JP6446275B2 - 対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパ - Google Patents

対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパ Download PDF

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Description

この発明は、車両(例えば自動車)の制動に使用する対向ピストン型ディスクブレーキを構成するキャリパの改良に関する。
自動車の制動を行う為に、ディスクブレーキが広く使用されている。ディスクブレーキによる制動時には、車輪と共に回転するロータの軸方向両側に配置された1対のパッドを、ピストンによりこのロータの両側面に押し付ける。この様なディスクブレーキとして従来から各種構造のものが知られているが、ロータの両側にピストンを互いに対向する状態で設けた対向ピストン型ディスクブレーキは、安定した制動力を得られる事から、近年使用例が増えている。
図15〜17は、特許文献1に記載された、対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパの従来構造の1例を示している。このキャリパ1は、アルミニウム合金等の軽合金や鉄系合金の鋳造等により一体成形したもので、インナボディ部2と、アウタボディ部3と、回入側連結部4と、回出側連結部5とを備えている。
このうちのインナボディ部2は、車輪と共に回転するロータ6のインナ側面(車両への組み付け状態で、車体の幅方向中央側の側面)に対向する状態で設けられている。これに対し、前記アウタボディ部3は、前記ロータ6のアウタ側面(車両への組み付け状態で、車体の幅方向外側の側面)に対向する状態で設けられている。又、前記回入側、回出側両連結部4、5は、前記ロータ6の外周縁よりも径方向外側に設けられている。又、このうちの回入側連結部4は、前記インナ、アウタ両ボディ部2、3の回入側端部同士を連結しており、前記回出側連結部5は、これらインナ、アウタ両ボディ部2、3の回出側端部同士を連結している。そして、前記インナ、アウタ両ボディ部2、3と前記回入側、回出側両連結部4、5とにより四周を囲まれた部分を、径方向に貫通する開口部7としている。又、この開口部7の周方向中央部分で、前記インナ、アウタ両ボディ部2、3の周方向中間部同士を、前記ロータ6の外周縁よりも径方向外方に設けた、中央ブリッジ部8により連結している。前記開口部7は、この中央ブリッジ部8により、周方向に2分割されている。
尚、本明細書及び特許請求の範囲で、軸方向、周方向、径方向とは、特に断らない限り、ロータの軸方向、周方向、径方向を言う。又、回入側とは、特に断らない限り、前進時の状態で車輪と共に回転するロータが、インナ、アウタ両ボディ同士の間に入り込む側を言い、回出側とは、このロータがインナ、アウタ両ボディ同士の間から抜け出す側を言う。
又、前記インナ、アウタ両ボディ部2、3の互いに対向する面には、それぞれインナシリンダ9、9とアウタシリンダとが設けられている。尚、図15には、インナシリンダ9、9のみを示しているが、前記アウタボディ部3にも、前記ロータ6を挟んで対称に、これらインナシリンダ9、9と同形状のアウタシリンダが設けられている。ディスクブレーキ装置を組み立てた状態で、これらインナシリンダ9、9及びアウタシリンダは、それぞれ前記ロータ6のインナ側面及びアウタ側面に向けてそれぞれ開口した状態となる。
又、前記キャリパ1の内側には、使用状態で、インナパッド10及びアウタパッドが、それぞれ軸方向の変位を可能に支持される。この為に、図17に示した様に、前記インナボディ部2及び前記アウタボディ部3の互いに対向する側面(インナボディ部2のアウタ側面、アウタボディ部3のインナ側面)のうちの周方向両端部に、軸方向に張り出した1対の張出壁部11、11をそれぞれ設けている。又、これら各張出壁部11、11の径方向内側面に、支持金具12、12を、それぞれボルト13、13により固定している。そして、これら各支持金具12、12のうち、前記各張出壁部11、11の径方向内側面から周方向に突出した係合突片14、14に対し、インナ、アウタ各パッド10の周方向両端部を軸方向の変位を可能に係合させている。
制動時には、前記各インナシリンダ9、9に油密に嵌装したインナピストンにより、前記インナボディ部2に支持された前記インナパッド10を、前記ロータ6のインナ側面に押し付ける。同様に、前記各アウタシリンダに油密に嵌装したアウタピストンにより、前記アウタボディ部3に支持されたアウタパッドを、前記ロータ6のアウタ側面に押し付ける。これにより、このロータ6が、前記インナパッド10と前記アウタパッドとにより、軸方向両側から強く挟持される。そして、これらインナ、アウタ両パッド10と前記ロータ6の軸方向両側面との摩擦により制動が行われる。又、制動時に、これらインナ、アウタ両パッド10に作用するトルクは、前記ロータ6を挟んでインナ側とアウタ側とにそれぞれ設けられた、回入側トルク受部15と回出側トルク受部16とにより、それぞれ支承される。図示の構造の場合には、これら回入側、回出側両トルク受部15、16は、前記各張出壁部11、11と前記各支持金具12、12によりそれぞれ構成されている。
ところで、対向ピストン型ディスクブレーキ用のキャリパには、次の(1)、(2)の性能が従来から要求されている。
(1) 冷却性(放熱性)の向上
