JP6445934B2 - 廃棄汚泥の減少方法 - Google Patents

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本発明は、原料ガラスからガラスカレットを製造する際に発生する廃棄汚泥を減少させる方法、特に微生物処理により廃棄汚泥を減少させる方法に関する。
ガラスビン等のガラス製品の多くは再利用されている。従来では、例えば、ガラスビンの再利用には、ビンを洗浄しそのまま再利用する方法、ビンを粉砕してガラスカレットと呼ばれる粒径数mm程のガラス粒に加工した後、ガラス製品の製造に再利用する方法(例えば、特許文献1)等が知られている。
ガラスカレットを製造する際、ガラスビン等の原料ガラスに付されているラベル紙の剥離促進、原料ガラスを粉砕する際の粉塵発生の防止等の観点から、湿式処理と呼ばれている、常に湿った状態で作業する処理方法が多く採用されている。そのため、ガラスカレットの製造過程において、原料ガラスを粉砕した際にガラスカレットとして回収されないガラス粉末及び原料ガラスに付されているラベル紙の残渣等を主成分とする汚泥が、水を含んだ状態で発生する。
このような汚泥は、無機物及び有機物の混合物が含水しているという特殊な性質を有するため、廃棄物の処理で従来用いられている焼却処理を行うことができなかった。したがって、廃棄する汚泥(廃棄汚泥)の処理には、埋め立てによる処理が主に用いられている。
特開2006−76823号公報
しかしながら、廃棄汚泥の埋め立て処理は、環境への負荷が高く、コストもかかることが問題であった。そのため、環境への負荷の低減、コスト削減等の問題から、ガラスカレットの製造時に発生する廃棄汚泥の量を減らすことが求められている。
本発明は、上記事情に鑑み、ガラスカレットを製造する際に発生する廃棄汚泥の量を減らすことができる方法を提供することを目的とする。また、本発明は廃棄汚泥の量を減らすことに有用な微生物製剤及び装置を提供することも目的とする。
本発明者らは、ガラスカレットの製造過程において、ラベルが付されている原料ガラス、又はガラス粉末及びセルロースを含む初期汚泥をセルロース分解性微生物で処理することで、最終的に廃棄される廃棄汚泥の量を減らすことができることを見出し、本発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の[1]〜[8]に関する。
[1]原料ガラスからガラスカレットを製造する際に発生する廃棄汚泥を減少させる方法であって、原料ガラス、及び/又は、原料ガラスを粉砕してガラスカレットを製造する際に発生する、ガラス粉末及びセルロースを含む初期汚泥を、セルロース分解性微生物で処理する工程、を備える、方法。
[2]セルロース分解性微生物で処理する工程後に得られる中間汚泥を湿式分級し、ガラス粉末の少なくとも一部を回収する工程を更に備える、[1]に記載の方法。
[3]セルロース分解性微生物が、好気性であり、pH8.5〜10のアルカリ性環境下においてセルロースを分解できる、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]セルロース分解性微生物が、セルビブリオ(Cellvibrio)属細菌又はセルロモナス(Celluromonas)属細菌である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5]セルビブリオ属細菌が、セルビブリオ・ミクスタス(Cellvibrio mixtus)である、[4]に記載の方法。
[6]セルロース分解性微生物で処理する工程において、窒素、リン酸及び酵母エキスからなる群から選択される少なくとも一種を添加する、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]セルロース分解性微生物としてセルビブリオ・ミクスタスを含む、原料ガラスからガラスカレットを製造する際に発生する廃棄汚泥を減少させるための微生物製剤。
