JP6436486B2 - 伸縮軸およびステアリング装置 - Google Patents

Description

本発明は伸縮軸およびステアリング装置に関する。

特許文献１では、インナーシャフトの先端部に配置されたワッシャと各凹溝に配置されたボールとの間に、それぞれコイルばねを配置する構造の伸縮軸が提案されている。
特許文献２の伸縮軸では、雄軸の軸端の小径軸部に、可動ワッシャと、ばね板と、固定ワッシャとをこの順で外嵌している。小径軸部の軸端がかしめ加工され、該かしめ加工部が固定ワッシャを係止している。ばね板は固定ワッシャによって受けられ、可動ワッシャを付勢している。可動ワッシャおよびばね板が、ボールとの衝突を緩和する緩衝要素を構成している。

特開２０１０−０５３９４３号公報 特開２００９−１９７８１８号公報

特許文献１では、伸縮軸の組立時において、互いに独立した複数のコイルばねを、それぞれ対応する凹溝に対して、脱落しないようにして個別に組み付ける必要がある。このため、組立性が悪い。
特許文献２では、伸縮軸の組立時において、緩衝要素としての複数の部品（板ばねおよび可動ワッシャ）を個別に組み付ける必要があるので、組立性が悪い。

本発明の目的は、組立性の良い伸縮軸およびこれを含むステアリング装置を提供することである。

請求項１の発明は、外周面（１０ａ）に軸方向（Ｘ）に延び軸直角方向（Ｒ）に対向する一対の凹溝（１１）が形成された内軸（１０）と、内周面（２０ａ）に軸方向に延び軸直角方向に対向する一対の凹溝（２１）が形成された外軸（２０）と、前記内軸および前記外軸の対応する凹溝間にそれぞれ配置され軸方向に並ぶ列をなす複数の転動体（３０）と、前記外軸に対する前記内軸のストロークエンドにおいて対応する列の端部の転動体（３０ｅ）が前記内軸の対応する凹溝から脱落することをそれぞれ規制する一対のストッパ（４１）と、前記一対のストッパのそれぞれと対応する列の端部の転動体との間にそれぞれ介在する一対の緩衝体（５１）と前記一対の緩衝体間を連結する連結部（５２）とを一体に含む緩衝体ユニット（５０）と、前記内軸の軸直角方向孔（１２）に挿通保持されたピン（４０）と、を備え、前記ピンの一対の端部が前記一対の緩衝体のピン挿通孔にそれぞれ挿通された状態で、前記ピンが、前記緩衝体ユニットを前記内軸に止定する止定部材として機能し、前記ピンの一対の端部が、前記一対のストッパ（４１）を構成している伸縮軸（１）を提供する。

請求項２のように、前記緩衝体ユニットは、当該緩衝体ユニットを前記内軸に仮保持するように前記内軸に係合する係合部（５３）を含んでいてもよい。
請求項３のように、前記連結部は、前記内軸の軸端面（１３）に対向し、前記係合部は、前記連結部から延設されていてもよい。

請求項４の発明は、前記伸縮軸により構成されたインターミディエイトシャフト（１００）を含むステアリング装置（６０）を提供する。

請求項１の発明によれば、組立時において、一対の緩衝体を一体の緩衝体ユニットとして一括して内軸に組み付けることができるので、組立性が向上する。特に、緩衝体ユニットを内軸に止定する止定部材としてのピンを内軸に取り付けることによって、内軸に対する一対のストッパの取付が完了するので、組立性が向上する。
また、請求項２の発明によれば、組立時において、緩衝体ユニットを内軸に固定する前に、当該緩衝体ユニットを内軸に仮保持することができるので、組立性が向上する。
また、請求項３の発明によれば、組立時において、緩衝体ユニットを軸端面側から内軸に仮保持することができ、組立性が向上する。

また、請求項４の発明によれば、組立性に優れたステアリング装置を提供することができる。

本発明の第１実施形態の伸縮軸の要部の断面図である。 内軸とストッパ機能を有するピンと緩衝体ユニットとの分解斜視図である。 緩衝体ユニットが仮保持された内軸とピンとの分解斜視図である。 緩衝時の伸縮軸の要部の拡大断面図である。 本発明の第１参考形態の伸縮軸の要部の断面図である。 第１参考形態において、内軸と、緩衝体ユニットと、ストッパ機能を有する止定部材との分解斜視図である。 本発明の第２参考形態の伸縮軸の要部の断面図である。 本発明の第２実施形態乃至第３参考形態に係るステアリング装置の概略図であり、ステアリング装置のインターミディエイトシャフトに伸縮軸が適用されている。