制動時には、ロータの側面とインナ、アウタ両パッドのライニングとの摩擦により熱が発生するが、これらロータ及びインナ、アウタ両パッドを十分に冷却できないと、摩擦係数の低下を招き、制動力が低下する可能性がある。又、キャリパには、トルク受部を通じてインナ、アウタ各パッドから熱が伝わるが、このキャリパの温度が高温になると、キャリパ内部に存在するブレーキ液の温度上昇を招き、やはり制動力を低下させる可能性がある。
(2) 剛性の確保
制動時には、インナ、アウタ各ピストンにより、インナ、アウタ両パッドをロータの両側面に押し付ける反作用として、インナ、アウタ両ボディ部に、互いに離れる方向の力が加わる。この為、キャリパの剛性が十分でないと、これらインナ、アウタ両ボディ部同士が互いに離れる方向に弾性変形し、所期の制動力が得られなくなる可能性がある。又、剛性が十分でない場合には、制動時に、前記アウタボディ部が前記インナボディ部に対してロータの回転方向に変位する様に弾性変形し、振動や騒音を発生させる可能性がある。
対向ピストン型ディスクブレーキ用のキャリパには、上述の(1)、(2)の性能が求められているが、これら(1)、(2)に示した性能を、両立させる事は難しい。
例えば、前記図15〜17に示した従来構造のキャリパ1の場合、回入側、回出側両連結部4、5のうち、開口部7の周方向端縁を仕切る内端縁が、回入側、回出側両トルク受部15、16よりも、周方向に関して内側(中央側)に張り出している為、これら回入側、回出側両トルク受部15、16を効率良く冷却する面からは不利になる。そこで、冷却性の向上を図る為に、前記回入側、回出側両連結部4、5の内端縁の位置を、図示の位置よりも周方向外側にそれぞれ移動させて、前記開口部7の面積を広くする事が考えられる。この様な構成を採用すれば、ロータ6及びインナ、アウタ両パッド10の冷却性を向上できると共に、前記回入側、回出側両トルク受部15、16を冷却し易くできる。しかしながら、この様な構成を採用した場合には、前記回入側、回出側両連結部4、5の周方向幅寸法が小さくなる為、前記キャリパ1の剛性を確保する事が難しくなる。この様に、対向ピストン型ディスクブレーキ用のキャリパに関して、冷却性の向上と剛性の確保とを両立させる事は困難である。
特開2010−078055号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、対向ピストン型ディスクブレーキ用のキャリパに関して、冷却性の向上と剛性の確保とを両立させられる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパは、インナ、アウタ両ボディ部と、回入側、回出側両連結部と、回入側、回出側両トルク受部と、開口部とを備える。
このうちのインナボディ部は、車輪と共に回転するロータのインナ側面に対向する状態で設けられるもので、このインナ側面に向けて開口する1乃至複数個(例えば2個又は3個)のインナシリンダを有する。
又、前記アウタボディ部は、前記ロータのアウタ側面に対向する状態で設けられるもので、このアウタ側面に向けて開口する1乃至複数個(例えば2個又は3個)のアウタシリンダを有する。
又、前記回入側、回出側両連結部は、前記ロータの外周縁よりも径方向外側に設けられて、前記インナボディ部の周方向両端部と前記アウタボディ部の周方向両端部とを互いに連結する。
又、前記回入側、回出側両トルク受部は、前記ロータを挟んだ状態で軸方向の変位を可能に支持された1対のパッドに、制動時に作用するトルクを支承する部分である。
更に、前記開口部は、前記インナ、アウタ両ボディ部と前記回入側、回出側両連結部とにより四周を囲まれた部分に、径方向に貫通する状態で設けられている。
特に、本発明の対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパの場合には、前記回入側、回出側両連結部の少なくとも一方の連結部のうち、前記開口部の周方向端部を仕切る内端縁の軸方向中間部と、前記インナボディ部のうち周方向に関して前記一方の連結部側に存在するインナシリンダと整合する部分(周方向に関する位置がこの一方の連結部側に存在するインナシリンダと一致する部分)、及び、前記アウタボディ部のうち周方向に関して前記一方の連結部側に存在する前記アウタシリンダと整合する部分(周方向に関する位置がこの一方の連結部側に存在するアウタシリンダと一致する部分)との間部分にそれぞれ、周方向両側面(幅方向両側面)が軸方向に対してそれぞれ同方向に傾斜した補強ブリッジ部を、前記ロータの外周縁よりも径方向外側に架け渡す様に設けている。
更に、前記開口部のうちで、前記各補強ブリッジ部により他の部分と分割された隅角開口部を通じて、前記回入側、回出側両トルク受部のうち、周方向に関して前記一方の連結部側に位置している一方のトルク受部を径方向外方に露出させている。
前記隅角開口部を通じて径方向外方に露出した前記一方のトルク受部を、前記インナボディ部のアウタ側面から軸方向に張り出す様に前記インナボディ部と一体に設けられたインナ側張出壁部の周方向内側面、及び、前記アウタボディ部のインナ側面から軸方向に張り出す様に前記アウタボディ部と一体に設けられたアウタ側張出壁部の周方向内側面により構成している。
尚、本発明を実施する場合に、前記各補強ブリッジ部は、軸方向に対して傾斜していれば、直線状であって良いし、湾曲していても(例えば円弧状でも)良い。又、インナ、アウタ各シリンダをそれぞれ1つずつ設ける場合には、当該インナ、アウタ各シリンダが、特許請求の範囲に記載した一方の連結部側に存在するインナシリンダ及びアウタシリンダに相当する。
