JP6446805B2 - 緑豆膨化物 - Google Patents
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Description
このエクストルーダーは、豆類の加工手段としても古くから用いられている。代表的な豆類原料は大豆であるが、大豆を原料とした場合、軽い食感のパフを調製することは難しい場合が多い。この問題は全脂大豆粉だけでなく、脱脂した素材である脱脂大豆粉や分離大豆たん白にも共通する。特許文献1では、脱脂大豆の抽出物である脱脂豆乳粉を原料に用いることで、パフの風味を改善する方法が開示されている。また、脱脂大豆と澱粉の混合物にカルシウムを添加することで、その膨化物の食感が軽くなる効果も知られている(特許文献2)。
本発明の目的は、風味が良く、膨化に優れた、喫食し易い緑豆膨化食品を、容易に調製することである。
(1)第2族元素化合物が添加された緑豆膨化物であって、該緑豆膨化物中の第2族元素化合物の添加量が、第2族元素量として乾燥物換算で0.05重量%〜10重量%である、緑豆膨化物、
(2)緑豆外皮を含まないものである、(1)に記載の緑豆膨化物、
(3)さらに澱粉が添加され、該澱粉の緑豆膨化物中の添加量が乾燥物換算で5重量%〜80重量%である、(1)または(2)に記載の緑豆膨化物、
(4)澱粉が、コーン,ハイアミロースコーン,ワキシーコーン,ジャガイモ,サツマイモ,タピオカ,小麦,米,エンドウから選ばれる1種以上である、(3)に記載の緑豆膨化物、
(5)緑豆膨化物の比重が、0.01以上0.26g/cm3以下である、(1)〜(4)の何れか1項に記載の緑豆膨化物、
(6)二軸エクストルーダーを用いて調製した、(1)〜(5)の何れか1項に記載の、緑豆膨化物、
(7)(1)〜(6)の何れか1項に記載の緑豆膨化物である、パフスナック、
(8)緑豆に第2族元素化合物を添加した後、膨化する緑豆膨化物の製造方法であって、該第2族元素化合物の緑豆膨化物中の添加量が第2族元素量として、乾燥物換算で0.05〜10重量%であることを特徴とする、緑豆膨化物の製造方法、
(9)さらに澱粉を添加し、該澱粉の緑豆膨化物中の添加量が乾燥物換算で5〜80重量%である、請求項8に記載の緑豆膨化物の製造方法、
に関するものである。
本発明における緑豆膨化物とは、緑豆を乾燥物比として、好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上、最も好ましくは60重量%以上含有するものであって、原料である緑豆等の食品素材に加熱加圧処理を行った後、急激に減圧処理を行うことで得られる、気泡に富んだ可食物のことを指す。
膨化の程度は、緑豆膨化物の乾燥物の比重として0.01g/cm3以上が好ましく、0.05g/cm3以上が特に好ましい。また、0.26g/cm3以下が好ましく、0.22g/cm3以下がより好ましく、0.15g/cm3以下が更に好ましく、0.11g/cm3以下が特に好ましい。比重が大き過ぎると食感が重くなり軽快さが失われる。一方、比重が小さ過ぎると嵩が大きくなり過ぎ、また食感も軽すぎるため食品として不適となる場合がある。
本発明の緑豆膨化物は大豆成分を含まないことが望ましい。大豆成分が含まれる場合、緑豆膨化物の風味が悪くなる場合や、膨化が十分でない場合がある。
本発明は原料に緑豆を使用することを必須とする。緑豆はマングビーン(mung bean)とも呼ばれる、ヤエナリ(Vigna radiata)の種子であり、中国,タイ,ビルマ等で育成されている。緑色の豆の総称ではなく、グリーンピースやエンドウとは異なる。本発明では特許文献3や特許文献4と異なり、意外にも、脱皮を行い更に胚軸を除去した原料を用いても、後述する第2族元素化合物を配合することで、風味、食感の良好な膨化物を得ることができる。なお、緑豆は適宜粉砕等して使用することができる。
