図1は、撮像装置本体に着脱可能な本実施形態のレンズ鏡筒(光学機器)の分解斜視図である。図2は、沈胴時のレンズ鏡筒の断面図である。本実施形態のレンズ鏡筒は、4群構成の変倍光学系を有し、非使用状態では各レンズ群間隔を通常使用時に対して縮めてレンズ全長を大幅に短縮する、いわゆる沈胴式である。図3は、レンズ鏡筒の主要部分の広角端(WIDE端)の断面図である。図4は、主要部分の望遠端(TELE端)の断面図である。
レンズ鏡筒は被写体の光学像を形成する撮影光学系を有する。撮影光学系は、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3、第4レンズ群L4を有する。第3レンズ群L3は光軸と垂直な平面内で移動して前記光学像のぶれを補正する補正光学系であり、第4レンズ群L4は光軸方向に移動して合焦動作を行なうフォーカスレンズ群である。
1は第1のレンズ群L1を保持する1群ユニットである。2は第2レンズ群L2を保持する2群ユニット(保持ユニット)であり、後述するように、(図1には不図示の)メカ端202を有する。3は第3レンズ群L3を撮影光学系の光軸と直交する方向に移動可能に保持するシフトユニット(補正ユニット)であり、後述するように、メカ端33を有する。「直交する方向」は光軸に直交する成分があれば足り、例えば、光軸に斜めに移動されてもよい。4は第4レンズ群L4を保持する4群ユニットである。
メカ端33は、シフトユニット3に接続されてシフトユニット3と共に移動する第1規制部材であり、メカ端202は、2群ユニット2に接続された第2規制部材である。メカ端33と202は、接触によってシフトユニット3の可動範囲を機械的に規制する規制手段を構成する。
このように、本実施形態では、規制手段の一部であるメカ端202をシフトユニット3の外部に設け、シフトユニット3の2群ユニット2に対する偏芯精度を高めている。この結果、補正光学系と撮影光学系の他の光学要素の偏芯精度を向上し、防振精度を向上することができる。
なお、本実施形態では、第3レンズ群L3が第2レンズ群L2に対して偏芯した時に光学性能が低下する量は、第3レンズ群L3が第2レンズ群L2とは異なる他の光学要素に対して同じ量だけ偏芯した時に光学性能が低下する量よりも大きい。他の光学要素は、例えば、第2レンズ群L1、第4レンズ群L4,絞りシャッターユニット5である。このため、シフトユニット3を2群ユニット2に光軸方向に隣り合うように配置して小型化を図っている。もちろん第3レンズ群L3が偏芯したときに光学性能が低下する量が最も大きくなる光学要素は第3レンズ群L3に隣り合う光学要素に限定されない。
図5は、4群ユニット4の斜視図である。図7、図8は、4群ユニット4の支持構成を示す断面図である。
5は光量を調節する絞りシャッターユニット、6はシフトユニット3の後端部に鏡筒モールドと一体成型された円錐状のカムピンである。8aおよび9は4群ユニット4を光軸方向に移動可能に支持する案内棒としてのガイドバー、8bは4群ユニットを付勢するバネをガイドするバネバーである。
11はガイドバー8a、9、バネバー8bの後ろ側の端部を位置決め固定し、更にCCD等の撮像素子、ズームモータなどを取付ける撮像素子ホルダである。撮像素子は被写体の光学像を光電変換する。
16aは4群鏡筒を光軸方向に沿って進退移動させる駆動源となるフォーカスモータである。フォーカスモータ16aのロータと同軸回転を行うリードスクリュー16cにナット16bが螺合し、リードスクリューの回転運動を4群ユニット4の直進駆動に変換している。フォーカスモータ16aは固定カム環13にビス2本で固定されている。
18は4群ユニット4をナット16bに付勢するフォーカスバネである。35は4群ユニット4の初期位置を検出するフォトインタラプタであり、4群鏡筒の形状がフォトインタラプタ35内を横切ることでフォトインタラプタの遮光・透光を切替え、初期位置を検出する。
固定カム環13は、撮像素子ホルダ11にビス4本で固定されている。固定カム環13の内径には駆動スリーブ7を光軸方向へ進退させるためのカム溝13aが設置されている。カム溝13aは図1では不図示である。図12は、固定カム環13の内径に設置された駆動スリーブ7用のカム溝13aの展開図である。