上述の様な本発明を実施する場合には、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記各補強ブリッジ部の周方向外端部と、前記一方の連結部の内端縁の軸方向中間部とを、周方向に伸長した中継部を介して接続する。
又、本発明を実施する場合には、例えば請求項3に記載した発明の様に、前記回入側、回出側両連結部に、それぞれ前記各補強ブリッジ部を2本ずつ架け渡す様に設ける。
又、本発明を実施する場合には、例えば請求項4に記載した発明の様に、前記インナボディ部の周方向中間部(好ましくは周方向に関してインナシリンダと整合する部分)と、前記アウタボディ部の周方向中間部(好ましくは周方向に関してアウタシリンダと整合する部分)とを、前記ロータの外周縁よりも径方向外側に設けられた中央ブリッジ部により互いに連結する。
尚、この様な請求項4に記載した発明は、例えばインナシリンダ及びアウタシリンダをそれぞれ3個以上有する構造に好ましく実施できる。
更に、上述した様な請求項4に記載した発明を実施する場合には、例えば請求項5に記載した発明の様に、前記中央ブリッジ部の径方向厚さ寸法を、回出側部分よりも回入側部分で厚くする。
又、この様な請求項5に記載した発明を実施する場合には、例えば、前記中央ブリッジ部の径方向外側面のうちの回入側部分に、径方向外方に突出したリブ部を設ける事により、前記中央ブリッジ部の径方向厚さ寸法を、回出側部分よりも回入側部分で厚くする事ができる。
又、本発明を実施する場合には、例えば請求項6に記載した発明の様に、前記回入側、回出側両トルク受部を、前記インナボディ部及び前記アウタボディ部にそれぞれ一体的に設ける事ができる。
又、本発明を実施する場合には、例えば請求項7に記載した発明の様に、前記隅角開口部を、径方向だけでなく、軸方向にも開口させる事ができる。
更に、本発明を実施する場合には、例えば請求項8に記載した発明の様に、前記隅角開口部を、径方向だけでなく、周方向にも開口させる事ができる。
上述の様に構成する本発明の対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパによれば、冷却性の向上と剛性の確保とを、両立させる事ができる。
即ち、本発明の場合には、回入側、回出側両連結部の少なくとも一方の連結部のうち、開口部の周方向端部を仕切る内端縁の軸方向中間部と、インナボディ部及びアウタボディ部との間部分にそれぞれ、補強ブリッジ部を架け渡す様に設けている。この為、この様な補強ブリッジ部を設けない場合に比べて、キャリパの剛性を向上させられる。
特に本発明の場合には、前記各補強ブリッジ部の周方向内端部(中央側端部)を、前記インナ、アウタ両ボディ部のうち、周方向に関して前記一方の連結部側に存在するインナシリンダ及びアウタシリンダと整合する部分にそれぞれ接続している為、前記インナ、アウタ両ボディ部同士が互いに軸方向に離れる方向に変位する事に対する剛性を効果的に向上できる。更に、前記各補強ブリッジ部を、軸方向に対して傾斜させている為、前記アウタボディ部が前記インナボディ部に対してロータの回転方向に弾性変形する事に対する剛性も効果的に向上できる。
そして、本発明の場合には、この様に剛性を向上させられる分、前記一方の連結部の周方向に関する幅寸法を短くして(開口部の周方向に関する幅寸法を長くして)、前記開口部のうちで、前記各補強ブリッジ部により他の部分と分割された隅角開口部を通じて、トルク受部を径方向外方に露出させている。従って、本発明によれば、前記開口部のうちの隅角開口部を通じて、前記トルク受部を直接冷却する(冷却風を直接導く)事が可能になり、キャリパ及びブレーキ液の温度上昇を効果的に抑える事ができる。
この結果、本発明によれば、冷却性の向上と剛性の確保とを両立させる事ができる。
又、本発明によれば、前記隅角開口部を通じて、例えばエンドミル等の切削工具や研削工具等を、径方向外方から挿入する事により、キャリパの径方向外方から前記トルク受部の加工を行う事が可能になる。
又、請求項2に記載した発明の様に、前記各補強ブリッジ部の周方向外端部を中継部を介して前記一方の連結部に接続すれば、前記隅角開口部のうちで、軸方向に関してロータ側(キャリパの中央側)に存在する部分の周方向長さ寸法を、中継部を設けない場合に比べて大きくできる。この為、前記隅角開口部を通じて前記トルク受部を加工する際に、このトルク受部のうちで、軸方向に関してロータ側に存在する部分の加工性を向上する事ができる。
更に、本発明のよれば、前記各補強ブリッジ部の径方向内側面を利用して、前インナ、アウタ両パッドの周方向端部と前記トルク受部との間部分に配置するパッドクリップを弾性的に支持する事ができる。この為、パッドクリップを設ける事による、前記インナ、アウタ両パッドの挙動の安定化を図る事ができる。
又、請求項5に記載した発明によれば、特に前記インナ、アウタ各シリンダをそれぞれ3個以上設ける構造に関して、前記インナボディ部と前記アウタボディ部とが、互いに離れる方向に弾性変形するのを効果的に防止できる。
更に、請求項6に記載した発明によれば、中央ブリッジ部のうちの回入側部分の剛性を高める事ができる。この為、制動時に、インナ、アウタ両パッドの回入側部分が径方向外方に浮き上がる様に変位する力を、前記中央ブリッジ部の径方向内側面のうちの回入側部分で、有害な変形等を生じる事なく支承できる。従って、前記インナ、アウタ両パッドの挙動を安定させる事ができる。