[8]原料ガラスを粉砕してガラスカレットを製造する際に発生する廃棄汚泥を減少させるための装置であって、ガラス粉末及びセルロースを含む初期汚泥と水とを含む処理液にセルロース分解性微生物を添加する添加手段と、処理液を攪拌し、湿式分級する分級手段と、湿式分級により分離されたガラス粉末を回収する回収手段と、を備える、装置。
本発明によれば、ガラスカレットを製造する際に発生する廃棄汚泥を減らすことができる方法を提供することができる。また、本発明によれば、廃棄汚泥の量を減らすことに有用な微生物製剤及び装置を提供することもできる。
原料ガラスをセルロース分解性微生物で処理するための装置の模式図である。 ガラス粉末及びセルロースを含む初期汚泥を、セルロース分解性微生物で処理するための装置の模式図である。 異なる温度で、工場循環水を培養した際の培養液中のセルロース残量の経時的変化を示す図である。 セルビブリオ・ミクスタスを培養した際の培養液中のセルロース残量の経時的変化を示す図である。 ガラス粉末及びセルロースを含む初期汚泥を異なる条件で処理した際の汚泥画分及びガラス画分の乾燥重量を示す図である。 ガラス粉末及びセルロースを含む初期汚泥を異なる条件で処理した際のガラス画分に含まれる有機物率を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
<廃棄汚泥を減少させる方法>
本実施形態の方法は、原料ガラスからガラスカレットを製造する際に発生する、廃棄汚泥を減少させる方法であって、原料ガラス、及び/又は、原料ガラスを粉砕してガラスカレットを製造する際に発生する、ガラス粉末及びセルロースを含む初期汚泥を、セルロース分解性微生物で処理する工程、を備える。
本実施形態に使用できる原料ガラスは、ガラス製のものであれば、特に限定されるものではない。原料ガラスとしては、資源の回収及び再利用といった観点から、例えば、使用後のガラスビン等であってもよい。原料ガラスには、ラベル紙等が付されていてもよい。ガラスカレットの製造に付する原料ガラスは、水等で洗浄したものであってもよい。
原料ガラスを粉砕してガラスカレットを製造するには、通常の方法にしたがって行えばよい。原料ガラスを粉砕する際の粉塵発生の防止等の観点から、常に湿った状態で作業する湿式処理であってもよい。このような方法として例えば、屋外等のストックヤードに保管していた原料ガラスを工場内に繋がるベルトコンベアに投入し、散水しながらラベル、金属、陶器等の異物を除去し、ガラスを適当な大きさに粉砕してカレットを製造する方法がある。
本明細書において、「初期汚泥」とは、ガラスカレットを製造する際の湿式処理工程により生じたガラス粉末及びセルロースを含むものを指す。「中間汚泥」とは、セルロース分解性微生物で処理する工程後に得られる汚泥のことを指す。原料ガラスをセルロース分解性微生物で処理する場合、原料ガラスに付されているラベル紙等由来のセルロースの少なくとも一部が分解され剥離されやすくなる。また、初期汚泥をセルロース分解性微生物で処理する場合、汚泥中でガラス粉末に絡みついているラベル紙等由来のセルロースの少なくとも一部が分解され、汚泥中に含まれているガラス粉末を容易に回収しやすくなる。したがって、中間汚泥には、再利用可能な成分、例えば、ガラス粉末を含むガラス画分が回収しやすい状態になっている。「廃棄汚泥」とは、再利用可能な成分、例えば、ガラス粉末を含むガラス画分を回収した後に残った汚泥のことであり、再利用が不可能であるため、廃棄されてしまう汚泥を指す。なお、特に明記しない「汚泥」は上記のいずれかの汚泥であり得る。
本明細書において、「セルロース分解性微生物」とは、加水分解酵素又は酸化還元酵素を産生し、それによってセルロースを低分子化させる能力を持つ微生物を指す。
本実施形態に係るセルロース分解性微生物は、セルロースを分解することができる微生物であれば、特に制限されるものではない。セルロース分解性微生物としては、原料ガラス又は汚泥に自生する腐敗菌による異臭の発生をより抑制するという観点から、好気性微生物であってもよく、原料ガラス又は汚泥の表面はpH8.5〜10付近のアルカリ性の環境であることから、pH8.5〜10のアルカリ性環境下においてセルロースを分解できる微生物であってもよい。セルロース分解性微生物としては、例えば、セルビブリオ(Cellvibrio)属細菌、セルロモナス(Celluromonas)属細菌が挙げられ、セルビブリオ属細菌としては、セルビブリオ・ミクスタス(Cellvibrio mixtus)等が挙げられる。
