JP2013116067A - 油脂分解酵母およびそれを用いた処理方法 - Google Patents

油脂分解酵母およびそれを用いた処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、現場での使用を想定し、多様な環境下でも分解を示し、かつ多量の脂肪酸を代謝産物として出さない酵母の提供、およびそれらを用いた処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
油脂分解能を有する酵母であってメイエロザイマ・ギリエルモンディに属する酵母、またはロドトルラ・ムチラギノーザに属する酵母を利用する。特に、両者を共に使用することにより、極めて高い分解能が発揮される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、油脂分解酵母およびそれを用いた処理方法に関し、詳細には油脂系廃棄物の効率的な分解に用いることができる酵母、またはそれらを用いた環境にも配慮した微生物処理方法関する。
グリーストラップとは、廃食油(グリース)をせき止める(トラップ)浄化槽の粗集器のことである。日本では水質汚濁防止法(1970年)により、全ての業務用厨房に設置すること義務付けられている。
しかし、グリーストラップ本体は廃食油を一旦せき止めるだけのものであり、集積された油脂系廃棄物(スカム)は配管の詰まりの原因となる。この問題に対処する手法として、オゾンや油吸着剤の投入などが行われている。しかしながら、費用対効果が悪いことや、条件によって効果が表れないもの、油脂を分解せずにただ流れやすくするものなど、問題を有している(特許文献1、2)。
一方、油脂分解微生物による分解処理は、環境に優しくかつ低コストで有ることから注目されている。油脂分解菌を用いた分解処理としては、細菌によるもの(特許文献3、非特許文献1)や酵母と細菌の組み合わせによるもの(非特許文献2)等が知られているが、これらは低濃度の油脂含油廃水の処理を目的としており、その分解量は0.1%と低いため、グリーストラップ集積油脂系廃棄物のような高濃度の油脂を含む廃液の処理には適さない。また、2種の酵母を組み合わせることにより、植物油、動物油の両方を分解可能な方法(非特許文献3)も知られているが、そのpH適応性は低く、また油脂濃度が1%を超えるとほとんど分解しない。一方、高濃度の油脂分解菌としては細菌Staphylococcus saprophyticus OD-1(特許文献4)の報告があるが、これも5%の油脂含有廃液の23.2%を分解するのにとどまる。
そのため、グリーストラップ集積油脂系廃棄物の処理法としては、定期的な人手による清掃、業者によるバキューム吸引が主であり、集められた油脂系廃棄物はエネルギーおよびコストをかけて焼却処分されている。
特開2011−92909号公報 特許第3875258号公報 特開2011−182782号公報 特開2000−228977号公報
Y. Matsumiya, D. Wakita, A. Kimura, S. Sanpa, M. Kubo (2007) Isolation and characterization of a lipid-degrading bacterium and its application to lipid-containing wastewater treatment. J. Biosci. Bioeng. 103:325-330. H. Matsuoka, A. Miura, K. Hori (2009) Symbiotic effects of a lipase-secreting bacterium, Burkholderia arboris SL1B1, and a glycerol-assimilating yeast, Candida cylindracea SL1B2, on triacylglycerol degradation. J. Biosci. Bioeng. 107:401-408. D. Sugimori (2009) Edible oil degradation by using yeast coculture of Rhodotorula pacifica ST3411 and Cryptococcus laurentii ST3412. Appl. Microbiol. Biotechnol. 82:351-357.
