好ましくは、本発明では、ポリアミド構成成分のために加工される成形コンパウンド物に、ポリオクテナマーとポリブタジエンとを含む混合物が添加される。より好ましくは、そのポリオクテナマーが、100〜150mL/gの範囲、好ましくは120〜140mL/gの範囲の粘度数Jを有している。
好ましくは、本発明は、少なくとも1種のポリアミド成形コンパウンド物から製造された少なくとも一片、および少なくとも1種のエラストマーから製造された少なくとも一片からなる直接接着性複合材料に関し、ここで、そのポリアミド成形コンパウンド物は、少なくとも30重量%程度でポリアミド、ポリオクテナマーおよびポリブタジエンの混合物を含み、およびそのエラストマー構成成分は、架橋剤として元素状硫黄を用いて架橋または加硫されるゴムから製造される。
本発明は、好ましくは、少なくとも1種のポリアミド成形コンパウンド物から製造された少なくとも1種の構成成分および少なくとも1種のエラストマーから製造された少なくとも1種の構成成分からなる直接接着性複合材料に関し、そのポリアミド成形コンパウンド物は、少なくとも30重量%程度で、
a)60〜99.9重量部のポリアミドと、
b)0.1〜40重量部のポリオクテナマーおよびポリブタジエンと
の混合物を含み、ここで、a)とb)の重量部の総和が100であり、およびそのエラストマー構成成分が、架橋剤として元素状硫黄を用いて架橋または加硫されるゴムから製造される。
明確さのために、そのポリアミド成形コンパウンド物がa)とb)との混合物を少なくとも30重量%の量で含んでいる場合、そのポリアミド成形コンパウンド物は、それぞれの場合に、実際に使用された成分a)およびb)の量に依存して70重量%までの添加剤、好ましくは後の工程で添加される成分(I)〜(VIII)の少なくとも1種の添加剤をさらに含んでいることに注目されたい。そのポリアミド成形コンパウンド物が100重量%程度まで成分a)およびb)からなる場合、さらなる添加剤は存在しない。
本発明は、さらに好ましくは、いかなる接着促進剤も使用しない、少なくとも1種のポリアミド成形コンパウンド物から製造された少なくとも1種の構成成分および少なくとも1種のエラストマーから製造された少なくとも1種の構成成分からなる直接接着性複合材料に関し、そのポリアミド成形コンパウンド物は、少なくとも30重量%程度で、
a)60〜99.9重量部のポリアミドと、
b)0.1〜40重量部のポリオクテナマーおよびポリブタジエンと
の混合物を含み、ここで、a)とb)の重量部の総和が100であり、およびそのエラストマー構成成分が、架橋剤として元素状硫黄を用いて架橋または加硫されるゴムから製造される。
本発明は、最も好ましくは、特にいかなる接着促進剤も使用しない、少なくとも1種のポリアミド成形コンパウンド物から製造された少なくとも1種の構成成分および少なくとも1種のエラストマーから製造された少なくとも1種の構成成分からなる直接接着性複合材料に関し、そのポリアミド成形コンパウンド物は、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも45重量%、より好ましくは少なくとも55重量%、特に好ましくは少なくとも65重量%の、
a)60〜99.9重量部、好ましくは75〜99.8重量部、より好ましくは85〜99.7重量部、最も好ましくは88〜99.5重量部のポリアミドと、
b)0.1〜40重量部、好ましくは0.2〜25重量部、より好ましくは0.3〜15重量部、最も好ましくは0.5〜12重量部の、ポリオクテマーおよびポリブタジエンの混合物と、
の混合物を含み、ここで、a)とb)の重量部の総和が100であり、およびそのエラストマー構成成分が、架橋剤として元素状硫黄を用いて架橋または加硫されるゴムから製造される。
本発明は、好ましくは接着促進剤なしで組み立てられた、少なくとも1種のポリアミドベースの構成成分および架橋剤として元素状硫黄を用いて架橋または加硫されるゴムから製造された少なくとも1種の構成成分からなる複合材料の接着強度を向上させる方法において、ポリアミド構成成分のために加工される成形コンパウンド物にポリオクテナマーとポリブタジエンとを含む混合物が添加され、次いで以下の群からの少なくとも1種の成形方法によって複合材料が形成されることを特徴とする方法に好ましくは関する:押出し成形法、フラットフィルム押出し成形法、フィルムブローイング成形法、押出しブローイング成形法、共押出し成形法、カレンダー成形法、キャスティング成形法、圧縮成形法、射出エンボス成形法、トランスファー圧縮成形法、トランスファー射出圧縮成形法もしくは射出成形法またはそれらの特別な方法、特にガス射出成形法、好ましくは2成分系射出成形法。
このプロセスには、好ましくはポリアミド成形コンパウンド物からなる構成成分を元素状硫黄含有ゴム成分と接触させ、かつそれをゴムの加硫条件に曝露させるか、または好ましくは架橋されるエラストマーからなる構成成分を架橋剤としての元素状硫黄と共にポリアミド成形コンパウンド物と接触させるかのいずれかが含まれる。
ポリオクテナマー
特に好ましくは、ポリアミド構成成分のポリアミド成形コンパウンド物に添加されるポリオクテナマーは、1,8−trans−ポリオクテナマーであり、本発明に関連してTOR(1,8−trans−ポリオクテナマーゴム)の略称が使用される。1,8−trans−ポリオクテナマー[CAS No.28730−09−8]は、trans−ポリオクテニレンとも呼ばれ、本発明では特に好適に使用され、それはシクロオクテンから開環メタセシス重合によって得られ、大環状ポリマーおよび直鎖状ポリマーの両方を含んでいる。TORは、バイモーダルな分子量分布を有する低分子量の特殊ゴムである。TORのバイモーダルな分子量分布は、その低分子量の構成成分が、一般的には、200〜6000g/molの重量平均分子量範囲に入り、その高分子量の構成成分が、8000〜400000g/molの重量平均分子量範囲に入るという事実に基づいている(A.Draexler,Kautschuk,Gummi,Kunststoffe,1981,volume 34,issue 3,p.185〜190)。
本発明に関連して、分子量は、キャピラリー粘度計を用いた粘度測定によって求める。溶液粘度は、プラスチックの平均分子量の目安である。その測定は、各種の溶媒、特にギ酸、m−クレゾール、テトラクロロエタンなど、および各種の濃度を使用して、溶解させたポリマーについて実施する。キャピラリー粘度計中での測定により、粘度数J(mL/g)が得られる。
溶液中での粘度測定を使用してK値が求められ、これは、それによってポリマーの流動性を求めることが可能な分子パラメーターである。
η=粘度とすると、単純な方法では[η]=2.303×(75k2+k)(K値=1000k)である。
粘度数Jの測定値は、DIN 53726に従ったK値から簡単な方法で導くことができる。
実用的には、K値対粘度数Jの計算表が存在し、K値および粘度数は、ポリマーの平均モル質量に比例する。
粘度数Jを使用して、プラスチックの加工特性および性能特性をモニターすることが可能となる。ポリマーに対する熱負荷、老化過程または化学薬品に対する曝露、耐候性および耐光性は、相応の測定法によって調べることができる。標準的なプラスチックについて、そのプロセスは、たとえば、ポリアミドについてDIN EN ISO 307、およびポリエステルについてDIN ISO 1628−5において標準化されている。
本発明において使用するための1,8−trans−ポリオクテナマーは、欧州特許出願公開第0 508 056A1号明細書に従って調製される。本発明において好適に使用するための1,8−trans−ポリオクテナマーの重量平均分子量Mwは、好ましくは80000〜120000g/molの範囲、より好ましくは約90000g/molである。
本発明では、粘度数Jは、ISO 1628−1に従い、23℃で以下のように測定される:
1Lのトルエン中に10gのポリオクテナマーを溶解させる;
測定器:Schott Visco System AVS 500;
