JP6441850B2 - 多層プリント配線板 - Google Patents

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本開示は、基板表面に、高周波信号伝送用の配線パターンと部品実装用のパッドとを含む配線層を備えた多層プリント配線板に関する。
この種の多層プリント配線板には、表層の配線層に対する内層として、グラウンド、電源等のベタプレーン層が備えられている。そして、配線層のパッドから配線パターンに至る伝送経路の特性インピーダンスを一定にするため、ベタプレーン層に、パッドと同程度の大きさのくり抜き部を設けることが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
これは、パッドは配線パターンに比べて幅が大きいことから、パッド直下に配線パターン直下と同じベタプレーン層が存在すると、パッド部分での容量成分が配線パターンに比べて大きくなり、特性インピーダンスが配線パターンに比べて小さくなるためである。
つまり、上記提案では、配線層直下のベタプレーン層にくり抜き部を設けることで、パッド部分の特性インピーダンスを配線パターンの特性インピーダンスに近づけ、これらの接続部分で生じる伝送信号の反射を抑えて、伝送損失を低減している。
特許第3583706号公報 特開2009−170574号公報
しかしながら、上記提案の多層プリント配線板においては、配線層直下のベタプレーン層にだけくり抜き部を設けているので、パッド部分での特性インピーダンスを充分上昇させることができず、パッドと配線パターンとの接続部分で伝送信号が反射することがあった。
本開示の一局面は、基板表面に配線層を備えた多層プリント配線板において、配線層のパッドと配線パターンとの接続部分で生じる伝送信号の反射をより良好に抑制でき、さらには、その伝送経路からの放射ノイズを抑制できるようにすることを目的とする。
本開示の一局面の多層プリント配線板は、絶縁体層を挟んで積層される複数の導電体層として、表層として基板表面に設けられる配線層と、内層として配線層の直下に順に設けられる複数のベタプレーン層と、を備える。
また、配線層は、高周波信号伝送用の配線パターンと、この配線パターンに接続され、配線パターンよりも幅が広いパッドと、を備え、複数のベタプレーン層には、それぞれ、配線層のパッドとの対向位置に、パッドの形状に対応したくり抜き部が備えられている。
この結果、本開示の多層プリント配線板によれば、パッド直下の絶縁体層の厚みを必要に応じて厚くし、パッド部分での特性インピーダンスを配線パターンの特性インピーダンスにより確実に近づけることができるようになる。
つまり、特性インピーダンスは、対象部位のインダクタンスLとキャパシタンス(容量)Cとで、「√(L/C)」として記述することができる。このうち、インダクタンスLは対象部位の長さで概ね決まることから、特性インピーダンスをコントロールするには、対象部位とベタプレーン層との間の容量成分を調整することが重要である。
そして、本開示の多層プリント配線板によれば、配線層直下に順に設けられる複数のベタプレーン層に対してくり抜き部を設けているので、上述した従来のものに比べて、ベタプレーン層との間の容量成分の調整可能範囲を広げることができる。
よって、本開示の多層プリント配線板によれば、配線層のパッドと配線パターンとで特性インピーダンスを一致させて、その接続部分で伝送信号が反射するのを抑制することができ、延いては、高周波信号伝送が可能になる。あわせて、信号伝送に伴うリターン電流を流す電流経路を設けることによって放射ノイズを抑えることが可能となる。
従って、本開示の多層プリント配線板を電子機器に組み込むようにすれば、電子機器による電磁妨害を抑制することができるようになる。このため、例えば、FCC(Federal Communications Commission:連邦通信委員会)等によるEMC(Electro-Magnetic Compatibility:電磁両立性)規格にも容易に適合させることができるようになる。
ここで、くり抜き部が設けられる複数のベタプレーン層においては、くり抜き部の周囲を、ベタプレーン層を構成する導電体にて囲み、且つ、多層基板には、複数のベタプレーン層をくり抜き部周囲で接続するビアを設けるようにするとよい。