本発明者らは、油脂系廃棄物の焼却処分に変わる方法として、効率的なかつ環境にも考慮した処理方法として微生物処理に着目した。
これまでの微生物処理を用いた報告では、高濃度の油脂を含む廃液を分解できない、油脂分解を示すものの多量の脂肪酸を残留させてしまう、または多様な現場環境(高濃度塩分、pH、温度)では分解能力を発揮できないなどの問題点がある。本発明は、現場での使用を想定し、高濃度の油脂含有廃液にも適用可能で、多様な環境下でも分解を示し、かつ多量の脂肪酸を代謝産物として出さない酵母の提供、およびそれらを用いた処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、グリーストラップ集積油脂系廃棄物を高効率で分解することができる酵母の分離に成功した。さらに、油脂分解能(リパーゼ活性)を有する酵母と脂肪酸分解能を有する酵母を複合的に培養することでより高い油脂分解が可能となることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下に限定されるものではないが、次の発明を包含する。
(1) 油脂分解能を有するMeyerozyma guilliermondii
(2) Meyerozyma guilliermondiiMeyerozyma guilliermondii TY-89 FERM AP-22204、Meyerozymaguilliermondii TY-90 FERM AP-22205、またはMeyerozyma guilliermondii TY-91 FERM AP-22206である、(1)記載のMeyerozyma guilliermondi
(3) 油脂分解能を有するRhodotorula mucilaginosa
(4) Rhodotorula mucilaginosaRhodotorula mucilaginosa TY-92 FERM AP-22207である、(3)記載のRhodotorula mucilaginosa
(5) 油脂分解能を有するMeyerozyma guilliermondiiと油脂分解能を有するRhodotorula mucilaginosaとを含む、油脂分解用組成物。
(6) Meyerozyma guilliermondiiMeyerozyma guilliermondii TY-89 FERM AP-22204、Meyerozymaguilliermondii TY-90 FERM AP-22205、およびMeyerozyma guilliermondii TY-91 FERM AP-22206からなる群から選択される一またはそれ以上であり、Rhodotorula mucilaginosaRhodotorula mucilaginosa TY-92 FERM AP-22207である、(5)記載の油脂分解用組成物。
(7) 油脂が油脂系廃棄物である、(5)または(6)記載の組成物。
(8) 油脂含有物の分解方法であって、
油脂含有物を、油脂分解能を有するMeyerozyma guilliermondiiと油脂分解能を有するRhodotorula mucilaginosaとを含む組成物と接触させる工程を含む、前記方法。
(9) Meyerozyma guilliermondiiMeyerozyma guilliermondii TY-89 FERM AP-22204、Meyerozymaguilliermondii TY-90 FERM AP-22205、およびMeyerozyma guilliermondii TY-91 FERM AP-22206からなる群から選択される一またはそれ以上であり、Rhodotorula mucilaginosaRhodotorula mucilaginosa TY-92 FERM AP-22207である、(8)記載の方法。
(10) 油脂含有物が油脂系廃棄物である、(8)または(9)記載の方法。
本発明の酵母またはその分解方法を用いることにより、油脂系廃棄物の効率的なかつ環境にも考慮した処理が可能となる。
図1は、油脂分解率(%)の試験結果を示す。 図2は、油脂分解率試験における酵母の生育を示す。 図3は、油脂分解機構解明の目的でのTLC試験結果を示す。 図4は、リパーゼ活性の測定結果を示す。 図5は、脂肪酸資化分解能力の試験結果を示す。 図6は、スカム試験でのスカム分解率を示す。 図7は、スカム培地培養後の培養液の写真を示す。
本発明は、油脂分解能を有する酵母、当該酵母を含む組成物、およびそれらを使用した油脂含有物の分解方法に関する。
以下、本発明を詳細に説明する。
<油脂分解酵母>
本発明の油脂分解酵母には、油脂分解能を有する酵母であってメイエロザイマ・ギリエルモンディ(Meyerozyma guilliermondii)に属する酵母、またはロドトルラ・ムチラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)に属する酵母が含まれる。
