以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。蓄電パックつまり蓄電ユニット10はほぼ直方体形状のユニットケース11を有し、ユニットケース11内には、図11に示されるように、12個の蓄電セル12a〜12lからなる蓄電セル群13が組み込まれる。それぞれの蓄電セル12は、リチウムイオン二次電池であり、円柱形状に形成されている。蓄電セル群13は、6個の蓄電セル12a〜12fにより構成される上側の蓄電セル群13aと、6個の蓄電セル12g〜12lにより構成される下側の蓄電セル群13bとからなり、ユニットケース11内には蓄電セル12が上下二段に装着される。
図11および図12に示されるように、上側の蓄電セル群13aを構成する蓄電セル12には、ユニットケース11の正面側に配置される蓄電セル12から背面側に配置される蓄電セル12に向けて符号a〜fが付されている。図1はユニットケース11の正面側を示し、図2はユニットケース11の背面側を示す。一方、下側の蓄電セル群13bを構成する蓄電セル12には、ユニットケース11の背面側に配置される蓄電セル12から正面側に配置される蓄電セル12に向けて符号g〜lが付されている。それぞれの蓄電セル群13a,13bは、蓄電セル12が相互に隙間を隔てて並列に配列されて構成される。上側の蓄電セル群13aと下側の蓄電セル群13bにおける蓄電セル12は、上下に隙間を隔てて重なるように並列配置となっている。明細書においては、特定箇所の蓄電セル12を示す場合には、符号a〜lを付して説明する。
ユニットケース11は、図3に示されるように、長方形の底蓋21を有し、底蓋21には中フレーム22が取り付けられ、中フレーム22には上蓋23が取り付けられる。底蓋21、中フレーム22および上蓋23により、全ての蓄電セル12を相互に隙間を隔てて収容する骨格構造のケース本体11aが構成される。このケース本体11aの一方側には側板24が取り付けられ、他方側には側板25が取り付けられる。
ケース本体11aの正面側には、図1に示されるように、正面板26が取り付けられ、正面板26は上下の通気枠26a,26bと中央の通気枠26cとにより形成される。ケース本体11aの正面側には側板25に寄せてコントロールボックス27が設けられており、コントロールボックス27はカバー27aにより覆われる。ケース本体11aの背面側には、図2に示されるように、背面板28が取り付けられ、背面板28は上下の通気枠28a,28bと中央の通気枠28cとにより形成される。
蓄電ユニット10は、図3に示される部材により組み立てられるユニットケース11と、その内部に組み込まれる複数の蓄電セル12とを有している。複数の蓄電ユニット10を蓄電ラック内に多段に配置することによって、蓄電システムが構築される。蓄電ユニット10の上下および前後は、蓄電ユニット10が蓄電ラック内に配置された状態における位置と方向とを示しており、蓄電ユニット10は、正面側つまり正面板26を蓄電ラックの前面に対向させて棚板の上に配置される。
底蓋21は、樹脂により一体成形されており、図4に示されるように、底壁31と、その内面に長手方向に延びる3つの下側のセルホルダー32とを有している。セルホルダー32は、底壁31の左右の側辺と、底壁31の幅方向中央部とに底壁31から突出して設けられている。それぞれのセルホルダー32には、下側の蓄電セル群13bを構成する6個の蓄電セル12g〜12lに対応させて、6つのほぼ半円形状の凹面33が形成されており、蓄電セル12g〜12lは、それぞれの蓄電セル12の両端部と中央部の下側半円部が凹面33内に入り込んだ状態となって下側のセルホルダー32により保持される。長手方向に隣り合う凹面33の間には、突き当て面34が設けられている。
上蓋23は、図6に示されるように、上壁35と、その内面に長手方向に延びる上側のセルホルダー36とを有している。セルホルダー36は底蓋21のセルホルダー32に対応させて3つ設けられており、上蓋23も樹脂により一体成形されている。それぞれのセルホルダー36には、上側の蓄電セル群13aを構成する6個の蓄電セル12a〜12fに対応させて、6つのほぼ半円形状の凹面37が形成されており、それぞれの蓄電セル12a〜12fは、両端部と中央部の上側半円部が凹面37内に入り込んだ状態となってセルホルダー36により覆われる。長手方向に隣り合う凹面37の間には、突き当て面34が設けられている。
中フレーム22は、図5に示されるように、平行に延びる3つの中間のセルホルダー41を有し、それぞれのセルホルダー41は、底蓋21に設けられた下側のセルホルダー32と、上蓋23に設けられた上側のセルホルダー36との間に挟み込まれる。セルホルダー41は横方向つまりケース本体を横切る方向に延びる配線案内チューブ(配線案内部)42と4つのエアガイド43とにより一体に連結されており、配線案内チューブ42は、ユニットケース11の正面側に寄せて設けられている。
ここで、配線案内チューブ42について説明する。配線案内チューブ42は、図5に示されるように、上記ケース本体を横切る方向(蓄電セル12の長手方向)において、一方の端に配置された中間のセルホルダー41aと、その反対側の他方の端に配置された中間のセルホルダー41bと、略中央の位置に配置された中間のセルホルダー41cとに接合している。つまり、配線案内チューブ42は3つの中間のセルホルダー41と接合している。配線案内チューブ42は、例えば円筒形の中空構造であり、その中空部分に後述する電圧検出線や温度検出線などの複数の配線を収容可能となっている。すなわち、配線案内チューブ42の中空部分に複数の配線を通すことができる。詳細には、図5に示される構造では、中間のセルホルダー41は、蓄電セル12に接する3つの部分、セルホルダー41a,41b,41cを有し、上記ケース本体を横切る方向(蓄電セル12の長手方向)における一方の端の部分(セルホルダー41a)から反対側の他方の端の部分(セルホルダー41b)に亘って中空構造が形成されており、したがって、一方の端の外面側から反対側の他方の端の外面側までが配線案内チューブ42の中空構造により貫通している。配線案内チューブ42の外形は円形としたが、冷却風の流れを妨げない形状、例えば、菱形等であってもよい。
