JP7303019B2 - 容器詰め飲料 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、糖質を抑え、且つ味わいを付与しながらも、後味のスッキリさを損なわず、良好な香味を有するビールテイスト飲料として、プリン体含有量が0.5~5mg/100mL、糖質含有量が0.5g/100mL以下、pHが3.0~4.0であるビールテイスト飲料が開示されている。
すなわち、本発明には、以下の態様の発明が含まれる。
[1]
2-メトキシ-4-ビニルフェノールの含有量(X)が0.070質量ppm以上である、容器詰め飲料。
[2]
糖質濃度(Y)が、3.0g/100mL未満である、上記[1]に容器詰め飲料。
[3]
2-メトキシ-4-ビニルフェノールの含有量(X)(単位:質量ppm)と糖質濃度(Y)(単位:g/100mL)との比〔(X)/(Y)〕が0.10以上である、上記[1]又は[2]に記載の容器詰め飲料。
[4]
糖質濃度(Y)が、1.0g/100mL未満であり、
2-メトキシ-4-ビニルフェノールの含有量(X)(単位:質量ppm)と糖質濃度(Y)(単位:g/100mL)との比〔(X)/(Y)〕が0.20以上である、上記[1]に記載の容器詰め飲料。
[5]
糖質濃度(Y)が、0.5g/100mL未満であり、
2-メトキシ-4-ビニルフェノールの含有量(X)(単位:質量ppm)と糖質濃度(Y)(単位:g/100mL)との比〔(X)/(Y)〕が0.50以上である、上記[1]に記載の容器詰め飲料。
[6]
糖質濃度(Y)が、1.0g/100mL以上3.0g/100mL未満であり、
2-メトキシ-4-ビニルフェノールの含有量(X)(単位:質量ppm)と糖質濃度(Y)(単位:g/100mL)との比〔(X)/(Y)〕が0.10以上である、上記[1]に記載の容器詰め飲料。
[7]
原材料が、麦芽又は未発芽の麦類を少なくとも含む、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の容器詰め飲料。
[8]
麦芽使用比率が50~100質量%である、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の容器詰め飲料。
[9]
発酵アルコール飲料である、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の容器詰め飲料。
[10]
ビールテイスト飲料である、上記[1]~[9]のいずれか一項に記載の容器詰め飲料。
本発明の容器詰め飲料は、2-メトキシ-4-ビニルフェノールの含有量(X)が0.070質量ppm以上となるように調製した飲料である。
2-メトキシ-4-ビニルフェノールの含有量(X)を上記範囲に調製することで、良質な味の厚みを向上させた飲料とすることができる。
[試料]
測定対象となる飲料10~20gに、水150mL及びヘプタン4mLを加えた溶液を調製する。そして当該溶液に対して、精油定量用蒸留装置を用いて90分間蒸留した後、ヘプタン層を下記に示すGC/MS装置に1μL注入して、測定を行う。
[測定条件]
・GC/MS装置:7890B/5977B(Agilent Technologies社製)
・カラム:DB-WAX(Agilent Technologies社製)、直径0.25mm×30m、膜厚0.25μm
・導入系:スプリット5:1
・注入量:1μL
・試料注入口温度:220℃
・カラム温度:40℃(1分間保持)→10℃/分で160℃まで昇温→15℃/分で200℃まで昇温
・ガス流量:ヘリウム(キャリアガス)を1mL/分
・イオン源温度:230℃
・イオン化法:EI
・設定質量数:m/z 152
ここで、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分及び水分の量は、栄養表示基準に掲げる方法により測定することができる。具体的には、タンパク質の量は窒素定量換算法で測定し、脂質の量はエーテル抽出法で測定し、食物繊維の量はプロスキー法で測定し、灰分の量は直接灰化法で測定し、水分の量は減圧加熱乾燥法で測定することができる。
本発明の一態様の容器詰め飲料において、飲料の種類としては、例えば、ビールテイスト飲料、ワイン、清酒、梅酒、ウィスキー、ブランデー、焼酎、ラム、ジン、リキュール類等のアルコール飲料又は非アルコール含有飲料や、茶飲料、清涼飲料、コーヒー飲料、ココア飲料、ゼリー飲料、乳性飲料、豆乳類、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤等が挙げられる。
