JP5390125B2 - 生物反応槽の維持管理方法 - Google Patents
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Description
現在わが国では、循環型社会の形成を目指して廃棄物の減量化やリサイクルを総合的に推進している。この廃棄物の中でも、有機性及び無機性汚泥の割合は高く、また汚泥の内の約70%が有機性汚泥である。この有機性汚泥のリサイクルや再資源化については、公共排水処理施設や大手事業所では、コンポスト化や堆肥化などが若干検討され始めているが、小規模な施設では殆ど何も行われていない。しかし、全国的に廃棄物の埋め立て地は受け入れ余力が少なくなり、新規の立地も難しいことから、汚泥処理費用も年ごとに増大してきており、汚泥の発生を簡便且つ安価に抑制できるシステムの開発が望まれている。
このように、各汚泥発生抑制技術及び減量化技術には、一長一短があり、より画期的な技術の開発が期待されている。
上記生物反応槽に新規に上記活性汚泥資材を投入するときの最初の投入量を、上記生物反応槽内の汚泥の質量に対して、0.1〜10質量%とする、生物反応槽の維持管理方法を提供するものである。
キチナーゼ酵素活性値:50[Units/L]
ペクチナーゼ酵素活性値:40[Units/L]
プロテアーゼ酵素活性値:0.3[Units/L]
〔酵素活性測定方法〕
上記生物反応槽内のサンプルを遠心分離後、上静を回収する。下記の各基質を0.1Mトリス−HCl緩衝液(pH7.0)に20g/Lになるようにそれぞれ懸濁する。これらの各基質懸濁液0.5mlそれぞれに0.1Mトリス−HCl緩衝液0.25ml及び上記上静0.25mlを加えて、37℃で24時間それぞれインキュベートすることにより反応を行う。各酵素活性[Units/L]は、基質が分解されて生成した物質が1分間に1μmolとなる酵素量とする。
キチナーゼ酵素活性 (基質:コトイダルキトサン)
ペクチナーゼ酵素活性(基質:アップルペクチン)
プロテアーゼ酵素活性(基質:α−カゼイン)
〔酵素活性測定方法〕
酵素比活性値は、上記の〔酵素活性測定方法〕により求めた値を、上記サンプルの固形分濃度[g/L]で除して求める。
本発明の方法が適用される生物反応槽は、生物を利用する排水処理施設の生物反応槽であれば如何なる排水処理施設のものでもよく、例えば、事業所系合併浄化槽、水産加工事業所の排水処理施設、食品工場の排水処理施設、食肉加工場の排水処理施設、畜産育成場の排水処理施設、農業集落排水処理施設、生活系排水処理施設などにおける生物反応槽が挙げられる。
キチナーゼ酵素比活性:150[Units/g-MLSS]以上、好ましくは150〜1,500[Units/g-MLSS]、より好ましくは500〜1,500[Units/g-MLSS]
ペクチナーゼ酵素比活性:120[Units/g-MLSS]以上、好ましくは120〜1,200[Units/g-MLSS]、より好ましくは500〜1,200[Units/g-MLSS]
プロテアーゼ酵素比活性:3[Units/g-MLSS]以上、好ましくは3〜150[Units/g-MLSS]、より好ましくは20〜150[Units/g-MLSS]
キチナーゼ酵素活性値:50[Units/L]、好ましくは60[Units/L]
ペクチナーゼ酵素活性値:40[Units/L]、好ましくは50[Units/L]
プロテアーゼ酵素活性値:0.3[Units/L]、好ましくは0.5[Units/L]
上記の各酵素活性値は、個々の生物反応槽の汚泥の状況などに応じて決定するのが好ましく、通常、最大値の40〜65%程度の範囲とするとよい。尚、上記の最大値とは、上記活性汚泥資材を上記生物反応槽内に投入後、該生物反応槽内の各酵素比活性の測定値がそれぞれ最大となったときの数値である。
本発明は、上記生物反応槽内において通常の生物処理が実施されている条件であれば対応が可能であり、本発明を実施するに当たり、上記生物反応槽内の温度、pHなどを特別の環境にすることは不要である。
〔酵素活性測定方法〕
サンプル(生物反応槽内の汚泥及び活性汚泥資材)を遠心分離後、上静を回収する。下記の各基質を0.1Mトリス−HCl緩衝液(pH7.0)に20g/Lになるようにそれぞれ懸濁した。これらの各基質懸濁液0.5mlを、それぞれに0.1Mトリス−HCl緩衝液0.25ml及び上記上静0.25mlを加えて、37℃で24時間それぞれインキュベートすることにより反応を行った。
各酵素活性[Units/L]は、基質が分解されて生成した物質が1分間に1μmolとなる酵素量とした。
キチナーゼ酵素活性 (基質:コトイダルキトサン)
ペクチナーゼ酵素活性(基質:アップルペクチン)
プロテアーゼ酵素活性(基質:α−カゼイン)
セルラーゼ酵素活性 (基質:Avicel)(Avicel=規格品「商品名(微結晶セルロース))
アミラーゼ酵素活性 (基質:可溶性デンプン、生デンプン)
