JP4639204B2 - 電池の異常昇温検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は電気自動車用電池電源装置を構成する多数の単電池の内、少なくとも1つが異常昇温したときに、これを検出するために開発された電池の異常昇温検出方法に関するものである。
電池の異常昇温を検出し、電流カットを行って電池の安全確保を図るものとして、電池内にPTCセンサを組込む技術が広く知られている。これはPTCセンサが、所定温度以上の温度を検出したとき急激に自身の電気抵抗が増大し、電池の異常昇温時に温度スイッチとしての機能を備えていることを利用したものである。
又電気自動車のモータ駆動電源として、多数の単電池を電気的に直列に接続して高電圧、高電流の電力を供給しうるものが提案されている。そして、その1例として252個のニッケル水素二次電池を電気的に直列に接続した電池電源が提案されている。
上記電気自動車用の電池電源において、これを構成する単電池のすべてについて異常昇温の検出を行い、異常昇温検出時に速やかにその対応策が講じられることが、安全性確保上極めて重要な課題である。
ところで、既に確立されているPTCセンサを各単電池に組込むという技術を採用することが考えられるが、電気自動車用の電池電源には例えば252個という多数の単電池が電気的に直列に接続されているため、常温時においても直列関係にある全PTCセンサの電気抵抗を合計すると大きな値となり、電池電源の大幅な出力ダウンと発熱(この場合のPTCセンサを流れる電流は非常に大きい。)を招き、到底実用に供することができないという問題がある。
本発明は上記問題点を解消すると共に、構造簡単な装置によって、多数の単電池の異常昇温検出を的確に行うことを目的とする。
本発明の電池の異常昇温検出方法は、上記課題を解決するため、複数個の単電池を電気的に直列に接続してなる電池モジュールを多数本配置し、電池モジュール間の端子間を電気的に接続してなる電池電源装置における電池の異常昇温検出方法であって、複数個の単電池の夫々に、昇温時に電気抵抗が急激に増大する温度センサを外部から取付け、電池モジュールに属するこれら温度センサを直列に接続し、直列に接続された電池モジュールに属する温度センサの全抵抗の測定により、電池モジュール単位で、単電池の異常昇温を検出することを特徴とし、温度センサがPTCセンサであるように構成し、又単電池がニッケル水素二次電池であるように構成することができるものである。
上記発明によれば、直列に接続された複数個の単電池の内、1個でも異常昇温したときには、この単電池に取付けた温度センサの抵抗値が飛躍的に増大する結果、直列に接続された温度センサの全抵抗値も飛躍的に増大し、この全抵抗値の測定によって単電池の異常昇温を検出することができる。そして、例えば電気自動車のモータ駆動用電池電源のように、200個以上、或いはその半分というように多数の単電池の異常昇温を検出する際にも、1つの抵抗測定装置により検出が可能となるので、装置の構造を簡単なものとすることができる。又温度センサと単電池の電流系を別系統にでき、温度センサに流す電流を小電流とすることができるので、温度センサを多数直列に接続しても、発熱の問題が生じない。さらに、電池モジュールに属するこれら温度センサを直列に接続し、直列に接続された電池モジュールに属する温度センサの全抵抗の測定により、電池モジュール単位で単電池の異常昇温を検出することができる。
本発明によれば、直列に接続された多数の単電池の内の1個でも異常昇温したときに、電池モジュール単位でこれを的確に検出できて、電池の安全性を確保できると共に、温度センサ自身の発熱の問題が生じない電池の異常昇温検出方法を提供することができる。
又本発明によれば、電気自動車のモータ駆動電源等に用いられる電池電源装置に使用するに適した、取扱い性及び組付け性に優れた電池の異常昇温検出方法を提供することができる。
図1は内燃機関と電池駆動モータとを組み合わせて走行駆動源としたハイブリッドタイプの自動車を示している。このハイブリッドタイプの自動車は、内燃機関を最適条件で稼働させ、走行条件によって出力不足が生じるとき、その出力不足を電池駆動モータの出力で補い、又減速時に回生電力吸収を行うことによって、通常の内燃機関単独走行の自動車に比較して、単位燃料当りの走行距離を飛躍的に増大させたものである。
電池駆動モータの電力源としては、ニッケル水素二次電池が用いられ、図1、図2に示す電池パックユニット1に収納されている。この電池パックユニット1は後部座席2と、その後方のトランクルーム3との間の空間に配置されている。
