JP6444632B2 - ビールライクテイストの梨由来果実酒およびその製造方法 - Google Patents

ビールライクテイストの梨由来果実酒およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ビールライクテイストの梨由来果実酒およびその製造方法に関する。
リンゴ果実酒(シードル)や梨を果実原料とする果実酒(ペリー)は、ジュースのような甘味があり、ビールの苦手な女性やアルコールを飲み始めばかりの消費者向けのアルコール飲料として広く知られている。近年、特に果実酒について商品価値を高めることを目的として、その色合いを調節する方法が報告されている。
例えば、特許文献1には、リンゴの果もろみに高濃度の亜硫酸または亜硫酸と酸を添加して赤色素を抽出した後これを搾汁し、得られた果汁にペクチン分解酵素を添加して酵素処理を行った後酵母を摂取して発酵を行うことを特徴とする、ピンク色のリンゴ果実酒の製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、赤色品種リンゴの破砕物に、その破砕前後のいずれかの際に酸化防止剤を添加した後、これに赤色品種リンゴ以外の品種のリンゴの果汁を添加すると共に、この添加前後のいずれかの際に酸化防止剤を加え、次いで静置し、搾汁した後、発酵させることを特徴とする、赤色のリンゴ果実酒の製造方法が記載されている。
また、特許文献3には、各種梨の果実破砕物を固液分離することなく、酵母で発酵させた、梨果実の特徴香があり色調が赤色の梨ワインの製造方法が記載されている。
一方で、ビールは、世界中で愛飲されているアルコール飲料であり、ドライで爽快な喉越しの特有の味わいを有している。発泡酒、ノンアルコール飲料等に対しては、ビール特有の味わいを付与する様々な方法が従前検討されている。
しかしながら、果実酒に対してビールらしいドライで爽快な喉越しを付与する手法は何ら開示されていない。特に、梨を果実原料とする果実酒に対して、ビールらしい味わいとビールらしい外観とを同時に付与することは何ら報告されていない。
特開平3−251165号公報 特開2006−197845号公報 特開2001−054378号公報
本発明は、ビールらしい味わいの付与された、梨由来の果実酒、特には、ビールらしい味わいとビールらしい外観とを共に付与された梨由来の果実酒を提供することをその目的としている。
本発明者らは、今般、梨を果実原料の一部とする果実酒において複数の特定成分の含有量を調整したところ、ビールらしい爽快な喉越しを付与しうることを見出し、かかる梨由来の果実酒に特定の糖類を添加したところ、その味わいを損なうことなくビールらしい外観を付与しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)エキス分の総量が2.8〜5.8w/v%でありかつ有機酸の含量が0.34〜0.52w/v%であり、果実原料の少なくとも一部が梨またはその加工物である、ビールライクテイストの付与された果実酒。
(2)有機酸がC3〜C6の1〜3価カルボン酸である、(1)に記載の果実酒。
(3)有機酸が、リンゴ酸、クエン酸および乳酸の組み合わせを含んでなる、(1)または(2)に記載の果実酒。
(4)リンゴ酸とクエン酸との質量比が、1:0.06〜1:1.5である、(3)に記載の果実酒。
(5)リンゴ酸と乳酸との質量比が、1:0.2〜1:1.1である、(3)または(4)に記載の果実酒。
(6)リンゴ酸とクエン酸および乳酸の合計との質量比が、1:0.73〜1:2.5である、(1)〜(5)のいずれかに記載の果実酒。
(7)果実原料がリンゴまたはその加工物をさらに含んでなる、(1)〜(6)のいずれかに記載の果実酒。
(8)焙焼糖類含有物をさらに含んでなる、(1)〜(7)のいずれかに記載の果実酒。
(9)焙焼糖類含有物が、焙焼リンゴ果汁、焙焼梨果汁またはそれらの混合物を含んでなる、(8)に記載の果実酒。
(10)容器詰めである、(1)〜(9)のいずれかに記載の果実酒。
(11)ビールライクテイストの付与された果実酒の製造方法であって、
果実酒の果実原料の少なくとも一部が梨またはその加工物であり、
果実酒中のエキス分の総量および/または有機酸の含量を調整して、果実酒中のエキス分の総量を2.8〜5.8w/v%としかつ有機酸の含量が0.34〜0.52w/v%とすることを含んでなる、方法。
