JP6443235B2 - 細胞外多糖類の検出を使用した汚泥の脱水方法 - Google Patents

細胞外多糖類の検出を使用した汚泥の脱水方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6443235B2
JP6443235B2 JP2015120632A JP2015120632A JP6443235B2 JP 6443235 B2 JP6443235 B2 JP 6443235B2 JP 2015120632 A JP2015120632 A JP 2015120632A JP 2015120632 A JP2015120632 A JP 2015120632A JP 6443235 B2 JP6443235 B2 JP 6443235B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sludge
floc
extracellular polysaccharide
polymer flocculant
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015120632A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017000999A (ja
Inventor
和美 磯部
和美 磯部
小林 孝行
孝行 小林
久典 後藤
久典 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2015120632A priority Critical patent/JP6443235B2/ja
Publication of JP2017000999A publication Critical patent/JP2017000999A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6443235B2 publication Critical patent/JP6443235B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Separation Of Suspended Particles By Flocculating Agents (AREA)
  • Treatment Of Sludge (AREA)

Description

種々の高分子凝集剤によって形成した凝集フロック内に取り込まれた細胞外多糖類(Extracellular Polysaccharide、以後EPSと記す)の存在量を検出し、その結果を基に選定した前記高分子凝集剤を使用する汚泥の脱水方法及び前記高分子凝集剤の選定方法に関する。
従来、下水やし尿処理場及び諸種の産業で発生する有機性産業廃水等より生じる有機質汚泥の脱水処理には、汚泥の性状及び脱水機の種類に合わせ、強固で粗大、かつ脱水後のケーキの含水率が低下する凝集フロックが得られるよう、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤といった高分子凝集剤を単独又は適宜組み合わせて使用することが行われている。
これら高分子凝集剤の選定は、マクロな評価、例えば凝集フロックの平均粒径、濾液量、濾液濁度、凝集フロック強度、脱水後のケーキの含水率などの評価結果から好適な剤が導き出されている。しかしながら、汚泥の大半を占める微生物が分泌するEPS等、ミクロな項目については評価が行われていないのが現状である。
EPSは、微生物が細胞外に分泌する高分子成分の総称であり、多糖類やタンパク質を主成分として形成され、微生物の表面に付着する付着EPSと液相側に遊離する液相EPSとに区別することができる。EPSの役割としては、微生物細胞の構造支持体や保護膜等としての役割が挙げられる。一方で、膜ファウリングや活性汚泥のバルキングを引き起こす原因物質として知られている。
このEPSの測定方法としては、特許文献1に記載の液体クロマトグラフィー法、ガスクロマトグラフィー法、質量分析法、分光高度法、蛍光測定法、発光量測定法、抗原抗体反応を利用したELISA法等が知られている。また、特許文献2の様に、EPSを蛍光標識されたレクチンと結合させることで可視化し、蛍光顕微鏡を用いて、特定の条件下で培養中の微生物がEPSの分泌を抑制しているか否かを測定する方法が挙げられている。しかし、これまでに例示されたようなEPSの測定結果と高分子凝集剤の汚泥の脱水性の評価結果を関連づけた報告は知られていない。
特開2014−172013号公報 特開2014−150784号公報
本発明の目的は、種々の高分子凝集剤によって形成した凝集フロック内に取り込まれたEPSの量を検出することにより、汚泥の凝集性及び脱水性を向上させることができる高分子凝集剤を選定し、選定した高分子凝集剤を使用する汚泥の脱水方法及び前記高分子凝集剤の選定方法を提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、種々の高分子凝集剤によって形成した凝集フロック内に取り込まれたEPSの存在量が、脱水ケーキの含水率と関連すること、詳しくは、凝集フロックを形成する際に凝集フロック内に取り込まれたEPSの量が多いほど脱水ケーキの含水率が低下することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、高分子凝集剤によって形成した凝集フロック内に、細胞外多糖類が検出されて選定された前記高分子凝集剤を使用する汚泥の脱水方法に存する。