本発明の実施形態を添付図面を参照しつつ説明する。
（第１実施形態）
図１は本発明の第１実施形態の伸縮軸の一部破断正面図である。図１に示すように、伸縮軸１は、外周面１０ａに軸方向Ｘに延びる凹溝１１が形成された内軸１０と、内周面２０ａに軸方向Ｘに延びる凹溝２１が形成された外軸２０とを備える。また、伸縮軸１は、内軸１０および外軸２０の凹溝１１，２１間に配置され、軸方向Ｘに並ぶ列をなす複数の転動体３０を備える。転動体３０は、例えば金属製のボールである。

内軸１０は、軸直角方向Ｒに対向する一対の凹溝１１を設けており、外軸２０は、軸直角方向Ｒに対向する一対の凹溝２１を設けている。内軸１０の各凹溝１１と外軸２０の対応する凹溝２１との間に、それぞれ列をなす複数の転動体３０が介在している。
分解斜視図である図２に示すように、内軸１０は、両端が一対の凹溝１１の底に開口するように軸直角方向Ｒに延びる軸直角方向孔１２を備えている。図１に示すように、軸直角方向孔１２には、ピン４０が挿通保持されている。具体的には、ピン４０は、軸直角方向孔１２に圧入されている。ピン４０の一対の端部が、軸直角方向孔１２から対応する凹溝１１内にそれぞれ突出して、一対のストッパ４１を構成している。

図１において、外軸２０に対して内軸１０が伸び側（図１において右側）のストロークエンドに達するときに、図４に示すように、ストッパ４１によって、列の端部の転動体３０ｅが内軸１０の対応する凹溝１１から脱落することが規制される。ストッパ４１は、緩衝体５１を介して衝撃を吸収しながら列の端部の転動体３０ｅを受ける。
具体的には、伸縮軸１は、図２に示すような一対の緩衝体５１を含む緩衝体ユニット５０を備える。緩衝体ユニット５０は、一対の緩衝体５１と、一対の緩衝体５１間を連結する連結部５２と、連結部５２の中間部から連結部５２と異なる方向に互いに反対側に延びる一対の係合部としての係合腕５３とを一体に含むユニットである。

緩衝体ユニット５０は、単一の材料で一体に形成されている。緩衝体ユニット５０は、弾性体で形成されている。緩衝体ユニット５０は、樹脂、ゴムまたは金属で形成されている。
図１に示すように、各緩衝体５１は、各ストッパ４１と対応する列の端部の転動体３０ｅとの間に介在している。連結部５２は、内軸１０の軸端面１３に対向して受けられており、例えば曲げ変形等の弾性変形が可能である。

各緩衝体５１は、連結部５２の両端から軸方向Ｘに延びる円柱状の部材である。各緩衝体５１は、対応する凹溝１１，２１間に配置される。各緩衝体５１は、ピン４０の対応する端部（ストッパ４１）を挿通させるピン挿通孔５１ａを有している。
また、緩衝体５１は、対応する列の端部の転動体３０ｅと対向する端面５１ｂを含む。図４に示すように、緩衝体５１の端面５１ｂは、内軸１０の伸び側のストロークエンドにおいて、対応する列の端部の転動体３０ｅと当接する。

一対の係合腕５３は、それぞれ略Ｌ字形をなすフック状のものである。一対の係合腕５３は、弾性的に拡開された状態で、その復元力によって、内軸１０の外周面１０ａの軸直角方向対向部分を弾性的に挟持する。
図３に示すように、伸縮軸１の組立時において、ピン４０を内軸１０に組み付ける前段階で、一対の係合腕５３が、緩衝体ユニット５０を内軸１０に仮保持するように、内軸１０の外周面１０ａに弾性的に係合する。

緩衝体ユニット５０が内軸１０に仮保持された状態で、ピン４０が、一対の緩衝体５１のピン挿通孔５１ａを挿通するようにして内軸１０の軸直角方向孔１２（図２参照）に圧入されることになる。
図１に示すように、ピン４０の一対の端部（ストッパ４１）が一対の緩衝体５１のピン挿通孔５１ａにそれぞれ挿通された状態で、ピン４０が、緩衝体ユニット５０を内軸１０に止定する止定部材として機能する。

一対の緩衝体５１と、一対の緩衝体５１間を連結し内軸１０の軸端面１３に対向する連結部５２と、連結部５２と平行なピン４０とが、ボックス状（四角環状）を形成して、内軸１０に止定されている。
本実施形態によれば、組立時において、図２、図３に示すように、一対の緩衝体５１を一体の緩衝体ユニット５０として一括して内軸に組み付けることができるので、組立性が向上する。