それらの酵母は新たにスクリーニングされた酵母であってもよい。酵母のスクリーニングの一例を示せば、各地より採取した花から酵母を分離し、その酵母が油脂分解能を有するかの試験を行うことにより確認することができる。
本発明の酵母は、油脂分解能を有する酵母であってメイエロザイマ・ギリエルモンディに属する酵母、またはロドトルラ・ムチラギノーザに属する酵母であればよい。具体的には、代表例として、平成23年11月29日付けで、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受領されたMeyerozyma guilliermondii TY-89 FERM AP-22204、Meyerozymaguilliermondii TY-90 FERM AP-22205、Meyerozyma guilliermondii TY-91 FERM AP-22206、およびRhodotorula mucilaginosa TY-92 FERM AP-22207が挙げられる。
更に本発明の酵母は、メイエロザイマ・ギリエルモンディに属する酵母またはロドトルラ・ムチラギノーザに属する酵母であれば、野生株、変異株のいずれでも良い。
変異株は、従来からよく用いられている変異剤であるエチルメタンスルホン酸による変異処理、ニトロソグアニジン、メチルメタンスルホン酸などの他の化学物質処理、紫外線照射、或いは変異剤処理なしで得られる、いわゆる自然突然変異によって取得することも可能である。
メイエロザイマ・ギリエルモンディまたはロドトルラ・ムチラギノーザに属する酵母の培養に用いる培地としては、それらが生育できる培地であれば特に制限なく用いることができる。例えば、本発明の酵母が資化し得る炭素源、例えばグルコース等、及び本発明の酵母が資化し得る窒素源を含有し、窒素源としては有機窒素源、例えばペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーン・スチープ・リカー等、無機窒素源、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム等を含有することができる。さらに所望により、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の陽イオンと硫酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン等の陰イオンとからなる塩類を含んでもよい。さらに、ビタミン類、核酸類等の微量要素を含有することもできる。炭素源の濃度は、例えば0.1〜10%程度であり、窒素源の濃度は、種類により異るが、例えば0.01〜5%程度である。また、無機塩類の濃度は、例えば0.001〜1%程度である。
本発明酵母は、トリアシルグリセロール(TAG)を分解し、遊離脂肪酸(FA)、ジグリセリド(DG)およびモノグリセリド(MG)が分解産物として生じる。したがって、油脂系廃棄物(スカム)の処理等に用いることができる。特に、ロドトルラ・ムチラギノーザはpH2.0という極酸性下にあったものでも失活せず活性を示すことから、実用性が高い。
<油脂分解用組成物>
本発明の油脂分解用組成物は、油脂分解能を有するメイエロザイマ・ギリエルモンディに属する酵母およびロドトルラ・ムチラギノーザに属する酵母を含む。
組成物に含まれる酵母は、油脂分解能を有する酵母であってメイエロザイマ・ギリエルモンディに属する酵母、またはロドトルラ・ムチラギノーザに属する酵母であればよい。具体的には、代表例として、平成23年11月29日付けで、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受領されたMeyerozyma guilliermondii TY-89 FERM AP-22204、Meyerozymaguilliermondii TY-90 FERM AP-22205、Meyerozyma guilliermondii TY-91 FERM AP-22206、およびRhodotorula mucilaginosa TY-92 FERM AP-22207が挙げられる。
更に本発明の組成物に含まれる酵母は、メイエロザイマ・ギリエルモンディに属する酵母またはロドトルラ・ムチラギノーザに属する酵母であれば、野生株、変異株のいずれでも良い。