また、本発明は、前記細胞外多糖類の検出方法が、細胞外多糖類を構成する成分に特異的に結合する物質を使用して細胞外多糖類を可視化する方法である前記の汚泥の脱水方法に存する。
また、本発明は、前記細胞外多糖類を構成する成分に特異的に結合する物質が蛍光標識物質である前記の汚泥の脱水方法に存する。
また、本発明は、高分子凝集剤によって形成した凝集フロック内に、細胞外多糖類を検出して選定する前記高分子凝集剤の選定方法に存する。
また、本発明は、前記細胞外多糖類の検出方法が、細胞外多糖類を構成する成分に特異的に結合する物質を使用して細胞外多糖類を可視化する方法である前記の選定方法に存する。
更に、本発明は、前記細胞外多糖類を構成する成分に特異的に結合する物質が蛍光標識物質である前記の選定方法に存する。
本発明の汚泥の脱水方法によれば、種々の高分子凝集剤によって形成した凝集フロック内のEPSの量を検出して可視化し、凝集フロック内のEPSの量を比較することにより、従来の高分子凝集剤の選定方法とは全く異なる観点から好適な高分子凝集剤を選定し、選定した高分子凝集剤を用いることで汚泥の凝集性及び脱水性を向上できる汚泥の脱水方法及び前記高分子凝集剤の選定方法を提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の汚泥の脱水方法は、まず、種々の高分子凝集剤を汚泥に対して使用して凝集フロックを形成し、前記凝集フロックについて固定化、包括固定化を行って顕微鏡観察用の切片を作製した後、前記凝集フロック内に取り込まれたEPSを蛍光標識された物質を用いて可視化、観察及び撮影を行う。続いて、蛍光標識物質の発色の色調、鮮明さ及び発色箇所の多さから、凝集フロック内に取り込まれたEPSの量を比較することで好適な高分子凝集剤を選定することができる。前記凝集フロックの内部の蛍光状態を視覚的に把握した上で選定した高分子凝集剤を汚泥の脱水に使用することで、より効率よく汚泥の脱水処理を行うことが可能となる。
本発明で使用する汚泥としては、混合生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥及び各種汚泥の混合物が挙げられるが、特に制限はされない。
前記汚泥中の固形物(以下TSと記す)の濃度の下限値としては通常0.5%以上が好ましく、1.0%以上がより好ましい。また、TSの濃度の上限値としては6.0%以下が好ましく、5.0%以下がより好ましい。前記範囲内であれば、本発明の前記選定方法で選定された高分子凝集剤を使用することで効率良く汚泥の脱水処理を行うことができる。
前記高分子凝集剤の汚泥への添加率の下限値としては、汚泥の有り姿に対し、通常1ppm以上が好ましく、5ppm以上がより好ましい。また、上限値としては2000ppm以下が好ましく、1500ppm以下がより好ましい。前記範囲内であれば、凝集剤の過不足なく効率よく汚泥の脱水処理を行うことができる。
本発明の前記選定方法で選定された高分子凝集剤を使用して凝集フロックを形成した後は、脱水機を用いて凝集フロックを脱水し、脱水ケーキを形成することにより汚泥の脱水処理を行うことができる。
脱水機の形式は、例えば、フィルタープレス型脱水機、スクリュープレス型脱水機、圧入式スクリュープレス型脱水機、真空型脱水機、ベルトプレス型脱水機、遠心型脱水機、多重円板型脱水機等が挙げられるがこれらに制限されない。
前記選定方法で選定された本発明の汚泥の脱水方法に使用する高分子凝集剤としては、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤等が挙げられるが、脱水処理を行う汚泥に対し形成した凝集フロック内に取り込まれたEPS量が高いものであれば特に限定はされない。凝集フロック内に取り込まれたEPS量が高いものほど、高分子凝集剤として高い脱水性能を示し、効率よく汚泥の脱水処理を行うことができる。
汚泥の種類、性状によって前記選定方法で選定される高分子凝集剤の種類は異なるので一概には言えないが、汚泥を凝集性の強い汚泥に改質させることから、前記汚泥の脱水処理で選定される高分子凝集剤としては、カチオン性高分子凝集剤及び両性高分子凝集剤のうちの少なくとも一つが選定される場合が多い。
前記カチオン性高分子凝集剤としては、アミジン構造単位を含むアミジン系カチオン性重合体、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート・アルキルクロライド4級塩重合体、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート・アルキルクロライド4級塩と(メタ)アクリルアミドの共重合体等の強カチオン密度の水溶性重合体等が挙げられる。汚泥を凝集性の強い汚泥に改質させることから、使用するカチオン性高分子凝集剤としては、アミジン構造単位を含むアミジン系カチオン性重合体及びジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート・アルキルクロライド4級塩重合体であることが好ましい。
アミジン構造単位を含む前記アミジン系カチオン性重合体は、下記一般式(1)又は下記一般式(2)のいずれかで表されるアミジン構造単位を有する重合体である。