駆動スリーブ7に設置されたカムギヤ7cがズームモータユニット28から駆動力を得たナルトギヤ14に螺合し、駆動スリーブ7を回転駆動させることでカムピン7aがカム溝13aに沿って移動し、駆動スリーブ7の光軸方向の位置を決定する。この時、駆動スリーブ7の回転は、駆動スリーブ7と不図示のバヨネット構造によって光軸方向へ一体的に直進移動する直進カム環10を軸として行われる。
図11は、直進カム環10のカム溝の展開図である。直進カム環10に設置された3ヵ所のキー10hと固定カム環13の内径に設置された3ヵ所の直進溝13bとが係合し、直進カム環10は光軸に対する偏芯位置が決められ、よって駆動スリーブ7の偏芯位置も決められる。
12は駆動カム環であり、図1においては不図示であるが、外径面に1群ユニット1、内径面に2群ユニット2、シフトユニット3をそれぞれ光軸に沿って進退させるカム溝12b、12c、12dが設置されている。図9は、駆動カム環12の外径に設置された1群ユニット1用のカム溝の展開図である。図10は、駆動カム環12の内径に設置された2群ユニット2、シフトユニット3用のカム溝の展開図である。
駆動カム環12は、案内筒17と不図示のバヨネット構造によって光軸方向の互いの位置が一体的に決められている。案内筒17の後端部に設置された案内キー17aと直進カム環10の内径に設置された直進溝10aによって、駆動カム環12は直進ガイドされている。駆動スリーブ7の回転を動力として駆動カム環12も回転し、移動カム環7は案内筒17の外径を軸とする回転運動をしながら、直進カム環10の筒面に貫通するように設置されたカム溝10bに沿って、光軸方向へ進退可能である。
ナルトギヤ14は、駆動スリーブ7に設置されたカムギヤ7cと螺合し、駆動スリーブ7の駆動範囲で常に螺合し続けるよう、所定の長さを必要とする。ナルトギヤ14は固定カム環13と撮像素子ホルダ11によって挟み込まれた不図示のナルトギヤシャフトを軸として、定位置回転を行う。
ズームモータユニット28は撮像素子ホルダ11にビス3本によって固定され、ズームモータユニット28に設置された不図示の出力ギヤとナルトギヤ14が螺合し、ナルトギヤ14を介して、ズームモータユニット28の動力を駆動スリーブ7に伝達する。ズームの初期位置は、図3に図示のシフトユニット3に設置された遮光ヒレ3bと撮像素子ホルダ11に設置されたフォトインタラプタ36によって検出される。フォトインタラプタ36の信号とズームモータユニット28からのパルス信号によって、ズーム位置制御を行う。詳細は後述する。
固定カム環13に設置されたカム溝13aには、前述の通り、駆動スリーブ7に設置されたカムピン7aが係合している。駆動スリーブ7の軸となる直進カム環10に設置されたカム溝10bには、駆動カム環12に設置されたカムピン12aが係合している。駆動カム環12に設置されたカム溝12a、12b、12cには、後述する1群ユニット1に設置されたカムピン1aが係合している。カム溝7bには2群ユニット2に設置されたカムピン2aが係合している。カム溝7cにはシフトユニット3に設置されたカムピン6が係合している。直進カム環7が前述した光軸に沿った進退移動及び光軸を中心とした回転運動を行い、駆動カム環12が光軸に沿った進退移動および光軸を中心とした回転運動を合わせて行う。これにより、1群ユニット1、2群ユニット2、シフトユニット3が相対的に光軸に沿って進退移動し、変倍動作を行うと共にレンズ鏡筒全体を沈胴させる。
この時、1群ユニット1、2群ユニット2、シフトユニット3に設置されたカムピンはそれぞれ、各鏡筒モールドと一体的に成形されてもよいし、鏡筒に設置された穴に金属などの別部材を圧入もしくは接着等により固定されてもよい。
次に、1群ユニット1、2群ユニット2、シフトユニット3及び駆動カム環12の支持構成の詳細について説明する。
図6は、レンズ鏡筒を光軸に垂直な方向から見た平面図であり、各群のカムピン、カム溝、および直進キー溝の係合を示している。図6において、1群ユニット1の後端付近に120°均等に配置された3ヵ所のカムピン1aは、駆動カム環12の外径に設置されたカム溝12bに係合している。1群ユニット1の後端付近に120°均等に3ヵ所配置された案内キー1cと直進カム環10の内径に設置された3ヵ所の直進溝10aがそれぞれ篏合し、直進カム環10に対して1群ユニット1の偏芯位置が決められている。
