば、スパイクのような円錐台状等)に形成される。アウターソールの下面は、平滑状でもよいが、通常、任意の適切な凹凸状に形成される。なお、アウターソールの下面は、シューズ本体の下面に取り付けられる面(アウターソールの上面)とは反対側の面である。
前記アウターソールは、例えば、接着剤により、シューズ本体に固定的に取り付けられる。
接着剤としては、特に限定されず、従来公知の溶剤型接着剤、エマルジョン型接着剤、レーザー接着剤、感熱接着剤などが挙げられる。前記溶剤型接着剤は、有機溶剤中にバインダー樹脂を溶解又は分散させた接着剤であり、前記エマルジョン型接着剤は、水中にバインダー樹脂を分散させた接着剤である。レーザー接着剤は、レーザー光の照射によって接着性を発現する接着剤である。感熱接着剤は、加熱することによって接着性を発現する接着剤である。
[本発明のシューズの構成及び用途]
図1及び図2は、本発明のシューズの第1の実施形態を示す。
このシューズ1aは、シューズ本体2aと、シューズ本体2aの下面に設けられたミッドソール3aと、ミッドソール3aの下面に配置されたアウターソール5aと、を備えている。ミッドソール3aは、シューズ本体2aの下面形状とほぼ同じ形状に形成され、アウターソール5aは、ミッドソール3aの下面形状とほぼ同じ形状に形成されている。アウターソール5aは、ほぼ板状に形成されている。その板状のアウターソール5aの下面には、図2に示すように、所望の凹凸が形成されている。もっとも、アウターソール5aの下面が平滑状に形成されていてもよい(図示せず)。
ミッドソール3aの上面は、接着剤を用いてシューズ本体2aの下面に接着され、アウターソール5aの上面は、接着剤を用いてミッドソール3aの下面に接着されている(接着剤は、図示していない)。このシューズ1aを使用した際には、アウターソール5aの下面が地面に接する。前記シューズ1aのアウターソール5aとして、本発明のアウターソールが用いられる。或いは、前記シューズ1aのミッドソール3aとして、本発明のアウターソールが用いられる。或いは、前記シューズ1aのミッドソール3a及びアウターソール5aとして、本発明のアウターソールがそれぞれ用いられる。
図3は、本発明のシューズの第2の実施形態を示す。
このシューズ1bは、シューズ本体2bと、シューズ本体2bの下面に設けられたミッドソール3bと、ミッドソール3bの下面前方に配置された第1アウターソール51bと、ミッドソール3bの下面後方に配置された第2アウターソール52bと、を備えている。ミッドソール3bは、シューズ本体2bの下面形状とほぼ同じ形状に形成され、第1アウターソール51b及び第2アウターソール52bは、それぞれミッドソール3bの下面形状よりも小さな形状に形成されている。
ミッドソール3bの上面は、接着剤を用いてシューズ本体2bの下面に接着され、第1及び第2アウターソール51b,52bの上面は、接着剤を用いてミッドソール3bの下面にそれぞれ接着されている(接着剤は、図示していない)。このシューズ1bを使用した際には、第1及び第2アウターソール51b,52bの各下面が地面に接し、ミッドソール3bの下面の一部分が地面に接し得る。
前記シューズ1bの第1アウターソール51b及び/又は第2アウターソール52bとして、本発明のアウターソールが用いられる。
前記ミッドソール3a及び3bの各厚みは特に限定されない。適切なクッション性をシューズに付与するために、ミッドソール3a及び3bの各厚みは、例えば、2mm以上であり、好ましくは2mm〜10mmである。
上記アウターソール5a、第1アウターソール51b及び第2アウターソール52bの各厚みは、特に限定されない。適切なクッション性をシューズに付与するために、アウターソール5a、第1アウターソール51b及び第2アウターソール52bの各厚みは、例えば、2mm以上であり、好ましくは2mm〜20mmである。
なお、本発明のシューズは、図示したように、シューズ本体が足の甲のほぼ全体を保護する構造に限られず、シューズ本体が足の甲の一部を保護するような構造(例えば、サンダルなど)でもよい。
本発明のシューズの用途は、特に限定されない。本発明のシューズは、例えば、サッカーシューズ、ラグビーシューズなどの各種球技用シューズ;ジョギングシューズ、マラソンシューズなどのランニング用シューズ;陸上競技用シューズ;一般運動用シューズ;ウォーキング用シューズ;ビーチサンダルなどに用いることができる。