・(i)原材料が、麦芽又は未発芽の麦類を少なくとも含む。
・(ii)麦芽使用比率が50~100質量%である。
・(iii)発酵アルコール飲料である。
以下、本発明の一態様の容器詰め飲料として好適である「ビールテイスト飲料」についての態様を説明する。
本明細書において、「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の風味をもつアルコール含有またはノンアルコールの炭酸飲料をいう。つまり、本明細書のビールテイスト飲料は、特に断わりがない場合、ビール風味を有するいずれの炭酸飲料をも包含する。したがって、エステルや高級アルコール(例えば、酢酸イソアミル、酢酸エチル、n-プロパノール、イソブタノール、アセトアルデヒド)等を含むビール香料が添加された炭酸飲料をも包含する。
ビールテイスト飲料の種類としては、例えば、アルコール含有のビールテイスト飲料、アルコール度数が1(v/v)%未満のビールテイスト飲料等も含まれる。
なお、本明細書において、アルコール度数は、体積/体積基準の百分率(v/v%)で示されるものとする。また、飲料のアルコール含有量は、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。
本明細書において、スピリッツとは、麦、米、そば、とうもろこし等の穀物を原料として、麦芽又は必要により酵素剤を用いて糖化し、酵母を用いて発酵させた後、更に蒸留して得られる酒類を意味する。スピリッツの原材料である穀物としては、麦が好ましい。
また、アルコールを含有するビールテイスト飲料のpHは、好ましくは3.0~4.5であり、ノンアルコールビールテイスト飲料のpHは、好ましくは4.0未満である。
なお、本明細書における「総エキス量」は、アルコール度数が1(v/v)%以上の飲料においては、日本の酒税法におけるエキス分、すなわち、温度15℃の時において原容量100cm3中に含有する不揮発性成分のグラム数をいい、アルコール度数が1(v/v)%未満の飲料においては、脱ガスしたサンプルをビール酒造組合国際技術委員会(BCOJ)が定める「ビール分析法 7.2 エキス」に従い測定したエキス値(質量%)をいう。
ビールテイスト飲料の主な原材料は、水及び麦芽であるが、ホップを用いることが好ましく、その他に、甘味料、水溶性食物繊維、苦味料又は苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料等を用いてもよい。
なお、得られるビールテイスト飲料の糖質濃度(Y)が、上述の範囲となるように、原材料は適宜選択されることが好ましい。
本発明の一態様においては、大麦麦芽を用いることが好ましい。大麦麦芽は、日本のビールテイスト飲料の原料として最も一般的に用いられる麦芽の1つである。大麦には、二条大麦、六条大麦などの種類があるが、いずれを用いてもよい。さらに、通常麦芽のほか、色麦芽なども用いることができる。なお、色麦芽を用いる際には、種類の異なる色麦芽を適宜組み合わせて用いてもよいし、一種類の色麦芽を用いてもよい。
そのような穀物としては、例えば、麦芽には該当しない麦(大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦等)、米(白米、玄米等)、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、豆(大豆、えんどう豆等)、そば、ソルガム、粟、ひえ、及びそれらから得られたデンプン、これらの抽出物(エキス)等が挙げられる。
ホップの添加量としては、適宜調製されるが、飲料全量に対して、好ましくは0.0001~1質量%である。
これらの糖類の形態は、溶液等の液体であってもよく、粉末等の固体であってもよい。
また、デンプンの原料穀物の種類、デンプンの精製方法、及び酵素や酸による加水分解等の処理条件についても特に制限はない。例えば、酵素や酸による加水分解の条件を適宜設定することにより、マルトースの比率を高めた糖類を用いてもよい。その他、スクロース、フルクトース、グルコース、マルトース、トレハロース、マルトトリオース及びこれらの溶液(糖液)等を用いることもできる。
また、人工甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)、スクラロース等が挙げられる。
苦味料又は苦味付与剤としては、特に限定されず、通常のビールや発泡酒に苦味付与剤として用いられるものが使用でき、例えば、マンネンロウ、レイシ、姫茴香、杜松実、セージ、迷迭香、マンネンタケ、月桂樹、迷迭香、マンネンタケ、クワシン、柑橘抽出物、ニガキ抽出物、コーヒー抽出物、茶抽出物、ゴーヤ抽出物、ハス胚芽抽出物、キダチアロエ抽出物、マンネンロウ抽出物、レイシ抽出物、ローレル抽出物、セージ抽出物、キャラウェイ抽出物等が挙げられる。