(12)果実酒に焙焼糖類含有物を含有させることをさらに含んでなる(11)に記載の製造方法。
(13)果実酒にビールライクテイストを付与する方法であって、
果実酒の果実原料の少なくとも一部が梨またはその加工物であり、
果実酒中のエキス分の総量および/または有機酸の含量を調整して、果実酒中のエキス分の総量を2.8〜5.8w/v%としかつ有機酸の含量が0.34〜0.52w/v%とすることを含んでなる、方法。
(14)果実酒に焙焼糖類含有物を含有させることをさらに含んでなる、(13)に記載の方法。
本発明によれば、ドライで爽快な喉越しを特徴とするビールらしい味わいを梨由来の果実酒に付与することができる。また、本発明によれば、焙焼糖類含有物を用いて、ビールらしい味わいを付与された梨由来の果実酒において、その味わいを損なうことなくビールらしい外観をさらに付与することができる。
発明の具体的説明
梨由来の果実酒
本発明の果実酒は、果実原料の少なくとも一部が梨またはその加工物であり、エキス分および有機酸の含量が特定の範囲にあることを特徴としている。
本発明の果実原料として用いられる梨の種類は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、好ましくは洋梨(バラ科ナシ属、学名:Pyrus communis)である。かかる梨の具体例としては、ラ・フランス、バートレット、ルレクチエ、シルバーベル、ゼネラル・レクラーク、オーロラ、マルゲリット・マリーラ、ドワイエネ・デュ・コミス、ブランデーワイン、バラード、エル・ドラド等が挙げることができ、これらの1種を単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の果実原料として用いられる梨の加工品としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されず、梨破砕物、梨果汁等が挙げられるが、好ましくは梨果汁であり、より好ましくは洋梨果汁である。
本発明において、果実原料における梨またはその加工品の含有率は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、好ましくは10〜100質量%であり、より好ましくは50〜100質量%であり、さらに好ましくは90〜100質量%であり、さらに好ましくは100質量%である。
本発明の果実原料は、リンゴまたはその加工物をさらに含有していてもよい。本発明において果実原料となるリンゴの種類は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、ジェネバ種(Geneva)、アダムス・クラブ(Adamus Crab)種、エリー・パープル・クラブ(Eley Purple Crab)種、エレイー(Eleyi)種、ジョージアス(Georgeous)種、ジャイ・ダーリン(Jay Darling)種、マカミック・クラブ(Makamic Crab)種、マルス・ロブスタ・ベイル(Malse Robusta BAIL)種、マルス・ロブスタ・リード(Malse Robusta READ)種、ピンク・パール(Pink Pearl)種、プロフュージョン(Profusion)種、パープル・ウェイブ(Purple Wave)種、レッド・フィールド(Red Field)種、レッド・フック(Red Hook)種、ローヤルティ(Royalty)種、ウィンター・タウベン(Winter Touben)種等を挙げることができ、これらの1種を単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の果実原料として用いられるリンゴの加工品は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されず、リンゴ破砕物、梨果汁等が挙げられるが、好ましくはリンゴ果汁である。
本発明のエキス分の総量は、本発明の効果を妨げない範囲であればよい。そのような範囲は、好ましくは2.8〜5.8w/v%であり、より好ましくは3.6〜5.3w/v%である。
本発明のエキス分の総量とは、果実酒に含まれるエキス分の合計をいい、「国税庁所定分析法注解の7−7果実酒類のエキス分」に従って測定することができる。
