JP6438618B1 - 磁性ワイヤ整列装置および磁性ワイヤ整列方法 - Google Patents
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また、溝のない基板や浅い溝の基板に磁性ワイヤを整列する際には、溝から磁性ワイヤが外れやすいという欠点やコイルピッチの微細化が困難であった(特許文献3)。
しかし、深いガイド溝を使う場合には、磁化した磁性ワイヤ同士の反発力に耐えることはできるが、浅い溝面に沿ったMI素子やGSR素子の下コイルの形成が困難となり、安定的に生産するという意味では、磁石方式では磁性ワイヤの間隔は100μmが限界であった。
また、磁性ワイヤ同士の反発力は磁性ワイヤの間隔を狭くすると磁性ワイヤ間の距離の2乗に比例して大きくなる。そのために磁性ワイヤを100μm以下の狭い間隔で整列することは困難であった。
そこで、磁石方式に代わって磁性ワイヤを狭い間隔で整列できる装置の開発が求められている。
第2に磁性ワイヤと溝との遊び幅を±2μm以下とする幅の狭い溝に磁性ワイヤを整列させると共に磁性ワイヤ同士の間隔を100μm以下に整列させることができる整列装置を実現するものである。
接着剤方式とは、まず基板ホルダーの両側にテーパ部を取り付け、そのテーパ部に接着剤を塗布する。そして、磁性ワイヤの整列時には基板をワイヤ引き出し高さ位置の上方に上昇させて、接着剤を塗布してある基板ホルダーのテーパ部に磁性ワイヤを強く押し付けて、接着剤の接着力で磁性ワイヤを強く固定することである。さらに基板の溝内に接着性レジストを塗布し、その接着力で磁性ワイヤを溝内に仮固定することにより一層強く固定することを見出した。
一様な内部応力の効果は、その力によって円周方向向きの電子スピンからなる表面磁区の厚みが増して、90度磁壁がワイヤ内部に押し込められ、それによってGHzパルス電流による電子スピンの高速回転現象のみを、つまり90度磁壁の移動を抑制して、コイルで検出することを可能にしたためと考えられる。
第1に、磁性ワイヤに強くて一様な内部応力を付与するために、50kg/mm2〜100kg/mm2の大きな張力で磁性ワイヤをボビンから引き出し、引き出し後に引き出しチャック、2個の切断用チャックおよび固定チャックで磁性ワイヤを把持・固定する。この一様で大きな内部応力の力により磁性ワイヤ母材の内部にもともと残存していた残留応力や曲げくせ応力を除去する。
次に、基板を上昇させて基板両側の磁性ワイヤ両端を基板ホルダーのテーパ部に押し付けて、テーパ部の接着剤で磁性ワイヤの両端を基板ホルダーに接着・固定をするとともに磁性ワイヤを基板の溝に配置・整列する。この基板ホルダーのテーパ部の構造と接着剤の接着力とによって磁性ワイヤの両端が基板ホルダーに大きな張力を保持した状態で固定され、その結果として磁性ワイヤに30kg/mm2〜100kg/mm2の一様な大きな内部応力を保持できる。接着剤の接着力を調整することで残存する内部応力の大きさを調整することが可能である。
さらに、接着性レジストを塗布した基板の溝内に磁性ワイヤを溝に整列する場合には一層強く接着・固定することができ、磁性ワイヤの内部応力の保持力の向上が図られる。
その後、次工程において接着性レジストを全面塗布して磁性ワイヤを基板に本固定した後、所定の冶具を使って基板ホルダーから取り外す。
さらに1個のGSRセンサ素子内に40μm以下の微小間隔で磁性ワイヤを多数本配置することができ、GSRセンサの高感度化と測定レンジの拡大を可能とする効果を有する。
本発明の磁性ワイヤ整列装置1は、ワイヤ供給装置部10、ワイヤ整列装置部20、位置決め装置部30、切断装置部40および制御装置部50からなる。
ワイヤ張力負荷装置13aは、荷重を1〜20gの範囲に調整することによりワイヤ張力を一定に付加することができる。磁性ワイヤの径を10μmとする場合、50kg/mm2〜100kg/mm2の範囲で張力を調整することが適切である。50kg/mm2以上にすることにより内部応力や巻き応力などの残存応力を除去することができ、100kg/mm2以下にすることにより磁性ワイヤの破断が防止できる。また、この張力負荷により、磁性ワイヤの基準線としての機能が達成される。