本発明の組成物は、トリアシルグリセロール(TAG)を分解し、遊離脂肪酸(FA)、ジグリセリド(DG)およびモノグリセリド(MG)が分解産物として生じる。本発明組成物に含まれる酵母は、それぞれ単体でも優れた油脂分解能を示すが、両者を含むことでより高い油脂分解能を発揮する。ロドトルラ・ムチラギノーザに属する酵母は菌体表面に付着するリパーゼによってTAGのエステル結合を切断し分解するが、分解産物であるFAやDGを積極的に資化することはできず、多くを残してしまう。一方、メイエロザイマ・ギリエルモンディに属する酵母は脂肪酸を資化する能力が高く、FAやDGの分解能力が高い。この二種を組み合わせると、ロドトルラ・ムチラギノーザに属する酵母のリパーゼによって油脂が脂肪酸に分解されることにより、メイエロザイマ・ギリエルモンディに属する酵母が効率的に油脂や脂肪酸を細胞内に取り込むことが可能となり、結果脂肪酸を残すことなく、単体で分解させるより早く油脂を完全分解することができる。
本発明の組成物は、実際に廃棄物処理場より提供された廃油脂の好気培養分解試験において、高濃度油脂分解、固形物の融解を示した。また本発明組成物は、高濃度の塩分(2.5〜3.5M)、pH3〜9でも分解能を発揮することから、多様な環境下で用いることができる。したがって、油脂系廃棄物(スカム)の処理等に用いることができる。
本発明組成物は、酵母菌体を定法により凍結乾燥した粉末状、その粉末と各種ビタミンやミネラル、必要な栄養源、例えば酵母エキス、カザミノ酸、ペプトン等を配合した後に打錠した錠剤等固形状の形態の調製物として油脂分解処理に提供しても良い。また、酵母を含む組成物を活性汚泥およびコンポストの成分として利用することもできる。
組成物中の酵母の含量は、分解に供する油脂含有物の量や所望の分解程度などを考慮して適宜決定することができる。
<油脂含有物の分解方法>
本発明は、油脂含有物の分解方法であって、油脂含有物を、油脂分解能を有するメイエロザイマ・ギリエルモンディに属する酵母およびロドトルラ・ムチラギノーザに属する酵母を含む組成物と接触させる工程を含む方法である。
分解処理に用いる組成物は、トリアシルグリセロール(TAG)を分解し、遊離脂肪酸(FA)、ジグリセリド(DG)およびモノグリセリド(MG)が分解産物として生じる。当該組成物に含まれる酵母は、それぞれ単体でも優れた油脂分解能を示すが、両者を含むことでより高い油脂分解能を発揮する。ロドトルラ・ムチラギノーザに属する酵母は菌体表面に付着するリパーゼによってTAGのエステル結合を切断し分解するが、分解産物であるFAやDGを積極的に資化することはできず、多くを残してしまう。一方、メイエロザイマ・ギリエルモンディに属する酵母は脂肪酸を資化する能力が高く、FAやDGの分解能力が高い。この二種を組み合わせると、ロドトルラ・ムチラギノーザに属する酵母のリパーゼによって油脂が脂肪酸に分解されることにより、メイエロザイマ・ギリエルモンディに属する酵母が効率的に油脂や脂肪酸を細胞内に取り込むことが可能となり、結果脂肪酸を残すことなく、単体で分解させるより早く油脂を完全分解することができる。また、実際に廃棄物処理場より提供された廃油脂の好気培養分解試験において、高濃度油脂分解、固形物の融解を示す。
また上記組成物は、高濃度の塩分(2.5〜3.5M)、pH3〜9でも分解能を発揮する。したがって、分解処理条件は幅広く設定することができ、実際の油脂系廃棄物処理に有益である。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:グリーストラップ集積油脂系廃棄物分解菌のスクリーニング
[供試菌株]
様々な花より単離された43株の酵母を用いた。
[試料]
(有)鳥栖環境開発綜合センターより入手したグリーストラップ集積油脂系廃棄物(スカム)を使用した。
硫酸アンモニウムを全体量の0.5%分溶かした水溶液と蒸留水、それぞれに油脂系廃棄物を含有率5%(w/v)になるように加えたものを電子レンジで加熱、混合し、それを大型試験管に10mlずつ分注した。また、硫酸アンモニウムを加えない試験管も調製した。その後オートクレーブにかけて滅菌し、Y.M平板培地で30℃、2日間静置培養した酵母を1/3白金耳植菌した。30〜32℃、200rpmで3日間振とう培養した。72時間後にサンプルを採取し、培養液半分量のアセトンを用いて油分を除去した後に、OD580で菌体生育量を測定した。また、pH試験紙を用いて培養液のおおよそのpHを測定した。
[結果]
結果を表1に示す。
供試菌株のうち3菌株、すなわちTY−89(硫安有)、TY−90(無)、TY−92(無)については培養液が白濁した。またTY−89の培養液(硫安有)はpH3.0、TY−92(硫安無)はpH3.5を示した。その他の培養液はpH6.0のまま変化は見られなかった。
OD580=1.0以上の生育が見られたのは4菌株、すなわちTY−89、TY−90、TY−91、TY−92だけであった。よって以下の実験にはこの4株を用いて行うこととした。
i) 酵母の同定
酵母やカビの同定に一般的に用いられている2領域を用いた。科・属・種の分類・同定に適している28SrDNA D1/D2領域と、属・種・株の分類・同定に適している18SrDNAを含めたITS1領域を対象としたプライマーを用いPCR反応を行った。得られた配列をBLAST検索によって相同性を比較し、同定を行った。