配線案内チューブ42は、中間のセルホルダー41と一体に形成されているため、図5に示される中フレーム22の剛性を高めることができる。
また、上述の両端に配置された2つのセルホルダー41(41a,41b)における前後方向および上下方向に隣り合う4つの蓄電セル12の間の領域(後述するエアガイド43が設けられるスペースに相当する領域)であって、この領域は、上述の両端に配置された2つのセルホルダー41(41a,41b)において複数並んで設けられている。これらの複数の領域のうち、図17に示されるように、配線案内チューブ42は、最もコントローラ(制御部)74に近い領域に設けられている。言い換えると、配線案内チューブ42は、上述のように図1に示されるユニットケース11の正面側に寄せて設けられている。
これにより、配線案内チューブ42からコントローラ74までの距離を短くすることができるため、配線の本数が最も多い箇所の距離を短くすることができ、配線の本数が多い箇所での複数の配線の纏まり度合いを向上させることができる。すなわち、配線案内チューブ42からコントローラ74までの領域は、配線案内チューブ42から繰り出された複数の配線とその他の配線とを合流させて引き回す領域であるため、配線の本数が必然的に多くなる。そこで、配線の本数が必然的に多くなるこの領域の距離を短くすることにより、それぞれの配線がばらけることを低減し、複数の配線の纏まり度合いを向上させることができる。
また、図16および図17に示されるように、配線案内チューブ42は、上側の蓄電セル群13aと下側の蓄電セル群13bとの間の位置に設けられている。これにより、上側の蓄電セル群13aからの配線であっても、下側の蓄電セル群13bからの配線であってもどちらもほぼ同じ長さで配線案内チューブ42に進入させることができ、上下からの複数の配線を無駄なく纏めた上で配線案内チューブ42に進入、または配線案内チューブ42から取り出すことができる。言い換えると、配線の引き回しの自由度を向上できる。
図16および図17に示されるように、配線案内チューブ42は、蓄電ユニット10の側板24,25を外した側面視(側面方向から見た視野)において複数のバスバーのそれぞれと重ならない位置に設けられている。これにより、配線案内チューブ42に通した複数の配線のそれぞれが、複数のバスバーのそれぞれに接触することなく引き回されるため、複数の配線がバスバーとの接触によって損傷することを低減できる。
図5に示されるように、それぞれのセルホルダー41の下面には、下側の蓄電セル群13bを構成する6個の蓄電セル12g〜12lに対応させて、6つのほぼ半円形状の凹面44が形成されており、それぞれの蓄電セル12g〜12lは、両端部と中央部の上側半円部が凹面44内に入り込んだ状態となってセルホルダー41とセルホルダー32とにより挟持される。長手方向に隣り合う凹面44の間には、底蓋21の突き当て面34に対応させて突き当て面34aが設けられており、両方の突き当て面34,34aが突き当てられた状態となって、それぞれの蓄電セル12g〜12lは底蓋21と中フレーム22との間で挟持つまり挟み込んだ状態で保持される。
それぞれのセルホルダー41の上面には、上側の蓄電セル群13aを構成する6個の蓄電セル12a〜12fに対応させて、6つのほぼ半円形状の凹面45が形成されており、それぞれの蓄電セル12a〜12fは、両端部と中央部の下側半円部が凹面45内に入り込んだ状態となってセルホルダー41とセルホルダー36とにより挟持される。長手方向に隣り合う凹面45の間には、上蓋23の突き当て面34に対応させて突き当て面34aが設けられており、両方の突き当て面34,34aが突き当てられた状態となって、それぞれの蓄電セル12a〜12fは上蓋23と中フレーム22との間で挟持される。
このように、図11および図12に示される下側の蓄電セル群13bを構成する6つの円柱形状の蓄電セル12は、底蓋21に設けられた下側のセルホルダー32と、中フレーム22に設けられた中間のセルホルダー41とにより両端部と中央部とが挟持された状態となってケース本体11a内に組み込まれる。上側の蓄電セル群13aを構成する6つの蓄電セル12は、上蓋23に設けられた上側のセルホルダー36と、中フレーム22に設けられた中間のセルホルダー41とにより、両端部と中央部とが挟持された状態となってケース本体11a内に組み込まれる。なお、それぞれの蓄電セル12の両端部は、全ての蓄電セル12により形成される蓄電セル群13としては左右の側面部を構成する。全ての蓄電セル12がケース本体11a内に収容された状態のもとで、図示しないねじ部材により中フレーム22の下側に底蓋21を締結し、中フレーム22の上側に上蓋23を締結する。ケース本体11aの両側には側板24,25が図示しないねじ部材により締結される。