このようにすれば、信号伝送に伴いベタプレーン層に流れるリターン電流の一部が、放射ノイズとして、くり抜き部周囲の開口部分から外部に漏れ出すのを抑制することができる。
また、リターン電流による放射ノイズをより良好に抑制するには、複数のベタプレーン層のうち、配線層直下に位置する第1のベタプレーン層の次に配線層に近いベタプレーン層のくり抜き部に、リターン電流を流す電流経路を設けるとよい。
つまり、配線層から数えて3層目のベタプレーン層には、配線層においてパッドに接続される配線パターンでの通電方向に沿ってくり抜き部を分割するように、電流経路を設けるのである。
このようにすれば、配線層における信号伝送に伴い3層目のベタプレーン層に生じるリターン電流について、その経路を最短化でき、放射ノイズが発生するのを抑制できる。
次に、配線層に、差動信号伝送用の一対の配線パターンと、その一対の配線パターンの一端にそれぞれ接続された一対のパッドとが備えられている場合、複数のベタプレーン層のうち、配線層直下に位置する第1のベタプレーン層には、配線層の一対のパッド及び一対の配線パターンに対向し、且つこれら一対のパッド及び一対の配線パターンの間を含む信号伝送領域全体に、くり抜き部を設け、複数のベタプレーン層のうち、第1のベタプレーン層とは異なる第2のベタプレーン層には、配線層のパッド毎にくり抜き部を設けるようにしてもよい。
つまり、配線層を構成する配線パターン及びパッドが、一対の差動信号伝送用である場合、その一対の配線パターン間及びパッド間の差動インピーダンスを、高速信号伝送に適した所望インピーダンス(例えば100Ω)にする必要がある。
この差動インピーダンスは、配線パターンの幅及び間隔を調整することで設定できるが、放射ノイズを抑制するには、配線間の結合を大きくすることが望ましい。そして、この要求を満足するように配線パターンの幅及び間隔を調整しても、パッドでは、差動インピーダンスが低下する。
そこで、本開示では、配線層に、差動信号伝送用の一対の配線パターンとこれに接続される一対のパッドが設けられている場合、第1のベタプレーン層には、上記のように一対のパッド及び一対の配線パターンを含む信号伝送領域全体にくり抜き部を設けることで、配線パターン及びパッドのそれぞれについて実質的に絶縁体層を厚くする。この結果、差動信号の伝送経路で差動インピーダンスが変化するのを防止し、差動インピーダンスを所望インピーダンスに設定することができるようになる。また、このように差動インピーダンスを所望インピーダンスにすることができるので、高周波信号伝送が可能になる。
なお、上述した第1、第2のベタプレーン層が、グラウンド電位に保持されるグラウンドプレーン層である場合、これら各グラウンドプレーン層の配線層とは反対側には、通常、第3のベタプレーン層として、電源電圧が印加される電源プレーン層が設けられる。
この場合、差動信号伝送経路での差動信号の伝送特性をより最適にするには、この電源プレーン層にも、一対のパッドに対向し、且つ、一対のパッドの間を含む信号入出力領域にくり抜き部を設け、そのくり抜き部の大きさ(換言すれば多層基板の面方向の面積)を、第1のベタプレーン層の信号入出力領域のくり抜き部よりも大きくするとよい。
多層プリント配線板を備えた電子機器の概略構成を表す説明図である。 多層プリント配線板におけるデータ入出力部の外観を表す説明図である。 図2に示すI−I線に沿った多層プリント配線板の断面を表す説明図である。 図2に示す差動プリント配線板のデータ入出力部の各導電体層の積層状態を表す斜視図である。 図2に示すデータ入出力部の第2層目の導電体層の形状を表す説明図である。 図2に示すデータ入出力部の第3層目の導電体層の形状を表す説明図である。 図2に示すデータ入出力部の第4層目及び第7層目の導電体層の形状を表す説明図である。 図2に示すデータ入出力部の第5層目及び第6層目の導電体層の形状を表す説明図である。 図2に示すデータ入出力部での差動インピーダンス及びコモンモードインピーダンスをくり抜き部無しの場合と比較して表す説明図である。 図2に示すデータ入出力部から出力される信号波形の評価結果をくり抜き部無しの場合と比較して表す説明図である。 配線層直下の第1のベタプレーン層にだけくり抜き部を設けた場合の差動インピーダンスの測定結果を表す説明図である。 第1、第2のベタプレーン層にくり抜き部を設けた場合の差動インピーダンスの測定結果を表す説明図である。