更に、請求項7に記載した発明によれば、冷却風を、径方向だけでなく、軸方向から、ロータやインナ、アウタ両パッド、更にはトルク受部に導く事が可能になる為、冷却性の更なる向上を図る事が可能になる。
これに対し、請求項8に記載した発明の場合にも、冷却風を、径方向だけでなく、周方向から、ロータやインナ、アウタ両パッド、更にはトルク受部に導く事が可能になる為、冷却性の更なる向上を図る事が可能になる。
本発明の実施の形態の1例を示す、対向ピストン型ディスクブレーキの正面図。 同じく右側面図。 同じく平面図。 同じく径方向外方且つアウタ側から見た斜視図。 同じく径方向外方且つインナ側から見た斜視図。 同じく図3のA−A断面に相当する図。 同じくキャリパを取り出して示す、図1に相当する図 同じくキャリパを取り出して示す、図2に相当する図。 同じくキャリパを取り出して示す、図3に相当する図。 同じくキャリパを取り出して示す、図4に相当する図。 同じくキャリパを取り出して示す、図5に相当する図。 同じくキャリパを取り出して示す、図6に相当する図。 同じくパッドクリップを取り出して示す、正面図(A)、右側面図(B)、平面図(C)。 同じくパッドクリップを取り出して示す、径方向外方且つ周方向内方から見た斜視図(A)、及び、径方向外方且つ周方向外方から見た斜視図(B)。 従来構造の対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパを示す斜視図。 同じく平面図。 同じくインナパッドを組み込んだ状態で示す、図16のB−B断面に相当する図。
[実施の形態の1例]
本発明の実施の形態の1例に就いて、図1〜14を参照しつつ説明する。本例の対向ピストン型ディスクブレーキは、大別して、キャリパ1aと、1対のパッド17、18(インナパッド17、アウタパッド18)と、1対のパッドクリップ19a、19bとを備えている。
前記キャリパ1aは、アルミニウム合金等の軽合金や鉄系合金の鋳造等により一体成形されたもので、インナボディ部2aと、アウタボディ部3aと、回入側連結部4aと、回出側連結部5aと、開口部7aと、中央ブリッジ部8aと、4本の補強ブリッジ部20、21(回入側補強ブリッジ部20a、20b及び回出側補強ブリッジ部21a、21b)とを備えている。
このうちのインナボディ部2aは、車輪と共に回転するロータ6(前記図16参照)のインナ側面に対向する状態で設けられるもので、それぞれがこのインナ側面に向けて開口する、複数個(図示の例では3個)のインナシリンダ22a、22b、22cを有する。又、図示の構造の場合、これらインナシリンダ22a、22b、22cの内径を、回入側、中央、回出側の順に大きくしている。又、前記インナボディ部2aのアウタ側面(インナ、アウタ両ボディ部2a、3a同士が対向する面)の周方向両端部に、それぞれ軸方向に張り出したインナ側張出壁部23a、23bを設けている。又、これら両インナ側張出壁部23a、23bの径方向内端部に、周方向に関して互いに近づく方向に突出した、インナ側係合凸部24a、24bを設けている。そして、周方向に関して対向する前記両インナ側張出壁部23a、23bの周方向内側面(インナ側係合凸部24a、24bが設けられた部分を除く)同士の間隔を、前記インナパッド17を構成するプレッシャプレート17aの周方向長さ寸法よりも僅かに大きくしている。これに対し、周方向に関して互いに対向する前記両インナ側係合凸部24a、24bの先端面同士の間隔を、前記プレッシャプレート17aの周方向長さ寸法よりも小さくしている。
ディスクブレーキの組立状態では、前記インナパッド17を、前記両インナ側張出壁部23a、23bの周方向内側面同士の間に、後述するパッドクリップ19a、19bを介して配置すると共に、前記インナパッド17(プレッシャプレート17a)の周方向両端部を、前記両インナ側係合凸部24a、24bに対し、軸方向の変位を可能に係合させる。従って、本例の場合には、前記インナボディ部2aの回入側に一体的に設けられたインナ側張出壁部23aの周方向内側面及びインナ側係合凸部24aの径方向外側面が、インナ側の回入側トルク受部25aを構成し、同じく回出側に一体的に設けられたインナ側張出壁部23bの周方向内側面及びインナ側係合凸部24bの径方向外側面が、インナ側の回出側トルク受部26aを構成する。又、この様なインナボディ部2aの外面には、前記キャリパ1aを図示しないナックルに支持固定する為のボルトを挿通する取付孔27、27の他、給油ポート等を設けている。前記インナシリンダ22a、22b、22c及び次述するアウタシリンダ28a、28b、28c内には、この給油ポートを通じて圧油を給排する。
前記アウタボディ部3aは、前記ロータ6のアウタ側面に対向する状態で設けられるもので、それぞれがこのアウタ側面に向けて開口する、複数個(図示の例では3個)のアウタシリンダ28a、28b、28cを有する。又、図示の構造の場合、これらアウタシリンダ28a、28b、28cの内径を、回入側、中央、回出側の順に大きくしている。又、前記アウタボディ部3aのインナ側面の周方向両端部に、それぞれ軸方向に張り出したアウタ側張出壁部29a、29bを設けている。又、これら両アウタ側張出壁部29a、29bの径方向内端部に、周方向に関して互いに近づく方向に突出した、アウタ側係合凸部30a、30bを設けている。そして、周方向に関して対向する前記両アウタ側張出壁部29a、29bの周方向内側面(アウタ側係合凸部30a、30bが設けられた部分を除く)同士の間隔を、前記アウタパッド18を構成するプレッシャプレート18aの周方向長さ寸法よりも僅かに大きくしている。これに対し、周方向に関して対向する前記両アウタ側係合凸部30a、30bの先端面同士の間隔を、前記プレッシャプレート18aの周方向長さ寸法よりも小さくしている。