キャピラリータイプ:no.53713、Schott製。
1つの好ましい実施形態では、本発明において好適に使用するためには、1,8−trans−ポリオクテナマーの室温(25℃)における結晶分率が20%〜30%の範囲である。90000g/molの重量平均分子量Mwおよび80:20のtrans/cis二重結合比を有する1,8−trans−ポリオクテナマーゴム、すなわち、Vestenamer(登録商標)8012を使用するのが本発明において特に好ましい。
1,8−trans−ポリオクテナマーは、以下の商品として市販されている:Vestenamer(登録商標)8012(製造業者のデータによれば、1,8−trans−ポリオクテナマーゴムであり、90000g/molの重量平均分子量Mw、および80:20のtrans/cis二重結合比、およびISO 1628−1に従い23℃で測定して120mL/gの粘度数Jを有し、ここではシクロオクテンホモポリマー[CAS No.25267−51−0]と呼ばれている)およびVestenamer(登録商標)6213(製造業者のデータによれば、1,8−trans−ポリオクテナマーゴムであり、1.1×105g/molの重量平均分子量Mw、および62:38の範囲のtrans/cis二重結合比、およびISO 1628−1に従い23℃で測定して130mL/gの粘度数Jを有している)(Evonik Industries AG(Marl,Germany)からの製品情報;Handbook of Elastomers,edited by A.K.Bhowmick,H.L.Stephens,2nd revised edition,Marcel Dekkers Inc.New York,2001,p.698〜703)。
本発明では、ポリアミド構成成分のためのポリアミド成形コンパウンド物中のポリオクテナマーは、好ましくはマスターバッチの形態のポリブタジエンと組み合わせて使用される。
ポリブタジエン
ポリブタジエン(BR)[CAS No.9003−17−2]には、具体的には、2つの異なるタイプのポリブタジエンが含まれる。第一のタイプは、少なくとも90%の1,4−cis含量を有し、遷移金属をベースとするZiegler/Natta触媒を用いて調製される。Ti、Ni、CoおよびNdをベースとする触媒系を使用するのが好ましい(Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie,Thieme Verlag(Stuttgart),1987,volume E20,p.798〜812;Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.A23,Rubber 3.Synthetic,VCH Verlagsgesellschaft mbH(D69451,Weinheim),1993,p.239〜364)。第二のポリブタジエンのタイプは、リチウムまたはナトリウム触媒を用いて調製され、10%〜95%の1,2−ビニル含量を有している。
低分子量を有するポリブタジエンは、室温で液状である可能性がある。一般的には、液状ポリブタジエンは、合成法、すなわち分子量を積み上げる反応によるか、または高分子量を有するポリブタジエンを分解させることによって調製することができる。合成手段による場合、液状ポリブタジエンは、先に述べたようなZiegler−Natta重合を介するか、またはアニオン重合を介することによって調製することができる(H.−G.Elias,“Macromolecules,Volume 2;Industrial Polymers and Syntheses”,WILEY−VCH Verlag GmbH(Weinheim),2007,p.242〜245;H.−G.Elias,“Macromolecules,Volume 4:Applications of Polymers”,WILEY−VCH Verlag GmbH(Weinheim),2007,p.284〜285)。
800〜20000g/molの範囲、より好ましくは1500〜15000g/molの範囲、最も好ましくは2000〜9000g/molの範囲の数平均分子量Mnを有し、および/またはDIN 53019のコーンプレート法により、標準圧力および温度25℃で測定して100〜15000mPasの範囲、より好ましくは300〜10000mPasの範囲、最も好ましくは500〜5000mPasの範囲の動的粘度を有するポリブタジエンを使用するのが好ましい。それらが注目に値するのは、それらが室温(25℃)で液状であることである。このタイプの液状ポリブタジエンは、たとえばSynthomer Ltd.(Harlow,Essex,UK)からLithene(登録商標)として、特にLithene(登録商標)ultra N4−5000の、25℃で4240mPasの動的粘度(DIN 53019)、5000g/molの領域の数平均分子量Mn(製造業者の数字)を有する液状ポリブタジエンとして供給される(Synthomer Ltd.,Lithene(登録商標)Liquid Polybutadiene,Product Range(Harlow,Essex,UK)参照)。使用される別の液状ポリブタジエンとしては、Evonik Industries AG(Marl,Germany)から、Polyvest(登録商標)の名称として、特にPolyvest(登録商標)110の、25℃で650mPasの動的粘度(DIN 53019)および2600g/molの領域の数平均分子量Mn(製造業者の数字)を有する液状ポリブタジエン、またはKuraray Europe GmbH(Hattersheim am Main,Germany)から、LBRの名称として、特にLBR−307B[CAS No.9003−17−2]の、25℃で2210mPasの動的粘度(DIN 53019)および8000g/molの領域の重量平均分子量Mw(製造業者の数字)を有する液状ポリブタジエンが供給されている(Kuraray Europe GmbH,Kuraray Liquid Rubber(Hattersheim am Main,Germany)を参照されたい)。好適に使用される液状ポリブタジエンのリストは、上述の製品および製造業者に限定されない。代替品を使用することも可能である。
好ましくは、ポリオクテナマーおよびポリブタジエンを1部のポリオクテナマー:20部のポリブタジエン〜30部のポリオクテナマー:1部のポリブタジエンの範囲の質量比、より好ましくは1部のポリオクテナマー:10部のポリブタジエン〜20部のポリオクテナマー:1部のポリブタジエンの範囲の質量比、最も好ましくは1部のポリオクテナマー:5部のポリブタジエン〜10部のポリオクテナマー:1部のポリブタジエンの範囲の質量比で使用する。
1つの好ましい実施形態では、架橋助剤をまったく含まないことがそのポリアミド成分の特徴である。架橋助剤は、ゴムのペルオキシド架橋のために使用され、架橋収率を高める。化学用語では、架橋助剤は、ポリマーのフリーラジカルと反応して、より安定なフリーラジカルを形成する多官能の化合物である(F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.315〜317;J.Schnetger“Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.82〜83)。1つの好ましい実施形態では、そのポリアミド成分が以下の群からの架橋助剤を含んでいないことがそのポリアミド成分の特徴である:エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA、TRIM)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ヘキサン−1,6−ジオールジアクリレート(HDDA)、ヘキサン−1,6−ジオールジメタクリレート(HDDMA)、ブタンジオールジメタクリレート、亜鉛ジアクリレート、亜鉛ジメタクリレート、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、ジアリルテレフタレート、トリアリルトリメリテート(TATM)、またはN,N’−m−フェニレンビスマレイミド(MPBM、HVA−2)。