電池パックユニット1は、樹脂成形品からなる外装ケース4、その内部に配置された送風機5、外装ケース4の内部に配置された左右1対の電池電源装置6、6を備えている。各電池電源装置6には、ニッケル水素二次電池の単位電池となる単電池(電池セルと称されることもある。)7を、126個電気的に直列に接続したものが備えられて、約125Vの電圧の電力供給が可能となっている。左右の電池電源装置6、6は同様に構成されると共に、両者は電気的に直列に接続されて電池電源集合装置8を構成し、約250Vの電圧の電力供給が可能となっている。すなわち、電池駆動モータには約250Vの電圧の電力が供給される。
図3は左右1対の電池電源装置6、6から構成される電池電源集合装置8を示す。
各電池電源装置6は、6個の単電池7を一列に電気的かつ機械的に直列に接続してなる電池モジュール9を、横3列、縦7列の計21本並列配置してホルダケース10に保持させた構造を備えている。
電池モジュール9は、図4、図5、図6に示すように、各単電池7間を金属製の接続リング50を介してスポット溶接Sを用いて直列に接続している。又電池モジュール9のプラス電極端に座部11aを備えた四角形ナット11が前記接続リング50を介してスポット溶接を用いてプラス電極端の単電池7に接続されている。更に電池モジュール9のマイナス電極端に座部12aを備えた六角形ナット12が前記接続リング50を介してスポット溶接を用いてマイナス電極端の単電池7に接続されている。前記四角形ナット11の対向辺間寸法と、前記六角形ナット12の対向辺間寸法とは同一となっていて、後記四角形状保持凹部30a、六角形状保持凹部30bにこれらナット11、12が誤って嵌合されることのないようにしている。前記接続部には、同一単電池におけるプラス電極とマイナス電極との短絡を阻止するための樹脂製の絶縁リング13a、13bが介装されている。この絶縁リング13a、13bには、外径の異なる2種類のものがあり、計6個の絶縁リング13a、13bの内、13bで示す2つのものが外径が大となっている。
各単電池7の側周面にはPTC(Positive Temperature Coefficient)センサ14が接着されている。このPTCセンサは単電池7が内部の異常によって昇温したとき、電気抵抗が急激に増大してその異常を検知する温度センサであり、例えば80℃に達したときに電気抵抗が急激に増大するものを用いている。PTCセンサはポリセンサとも称されている。又この種温度センサ14としては、PTCセンサ以外のものを用いることも可能であることは云うまでもない。6個のPTCセンサ14は接続線15によって直列に接続され、その両端に折曲げ可能な金属板からなる端子片16が取付けられている。両端子片16、16は電池モジュール9の両端から突出するように配設されている。
電池モジュール9は、塩化ビニール等の電気絶縁性及び熱シュリンク性を有する樹脂製の外装チューブ17によって、その外周面を被覆されている。PTCセンサ14及びその接続線15は、単電池7と共に外装チューブ17によって保護され、前記プラス電極となる四角形ナット11、前記マイナス電極となる六角形ナット12及び前記両端子片16、16が外装チューブ17に対し露出している。
前記ホルダーケース10は、図3、図7、図8に示すように、ケース本体18、第1エンドプレート19、第2エンドプレート20、3枚の冷却フィンプレート21、21、21及び2枚の防振ゴムシート22、22で主構成されている。
ケース本体18は、上下面が開放された直方体ボックス形状に形成された樹脂一体成形品である。4枚の鉛直壁を構成する両端壁23、23及び両側壁24、24の内部に形成される空間26は、両端壁23、23に平行な2枚の隔壁25、25によって3つの空間26a、26b、26cにほぼ等しく区画されている。第2エンドプレート20側の第1区画空間26a、中央の第2区画空間26b、第1エンドプレート19側の第3区画空間26cの夫々には、その中央部に位置し、かつ両端壁23、23に平行になるよう、冷却フィンプレート21が上方より挿入され、ケース本体18に固定される。
端壁23、23、隔壁25、25及び冷却フィンプレート21、21、21には、同一対応位置に電池モジュール9を挿通するための挿通孔23a、25a、21aが、横(水平方向)3列、縦(鉛直方向)7列の計21個設けられている。横3列、縦7列の挿通孔23a、25a、21aは、縦横等ピッチで設けられ、かつ電池モジュール9の外径より大の径を有するように形成されている。