図21(A)はユニットケース内に組み込まれる蓄電セルの1つの端部を示す断面図であり、図21(B)は図21(A)におけるA部の拡大断面図である。図21には、底蓋21のセルホルダー32と中フレーム22のセルホルダー41との間に挟持される蓄電セル12が示されており、ハッチングは図示省略されている。それぞれの凹面33,44の底部には収容溝46が凹面33,44に露出して形成されている。収容溝46には軟質樹脂またはゴム等からなる弾性部材47が挿入される。弾性部材47の表面は凹面33,44よりも径方向内方に突出する。したがって、蓄電セル12をセルホルダー32の凹面33とセルホルダー41の凹面44の間に位置させてセルホルダー32とセルホルダー41とを突き当てると、弾性部材47が径方向に収縮変形されて蓄電セル12はユニットケース11内で保持される。具体的には、蓄電セル12は上下に対向する一対の弾性部材47によって、径方向両側から挟まれて保持される。このとき、収縮変形した弾性部材47は、弾性復元力によって蓄電セル12の外周面に密着する。前記一対一組の弾性部材47は、一つのセルに対して少なくとも二組以上でセルを挟持している。
蓄電セル12の半径をR1、凹面33,44の半径をR2とすると、凹面33,44の半径R2は蓄電セル12の半径R1よりも大きく設定されており、凹面33,44と蓄電セル12の外周面との間には、ΔRの隙間48が形成される。収容溝46の半径をR3とすると、収容溝46の深さd0はd0=R3−R2となる。収縮変形前の弾性部材47の初期の厚みをd1とすると、弾性部材47の変形量つまりつぶし量は、ほぼΔdとなる。他の凹面37,45にも同様の弾性部材47が設けられる。たとえば、弾性部材47の初期の厚みd1を2.6mm、深さd0を2.2mmとすると、つぶし量Δdは0.2mmとなる。圧縮率kはつぶし量Δdを初期の厚みd1で割った割合とすると、圧縮率k=100×Δd/d1=100×0.2/2.6=7.7%となる。好ましくは圧縮率kは5から15%程度の範囲内になるように弾性部材47の初期の厚みd1やつぶし量Δdを選んでよい。
図21に示すように、上下に隣り合う蓄電セル12の中心線と直交し、かつ、上下に隣り合う蓄電セル12の中心線を上下に横断する垂直線を基準線Oとする。弾性部材47は、基準線Oを中心に図21(A)において左右方向に角度θの範囲に円周方向に延びている。本実施形態では、角度θは約30度に設定されている。すなわち、本実施形態では、弾性部材47は、基準線Oから左右にそれぞれ30度以内の範囲に延びている。弾性部材47を介して蓄電セル12を凹面33,44の間で挟持すると、蓄電セル12の芯出し位置決めが達成されるだけでなく、凹面が蓄電セル12の外周面に直接接触することがない。これにより、硬質樹脂製の底蓋21と中フレーム22等に加工誤差があったとしても、これらが蓄電セル12に食い込むことが防止され、食い込みに起因した蓄電セル12の損傷が防止され、蓄電ユニット10の信頼性を高めることができる。
しかも、弾性部材47が蓄電セル12の外周面に密着することにより、蓄電セル12の放熱性を高めることができる。蓄電セル12と凹面との間に弾性部材47を円周方向に一定の範囲に介在させると、凹面33,44と蓄電セル12の外周面との間には隙間48が形成されるので、隙間48を通過する冷風によって蓄電セル12と弾性部材47との冷却が達成され、両端部のセルホルダー41の外側に配置される部品の冷却も達成される。これにより、蓄電セル12の放熱性を向上させることができ、蓄電ユニット10の信頼性を高めることができる。
弾性部材47を凹面の周方向全体に設けると、蓄電セル12の調心機能を高められる。一方、弾性部材47を凹面の周方向一部に設けると、図21に示される隙間48が形成され、放熱性が高められる。また、弾性部材47が凹面の周方向全体に設けられている場合も周方向一部に設けられている場合も、弾性部材47の表面は蓄電セル12の外周面に密着するので、蓄電セル12が適度な力でしっかりと固定され、蓄電セル12の位置ずれが防止される。図21に示される角度θは、15度から45度の範囲であることが好ましい。角度θが15度以上であると、蓄電セル12に接する弾性部材47の接触面積が大きくなるため運搬時や地震時などの振動などで蓄電セル12が所定の位置より動く懸念がより少なくなる。移動体や振動が発生するような電動機などの動力源の近くに設置する場合のように、より振動に対して信頼性を高める必要がある場合は、角度θを45度に近く大き目に設けることが好ましい。また、角度θが45度以下であると、凹面33,44と蓄電セル12の外周面との間ΔRの隙間48の開口部がより大きくなり、蓄電セル12の異常時における排出ガスの流通がよりスムースに行われる。弾性部材47の材質はシリコーンゴムであることが好ましいが、耐薬品性に優れるEPDMやフッ素系ゴムを用いても良い。弾性部材47の硬度は50程度であればよく、硬度40以上60以下であることが好ましい。硬度40未満では柔らかすぎてセルと弾性部材47との界面が密着していてもセルの円周方向に力が掛かった場合、円周方向のせん断力によってセルが円周方向に回転する懸念がある。また、硬度60を超えると硬すぎて変形しづらくなりセル円周方向の密着度が低下する懸念がある。
図1および図9に示されるように、正面板26を構成する通気枠26aには冷風流入口51aが設けられ、通気枠26bには冷風流入口51bが設けられ、通気枠26cには冷風流入口51cが設けられている。一方、図2および図10に示されるように、背面板28を構成する通気枠28aには冷風流出口52aが設けられ、通気枠28bには冷風流出口52bが設けられ、通気枠28cには冷風流出口52cが設けられている。