シフトユニット3においては3ヵ所の案内キー3aが案内筒17の3ヵ所の直進溝17bとそれぞれ篏合する。案内キー3aと同位相で配置されたカムピン6が案内筒17に設置された3ヵ所の直進溝17bを貫通し、駆動カム環12の内径に設置されたカム溝12dに係合する。2群ユニット2においても、後端近傍に120°均等に3ヵ所配置された案内キー2cが3ヵ所の直進溝17bにそれぞれ篏合し、案内筒17に対して2群ユニット2の偏芯位置が決められている。そして、案内キー2cと同位相で配置されたカムピン2aが案内筒17に設置された3ヵ所の直進溝17bを貫通し、駆動カム環12の内径に設置されたカム溝12cに係合するが、図6においては、シフトユニット3の後側に配置されているため不図示である。2群ユニット2とシフトユニット3はそれぞれ案内筒17に設置された同じ直進溝で位置決めされ、それぞれの光軸に対する相対的な偏芯精度を高めている。
ここで、1群ユニット1、2群ユニット2、シフトユニット3にそれぞれ設置された3個のカムピンの内、1ヶ所はコイルスプリングなどによって、対応するカム溝にガタ無く付勢可能な構成であってもよい。
以上のような構成により、1群ユニット1は直進カム環7に、2群ユニット2、シフトユニット3は案内筒17に回転規制をされ、回転する駆動カム環12の内外径のカム溝12b、12c、12dに沿って相対的に進退可能な構成となっている。
駆動カム環12においては、3ヶ所の案内キー12aのテーパ部分が直進カム環10に設置されたカム溝10bに係合する。案内キー12aの先端部がカム溝10bを貫通し、駆動スリーブ7の3ヶ所の直進溝7dとそれぞれ篏合することで、駆動スリーブ7がカムギヤ7cを介して伝達されたナルトギヤ14の回転駆動力が駆動スリーブ7を回転し、そして駆動カム環12を回転させる。また、その際、前述したように、駆動スリーブ7は、直進カム環13、案内筒17の後端部に設置された不図示の案内キーとそれに対応する直進溝によって光軸に対する偏芯位置が決められている。
本実施形態のように4つの(またはそれ以上の)レンズユニットによって構成される変倍光学系は変倍率が大きく(たとえば6倍、特に10倍以上)、各レンズユニットに求められる位置精度の要求が特に高い。そのため、各部品には非常に高精度な寸法精度が要求されるが、要求精度によっては第1レンズ群L1を光軸直交方向に偏芯させるなどによって光学的に調節可能な構成としてもよい。
本実施形態は、図2〜4の1群鏡筒22を保持するトラッキングリング21を1群ユニット1に対して定位置回転させ、1群ユニット1に設置された光軸方向の高さが異なる不図示の受け面を選択的に切替えることで行われるトラッキング調整を採用している。また、本実施形態は、トラッキングリング21上で1群ユニットを光軸に対して倒すことで光学性能を得る倒れ調整が採用している。1群ユニット1の組立においては、光学調整を行い、その後、図2〜4におけるフロントマスク23と化粧リング24を1群ユニット1に接着固定される。
次に、図9〜図12を参照して、各群のカム軌跡ついて説明する。本実施形態のレンズユニットの組立手順に則って説明とする。
図9、10に示すように、駆動カム環12には外径面に120°均等で3ヵ所に配置されたカム溝12bが設置されており、1群ユニット1のカムピン1aをカム挿脱口12eから挿入する。また、案内筒17が組み込まれた状態で、図10に示すように、駆動カム環12の内径面に設置されたカム溝12c、12dのカム挿脱口12fから2群ユニット2のカムピン2a、シフトユニット3のカムピン6を挿入する。
このとき、2群ユニット2のカムピン2aとシフトユニット3のカムピン6は案内筒17の直進溝17bを貫通した状態で組み込まれる。カムピン2a、6を組み込む際は、直進溝17bとカム挿脱口12fの回転方向の位相は一致した状態である。この状態から、駆動カム環12を回転すると、カムピン1aはカム溝12bに沿って、カムピン2a、6はそれぞれカム溝12c、12dに沿って移動する。TELE棚位置12b3、12c3、12d3からWIDE棚位置12b2、12c2、12d2から沈胴棚位置12b1、12c1、12d1の順で移動し、一旦、カム端12b4、12c4、12d4まで移動させる。