また、本発明の有機酸の含量は、本発明の効果を妨げない範囲であればよい。そのような範囲は、好ましくは0.34〜0.52w/v%であり、より好ましくは0.41〜0.47w/v%である。
本発明の有機酸は、好ましくはC3〜C6の1〜3価カルボン酸であり、より好ましくはリンゴ酸、クエン酸および乳酸から選択される少なくとも一つのものであり、さらに好ましくはリンゴ酸、クエン酸および乳酸の組み合わせである。
本発明の有機酸の含量は、キャピラリー電気泳動による有機酸測定法で測定することができる。この場合、各有機酸の塩は、各有機酸自体として、有機酸の含量中に算入される。
また、本発明の果実酒において、リンゴ酸とクエン酸との質量比は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、好ましくは1:0.06〜1:1.5であり、より好ましくは1:0.4〜1:1.2である。
また、本発明の果実酒において、リンゴ酸と乳酸との質量比は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、好ましくは1:0.2〜1:1.1であり、より好ましくは1:0.3〜1:1.0である。
また、本発明の果実酒において、リンゴ酸とクエン酸および乳酸の合計との質量比は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、好ましくは1:0.73〜1:2.5であり、より好ましくは1:0.83〜1:1.71である。
また、本発明の果実酒は、好ましくは焙焼糖類含有物をさらに含んでなる。焙焼糖類含有物の添加は、ビールらしい味わいを損なうことなく、ビールらしい外観を果実酒に付与する上で特に有利である。とりわけ、焙焼糖類含有物の添加は、甘味が低減するのに伴って果実酒のコクが減少して香味が平板になるかまたは酸味が強く感じられることを抑制する上で好ましい。
本発明の果実酒において、焙焼糖類含有物の含有量は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、好ましくは0.02〜2.0w/v%であり、より好ましくは0.04〜1.5w/v%である。
本発明の焙焼糖類含有物としては、カラメル、焙焼液糖または焙焼果汁が挙げられるが、好ましくは焙焼果汁であり、より好ましくは焙焼リンゴ果汁、焙焼梨果汁またはそれらの混合物であり、さらに好ましくは焙焼リンゴ果汁、焙焼洋梨果汁またはそれらの混合物である。
本発明の焙焼果汁は、好ましくは常圧下で果汁または果汁と糖類との混合液を加熱することにより得ることができる。上記加熱温度は、好ましくは100℃以上であり、より好ましくは140℃である。また、上記加熱時間は、好ましくは3分間以上であり、より好ましくは30分以上である。
本発明の焙焼糖類含有物を果実酒に含有させる場合、果実酒の色度を好ましくは7[EBC]以上、より好ましくは7〜130[EBC]、さらに好ましくは7〜80[EBC]とすることができる。
EBC色度の測定方法は、当業者に広く知られており、例えば、「改訂BCOJビール分析法4.3.8、ビール酒造組合国際技術委員会(分析委員会)編 財団法人 日本醸造協会」を参照することにより、当業者が容易に測定することができる。
本発明の果実酒のアルコール分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは1〜10v/v%であり、より好ましくは3〜7v/v%であり、さらに好ましくは4〜6v/v%である。
本発明の果実酒のアルコール分の含有量(v/v%)は、公知のいずれの方法を用いて測定することができ、振動式密度計を用いて測定することができる。例えば、果実酒を濾過又は超音波処理し、炭酸ガスが除去された試料を調製する。当該試料を直火蒸留することにより蒸留液を得、当該蒸留液の15℃における密度を測定する。国税庁所定分析法(平成19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改定)の付表である「第2表 アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて、前記測定値を換算することによって、飲料中のアルコール分を求めることができる。また、アルコール分が低濃度、例えば、1.0v/v%未満の場合は、市販のアルコール測定装置、又はガスクロマトグラフィー等を用いてアルコール分を測定してもよい。