(ただし、一般式(1)及び一般式(2)中、R、Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Xは陰イオンを表す。)
前記アミジン系カチオン性重合体は、N−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルを断熱重合反応等により共重合し、塩酸加水分解反応を行うことで得られる。
前記アミジン系カチオン性重合体の全モノマー構造単位に対するアミジン構造単位の含有量の下限値としては、30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましい。また、上限値としては、90モル%以下であることが好ましく、80モル%以下であることがより好ましい。
前記両性高分子凝集剤としては、前記カチオン性高分子凝集剤の製造で使用した原料単量体に(メタ)アクリル酸、2−メチルプロパンスルホン酸等の酸性単量体を混合させて共重合させた両性重合体等が挙げられる。汚泥を凝集性の強い汚泥に改質させることから、使用する両性高分子凝集剤としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート・アルキルクロライド4級塩、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸(塩)の共重合体であることが好ましい。
前記カチオン性高分子凝集剤と前記両性高分子凝集剤は、下記一般式(3)で表されるカチオン性構造単位を有する重合体である。

(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル気を表し、Rは、炭素数が1〜4のアルキル基又はベンジル基を表し、Yは、酸素原子又はNHを表し、Zは陰イオンを表し、nは1〜3の整数を表す。)
前記カチオン性高分子凝集剤は、前記カチオン性構造単位又は前記カチオン性構造単位と非イオン性構造単位を有する重合体である。
前記カチオン性高分子凝集剤の全モノマー構造単位に対する前記カチオン性構造単位の含有量の下限値としては、5モル%以上であることが好ましく、25モル%以上であることがより好ましい。また、上限値としては100モル%以下であることが好ましく、90モル%以下であることがより好ましい。
前記両性高分子凝集剤は、カチオン性構造単位と、アニオン性構造単位と、非イオン性構造単位を有する重合体である。
前記両性高分子凝集剤の全モノマー構造単位に対する前記カチオン性構造単位の含有量の下限値としては、10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。また、上限値としては90モル%以下であることが好ましく、60モル%以下であることがより好ましい。
前記両性高分子凝集剤の全モノマー構造単位に対する前記アニオン性構造単位の含有量の下限値としては、1モル%以上であることが好ましく、5モル%以上であることがより好ましい。また、上限値としては40モル%以下であることが好ましく、35モル%以下であることがより好ましい。
前記アミジン系カチオン性重合体以外の前記カチオン性高分子凝集剤と前記両性高分子凝集剤は、光重合反応、断熱重合反応、懸濁重合反応、乳化重合反応等により製造することができる。
前記高分子凝集剤の選定に際して種々の高分子凝集剤を用いて形成した凝集フロックは、汚泥中の微生物によるEPSの消費等、凝集フロック内の状態変化を防ぐため、固定化液に浸漬することで直ちに前記凝集フロックについて固定化処理を行う。固定化液としては、リン酸緩衝生理食塩水(以下、PBSと記す)等の緩衝液に溶解したパラホルムアルデヒドやグルタルアルデヒド等のタンパク間に架橋を形成して変性凝固を引き起こす固定化用の溶解液、エタノール又はメタノールと酢酸との混合液等のタンパク沈降を引き起こす固定化用の溶液等が挙げられる。自家蛍光が少なく、糖タンパクの固定に優れる、凝集フロックへの浸透性が早い等の利点を考慮すると、パラホルムアルデヒドを用いて固定化処理を行うことが好ましい。固定化処理に要する時間は、通常5〜24時間である。固定化処理後、続いて緩衝液を用いて複数回洗浄し、余剰の固定化液を除去する。