図13に示されるように、上蓋23と上側の蓄電セル群13aとの間には上側の冷風通路53aが形成され、底蓋21と下側の蓄電セル群13bとの間には下側の冷風通路53bが形成される。さらに、上側の蓄電セル群13aと下側の蓄電セル群13bとの間には中間の冷風通路53cが形成される。冷風流入口51aと冷風流出口52aは冷風通路53aに対向し、冷風流入口51bと冷風流出口52bは冷風通路53bに対向し、冷風流入口51cと冷風流出口52cは冷風通路53cに対向する。上下の冷風流入口51a,51bと冷風流出口52a,52bの開口面積はそれぞれほぼ同一に設定されている。中央の冷風流入口51cの上下方向の寸法は、冷風流入口51a,51bの上下方向の寸法よりも長くなっており、中央の冷風流入口51cは上下の冷風流入口51a,51bよりも開口面積が大きく設定され、約2倍の開口面積となっている。中央の冷風流出口52cも同様に、冷風流出口52a,52bの約2倍の開口面積となっている。
正面側の4つの蓄電セル12a,12b,12l,12kの間に形成されるスペースには配線案内チューブ42が配置され、それよりも下流側の4つの蓄電セル12の間に形成される4つのスペースにはそれぞれエアガイド43が配置されている。
蓄電ユニット10が蓄電ラックに配置されると、蓄電ラック内に生成される冷却風が正面板26に形成された冷風流入口51a,51b,51cからユニットケース11内に流入する。中央の冷風流入口51cから流入した冷却風は、最上流側の上下2つの蓄電セル12a,12lの間の冷風通路53cを通過して配線案内チューブ42に衝突する。衝突した冷却風の一部は、上下に分岐して2つの蓄電セル12a,12bの間の隙間と、2つの蓄電セル12l,12kの間の隙間に流入する。上方に分岐した冷却風は、冷風流入口51aから流入して上蓋23の内面に沿って冷風通路53aを流れる冷却風と衝突し、蓄電セル12aの背面側と蓄電セル12bの正面側に沿って流れてそれぞれの蓄電セルを冷却する。同様に、下方に分岐した冷却風は、冷風流入口51bから流入して底蓋21の内面に沿って冷風通路53bを流れる冷却風と衝突し、蓄電セル12lの背面側と蓄電セル12kの正面側に沿って流れてそれぞれの蓄電セルを冷却する。このように、配線案内チューブ42は、冷却風を上下に分岐するエアガイドとしての機能を有しており、配線案内チューブ42も冷却風により冷却される。
上下2つの蓄電セル12b,12kの間の冷風通路53cを通過した冷却風は、エアガイド43に衝突する。エアガイド43は、横断面が十字形となっており、上方に突出する上突起部43aと、下方に突出する下突起部43bと、上流側に向けて水平に突出する水平突起部43cとを有している。したがって、最上流側のエアガイド43に衝突した冷却風の一部は、上下に分岐して2つの蓄電セル12b,12cの間の隙間と、2つの蓄電セル12k,12jの間の隙間に流入する。上方に分岐した冷却風は、上蓋23の内面に沿って流れる冷却風と衝突し、蓄電セル12bの背面側と蓄電セル12cの正面側に沿って流れてそれぞれの蓄電セルを冷却する。同様に、下方に分岐した冷却風は、底蓋21の内面に沿って流れる冷却風と衝突し、蓄電セル12kの背面側と蓄電セル12jの正面側に沿って流れてそれぞれの蓄電セルを冷却する。下流側の他の3つのエアガイド43についても同様に冷却風を分岐させて蓄電セル12を確実に冷却する。このように、冷却風は蓄電セル12の外周面に案内されて、蓄電セル12を確実に冷却することができるので、蓄電ユニット10の耐久性および信頼性を高めることができる。
中間の冷風流入口51cの開口面積が、上下の冷風流入口51a,51bよりも大きく設定されているので、中間の冷風流入口51cの開口面積を上下の冷風流入口51a,51bの開口面積と同一にした実施形態よりも、上側の蓄電セル群13aと下側の蓄電セル群13bとの間を流れる冷却風は、上下の蓄電セルの間の隙間で絞られて、上蓋23に沿って冷風通路53aを流れる冷却風と、底蓋21に沿って冷風通路53bを流れる冷却風よりも流速が高められる。これにより、ユニットケース11内を流れる冷却風には、流速が異なる冷却風が混在し、冷却風は自動的に撹拌混合されて蓄電セル12の冷却効果が高められる。冷風流出口52a〜52cについても、冷風流入口51a〜51cに対応させた開口面積とすることにより、冷却風を撹拌させて蓄電セル12の冷却効果を高めることができる。
蓄電セル12の両端面には端子電極が設けられており、蓄電セル群13を構成する蓄電セル12は直列に接続されている。直列に接続するために、水平方向に隣り合う蓄電セル12の両端の端子電極は相互に逆極性となっており、上下方向に隣り合う蓄電セル12の両端の端子電極も相互に逆極性となっている。図11および図14に示されるように、上側の蓄電セル群13aの正面側に配置された蓄電セル12aの右端面の端子電極を正極とすると、その端子電極には、蓄電ユニット10の正極端子のバスバー61aが取り付けられ、その下側の蓄電セル12lの端子電極には、蓄電ユニット10の負極端子のバスバー61bが取り付けられる。これらの蓄電セル12a,12lの間に他の蓄電セルが直列に接続され、相互に隣り合う蓄電セル12の端子電極には中間のバスバー61が取り付けられる。合計12個の蓄電セル12を有する蓄電ユニット10においては、11個の中間のバスバー61と正極と負極のバスバー61a,61bを含めて、合計13個のバスバーが設けられる。
側板24の前端面には、図1に示されるように、バスバー61aが突出する開口部62aが設けられ、バスバー61bが突出する開口部62bが設けられている。複数の蓄電ユニット10が蓄電ラックに配置され、蓄電ユニット10を電気的に接続するときには、開口部62a,62bから突出するバスバー61a,61bが、他の蓄電ユニット10のバスバーに給電部材により接続される。