また、本発明の果実酒には、本発明の効果を妨げない限り、脱気水、炭酸ガス、炭酸水または食品添加物として認められている成分等をさらに含有させることができる。
食品添加物として認められている成分としては、特に限定されないが、例えば、甘味料、香料、大豆サポニン等の植物抽出サポニン系物質、コーン、大豆、そら豆等の植物タンパク質、ウシ血清アルブミン等のタンパク質系物質、食物繊維、アミノ酸等の調味料、酸化防止剤等が挙げられる。
また、本発明の果実酒は、容器詰めとすることができる。いずれの形態・材質の容器を用いてもよく、例えば、ビン、缶、樽、又はペットボトル等の容器に充填・密閉することができる。
果実酒の製造方法/ビールライクテイストの付与方法
本発明のビールライクテイストの果実酒の製造方法は、果実酒の果実原料の少なくとも一部が梨またはその加工物であり、果実酒中のエキス分の総量および/または有機酸の含量を調整して、果実酒中のエキス分の総量を2.8〜5.8w/v%としかつ有機酸の含量が0.34〜0.52w/v%とすることを特徴としている。
本発明においては、常法に従って果実酒を製造する際に、いずれかの工程において、反応条件または各成分の添加量を調整して、果実酒中のエキス分の総量および/または有機酸の含量を所定の範囲内に調整することができる。以下、本発明の製造方法を好適な例とともに具体的に説明する。
本発明の果実酒の製造方法では、梨またはその加工物を含有する果実原料と糖類(砂糖、果糖、ぶどう糖等)に、酵母(サッカロミセス・セレビシエ)を接種して得られる混合液を用いて発酵工程を実施することができる。
本発明の果実原料における梨またはその加工物の含量は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である。
また、本発明の果実原料にリンゴまたはその加工物をさらに含有させる場合、梨またはその加工物と、リンゴまたはその加工物との質量比は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、好ましくは1:1〜1:9である。
本発明の製造方法の発酵工程において、酵母(サッカロミセス・セレビシエ)の濃度は、例えば、上記混合液中の10〜30×10個/mlとすることができる。また、発酵温度は、例えば、4〜25℃とすることができる。
本発明のエキス分の総量は、例えば、上記の原料の種類、発酵条件等を調節することにより調整することができる。本発明の好ましい態様によれば、発酵終了後、果実酒にさらに糖類等を添加して、エキス分の総量を調整してもよい。
また、本発明の有機酸の含有量は、本発明の製造方法のいずれかの工程において、必要に応じて、有機酸を添加して調整を行うことができる。本発明の好ましい態様によれば、発酵終了後、果汁、有機酸(乳酸、クエン酸、クエン酸Na)等を適宜添加して、果実酒中の有機酸の含有量を調整してもよい。
また、本発明の製造方法にあっては、いずれかの工程において、必要に応じて、焙焼糖類含有物をさらに添加してもよい。焙焼糖類含有物の添加は、いずれの工程中またはその前後であってもよいが、発酵工程後であることが好ましい。
また、果実酒中のアルコール、エキス分、有機酸および焙焼糖類含有物の濃度は、例えば、発酵終了後に、脱気水、炭酸水等を添加することによりさらに調整することもできる。
また、上述の成分の他、炭酸ガスおよび食品添加物として認められている成分等は、本発明の効果を妨げない限り、本発明の製造方法のいずれかの工程において、必要に応じて加えることができる。
また、本発明の別の態様によれば、果実酒にビールライクテイストを付与する方法であって、果実酒の果実原料の少なくとも一部が梨またはその加工物であり、果実酒中のエキス分の総量および/または有機酸の含量を調整して、果実酒中のエキス分の総量を2.8〜5.8w/v%としかつ有機酸の含量が0.34〜0.52w/v%とすることを含んでなる、方法が提供される。
本発明の果実酒にビールライクテイストを付与する方法は、上述の本発明の果実酒およびその製造方法の記載に準じて実施することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:果実原料中の洋梨の含有率100質量%の場合
1−1