次に、これらのユニットを駆動スリーブ7、直進カム環10に組み込む。
駆動カム環12には、カムピン12aが設置されており、これが直進カム環10の内外径面を貫通するように設置された図11に図示のカム溝10bにカム挿脱口10cから挿入される。この時、1群ユニット1の外径後端部に設置された案内キー1cと案内筒17の案内キー17aは、直進カム環10の内壁に設置された直進溝10aと3ヶ所それぞれの回転方向の位相が一致し、対応した直進溝に挿入される。更に、駆動カム環12のカムピン12aの先端部は、駆動スリーブ7の内径面に設置された直進溝7dの回転方向の位相が一致した位置で対応する直進溝に挿入される。
それによって各鏡筒の直進溝に案内キーが挿入される。この状態から駆動スリーブ7を回転し、駆動カム環12のカムピン12aが直進カム環のカム溝10bに沿って、沈胴棚位置10b1、WIDE棚位置10b2、TELE棚位置10b3の順で通過し、一旦、カム端10b4へ移動する。もちろん1群ユニット1のカムピン1a、2群ユニットのカムピン2a、シフトユニットのカムピン6も、それぞれのカム溝のTELE棚位置付近まで、移動することになる。
この時、1群ユニット1、2群ユニット2、シフトユニット3はTELE側のカム挿脱口から組み込まれている。カムピン12aが、カム端10b4の位置にあっても、1群ユニット1、2群ユニット2、シフトユニット3のカムピンが、カム溝からカム挿脱口へ脱落しないように、それぞれのカム溝の長さが設定されている。
次に、これらのユニットを固定カム環13に組み込む。
駆動スリーブ7の後端部にはカムピン7aが設置されており、これが固定カム環13の内径面に設置された図12に図示のカム溝13aのカム挿脱口13cから挿入される。このとき、直進カム環10の後端部に設置された案内キー10hは、固定カム環13の内径面に設置された直進溝13bと回転方向の位相が一致し、対応した直進溝に挿入される。それによって、各鏡筒の直進溝に案内キーが挿入される。この状態から駆動カム環12を回転し、駆動スリーブ7のカムピン7aが、固定カム環13のカム溝13aに沿って、TELE棚位置13a3、WIDE棚位置13a2の順で通過し、沈胴棚位置13a1に移動する。
以上のような各鏡筒のカムピンとカム溝、案内キーと直進溝の係合構成によって、ズームモータユニット28を動力源として、ナルトギヤ14を介して、駆動スリーブ7を回転させる。また、同時に駆動カム環12を回転させることで、各鏡筒がカム溝に沿って光軸方向へ駆動可能となる。そして、撮影時は、各カム環のカム溝の合成カムによって、1群ユニット1、2群ユニット2、シフトユニット3を所望の光軸位置へ配置し、WIDE〜TELEの変倍動作を可能とする。非撮影時は沈胴状態へと繰り込む。
各カム環のカム溝は、図9〜12に示す形状となっているが、鏡筒が組立可能で、かつレンズ性能を満足する事を条件に、形状はどのようなものであっても構わない。
沈胴、広角、望遠へのズームにおける初期位置は、シフトユニット3に設置された遮光ヒレ3bが図1のフォトランタラプタ36内を通過し、遮光・透光による電気出力の変化により検出される。シフトユニット3が繰り込んだ、沈胴位置直前で初期位置出しが行われる。撮影時においては、フォトインタラプタ36を初期位置として、ズームモータユニット28に内蔵されたパルス発生機構によりパルスを検出、カウントし、WIDEからTELEの任意の位置で停止できるような制御機能を持つ。
この時のパルス発生機構としては、フォトインタラプタ36の遮光、透光をズームモータシャフトに取り付けられて回転駆動する不図示のパルス板によって切替え、フォトインタラプタから発生する電圧差を検出する方式が取られている。但し、ズーム位置検出手段として、ステップモータを用いた入力パルス制御方式でもよい。また2群ユニット2やその他の移動群にスケールを取り付け、磁気的、光学的にその変位量を検出する方式でも構わない。
次に、図5、図7、図8を用いて、フォーカス機構について説明する。