続いて固定化された凝集フロックを包括固定化して顕微鏡観察用の切片を作製する。前記切片を作製するための方法としては、パラフィンを用いて包括固定化を行うパラフィン切片法、セロイジンを用いて包括固定化を行うセロイジン切片法、ポリエチレングリコール系のモノマーを用いて包括固定化を行うカーボワックス法、凍結切片法等が挙げられる。特に制限はされないが、短時間に薄い切片ができ、組織の収縮が弱く、染色性も良い点から、カーボワックス切片法を用いることが好ましい。凝集フロックについて前記包括固定化を行った後、ミクロトーム等を用いて前記包括固定化物を裁断することで前記切片を作製する。
カーボワックス切片法において、ポリエチレングリコール系のモノマー、重合促進剤及び水性媒体を混合し、固定化処理後の凝集フロックを適量浸漬させて凝集フロック内部まで重合液を浸透させた後、重合開始剤を添加することで前記凝集フロックについて固定化を行う。ポリエチレングリコール系のモノマーとしてはポリエチレングリコールジアクリレート等、重合促進剤としてはテトラメチルエチレンジアミン等、水性媒体としては純水、PBS等、重合開始剤としては過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が各々例示されるが、特に限定はされない。
また、添加した後使用するポリエチレングリコール系モノマーの含有率により前記切片の硬度を調節することが可能である。前記切片を作製する際の操作性を考慮すると、ポリエチレングリコール系モノマーの含有率は、10〜20体積%とすることが好ましい。10体積%より少ないと固定化した際に固定化物が柔らかすぎ、20体積%より多いと固定化した際に固定化物が固すぎるため切片が作製し難くなる。
次に、作製した切片に対し、EPSの可視化処理を行う。EPSの可視化にはEPSを構成する成分である多糖類やタンパク質に特異的に結合する物質、例えば、多糖類に特異的に結合することが知られているレクチン等を使用する。EPSの可視化を行うためのレクチン等の物質は蛍光物質で標識されている必要がある。蛍光標識物質としては、FITC、Rodamine、Cy5などが挙げられるが、これらの蛍光標識物質に対する制限は特にない。
なお、EPSの可視化処理と同時に、凝集フロックの構造を把握するため汚泥中の微生物の可視化処理も行う。微生物の可視化処理には、前記EPSの可視化処理と同様、微生物内のDNAに特異的に結合する蛍光標識物質を使用する。前記蛍光標識物質としては、例えば、DAPI(4,6−Diamino−2−phenylindole dihydrochloride、シグマアルドリッチ社製)、Hoechst 33258(シグマアルドリッチ社製)、SYTO9(Invitrogen社製)、SYTO60(Invitrogen社製)等が挙げられるが、前記EPSの可視化処理に使用した蛍光標識物質と蛍光波長が近すぎる又は同じ蛍光標識物質でない限りは、いずれの蛍光標識物質を使用することもできる。
前記汚泥中の微生物の可視化処理を実施した切片は、封入剤を用いてカバーガラスの下に封じ、プレパラートを作製する。封入剤としては、封入剤自体がノイズとなる蛍光を発しない無蛍光グリセリンや、顕微鏡観察中に蛍光が退色しにくくなるような蛍光退色防止剤を用いる。顕微鏡観察には、蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡等を用いるのが好ましい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の記載によって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における「%」は特に断りのない限り「質量%」を示す。
なお、実施例及び比較例において使用した高分子凝集剤を表1に示す。表1中の数値は、各高分子凝集剤の全モノマー構造単位に対するカチオン性モノマー構造単位、アニオン性モノマー構造単位、ノニオン性モノマー構造単位の含有率をモル%で示したものである。