ケース本体18の一端部には第1エンドプレート19が4隅のビス孔70を利用して端壁23にビス止め固定されている。27はケース本体18の端壁23の周囲に形成した額縁部であって、第1エンドプレート19を嵌合状態で収容するためのものである。ケース本体18の他端部には第2エンドプレート20が端壁23に離接可能に保持されている。すなわち第2エンドプレート20がケース本体18の他端部に形成された額縁部27に移動可能な状態で嵌合保持されている。
第1エンドプレート19は、図7〜図12に示すように、樹脂板で構成されると共に、パスバー28がインサート成形によって樹脂板に埋設固定され、樹脂板の内面29に、電池モジュール9のプラス電極端となる四角形ナット11を嵌合保持する四角形状の保持凹部30a及び電池モジュール9のマイナス電極端となる六角形ナット12を嵌合保持する六角形状の保持凹部30bが設けられているものである。これら保持凹部30a、30bは、前記挿通孔23a、25a、21aに対応する位置に設けられ、全体として横3列、縦7列の計21個設けられている。そして図10に示すように、隣り合うもの同士の一方はプラス側の四角形状の保持凹部30a、他方はマイナス側の六角形状の保持凹部30bとなる関係で、2種類の保持凹部30a、30bが交互に設けられている。各保持凹部30a、30bは、前記電池モジュール9の電極端のナット11、12に嵌合する形状に形成されているので、四角形ナット11は四角形の保持凹部30aにのみ保持され、誤って四角形の保持凹部30aに保持されることを未然に防止することができる。
第1エンドプレート19の外面31には、前記保持凹部30a、30bに対応する位置に計21個の締結用凹部32a、32bが形成されている。この締結用凹部32a、32bの形状は四角形のものと六角形のものとの2種類があり、四角形状の締結用凹部32aは前記四角形状の保持凹部30aと全く同一形状であり、六角形状の締結用凹部32bは前記六角形状の保持凹部30bと全く同一形状である。そして図10に示すように、四角形状の保持凹部30aの背面に六角形状の締結用凹部32bが、六角形状の保持凹部30bの背面に四角形状の締結用凹部32aが夫々設けられている。このような構成としたのは、図3に示す電池電源集合装置8を構成する左右1対の電池電源装置6、6の夫々の第1エンドプレート19、19として同一のものを共通使用しうるためである。左側の電池電源装置6に使用する場合の第1エンドプレート19は、上記に説明したような状態でケース本体18に組付けられるが、右側の電池電源装置6に使用する場合の第1エンドプレート19は、内外面を逆にして用い前記締結用凹部32a、32bに相当するものを、保持凹部30a、30bとして用いるようにしてケース本体18に組付けられる。
電池モジュール9の端子間を電気的に接続する金属製のパスバー28は、第1エンドプレート19の樹脂板の厚さ方向の中央に位置するようにインサート成形によって埋設固定されている。そして前記保持凹部30a、30b及び締結用凹部32a、32bで囲まれる部分においてパスバー28は外部に露呈している。
この露呈する部分の中心に貫通孔33が設けられている。
電池モジュール9の端部のナット11、12は、前記保持凹部30a、30bに嵌合保持された状態で、締結用凹部32a、32b側から前記貫通孔33を通して挿し込まれたボルト34に螺合し、ボルト34を締結することにより、前記ナット11、12はパスバー28に電気的かつ機械的に結合される。電池モジュール9のプラス電極となる四角形ナット11は、プラス側の四角形状の保持凹部30aに間違いなく嵌合保持されるので、電池モジュール9のプラス電極は確実にパスバー28のプラス側部分に接続されることになる。同様に電池モジュール9のマイナス電極となる六角形ナット12は、マイナス側の六角形状の保持凹部30bに間違いなく嵌合保持されるので、電池モジュール9のプラス電極は確実にパスバー28のマイナス側部分に接続されることになる。又前記ナット11、12は保持凹部30a、30bによって、回転を阻止されるため、ボルト34による締結作業をスムースに進めることができる。
第2エンドプレート20は、図8、図13、図14に示すように第1エンドプレート19と同様、樹脂板で構成されると共に、パスバー28がインサート成形によって樹脂板に埋設固定され、その内面29に保持凹部30a、30b、その外面31に締結用凹部32a、32bを備えている。そして第1エンドプレート19の場合と同様に各電池モジュール9の端部のナット11、12は、ボルト34によってパスバー28に電気的かつ機械的に結合されている。なお、第1エンドプレート19の四角形状の保持凹部30aに対向する部位に、第2エンドプレート20の六角形状の保持凹部30bが配置され、第1エンドプレート19の六角形状の保持凹部30bに対向する部位に、第2エンドプレート20の四角形状の保持凹部30aが配置されていることは、云うまでもない。