ゴム成分
元素状硫黄を用いて加硫または架橋させ、本発明の複合材料のエラストマー構成成分中で使用されるゴムは、加硫プロセスによって得ることが可能なエラストマーである。「加硫」とは、Charles Goodyearによって開発された工業的な化学プロセスを意味していると理解され、そこでは、時間、温度、および圧力の影響下において、適切な架橋性化学物質により、ゴムが大気および化学物質の影響および機械的な応力に対して抵抗性を有するようになる。
従来技術では、原料のゴム、可溶性硫黄の形態にある硫黄および/または不溶性硫黄の形態にある硫黄および/または硫黄供与性の物質(これには、たとえば、ゴム産業において硫黄供与体として一般的に知られている有機添加剤、特に二塩化二硫黄(S2Cl2)が含まれる)、触媒、助剤、および可能であればさらなる充填剤を含む、ゴム混合物を加熱することによって硫黄加硫が達成される。ゴム成分に添加される添加剤は、硫黄加硫に好適な少なくとも1種の加硫促進剤であってもよい。
従来技術では、添加する硫黄または硫黄供与体の量、および硫黄または硫黄供与体の加硫促進剤に対する比率が異なる5種の硫黄ベースの架橋系が区別されている。
「従来型」の硫黄架橋系には、2.0〜3.5phrの硫黄(phr=ゴム100部あたりの部数、すなわち100重量部のゴムを基準にした重量部)、および0.5〜1.0phrの加硫促進剤が含まれる。「セミ−EV」架橋系(EV=効率的な加硫)では、1.0〜2.0phrの硫黄および1.0〜2.5phrの加硫促進剤が使用される。「EV」架橋系には、0.3〜1.0phrの硫黄および2.0〜6.0phrの加硫促進剤が含まれる。0.3〜0.6phrの硫黄、3.0〜6.0phrの加硫促進剤、および0.0〜2.0phrの硫黄供与体が使用される場合、これは、「低硫黄EV」架橋系と呼ばれる。第五の硫黄ベースの架橋系(本発明では使用されない)では、その「硫黄供与体架橋系」には元素状硫黄がまったく含まれず(0.0phr)、代替的に、0.0〜2.0phrの加硫促進剤および1.0〜4.0phrの硫黄供与体が使用される。「硫黄供与体架橋系」において使用される硫黄供与体は、加硫剤として機能する(F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.291〜295)。
1つの実施形態では、本発明の複合材料において使用されるエラストマー成分が、架橋剤として元素状硫黄を用いて、さらに従来型の硫黄架橋系、セミ−EV架橋系、EV架橋系、および低硫黄EV架橋系の群からの少なくとも1種の硫黄架橋系の存在下で加硫または架橋されるゴムである。
すべての場合において、その架橋系には、主たる加硫促進剤と呼ばれるものと共に、それとは別に、任意選択的に複数の第二の加硫促進剤と呼ばれるものが含まれていてもよい。それらの種類、使用量、および組合せは、それぞれの用途に合わせ、さらにはゴムのタイプによっても異なる。硫黄を用いた加硫プロセスでは、長鎖のゴム分子を硫黄の架橋によって架橋させる。その結果、加硫のプロセスにより、そのゴムまたはゴム混合物の熱可塑的な性質が失われ、その物質が熱可塑性物質から弾性状態へと転換される。
この加硫プロセスで形成されるエラストマーは、加硫ゴムとも呼ばれ、元の反応剤と比較すると恒久的なエラストマー的な性質を有しており、機械的応力下でもそれぞれの場合において元の状態に戻り、かつ老化および耐候の影響に対してより高い引裂強度、伸び、および抵抗性を有している。
硫黄で架橋したエラストマー成分の弾性は、硫黄架橋の数に依存する。硫黄架橋が多く存在するほど、その加硫ゴムはより硬くなる。硫黄架橋の数および長さは、添加した硫黄の量、その架橋系の種類、および加硫時間に依存する。
元素状硫黄を用いて加硫または架橋されたゴムから得ることが可能であり、本発明において複合材料に使用されるエラストマー成分は、C=C二重結合が存在していることを特徴としている。
これらのC=C二重結合を含むゴムは、好ましくは、ジエンをベースとするものである。本発明において特に好ましいのは、二重結合を含み、工業的製造で得られ、30%未満、好ましくは5%未満、特に3%未満のゲル含量を有し、DIN/ISO 1629に従えば「R]ゴムまたは「M」ゴムと呼ばれているゴムである。「ゲル含量」という用語は、本発明に関連して、もはや溶解はできないが、膨潤することは可能な三次元架橋されたポリマー材料の比率を意味している。
架橋剤として元素状硫黄を用いて架橋される、本発明においてエラストマー構成成分と呼ばれるゴムは、以下の群からのものである:天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン/ジオレフィンゴム、好ましくはスチレン/ブタジエンゴム(SBR)、特にE−SBR、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム、特にイソブテン/イソプレンゴム(IIR)、ハロブチルゴム、特にクロロもしくはブロモブチルゴム(XIIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、カルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルゴム(XNBR)、またはポリクロロプレン(CR)。2つ以上の合成経路から、たとえばエマルションからまたは溶液からゴムを得ることが可能である場合、常にすべての選択肢が意味を有している。上述のゴムは当業者に十分に周知であり、広く各種の供給業者から市販されている。
さらに、上述のゴムの2種以上の混合物を使用することも可能である。それらの混合物は、ゴムのポリマーブレンド物またはゴムブレンド物とも呼ばれる(J.Schnetger“Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.375〜377)。本発明において好適に使用されるゴムブレンド物は、マトリックス相としてのNRおよび分散ゴム相としてのBRの混合物でBR含量が50phrまでのもの、ならびにマトリックス相としてのBRおよび分散ゴム相としてのSBRまたはCRの混合物でSBRまたはCRの含量が50phrまでのものである。
本発明において特に好ましいのは、エラストマー構成成分のための、元素状硫黄を用いて加硫または架橋されるゴムとして少なくとも天然ゴム(NR)を使用することである。
元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料構成成分におけるエラストマー構成成分のために本発明において特に好ましい天然ゴム(NR)[CAS No.9006−04−6]は、化学用語でいえば、99%を超えるcis−1,4含量および2×106〜3×107g/molの平均分子量を有するポリイソプレンである。NRは、生化学的経路により、好ましくは栽培植物のヘベア・ブラジリエンシス(Hevea Brasiliensis)中で生合成されている。天然ゴムは、たとえばPacidunia Sdn.Bhd.からのSMR製品シリーズ(Standard Malaysian Rubber)、またはPhu An Imexco.Ltd.からのSVR製品シリーズ(Standard Vietnamese Rubber)として市場で入手可能である(J.Schnetger“Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.331〜338)。