ディスクブレーキの組立状態では、前記アウタパッド18を、前記両アウタ側張出壁部29a、29bの周方向内側面同士の間に、後述するパッドクリップ19a、19bを介して配置すると共に、前記アウタパッド18(プレッシャプレート18a)の周方向両端部を前記両アウタ側係合凸部30a、30bに対し、軸方向の変位を可能に係合させる。従って、本例の場合には、前記アウタボディ部3aの回入側に一体的に設けられたアウタ側張出壁部29aの周方向内側面及びアウタ側係合凸部30aの径方向外側面が、アウタ側の回入側トルク受部25bを構成し、同じく回出側に一体的に設けられたアウタ側張出壁部29bの周方向内側面及びアウタ側係合凸部30bの径方向外側面が、アウタ側の回出側トルク受部26bを構成する。
尚、ディスクブレーキを組み立てた状態で、前記インナ側張出壁部23a、23bと前記アウタ側張出壁部29a、29bとの互いに対向する軸方向側面同士の間に、前記ロータ6の外周縁部が入り込む。
前記回入側、回出側両連結部4a、5aは、前記ロータ6の外周縁よりも径方向外側に設けられて、前記インナボディ部2aの周方向両端部と前記アウタボディ部3aの周方向両端部とを互いに連結している。より具体的には、前記回入側連結部4aは、前記インナボディ部2aの回入側端部と前記アウタボディ部3aの回入側端部とを互いに軸方向に連結しており、前記回出側連結部5aは、前記インナボディ部2aの回出側端部と前記アウタボディ部3aの回出側端部とを互いに軸方向に連結している。
そして、前記インナ、アウタ両ボディ部2a、3aと前記回入側、回出側両連結部4a、5aとにより四周を囲まれた部分を、径方向に貫通する、平面視略矩形状の前記開口部7aとしている。特に本例の場合には、この開口部7aの周方向長さ寸法を、前述した従来構造の場合に比べて大きくし、この開口部7aの周方向両端部の周方向位置(回入側、回出側両連結部4a、5aの内端縁の位置)を、前記回入側、回出側各トルク受部25a、25b、26a、26bを構成する前記インナ側、アウタ側各張出壁部23a、23b、29a、29bの周方向内側面の周方向位置と一致させている。この為、前記開口部7aの周方向両端部の周方向位置は、前記回入側、回出側各トルク受部25a、25b、26a、26bを構成する前記インナ側、アウタ側各係合凸部24a、24b、30a、30bよりも周方向外側に位置している。
又、前記開口部7aの周方向中央部分で、前記インナ、アウタ両ボディ部2a、3aの周方向中間部同士を、軸方向(ロータの中心軸とほぼ平行)に配置されると共に前記ロータの外周縁よりも径方向外方に設けられた、前記中央ブリッジ部8aにより連結している。本例の場合、この中央ブリッジ部8aのインナ側端部を、前記インナボディ部2aのうち周方向中央に配置されたインナシリンダ22bと整合する部分に連結すると共に、同じくアウタ側端部を前記アウタボディ部3aのうち周方向中央に配置されたアウタシリンダ28bと整合する部分に連結している。又、前記中央ブリッジ部8aの径方向外側面のうちの回入側半部に、径方向外方に向けて突出したリブ部31を全長に亙り形成し、前記中央ブリッジ部8aの径方向厚さ寸法を、回入側部分で回出側部分よりも厚くしている。本例の場合、この様な中央ブリッジ部8aにより、前記開口部7aを周方向に2分割している。
特に本例のキャリパ1aの場合には、前記回入側連結部4aのうち、前記開口部7aの周方向端部を仕切る内端縁の軸方向中央部と、前記インナボディ部2a及び前記アウタボディ部3aとの間部分に、軸方向に対して傾斜した回入側補強ブリッジ部20a、20bを、前記ロータ6の外周縁よりも径方向外側に略V字状に掛け渡す様に設けている。又、前記回出側連結部5aのうち、前記開口部7aの周方向端部を仕切る内端縁の軸方向中央部と、前記インナボディ部2a及び前記アウタボディ部3aとの間部分に、軸方向に対して傾斜した回出側補強ブリッジ部21a、21bを、前記ロータ6の外周縁よりも径方向外側に略V字状に掛け渡す様に設けている。又、本例の場合、前記回入側、回出側各補強ブリッジ部20a、20b、21a、21bの剛性(幅寸法及び厚さ寸法)を、前記中央ブリッジ部8aの剛性(幅寸法及び厚さ寸法)よりも小さくしている。
又、前記回入側補強ブリッジ部20a、20bのうち、インナ側の回入側補強ブリッジ部20aの周方向内端部(中央側端部)は、前記インナボディ部2aのうち回入側に配置されたインナシリンダ22aと整合する部分に連結されており、アウタ側の回入側補強ブリッジ部20bの周方向内端部(中央側端部)は、前記アウタボディ部3aのうち回入側に配置されたアウタシリンダ28aと整合する部分に連結されている。これに対し、前記インナ側の回入側補強ブリッジ部20aの周方向外端部(回入側端部)と、前記アウタ側の回入側補強ブリッジ部20bの周方向外端部(回入側端部)とは、周方向に伸長する回入側中継部32を介して、前記回入側連結部4aに接続されている。より具体的には、この回入側連結部4aの内端縁の軸方向中央部から周方向内側に向けて延出する状態で設けられた前記回入側中継部32の周方向内端縁に、前記両回入側補強ブリッジ部20a、20bの周方向外端部を互いに連結する状態で接続している。