2領域で調べたところ、それぞれ以下の相同性結果を示した。
TY−89、TY−90、およびTY−91はMeyerozyma guilliermondii(相同性TY−89、91は99.67%、TY−90は99.83%)、TY−92はRhodotorula mucilaginosa(相同性99.83%)を示した。TY−89、TY−90、TY−91およびTY−92は、それぞれMeyerozyma guilliermondii TY-89 FERM AP-22204、Meyerozymaguilliermondii TY-90 FERM AP-22205、Meyerozyma guilliermondii TY-91 FERM AP-22206、およびRhodotorula mucilaginosa TY-92 FERM AP-22207として寄託された。

実施例2: 油脂分解率の測定
オリーブオイルを仮想スカム(油脂)とみたてて、上記4株の油脂分解率を測定した。オリーブオイルを用いた理由は、純粋な油脂分解能力を調べるためである。オリーブオイルの初発濃度は5%とした。
[実験方法]
24穴のタイタープレートを用いて行った。基本培地(表2)を用い、600μlの滅菌水に1楊枝分の菌体を溶かしたものを100μl、2mlの培地に加えるという方法で菌を播種した。培養条件としては3日、100rpm、25℃で統一した。コントロールは、培地に100μlの滅菌水を加えたものを用いた。
[結果]
油脂分解率(%)の結果を図1および2に示す。
TY−90、TY−91においては、TY−89とほぼ同様の分解率を示すため割愛した。TY−89(Meyerozyma guilliermondii)とTY−92(Rhodotorula mucilaginosa)を組み合わせたところ、58%と高い分解率を示した。これは、通常単体で試験した時の油脂分解率(10〜20数%)という値と比べて極めて高い。

実施例3: 組合せによる油脂分解機構の解明
TLC分析
この試験はそれぞれの種、組み合わせにおける培養試験を経時的にTLC分析することで、油脂分解過程を明らかにする目的で行った。
[実験方法]
薄層プレート MERCK TLC Silica gel 60 25Aluminium sheets
展開液 n-hexane : ether : acetic acid=80:30:1
検出法 硫酸法(濃硫酸を30〜50%の水溶液とし、オールガラス製噴霧器で乾燥プレートに吹き付け、150〜180℃で5min 加熱する)。
培養基本条件に基づき培養したものに、2mlの溶媒(ヘキサンまたはクロロホルム:メタノール=3:1)を加え、10min、100rpmで振とう混合し、遠心して溶媒層を分取し、そのうち1μlをサンプルとして用いスポットした。
結果を図3に示す。
TY−92はトリアシルグリセロール(TAG)を分解して遊離脂肪酸(FA)、ジグリセリド(DG)とモノグリセリド(MG)が分解産物として出ているのが分かる。しかし、遊離脂肪酸を積極的に資化するには至らず、時間をかけても多くのFAやDGが培養液中に残ってしまうことが確認された。TY−89は、TAGを分解してもFA、DG、MGが培養液中に残るわけではなく、積極的に脂肪酸を分解していることが確認された。しかしながら、8日目でも油脂を完全分解するには至っていない。一方で、両者の組み合わせは、FAを培地中に残存させることなく4日目でほとんど分解し、6日目には完全分解していることが確認された。

実施例4: リパーゼ活性
油脂を分解、資化する過程において、リパーゼによる油脂中のエステル結合の切断が重要になってくる。TLC分析により、特にTY−92においては、TAGを脂肪酸に変換するためリパーゼ活性を有することが考えられる。よってそれぞれの種のリパーゼ活性を測定し確認した。
[実験方法]
それぞれの種を基本培地(表2)で3日間培養した培養液の上清、菌体を対象として“Lipase kitS”(大日本製薬株式会社)を用い測定した。
結果を図4に示す。
TY−89は培養液上清、菌体表面の両方において高い活性が見られなかった。TY−92においては、菌体表面に高いリパーゼ活性が見られた。また培養液がpH2.0という極酸性下にあったものでも失活せず高い活性(83.6U/l)を示した。

実施例5:脂肪酸資化能力
TLCの結果より、酵母二種間において脂肪酸の資化能力に差があると推測されるため試験した。
[実験方法]
基本培地の炭素源である油に代わりに脂肪酸のモデルとしてオレイン酸(5.0%)を用い、25℃、100rpm、3日で行った。なお脂肪酸分解量はヘキサン抽出法を用いた重量換算によって算出した。
結果を図5に示す。
TY−89はTY−92に比べてオレイン酸分解率が高いことが示された。よって脂肪酸を資化する能力が、TY−89の方が高いことが判明した。