ワイヤリール16は、磁性ワイヤ60がワイヤリール16から脱落しないようにするため、大きさは20mm径でV字溝付のものである。
一定の張力の維持のために各チャックの把持面は凹凸面にして摩擦力アップし、把持力を大きくしている。
また、基板ホルダー22は磁性ワイヤ60の引き出し方向に対して基板ホルダー22の両側にテーパ部を有し、そのテーパ部には磁性ワイヤ60を接着・固定するための接着剤を塗布されている。テーパ部を設けることにより磁性ワイヤと接着剤との両者間を全面にわたって接着することができる。
さらに、基板21の溝に前もって接着性レジストを塗布し、磁性ワイヤ60を接着性レジストで吸着させることでより強く固定される。
このように強く固定されることによって、50kg/mm2〜100kg/mm2の初期に付与した張力が固定チャックの開放後にも30kg/mm2〜100kg/mm2の内部応力として維持することができる。
なお、上記の機能を有する検出装置であれば、マイクロスコープに限定されるものではない。
次に、回転323は、ワイヤ基準線と基軸線である溝とが平行になるように0.01°の回転ピッチで調整するものである。
また、素子間隔ピッチは200μmから400ミクロンm程度と大きく移動し、ワイヤ間隔ピッチは50μmから100μmの小さな移動、およびコイル内ワイヤの間隔は、ワイヤ径を最小に40μm未満の微細な移動を可能にする。しかも基板全体にワイヤを整列させる必要があるので基板の大きさとして60mmから200mm程度の移動距離を±1μmの送りピッチで移動する基板固定台送り装置23を採用する必要がある。磁性ワイヤ60と溝との位置の位置精度±1μmについては、磁性ワイヤを基準線とした制御システムによって実現される。ただし、多数本ワイヤを使う場合の基板固定台の左右方向の送り移動距離は、ワイヤ本数で除した距離でよい。
また、回転323により回転ずれ角だけ基板固定台23を0.01°の回転ピッチで回転させる。
2個の切断用チャック41により大きな内部応力を有する磁性ワイヤ60の切断時の衝撃力が吸収され、磁性ワイヤ60が仮固定されている溝から飛び出すことが避けられる。
磁性ワイヤ60の切断後、磁性ワイヤ60を把持・固定している基板側の切断チャック41bおよび引き出しチャック15を開放し、磁性ワイヤ60には一様な内部応力が付与されているフリーな状態となる。磁性ワイヤ60は、接着剤が塗布されている基板ホルダー221のテーパ部28に接着・固定され、基板21に仮固定されて基板の溝からはみ出さないように保持される。
さらに、基板21の溝に接着性レジストが塗布されている場合には、磁性ワイヤ60はテーパ部221における接着力に加えて接着性レジストによる吸着力によりより強い力で固定される。これにより、より安定した一様の内部応力が磁性ワイヤ60付与されるとともに切断時における溝からの磁性ワイヤ60の飛び出しが確実に防止できる。
(1)磁性ワイヤ60を巻き付けたワイヤボビン11をワイヤ供給装置部10に取り付け、ワイヤ引き出し開始位置(図1にて、引き出しチャック15の位置をいう。)まで引きワイヤ送り出し出しモータ12aにより磁性ワイヤ60を送り出して固定チャック14で固定する(図1)。
これにより、固定チャック14から引き出し固定チャック15の間の磁性ワイヤ60には50kg/mm2〜100kg/mm2の張力が付加された状態にあり、強く真っ直ぐにピーンと強く張られた磁性ワイヤ60となっている。
この基板固定台23を基板固定台送り装置32により、動作原点高さから磁性ワイヤ60の下部の高さまで上昇させる。これは、磁性ワイヤ60を基板21の溝に整列する際に、両者の位置関係を観察して一致させるための基板21を移動させるために磁性ワイヤ60と基板21は非接触にて最も近接する高さまで上昇させることをいう。
基板ホルダー22の平坦部からテーパ部221のテーパ部との境界部位(テーパ構造)における磁性ワイヤ60との摩擦抵抗力およびテーパ部の接着剤による接着力の両者によって磁性ワイヤ60は基板ホルダー22に固定される。また、磁性ワイヤ60は基板21の溝底面などに押し付けられて配置される。さらに、基板21の溝内に予め接着性レジストを塗布しておくことにより、接着性レジストに吸着されてより強い力で固定することができる。