なお、ビールテイスト飲料は、アルコール発酵により生じる酢酸エチルを含むものであるが、当該酢酸エチルは、香料としての機能を有する。そのため、ビールテイスト飲料の製造過程でアルコール発酵を伴う場合には、ビール香料を別途添加する必要は特段無いが、所望に応じて、ビール香料を添加してもよい。
酢酸エチル以外のビール香料としては、エステルや高級アルコール等が挙げられ、具体的には、酢酸イソアミル、n-プロパノール、イソブタノール、及びアセトアルデヒド等が挙げられる。また、ビール様の風味付けをより強くするために、別途酢酸エチルを添加してもよい。
これらの酸味料の中でも、リン酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸、酢酸、コハク酸又はそれらの塩が好ましく、リン酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、酢酸又はそれらの塩がより好ましい。
これらの酸味料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスは、原材料に含まれる炭酸ガスを利用してもよく、また、炭酸水との混和または炭酸ガスの添加等で溶解させてもよい。
ビールテイスト飲料の製造過程でアルコール発酵を伴う場合には、アルコール発酵で生じた炭酸ガスをそのまま用いることができるが、適宜炭酸水を加えて、炭酸ガスの量を調製してもよい。
本明細書において、ガス圧とは、特別な場合を除き、容器内におけるガス圧をいう。
圧力の測定は、当業者によく知られた方法、例えば20℃にした試料をガス内圧計に固定した後、一度ガス内圧計の活栓を開いてガスを抜き、再び活栓を閉じ、ガス内圧計を振り動かして指針が一定の位置に達したときの値を読み取る方法を用いて、または市販のガス圧測定装置を用いて測定することができる。
ビールテイスト飲料は、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、様々な添加物を添加してもよい。
そのような添加物としては、例えば、着色料、泡形成剤、発酵促進剤、酵母エキス、ペプチド含有物等のタンパク質系物質、アミノ酸等の調味料が挙げられる。
着色料は、飲料にビール様の色を与えるために使用するものであり、カラメル色素などを用いることができる。泡形成剤は、飲料にビール様の泡を形成させるため、あるいは飲料の泡を保持させるために使用するものであり、大豆サポニン、キラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、コーン、大豆などの植物タンパク、及びペプチド含有物、ウシ血清アルブミン等のタンパク質系物質、酵母エキスなどを適宜使用することができる。
発酵促進剤は、酵母による発酵を促進させるために使用するものであり、例えば、酵母エキス、米や麦などの糠成分、ビタミン、ミネラル剤などを単独または組み合わせて使用することができる。
ビールテイスト飲料の製造方法としては、下記工程(1)~(2)を有する方法が挙げられる。
・工程(1):水及び麦芽を含む混合物を糖化処理して発酵原料液を調製する工程。
・工程(2):前記発酵原料液に酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程。
工程(1)は、水及び麦芽を含む混合物を糖化処理して発酵原料液を調製する工程である。
発酵原料液の調製方法としては、水及び麦芽等の原材料を仕込釜又は仕込槽に投入し、必要に応じてアミラーゼ等の酵素を添加して混合物を調製した後、糖化処理して得る方法が挙げられる。その後、得られた発酵原料液は、ろ過して煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク等の固形分を取り除くことが好ましい。
これらは、糖化処理を行う前に加えてもよく、糖化処理の途中で加えてもよく、糖化処理の終了後に加えてもよい。また、これらは、次工程のアルコール発酵後に加えてもよい。
糖化処理の温度及び時間は、使用する麦芽の種類や、麦芽比率、水及び麦芽以外の原材料、使用する酵母の種類や量等によって適宜調整する。
工程(2)は、工程(1)で糖化処理して得られた発酵原料液に、酵母を添加し、アルコール発酵を行う工程である。