本発明のアウターソールは、路面に対するグリップ性に優れている。本発明のアウターソールは、濡れた路面に対してもグリップ性に優れており、特に、平滑な路面であって濡れた路面に対してもグリップ性に優れている。
かかるアウターソールを備える本発明のシューズは、球技用シューズ、ランニング用シューズ、陸上競技用シューズ又はウォーキング用シューズとして好適である。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳述する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
ただし、表1乃至表3の組成の欄において、各材料の数値の単位は、質量部である。
[実施例及び比較例の使用材料]
塩素化ポリエチレン系エラストマー:昭和電工(株)製の商品名「エラスレン 301A」。塩素含有量=約30質量%。
α−オレフィン系エラストマー:三井化学(株)製の商品名「タフマー DF810」。エチレンと1−ブテンとの共重合体。
スチレン系エラストマー(1):(株)クラレ製の商品名「セプトン V9461」。スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(略称SEEPS)。
スチレン系エラストマー(2):旭化成ケミカルズ(株)製の商品名「M1913」。マレイン酸で変性されたスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(略称MA変性SEBS)。
ポリアミド系エラストマー(1):DSM社製の商品名「1010C1」。ナイロン6の単独重合体。
ポリアミド系エラストマー(2):DSM社製の商品名「3010SR」。ナイロン66の単独重合体。
ウレタン系エラストマー:BASF社製の商品名「ET195」。ハードセグメントがポリウレタンで、ソフトセグメントがポリエステルである共重合体。
クロロスルホン化ポリエチレン系エラストマー:東ソー(株)製の商品名「TS−530」。塩素含有量=約35質量%。
ポリプロピレン系エラストマー:(株)プライムポリマー製の商品名「E−105−GM」。
イソプレンゴム:日本ゼオン(株)製の商品名「IR2200」。
オイル(1):プロセスオイル。出光興産(株)製の商品名「PW90」。
オイル(2):プロセスオイル。新日本理化(株)製の商品名「DOZ」。
オイル(3):プロセスオイル。JX日鉱日石エネルギー(株)製の商品名「P200」。
架橋剤(1):ジクミルパーオキサイド。日本油脂(株)製の商品名「パークミルD」。
架橋剤(2):2,5−ジメチル−2.5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン。日本油脂(株)製の商品名「パーヘキサ25B−40」。
架橋剤(3):硫黄。細井化学工業(株)の商品名「硫黄#200」。
架橋助剤(1):トリアリルイソシアヌレート。日本化成(株)製の商品名「TAIC M−60」。
架橋助剤(2):トリメチロールプロパントリメタクリレート。Sartomer社製の商品名「SR350」。
架橋助剤(3):大内新興化学工業(株)製の商品名「ノクセラー」。
発泡剤:アゾジカルボンアミド。永和化成工業(株)製の商品名「ビニホール AC#3C−K2」。
発泡助剤:酸化亜鉛。本荘ケミカル(株)製の商品名「活性亜鉛華No.2」。
シリカ:デグサジャパン社製の商品名「VN3」。
シランカップリング剤:デグサジャパン社製の商品名「Si−69」。
ステアリン酸:新日本理化(株)製の商品名「ステアリン酸50S」。
酸化亜鉛:本荘ケミカル(株)製の商品名「活性亜鉛華No.2」。
[実施例1]
表1に示す割合で、上記[使用材料]で示す各材料を配合した。これらの各材料からなる組成物を、加圧ニーダー、ミキシングロールを用いて混練し、これを縦150mm、横150mm、厚み5.5mmのプレス金型内に充填し、160℃に加熱しながら、油圧130〜150kgf/cmで20分間加圧することにより、縦約170mm、横約170mm、厚み約10mmの直方体状の発泡体(発泡倍率は、約1.1倍)を作製した。
Figure 0006454723
[実施例2乃至実施例5及び比較例1]
表1に示す割合で、各材料を配合したこと以外は、上記実施例1と同様にして、組成物を調製し、その組成物を用いて発泡体を作製した。
[実施例6乃至実施例12]
表2に示す割合で、上記[使用材料]で示す各材料を配合した。これらの各材料からなる組成物を、2軸押出機に供給して230℃〜270℃に加熱しながら混練することによって、動的架橋した。次に、その混練物を射出成形機に供給し、230℃〜270℃に加熱しながら成形型に射出することにより、縦約110mm、横約50mm、厚み約2mmの直方体状の非発泡体を作製した。