別の好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分として使用されるゴムは、EPDMゴムである。EPDM[CAS No.25038−36−2]には、エチレンと、それより多くの割合のプロピレンと、さらに数重量%のジエン構造を有する第三のモノマーとを三元共重合させることによって調製されるポリマーが含まれる。そのジエンモノマーが後続の加硫のための二重結合を与える。使用されるジエンモノマーは、ほとんどの場合、cis,cis−1,5−シクロオクタジエン(COD)、exo−ジシクロペンタジエン(DCP)、endo−ジシクロペンタジエン(EDCP)、1,4−ヘキサジエン(HX)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、さらにはビニルノルボルネン(VNB)である。
EPDMゴムは、エテンおよびプロペンおよびジエンの混合物をZiegler−Natta触媒系、たとえばバナジウム化合物と有機アルミニウム助触媒との組合せ、またはメタロセン触媒系の存在下で重合させる公知の方法で調製される(J.Schnetger“Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.144〜146)。一般的には、25重量%を超えるエテン、25重量%を超えるプロペン、および1重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜3重量%の非共役ジエン、たとえば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ジシクロペンタジエン、5−エチリデンノルボルネン、さらにはビニルノルボルネン(VNB)の混合物を重合させる。
EPDMゴムは、たとえばLanxess Deutschland GmbHからのKeltan(登録商標)ブランドの製品シリーズからの製品として、またはそうでなければ当業者に知られている方法により得ることができる。
別の好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料構成成分におけるエラストマー構成成分として使用されるゴムはSBRゴム(ビニル芳香族/ジエンゴムとも呼ばれる)である。SBRゴム、すなわちビニル芳香族/ジエンゴム[CAS No.9003−55−8]は、ビニル芳香族化合物およびジエンをベースとするゴムを意味していると理解され、それには溶液法のビニル芳香族/ジエンゴム、たとえば溶液法SBR(略して「S−SBR」)、およびエマルション法のビニル芳香族/ジエンゴム、たとえばエマルション法SBR(略して「E−SBR」)の両方が含まれる。
S−SBRとは、ビニル芳香族化合物としてのスチレンおよびジエンとしてのブタジエンをベースとし、溶液プロセスで製造されたゴムを意味していると理解されたい(H.L.Hsieh,R.P.Quirk,Marcel Dekker Inc.(New York−Basle),1996;I.Franta,Elastomers and Rubber Compounding Materials;Elsevier,1989,p.73〜74,92〜94;Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie、Thieme Verlag(Stuttgart),1987,volume E20,p.114〜134;Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,vol.A 23,Rubber 3.Synthetic,VCH Verlagsgesellschaft mbH(D69451,Weinheim),1993,p.240〜364)。好ましいビニル芳香族モノマーは、以下のものである:スチレン、o−、m−およびp−メチルスチレン、工業グレードのメチルスチレン混合物、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、およびジビニルナフタレン。特に好ましいのはスチレンである。重合させるビニル芳香族化合物の含量は、好ましくは5重量%〜50重量%の範囲、より好ましくは10重量%〜40重量%の範囲である。好ましいジオレフィンは以下のものである:1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、および1,3−ヘキサジエン。特に好ましいのは1,3−ブタジエンおよびイソプレンである。重合させるジエンの含量は、50重量%〜95重量%の範囲、好ましくは60重量%〜90重量%の範囲である。重合させたジエン中のビニル基の含量は、10重量%〜90重量%の範囲、1,4−trans二重結合の含量は20重量%〜80重量%の範囲、および1,4−cis二重結合の含量は、ビニル基と1,4−trans二重結合の総和を補完する量である。S−SBRのビニル含量は、20重量%を超えているのが好ましい。
重合させたモノマーおよび各種のジエンの配置は、典型的には、そのポリマー中でランダムに分布されている。ブロック状の構造を有するゴム(インテグラルゴムと呼ばれる)もS−SBR(A)の定義に包含されているものとする(K.−H.Nordsiek,K.−H.Kiepert,GAK Kautschuk Gummi Kunststoffe,33(1980),no.4,251〜255)。
S−SBRが、直鎖状および分岐状、または末端基変性のいずれのゴムも意味していると理解するべきである。たとえば、そのようなタイプは、独国特許出願公開第2 034 989A1号明細書で特定されている。使用される分岐化剤は、好ましくは、四塩化ケイ素または四塩化スズである。
これらのビニル芳香族/ジエンゴムは、特に、アニオン溶液重合、すなわち有機溶媒中でアルカリ金属ベースまたはアルカリ土類金属ベースの触媒によって製造される。
溶液重合されたビニル芳香族/ジエンゴムは、20〜150ムーニー単位の範囲、好ましくは30〜100ムーニー単位の範囲のムーニー粘度(ML1+4@100℃)を有しているのが有利である。オイルフリーのS−SBRゴムは、示差熱分析(DSC)で測定して−80℃〜+20℃の範囲のガラス転移温度を有している。「オイルフリー」という用語は、本発明に関連して、その製造プロセスにおいてゴム中にオイルがまったく混入されていないことを意味している。
E−ビニル芳香族/ジエンゴムとは、ビニル芳香族化合物およびジエン、好ましくは共役ジエン、ならびに任意選択的にさらなるモノマーをベースとして、エマルションプロセスにおいて製造されたゴムを意味していると理解されたい(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,vol.A 23,Rubber 3.Synthetic,VCH Verlagsgesellschaft mbH(D69451,Weinheim),1993,p.247〜251)。好ましいビニル芳香族化合物は、スチレン、p−メチルスチレン、およびアルファ−メチルスチレンである。好ましいジエンは、特にブタジエンおよびイソプレンである。さらなるモノマーは、特にアクリロニトリルである。共重合されるビニル芳香族化合物の含量は、10%〜60重量%の範囲である。そのガラス転移温度は、典型的には、−50℃〜+20℃の範囲(DSCにより測定)、そのムーニー粘度(ML1+4@100℃)は、20〜150ムーニー単位の範囲である。特に、80MEを超えるムーニー粘度を有する高分子量のE−SBRのタイプでは、100重量部のゴムを基準にして30〜100重量部の量でオイルを含んでいてもよい。オイルフリーのE−SBRゴムは、示差熱分析(DSC)で測定して−70℃〜+20℃のガラス転移温度を有している。
E−SBRおよびS−SBRのいずれもが、本発明の複合材料中でエラストマー構成成分のためのエラストマー成分において、油展された形態で使用することもできる。「油展された」という用語は、本発明に関連して、その製造プロセスにおいてゴム中にオイルが混入されていることを意味している。それらのオイルは可塑剤として機能する。ここでは、当産業において慣用され、当業者に公知のオイルが採用される。多環芳香族炭化水素を含むとしても、低レベルで含んでいるものが好ましい。TDAE(芳香族抽出物処理留分(treated distillate aromatic extract))、MES(マイルド抽出溶媒和物(mild extraction solvate))、およびナフテン系オイルが好適である。