セルロース分解性微生物で処理する工程における、セルロース分解性微生物の使用量及び処理時間は、処理対象である原料ガラス又は汚泥の処理量等に応じて、当業者が適宜設定することができる。原料ガラスの場合、一例として、1トンの原料ガラスに対して、約1010〜1015個の量のセルロース分解性微生物を用いて、3〜14日間で処理する。また、ガラス粉末及びセルロースを含む初期汚泥の場合、一例として、1トンの初期汚泥に対して、約1010〜1015個の量のセルロース分解性微生物を用いて、2〜7日間で処理する。また、1mの初期汚泥と水(乾燥重量比は1:10)とを含む処理液に対して、約1012〜1015個の量のセルロース分解性微生物を用いて、48〜72時間で処理する。
セルロース分解性微生物で処理する工程における、セルロース分解性微生物の処理温度は、微生物の種類や処理対象が置かれる環境等によって異なり得るが、当業者が適宜設定することができる。分解速度を高めるという観点から、処理温度は10℃以上であってもよく、25℃以上であってもよく、37℃以上であってもよい。処理温度は、セルロース分解性微生物が死滅する又はセルロースを分解する能力がなくなる温度でなければよく、例えば、10℃以下であってもよく、37℃〜60℃であってもよい。
セルロース分解性微生物で処理する工程において、セルロース分解性微生物の生育を促進させる観点から、各種栄養素を添加してもよく、例えば、窒素、リン酸及び酵母エキスからなる群から選択される少なくとも一種を添加してもよい。原料ガラスの表面又は汚泥中は、炭素以外の栄養素が不足しているため、窒素、リン酸等の無機塩類、酵母エキス等を添加すると、セルロース分解性微生物の生育が促進され、初期汚泥に含まれるセルロースをより分解しやすくする。栄養素は、水、セルロース分解性微生物の培養液等に溶解させて、原料ガラス又は初期汚泥に添加してもよい。栄養素の好適な添加量は、ガラス表面又は初期汚泥中の栄養素に応じて、適宜設定することができる。栄養素を水、培養液等に溶解させて用いる場合、その添加量は、地域で定められた排水基準値の範囲内において、可能な限り高濃度になるように添加してもよい。
本実施形態の方法は、セルロース分解性微生物で処理する工程後に得られる中間汚泥を湿式分級し、ガラス粉末の少なくとも一部を回収する工程を更に備えてもよい。セルロース分解性微生物で処理された中間汚泥は、ガラス粉末に絡みついているセルロースが少なくとも部分的に分解されている。そのため、この汚泥を湿式分級することで、汚泥中に含まれているガラス粉末の回収率がより向上し、ガラス画分として回収されるガラス粉末はガラス資源として再利用することができる。湿式分級の手段は、沈降速度の差を利用して粒子を分別できるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、湿式分級機等が利用できる。中間汚泥中には、乾燥した中間汚泥100質量%あたり、少なくとも40質量%のガラス粉末が含まれる。中間汚泥を湿式分級することで、ガラス粉末の大部分がガラス画分に分画される。このガラス画分には、乾燥したガラス画分100質量%あたり、少なくとも90質量%のガラス粉末が含まれる。このような高いガラス粉末の含有率であれば、ガラス画分はガラス資源として再利用可能である。
原料ガラスをセルロース分解性微生物で処理する場合、保管施設に保管されている原料ガラスに対して直接セルロース分解性微生物を添加することで処理してもよい。例えば、ガラスカレットを製造する際に発生する廃棄汚泥を減少させる装置であって、原料ガラスに水及びセルロース分解性微生物を散布する散布手段と、散布された水等を含む排水を回収する回収手段とを備える、原料ガラス処理装置を用いて処理することができる。