電池電源装置6に並列配置された21本の電池モジュール9は、前記第1エンドプレート19のパスバー28及び第2エンドプレート20のパスバー28によって、電気的に直列に接続されている。第1エンドプレート19に埋設固定されるパスバー28は、図10に(1)、(3)、(5)、(7)、(9)、(11)、(13)、(15)、(17)、(19)、(21)で示す11枚あり、第2エンドプレート20に埋設固定されるパスバー28は、図13に(2)、(4)、(6)、(8)、(10)、(12)、(14)、(16)、(18)、(20)、(22)で示す11枚あるが、これらと各電池モジュール9との接続関係を図15に示している。
(1)と(22)で示すパスバーは、厳密にはパスバーと云うよりは、前者はマイナス端子バー、後者はプラス端子バーと称する方が適切であり、本発明のパスバーの概念に含まれないものであるが、本実施の形態の説明の便宜上パスバーと称し、以下説明する。(2)〜(21)で示すパスバーは、電気的直列における隣接する電池モジュール9のプラス電極との接点及びマイナス電極との接点を有し、前記隣接する電池モジュール9を電気的に直列に接続している。例えば図15に示すように、(2)で示すパスバーは、プラス電極接点2aとマイナス電極接点2bを備え、(21)で示すパスバーは、プラス電極接点21aとマイナス電極接点21bを備えている。図15において1abで示す接点は電池電源集合装置8の全体におけるマイナス端子となっており、ここに電池駆動モータに接続される動力ケーブル35の接続端リング35a(図7参照)が接続されている。又図15において22abで示す接点は一方の電池電源装置6のプラス端子となっており、ここに他方の電池電源装置6のマイナス端子に接続される接続ケーブル36(図3参照)の接続端部が接続されている。前記両接点1ab、22ab間の電圧は約125Vとなっている。なお、前記接続ケーブル36は可撓性を有し、電池モジュール9の熱伸縮に伴う第2エンドプレート20の移動が生じた場合にも、両電池電源装置6、6間の電気的接続を確実に行えるようにしている。
第1エンドプレート19は、図7、図10、図12、図15に示すように、2本の電池モジュール9、9単位の端子間電圧を測定するためのリード線37をインサート成形により樹脂板内に埋設している。図15に一点鎖線で示すように、前記(1)、(3)、(5)、(7)、(9)、(11)、(13)、(15)、(17)、(19)、(21)で示すパスバー28のそれぞれにリード線37が接続され、例えば(1)と(3)のパスバー間の電圧V1-3 や、(19)と(21)のパスバー間の電圧V19-21 を測定しうるように構成されている。前記電圧V1-3 は、(1)のパスバーと(3)のパスバー間に電気的に直列に接続される2本の電池モジュール9、9、換言すれば12個の単電池7間の電圧を示し、図15に示す電圧V3-5 、V5-7 、・・・、V19-21 も同様の2本の電池モジュール9、9間の電圧を示している。これらの電圧を測定し、その異常を検知したときには、対応する2本の電池モジュール9、9に属する12個の単電池7の内の少なくとも1個に何らかの異常が発生したことになるので、その対応は比較的狭い範囲に限定して行うことができる。
各リード線37は第1エンドプレート19の樹脂板内において、図10に示すように配線され、かつ第1エンドプレート19の一側辺の所定箇所に集められ、まとめて外部に取出されている。そして図7に示すように、テープ状樹脂シート38に各リード線37は固定されて電圧測定部に導かれる。
各リード線37とパスバー28との接続部には、図10、図11に示すように、ヒューズ39が取付けられ、リード線37に過剰電流が流れるのを防止している。このヒューズ39は、パスバー28に一体に設けたリード線接続用の延長片(ヒューズ取付片)40に後付けによって取付けられる。前記延長片40の中央部表裏面は、開口部41、42によって外部に露呈しているが、この延長片40の一部を後加工により打抜いて断絶状態とした後、断絶部(断絶部を図11(b)に仮想線で示す。)の両側を導通するようにヒューズ39を取付けた構成としている。前記開口部41、42はその後樹脂モールド39aされる。