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1に示すように、本実施形態の電子機器2は、例えば、物理転送速度6GbpsのシリアルATA規格である「Serial ATA Revision 3.0」に準拠した高速差動シリアルインターフェースでデータの入出力を行うソリッド・ステート・ドライブ(SSD)である。
このため、この電子機器2のケース4内には、不揮発性メモリであるフラッシュメモリや、パーソナルコンピュータ等の外部機器との間でデータをやり取りすると共にフラッシュメモリへのデータの書き込み及び読み出しを行うコントローラ、等が実装された多層プリント配線板6が収納されている。
多層プリント配線板6の一端縁には、シリアルATAのデータ用ケーブルや電源用ケーブルを接続するためのコネクタ8が固定されている。コネクタ8には、多層プリント配線板6への表面実装用の端子が多数設けられており、各端子は、多層プリント配線板6の基板表面に設けられたパッドに接続(表面実装)されている。
コネクタ8において、データ用ケーブルが接続される端子は、グラウンド端子、差動信号転送用の+端子、−端子、グラウンド端子、差動信号受信用の−端子、+端子、及びグラウンド端子の7つである。
このため、多層プリント配線板6のデータ入出力部6Aの表層には、これら各端子に対応して、多層プリント配線板6の一端縁から内側に向けて細長い矩形形状の7つのパッド11〜17が配置されている(図2参照)。
この7つのパッド11〜17の内、パッド12、13、及び、パッド15、16は、差動信号を転送又は受信するためのものである。このため、図2に示すように、パッド12、13及びパッド15、16の多層プリント配線板6の内部側には、それぞれ、差動信号伝送用の一対の配線パターン20X及び20Rが接続されている。
パッド12、13及びパッド15、16は、コネクタ8の各端子をそれぞれ一対の配線パターン20X及び20Rに接続するためのものであるため、パッド12、13及びパッド15、16の幅は、それぞれ、配線パターン20X及び20Rの幅よりも広くなっている。なお、添え字Xは差動信号の転送(送信)側を表し、添え字Rは差動信号の受信側を表す。
また、これら各一対の配線パターン20X及び20Rは、パッド12、13、及び、パッド15、16から所定距離離れた位置にて切断されている。そして、その切断部分両側には、それぞれコンデンサ23X及び23Rを実装するためのパッド21X、22X及び21R、22Rが設けられている。なお、コンデンサ23X及び23Rは、直流信号等、不要な信号成分を遮断し、所望周波数帯の伝送信号を選択的に通過させるためのものである。
一方、パッド11、14、17には、コネクタ8のグラウンド端子が接続されることから、これら各パッド11、14、17は、スルーホール26を介して多層プリント配線板6内及び裏面のグラウンドプレーン層に接続されている。また、パッド11は、多層プリント配線板6の基板表面に設けられたグラウンドパターン25にも接続されている。
なお、このグラウンドパターン25は、配線パターン20X、20Rに対し、所定の間隔を空けて設けられており、その配線パターン20X、20R側の縁部も、スルーホール26を介して多層プリント配線板6内及び裏面のグラウンドブレーン層に接続されている。
次に、図3に示すように、多層プリント配線板6は、基板表面のパッド11〜17、配線パターン20X、20R、グラウンドパターン25等を構成する導電体層を、表層である第1層とし、その下方に絶縁体層7を挟んで第2層〜第10層までの導電体層が順次積層された構成となっている。
そして、多層プリント配線板6のデータ入出力部6Aにおいて、第2層〜第4層、第7層〜第10層は、グラウンド電位のベタプレーン層であるグラウンドプレーン層となり、第5層及び第6層は、電源電圧が印加されたベタプレーン層である電源プレーン層となっている。