別の好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムはポリブタジエン(BR)[CAS No.9003−17−2]である。ポリブタジエン(BR)には、具体的には、2つの異なるタイプのポリブタジエンが含まれる。その第一のタイプは、少なくとも90%の1,4−cis(1,4−ポリブタジエン[CAS No.25038−44−2])含量を有し、遷移金属をベースとするZiegler/Natta触媒を用いて調製される。Ti、Ni、CoおよびNdをベースとする触媒系を使用するのが好ましい(Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie,Thieme Verlag(Stuttgart),1987,volume E20,p.798〜812;Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.A23,Rubber 3.Synthetic,VCH Verlagsgesellschaft mbH(D69451,Weinheim),1993,p.239〜364)。それらのポリブタジエンのガラス転移温度が−90℃未満であるのが好ましい(DSCにより測定)。
第二のタイプのポリブタジエンは、リチウム触媒を用いて調製され、10%〜80%の範囲のビニル含量を有している。それらのポリブタジエンゴムのガラス転移温度は、−90℃〜+20℃の範囲である(DSCにより測定)。
別の好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムはポリイソプレン(IR)である。ポリイソプレン(IR)は、典型的には少なくとも70%の1,4−cis含量を有している。「IR]という用語に含まれるのは、合成の1,4−cis−ポリイソプレン[CAS No.104389−31−3]と天然ゴム(NR)との両方である。IRは、リチウム触媒により、およびZiegler/Natta触媒、好ましくはチタンおよびネオジム触媒を使用しての両方で合成的に製造される(Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie,Thieme Verlag(Stuttgart),1987,volume E20,p.822〜840;Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.A 23,Rubber 3.Synthetic,VCH Verlagsgesellschaft mbH(D69451,Weinheim),1993,p.239〜364)。天然ゴムを使用するのが好ましい。
−20〜+30℃の範囲のガラス転移温度を有する3,4−ポリイソプレンもIRに含まれる。
別の好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分として使用されるゴムはニトリルゴム(NBR)である。NBR[CAS No.9003−18−3]または[CAS No.9005−98−5]は、アクリロニトリルとブタジエンとを約51:48〜82:18の範囲の質量比で共重合させることによって得られる。それは、事実上ほとんどすべて水性エマルションによって製造される。本発明に関連する使用では、得られたエマルションを加工して固形のゴムとする(J.Schnetger“Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.28〜29)。
別の好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムは水素化ニトリルゴム(H−NBR)である。H−NBRは、非水性の溶液中、特定の触媒(たとえば、ピリジン−コバルト錯体、またはロジウム、ルテニウム、イリジウムもしくはパラジウム錯体)を使用して、NBRを全面的または部分的に水素化することにより製造される(J.Schnetger“Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.30)。
別の好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分として使用されるゴムはカルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルゴム(XNBR)である。XNBRは、ブタジエン、アクリロニトリル、およびアクリル酸またはメタクリル酸を三元共重合させることにより製造される。カルボン酸の比率は、1重量%〜7重量%である(F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.112)。
別の好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムはブチルゴム(IIR)、特にイソブテン/イソプレンゴムである。ブチルゴムは、イソプレンとイソブチレンとを共重合させることにより製造される(J.Schnetger“Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.69〜71)。
別の好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分に使用されるゴムはハロブチルゴム(XIIR)、特にクロロブチルゴム(CIIR)またはブロモブチルゴム(BIIR)である。クロロブチルゴム(CIIR)[CAS No.68081−82−3]は、ブチルゴムの溶液中に塩素ガスを導入することによって製造される(J.Schnetger“Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.75)。ブロモブチルゴム(BIIR)[CAS No.308063−43−6]は、溶液中でブチルゴムを、臭素を用いて処理することにより製造される(J.Schnetger“Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.66〜67)。
別の好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分として使用されるゴムはポリクロロプレン(CR)である。ポリクロロプレン[CAS No.9010−98−4]は、乳化重合において、任意選択的にコモノマーとしてのジクロロブタジエンまたは硫黄の存在下でクロロプレン(2−クロロ−1,3−ブタジエン)から製造される。重合時、たとえばメルカプタン、たとえばn−ドデシルメルカプタン、またはキサントゲンジスルフィドなどの特定の連鎖移動剤を使用することにより、メルカプタンCRタイプまたはキサントゲンジスルフィドCRタイプと呼ばれているものを製造することも可能であり、それらは、金属酸化物、加硫促進剤、および硫黄を用いて架橋させることができる。この場合、特定の加硫促進剤系、特にチオ尿素類(ETU、DBTU、TBTU、DETU、MTT)を使用することが可能である(J.Schnetger“Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.78〜81;F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.15〜163)。