Figure 0006454723
[実施例13]
表3に示す割合で、上記[使用材料]で示す各材料を配合した。これらの各材料からなる組成物を、加圧ニーダー、ミキシングロールを用いて混練し、これを縦125mm、横215mm、厚み2mmのプレス金型内に充填し、160℃に加熱しながら、油圧130〜150kgf/cmで5分間加圧することにより、縦約125mm、横約215mm、厚み約2mmの直方体状の非発泡体を作製した。
[実施例14及び実施例15]
表3に示す割合で、上記[使用材料]で示す各材料を配合した。これらの各材料からなる組成物を、加圧ニーダー、ミキシングロールを用いて混練し、これを縦125mm、横215mm、厚み2mmのプレス金型内に充填し、160℃に加熱しながら、油圧130〜150kgf/cmで30分間加圧することにより、縦約125mm、横約215mm、厚み約2mmの直方体状の非発泡体を作製した。
[比較例2]
表3に示す割合で、上記[使用材料]で示す各材料を配合した。これらの各材料からなる組成物を、加圧ニーダー、ミキシングロールを用いて混練し、それを縦125mm、横215mm、厚み2mmのプレス金型内に充填し、160℃に加熱しながら、油圧130〜150kgf/cmで20分間加圧することにより、縦約125mm、横約215mm、厚み2mmの直方体状の非発泡体を作製した。
Figure 0006454723
[各実施例及び比較例の各組成物の表面自由エネルギー]
測定対象のアウターソールの表面に、1μLのイオン交換水を滴下した後、その10秒後にその液滴の接触角を測定した。同様に、アウターソールの表面に、1μLのジヨードメタンとを滴下した後、その10秒後にその液滴の接触角を測定した。それらの接触角を、上記式(x1)及び(x2)に代入し、式(x1)及び(x2)の連立方程式を解き、その解γ及びγを、式(y)に代入することによって、アウターソールの表面自由エネルギーを求めた。
ジヨードメタンは、和光純薬(株)製の1級試薬を用い、接触角の測定装置は、接触角計(協和界面科学(株)製DM−510Hi)を用いた。また、式(x1)及び(x2)のγH2O及びγCH3I(水及びジヨードメタンの表面自由エネルギー)は、D.H.Kaelble,The Journal of Adhesion,2,2 (1970) 66.に記載された値を引用した。
[各実施例及び比較例の算術平均粗さRa]
各実施例及び比較例で作製した発泡体又は非発泡体(アウターソールに相当する)の算術平均粗さRaは、JIS B0601−2001に準拠して測定した。具体的には、(株)キーエンス製ワンショット3D測定マクロスコープVR−3000を用いて表面粗さ(算術平均粗さ)を測定した。その結果を表1乃至表3に示す。
[各実施例及び比較例の静・動摩擦係数]
各実施例及び比較例で作製した発泡体又は非発泡体(アウターソールに相当する)の静・動摩擦係数は、JIS T8101に準拠して測定した。
具体的には、アウターソールを有さない安全靴の靴底に、実施例及び比較例で作製した発泡体又は非発泡体を固定し、水で濡れたステンレス上において、垂直荷重500N、すべり速度0.22m/秒の条件で滑りを与えた際の静・動摩擦係数を測定した。その結果を表1乃至表3に示す。
なお、実施例1乃至5及び比較例1の静摩擦係数及び動摩擦係数の結果については、表だけでなく、図4にグラフで示している。
[評価]
表1及び図4から、実施例1乃至5のアウターソールは、比較例1に比して、路面に対する静・動摩擦係数が高いことが判る。特に、塩素化ポリエチレン系エラストマーの含有量を大きくすることにより、静摩擦係数が顕著に増加することが判る。なお、摩擦係数の数値が高いほど滑りにくいと評価できる。
シューズの使用環境下では、アウターソールの静摩擦係数は、動作開始時の路面に対する摩擦に対応しており、その動摩擦係数は、動作停止時の路面に対する摩擦に対応している。前記動作開始時は、例えば、シューズを履いた者が走り又は歩き始めた時などが該当し、前記動作停止時は、例えば、シューズを履いた者が走っている途中でその向きを変える動作をした時などが該当する。