また、テーパ構造や溝への接着剤による仮固定も一様な内部応力の保持に寄与する。
そして、基板21の全面に磁性ワイヤ60を整列させた後、次工程に移動する。
図4は、磁性ワイヤ60、検出コイル61、電極(ワイヤ電極、コイル電極)62からなるGSR素子(単位素子)63および複数の単位素子からなる基板全面に形成されているGSR素子の集合体64を示す。
このGSR素子の集合体64の大きさは、すなわち基板21に相当して磁性ワイヤ60の長手方向の長さ40mm、幅40mmである。磁性ワイヤ60の直径は10μm(ガラス被覆を含めると12μmである。)磁性ワイヤ60を整列させる基板21の溝の幅は14μmである。本発明の装置と方法により、長さ40mm(40,000μm)で幅14μmからなる基板21の溝に直径12μmの磁性ワイヤ(ガラス被覆付き)60を整列させ、一様な内部応力が付与されている素子の集合体60が作製される。
ところで、現在市販品のMI素子は、長さ0.6mm×幅0.4mmである。本発明で1/3のサイズ(長さ0.2mmで幅0.4mm)のGSR素子62を作製する場合、長さが0.2mmの磁性ワイヤ60を、幅方向に幅ピッチ間隔を50μmで4本整列配置することができる。これにより磁性ワイヤ60の長さの合計は、0.6mmから0.8mmへと増大して、GSRセンサの出力の増加に寄与する。
10:ワイヤ供給装置部
11:ワイヤボビン、12a:ワイヤ送り出しモータ、13a:ワイヤ張力負荷装置、13b:張力測定装置、14:固定チャック、15:引き出しチャック
20:ワイヤ整列装置部
21:基板、22:基板ホルダー、221:テーパ部、23:基板固定台
30:ワイヤ位置決め装置部
31:マイクロスコープ、32:基板固定台送り装置、321:昇降、322:横送り、323:回転
40:切断装置部
41a:切断用チャック、41b:切断用チャック、42:切断機
50;制御装置部
60:磁性ワイヤ
61:検出コイル、62:電極(ワイヤ電極、コイル電極)、63:GSR素子(単位素子)、64:GSR素子の集合体
Claims (7)
- ワイヤボビンと前記ワイヤボビンに巻き付けた磁性ワイヤを一定の張力かつ一定の速度で引き出す引き出しチャック、前記磁性ワイヤの引き出し後に前記磁性ワイヤを固定する固定チャック、ワイヤ送り出し速度制御装置およびワイヤ張力制御装置を有するワイヤ供給装置部と、
前記磁性ワイヤを整列させるための溝を有する基板と前記基板を固定する基板ホルダーとからなる基板固定台を有するワイヤ整列装置部と、
前記磁性ワイヤの中央線を基準線として、また前記基板の溝の中央線を基軸線として、前記基板の溝の中に前記磁性ワイヤを整列させるために前記基板の両側で前記基準線と前記基軸線との位置ずれ状態を検出するマイクロスコープ、前記位置ずれを基板固定台の昇降、横送りおよび回転により前記基準線と前記基軸線を一致させるように調整する基板固定台送り装置と位置決め補正演算装置からなる位置決め装置部と、
前記磁性ワイヤを切断するときに切断位置の両側を固定する切断用チャックと前記切断用チャックで固定した後に前記磁性ワイヤを切断する切断機とからなる切断装置部と、
前記ワイヤ張力制御装置、前記基板固定台送り装置、前記マイクロスコープ、前記位置決め補正演算装置および前記切断装置部を制御するための制御装置部を備え、
前記基板ホルダーは、前記磁性ワイヤの引き出し方向に対して前記基板ホルダーの両側にテーパ部を有し、
前記磁性ワイヤは、50kg/mm2〜100kg/mm2の大きさの張力で引き出された後に前記テーパ部にて接着剤による固定した後に、前記切断機による切断して、前記磁性ワイヤに一様な応力を付与することを特徴とする磁性ワイヤ整列装置。
- 請求項1において、
前記磁性ワイヤを引き出しチャックで所定の位置まで引き出した後、前記固定チャックで固定して、ピーンとまっすぐに前記張力で張った状態とし、前記磁性ワイヤの中央線を基準線にして、前記マイクロスコープで前記基板の両側で前記磁性ワイヤ基準線と前記溝の中央線との位置関係を±1μm以下の精度で観察し、前記磁性ワイヤが前記溝中央線に対して±1μm以下の精度で平行な位置関係になるように、回転角の補正、横ずれの補正量を計算し、前記基板固定台を補正量だけ移動させて、±1μmの精度で前記磁性ワイヤを整列させることを特徴とする磁性ワイヤ整列装置。 - 請求項1または請求項2において、