前記リード線37の配線は第1エンドプレート19にのみ設けられ、第2エンドプレート20には全く設けられていない。
第1エンドプレート19には、図7、図10、図12に示すように、前記PTCセンサ14を6個直列に接続した接続線15の端子片16を接続するための保持片43が、インサート成形により樹脂板に固定されている。
保持片43は第1エンドプレート19に設けた貫通開口部44に露出する部分にネジ孔45を備えている。そして前記端子片16を前記貫通開口部44に挿入した後折曲げ、次いでビス46を用いて、図12に示すように、端子片16を保持片43に電気的かつ機械的に接続している。
保持片43は2つのネジ孔45、45を両端部に備え、前記接続線15の隣合うもの同士の端子片16、16を電気的に接続するパスバーとしての作用を有している。ただし、図10、図16にPで示す保持片は、単独のネジ孔45のみを有し、マイナス端子としての役割のみを果たしている。
第2エンドプレート20にも、図13に示すように、上記同様の保持片43が、インサート成形により樹脂板に固定されている。この第2エンドプレート20の保持片43も、2つのネジ孔45、45を両端部に備え、パスバーとしての作用を有している。ただし、図13、図16にQで示す保持片は、単独のネジ孔45のみを有し、プラス端子としての役割のみを果たしている。
図16は、電池電源装置6に配置された126個すべての単電池7に接着されたPTCセンサ14が、第1エンドプレート19及び第2エンドプレート20の保持片43によって、電気的に直列に接続された状態を示している。図15に示す電池モジュール9をパスバー28を利用して電気的に直列に接続する場合と同様であるので、詳細な説明は省略する。
Pで示すマイナス端子としての保持片43と、Qで示すプラス端子としての保持片43には夫々外部取出し線47、48が接続され(図3参照)、抵抗測定装置49に結線される。前記126個の単電池7の内1個でも異常昇温したときには、その単電池7に接着したPTCセンサ14の抵抗値が飛躍的に増大する結果、抵抗測定装置49にその異常が検出される。従って、外部取出し線47、48の数を最小の2本にとどめるという簡素な構造によって、電池電源装置6のすべての単電池7の昇温異常を検知することができる。なお、電池電源集合装置8を構成する他方の電池電源装置6にも、同様のものが備えられている。
電池電源装置6のホルダケース10には、図3、図7、図8、図9に示すように、21本の電池モジュール9がその両端を第1エンドプレート19及び第2エンドプレート20に固定されて支持されている。又各電池モジュール9は、その長手方向の両端より夫々約1/3の長さ位置2箇所において、防振リング51、51を介して前記隔壁25、25の挿通孔25aに支持されている。この防振リング51は前記防振ゴムシート22にその表面から突出するようにして一体に成形されている。21個の防振リング51を備えた防振ゴムシート22は、隔壁25の挿通孔25aにすべての防振リング51を圧入することにより隔壁25の一面に沿って取付けられる。
すでに述べたように、ホルダケース10は2枚の隔壁25、25によって3つの空間、すなわち第2エンドプレート20から第1エンドプレート19に向けて順に、第1区画空間26a、第2区画空間26b、第3区画空間26cに区間されているが、夫々の区画空間26a、26b、26cの中央部には冷却調整フィンプレート21が上方より挿入されて、ケース本体18に固定されている。図8、図17は、冷却調整フィンプレート21に形成された冷却調整フィン52(第1段フィン52a、第2段フィン52b、第3段フィン52c、第4段フィン52d、第5段フィン52e、第6段フィン52f、第7段フィン52g、第8段フィン52hを含む。)と、冷却調整フィンプレート21の挿通孔21aに遊挿された各電池モジュール9との関係を示している。周知のように電池電源装置6には、電池発熱による異常昇温を防止するため、電池を冷却するための手段が必要である。本実施の形態では、ホルダケース10の下方開口部を空気導入部53とし、上方開口部を空気導出部54として、下方(上流側)より上方(下流側)に流れる空気流によって、縦7列、横3列に水平に配された各電池モジュール9の冷却を行っている。
中央に位置するよう区間された第2区画空間26bを例にとって、電池モジュール9の空冷構造を説明すると、冷却調整フィンプレート21のプレート本体部21から両方向に突出する各冷却調整フィン52は、図7、図8に示すように、隔壁25、25に近接する位置まで延び、前記空気流の流れ方向及び流速を調整しうるように構成されている。図17に示すように、最下段(第1段と称する場合もある。)の3個の挿通孔21a(第1段から第7段の挿通孔を図17で<1>〜<7>と示す。)<1>の夫々の下辺まわりには断面円弧状の第1段フィン52aが設けられ、第1段の電池モジュール9に直接空気が当たる割合いを極力抑えている。