図5に示すように、第4レンズ群L4を保持する4群ユニット4は、ガイドバー8a、9によって、光軸に対する偏芯位置が決められ、光軸に沿って進退可能に支持されている。ガイドバー8aの後端は撮像素子ホルダ11に固定され、もう一方の端を固定カム環13に固定され、ガイドバー9は後端のみを撮像素子ホルダ11に固定するだけの片持ち固定構造となっている。4群ユニット4の駆動源は、前述の通り、フォーカスモータ16aであり、フォーカスモータ16aのロータと同軸回転を行うリードスクリュー16cにナット16bが螺合し、リードスクリュー16cの回転運動を、4群ユニット4の直進駆動に変換している。通常のフォーカス作動時は、4群ユニット4は、付勢バネ18によってナット16bに対してフォーカス作動全域で付勢されている。この時4群ユニット4に設置された当接部4dがナット16bに当接する。回転ストッパ4aは、ナット16bがリードスクリュー16cと共に回転しないように規制する。これにより、ナット16bがリードスクリュー16cのリードに沿って進退移動し、4群ユニット4がナット16bの進退移動に追従して、光軸方向に移動して焦点調節を行う。
フォトインタラプタ35は4群ユニット4の初期位置を検出し、4群鏡筒の形状がフォトインタラプタ35内を横切る事で、フォトインタラプタ35の遮光・透光を切替え、初期位置を検出する。
沈胴時には、まず、4群ユニット4をフォトインタラプタ35の遮光・透光の切替わり位置(前述の初期位置)まで移動する。次に、沈胴位置まで繰り込むシフトユニット3によって、4群ユニット4に設置されたストッパ4cを、付勢バネ18を圧縮する方向へ押し、フォーカスモータ16aによって移動した位置からさらに後方へ押し込まれ、沈胴動作が完了する。この時、4群ユニット4に設置された当接部4dとナット16bは、図7に示すように、シフトユニット3によって押し込まれた距離aだけ離間した状態となる。かかる構成により、4群ユニット4を、4群ユニット4の後側の部品、本実施形態においては、CCD50の前に設置された光学ローパスフィルタ51に対し、近接した距離に配置可能であり、図2に示すようなレンズユニットの理想的な沈胴長を可能とする。
また、ナット16bの回転規制を行う回転ストッパ4aには、落下などによる衝撃を4群ユニット4が受けた時に、ナット16bが回転ストッパ4aから光軸方向物体側へ外れることがないように脱落防止ストッパ4bが設置されている。
図8に示すように、通常作動時は、脱落防止ストッパ4bは、ナット16bから距離bだけ離れた位置に設置されている。沈胴時には、4群ユニット4はナット16bから距離aだけ離間するが、その際、ナット16bが脱落防止ストッパ4bに接することがないように距離bが設定されている。つまりは、(距離b)−(距離a)>0という関係となっている。距離bは、フォトインタラプタ35の位置バラツキや、シフトユニット3による4群ユニット4の押し込み量、各部品の公差などを考慮して設定される。また、回転ストッパ4aの光軸方向の長さを短く押え、レンズユニットの光軸方向の大きさ(厚さ)が小型化した上で、上記構造、作動が実現できるよう設定される。
以上のように、シフトユニット3の遮光ヒレ3bとフォトインタラプタ36によるリセット位置を基準として沈胴が完了する。
図13は、本実施形態の撮影装置のブロック図である。撮像装置は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオからなどの適用することができる。一眼レフカメラやミラーレスカメラであってもよい。図14は、シフトユニット3の断面図である。図15は、シフトユニット3の分解斜視図である。図16は、シフトユニット3の正面図である。図17は、図16のA−A線での断面図である。