前記ワイヤ供給装置部は、送り速度を自動調整できるワイヤ送り出しモータからなるワイヤ送り出し速度制御装置、複数個のワイヤリール、ワイヤ張力負荷装置、ワイヤ張力計測装置、および負荷張力と所定の張力とのずれを計算し、送り速度を自動調整してワイヤを所定の張力に維持する機能を有するワイヤ張力制御装置とからなることで、50kg/mm2〜100kg/mm2の大きさの張力で引き出す際の断線を防止することを特徴とする磁性ワイヤ整列装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項において、
前記基板ホルダーの前記テーパ部における接着による固定に加えて、前記磁性ワイヤを前記溝に接着性レジストで吸着・仮固定させることでより強い力で固定することを特徴とする磁性ワイヤ整列装置。 - 請求項1の磁性ワイヤ整列装置を用いて前記磁性ワイヤを前記基板の溝に整列する磁性ワイヤ整列方法において、
(1)前記磁性ワイヤを巻き付けた前記ワイヤボビンを前記ワイヤ供給装置部に取り付け、引き出し開始位置まで前記磁性ワイヤを引き出して前記固定チャックで固定し、
(2)前記磁性ワイヤを一定の速度かつ50kg/mm2〜100kg/mm2の一定の張力で前記引き出しチャックを用いて引き出し開始位置から引き出し固定位置まで引き出して、前記磁性ワイヤに前記張力を負荷した状態で前記固定チャック、2個の前記切断用チャックおよび前記引き出しチャックにより把持して引き出し固定し、
(3)前記基板固定台を前記基板固定台送り装置により動作原点高さから前記磁性ワイヤの下部の高さまで上昇させ、
(4)引き出し固定されている前記磁性ワイヤの中央線を基準線にして前記基板の溝の中央線である基軸線との位置関係をマイクロスコープで測定し、両者の位置関係誤差を計算し、誤差量を横送り装置と回転送り装置でもって補正することにより基準線である前記磁性ワイヤの中央線に基軸線である前記溝の中央線を一致させ、
(5)再び前記基板固定台を上昇させて前記磁性ワイヤを前記基板上の前記溝に沿って整列させ、さらに前記磁性ワイヤの両端部が前記基板ホルダーの接着剤が塗布されている前記テーパ部の全面にわたって押し付けて接着するまで上昇して前記磁性ワイヤの両端部が前記基板ホルダーに仮固定し、30kg/mm2〜100kg/mm2の大きさの内部応力が残るように接着力を接着剤で制御し、
(6)次に、前記切断用チャックと前記引き出しチャックによる両端固定および前記溝に配置された前記磁性ワイヤは、50kg/mm2〜100kg/mm2の大きさの張力負荷によって前記ワイヤボビンに巻き付けられている磁性ワイヤ母材の残留応力は取り除かれ、長手方向に30kg/mm2〜100kg/mm2の大きさの内部応力を一様に付与した状態にして、
(7)前記磁性ワイヤを2個の前記切断用チャックの間で切断することで、切断時の衝撃力を吸収し、前記引き出しチャック側の前記切断用チャックと前記引き出しチャックの両者を開放して、前記磁性ワイヤに付与した内部応力を前記接着剤の接着力で前記磁性ワイヤの一様な内部応力として保持し、
(8)前記基板固定台送り装置により前記基板固定台を動作原点高さまで下降させ、次の磁性ワイヤ整列位置まで横送りし、
(9)前記(2)〜(8)の前記磁性ワイヤを整列させる動作を前記基板の全面に前記磁性ワイヤの整列が完了するまで連続的に繰り返し、次工程に移動することを特徴とする磁性ワイヤ整列方法。
- 請求項5において、
前記基板の前記溝内に接着性レジストを塗布して、前記溝内の前記磁性ワイヤを前記接着性レジストの接着力で仮固定することを特徴とする磁性ワイヤ整列方法。 - 請求項6において、
次工程は、前記磁性ワイヤが整列されている前記基板に前記接着性レジストを全面塗布し、仮固定して前記磁性ワイヤに一様な内部応力が付与されている状態で前記磁性ワイヤを前記基板に本固定した後、前記基板と前記基板ホルダーの間で前記磁性ワイヤを切断し、前記基板のみを取り出すことを特徴とする磁性ワイヤ整列方法。
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