また、図4に示すように、第2層〜第4層のグラウンドプレーン層30、40、50において、パッド12、13及びパッド15、16との対向位置には、それぞれ、形状の異なるくり抜き部34X及び34R、44X及び44R、54X及び54Rが設けられている。
そして、第7層は、第4層のグラウンドプレーン層50と同様に構成されており、第8層〜第10層のグラウンドプレーン層70は、くり抜き部のないベタパターンにて構成されている。
すなわち、図5に示すように、第2層のグラウンドプレーン層30には、パッド12、13及びパッド15、16とそれぞれ対向し、しかも、パッド12−13間及びパッド15−16間を含む信号入出力領域全体にくり抜き部34X及び34Rが設けられている。
また、第2層のグラウンドプレーン層30には、パッド12、13及びパッド15、16にそれぞれ接続される一対の配線パターン20X、20R、及び、この配線パターン20X、20Rに設けられるコンデンサ実装用のパッド21X、22X、21R、22Rに対向し、しかも、これら各部の間及び周囲を含む信号伝送領域にも、くり抜き部32が設けられている。そして、このくり抜き部32は、パッド12、13及びパッド15、16との対向位置に配置されるくり抜き部34X及び34Rにつながっている。
次に、図6に示すように、第3層のグラウンドプレーン層40には、第1層の配線層における差動信号の伝送経路上にそれぞれ設けられる各パッド12、13、15、16、21X、22X、21R、22Rとの対向位置に、これら各パッドと同形状で各パッドを個々に内包し得る大きさのくり抜き部44X、44X、44R、44R、41X、42X、41R、42Rが設けられている。
また、第3層のグラウンドプレーン層40において、各パッド12、13、15、16との対向位置に設けられる一対のくり抜き部44X及び44Rには、それぞれ、各パッド12、13、15、16に接続される配線パターン20X及び20Rでの通電方向(詳しくは高周波信号の伝送方向)に沿ってくり抜き部44X及び44Rを分割するように、電流経路40X及び40Rが設けられている。
この電流経路40X及び40Rは、第1層の配線層における信号伝送に伴い第3層のグラウンドプレーン層40にも生じるリターン電流を最短の経路で流し、放射ノイズが発生するのを抑制するためのものである。
次に、図7に示すように、第4層及び第7層のグラウンドプレーン層50には、第3層のグラウンドプレーン層40と同様、第1層の配線層における差動信号の伝送経路上にそれぞれ設けられる各パッド12、13、15、16、21X、22X、21R、22Rとの対向位置に、これら各パッドと同形状で各パッドを個々に内包し得る大きさのくり抜き部54X、54X、54R、54R、51X、52X、51R、52Rが設けられている。
但し、この第4層及び第7層のグラウンドプレーン層50に設けられる一対のくり抜き部54X、54Rには、第3層のグラウンドプレーン層40のように、くり抜き部54X、54Rを分割する電流経路40X及び40Rは設けられていない。
また、第3層のグラウンドプレーン層40及び第4層、第7層のグラウンドプレーン層50においては、パッド12、13、15、16との対向位置に、それぞれ、一対のくり抜き部44X、44R若しくは54X、54Rが設けられ、その一対のくり抜き部44X、44R、54X、54Rの間に導電体(グラウンドプレーン)が配置される。
そして、このグラウンドプレーンの電位が変動すると差動信号を良好に伝送できなくなり、また放射ノイズが発生するので、この部分にも、他のグラウンドプレーン層と接続するためのスルーホール26が設けられている。
また、上記各グラウンドプレーン層30、40、50において、パッド12、13、15、16との対向位置に設けられるくり抜き部34X、34R、44X、44R、54X、54Rの周囲は、第2層のグラウンドプレーン層30のくり抜き部32との接続部分を除いて、導電体(グラウンドプレーン)にて囲まれている。
そして、第2層のグラウンドプレーン層30のくり抜き部34X、34Rの周囲のグラウンドプレーンと、第3層のグラウンドプレーン層40のくり抜き部44X、44Rの周囲のグラウンドプレーンは、各くり抜き部の外周に沿って設けられた複数のビア38にて接続されている。