TY−92は菌体表面に付着するリパーゼによってTAGのエステル結合を切断し分解するが、分解産物であるFAやDGを積極的に資化することはできず、多くを残してしまう。TY−89は、脂肪酸を資化する能力が高く、FAやDGを分解できずに残すことはしないが、8日目を過ぎても1%の油脂を完全分解しない。この二種を組み合わせると、TY−92のリパーゼによって油脂が脂肪酸に分解されることにより、TY−89が効率的に油脂や脂肪酸を細胞内に取り込むことが可能となり、結果脂肪酸を残すことなく、単体で分解させるより早く油脂を完全分解できると考えられる。

実施例6:スカム試験
上記はオリーブオイル等を仮想スカムとして試験を行ったが、実際に現場(鳥栖環境開発綜合センター)で集められているスカムを用いて分解を示すか試験した。
試験方法は、スカム含有培地(表3)100mlの系を25℃、200rpm、7日で行った。油脂分解率は、ヘキサン抽出法を用いた重量換算によって求めた。
[結果]
結果を図6に示す。
組み合わせは一週間で、ほぼ半分まで油脂が分解された。スカムの見た目の違いとしては、TY−89はスカムの量は少なくなるが個体が残り液面に浮いていた。TY−92との組み合わせにおいては、スカムが溶けて個体状の物はほぼ無くなっていた(図7)。
これまでの微生物処理を用いた報告では、油脂分解を示すものの多量の脂肪酸を残留させてしまう、または多様な現場環境(高濃度塩分、pH、温度)では分解能力を発揮できないなどの問題点がある。本発明によれば、現場での使用を想定し、多様な環境下でも分解を示し、かつ多量の脂肪酸を代謝産物として出さない酵母の提供、およびそれらを用いた処理方法を提供することができる。

Claims (10)

  1. 油脂分解能を有するMeyerozyma guilliermondii
  2. Meyerozyma guilliermondiiMeyerozyma guilliermondii TY-89 FERM AP-22204、Meyerozymaguilliermondii TY-90 FERM AP-22205、またはMeyerozyma guilliermondii TY-91 FERM AP-22206である、請求項1記載のMeyerozyma guilliermondi
  3. 油脂分解能を有するRhodotorula mucilaginosa
  4. Rhodotorula mucilaginosaRhodotorula mucilaginosa TY-92 FERM AP-22207である、請求項3記載のRhodotorula mucilaginosa
  5. 油脂分解能を有するMeyerozyma guilliermondiiと油脂分解能を有するRhodotorula mucilaginosaとを含む、油脂分解用組成物。
  6. Meyerozyma guilliermondiiMeyerozyma guilliermondii TY-89 FERM AP-22204、Meyerozyma guilliermondii TY-90 FERM AP-22205、およびMeyerozyma guilliermondii TY-91 FERM AP-22206からなる群から選択される一またはそれ以上であり、Rhodotorula mucilaginosaRhodotorula mucilaginosa TY-92 FERM AP-22207である、請求項5記載の油脂分解用組成物。
  7. 油脂が油脂系廃棄物である、請求項5または6記載の組成物。
  8. 油脂含有物の分解方法であって、
    油脂含有物を、油脂分解能を有するMeyerozyma guilliermondiiと油脂分解能を有するRhodotorula mucilaginosaとを含む組成物と接触させる工程を含む、前記方法。
  9. Meyerozyma guilliermondiiMeyerozymaguilliermondii TY-89 FERM AP-22204、Meyerozyma guilliermondii TY-90 FERM AP-22205、およびMeyerozyma guilliermondii TY-91 FERM AP-22206からなる群から選択される一またはそれ以上であり、Rhodotorula mucilaginosaRhodotorula mucilaginosa TY-92 FERM AP-22207である、請求項8記載の方法。
  10. 油脂含有物が油脂系廃棄物である、請求項8または9記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101773369B1 (ko) 2016-06-10 2017-09-04 동신대학교산학협력단 항산화 및 면역 활성을 가지는 꽃송이버섯 발효물 및 그 제조방법
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