表1中の略号は以下の通りである。
AAm:アクリルアミド構造単位
DME:ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩構造単位
DMC:ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩構造単位
DMZ:ジメチルアミノエチルメタクリレート1/2硫酸塩構造単位
AA:アクリル酸(塩)構造単位
NVF:N−ビニルホルムアミド構造単位
AN:アクリロニトリル構造単位
VAM:ビニルアミン塩酸塩構造単位
AMJ:アミジン塩酸塩構造単位
1.脱水処理実施汚泥
A下水処理場において採取された汚泥(以下、汚泥Aと記す)を用いて脱水処理試験を行った。汚泥Aについて、物性を測定した結果を表2に示す。TSについては、財団法人日本下水道協会編「下水試験法上巻1977年度版」p116に従い測定した。
(実施例1〜5)
前記汚泥300mLを500mLビーカーに取り、高分子凝集剤1ないし5(水溶液濃度0.3%)を12mL(汚泥への添加率120ppm)添加し、スパチュラを用いて180rpmで30秒撹拌して凝集フロックを形成した。目視により平均フロック径を測定することでフロック径とした。
次に、凝集フロックをピンセットで数個取り出し、50mM PBS(pH7.4)中に溶解させて作製した4%パラホルムアルデヒド溶液中に浸漬させ、15時間固定化処理を行った。固定化処理後、50mM PBS(pH7.4)で3回洗浄を行った。
洗浄後、固定化処理した凝集フロックは、直径1cmのチューブ中で、表3の組成となるようにポリエチレングリコールジアクリレート(分子量600、新中村化学社製)、テトラメチルエチレンジアミン(和光純薬社製)、イオン交換水が混合された重合液中に浸漬し、表3の組成となるよう10%過硫酸アンモニウム(和光純薬社製)を添加して包括固定化を行った。
前記チューブ中で包括固定化された凝集フロックは、ミクロトームを用いて厚み100μmの切片にした。切片はスライドガラスに載せ、EPSの検出はFITCで蛍光標識されたレクチンConA(ベクターラボラトリーズ社製)を用いて、微生物の検出はSYTO60(Invitrogen社製)を用いてスライドガラス上で反応させることで凝集フロック内のEPSと微生物の可視化処理を行った。その後、蛍光退色防止剤を用いて封入し、プレパラートを作製した。
作製したプレパラートを、共焦点レーザー顕微鏡(カールツァイス社製、LSM5 PASCAL)を用いて観察した。FITCの蛍光は488nmのレーザー光源で励起し、SYTO60は633nmのレーザー光源で励起し、10倍の対物レンズを用いてZ軸方向に6μm間隔で取り込んだ画像10枚を重ねて1枚の画像を作製した。画像に、FITCは緑色、SYTO60は赤色として疑似カラーを設定することで、緑色は凝集フロック内のEPSを、赤色は微生物を表すこととした。凝集フロック内のEPSの量について、以下の基準により評価した。
X:取得した画像中、凝集フロック内で緑色に発色している箇所が多数存在し、かつ発色が鮮明で強く、凝集フロック内に取り込まれたEPSの量が多い。
Y:取得した画像中、凝集フロック内で緑色に発色している箇所は多いが、発色が弱く、凝集フロック内に取り込まれたEPSの量は中位。
Z:取得した画像中、凝集フロック内で緑色に発色している箇所が少なく、かつ発色が弱く、凝集フロック内に取り込まれたEPSの量が少ない。
N:取得した画像中、凝集フロック内で緑色が淡く発色しているがほとんど目立たず、赤色の発色の方が鮮明で強く、凝集フロック内にはほとんどEPSが取り込まれていない。
また、凝集フロックを取り出した後、残った凝集フロックを50メッシュのナイロン製の濾布で濾過し、濾液の濁度を目視で評価した。濾液の濁度は、以下の基準で評価した。
−:濾液がほとんど透き通っており、浮遊物(以下SSと記す)はほぼ見られない(SS量目安:50ppm未満)。
+:濾液に一部濁りが見られ、SSがわずかに存在する(SS量目安:50ppm以上100ppm未満)。
++:濾液に部分的に濁りが見られ、SSがところどころ存在する(SS量目安:100ppm以上200ppm未満)。
+++:濾液に多数の濁りが見られ、SSが全体的に存在する(SS量目安:200ppm以上500ppm未満)。