本発明はこれら膨化物中に第2族元素化合物が添加されることが特徴である。第2族元素化合物とは、マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム等の第2族元素について、その炭酸塩,硫酸塩,硝酸塩,塩化物,リン酸塩等の塩や、酸化物,水酸化物等を指す。風味や機能から、第2族元素はカルシウムまたはマグネシウムが好ましく、カルシウムが最も好ましい。また、化合物としては塩が好ましく、炭酸塩が最も好ましい。
緑豆膨化物中の第2族元素化合物の添加量は、第2族元素として乾燥物換算で0.05重量%〜10重量%であることが必要である。0.1重量%以上が好ましく、0.2重量%以上が更に好ましい。また、5重量%以下が好ましく、2重量%以下が更に好ましい。0.05重量%未満では膨化による食感改良効果が弱く、10重量%を超えると第2族元素に由来する風味が強くなる。
加熱加圧処理には、緑豆と第2族元素化合物だけでなく、他の物質を添加物として加えたものも原料として用いることもできる。他の物質としては、豆類,穀物,芋類,野菜,果実等の食品や、これらから単離した、澱粉,繊維,油脂,蛋白質,無機物等の素材、また、糖類,蛋白加水分解物,エキス等の着味剤や、香料,色素等の添加物、更にはこれらの混合物や乳化物等の加工物が例示できる。
加熱加圧処理に供与する原料中に、緑豆は乾燥物比として20重量%以上含まれることが好ましく、40重量%以上含まれることが更に好ましく、60重量%以上含まれることが最も好ましい。緑豆が少ないと、本発明の目的である蛋白質の摂取が難しくなる。
加熱加圧処理時に澱粉を添加することで、著しく膨化を高めることができる。緑豆膨化物中の澱粉の添加量は、乾燥物換算で5重量%以上であることが好ましく、20重量%以上が更に好ましい。また、80重量%以下が好ましく、60重量%以下が更に好ましい。澱粉量が多いと膨化し易くなるが、緑豆蛋白質の含量が減少するため、蛋白質の摂取が難しくなる。澱粉量が少ないと、膨化がややし難くなることがある。
用いる澱粉は、コーン,ハイアミロースコーン,ワキシーコーン,ジャガイモ,サツマイモ,タピオカ,小麦,米,エンドウ等の、各種の澱粉、更には、これらを化学処理または物理処理によって化工されたものも使用することができる。これらの澱粉は1種以上を使用することができる。中でもコーンスターチ,タピオカ澱粉,ジャガイモ澱粉は、膨化の状態を良好に保つことが出来、好ましい。
膨化の装置としては、加圧加熱できる押出機(エクストルーダー)が好ましい。押出機は公知の装置を使用することができるが、一軸より二軸またはそれ以上の多軸の装置が、混錬が強く安定的に膨化が行えることから更に好ましい。現実的には、二軸エクストルーダーの使用が最も適切である。
上述した緑豆原料に加水し、押出機等により加熱加圧を行う。条件の一例をあげれば、原料中に10〜70重量%、好ましくは20〜50重量%になるように加水を行う。加水量が少ないと、焦げ等の発生の恐れがあり、加水量が多いと膨化が抑制される。内部温度は、先端バレル温度120〜220℃が好ましく、140〜200℃が更に好ましい。温度が低いと膨化が不十分となり、温度が高すぎると焦げ等が発生するおそれがある。
調製された膨化物は、必要に応じて乾燥を行うことで、パフスナックとすることができる。乾燥方法としては流動層乾燥、通気流乾燥、平行流乾燥、回転乾燥、気流乾燥等が挙げられる。乾燥後の水分は、12重量%以下が好ましく、10重量%以下が更に好ましく、7重量%以下が最も好ましい。水分が低いと、食感が軽快となり、また保存性が向上する。
パフスナックは、乾燥の前または後に、種々の物質を添加することができる。具体的には、油脂、糖質、食塩等のミネラル、甘味料,蛋白加水分解物,グルタミン酸,核酸,エキス類等の調味剤、香料やシーズニングオイル、乳化剤、色素等々が挙げられる。