第1段の3個の挿通孔<1>とその上の第2段の3個の挿通孔<2>、第2段の3個の挿通孔<2>とその上の第3段の3個の挿通孔<3>、第3段の3個の挿通孔<3>とその上の第4段の3個の挿通孔<4>の夫々における対応する挿通孔間の上下中間位置には、断面形状が断絶部を有する扁平のH字状となる第2段フィン52b、第3段フィン52c、第4段フィン52dが設けられている。第2段フィン52bは、断面H字状部の両側に断絶部t、tが形成され、第3段フィン52cは、断面H字状部の中央に断絶部t1 が形成され、第4段フィン52dは、断面H字状部の中央に幅の広い断絶部t2 が形成され、第1段の電池モジュール9よりも第2段の電池モジュール9に直接空気が当たる割合いを増大させ、第2段の電池モジュール9よりも第3段の電池モジュール9に直接空気が当たる割合いを増大させ、第3段の電池モジュール9よりも第4段の電池モジュール9に直接空気が当たる割合いを増大させている。
第4段の3個の挿通孔<4>とその上の第5段の3個の挿通孔<5>との間には、2つの断面縦長楕円形状(図17に示すものは軽量化のため断面形状が中空のものとなっているが、中空部を有しないものであってもよい。)のフィンと2つの断面縦長半楕円形状(中空のものでも、中空部を有しないものであってもよい。)のフィンとの横並びの4つのフィンからなる第5段フィン52eが設けられている。中央側に位置する2つの断面縦長楕円形状のフィンは夫々その周囲の左右上下4つの挿通孔<4>、<4>、<5>、<5>の中央点に位置し、両端側に位置する2つの断面縦長半楕円形状のフィンは対応する上下の挿通孔<4>、<5>の上下中間で外側方に位置すると共に前記プレート本体部21bの側辺に接している。第5段の3個の挿通孔<5>とその上の第6段の3個の挿通孔<6>との間、並びに第6段の3個の挿通孔<6>とその上の第7段の3個の挿通孔<7>との間にも、第5段フィン52eとほぼ同様の形状で、同一関係位置にある4つのフィンからなる第6段フィン52f並びに第7段フィン52gが設けられている。さらに最上段(第7段と称する場合もある。)の3個の挿通孔<7>の上方位置には、第7段フィン52gの各フィンの上半分を欠落した形状のフィンで、第7段フィン52gと同一関係位置にある4つのフィンからなる第8段フィン52hが設けられている。そして第5段フィン52eの各フィンの断面積よりも、第6段フィン52fの各フィンの断面積を大とし、第6段フィン52fの各フィンの断面積よりも、第7段フィン52gの各フィンの断面積を大としている。このように上側にいくほど冷却調整フィン52e、52f、52gの断面積を大とすることにより、電池モジュール9と冷却調整フィン52との間に形成される空気流の流路を、上側にいくほど絞り、第4段の電池モジュール9の周囲を流れる空気の流速よりも、第5段の電池モジュール9の周囲を流れる空気の流速を大とし、第5段の電池モジュール9の周囲を流れる空気の流速よりも、第6段の電池モジュール9の周囲を流れる空気の流速を大とし、第6段の電池モジュール9の周囲を流れる空気の流速よりも、第7段の電池モジュールの周囲を流れる空気の流速を大としている。これは空気流の流速を増大させると、その平方根に比例して冷却効果が増大することを利用したものである。
第2区画空間26bを例にとって電池モジュール9の空冷構造を上記に説明したが、他の第1区画空間26a、第3区画空間26cにおける空冷構造も同様に構成される。そしていずれにおいても、下方より上方に流れる空気流に直交する方向に多段に並列配置された多数の電池モジュール9の内、下段側のグループに属する電池モジュール9(図17に示す場合は第1段から第4段に配置されているもの)に対して、電池モジュール9に直接当たる空気量を調整する遮蔽型のフィン52a〜52dにより電池モジュール9の下辺を覆い、かつ最下段(第1段)より上段(第2段、第3段、第4段)に向かうに従って、電池モジュール9に当たる空気量を徐々に大になるようにしている。これにより最下段の電池モジュール9の過冷却を防ぐと共に、上段に向かうに従って電池発熱により徐々に昇温する空気の冷却効果低下を補うように、電池モジュール9に当たる空気量を増大させることで、各段(第1段〜第4段)の電池モジュール9の冷却をほぼ均等に行えるようにしている。