散布手段としては、特に限定されないが、例えば、スプリンクラー及び散水機が挙げられる。散布手段は、水及びセルロース分解性微生物の他に栄養素等を散布してもよい。水及びセルロース分解性微生物と同時に栄養素を散布すると、原料ガラスに付されているラベル紙等のセルロースの分解が促進される傾向にある。
回収手段としては、特に限定されないが、例えば、傾斜及びメッシュによる脱水を行った後に、排水溝、排水管等を通して排水処理設備へ輸送する手段が挙げられる。回収する手段により回収される排水は、原料ガラスから剥離したラベル紙及び分離されたセルロースを含んでもよい。
図1は、原料ガラスをセルロース分解性微生物で処理するための装置の一例の模式図である。図1に示す原料ガラス処理装置100は、原料ガラス6を貯蔵するための貯蔵タンク1、原料ガラスに付されているラベル紙等の剥離を促進させるための散水手段2と、セルロース分解性微生物及び必要に応じて栄養素を散布する散布手段3とを備える。散布される水によって原料ガラス6のラベル紙などが剥離しやすくなり、セルロース分解性微生物によってラベル紙等に由来のセルロースの少なくとも一部が分解される。更に、剥離されたラベル紙及び分解されたセルロース等は水と共に排水溝4から排水管5に排出され、排水処理設備に運ばれる。
初期汚泥を、セルロース分解性微生物で処理する場合、初期汚泥を水で撹拌しつつセルロース分解性微生物を添加することで処理してもよい。例えば、図2に示したような装置を用いて処理することができる。図2は、ガラス粉末及びセルロースを含む初期汚泥を、セルロース分解性微生物で処理するための装置の一例の模式図である。図2に示す初期汚泥処理装置200は、処理槽7と、処理槽7に初期汚泥及び水を添加する第一の投入管8と、セルロース分解性微生物及び必要に応じて栄養素を添加する第二の投入管9と、曝気手段10と、攪拌手段11とを備える。処理槽7内で初期汚泥及び水が混合された処理液に、セルロース分解性微生物を添加し、培養することで、汚泥中のガラス粉末に絡みついていたセルロースの少なくとも一部が分解される。その結果、処理槽7内で汚泥及びガラス粉末が分離しやすくなるため、処理液を攪拌し、湿式分級を行うことで、下層回収管12からガラス粉末画分を回収でき、上層回収管13から汚泥画分を回収できる。
<微生物製剤>
本実施形態の原料ガラスからガラスカレットを製造する際に発生する廃棄汚泥を減少させるための微生物製剤は、セルロース分解性微生物としてセルビブリオ・ミクスタスを含む。
セルビブリオ・ミクスタス(Cellvibrio mixtus)は、好気性の微生物であり、pH8.5〜10のアルカリ性環境下においてセルロースを分解できる。微生物製剤の形態としては、例えば、セルロース分解性微生物を培地に懸濁させた懸濁液が挙げられる。培地は、セルビブリオ・ミクスタの培養又は保存に適しているものであれば、特に限定されることなく使用することができる。微生物製剤が懸濁液の形態の場合、含有されるセルビブリオ・ミクスタスの量は、生存したまま保存できればよく、例えば約10〜1015個/mLの量で懸濁液中に含まれ得る。セルビブリオ・ミクスタスの量は、例えば、分光光度計等で測定することができる。分光光度計を用いた場合、例えば、生理食塩水を基準とした際に、微生物懸濁液の600nmでの光学密度(OD)が0.1の場合、約10個/mLの微生物が含まれると推定できる。
微生物製剤には、セルロース分解性微生物以外の成分を含んでもよい。このような成分としては、各種添加剤、栄養素、pH調整剤等を含んでもよい。栄養素としては、上述した栄養素を用いることができ、微生物製剤に栄養素を添加することで、セルロース分解性微生物の生育をより促進できる。
微生物製剤は、上述した廃棄汚泥を減少させる方法において、セルロース分解性微生物として用いることができ、原料ガラスからガラスカレットを製造する際に発生する廃棄汚泥を減少させることができる。
微生物製剤の調製方法としては、例えば、微生物の培養に通常用いられる培地にセルビブリオ・ミクスタスを添加し、これを培養し、その他必要な成分を添加して製造することができる。培養時間は、目標とする微生物濃度によって適宜設定することができる。