一方、前記回出側補強ブリッジ部21a、21bのうち、インナ側の回出側補強ブリッジ部21aの周方向内端部(中央側端部)は、前記インナボディ部2aのうち回出側に配置されたインナシリンダ22cと整合する部分に連結されており、アウタ側の回出側補強ブリッジ部21bの周方向内端部(中央側端部)は、前記アウタボディ部3aのうち回出側に配置されたアウタシリンダ28cと整合する部分に連結されている。これに対し、前記インナ側の回出側補強ブリッジ部21aの周方向外端部(回出側端部)と、前記アウタ側の回出側補強ブリッジ部21bの周方向外端部(回出側端部)とは、周方向に伸長する回出側中継部33を介して、前記回出側連結部5aに接続されている。より具体的には、この回出側連結部5aの内端縁の軸方向中央部から周方向内側に向けて延出する状態で設けられた前記回出側中継部33の周方向内端縁に、前記両回出側補強ブリッジ部21a、21bの周方向外端部を互いに連結する状態で接続している。
又、本例の場合には、上述の様な構成を有する回入側、回出側各補強ブリッジ部20a、20b、21a、21bを設ける事により、前記開口部7aのうちの4つの隅角部に、これら回入側、回出側各補強ブリッジ部20a、20b、21a、21bにより他の部分(内側部分)と分割された、略台形状の隅角開口部34a、34b、34c、34dを形成している。そして、これら隅角開口部34a、34b、34c、34dを通じて、前記回入側、回出側各トルク受部25a、25b、26a、26bを径方向外方に露出させている。更に、本例の場合には、前記回入側、回出側各補強ブリッジ部20a、20b、21a、21bの径方向厚さ寸法や径方向に関する配置位置等を調節する事により、前記各隅角開口部34a、34b、34c、34dを、径方向だけでなく、軸方向に開口させると共に、周方向にも開口させている。
又、上述の様な構成を有する本例のキャリパ1aのうち、前記回入側、回出側各トルク受部25a、25b、26a、26bと、前記インナ、アウタ両パッド17、18を構成するプレッシャプレート17a、18aの周方向両端部との間部分には、それぞれパッドクリップ19a、19bを設けている。これら各パッドクリップ19a、19bは、前記回入側、回出側各トルク受部25a、25b、26a、26bと、前記各プレッシャプレート17a、18aの周方向両端部との摺動部が錆び付く事を防止すると共に、この摺動部での摩耗を生じにくくして、前記インナ、アウタ両パッド17、18の挙動を安定させる為のものである。
前記各パッドクリップ19a、19bは、ステンレスのばね鋼板等の、耐食性及び弾性を有する金属板を曲げ形成して成るもので、図14の(B)に示す様に、全体を略H字形に構成しており、1対の脚部35、35と、これら両脚部35、35の径方向外端部(上端部)同士を軸方向に連結する連結部36と、これら両脚部35、35の径方向外端部から径方向外方に向かう程周方向内側に向かう方向に傾斜した1対の支持腕部37、37とを備える。又、前記両脚部35、35は、前記インナ側、アウタ側各張出壁部23a、23b、29a、29bの周方向内側面と、前記各プレッシャプレート17a、18aの周方向側面との間に配置される、基板部38、38と、これら各基板部38、38の内径側端部から周方向内側に直角に折れ曲がり、前記インナ側、アウタ側各係合凸部24a、24b、30a、30bの径方向外側面と、前記各プレッシャプレート17a、18aの周方向端部の径方向内側面との間に配置される折れ曲がり部39、39とを備えている。又、前記両支持腕部37、37は、それぞれの先端部を、前記回入側、回出側各補強ブリッジ部20a、20b、21a、21bの径方向内側面に弾性的に当接させて、前記各パッドクリップ19a、19bが前記キャリパ1aから脱落するのを防止している。又、前記両支持腕部37、37のうち、前記各隅角開口部34a、34b、34c、34dと整合する部分(基半部)には、それぞれ略三角形状の通孔40、40を有している。
本例の対向ピストン型ディスクブレーキの場合にも、制動時には、前記給油ポートを通じて、前記各インナシリンダ22a、22b、22cに油密に嵌装したインナピストンにより、前記インナボディ部2aに支持された前記インナパッド17のライニング17bを、前記ロータ6のインナ側面に押し付ける。同様に、前記各アウタシリンダ28a、28b、28cに油密に嵌装したアウタピストンにより、前記アウタボディ部3aに支持されたアウタパッド18のライニング18bを、前記ロータ6のアウタ側面に押し付ける。これにより、このロータ6が、前記インナパッド17と前記アウタパッド18とにより、軸方向両側から強く挟持される。そして、これらインナ、アウタ両パッド17、18と前記ロータ6の軸方向両側面との摩擦により制動が行われる。又、制動時に、これらインナ、アウタ両パッド17、18に作用するトルクは、前記ロータ6を挟んでインナ側とアウタ側とにそれぞれ設けられた、前記回入側、回出側各トルク受部25a、25b、26a、26bにより、それぞれ支承される。
特に本例の対向ピストン型ディスクブレーキを構成するキャリパ1aによれば、冷却性の向上と剛性の確保とを、両立させる事ができる。