好ましくは、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムは、以下の群からの少なくとも1種である:天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)[CAS No.25038−36−2]、スチレン/ジオレフィンゴム、好ましくはスチレン/ブタジエンゴム(SBR)[CAS No.9003−55−8]、特にE−SBR[CAS No.56−81−5]、ポリブタジエンゴム(BR)[CAS No.9003−17−2]、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム、特にイソブテン/イソプレンゴム(IIR)、ハロブチルゴム、特にクロロ−もしくはブロモ−ブチルゴム(XIIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、カルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルゴム(XNBR)、またはポリクロロプレン(CR)[CAS No.9010−98−4]、または上述のゴムの2種以上の混合物。括弧内の略称はDIN ISO 1629から採用したものである。
より好ましくは、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムは、以下の群からの少なくとも1種のゴムである:天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン/ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルゴム(XNBR)、ポリクロロプレン(CR)、ニトリルゴム(NBR)、またはポリブタジエン(BR)、または2種以上の上述のゴムの混合物。
最も好ましくは、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムは、以下の群からの少なくとも1種のゴムである:天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン/ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルゴム(XNBR)、またはポリブタジエン(BR)、または2種以上の上述のゴムの混合物。
本発明の極めて特に好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムは天然ゴム(NR)である。
本発明の極めて特に好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムはエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)である。
本発明の極めて特に好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムはスチレン/ブタジエンゴム(SBR)である。
本発明の極めて特に好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムはポリブタジエン(BR)である。
本発明の極めて特に好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムはポリイソプレン(IR)である。
本発明の極めて特に好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムはブチルゴム(IIR)である。
本発明の極めて特に好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムはハロブチルゴム(XIIR)である。
本発明の極めて特に好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムはニトリルゴム(NBR)である。
本発明の極めて特に好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムは水素化ニトリルゴム(H−NBR)である。
本発明の極めて特に好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムはカルボキシル化ブタジエン/アクリロニトリルゴム(XNBR)である。
本発明の極めて特に好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いて架橋され、本発明の複合材料におけるゴム構成成分として使用されるゴムはポリクロロプレン(CR)である。
エラストマー構成成分のために使用されるゴムは、官能化されていない形態であってもよい。個々の場合において、特にヒドロキシル基、カルボキシル基、または酸無水物基によってゴムを官能化させると、その接着強度をさらに改良することができる。
硫黄
本発明において、本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分を架橋させるためにゴムに添加される架橋剤/加硫剤は、元素状硫黄[CAS No.7704−34−9]である。これは、可溶性または不溶性硫黄のいずれかの形態、好ましくは可溶性硫黄の形態で使用される。
可溶性硫黄とは、常温で安定な唯一の形態の黄色シクロオクタ硫黄(S8硫黄、またはα−硫黄とも呼ばれる)を意味していると理解され、これは、典型的な斜方晶系結晶からなり、二硫化炭素への高い溶解性を有している。たとえば、25℃では、100gのCS2に30gのα−Sが溶解する(オンラインRoempp Chemie Lexikon,August 2004 version,Georg Thieme Verlag(Stuttgart)の“Schwefel”[硫黄]の項参照)。
不溶性硫黄とは、ゴム混合物の表面で滲出する傾向を有していない硫黄多形を意味していると理解されたい。この特殊な硫黄多形は、二硫化炭素中に60%〜95%の程度で不溶性である。
硫黄供与体
別の好ましい実施形態では、元素状硫黄に加えて、少なくとも1種のいわゆる硫黄供与体が本発明の複合材料のエラストマー構成成分のためのゴムに添加される。さらなる使用のためのこれらの硫黄供与体は、加硫に関して、加硫促進剤の作用を有していても、有していなくてもよい。使用するのに好ましい、加硫促進剤効果を有していない硫黄供与体は、ジチオモルホリン(DTDM)[CAS No.103−34−4]、またはカプロラクタムジスルフィド(CLD)[CAS No.23847−08−7]である。使用するのに好ましい、加硫促進剤効果を有する硫黄供与体としては、以下のものが挙げられる:2−(4−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール(MBSS)[CAS No.102−77−2]、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)[CAS No.137−26−8]、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)[CAS No.97−77−8]、またはジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)[CAS No.120−54−7](J.Schnetger“Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.472、またはF.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.309〜310)。
好ましい実施形態において、任意選択的に追加で使用される元素状硫黄および硫黄供与体は、本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分のために本発明において使用するためのゴム混合物中で、エラストマー成分のためのゴム100重量部を基準にして全量で0.1〜15重量部の範囲、より好ましくは0.1〜10重量部で使用するのが好ましい。
本発明の複合材料のエラストマー構成成分におけるエラストマー成分として、2種以上のゴムが使用される場合、それらのゴムを全部合計したものが、上述の重量部で表した数字の基本となる。これは、以後において、本発明の複合材料を製造するための、本発明において使用するためのエラストマー成分のその他の成分について記載される他の量についても、すべてあてはまる。