この結果、これら各くり抜き部34X、34R、44X、44Rを、多層プリント配線板6の外周側で開放させた場合に比べて、多層プリント配線板6から周囲に放射される放射ノイズを抑制できる。
一方、第5層及び第6層は同一形状の電源プレーン層60となっている。そして、図8に示すように、電源プレーン層60において、パッド12、13及びパッド15、16との対向位置には、パッド12−13間及びパッド15−16間を含む信号入出力領域全体に、くり抜き部64X及び64Rが設けられている。
このくり抜き部64X及び64Rは、グラウンドプレーン層30、40、50のくり抜き部34X及び34R、44X及び44R、54X及び54Rよりも面積が大きく、多層プリント配線板6の外周側で開放されている。
なお、このくり抜き部64X及び64Rを含む電源プレーン層60は、グラウンドプレーン層50よりも内側に設けられるので、プリント配線板6の外周側で開放されていても、くり抜き部64X及び64Rからノイズが放射することはない。
また、電源プレーン層60において、パッド21X、22X、21R、22Rとの対向位置には、これら各パッドと同形状で各パッドを個々に内包し得る大きさのくり抜き部61X、62X、61R、62Rも設けられている。
また、電源プレーン層60において、表層のグラウンドパターン25や内層のグラウンドプレーン層30、40、50を電気的に接続するために多層プリント配線板6を貫通するように設けられるスルーホール26の周囲には、電源プレーン層60がスルーホール26に接触することのないように、抜き部66が設けられている。
以上説明したように、本実施形態の多層プリント配線板6においては、表層(第1層)の配線層の直下に、絶縁体層7を挟んで第2層から第9層までの内層が順に積層されている。そして、第2層から第7層までの内層(グラウンドプレーン層30、40、50及び電源プレーン層60)には、それぞれ、配線層を構成する差動信号入出力用のパッド12、13、15、16との対向位置にくり抜き部34X、34R、44X、44R、54X、54R、64X、64Rが設けられている。
このため、こうしたくり抜き部を備えていない場合に比べて、各パッド12、13、15、16からそれぞれ一対の配線パターン20X及び20Rに至る差動信号の伝送経路で伝送特性が悪化するのを抑制して、差動信号の反射を抑制することができる。
例えば、図9は、本実施形態の電子機器2のコネクタ8に、シリアルATAのデータ用ケーブルを接続して、パッド12、13から一対の配線パターン20Xに至る伝送経路の伝送インピーダンス(差動インピーダンスZdiff、コモンモードインピーダンスZcom )を、周知のTDR(Time Domain Reflectometry)法にて測定した測定結果を表している。
図9に実線で示す測定結果から明らかなように、本実施形態の多層プリント配線板6によれば、パッド12、13から一対の配線パターン20Xに至る伝送経路での差動インピーダンスZdiffが、配線パターン20Xの差動インピーダンス(100Ω)と略一致している。従って、この部位で差動信号が反射するのを抑制することができる。
また、図9において、コモンモードインピーダンスZcom は、くり抜き部を設けたパッド12、13の領域で上昇し、配線パターンよりも高くなっている。このため、電子機器2内部のコントローラ等で生じた差動信号のコモンモード成分は、この部位で反射して、外部には伝搬し難くなり、放射ノイズは抑制されることになる。
なお、図9において、点線で示す特性は、多層プリント配線板の内層に抜き部を設けていない場合の測定結果を表しており、本実施形態によれば、差動インピーダンスZdiff及びコモンモードインピーダンスZcom が共に改善できることがわかる。
また、図10は、本実施形態の電子機器2(SSD)のコネクタ8を、シリアルATAケーブルを介してパーソナルコンピュータへ接続し、6Gbpsの差動信号の信号波形を実測した結果を表している。
この図から明らかなように、本実施形態の電子機器2によれば、多層プリント配線板の内層に抜きを設けていない場合と比較して、信号波形が良化していることが分かる。実際に、本実施形態の電子機器2(SSD)によれば、データの書き込みと読み込みの信頼性を向上できることを確認できた。