即ち、本例の場合には、回入側、回出側両連結部4a、5aのうち、開口部7aの周方向端部を仕切る内端縁の軸方向中央部と、インナボディ部2a及びアウタボディ部3aとの間部分にそれぞれ、回入側、回出側各補強ブリッジ部20a、20b、21a、21bを架け渡す様に設けている。この為、この様な回入側、回出側各補強ブリッジ部20a、20b、21a、21bを設けない場合に比べて、前記キャリパ1aの剛性を向上させられる。特に本例の場合には、前記回入側補強ブリッジ部20a、20bの周方向内端部を、前記インナ、アウタ両ボディ部2a、3aのうち、回入側に存在するインナシリンダ22a及びアウタシリンダ28aと整合する部分にそれぞれ接続すると共に、前記回出側補強ブリッジ部21a、21bの周方向内端部を、前記インナ、アウタ両ボディ部2a、3aのうち、回出側に存在するインナシリンダ22c及びアウタシリンダ28cと整合する部分にそれぞれ接続している。この為、インナ、アウタ両ボディ部2a、3a同士が互いに軸方向に離れる方向に変位する事に対する剛性を効果的に向上できる。加えて、本例の場合には、前記開口部7aの周方向中央部分で、前記インナ、アウタ両ボディ部2a、3aの周方向中間部同士を、前記中央ブリッジ部8aにより連結している為、前記インナボディ部2aと前記アウタボディ部3aとが、互いに離れる方向に弾性変形するのをより有効に防止できる。更に、前記回入側、回出側各補強ブリッジ部20a、20b、21a、21bを、軸方向に対して傾斜させている為、前記アウタボディ部3aが前記インナボディ部2aに対してロータ6の回転方向に弾性変形する事に対する剛性も効果的に向上できる。
そして、本例の場合には、上述の様に剛性を向上させられる分、前記回入側、回出側両連結部4a、5aの周方向に関する幅寸法を短くして(開口部7aの周方向に関する幅寸法を長くして)、前記開口部7aのうちで、前記回入側、回出側各補強ブリッジ部20a、20b、21a、21bにより他の部分と分割された前記各隅角開口部34a、34b、34c、34dを通じて、前記回入側、回出側各トルク受部25a、25b、26a、26bを径方向外方に露出させている。従って、前記開口部7aのうちの隅角開口部34a、34b、34c、34d(及び通孔40、40)を通じて、前記回入側、回出側各トルク受部25a、25b、26a、26bを直接冷却する(冷却風を直接導く)事が可能になり、前記キャリパ1a及びブレーキ液の温度上昇を効果的に抑える事ができる。この結果、本例のキャリパ1aによれば、冷却性の向上と剛性の確保とを両立させる事ができる。
更に、本例のキャリパ1aによれば、前記各隅角開口部34a、34b、34c、34dを通じて、例えばエンドミル等の切削工具や研削工具等を、径方向外方から挿入する事により、前記キャリパ1aの径方向外方から前記回入側、回出側各トルク受部25a、25b、26a、26bの加工を行う事が可能になる。更に、本例の場合には、前記回入側、回出側各補強ブリッジ部20a、20b、21a、21bの周方向外端部を、前記回入側、回出側各中継部32、33を介して前記回入側、回出側各連結部4a、5aに接続している為、前記隅角開口部34a、34b、34c、34dのうちで、軸方向に関してロータ6側(キャリパ1aの中央側)に存在する部分の周方向長さ寸法を、前記回入側、回出側各中継部32、33を設けない場合に比べて大きくできる。この為、前記隅角開口部34a、34b、34c、34dを通じて前記回入側、回出側各トルク受部25a、25b、26a、26bを加工する際に、これら回入側、回出側各トルク受部25a、25b、26a、26bのうちで、軸方向に関してロータ6側に存在する部分の加工性を向上する事ができる。
更に、本例の場合には、前記回入側、回出側各補強ブリッジ部20a、20b、21a、21bの径方向内側面を利用して、前インナ、アウタ両パッド17、18の周方向端部と前記回入側、回出側各トルク受部25a、25b、26a、26bとの間部分に配置したパッドクリップ19a、19bを弾性的に支持する事ができる。この為、これら各パッドクリップ19a、19bを設ける事による、前記インナ、アウタ両パッド17、18の挙動の安定化を図る事ができる
又、前記中央ブリッジ部8aの回入側部分の径方向外側面にリブ部31を設けて、この中央ブリッジ部8aの回入側部分の剛性を高めている為、制動時に、インナ、アウタ両パッド17、18の回入側部分が径方向外方に浮き上がる様に変位する力を、前記中央ブリッジ部8aの径方向内側面のうちの回入側部分で、有害な変形等を生じる事なく支承できる。この為、前記インナ、アウタ両パッド17、18の挙動を安定させる事ができる。
更に、前記各隅角開口部34a、34b、34c、34dを、径方向だけでなく、軸方向及び周方向にも開口させている為、冷却風を、径方向だけでなく、軸方向及び周方向から、前記ロータ6や前記インナ、アウタ両パッド17、18、更には前記回入側、回出側各トルク受部25a、25b、26a、26bに導く事が可能になる為、冷却性の更なる向上を図る事が可能になる。
本発明を実施する場合に、対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパは、例えばアルミニウム合金等の材料により一体的に構成されたモノコック構造(一体構造)としても良いし、インナ側の部材とアウタ側の部材とをボルトにより連結した構造としても良い。
又、インナ、アウタ各シリンダの数は、実施の形態で説明した様な3個に限定されず、1個でも良いし、2個、更には、4個以上でも良い。又、実施の形態では、3個のインナ、アウタ各シリンダの内径を、回入側、中央、回出側の順に大きくした場合を例に説明したが、右車輪用のキャリパと左車輪用のキャリパとで部品の共通化を図る為に、全てのシリンダ径を同じにしても良いし、又は、鋳造により加工されるシリンダ部の外観形状を、右車輪用と左車輪用とで共通化し、シリンダ内部の加工を異ならせる事で、シリンダ径を周方向位置によって異ならせても良い。更に、本発明を実施する場合に、回入側、回出側各トルク受部の形状は、前記実施の形態の形状に限定されず、従来から知られた各種形状(例えば張出壁部の周方向内側面の径方向中間部が凹んだ形状等)を採用する事ができる。