微生物製剤の使用方法としては、そのまま汚泥に添加して、汚泥の処理に用いてもよい。その他の使用方法としては、例えば、汚泥の一部を圧力鍋等で簡単に滅菌して雑菌を除去し、そこに水分及び必要に応じて各種栄養素等を加えた環境に微生物製剤を加えて、セルロース分解微生物を培養してから、汚泥の処理に用いてもよい。
<装置>
本実施形態の装置について、以下、図面を参照しながら好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限られるものではない。
本実施形態の原料ガラスを粉砕してガラスカレットを製造する際に発生する廃棄汚泥を減少させるための装置は、ガラス粉末及びセルロースを含む初期汚泥及び水を含む処理液にセルロース分解性微生物を添加する添加手段と、処理液を攪拌し、湿式分級する分級手段と、湿式分級により分離されたガラス粉末を回収する回収手段と、を備える。
添加手段としては特に限定されないが、例えば、上記セルロース分解微生物の培養液又は上記微生物製剤から調製した培養液を、管等を通して流し入れる手段、上記セルロース分解微生物を含む汚泥を直接投入する手段等が挙げられる。添加手段により、初期汚泥と水とを含む処理液に、セルロース分解性微生物を添加することができ、それによって最終的な処理液が完成される。添加手段を用いて、処理液に必要に応じて栄養素を添加してもよい。
分級手段としては、沈降速度の差を利用して粒子を分別できるものであれば、特に限定されないが、例えば、湿式分級機等が利用できる。セルロース分解微生物により、中間汚泥の有機物分が水で流れ去る程度に細かく分解できている場合は、その他の分級手段として、例えば、沈澱のみが可能な沈澱槽を利用してもよい。分級手段によって、処理液が攪拌されることで汚泥中のセルロースの分解が均一に行われるだけでなく、汚泥に含まれるガラス粉末とセルロースが解離しやすくなり、ガラス粉末と、ラベル紙及び分解されるセルロースを含む廃棄汚泥とを分画しやすくなる。
回収手段としては特に限定されないが、例えば、湿式分級を行った槽の底面に弁を設けておき、この弁を開けて回収する手段が挙げられる。湿式分級によって分級し、回収されたガラス粉末分画は、高いガラス粉末含有量を有するため、ガラス製品の製造に再利用することができる。
本実施形態の実施形態の装置によれば、初期汚泥中でガラス粉末に絡みついているラベル紙などが分解され、汚泥中に含まれているガラス粉末を容易に回収しやすくなる。そのため、汚泥に含まれるガラス粉末を再利用のために回収することで、廃棄汚泥の総量を減少させることができる。
[試験例1:セルロース分解性微生物の探索]
(材料)
ガラスカレット製造工場において、ガラスカレット製造工程(ラベルの剥離、汚泥の処理等)に用いられる水を、以下、工場循環水と呼ぶ。工場循環水に自生する微生物であれば、ガラスカレット製造の環境において生存でき、かつ、セルロースを栄養源とする微生物である可能性が高い。
工場循環水1:栄養源を添加していないもの。
工場循環水2:工場循環水に対して窒素(N)源として硫酸アンモニウムを0.1質量%となるように添加したもの。
工場循環水3:工場循環水に対して酵母エキス(YE)を0.1質量%となるように添加したもの。
工場循環水4:工場循環水に対して窒素源として硫酸アンモニウムを0.1質量%、及び酵母エキスを0.1質量%となるように添加したもの。
工場循環水5:工場循環水に対して窒素源として硫酸アンモニウムを0.1質量%、リン酸(P)源としてリン酸水素二カリウムを0.1質量%となるように添加したもの。
(方法)
滅菌済みのフラスコに、工場循環水1〜5を150mL及び模擬ラベル紙としてセルロースパウダー(400メッシュ)を1.5gを加えた培養液を、10℃、25℃又は37℃の温度、好気条件下で振とうしながら2週間にわたり培養を行った。培養液の一部を、経時的に採取し、培養液中に残るセルロース濃度を測定した。セルロース濃度は重量測定法(Tailliez P, et al. 1989)によって測定した。
(結果)