第3レンズ群L3は可動鏡筒87に保持されており、可動鏡筒87に同じく保持されたコイル82、アッパーヨーク83と、固定のシフトベース86に保持されたマグネット81、バックヨーク80によって磁気回路(駆動手段)が形成されている。シフトFPC85を通じてコイルに通電された電流によって駆動力を発生し、可動鏡筒87および第3レンズ群L3を図14の紙面上下方向(光軸と垂直な面上)へ移動させる。この際、可動鏡筒87はシフトベース86上に転動可能に配置された不図示の3つの鋼球に対し、マグネット81とアッパーヨーク83によって発生する吸着力によって押し付けられているため、光軸に垂直な面上で、偏芯動作可能となっている。もちろん、上記の磁気回路は、もう1組用意されており、図14の紙面垂直方向への駆動力を発生し、可動鏡筒87は光軸に垂直な鋼球上の面を可動自在な構造となっている。本実施形態でブレ補正を行う際には、シフトFPC上に実装され、コイル82の内部に固定された検出手段であるところのホール素子84によって偏芯動作による磁気回路の磁束変化を電気変換し、下記に記載の制御によって、所望のブレ補正を行うことができる。
図15を参照すると、マグネットベース86には、予めマグネット81、89と、本図では不図示となっているバックヨークがインサート成型によって固定されている。そして、マグネットベース86の所定の枠内に、3個の鋼球88a、88b、88cを設置する。次に、可動鏡筒87のうち後部可動鏡筒87aを前述の3個の鋼球88a、88b、88cの上に載せる。この時、後部可動鏡筒87aには、また、第3レンズ群L3の一部のレンズが固定されている。また、コイル82、90、アッパーヨーク83、91、本図では不図示のシフトFPC85とそれに実装されたホール素子が、予め組み込まれている。その際、コイルとアッパーヨークは所定の組込位置で接着固定されている。シフトFPC85とホール素子は、図14にも示した通り、コイルとアッパーヨークで挟まれる位置に固定され、ホール素子はコイルの内径空洞部に配置される。このような組込状態で前述の磁気回路が構成され、可動鏡筒87は、この磁気回路におけるマグネットとアッパーヨークの吸着力により鋼球88a、88b、88cに押し付けられ、転動する鋼球上で偏芯動作が可能となる。
次に、絞りシャッターユニット5を組み立てる。絞りシャッターユニット5の受け面5a、5b、5c(図16参照)を、前述のマグネットベース86に設置された受け面86a、86b、86cに接地させることで、マグネットベース86に対する絞りシャッターユニット5の光軸方向位置が決まる。そして受け面5cの位置で絞りシャッターユニット5がビス止め固定されている。この時、これらの受け面は、絞りシャッターユニット5の重心を考慮し、絞りシャッターユニット5のシャッターアクチュエータ5d、絞りメータ5eの近傍に受け面5b、5cが配置される。絞りシャッターユニット5はシフトユニット3の駆動手段を避けるため略扇形の形をしているが、受け面5b、5cの配置を考慮し、略扇形の2直線の接点付近となる位置に受け面5aを設け、受け面5b、5cと合わせ3点支持している。その際、後部可動鏡筒87aに貫通穴87cを設け、受け面5aは貫通穴87cを貫通し、受け面86cに接地され、マグネットベース86と絞りシャッターユニット5で、後部可動鏡筒87aを挟んだ支持構造となっている。このような構成によって、絞りシャッターユニット5の重心、形状を考慮した支持構成を達成している。当然であるが、後部可動鏡筒87aは偏芯動作を行う為、受け面5aが後部可動鏡筒87aに干渉しないよう、貫通穴87cの大きさが設計されている。また本実施形態では、図17で示すとおり、受け面5aの先端に位置決めボスを設け、マグネットベースの位置決め穴に挿入され、また別途用意された回転止め構成によって、絞りシャッターユニット5の偏芯位置が決まる。
次に、前部可動鏡筒87bを、後部可動鏡筒にビス止め固定(3ヵ所)する。この時、後部可動鏡筒87aと前部可動鏡筒87bで絞りシャッターユニット5を挟んだ構造となっている。この時、前部可動鏡筒87bには予め第3レンズ群L3が固定されている。
以上のように、固定のマグネットベース86、可動の後部可動鏡筒87a、固定の絞りシャッターユニット5、可動の前部可動鏡筒87bが順に組み立てられ、シフトユニット3が構成されている。
本実施形態において、各鏡筒は一般的なPC材によって形成されているので、第3レンズ群L3やその他のレンズは熱加締めによって固定されているが、光学機器の性能を満足するのであれば、接着・溶着などどのような固定方法でも構わない。
ここで、ブレ補正の制御を行う際のイニシャライズ動作としての可動鏡筒87のセンターリングについて説明する。