++++:濾液に全体的に多数の濁りが見られ、SSが全体的に存在し、一部粗大な大きさで存在する(SS量目安:500ppm以上1000ppm未満)。
更に濾布上で汚泥を50回ころがし、フロック強度(団粒性)を判定した。団粒性は以下の基準で評価した。
◎:濾布上でころがすことにより水が切れ、フロックが数個の団子状になる。
○:濾布上でころがすことにより水が切れ、フロックが一塊状になる。
△:濾布上でころがすことにより水が切れるが、フロックが崩れ塊状にならない。
×:濾布上でころがすことにより、凝集汚泥が崩れて流れ、ドロドロになる。
濾過後、濾布上に残ったフロックを0.1MPaの圧力で1分間プレス脱水して脱水ケーキを得、脱水ケーキの含水率を測定した。含水率の測定は、財団法人日本下水道協会編「下水試験法上巻1977年度版」p296〜297に従い測定した。
(比較例1)
高分子凝集剤を使用せずに以下の操作を行った。即ち、前記汚泥Aを2mL採取し、50mM PBS(pH7.4)中に溶解させて作製した8%パラホルムアルデヒド溶液2mL中に浸漬させ(最終濃度4%)、15時間固定化処理を行った。固定化処理後、10000rpm 1分間の遠心分離を行い、上澄みを捨てた。続いて、50mM PBS(pH7.4)を加えて固定化した汚泥を懸濁させ、再度10000rpm、1分間の遠心分離を行った。この作業を3回行って固定化した汚泥を洗浄した。
洗浄した固定化汚泥を直径1cmのチューブ中で、表3の組成となるようにポリエチレングリコールジアクリレート(分子量600)、テトラメチルエチレンジアミン、イオン交換水が混合された重合液中で懸濁させ、表3の組成となるよう10%過硫酸アンモニウムを添加して包括固定を行った。
チューブ中で包括固定された凝集フロックは、ミクロトームを用いて厚み100μmの切片にした。切片はスライドガラスに載せ、スライドガラス上でEPSはFITCで蛍光標識されたレクチン(ConA)を用いて、微生物はSYTO60を用いて反応させることで凝集フッロック内のEPSと微生物の可視化処理を行った。その後、蛍光退色防止剤を用いて封入し、プレパラートを作製した。
作成したプレパラートは、共焦点レーザー顕微鏡(カールツァイス社製、LSM5 PASCAL)を用いて観察した。FITCの蛍光は488nmのレーザー光源で励起し、STYO60は633nmのレーザー光源で励起し、10倍の対物レンズを用いてZ軸方向に6μm間隔で取り込んだ画像10枚を重ねて1枚の画像を作製した。画像に、FITCは緑色、SYTO60は赤色として疑似カラーを設定することで、緑色は凝集フロック内のEPSを、赤色は微生物を表すこととした。
(比較例2)
高分子凝集剤1ないし5の替わりに高分子凝集剤6を用いて実施例1〜5と同様の操作を行った。
各試験結果を表4に示す。
実施例1から、このA下水処理場の汚泥Aに対し、蛍光標識されたレクチンを用いた高分子凝集剤の選定において、高分子凝集剤1で形成した凝集フロックが最も凝集フロック内に取り込まれたEPSの量が多いことがわかる。また、脱水試験により、凝集フロック内に取り込まれたEPSの量が最も多い高分子凝集剤1を使用した汚泥の脱水方法が最も凝集性及び脱水効率が高いことがわかる。一方、比較例1と比較例2から、高分子凝集剤を使用しなかったり、凝集フロック内に取り込まれたEPSの量が検出されない高分子凝集剤を使用した場合の汚泥の脱水処理は良好でないことがわかる。また、比較例1から、汚泥を蛍光標識されたレクチンで可視化処理しても、凝集フロックが形成していないが故に、凝集フロック内に取り込まれたEPSがほとんど検出されないことがわかる。更に、実施例1ないし5から、凝集フロック内に取り込まれて検出されたEPSの量と脱水試験の結果には相関性があることが確認できる。前記結果から、高分子凝集剤によって形成した凝集フロック内にEPSが取り込まれることで、前記凝集フロック内にEPSが検出された高分子凝集剤を使用することで、良好な汚泥の脱水処理を行うことができることがわかる。
本発明は、種々の高分子凝集剤によって形成した凝集フロック内に取り込まれた細胞外多糖類の存在量を検出し、その結果を基に選定した高分子凝集剤を使用する汚泥の脱水方法及び前記高分子凝集剤の選定方法として広く適用することができる。