洋梨果汁(70ブリックス)とぶどう糖との混合液を所定の糖濃度まで加水し、酵母(サッカロミセス・セレビシエ)を菌濃度が20×10個/mlとなるように接種し、20℃で発酵を行い、発酵液(アルコール濃度5v/v%)を得た。
次に、得られた発酵液に、果汁(リンゴ酸含有)、有機酸(乳酸、クエン酸、クエン酸Na)、砂糖および焙焼糖類含有物0.1w/v%(焙焼リンゴ果汁または焙焼洋梨果汁)を添加して各成分の濃度を調整し、さらに炭酸水で希釈し、最終アルコール濃度5w/v%の果実酒(ペリー:試験品1〜7)を得た。
試験品1〜7を訓練されたパネラー4名により、「ビールらしい味わい」(ドライで爽快な喉越しがある)について、以下の基準に基づき官能評価を行った。
◎:ビールらしい味わいが非常にある
○:ビールらしい味わいが認められる
×:ビールらしい味わいがない
さらに、「外観のビールらしさ(ビールらしい色がある)」について、以下の基準に基づき官能評価を行った。
◎:有り
○:やや有り
×:なし
官能評価の結果は、以下の通りであった。
Figure 0006444632
果実酒中の「エキス分(w/v%)」が2.8〜5.8(w/v%)の範囲内である場合、「リンゴ酸、乳酸およびクエン酸の総濃度(w/v%)」を0.34〜0.52w/v%の範囲内に調整すると、果実酒にビールらしい味わいが付与されていた。
1−2
1−1と同様の手法により、試験品8〜12を得た。ここで、試験品8の「エキス分」の含量は試験品1〜7よりも低レベルに設定した(2.8(w/v%)未満)。また、試験品9〜11では、「エキス分」の含量を試験品1〜7と同レベルに設定する一方、「リンゴ酸、乳酸およびクエン酸の総濃度」は0.3(w/v%)未満または0.52(w/v%)を超過する範囲に設定した。また、試験品12では、「エキス分」の含量および「リンゴ酸、乳酸およびクエン酸の総濃度」を試験品1〜7と同レベルに設定する一方、焙焼糖類含有物を添加しなかった。
試験品8〜12について、1−1と同様の手法により、「ビールらしい味わい」および「外観のビールらしさ」について、官能評価を行った。
官能評価の結果は、表2に記載の通りであった。
Figure 0006444632
表1および表2の結果から、「エキス分(w/v%)」の範囲を2.8〜5.8(w/v%)としかつ「リンゴ酸、乳酸およびクエン酸の総濃度(w/v%)」の範囲を0.34〜0.52w/v%とする場合、梨を果実原料とする果実酒にビールらしい味わいを付与しうることが確認された。
また、試験品12の結果から、ビールらしい味わいを付与された果実酒に、その味わいを損なうことなくビールらしい外観を付与するためには、焙焼糖類含有物をさらに添加する必要があることが確認された。
実施例2:果実原料中の洋梨の含有率50質量%の場合
2−1
洋梨果汁(70ブリックス)に代えて、洋梨果汁(70ブリックス)とリンゴ果汁(70ブリックス)の混合物(質量比率−洋梨果汁:リンゴ果汁=1:1)を果実原料に用いる以外、実施例1と同様の手法により、最終アルコール濃度5v/v%の果実酒(試験品13〜18)を得た。さらに、試験品13〜18について、実施例1と同様の手法により、「ビールらしい味わい」および「外観のビールらしさ」に関する官能評価を行った。
官能評価の結果は、表3に記載の通りであった。
Figure 0006444632
表3に示される通り、果実原料中の洋梨果汁およびリンゴ果汁の質量比率を1:1とした場合であっても、実施例1と同様、「エキス分(w/v%)」の範囲が2.8〜5.8(w/v%)となりかつ「リンゴ酸、乳酸およびクエン酸の総濃度(w/v%)」の範囲が0.34〜0.52w/v%となるように調整すると、梨を果実原料の一部とする果実酒にビールらしい味わいを付与しうることが確認された。さらに、かかる果実酒に焙焼糖類含有物を添加すると、その味わいを損なうことなく、ビールらしい外観をさらに付与しうることも確認された。
2−2
また、2−1と同様の手法により、試験品21を得た。試験品21では、「エキス分」の含量を試験品13〜18と同ベルに設定する一方、「リンゴ酸、乳酸およびクエン酸の総濃度」含量は0.52(w/v%)を超過するように設定した。この試験品21について、1−1と同様の手法により、「ビールらしい味わい」および「外観のビールらしさ」について、官能評価を行った。