本工程で用いる酵母は、製造すべき発酵飲料の種類、目的とする香味や発酵条件等を考慮して適宜選択することができ、例えば、Weihenstephan-34株等の市販の酵母を用いることができる。
酵母は、酵母懸濁液のまま原料液に添加しても良いし、遠心分離あるいは沈降により酵母を濃縮したスラリーを原液に添加してもよい。また、遠心分離の後、完全に上澄みを取り除いたものを添加しても良い。酵母の原液への添加量は適宜設定できるが、例えば、5×106cells/ml~1×108cells/ml程度である。
ビールテイスト飲料の容器詰め方法としては、特に限定されず、当業者に周知の容器詰め方法を用いることができる。容器詰め工程によって、ビールテイスト飲料は容器に充填・密閉される。容器詰め工程には、いずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、上述のとおりである。
粉砕した麦芽を、52℃で保持された温水40Lが入った仕込槽に投入した後、52℃で30分間保持し、続いて70℃で40分間、さらに76℃で5分間と段階的に温度を上げて保持した後、濾過して麦芽粕を除去し麦汁を得た。得られた麦汁を濾過した後、ホップを投入して麦汁煮沸を行った。煮沸後の麦汁を固液分離処理し、得られた清澄な麦汁を冷却し、酵母を添加して7日間発酵させ、発酵溶液を調製した。
そして、調製した発酵溶液を表1~4に示される糖質濃度となるように適宜水で希釈すると共に、表1~4に示される含有量(X)となるように、2-メトキシ-4-ビニルフェノールを添加して、ビールテイスト飲料をそれぞれ得た。
なお、表1~4のいずれの官能評価においても、同じ飲料に対して、各パネラー間での2.0以上のスコアの値の差異は確認されなかった。
(良質な味の厚みのスコア基準)
・「4」:非常に明確に良質な味の厚みを感じる。
・「3」:ある程度明確に良質な味の厚みを感じる。
・「2」:良質な味の厚みを感じる。
・「1」:少し味の厚み感じる。
・「0」:全く味の厚みが感じられない。
そして、5人のパネラーのスコアの平均値から、以下の評価基準で、それぞれのビールテイスト飲料の「良質な味の厚み」を評価した。結果を表1~4に示す。
(良質な味の厚みの評価基準)
・「A」:5人のパネラーのスコアの平均値が、2.0以上
・「B」:5人のパネラーのスコアの平均値が、1.0以上2.0未満
・「C」:5人のパネラーのスコアの平均値が、1.0未満
Claims (9)
- 2-メトキシ-4-ビニルフェノールの含有量(X)が0.23質量ppm以上であり、
糖質濃度(Y)が、1.0g/100mL未満であり、
原料として未発芽の麦類およびその抽出物を用いず、
発酵ビールテイスト飲料である、
容器詰め飲料。 - 2-メトキシ-4-ビニルフェノールの含有量(X)が0.23質量ppm以上であり、
糖質濃度(Y)が、3.0g/100mL未満であり、
原料として未発芽の麦類およびその抽出物を用いず、
発酵ビールテイスト飲料である、
容器詰め飲料(ただし、麦芽使用比率が66.6質量%以下のビールテイスト飲料を除く)。 - 糖質濃度(Y)が、1.0g/100mL未満である、請求項2に記載の容器詰め飲料。
- 2-メトキシ-4-ビニルフェノールの含有量(X)(単位:質量ppm)と糖質濃度(Y)(単位:g/100mL)との比〔(X)/(Y)〕が0.10以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の容器詰め飲料。
- 2-メトキシ-4-ビニルフェノールの含有量(X)(単位:質量ppm)と糖質濃度(Y)(単位:g/100mL)との比〔(X)/(Y)〕が0.20以上である、請求項1又は3に記載の容器詰め飲料。
- 糖質濃度(Y)が、0.5g/100mL未満であり、
2-メトキシ-4-ビニルフェノールの含有量(X)(単位:質量ppm)と糖質濃度(Y)(単位:g/100mL)との比〔(X)/(Y)〕が0.50以上である、請求項1又は2に記載の容器詰め飲料。 - 糖質濃度(Y)が、1.0g/100mL以上3.0g/100mL未満であり、
2-メトキシ-4-ビニルフェノールの含有量(X)(単位:質量ppm)と糖質濃度(Y)(単位:g/100mL)との比〔(X)/(Y)〕が0.10以上である、請求項2に記載の容器詰め飲料。 - 原材料が、麦芽を少なくとも含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の容器詰め飲料。
- 麦芽使用比率が50~100質量%である、請求項1~8のいずれか一項に記載の容器詰め飲料。
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