また、本実施形態では、第1のベタプレーン層である第2層のグラウンドプレーン層30だけでなく、第2のベタプレーン層である第3層、第4層のグラウンドプレーン層40、50にも、差動信号入出力用のパッド12、13、15、16との対向位置に、くり抜き部44X、44R、54X、54Rを設けている。この理由を、図11、図12に示すモーメント法の電磁界シミュレーションによる特性取得と、このTDR(Time Domain Reflectometry)法による測定結果に基づき説明する。
まず、本実施形態の多層基板の断面構造は、第1層の銅厚が35μm、第1〜2層間の絶縁体層(一般FR−4)厚が40μm、第2層の銅厚が20μm、第2〜3層間の一般FR−4厚みが40μmである。部分的に第2層の銅がない場合、第1〜3層間の絶縁体層の厚みは100μmとなる。
良好な高速信号伝送のためには、反射を抑えるため、差動信号伝送経路全体の特性インピーダンスのコントロールが必要であり、シリアルATAの場合は差動インピーダンスとして、通常、100Ωが設定される。そして、こうした差動インピーダンスのコントロールには、上述したように、対象部位の容量Cの調整が重要である。
図11に示すように、第1のベタプレーン層である第2層(L2)のグラウンドプレーン層にだけ、第1層(L1)のパッド直下にくり抜き部を設けた場合、差動インピーダンスZdiffは、配線領域の1.00〜1.12[ns]で100Ωよりも下がり、それ以降の1.12〜1.25[ns]のパッド部では最も低いところで68Ωになっている。
なお、この測定結果は、差動2線間に結合を持たせて放射ノイズを低減させる仕様として、配線パターンの幅を90μm、間隙を100μmとした場合のものである。
差動インピーダンス100Ωとする配線仕様として、配線パターンの幅を50μm、間隙を150μmとすることも考えられるが、この場合、差動2線の結合が小さくなるため、信号伝搬に伴う放射ノイズは大きくなり、また外来ノイズの影響を受け易くなる。またこの場合、パッド部分で差動インピーダンスが80Ωになり、信号伝送の観点で対策が必要である。
そこで、容量低減の観点から、第1層(L1)の配線パターン及びパッドのそれぞれについて実質的に絶縁体層を厚くする方法として、多層プリント配線板を、図12に示すように構成する。
つまり、第1のベタプレーン層である第2層(L2)のグラウンドプレーン層に、これら各部に対向するくり抜き部を設け、配線よりも幅が太く容量が大きくなるパッド部分については、更に離れた第2のベタプレーン層である第3層(L3)のグラウンドプレーン層にもくり抜き部を設ける。この場合、差動インピーダンスZdiffの測定結果は、配線部分、パッド部分ともに所望インピーダンス(100Ω)になっている。
従って、この測定結果から、本実施形態のように、第1のベタプレーン層である第2層のグラウンドプレーン層30だけでなく、第2のベタプレーン層である第3層、第4層のグラウンドプレーン層40、50にもくり抜き部を設けることで、パッド部分での容量を小さくして差動インピーダンスを配線パターンと一致させることが可能である、ことがわかる。
なお、図12の測定結果は、差動2線間に結合を持たせて放射ノイズを低減させるために、配線パターンの幅を90μm、間隙を100μmとした場合のものである。
また次に、本実施形態では、第1のベタプレーン層である第2層のグラウンドプレーン層30には、上層(配線層)の一対のパッド12、13及び15、16から一対の配線パターン20X及び20Rに至る差動信号の伝送領域全体に、くり抜き部34X、34R、32を設け、第2のベタプレーン層である第3層、第4層のグラウンドプレーン層40、50には、パッド12、13、15、16毎にくり抜き部44X、44R、54X、54Rを設けている。
これは、本実施形態の場合、表層(第1層)の導体と、その下の層である第2層との間の絶縁体層の厚みが40μmであるために、一般的な絶縁体層の厚み(100μm以上)の場合と比較して、第1層と第2層との間で生じる容量が大きくなるためである。