官能評価の結果は、表4に記載の通りであった。果実原料中における洋梨果汁およびリンゴ果汁の質量比率を1:1とした場合であっても、「リンゴ酸、乳酸およびクエン酸の総濃度」を0.52(w/v%)を超過するように設定すると、「ビールらしい味わい」が得られなかった。
Figure 0006444632
実施例3:果実原料中の洋梨の含有率10質量%の場合
洋梨果汁(70ブリックス)に代えて、洋梨果汁(70ブリックス)とリンゴ果汁(70ブリックス)の混合物(質量比率−洋梨果汁:リンゴ果汁=1:9)を果実原料に用いる以外、実施例1と同様の手法により、最終アルコール濃度5v/v%の果実酒(試験品22〜26)を得た。さらに、試験品22〜26について、実施例1と同様の手法により、「ビールらしい味わい」および「外観のビールらしさ」に関する官能評価を行った。
官能評価の結果は、表5に記載の通りであった。
Figure 0006444632
表5に示される通り、果実原料中における洋梨果汁およびリンゴ果汁の質量比率を1:9とした場合であっても、実施例1と同様、「エキス分(w/v%)」の範囲を2.8〜5.8(w/v%)としかつ「リンゴ酸、乳酸およびクエン酸の総濃度(w/v%)」の範囲を0.34〜0.52w/v%とする場合、梨を果実原料の一部とする果実酒にビールらしい味わいを付与しうることが確認された。さらに、かかる果実酒に焙焼糖類含有物を添加すると、その味わいを損なうことなく、ビールらしい外観をさらに付与しうることが確認された。

Claims (9)

  1. エキス分の総量が2.8〜5.8w/v%であり
    リンゴ酸、乳酸およびクエン酸の総濃度が0.34〜0.52w/v%であり、
    果実原料が洋梨もしくはその加工物、または洋梨もしくはその加工物とリンゴもしくはその加工物との組み合わせであり、該組み合わせにおける洋梨もしくはその加工物とリンゴもしくはその加工物との質量比が10:0〜1:9であり
    リンゴ酸と乳酸との質量比が1:0.2〜1:1.1であり、かつ
    リンゴ酸とクエン酸との質量比が1:0.06〜1:1.5である、ビールライクテイストの付与された果実酒。
  2. リンゴ酸とクエン酸および乳酸の合計との質量比が、1:0.73〜1:2.5である、請求項に記載の果実酒。
  3. 焙焼糖類含有物をさらに含んでなる、請求項に記載の果実酒。
  4. 前記焙焼糖類含有物が、焙焼リンゴ果汁、焙焼梨果汁、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項2または3に記載の果実酒。
  5. 容器詰めである、請求項1〜のいずれか一項に記載の果実酒。
  6. ビールライクテイストの付与された果実酒の製造方法であって、
    前記果実酒の果実原料が洋梨もしくはその加工物、または洋梨もしくはその加工物とリンゴもしくはその加工物との組み合わせであり、該組み合わせにおける洋梨もしくはその加工物とリンゴもしくはその加工物との質量比が10:0〜1:9であり
    果実酒中のエキス分の総量2.8〜5.8w/v%となり、
    リンゴ酸、乳酸およびクエン酸の総濃度が0.34〜0.52w/v%となり、
    リンゴ酸と乳酸との質量比が1:0.2〜1:1.1となり、かつ
    リンゴ酸とクエン酸との質量比が1:0.06〜1:1.5となる
    ように調整することを含んでなる、方法。
  7. 果実酒に焙焼糖類含有物を含有させることをさらに含んでなる、請求項に記載の製造方法。
  8. 果実酒にビールライクテイストを付与する方法であって、
    前記果実酒の果実原料が洋梨もしくはその加工物、または洋梨もしくはその加工物とリンゴもしくはその加工物との組み合わせであり、該組み合わせにおける洋梨もしくはその加工物とリンゴもしくはその加工物との質量比が10:0〜1:9であり、
    果実酒中のエキス分の総量2.8〜5.8w/v%となり、
    リンゴ酸、乳酸およびクエン酸の総濃度が0.34〜0.52w/v%となり、
    リンゴ酸と乳酸との質量比が1:0.2〜1:1.1となり、かつ
    リンゴ酸とクエン酸との質量比が1:0.06〜1:1.5となる
    ように調整することを含んでなる、方法。
  9. 果実酒に焙焼糖類含有物を含有させることをさらに含んでなる、請求項に記載の方法。
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