全ての蓄電セル12のバスバー61,61a,61bによる電気的接続状態を示すと、図15の通りである。それぞれのバスバーには、蓄電セル12の出力電圧が設定値となっているか否かを検出するために、電圧検出線63a〜63mの一端部が接続される。それぞれの電圧検出線63a〜63mの他端部は、コントロールボックス27内の制御基板上のコントローラ(制御部)74に接続される。つまり、複数の蓄電セル12のそれぞれの出力電圧を検出する複数の電圧検出線(複数の配線)63a〜63mの一端部は、複数の蓄電セル12のそれぞれに対応したバスバーに接続され、一方、複数の電圧検出線63a〜63mの他端部は、コントローラ74に接続される。
図5に示されるように、蓄電セル12の両端部に対応する2つのセルホルダー41の外面には、複数の支持突起(突起)64が外方に突出して設けられており、それぞれの支持突起64には配線が挿入される水平方向のスリット65が設けられている。それぞれの支持突起64はエアガイド43の位置にほぼ対応している。すなわち、2つのセルホルダー41のそれぞれにおいて、複数の支持突起64は、蓄電ユニット10の前後方向および上下方向に隣り合う4つの蓄電セル12の間の領域であり、この領域の上側の蓄電セル群13aと下側の蓄電セル群13bとの間の位置に設けられている。2つのセルホルダー41のうち、正面から見て左側つまりコントロールボックス27側のセルホルダー41における支持突起64には、図5に示されるように、上下方向のスリット66が設けられている。
図16は、蓄電セル群13の右側のバスバーに接続される電圧検出線を示す。正面側の蓄電セル12a,12lに接続される2本の電圧検出線63a,63mと、蓄電セル12lに背面側に隣り合う蓄電セル12kに接続される電圧検出線63kは、配線案内チューブ42内に直接挿入されてコントロールボックス27内のコントローラ74に接続される。他の4本の電圧検出線63c,63e,63g,63iは、他の3本の電圧検出線63a,63k,63mよりも蓄電セル群13の端面に沿って長く延びており、それぞれ支持突起64のスリット65に挿入されてセルホルダー41に保持される。
複数の支持突起64に水平方向のスリット65が設けられたことで、上側の蓄電セル群13aの蓄電セル12にバスバーを介して接続された電圧検出線と、下側の蓄電セル群13bの蓄電セル12にバスバーを介して接続された電圧検出線とを支持突起64付近で合流させて一緒にスリット65に挿入して支持突起64により保持することができる。さらに、支持突起64に水平方向のスリット65と上下方向のスリット66を設けたことにより、上下方向のスリット66を有した支持突起64において、複数の方向から引き出された電圧検出線を合流させて保持することができるとともに、それらの電圧検出線を同一の支持突起64の直下に送り出すことができる。また、上下方向のスリット66を有した支持突起64において、送り出す電圧検出線の方向を必要に応じて複数の方向に分けることもできる。以上により、電圧検出線の引き回しの自由度を増やすことができる。
図17は、蓄電セル群13の左側のバスバーに接続される電圧検出線を示す。図16に示したように右側のバスバーに接続される7本の電圧検出線は、図17に示されるように、配線案内チューブ42から繰り出されてスリット65,66に保持されて、コントロールボックス27にまで延びている。左側のバスバーに接続される2本の電圧検出線63l,63jは、支持突起64によって保持されることなくコントロールボックス27内のコントローラ74に直接接続される。他の4本の電圧検出線63b,63d,63f,63hは、2本の電圧検出線63l,63jよりも蓄電セル群13の端面に沿って長く延びており、それぞれ支持突起64のスリット65に挿入されてセルホルダー41に保持される。
以上のように、コントローラ74から最も遠くに配置されたセルホルダー41(セルホルダー41a)の外側に配置された複数の電圧検出線(配線)は、配線案内チューブ42を通って(介して)コントローラ74の最も近くに配置されたセルホルダー41(セルホルダー41b)の外側に繰り出され、そこで他の複数の電圧検出線と合流し、複数の電圧検出線の全てがばらけることなく纏まった状態でコントローラ74に接続される。これにより、複数の電圧検出線を、配線案内チューブ42の内部に通して反対側のセルホルダー41(セルホルダー41b)の外側に繰り出すことができ、配線をばらけさせることなく反対側に繰り出すことができる。
このように、それぞれの側板24,25の内側に這い回されて、蓄電セル群13の端面に沿って長く延びる電圧検出線としての配線は、支持突起64に保持されて、上側の蓄電セル群13aと下側の蓄電セル群13bのバスバーの間に固定されるので、ユニットケース11内を流れる冷却風や振動等によってずれることがなく、電圧検出線が蓄電セル12に接触することが防止される。また、もし、上段の蓄電セル12とバスバーとの締結ボルトが緩み、片方の締結部が外れても、支持突起64によって、バスバーの下方への垂れ下がりを防止でき、下段の蓄電セル12との電気的短絡を防止できる。支持突起64の厚さは3mmとしている。支持突起64の厚さが1mm以上であると、バスバーの垂れ下がりによって支持突起64に当っても割れや欠けが生じないため好ましい。また、支持突起64の先端と側板24の内面の間の隙間は5mm以下であり、万が一、振動などによってずれたとしてもスリット65,66から電圧検出線が外れることは無い。支持突起64の断面形状は矩形としたが、円弧からなる形状やL字形、十字形であってもよい。これにより、蓄電ユニット10の耐久性と信頼性を高めることができる。