Claims (10)

  1. 脱水処理対象である汚泥であって、細胞外多糖類(EPS)を分泌する微生物を含有す
    る汚泥に、高分子凝集剤を添加して、脱水する、汚泥の脱水方法において、
    (1)前記脱水処理対象の汚泥と同じ種類の汚泥に、高分子凝集剤を添加して凝集フロッ
    クを形成する工程と、
    (2)前記凝集フロック内の前記細胞外多糖類の量を評価する工程と、
    (3)前記細胞外多糖類が存在すると判定された凝集フロックを形成した高分子凝集剤を
    、前記脱水処理対象である汚泥に添加する高分子凝集剤として選定する工程、
    を備える、汚泥の脱水方法。
  2. 前記凝集フロック内の前記細胞外多糖類の量の評価を複数の高分子凝集剤に対して行い
    、前記細胞外多糖類が最も多く存在すると判定された凝集フロックを形成した高分子凝集
    剤を、前記脱水処理対象である汚泥に添加する高分子凝集剤として選定することを特徴と
    する、請求項1に記載の汚泥の脱水方法。
  3. 前記細胞外多糖類の量の評価が、細胞外多糖類を構成する成分に特異的に結合する物質
    を使用して細胞外多糖類を可視化することにより行われることを特徴とする請求項1また
    は2に記載の汚泥の脱水方法。
  4. 前記細胞外多糖類を構成する成分に特異的に結合する物質が蛍光標識物質である請求項
    に記載の汚泥の脱水方法。
  5. 上記フロック形成工程と評価する工程の間に、前記凝集フロックをパラホルムアルデヒ
    ドを用いて固定化処理する工程並びに固定化された凝集フロックをパラフィン切片法、セ
    ロイジン切片法、カーボワックス法及び凍結切片法から選ばれる方法で包括固定化し、切
    片を作製する工程を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の脱水方法。
  6. 脱水処理対象である汚泥であって、細胞外多糖類(EPS)を分泌する微生物を含有す
    る汚泥に添加する高分子凝集剤の選定方法において、
    (1)前記脱水処理対象の汚泥と同じ種類の汚泥に、高分子凝集剤を添加して凝集フロッ
    クを形成する工程と、
    (2)前記凝集フロック内の前記細胞外多糖類の量を評価する工程と、
    (3)前記細胞外多糖類が存在すると判定された凝集フロックを形成した高分子凝集剤を
    、前記脱水処理対象である汚泥に添加する高分子凝集剤として選定する工程、
    を備える、高分子凝集剤の選定方法。
  7. 前記凝集フロック内の前記細胞外多糖類の量の評価を複数の高分子凝集剤に対して行い
    、前記細胞外多糖類が最も多く存在すると判定された凝集フロックを形成した高分子凝集
    剤を、前記脱水処理対象である汚泥に添加する高分子凝集剤として選定することを特徴と
    する、請求項6に記載の選定方法。
  8. 前記細胞外多糖類の量の評価が、細胞外多糖類を構成する成分に特異的に結合する物質
    を使用して細胞外多糖類を可視化することにより行われることを特徴とする請求項6又は
    に記載の選定方法。
  9. 前記細胞外多糖類を構成する成分に特異的に結合する物質が蛍光標識物質である請求項
    に記載の選定方法。
  10. 上記フロック形成工程と評価する工程の間に、前記凝集フロックをパラホルムアルデヒ
    ドを用いて固定化処理する工程並びに固定化された凝集フロックをパラフィン切片法、セ
    ロイジン切片法、カーボワックス法及び凍結切片法から選ばれる方法で包括固定化し、切
    片を作製する工程を含むことを特徴とする請求項6〜9の何れか1項に記載の方法。
JP2015120632A 2015-06-15 2015-06-15 細胞外多糖類の検出を使用した汚泥の脱水方法 Active JP6443235B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015120632A JP6443235B2 (ja) 2015-06-15 2015-06-15 細胞外多糖類の検出を使用した汚泥の脱水方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015120632A JP6443235B2 (ja) 2015-06-15 2015-06-15 細胞外多糖類の検出を使用した汚泥の脱水方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017000999A JP2017000999A (ja) 2017-01-05
JP6443235B2 true JP6443235B2 (ja) 2018-12-26