つまり、本実施形態では、この容量を小さくするために、第2層のくり抜き部を大きくし、その結果、第2層のくり抜き部が、2つのパッド及び2つの配線パターンを包含する1つのくり抜き部となっているのである。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
例えば、上記実施形態では、差動信号を伝送するために一対のパッドと一対の配線パターンを備えた多層プリント配線板について説明したが、表層に、高周波信号伝送用の1本の配線パターン(マイクロストリップ線路)と、これに接続されるパッドと備えられた多層プリント配線板であれば、本発明を適用できる。
つまり、この種の多層プリント配線板においては、第2層、第3層を含む複数のベタパターン層に、パッドと対向するようにくり抜き部を設けるようにすれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
また、上述した多層プリント配線板の他、当該多層プリント配線板を備えたSSDやHDD等の電子機器や多層プリント配線板の設計方法など、種々の形態で本発明を実現することもできる。
2…電子機器、4…ケース、6…多層プリント配線板、6A…データ入出力部、7…絶縁体層、8…コネクタ、11〜17…パッド、20X,20R…配線パターン、21X,21R,22X,22R…パッド、23X,23R…コンデンサ、25…グラウンドパターン、26…スルーホール、30,40,50,70…グラウンドプレーン層、32,34X,34R,44X,44R,54X,54R,64X,64R…抜き部、38…ビア、40X,40R…電流経路、60…電源プレーン層。

Claims (4)

  1. 絶縁体層を挟んで積層される複数の導電体層を備えた多層基板にて構成される多層プリント配線板であって、
    前記複数の導電体層として、前記多層基板の基板表面に設けられる配線層と、前記多層基板の内層として前記配線層の直下に順に設けられる複数のベタプレーン層と、を備え、
    前記配線層は、高周波信号伝送用の配線パターンと、該配線パターンに接続され該配線パターンよりも幅が広いパッドと、を備え、
    前記複数のベタプレーン層は、それぞれ、前記パッドとの対向位置に、前記パッドの形状に対応したくり抜き部を備えると共に、
    前記配線層は、前記配線パターン及び前記パッドとして、差動信号伝送用の一対の配線パターンと、該一対の配線パターンの一端にそれぞれ接続された一対のパッドと、を備え、
    前記複数のベタプレーン層のうち、前記配線層直下に位置する第1のベタプレーン層は、前記配線層の前記一対のパッド部及び前記一対の配線パターンに対向し、且つ、前記一対のパッド部の間及び前記一対の配線パターンの間を含む信号伝送領域全体に、前記くり抜き部を備え、
    前記複数のベタプレーン層のうち、前記第1のベタプレーン層とは異なる第2のベタプレーン層は、前記配線層の前記パッド毎に前記くり抜き部を備えている、多層プリント配線板。
  2. 前記第1のベタプレーン層及び前記第2のベタプレーン層は、グラウンド電位に保持されるグラウンドプレーン層であり、
    前記多層基板には、第3のベタプレーン層として、電源電圧が印加される電源プレーン層が備えられ、
    前記電源プレーン層は、前記配線層の前記一対のパッド部に対向し、且つ、前記一対のパッド部の間を含む信号入出力領域全体に前記くり抜き部を備え、
    前記電源プレーン層の前記くり抜き部は、前記第1のベタプレーン層において前記一対のパッド部に対向する前記くり抜き部よりも大きい、請求項1に記載の多層プリント配線板。
  3. 前記複数のベタプレーン層において、前記くり抜き部の周囲は当該ベタプレーン層を構成する導電体にて囲まれており、
    前記多層基板は、前記複数のベタプレーン層を前記くり抜き部周囲で接続するビアを備えている、請求項1又は請求項2に記載の多層プリント配線板。
  4. 前記複数のベタプレーン層のうち、前記配線層直下に位置する第1のベタプレーン層の次に前記配線層に近いベタプレーン層は、前記配線層において前記パッドに接続される前記配線パターンでの通電方向に沿って前記くり抜き部を分割し、リターン電流を流す電流経路を備えている、請求項3に記載の多層プリント配線板。
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