可動鏡筒87の一部である前部可動鏡筒87bにはメカ端(第1規制部材)33が設置されている。メカ端33は第3レンズ群L3の周りに設けられた円筒部材である。また、図2〜4にあるように2群ユニット2にも規制部であるところのメカ端(第2規制部材)202が設置されている。ズーム位置が沈胴時および沈胴付近、TELE時およびTELE付近でメカ端202とメカ端33の光軸方向の位置が重なる状態となる(WIDEでは重ならない。)。
図18は、メカ端202とメカ端33の光軸と垂直な面上での位置関係を示した模式図である。メカ端33に対し、メカ端202がPITCH(縦)方向上側、下側のそれぞれ1か所ずつ、さらには、YAW(横)方向右側、左側にそれぞれ1か所ずつ、計4か所が光軸を中心とする縦横軸の軸上4方に配置されている。つまり、沈胴時および沈胴付近、TELE時およびTELE付近において、可動鏡筒87はメカ端202で制限された範囲内で駆動することとなる。メカ端33は、光軸に垂直な平面において、メカ端202と円筒部材の円筒面の四カ所で接触することができる。
なお、規制手段における第1規制部材と第2規制部材はメカ端33と202に限定されるものではない。第1規制部材はシフトユニットに接続されてそれと共に可動であれば別の位置に設けられていてもよい。第2規制部材は、例えば、案内筒17の一部に形成されてもよい。
まず、可動鏡筒87を駆動させ、PITCH・YAW方向共にメカ端33をメカ端202に突き当てる。破線はメカ端33がメカ端202に突きあたって状態を示しており、PITCH方向上側メカ端つき当て時の出力値をM1、下側はN1、YAW方向右側をM2、左側をN2とする。この値をマイコン53に読み込ませ、PITCH側は(M1+N1)/2、YAW側は(M2+N2)/2の演算を行うことで、それぞれのホール出力中心値を算出し、ホール素子出力値がこの計算値になる位置を、ストロークにおけるセンター位置として設定する。この計算の前提として、ストローク内でホール出力値の変化が線形であることが必要であり、可動鏡筒87の可動ストロークにおいては、光学性能を損なうことのないホール素子出力線形性が確保されている。なお、センタリングはレンズ鏡筒のレンズマイコン(制御手段)が行い、シフトレンズの制御をカメラマイコンであるマイコン53が行ってもよい。
これまでのセンター調整は、シフトユニットの固定枠、本実施形態で言えば、たとえばシフトベース86に設置されたメカ端に対して可動鏡筒を動作させることで行うシフトユニット単体でのセンター調整であった。2群ユニットなどその他の光学ユニットに対しての相対偏芯は、各ユニットを支持する複数の部品寸法を管理することで光学要求精度に足る精度が確保されていた。
本発明の光学系は、特にTELE−WIDEの中間=MIDDLE位置で、2群ユニット2に設置された第2レンズ群L2と、シフトユニット3に設置された第3レンズ群L3との偏芯から受ける光学性能の低下の影響が大きい。
例えば、2群ユニットの偏芯が一定量残った状態で、前述の光学調整などによってT/Wの解像力を満足したとしても、WIDE時に光量が不均一になるいわゆるシェーディングを発生する可能性がある。そのため、2群ユニット2に設置されたメカ端に対して、シフトユニット3の可動鏡筒87のストロークセンター位置を決定することで、支持部品寸法の影響をほぼ排除し、光学の要求精度を高精度に満足することが可能となる。なお、光学性能はシェーディングに限らず、結像性能であってもよい。
シフトユニット3のセンタリングは、光学機器の電源をONにし、変倍動作が始まる前に、沈胴状態で行われてもよい。あるいは、シフトユニット3のセンタリングは、TELE位置で撮影準備を指示する撮影ボタン(レリーズボタン)の半押しに応答して行われてもよい。
また、メカ端202とメカ端33が光軸方向で重なっていない、沈胴、TELE以外のズーム位置では、センター調整を行う可動範囲以上に可動鏡筒87を作動させ、WIDE時にブレ量の大きい被写体を追従する大振幅制御も可能である。