また、図16および図17に示されるように、蓄電ユニット10の側板24,25を外した側面視(側面方向から見た視野)において、複数の支持突起64のそれぞれは、複数のバスバーのそれぞれと重ならない位置に設けられている。これにより、複数の電圧検出線のそれぞれを複数のバスバーのそれぞれと重ならないように引き回すことができ、電圧検出線のバスバーへの接触による損傷を低減することができる。
蓄電セル12の温度を検出するために、温度検出センサとしてサーミスタが蓄電セル12に装着される。サーミスタ以外の白金測温抵抗体やリニア抵抗体を用いても良い。図18は温度検出センサ71a,71bとそれぞれのセンサからの温度検出線72a,72bを示す斜視図であり、図19は温度検出線が中フレームに取り付けられた状態を示す中フレームの正面図である。図19においては、電圧検出線は図示省略されている。
図18および図19に示されるように、温度検出センサ71aは、蓄電ユニット10の正面側から2番目、つまり冷却風の上流側から2番目の蓄電セル12kの正面側に取り付けられる。一方、温度検出センサ71bは、背面側から2番目つまり冷却風の下流側から2番目の蓄電セル12hの背面側に取り付けられる。
温度検出センサ71a、71bは、それぞれ温度検出線72a,72bを介してコントロールボックス27と接続される。
温度検出センサ71a、71bの取り付け方法に制限はないが、例えば、図18に示すように、円柱形状の蓄電セル12k、12hの湾曲した側面に、接着フィルムや接着剤などを用いて取り付けられる。また、温度検出センサ71a,71bの取り付け位置は、蓄電セル12k、12hのうち湾曲した側面の中央部と端部との間であって、側板25側(端部側)である。即ち、コントロールボックス27側のセルホルダー41の内側に配置される。
それぞれの温度検出線72a,72bは、図18に示されるように、セルホルダー41に設けられた貫通孔73a,73bを通ってセルホルダー41の外側に引き出されてコントロールボックス27まで延びている。また、貫通孔73a,73bを通ってセルホルダー41の外側に引き出された温度検出線72a,72bは、前述の電圧検出線と同様に、支持突起64によって保持される。即ち、温度検出線72a,72bは、蓄電セル12の両端部に対応する2つのセルホルダー41のうち、側板25側のセルホルダー41の外面の支持突起64により保持される。この支持突起64は、水平方向にスリット65が設けられており、このスリット65に温度検出線72a,72bが挿入されることにより、温度検出線72a,72bはセルホルダー41に保持される。
このように、温度検出センサ71a,71bをコントロールボックス27側に設けることで、コントロールボックス27と逆側に設けた場合と比較し、温度検出線72a,72bの長さを短くすることができる。また、温度検出センサ71a,71bを、蓄電セル12k、12hの湾曲した側面に配置することで、接着面積を広く確保することができ、温度検出センサ71a,71bを強固に固定することができる。また、温度検出センサ71bを蓄電セル12hのうち湾曲した側面の側板25側(端部側)に設けることで、中央部より高温となりやすい端部側の温度を測定し、温度管理に役立てることができる。また、温度検出線72a,72bを、セルホルダー41に設けられた貫通孔73a,73bを通してセルホルダー41の外側に引き出し、セルホルダー41の外側の支持突起64によって保持することにより、冷却風や振動等によってずれることがなく、温度検出線が蓄電セル12に接触することを防止できる。これにより、蓄電ユニット10の信頼性を高めることができる。
蓄電セル12はユニットケース11内を流れる冷却風によって冷却されるので、蓄電セル12が過度に温度上昇することはない。ユニットケース11内に配置される蓄電セル12の温度は、冷却風の上流側の蓄電セル12の方が下流側の蓄電セル12よりも低くなる傾向がある。全ての蓄電セル12に温度検出センサを取り付けるようにしても良いが、そのような形態に代えて、上流側と下流側の2つの蓄電セル12の温度を検出すると、高温側の蓄電セルの温度と低温側の蓄電セルの温度とに基づいて、蓄電セル群13を構成する全ての蓄電セル12の温度管理を行うことができる。例えば、上流側と下流側の2つの蓄電セル12の温度の演算処理により全ての蓄電セル12の平均温度を算出し、温度管理に役立てることができる。
このように、高温側と低温側の少なくとも2つの蓄電セル12の温度を検出することにより、蓄電ユニット10内の蓄電セル12の平均温度を検出する等の温度管理を行うことができる。また、ユニットケース11内に流れる冷却風量や環境温度によって、高温側と低温側の2箇所の温度がわかれば、各セルの温度差がどれくらい生じるかが予めモデルケースで分かっているため、その温度分布データと照らし合わせることで、温度を検出しているセル以外で異常高温になった場合でも、その異常検知に役立てることができる。