本実施例は、下水処理場施設の生物反応槽に本発明を適用した場合を示す。図1に示すように、下水処理場施設に流入する原水を略等分し、一方の原水を、本発明の活性汚泥資材を投入する生物反応槽(3系−2:試験系列)に導入し、他方の原水は、通常の生物反応槽(3系−1:対照系列)に導入して処理した。
活性汚泥資材として、キチナーゼ酵素比活性を161.2[Units/g-MLSS]、ペクチナーゼ酵素比活性を121.3[Units/g-MLSS]、プロテアーゼ酵素活性を3.1[Units/g-MLSS]、セルラーゼ酵素活性を248[Units/L]及びアミラーゼ酵素活性を168[Units/L]を示す活性汚泥資材を使用した。この活性汚泥資材を、上記生物反応槽(試験系列)の汚泥の質量に対して10質量%投入した。(投入日:2007年5月21日)
上記生物反応槽(試験系列)内の汚泥の各酵素活性値を、活性汚泥資材の投入前、及び活性汚泥の投入後2ヶ月の馴致後に測定した(測定日:2007年7月23日)。その測定結果を下記表1に示す。また、上記試験系列及び対照系列の生物反応槽内の余剰汚泥発生量についても継続的に測定した。その測定結果を図2及び図3に示す。
活性汚泥資材を生物反応槽へ初めて投入してから2ヶ月後に馴致を完了した。
図2及び図3に示す結果から明らかなように、活性汚泥資材を投入してから4ヶ月後(2007年9月)からは、減量効果が現れ、その後7ヶ月間は20〜40質量%の減量効果が確認された。
活性汚泥資材を生物反応槽へ初めて投入してから8〜9ヶ月後(2008年1月〜2月)に余剰汚泥減量効果が低下傾向を示した。この時期における生物反応槽(試験系列)内の汚泥の各酵素活性値は、下記表1に示す通り、キチナーゼ酵素活性値は設定値の50[Units/L]を下回る38[Units/L]、ペクチナーゼ酵素活性値は設定値の40[Units/L]を下回る30[Units/L]、プロテアーゼ酵素活性値は設定値の0.3[Units/L]を下回る0.19[Units/L]を示しており、活性汚泥資材を生物反応槽へ初めて投入してから9ヶ月後の2008年2月末に活性汚泥資材を上記生物反応槽の汚泥質量に対して、0.07質量%追加投入を実施した。追加投入した活性汚泥資材は、下記表1に示す通り、キチナーゼ酵素比活性184.5[Units/g-MLSS]、ペクチナーゼ酵素比活性が135.7[Units/g-MLSS]、プロテアーゼ酵素比活性が5.1[Units/g-MLSS]のものである。
その結果、下記表1に示す通り、追加投入2ヶ月後には、各酵素活性値は、それぞれ設定値を上回る値に回復した。また、図2及び図3から明らかなように、余剰汚泥減量効果も、減量率20〜25%へ回復した。
Claims (3)
- 生物を利用する排水処理施設の生物反応槽を維持管理する方法であって、以下の方法で測定された、該生物反応槽内の活性汚泥のキチナーゼ酵素活性値、ペクチナーゼ酵素活性値及びプロテアーゼ酵素活性値の何れかの値が、下記の数値を下回った時点で、以下の方法で測定された、キチナーゼ酵素比活性を150[Units/g-MLSS]以上、ペクチナーゼ酵素比活性を120[Units/g-MLSS]以上及びプロテアーゼ酵素比活性を3[Units/g-MLSS]以上示す活性汚泥資材を、上記生物反応槽内に投入することを特徴とする生物反応槽の維持管理方法であって、
上記生物反応槽に新規に上記活性汚泥資材を投入するときの最初の投入量を、上記生物反応槽内の汚泥の質量に対して、0.1〜10質量%とする、生物反応槽の維持管理方法。
キチナーゼ酵素活性値:50[Units/L]
ペクチナーゼ酵素活性値:40[Units/L]
プロテアーゼ酵素活性値:0.3[Units/L]
〔酵素活性測定方法〕
上記生物反応槽内のサンプルを遠心分離後、上静を回収する。下記の各基質を0.1Mトリス−HCl緩衝液(pH7.0)に20g/Lになるようにそれぞれ懸濁する。これらの各基質懸濁液0.5mlそれぞれに0.1Mトリス−HCl緩衝液0.25ml及び上記上静0.25mlを加えて、37℃で24時間それぞれインキュベートすることにより反応を行う。各酵素活性[Units/L]は、基質が分解されて生成した物質が1分間に1μmolとなる酵素量とする。
キチナーゼ酵素活性 (基質:コトイダルキトサン)
ペクチナーゼ酵素活性(基質:アップルペクチン)
プロテアーゼ酵素活性(基質:α−カゼイン)
〔酵素活性測定方法〕
酵素比活性値は、上記の〔酵素活性測定方法〕により求めた値を、上記サンプルの固形分濃度[g/L]で除して求める。 - 上記活性汚泥資材の投入量が、上記生物反応槽の汚泥の質量に対して、0.05質量%以上である請求項1記載の生物反応槽の維持管理方法。
- 上記活性汚泥資材が、さらにセルラーゼ酵素活性を100[Units/L]以上示す活性汚泥である請求項1又は2記載の生物反応槽の維持管理方法。
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