1、1a キャリパ
2、2a インナボディ
3、3a アウタボディ
4、4a 回入側連結部
5、5a 回出側連結部
6 ロータ
7、7a 開口部
8、8a 中央ブリッジ部
9 インナシリンダ
10 インナパッド
11 張出壁部
12 支持金具
13 ボルト
14 係合突片
15 回入側トルク受部
16 回出側トルク受部
17 インナパッド
17a プレッシャプレート
17b ライニング
18 アウタパッド
18a プレッシャプレート
18b ライニング
19a、19b パッドクリップ
20a、20b 回入側補強ブリッジ部
21a、21b 回出側補強ブリッジ部
22a、22b、22c インナシリンダ
23a、23b インナ側張出壁部
24a、24b インナ側係合凸部
25a、25b 回入側トルク受部
26a、26b 回出側トルク受部
27 取付孔
28a、28b、28c アウタシリンダ
29a、29b アウタ側張出壁部
30a、30b アウタ側係合凸部
31 リブ部
32 回入側中継部
33 回出側中継部
34a、34b、34c、34d 隅角開口部
35 脚部
36 連結部
37 支持腕部
38 基板部
39 折れ曲がり部
40 通孔

Claims (8)

  1. 車輪と共に回転するロータのインナ側面に対向する状態で設けられ、このインナ側面に向けて開口するインナシリンダを有するインナボディ部と、前記ロータのアウタ側面に対向する状態で設けられ、このアウタ側面に向けて開口するアウタシリンダを有するアウタボディ部と、前記ロータよりも径方向外側に設けられ、前記インナボディ部の周方向両端部と前記アウタボディ部の周方向両端部とを互いに連結する、回入側、回出側両連結部と、前記ロータを挟んだ状態で軸方向の変位を可能に支持された1対のパッドに制動時に作用するトルクを支承する、回入側、回出側両トルク受部と、前記インナ、アウタ両ボディ部と前記回入側、回出側両連結部とにより囲まれた部分に、径方向に貫通する状態で設けられた開口部と、を備えた対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパであって、
    前記回入側、回出側両連結部の少なくとも一方の連結部のうち、前記開口部の周方向端部を仕切る内端縁の軸方向中間部と、前記インナボディ部のうち周方向に関して前記一方の連結部側に存在するインナシリンダと整合する部分、及び、前記アウタボディ部のうち周方向に関して前記一方の連結部側に存在する前記アウタシリンダと整合する部分との間部分にそれぞれ、周方向両側面が軸方向に対してそれぞれ同方向に傾斜した補強ブリッジ部が前記ロータよりも径方向外側に架け渡す様に設けられており、前記開口部のうちで、これら各補強ブリッジ部により他の部分と分割された隅角開口部を通じて、前記回入側、回出側両トルク受部のうち、周方向に関して前記一方の連結部側に位置している一方のトルク受部を径方向外方に露出させており、前記一方のトルク受部は、前記インナボディ部のアウタ側面から軸方向に張り出す様に前記インナボディ部と一体に設けられたインナ側張出壁部の周方向内側面、及び、前記アウタボディ部のインナ側面から軸方向に張り出す様に前記アウタボディ部と一体に設けられたアウタ側張出壁部の周方向内側面により構成されている、事を特徴とする対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパ。
  2. 前記各補強ブリッジ部の周方向外端部と、前記一方の連結部の内端縁の軸方向中間部とが、周方向に伸長した中継部を介して接続されている、請求項1に記載した対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパ。
  3. 前記回入側、回出側両連結部に、それぞれ前記各補強ブリッジ部が架け渡す様に設けられている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパ。
  4. 前記インナボディ部の周方向中間部と前記アウタボディ部の周方向中間部とを、前記ロータよりも径方向外側に設けられた中央ブリッジ部により互いに連結している、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパ。
  5. 前記中央ブリッジ部の径方向厚さ寸法が、回出側部分よりも回入側部分で厚くなっている、請求項4に記載した対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパ。
  6. 前記回入側、回出側両トルク受部が、前記インナボディ部及び前記アウタボディ部にそれぞれ一体的に設けられている、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載した対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパ。
  7. 前記隅角開口部が、径方向だけでなく、軸方向にも開口している、請求項1〜6のうちの何れか1項に記載した対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパ。
  8. 前記隅角開口部が、径方向だけでなく、周方向にも開口している、請求項1〜7のうちの何れか1項に記載した対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパ。
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