各温度で培養した際の培養液中のセルロース残量の結果を、図3の(a)〜(c)に示す。全ての測定条件で培養液中のセルロース濃度は時間経過に伴い低下していた。このことから、汚泥処理過程における工場循環水のような環境中には、セルロース分解性微生物が存在することが示唆された。また、培養液中のセルロース濃度は、25℃及び37℃で培養した際により低下し、酵母エキス、窒素源及び酵母エキス、窒素源及びリン酸源を添加した際により低下した。工場循環水は原料ガラス由来のガラス、原料ガラスに付されているラベル、及び水が主成分であるため、微生物の栄養としてはラベル由来のセルロースが主であり、微生物の生育に必要なリン酸源及び窒素源が不足していると考えられる。そのため、これらの栄養素を補うことで、セルロース分解性微生物の増殖が活発になり、よりセルロースを分解できたと考えられる。
[試験例2:セルロース分解性微生物の単離とその性能の測定]
(材料)
・液体培地:1.0g/L硫酸アンモニウム、1.0g/Lリン酸水素二カリウム、0.5g/L硫酸マグネシウム・七水和物、0.01g/L塩化ナトリウム、2.0g/L炭酸カルシウム、pH7.6
・固体培地:1.0g/L硫酸アンモニウム、1.0g/Lリン酸水素二カリウム、0.5g/L硫酸マグネシウム・七水和物、0.01g/L塩化ナトリウム、2.0g/L炭酸カルシウム、30g/Lセルロースパウダー(400メッシュ)、17.5g/L寒天
(微生物の単離)
ガラスカレット製造工場から採取した初期汚泥と、液体培地40mLと、炭素源としてのろ紙と、をフラスコに加え培養し、約2週間ごとに継代していく継代培養を行った。およそ20回継代培養を行った後に、培養液の一部を固体培地上で培養し、微生物の単離を行った。単離した微生物の中から、固体培地における白濁したセルロースを透明化させることができたものを選択し、この微生物の16S rDNA塩基配列解析を行った。その結果、単離できた微生物は、セルビブリオ・ミクスタス(Cellvibrio mixtus)であると同定された。以下、単離したセルビブリオ・ミクスタスを「CM菌」と表すこともある。また、このCM菌は、pH7.6の液体培地中という弱アルカリ環境下で生育でき、セルロースを分解できることが示された。
(CM菌のセルロース分解能の測定)
液体培地10mLにセルロースパウダーを0.2g懸濁したものを滅菌し、滅菌した培地にCM菌を添加し、10℃又は25℃で振とう培養した。経時的に培養液を採取し、試験例1と同様の方法で培養液中のセルロース濃度を測定した。その結果を図4に示す。図4から、CM菌がセルロース分解能を有することが確認された。
(CM菌の炭素源の資化能の分析)
CM菌の資化能について、BiOLOGシステム(BiOLOG社製)を用いて、95種類の炭素源を対象として分析した。その結果、95種類の炭素源の内、50種類の炭素源について資化能を有することが示された。例えば、CM菌は、セロビオース及びグルコースに対する資化能を有していた。これらの糖はセルロースの構成糖であるため、CM菌はセルロースをこれらの糖に分解した後、更に細かく分解していることが示唆された。
[試験例3:初期汚泥に対するCM菌処理]
(試験サンプル)
1.ブランク:滅菌済みの初期汚泥100gを水に加えたもの。pH9.8
2.菌のみ:滅菌済みの初期汚泥100gを水に加え、CM菌を添加したもの。
3.菌+P 0.1%:滅菌済みの初期汚泥100gを水に加え、リン酸水素二カリウムを0.1質量%となるように添加し、更にCM菌を添加したもの。
4.菌+N 0.1%:滅菌済みの初期汚泥100gを水に加え、硫酸アンモニウムを0.1質量%となるように添加し、更にCM菌を添加したもの。
5.菌+P、N 0.1%:滅菌済みの初期汚泥100gを水に加え、リン酸水素二カリウムを0.1質量%、硫酸アンモニウムを0.1質量%となるように添加し、更にCM菌を添加したもの。
6.菌+P、N 0.5%:滅菌済みの初期汚泥100gを水に加え、リン酸水素二カリウムを0.5質量%、硫酸アンモニウムを0.5質量%となるように添加し、更にCM菌を添加したもの。
(方法)