これらパフスナックは、そのまま食しても良いし、更に他の食品や食品素材と組み合わせても良い。
第2族元素化合物の添加効果を確認した。緑豆を脱皮脱胚軸後に粉砕して調製した緑豆粉に、表1の配合で各原料を混合し、下記条件の二軸押出機による膨化を行った。
使用押出機:幸和工業(株)社製KEI-45-25型二軸押出機。
使用ダイス:直径2.5mm×10穴
処理量:粉体原料流量30kg/h
スクリュー回転数:200rpm
一定条件での評価のため組織化の品温を160℃となるよう添加する水を調整し、第1〜5バレル温度も調節した。得られた膨化物は、長さ5mm程度となるようダイス出口直後にカッターで切断し、タバイ(株)社製ESPEC PV-221乾燥機にて水分6重量%となるよう80℃の熱風で乾燥を行った。尚、膨化物の評価は比重の実測と官能評価により行った。比重は食感の軽さとも相関があり、500mlのメスシリンダーへ試料を加え、体積変化がなくなるまでタッピングした後、試料重量と体積の測定値から算出した。
比重に加え、風味を以下の基準で官能評価した。更にこれらから総合評価を行った。各評価基準は以下の通りである。
比重:数値が低いほど食感が軽く良好になる傾向にあり、以下の評価とした。
0.11 g/cm3以下:非常に良好、0.12〜0.22 g/cm3:良好、0.23〜0.26 g/cm3:やや良好、0.27 g/cm3以上:悪い
風味:「○:良好」「△:やや悪い」「×:悪い」
風味及び比重から総合評価を行った。総合評価は、◎:非常に良好、○:良好、△:やや良好、×:悪いとし、◎、○、△のものを合格とした。
各種澱粉の添加効果を確認した。実施例1と同様に、緑豆膨化物を調製した。但し、配合は表2に拠った。
緑豆粉の代わりに、エンドウ粉または脱脂大豆を用いて、同様の検討を行った。脱脂大豆は澱粉を含まないため、コーンスターチを脱脂大豆に対して50重量%置換したものを標準とし、更にカルシウム塩を添加した。他の操作は実施例1と同様に行い、配合は表3に拠った。また、未脱皮の緑豆破砕物を用いて、試験例4と同様の調製を行った。
試験例9で調製した膨化物90重量部に、ジグリセリンモノオレイン酸エステル(HLB:8)(理研ビタミン(株)製)を1重量%含む、パームオレイン(ヨウ素価57.5)10重量部をスプレー塗布した。続けて食塩1重量部をまぶすことで、パフスナック菓子を調製した。得られたパフスナック菓子は、風味も良く、軽い食感で良好だった。
Claims (7)
- 第2族元素化合物が添加された緑豆膨化物であって、該緑豆膨化物中の第2族元素化合物の添加量が、第2族元素量として乾燥物換算で0.05重量%〜10重量%であり、該緑豆膨化物の比重が、0.01以上0.26g/cm 3 以下である、緑豆膨化物。
- 緑豆外皮を含まないものである、請求項1に記載の緑豆膨化物。
- さらに澱粉が添加され、該澱粉の緑豆膨化物中の添加量が乾燥物換算で5重量%〜80重量%である、請求項1または2に記載の緑豆膨化物。
- 澱粉が、コーン,ハイアミロースコーン,ワキシーコーン,ジャガイモ,サツマイモ,タピオカ,小麦,米,エンドウから選ばれる1種以上である、請求項3に記載の緑豆膨化物。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の緑豆膨化物である、パフスナック。
- 緑豆に第2族元素化合物を添加した後、膨化する緑豆膨化物の製造方法であって、該第2族元素化合物の緑豆膨化物中の添加量が第2族元素量として、乾燥物換算で0.05〜10重量%であり、該緑豆膨化物の比重が、0.01以上0.26g/cm 3 以下であることを特徴とする、緑豆膨化物の製造方法。
- さらに澱粉を添加し、該澱粉の緑豆膨化物中の添加量が乾燥物換算で5〜80重量%である、請求項6に記載の緑豆膨化物の製造方法。
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