加硫促進剤
本発明において好適である1つの実施形態では、元素状硫黄を用いて硫黄加硫するのに適した少なくとも1種の加硫促進剤を、本発明の複合材料のエラストマー構成成分中のゴムに対する添加剤として添加することもできる。相当する加硫促進剤は、次の文献に記載がある:J.Schnetger“Lexikon der Kautschuktechnik”、3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.514〜515,537〜539,および586〜589。
本発明において好適な加硫促進剤は、以下のものである:キサントゲネート、ジチオカルバミン酸、テトラメチルチウラムジスルフィド、チウラム、チアゾール、チオ尿素誘導体、アミン誘導体たとえばテトラミン、スルフェンイミド、ピペラジン、アミンカルバミン酸、スルフェンアミド、ジチオリン酸誘導体、ビスフェノール誘導体、またはトリアジン誘導体。
本発明において特に好ましい加硫促進剤としては、以下のものが挙げられる:ベンゾチアジル−2−シクロヘキシルスルフェンアミド(CBS)、ベンゾチアジル−2−tert−ブチルスルフェンアミド(TBBS)、ベンゾチアジル−2−ジシクロヘキシルスルフェンアミド(DCBS)、1,3−ジエチルチオ尿素(DETU)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)およびその亜鉛塩(ZMBT)、ジメチルジチオカルバミン酸銅(CDMC)、ベンゾチアジル−2−スルフェンモルホリド(MBS)、ベンゾチアジルジシクロヘキシルスルフェンアミド(DCBS)、2−メルカプトベンゾチアゾールジスルフィド(MBTS)、ジメチルジフェニルチウラムジスルフィド(MPTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBZTD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、テトライソブチルチウラムジスルフィド(IBTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、N−ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDMC)、N−ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDEC)、N−ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBC)、N−エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛類(ZEBC)、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(ZBEC)、ジイソブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDiBC)、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛(ZPMC)、N−エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛(ZEPC)、亜鉛2−メルカプトベンゾチアゾール(ZMBT)、エチレンチオ尿素(ETU)、ジエチルジチオカルバミン酸テルル(TDEC)、ジエチルチオウレア(DETU)、N,N−エチレンチオウレア(ETU)、ジフェニルチオウレア(DPTU)、トリエチルトリメチルトリアミン(TTT);N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンイミド(TBSI);1,1’−ジチオビス(4−メチルピペラジン);ヘキサメチレンジアミンカルバミン酸(HMDAC);ベンゾチアジル−2−tert−ブチルスルフェンアミド(TOBS)、N,N’−ジエチルチオカルバミル−N’−シクロヘキシルスルフェンアミド(DETCS)、N−オキシジエチレンジチオカルバミル−N’−オキシジエチレンスルフェンアミド(OTOS)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールS)、亜鉛イソプロピルキサントゲネート(ZIX)、ジチオカルバミン酸のセレン塩、テルル塩、鉛塩、銅塩、およびアルカリ土類金属塩;ペンタメチレンアンモニウムN−ペンタメチレンジチオカルバミン酸;ジチオリン酸誘導体;シクロヘキシルエチルアミン;ジブチルアミン;ポリエチレンポリアミン、またはポリエチレンポリイミン、たとえばトリエチレンテトラミン(TETA)。
加硫促進剤は、エラストマー成分のためのゴム100重量部を基準にして0.1〜15重量部の範囲、好ましくは0.1〜10重量部の範囲の量で使用するのが好ましい。
活性化剤
本発明における好ましい実施形態では、本発明の複合材料のエラストマー構成成分のためのゴムに添加される添加剤は、酸化亜鉛[CAS No.1314−13−2]およびステアリン酸[CAS No.57−11−4]、または酸化亜鉛および2−エチルヘキサン酸[CAS No.149−57−5]、またはステアリン酸亜鉛[CAS No.557−05−1]である。酸化亜鉛は、硫黄加硫のための活性化剤として使用されている。適切な量の選択は当業者であれば問題なく可能である。酸化亜鉛を幾分高めの量で使用すると、それによってモノスルフィド結合の形成が促され、その結果、そのゴム成分の老化抵抗性が改良される。酸化亜鉛を使用した場合、本発明のゴム成分にはさらにステアリン酸(オクタデカン酸)が含まれる。これがゴム産業においてブロードな作用スペクトルをもたらすことは当業者に公知である。たとえば、その効果の1つは、エラストマー成分中での加硫促進剤の分散の改良がもたらされることである。さらに、硫黄加硫の過程で亜鉛イオンとの錯体形成が起きる。ステアリン酸の代替として2−エチルヘキサン酸を使用することも可能である。
酸化亜鉛は、エラストマー構成成分中のゴム100重量部を基準にして0.5〜15重量部、好ましくは1〜7.5重量部、特に好ましくは1〜5重量部の量で使用するのが好ましい。
ステアリン酸または2−エチルヘキサン酸は、エラストマー構成成分のためのゴム100重量部を基準にして0.1〜7重量部、好ましくは0.25〜7重量部、好ましくは0.5〜5重量部で使用するのが好ましい。
1つの好ましい実施形態では、酸化亜鉛とステアリン酸の組合せに代えるか、またはそれらに加えてステアリン酸亜鉛を使用してもよい。この場合、それぞれの場合において、本発明の複合材料中のエラストマー構成成分のためのゴム100重量部を基準にして典型的には0.25〜5重量部、好ましくは1〜3重量部の量で使用する。ステアリン酸亜鉛に代わるものとして、2−エチルヘキサン酸の亜鉛塩を使用することも可能である。
別の好ましい実施形態では、元素状硫黄を用いた場合と同様に、本発明の複合材料のエラストマー構成成分における架橋を硫黄架橋/ペルオキシド架橋の混合架橋として実施することもできる。
さらなる成分
さらに、1つの好ましい実施形態では、本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分のためのエラストマー成分には、以下の群からの少なくとも1種のさらなる成分が含まれる:充填剤、素練り剤、可塑剤、加工活性化成分、老化安定剤、UV安定剤、もしくはオゾン安定剤、粘着付与剤、顔料もしくは染料、発泡剤、難燃剤、離型剤、補強要素、または接着剤系。
本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分のためのエラストマー成分中で充填剤を使用する場合、シリカ、カーボンブラック、シリケート、酸化物、または有機充填剤の群からの少なくとも1種の充填剤を使用するのが好ましい。