フラスコに上記試験サンプル1〜6を加え、これを25℃で3日間、振とう培養した。培養後、各試験サンプルを湿式分級した。分級は培養後の試験サンプルに水を加えて撹拌し、撹拌直後に上清を流して除去し、沈澱して底に残ったものをガラス画分、流れた上清を汚泥画分として回収した。汚泥画分及びガラス画分を、それぞれ110℃で48時間以上乾燥させ、残存する重量を測定した。また、ガラス画分について、650℃で1時間処理する強熱減量試験を行い、ガラス画分に含まれる有機物の混入率を測定した。試験はそれぞれの試験サンプルについて4つずつ行った。
(結果)
湿式分級後の試験サンプル中の汚泥画分及びガラス画分に分級し、それぞれの乾燥重量を測定した結果を図5に示す。ガラス画分に含まれる有機物の混入率を図6に示す。図5から、セルロース分解性微生物の処理の有無に係らず、汚泥画分及びガラス画分を合わせた汚泥の総量は同程度であることが示された。一方、図6から、セルロース分解性微生物及び栄養素を添加した際に、特に顕著にガラス画分に含まれる有機物率が低下していることが示された。セルロース分解性微生物で汚泥を処理することにより、ガラス画分に含まれる有機物率が低下し、ガラス画分を良好なガラス粉末として回収できるようになったため、汚泥画分のみを廃棄汚泥として処理すればよく、廃棄汚泥の量を減らすことができた。
1…貯蔵タンク、2…散水手段、3…散布手段、4…排水溝、5…排水管、6…原料ガラス、7…処理槽、8…第一の投入管、9…第二の投入管、10…曝気手段、11…攪拌手段、12…下層回収管、13…上層回収管、100…原料ガラス処理装置、200…初期汚泥処理装置。

Claims (7)

  1. 原料ガラスからガラスカレットを製造する際に発生する廃棄汚泥を減少させる方法であって、
    前記原料ガラス、並びに/或いは、前記原料ガラスを粉砕してガラスカレットを製造する際に発生する、ガラス粉末及びセルロースを含む初期汚泥を、セルロース分解性微生物で処理する工程であって、前記セルロース分解性微生物が、好気性であり、pH8.5〜10のアルカリ性環境下においてセルロースを分解できる、工程を備える、方法。
  2. 前記セルロース分解性微生物で処理する工程後に得られる中間汚泥を湿式分級し、前記ガラス粉末の少なくとも一部を回収する工程を更に備える、請求項1に記載の方法。
  3. 前記セルロース分解性微生物が、セルビブリオ(Cellvibrio)属細菌又はセルロモナス(Celluromonas)属細菌である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記セルビブリオ属細菌が、セルビブリオ・ミクスタス(Cellvibrio mixtus)である、請求項に記載の方法。
  5. 前記セルロース分解性微生物で処理する工程において、窒素、リン酸及び酵母エキスからなる群から選択される少なくとも一種を添加する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. セルロース分解性微生物としてセルビブリオ・ミクスタスを含む、原料ガラスからガラスカレットを製造する際に発生する廃棄汚泥を減少させるための微生物製剤であって、前記廃棄汚泥が、前記原料ガラス、並びに/或いは、前記原料ガラスを粉砕してガラスカレットを製造する際に発生する、ガラス粉末及びセルロースを含む初期汚泥を前記セルロース分解性微生物で処理することによって減少される、微生物製剤
  7. 原料ガラスを粉砕してガラスカレットを製造する際に発生する廃棄汚泥を減少させるための装置であって、
    ガラス粉末及びセルロースを含む汚泥と水とを含む処理液にセルロース分解性微生物を添加する添加手段と、
    前記処理液を攪拌し、湿式分級する分級手段と、
    湿式分級により分離された前記ガラス粉末を回収する回収手段と、を備え
    前記セルロース分解性微生物が、好気性であり、pH8.5〜10のアルカリ性環境下においてセルロースを分解できる、装置。
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