下段側のグループに属する電池モジュール9を冷却する空気は、図17に示すように、その過半が左右の電池モジュール9間に形成される通路55、55及び電池モジュール9と側壁24との間に形成される通路56、56を上昇し、一部が電池モジュール9側に取込まれた後、前記通路55、56に再び合流して、第5段の電池モジュール9の下方に達する。次いで前記空気流は、上段側のグループに属する電池モジュール9(図17に示す場合は第5段から第7段に配置されているもの)を冷却するために用いられるが、下段側のグループに属する4段の電池モジュール9を冷却したため、空気温度が相当高くなって、冷却効果が低下している。これを補うため、上段側のグループに属する電池モジュール9の冷却には空気流を絞って、電池モジュール9の周囲の空気流の流速を上げている。前記各通路55、55、56、56の上方には、第5段、第6段、第7段の各電池モジュール9の斜下、及び第7段の電池モジュール9の斜上に位置するように、電池モジュール9との間の間隔を狭めて空気流の流速を上げるための流路絞り型のフィン52e〜52hを配し、かつ上段(第5段、第6段、第7段)に向かうに従って前記間隔を順次狭くして、上昇により徐々に昇温する空気の冷却効果低下を補うように、電池モジュール9の周囲の空気流の流速を上げて、各段(第5段〜第7段)の電池モジュール9の冷却をほぼ均等に行えるようにしている。
このようにして、最下段から最上段に至るすべての電池モジュール9をほぼ均一に冷却するように構成している。なお本実施形態では、下側の4段の電池モジュール9を遮蔽型のフィン52a〜52dを用い、上側の3段の電池モジュール9を流路絞り型のフィン52e〜52hを用いて、すべての電池モジュール9の冷却をほぼ均一に行えるように構成しているが、例えば下側の3段の電池モジュール9を遮蔽型のフィンを用い、中間の第4段の電池モジュール9に対応するフィンは設けず、上側の3段の電池モジュール9を流路絞り型のフィンを用いて、空気流を調整する等のことが、可能であることは云うまでもない。
本実施形態で用いられる電池は、ニッケル水素二次電池であるので、異常時に電池缶より漏れる水素に対する安全を図る必要がある。前記空気は、シロッコファンを備えた送風機5の圧送によって、電池電源装置6内に送られてくるものであるが、前記送風機5及びこれを駆動するモータ57の内部やその近辺に前記水素が送られることのないように配慮することが特に重要である。そこで本実施形態においては、図8、図17、図18に示すように、送風機5、モータ57を前記ホルダケース10の側方下部に配し、その送風口58をホルダケース10の下方に位置させ、送風機5から圧送された空気は、前記外装ケース4の下部に形成した空気供給室59を通じて、ホルダケース10の下端の空気導入部53に達した後、ホルダケース10内を下から上に流れて電池モジュール9を冷却し、次いでホルダケース10の空気導出部54を出た後、前記外装ケース4の上方に形成した空気排出室60を通過して、前記外装ケース4の上部側端に形成した排出口61より、外装ケース4の外部に排出されるように構成されている。このような構成を採用することにより、ホルダケース10内の電池モジュール9から万一水素が漏れ出した場合にも、送風機5側へ水素が送られてくることを防止できる。
図18は、1台の送風機5で、左右の電池電源装置6、6に冷却用空気を圧送する構造を示している。前記送風機5は左右1対のシロッコファン及び送風口58、58を有し、空気取入口62より車室内の空気を取入れ、1対の送風口58、58より、左右の空気供給室59、59に均等に空気を送り出している。
各空気供給室59は、前記外装ケース4の底板部4aと、底板部4aの図18における前側位置に起立する前面壁4bと、ホルダケース10の下面とによって囲まれた空間で構成され、前記送風口58に対向する入口63には、送風口58からの空気を奥側かつ側方に導く、複数本の彎曲状の整流ガイド64a、64b、64cが前記底板部4aに立設されている。前記入口63は外装ケース4の幅方向の中央側に設けられ、ホルダケース10の第1区画空間26aの下方に位置するように配されている。前記底板部4aは、空気供給室59内において、外側方側、すなわち第2区画空間26b、第3区画空間26c側に向け徐々に高位置となるスロープ65を有すると共に、奥側に向け徐々に高位置となるスロープ66を有するように形成されている。又スロープ65の第2区画空間26bと第3区画空間26cの境界部下方位置に、空気を上方に導く背の低い風向ガイド67を設けている(図8参照)。