また、組立時において、緩衝体ユニット５０を内軸１０に固定する前に、図３に示すように、係合腕５３（係合部）を介して緩衝体ユニット５０を内軸１０に仮保持することができるので、組立性が向上する。
また、緩衝体ユニット５０の連結部５２が、内軸１０の軸端面１３に対向し、連結部５２から係合腕５３が延設されている。したがって、組立時において、緩衝体ユニット５０を軸端面１３側から内軸１０に仮保持することができ、組立性が向上する。

また、緩衝体ユニット５０を内軸１０に止定するために止定部材としてのピン４０を内軸１０に取り付けることによって、内軸１０に対する一対のストッパ４１の取付が完了するので、組立性が向上する。
また、緩衝体ユニット５０において、一対の緩衝体５１が、互いに他の緩衝体５１が受ける衝突エネルギを連結部５２を介して緩衝する。これにより、緩衝効果を高くすることができる。

仮に、内軸の伸び側のストロークエンドにおいて（すなわち、伸縮軸の伸切り状態において）、ピンが列の端部の転動体を直接受ける場合、転動体の転動がピンによって規制される。このため、伸縮軸が伸切り状態でロックされたり、伸縮軸の伸縮荷重が増大したりするおそれがある。これに対して、本実施形態では、ストッパ４１と列の端部の転動体３０ｅとの間に緩衝体５１を介在させているので、伸切り時における前記ロックの発生や前記伸縮荷重の増大を抑制することができる。
（第１参考形態）
図５は本発明の第１参考形態の伸縮軸１Ｓの要部の断面図であり、図６は、内軸１０Ｓと、緩衝体ユニット５０Ｓと、ストッパ機能を有する止定部材７０との分解斜視図である。

図５および図６に示すように、内軸１０Ｓの軸端面１３Ｓに、軸方向Ｘに突出する筒状突起１４が形成されている。緩衝体ユニット５０Ｓと止定部材７０とがこの順で、筒状突起１４の外周に嵌合される。
緩衝体ユニット５０Ｓは、内軸１０Ｓの各凹溝１１に収容される略円柱状の一対の緩衝体５１Ｓと、一対の緩衝体５１Ｓ間を連結する板状の連結部５２Ｓとを含む。連結部５２Ｓは、筒状突起１４の外周に嵌合される嵌合孔５２Ｓａを有している。

止定部材７０は、筒状突起１４の外周に嵌合される嵌合孔７１を有する例えば略矩形の本体部７２と、本体部７２の一対の対向縁部にそれぞれ設けられた一対の突起からなるストッパ７３とを備えている。各ストッパ７３は、対応する緩衝体５１Ｓを介して、対応する列の端部の転動体３０ｅを受ける。
図５に示すように、筒状突起１４の端縁の一部が、軸直角方向外方へ拡がるようにして、止定部材７０の本体部７２上にかしめ付けられた、かしめ部１４ａを形成している。この状態で、止定部材７０が、緩衝体ユニット５０Ｓの連結部５２Ｓを内軸１０Ｓの軸端面１３Ｓに押圧している。これにより、止定部材７０が、緩衝体ユニット５０Ｓを内軸１０Ｓに止定する機能を果たしている。

図５、図６の第１参考形態の構成要素において、図１、図２の第１実施形態の構成要素と同じ構成要素には、図１、図２の第１実施形態の構成要素の参照符号と同じ参照符号を付してある。
第１参考形態によれば、組立時において、一対の緩衝体５１Ｓを一体の緩衝体ユニット５０Ｓとして一括して内軸１０Ｓに組み付けることができるので、組立性が向上する。また、緩衝体ユニット５０Ｓを内軸１０Ｓに止定するために止定部材７０を内軸１０Ｓに取り付けることによって、内軸１０Ｓに対する一対のストッパ７３の取付が完了するので、組立性が向上する。
（第２参考形態）
図７は本発明の第２参考形態の伸縮軸１Ｔを示している。図７の第２参考形態が図５の第１参考形態と主に異なるのは、下記である。すなわち、内軸１０Ｔの軸端面１３Ｔに、ねじ孔１５が形成されている。

止定部材としてのボルト８０のねじ軸８１が、止定部材７０の嵌合孔７１と緩衝体ユニット５０Ｓの連結部５２Ｓの嵌合孔５２Ｓａとを挿通して、ねじ孔１５に、ねじ込まれている。ボルト８０の頭部８２と内軸１０Ｔの軸端面１３Ｔとの間で、止定部材７０の本体部７２と緩衝体ユニット５０Ｓの連結部５２Ｓとが挟持され、これにより、緩衝体ユニット５０Ｓが、内軸１０Ｔに止定されている。