本発明者らの検討によれば、全ての蓄電セル12の温度をモニターしたところ、下側の蓄電セル群13bのうち上流側から2番目の蓄電セル12kの正面側の温度上昇が最も低く、蓄電セル群13bの下流側から2番目の蓄電セル12hの背面側の温度上昇が最も高くなることが判明した。そこで、図13,図18および図19に示すように、蓄電セル12kの正面側に温度検出センサ71aを装着して最も温度が低くなる蓄電セル12kの温度を検出し、蓄電セル12hの背面側に温度検出センサ71bを装着して最も温度が高くなる蓄電セル12hの温度を検出している。なお、ここでは、モニターの結果から、下側の蓄電セル群13bのうち、低温側の蓄電セルの温度として、上流側から2番目の蓄電セル12kの温度を、高温側の蓄電セルの温度として、下流側から2番目の蓄電セル12hの温度を用いたが、これに限定されるものではない。例えば、低温側の蓄電セルの温度として、上流側の4つの蓄電セル12a,12b,12l,12kの何れかの温度、また、高温側の蓄電セルの温度として、下流側の4つの蓄電セル12e,12f,12g,12hの何れかの温度を用いてもよい。また、ユニットケース11(ケース本体11a)の中央部を基準として、上流側または下流側の蓄電セルを選択してもよい。即ち、低温側の蓄電セルの温度として、ユニットケース11(ケース本体11a)の中央部より正面板26の側に配置される蓄電セル群から選択される蓄電セル群(図13においては、12a,12b,12c,12l,12k,12j)のいずれかに温度検出センサを取り付け、高温側の蓄電セルの温度として、ユニットケース11(ケース本体11a)の中央部より正面板26と逆側に配置される蓄電セル群(図13においては、12d,12e,12f,12g,12h,12i)のいずれかに温度検出センサを取り付けてもよい。このように、温度を検出する蓄電セルの組み合わせは、適宜変更可能である。
図20は電圧検出線と温度検出線が接続される制御回路を示すブロック図であり、電圧検出線63a〜63mはそれぞれコントローラ74に接続される。コントローラ74はコントロールボックス27内に組み込まれる制御基板に設けられる。コントローラ74には、電圧検出線63a〜63mからの検出信号に基づいて、各々の蓄電セル12の正極側端子と負極側端子との間の電位差を演算する。また、温度検出線72a,72bもそれぞれコントローラ74に接続される。コントローラ74には、温度検出線72a,72bからの検出信号に基づいて、2つの蓄電セル12の温度を演算する。
それぞれの演算結果の信号は外部の表示部75に送られ、表示部75には蓄電セル12の電圧値と温度値が表示される。電圧値の表示形態としては、全ての蓄電セル12の電圧値を表示するようにしたり、最高電圧と最低電圧の蓄電セルを表示したりすることができる。また、温度の表示形態としては、2つの蓄電セルの検出温度を表示したり、前述の平均温度を表示したり、異常を知らせるアラームや警報を表示したり、点滅したり、警報音を鳴らせたりすることができる。また、蓄電セル12の平均温度が所定の温度より高くなった場合、冷却風量を増加させ蓄電セル12の温度を低下させたり、所定の温度より低い場合は冷却風量を減少させ、冷却ファンの消費電力を低減させたりすることができる。また、2つの蓄電セルのうちどちらか一方のセルの温度が所定の温度より高くなると警告音や点滅等で通知したり、或いは温度異常を認識して異常信号をシステム制御部77へ通信したりすることにより主回路を遮断することができる。また、蓄電セル12の電圧値が所定の電圧値を上回ったり、或いは下回ったりした場合、警告音や点滅等で通知したり、或いは異常信号をシステム制御部77へ通信したりすることにより主回路を遮断することができる。また、蓄電セル12の電圧値の経時変化から蓄電セルの寿命を推定し、警告音や点滅等で通知したり、或いは異常信号をシステム制御部77へ通信したりすることにより主回路を遮断することができる。また、蓄電セル12の各セル間の電圧値のバラツキが所定の電圧バラツキより大きい場合、所定の信号をシステム制御部77へ通信することにより所定の電圧値の範囲に収まるように充放電動作をすることができる。
蓄電セル12としてのリチウムイオン二次電池は、内部に液状またはゲル状の電解質が封入されている。万一、蓄電セル12の温度が定常温度の範囲を超えて、過度に温度が上昇すると、蓄電セル12の内部圧力が所定圧力(第2の所定圧力)を超えることが想定される。そこで、万一、内部圧力がこの所定圧力を超えたときに、蓄電セル12のガスを外部に放出するために、蓄電セル12の両端面には、図16および図17に示されるように、安全弁76が設けられている。この所定圧力とは、蓄電セル12の安全弁76を作動させる圧力である。蓄電セル12の内部温度の上昇に伴って蓄電セル12の内部圧力が上昇し、内部圧力が第2の所定圧力つまり作動圧力に達すると、安全弁76が開放される。それぞれの安全弁76は蓄電セル12の両端面に設けられている。よって、安全弁76が作動つまり開放し、ガス化された内容物が外部に放出されても、放出されたガスは側板24,25の内面に吹き付けられ、ユニットケース11内の他の蓄電セル12に損傷を与えることがない。
安全弁76が万一作動すると、放出ガスが蓄電セル12からユニットケース11内に噴出され、ユニットケース11の内部圧力が瞬間的に急上昇する。急上昇した内部圧力によってユニットケース11が破壊されると、破壊部位によっては、コントローラや配線等の部品を破壊するおそれがある。そこで、万一、安全弁76が作動したときには、ユニットケース11のうち特定の部位を積極的に破壊させるようにしている。本実施形態では、ユニットケース11の長手方向中央とユニットケース11の背面との間における特定の部位を積極的に破壊させるようにしてある。
図22(A)は側板25の後端部を示す拡大正面図であり、図22(B)は図22(A)におけるB−B線断面図である。