Family

ID=57753509

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015120632A Active JP6443235B2 (ja) 2015-06-15 2015-06-15 細胞外多糖類の検出を使用した汚泥の脱水方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6443235B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005161253A (ja) * 2003-12-04 2005-06-23 Osaka Industrial Promotion Organization 汚泥のバイオ凝集剤、汚泥の処理方法および汚泥の処理装置
JP2007090300A (ja) * 2005-09-30 2007-04-12 Toray Ind Inc 有機性廃水の処理方法
EP2344521B1 (en) * 2008-09-24 2019-08-21 Tel HaShomer Medical Research Infrastructure and Services Ltd. Peptides and compositions for prevention of cell adhesion and methods of using same
JP6108526B2 (ja) * 2013-02-13 2017-04-05 国立大学法人群馬大学 微生物培養装置ならびにそれを利用した微生物分散培養方法および細胞外多糖類抑制方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017000999A (ja) 2017-01-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN105949395B (zh) 一种超分子聚合物的分子簇材料及其制备方法和应用
JP3208473B2 (ja) 両性水溶性重合体分散液からなる処理剤
Wang et al. An easily recoverable thermo-sensitive polyelectrolyte as draw agent for forward osmosis process
JP5427985B2 (ja) 汚泥脱水剤および汚泥脱水方法
JP5042057B2 (ja) 汚泥の脱水処理方法
JP5172372B2 (ja) 汚泥の脱水処理方法
JP6060958B2 (ja) 着色成分の除去方法
JP6443235B2 (ja) 細胞外多糖類の検出を使用した汚泥の脱水方法
JP2009039653A (ja) 汚泥脱水方法
JP6257079B2 (ja) 凝集処理剤及びそれを用いた汚泥の脱水方法
JP5906672B2 (ja) 汚泥脱水剤およびこれを用いた有機汚泥の脱水処理方法
JP6134940B2 (ja) 含油洗浄廃水の凝集処理方法
Alrhmoun et al. Hospital wastewater treatment by membrane bioreactor: performance and impact on the biomasses
JP5692910B2 (ja) 汚泥脱水剤および汚泥脱水処理方法
CN106170502B (zh) 水溶性交联的嵌段共聚物
JP2013154287A (ja) 有機凝結剤
JP2017506693A (ja) 構造化ブロック共重合体
JP3339801B2 (ja) 腐敗汚泥の処理方法
TW202104099A (zh) 污泥脫水劑及污泥脫水方法
JP2004283716A (ja) 汚泥の脱水方法
JP2014233647A (ja) 凝集処理剤及び汚泥の脱水方法
JP2017121602A (ja) 汚泥の脱水方法
JP2004122081A (ja) 汚泥の脱水方法
JP2021035677A (ja) 汚泥脱水用の水溶性ポリマー
Simion et al. The influence of surfactants on casein membrane preparation and separation technologies.

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180813

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180821

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181017

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181030

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181112

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6443235

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250