図７の第２参考形態の構成要素において、図５の第１参考形態の構成要素と同じ構成要素には、図５の第１参考形態の構成要素の参照符号と同じ参照符号を付してある。
第２参考形態によれば、組立時において、一対の緩衝体５１Ｓを一体の緩衝体ユニット５０Ｓとして一括して内軸１０Ｔに組み付けることができるので、組立性が向上する。
なお、本第３実施形態において、止定部材７０が、ボルト８０の頭部８２と一体に形成されていてもよい。その場合、構造を簡素化することができ、また、組立性を向上することができる。
（第２実施形態乃至第３参考形態）
第１実施形態、第１〜第２参考形態の伸縮軸は、図８に示すようなステアリング装置６０のインターミディエイトシャフト１００に適用されてもよい。

具体的には、ステアリング装置６０は、一端にステアリングホイール６１が連結されたステアリングシャフト６２と、ピニオン軸６３およびラック軸６４を含むラックアンドピニオン機構からなり転舵輪６５を転舵する転舵機構６６と、ステアリングシャフト６２とピニオン軸６３との間に介在して操舵トルクを伝達するインターミディエイトシャフト１００とを備えている。

インターミディエイトシャフト１００の一端が、自在継手６７を介してステアリングシャフト６２と連結される。インターミディエイトシャフト１００の他端が、自在継手６８を介してピニオン軸６３と連結される。インターミディエイトシャフト１００を構成する伸縮軸の内軸および外軸の何れか一方がアッパー側となり、他方がロアー側となる。
本実施形態によれば、インターミディエイトシャフト１００に関する打音による騒音を低減することができる。

本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、図５の第１参考形態において、かしめ加工を廃止し、筒状突起の外周に設けられた雄ねじと、止定部材７０と本体部７２の嵌合孔７１の内周の雌ねじとをねじ結合させてもよい。
また、第１参考形態や第２参考形態において、緩衝体ユニット５０Ｓの連結部５２Ｓから、図２の第１実施形態と同じく、仮保持用の一対の係合腕（係合部）が延設されていてもよい。

その他、本発明は、特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。

１；１Ｓ；１Ｔ…伸縮軸、１０；１０Ｓ；１０Ｔ…内軸、１０ａ…外周面、１１…凹溝、１２…軸直角方向孔、１３；１３Ｓ；１３Ｔ…軸端面、１４…筒状突起、１４ａ…かしめ部、１５…ねじ孔、２０…外軸、２０ａ…内周面、２１…凹溝、３０…転動体、３０ｅ…列の端部の転動体、４０…ピン（止定部材）、４１…ストッパ（ピンの端部）、５０；５０Ｓ…緩衝体ユニット、５１；５１Ｓ…緩衝体、５１ａ…ピン挿通孔、５１ｂ…端面部、５２；５２Ｓ…連結部、５３…係合腕（係合部）、６０…ステアリング装置、７０…止定部材、７１…嵌合孔、７２…本体部、７３…ストッパ、８０…ボルト（止定部材）、８１…ねじ軸、８２…頭部、１００…インターミディエイトシャフト、Ｒ…軸直角方向、Ｘ…軸方向

Claims (4)

1. 外周面に軸方向に延び軸直角方向に対向する一対の凹溝が形成された内軸と、
   内周面に軸方向に延び軸直角方向に対向する一対の凹溝が形成された外軸と、
   前記内軸および前記外軸の対応する凹溝間にそれぞれ配置され軸方向に並ぶ列をなす複数の転動体と、
   前記外軸に対する前記内軸のストロークエンドにおいて対応する列の端部の転動体が前記内軸の対応する凹溝から脱落することをそれぞれ規制する一対のストッパと、
   前記一対のストッパのそれぞれと対応する列の端部の転動体との間にそれぞれ介在する一対の緩衝体と前記一対の緩衝体間を連結する連結部とを一体に含む緩衝体ユニットと、 前記内軸の軸直角方向孔に挿通保持されたピンと、を備え、
   前記ピンの一対の端部が前記一対の緩衝体のピン挿通孔にそれぞれ挿通された状態で、前記ピンが、前記緩衝体ユニットを前記内軸に止定する止定部材として機能し、
   前記ピンの一対の端部が、前記一対のストッパを構成している伸縮軸。
2. 請求項１において、前記緩衝体ユニットは、当該緩衝体ユニットを前記内軸に仮保持するように前記内軸に係合する係合部を含む伸縮軸。
3. 請求項２において、前記連結部は、前記内軸の軸端面に対向し、
   前記係合部は、前記連結部から延設されている伸縮軸。
4. 請求項１から３の何れか一項に記載の伸縮軸により構成されたインターミディエイトシャフトを含むステアリング装置。

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