前記入口63から取入れられた空気は、3枚の整流ガイド64a、64b、64cの各中間に形成される2つの空気通路を通り、奥側かつ第2、第3区画空間26b、26c側に導かれると共に、その一部は第1区画空間26a内に導かれる。この際空気流が前記空気通路を素通りして、第1区画空間26a内に導かれる空気量が不足しないようにするため、第2エンドプレート20側の空気通路の入口部付近に空気を上方に導く風向ガイド68を設けている。前記2つの空気通路を出た空気は、その一部が第2区画空間26b内に導かれ、残部は第3区画空間26cの下方に導かれる。その際、第2区画空間26b内に導かれる空気量が不足しないように、前記風向ガイド67が設けられているのである。第3区画空間26cの下方に導かれた空気は、第3区画空間26c内に導かれる。
上記のように整流ガイド64a、64b、64c、風向ガイド67、68、スロープ65、66を設けることによって、各区画空間26a、26b、26cに取込まれる空気量をほぼ均一にすると共に、各区画空間における手前側と奥側での取込まれる空気量が不均一となるのを防いでいる。なお、第2区画空間26b内に配置される2つの単電池7は、電池モジュール9の中央位置にあり、第1、第3区画空間26a、26cに配置される単電池7の発熱の影響を受けやすいため、これらの単電池7に比較し、空気流による冷却をより多く必要としている。
このため、第2区画空間26b内に導かれる空気量が他の区画空間26a、26cに導かれる空気量より若干大になるように、前記風向ガイド67を設計することが好ましい。
前記外装ケース4は、図18、図8に示すように、その底板部4aにホルダケース取付座部71を備え、ここに左右のホルダケース10、10がその脚部72において、ボルト・ナット73により取付け、固定される。又外装ケース4の周縁部には自動車本体に取付けられるフランジ部74を有している。
上記実施形態においては、図15に示すように、電池電源装置6内のすべての電池モジュール9が常時電気的に直列に接続されているが、補修作業時等における安全を図るために、一時的に前記直列接続をカットするための、安全プラグ75を設けると好適である。このため、図15に仮想線で示すように、例えば(17)のパスバー28を、第1エンドプレート19に設けた開口部に露出させて、後加工でNで示す箇所を切断し、17a、17bで示す箇所と、開閉可能な安全プラグ75とを導線76、77で接続したバイパスを設ければよい。
自動車と電池パックユニットとの関係を示す概略側面図。 電池パックユニットの概略を示す斜視図。 電池電源集合装置を示す斜視図。 (a)は電池モジュールを示す正面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図。 外装チューブを仮想線で示した電池モジュールの斜視図。 電池モジュールの要部を示す一部切欠断面図。 電池電源装置を分解して示す斜視図。 電池電源装置を示す断面図。 電池電源装置の要部を示す拡大断面図。 第1エンドプレートを内面側からみた正面図。 (a)は図10のA−A線拡大断面図、(b)はその正面図。 図10のB−B線拡大断面図。 第2エンドプレートを外面側からみた正面図。 図13のC−C線拡大断面図。 電池モジュールの接続状態を示す原理図。 PTCセンサの接続状態を示す原理図。 電池パックユニットの断面図。 電池パックユニットの分解斜視図。
符号の説明
7 単電池
9 電池モジュール
10 ホルダケース
14 PTCセンサ(温度センサ)
15 接続線
16 端子片
17 外装チューブ
19 第1エンドプレート
20 第2エンドプレート
28 パスバー

Claims (3)

  1. 複数個の単電池を電気的に直列に接続してなる電池モジュールを多数本配置し、前記電池モジュール間の端子間を電気的に接続してなる電池電源装置における電池の異常昇温検出方法であって、
    複数個の単電池の夫々に、昇温時に電気抵抗が急激に増大する温度センサを外部から取付け、前記電池モジュールに属するこれら温度センサを直列に接続し、直列に接続された該電池モジュールに属する温度センサの全抵抗の測定により、前記電池モジュール単位で、単電池の異常昇温を検出することを特徴とする電池の異常昇温検出方法。
  2. 温度センサがPTCセンサである請求項1記載の電池の異常昇温検出方法。
  3. 単電池がニッケル水素二次電池である請求項1又は2記載の電池の異常昇温検出方法。
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