側板25の後端部の内面には、上下に2つの圧力破壊部81a,81bが設けられている。それぞれの圧力破壊部81a,81bは、相互に平行となって前後方向つまり正面板26と背面板28の対向方向に延びる2つの平行溝82、83と、両方の平行溝82,83の一方の端部同士(本実施形態では、背面板側の端部同士)を連通させる連通溝84とにより区画され、舌片形状となっている。以下の説明では、平行溝82、83の背面板側の端部を後端部と呼び、正面板側の端部を前端部と呼ぶ場合がある。3辺の溝により区画される圧力破壊部81a,81bは側板25と同一厚みの基部で側板25に連なっている。図22は側板25に設けられた圧力破壊部を示すが、他の側板24にも対応させて圧力破壊部が設けられている。圧力破壊部81a,81bと安全弁76(図22には図示せず)とは、蓄電セル12の長手方向(軸方向)に対向して設置されている。このように強度的に弱い部分を安全弁76に対向して直近に設置しているので、安全弁76からの放出ガスによる瞬時の内圧上昇にも素早く圧力破壊部81a,81bが開放し、ユニットケース11の全損を防止できる。図16,図17に示されるように、蓄電セル12において、安全弁76は、軸方向両端面に設けられているため、圧力破壊部もそれに対向してユニットケース11の両側板24,25に設けたが、蓄電セル12の安全弁76が片方の端面に1か所だけ設置されている場合はそれに対向した側板だけに圧力破壊部を設ければよい。
平行溝82,83と連通溝84の底面と側板25の外面との間の肉厚は、側板25の他の部位よりも薄くなっている。もしも、安全弁76が作動してユニットケース11内にガスが放出され、ユニットケース11内の圧力が所定圧力(第1の所定圧力)よりも高くなると、圧力破壊部81a,81bはガス圧により溝の部分で破壊される。第1の所定圧力とは、圧力破壊部81a,81bを開かせる圧力である。ユニットケース11の内部圧力が上昇し、第1の所定圧力つまり破壊圧力に達すると、圧力破壊部81a,81bが破壊される。換言すれば、第1の所定圧力つまり破壊圧力は、ユニットケース11の内部圧力の上昇に伴って圧力破壊部81a,81bに作用し、圧力破壊部81a,81bをユニットケース11の外側へ向けて折り曲げる力である。破壊圧力により、少なくともいずれかの舌片状の圧力破壊部が溝の部分で破壊されて、側板にはガス放出用の連通孔が形成される。圧力破壊部81a,81bが破壊されたとしても、圧力破壊部81a,81bの基部が側板24,25から分離することがなく、圧力破壊部81a,81bが外部に飛散することが防止される。さらに、圧力破壊部81a,81bを構成する溝の部分が破壊されると、圧力破壊部81a,81bは、基部を固定端部として、基部と反対側の端部(自由端)が外側へ向けて回動するように折れ曲がる。このため、ユニットケース11内に放出されたガスは、圧力破壊部81a,81bに案内されてユニットケース11の後方に向けて噴出される。圧力破壊部81a,81bの平行溝82、83は、前端部から後端部に向かって溝の深さが深くなっている。圧力破壊部81a,81bにおいて、連通溝84の溝深さが最も深くなっている。圧力破壊部81a,81bの平行溝82,83の底面と連通溝84の底面と側板25の外面との間の肉厚で最も薄い肉厚は、側板25の肉厚の25%とした。圧力破壊部81a,81bの溝は蓄電セル12側(側板24,25の内側)に設けたが、側板24,25の外側にあってもよい。
圧力破壊部81a,81bを設ける箇所は、ユニットケース11の背面側に限られない。しかし、コントロールボックス27が設けられているユニットケース11の正面から離れた位置に圧力破壊部81a,81bを設けると、これら圧力破壊部81a,81bが破壊されても、コントロールボックス27内のコントローラ74の制御回路を損傷することが防止される。このように、万一、蓄電セル12の安全弁76が作動しても、蓄電ユニット10の意図しない箇所が破壊されることが防止されるので、安全弁76の作動に起因する連鎖的な異常発生を防止できる。これにより、蓄電ユニット10の信頼性を高めることができる。
圧力破壊部81a,81bの形態としては、図示したものに限られることなく、舌片状の圧力破壊部81a,81bを90度回転させた実施形態もある。この実施形態では、平行溝82,83は底蓋21と上蓋23の対向方向に延び、連通溝84は、平行溝82,83の底蓋側の端部同士または上蓋側の端部同士を連通させる。また、平行溝82,83と連通溝84に代えて隙間の薄いスリットとしても良い。さらに、本実施形態では、蓄電セル群13が上下に2段積層されているので、2つの圧力破壊部81a,81bを上下に並べて配置してある。これにより、上側の蓄電セル群13aに含まれる蓄電セル12の安全弁76が作動した場合も、下側の蓄電セル群13bに含まれる蓄電セル12の安全弁76が作動した場合も、上記効果が得られる。蓄電セル群13の積層段数が増減した場合には、これに応じて圧力破壊部の数を増減させることができる。
また、図16および図17に示されるように、蓄電ユニット10の側板24,25を外した側面視(側面方向から見た視野)において、複数の電圧検出線および温度検出線のそれぞれは、複数の安全弁76のそれぞれと重ならないように引き回されている。これにより、安全弁76の作動でのガス放出の影響による複数の電圧検出線と温度検出線のそれぞれの損傷を低減することができる。
配線案内部(配線案内チューブ42)の形状は、円筒形に限定されずに円筒形の長手方向に交差する方向の断面形状が、例えばL字型またはU字型などであってもよく、複数の配線を保持することが可能な形状であればよい。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、図示する蓄電ユニット10は12個の蓄電セル12を備えているが、蓄電セル12の数は12個に限られず、任意の数とすることができる。また、蓄電セル12はリチウムイオン二次電池であるが、リチウムイオンキャパシタとしても良い。