図13は撮影装置(光学機器)500のレンズ鏡筒の駆動および、ぶれ補正のシステム図である。本実施形態のレンズユニットに対して、51は被写体の空間周波数の高域成分を除去するための光学ローパスフィルタである。50はピント面に配置された光学像を電気信号に変換するための撮像素子であるCCDである。CCD50から読み出された電気信号aはカメラ信号処理回路52により画像信号bとなる。53はレンズ駆動を制御するマイコン(制御手段)である。なお、防振制御はカメラマイコンではなくレンズマイコンが行ってもよい。
電源投入時、マイコン53はフォーカスリセット回路54及びズームリセット回路55の出力を監視しながら、フォーカスモータ駆動回路56及びズームモータ駆動回路57によりフォーカスFPC72、メインFPC71を通じてそれぞれのモータを回転させる。これにより、マイコン53は各レンズ群を光軸方向に移動させる。フォーカスリセット回路54およびズームリセット回路55の出力はそれぞれの可動部材が予め設定された所定位置までくる(可動部材に設けられた遮光部材が固定部に設けられたフォトインタラプタの発光部を遮光する。もしくは透過する境界部に来たとき)と反転し、その位置を基準として以後、フォーカスはステッピングモータの駆動ステップ数をマイコン53内で計数する。またズームは内蔵のパルス板とフォトインタラプタ(不図示)によるパルス出力をマイコン53で計数する。これらにより、マイコン53は各レンズ群の絶対位置を知ることができ、これにより、正確な焦点距離情報が得られる。この一連の動作をズームおよびフォーカスのリセット動作と名づける。
58は絞りシャッターユニット5を駆動するための絞り駆動回路であり、マイコン53に取り込まれた映像信号の明るさ情報bに基づいて絞りの開口径の面積や、および不図示のNDフィルターの係り量などの光量調節機能がシフトFPC85を通じて制御される。本実施形態については、撮像素子として、CCDを用いた例を示しているが、CMOSでも構わない。
59および60は光学装置のPITCH(縦方向の傾き角)およびYAW(横方向の傾き角)角度検出回路であり、角度の検出は、例えば、撮影装置500に固定された振動ジャイロ等の角速度センサの出力を積分して行われる。両回路59、60の出力、すなわち、撮影装置500の傾き角度の情報はマイコン53に取り込まれる。
61および62はぶれ補正を行なうために第3レンズ群L3を光軸に対して垂直に移動させるための、PITCH(縦方向)およびYAW(横方向)コイル駆動回路である。図14のマグネット81、ヨーク80、84を含む磁気回路のギャップにコイル82を配置し、いわゆるムービングコイルの構成により第3レンズ群L3を搭載した3群鏡筒102をシフトさせる駆動力を発生させる。
63および64は第3レンズ群L3の光軸に対するシフト量を検出するためのPITCH(縦方向)およびYAW(横方向)位置検出回路であり、マイコン53に取り込まれる。
第3レンズ群L3が光軸に対して垂直に移動すると、通過光束が曲げられて、CCD50上に結像している被写体の像の位置が移動する。このときの像の移動量を実際に撮影装置500が傾いたことによって像が移動する方向と逆に同じ大きさだけ移動するようにマイコン53で制御することによって、撮影装置500が傾いても(ぶれしても)結像している像が動かない、いわゆるぶれ補正を実現できる。
マイコン53内では、PITCH角度検出回路59およびYAW角度検出回路60により得られた撮影装置500の傾き信号とPITCH位置検出回路63およびYAW位置検出回路64から得られた第3レンズ群L3のシフト量信号をそれぞれ差し引く。そしてそれぞれの差信号を増幅および適当な位相補償を行なった信号でPITCHコイル駆動回路61およびYAWコイル駆動回路62によりそれぞれ第3レンズ群L3を駆動する。
この制御により、上記の差信号がより小さくなるように位置決め制御が行なわれ、目標位置に保たれる。更に、本実施形態では第1〜第3レンズ群の相対移動により変倍動作を行っているので、第3レンズ群L3のシフト量に対する像の移動量が焦点距離によって変化してしまう。そこで、PITCH角度検出回路59およびYAW角度検出回路60によって得られる撮影装置500の傾き信号でそのまま第3レンズ群L3のシフト量を決定せず、焦点距離情報により補正を行なう。これにより、撮影装置500の傾きによる像の動きを第3レンズ群L3のシフトによりキャンセルする構成となっている。