表2から、実施例6乃至12のアウターソールは、路面に対する静・動摩擦係数が高いことが判る。特に、ポリプロピレン系エラストマーを含まない実施例8、10及び12は、ポリオレフィン系エラストマーを含む実施例6、7、9及び11に比して動摩擦係数が顕著に高くなっている。また、ポリアミド系エラストマー又はウレタン系エラストマーを含む実施例7乃至12は、それらを含まない実施例6に比して静摩擦係数が高くなっている。さらに、実施例7と8との対比及び実施例9と10との対比から、ポリアミド系エラストマーをより多く配合することにより、大きな表面自由エネルギーを有するアウターソールを作製できることが判る。
表3から、実施例13乃至15のアウターソールは、比較例2に比して、路面に対する静・動摩擦係数が高いことが判る。
比較例2については、表面自由エネルギーが19.0mJ/mであったが、熱可塑性エラストマーを含まないため、その静・動摩擦係数は低かった。
本発明のアウターソールは、シューズの構成部材として利用できる。
1a,1b シューズ
2a,2b シューズ本体
3a,3b ミッドソール
5a,51b,52b アウターソール

Claims (6)

  1. 熱可塑性エラストマーをポリマー全体を100質量部とした場合に20質量部以上含み且つ下記測定方法によって測定される表面自由エネルギーが12mJ/m以上とされた組成物から形成されている、アウターソール。
    アウターソールの表面に、1μLのイオン交換水と、1μLのジヨードメタンとをそれぞれ滴下した後、10秒後にそれぞれの液滴の接触角を測定し、それらの接触角を元に、式(x1)及び(x2)の連立方程式を解き、その解γ 及びγ を、式(y)に代入することによって、表面自由エネルギーを求める。式(x1)、(x2)及び(y)において、γ ,γ 及びγ total は、それぞれ表面自由エネルギーにおける分散成分、極性成分及びこれらの和を示し、γ H2O 及びγ CH3I は、それぞれ水及びジヨードメタンの表面自由エネルギー、θ H2O 及びθ CH3I は、それぞれ水及びジヨードメタンの接触角を示し、水及びジヨードメタンの表面自由エネルギーは、文献値(D.H.Kaelble,The Journal of Adhesion,2,2 (1970) 66.)とする。
    Figure 0006454723
  2. 算術平均粗さRaが1000μm以下である、請求項1に記載のアウターソール。
  3. 前記熱可塑性エラストマーが、塩素化ポリエチレン系エラストマー、クロロスルホン化ポリエチレン系エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー及びウレタン系エラストマーから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載のアウターソール。
  4. 前記熱可塑性エラストマーが、塩素化ポリエチレン系エラストマー及びクロロスルホン化ポリエチレン系エラストマーの少なくとも一方を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアウターソール。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアウターソールを備えるシューズ。
  6. グリップ性に優れたアウターソールの製造方法であって、下記測定方法によって測定される表面自由エネルギーが12mJ/m以上の組成物であってポリマー全体を100質量部とした場合に熱可塑性エラストマーを20質量部以上含む組成物を成形することによってアウターソールを得る、アウターソールの製造方法。
    アウターソールの表面に、1μLのイオン交換水と、1μLのジヨードメタンとをそれぞれ滴下した後、10秒後にそれぞれの液滴の接触角を測定し、それらの接触角を元に、式(x1)及び(x2)の連立方程式を解き、その解γ 及びγ を、式(y)に代入することによって、表面自由エネルギーを求める。式(x1)、(x2)及び(y)において、γ ,γ 及びγ total は、それぞれ表面自由エネルギーにおける分散成分、極性成分及びこれらの和を示し、γ H2O 及びγ CH3I は、それぞれ水及びジヨードメタンの表面自由エネルギー、θ H2O 及びθ CH3I は、それぞれ水及びジヨードメタンの接触角を示し、水及びジヨードメタンの表面自由エネルギーは、文献値(D.H.Kaelble,The Journal of Adhesion,2,2 (1970) 66.)とする。
    Figure 0006454723
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