「シリカ」(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,VCH Verlagsgesellschaft mbH(D69451,Weinheim),1993,“Silica”,p.635〜645)は、特にヒュームドシリカ(同書、p.635〜642)または沈降シリカ(同書、642〜645)の形態で使用されるが、本発明では、沈降シリカ[CAS No.112926−00−8またはCAS No.7631−86−9]が好ましい。沈降シリカは、BETで測定して5〜1000m2/gの比表面積、好ましくは20〜400m2/gの比表面積を有している。それらは無機酸を用いて水ガラスを処理することによって得られるが、硫酸を使用するのが好ましい。それらのシリカは、任意選択的に、他の金属酸化物、たとえばAl、Mg、Ca、Ba、Zn、Zr、Tiの酸化物との混合酸化物の形態であってもよい。本発明では、それぞれの場合においてBETで測定して5〜1000m2/gの範囲、より好ましくは20〜400m2/gの範囲の比表面積を有するシリカの使用が好ましい。
1つの実施形態において、本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分のためのエラストマー成分における充填剤として、カーボンブラック[CAS No.1333−86−4]を使用することも当業者に同様に公知である(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,VCH Verlagsgesellschaft mbH(D69451,Weinheim),1993、vol.A5,p.95〜158,「carbon」または「carbon black」の項を参照されたい)。それらは、好ましくは、ガスブラック法、ファーネスブラック法、ランプブラック法、またはサーマルブラック法のプロセスによって製造され、新しいASTM命名法(ASTM D 1765およびD 2516)では、以下のように分類されている:N110、N115、N121、N125、N212、N220、N231、N234、N242、N293、N299、S315、N326、N330、N332、N339、N343、N347、N351、N375、N472、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N660、N683、N754、N762、N765、N772、N774、N787、N907、N908、N990、N991 S3など。充填剤として使用するためのカーボンブラックは、いずれも5〜200m2/gの範囲のBET表面積を有しているのが好ましい。
本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分のためのエラストマー成分中で使用することが可能である好適なさらなる充填剤としては、以下の群からのものが挙げられる:合成シリケート、特にケイ酸アルミニウム、アルカリ土類金属のシリケート、特に20〜400m2/gの範囲のBET表面積と5〜400nmの範囲の一次粒径とを有するケイ酸マグネシウムもしくはケイ酸カルシウム、天然シリケート、たとえば、カオリン、けい藻土、およびその他の天然由来のシリカ、金属酸化物、特に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、金属炭酸塩、特に炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、金属硫酸塩、特に硫酸カルシウム、硫酸バリウム、金属水酸化物、特に水酸化アルミニウムもしくは水酸化マグネシウム、ガラス繊維もしくはガラス繊維製品(バー、ストランド、もしくはガラスのマイクロビーズ)、熱可塑性プラスチック、特にポリアミド、ポリエステル、アラミド、ポリカーボネート、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、もしくはtrans−1,4−ポリブタジエン、ならびにセルロース、セルロース誘導体、またはデンプン。
本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分のためのエラストマー成分中でさらなる素練り剤を使用する場合、以下の群からの少なくとも1種の素練り剤を使用するのが好ましい:チオフェノール、チオフェノール亜鉛塩、置換芳香族ジスルフィド、ペルオキシド、チオカルボン酸誘導体、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体、Porofors(発泡剤)または金属錯体、特に鉄ヘミポルフィラジン、鉄フタロシアニン、鉄アセトニルアセテートまたはそれらの亜鉛塩(J.Schnetger“Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.1〜2)。素練り剤の作用機構については、欧州特許出願公開第0 603 611A1号明細書に記載がある。
本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分のためのエラストマー成分中でさらなる可塑剤を使用する場合、以下の群からの少なくとも1種の可塑剤を使用するのが好ましい:パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、芳香族系鉱油、脂肪族エステル、芳香族エステル、ポリエステル、リン酸塩、エーテル、チオエーテル、天然の油脂(F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.329〜337)。
本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分のためのエラストマー成分中でさらなる加工活性化成分を使用する場合、以下の群からの少なくとも1種の加工活性化成分を使用するのが好ましい:脂肪酸、脂肪酸誘導体、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、またはファクチス(F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.337〜338)。ファクチスは、オイルゴム(oil rubber)としても知られているものであり、不飽和鉱油および植物油、欧州では特にナタネ油(コルザオイル)およびヒマシ油、米国ではそれに加えてダイズ油を架橋させることによって得られるゴム状の物質である。これに関しては、http://de.wikipedia.org/wiki/Faktisも参照されたい。
エラストマー成分中でさらなる老化安定剤、UV安定剤、およびオゾン安定剤を使用する場合、以下の群からの少なくとも1種のUV安定剤、およびオゾン安定剤を使用するのが好ましい:UV安定剤、特にカーボンブラック(充填剤として既に使用されていない場合)もしくは二酸化チタン、抗オゾン性ワックス、ヒドロペルオキシドを分解する添加剤(トリス(ノニルフェニル)ホスファイト)、重金属安定剤、置換フェノール、ジアリールアミン、置換p−フェニレンジアミン、複素環式メルカプト化合物、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、およびパラフェニレンジアミン(F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.338〜344)。
本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分のエラストマー成分中でさらなる粘着付与剤樹脂を使用する場合、以下の群からの少なくとも1種の粘着付与剤樹脂を使用するのが好ましい:天然樹脂、炭化水素樹脂、およびフェノール樹脂(F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.345〜346)。
本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分のエラストマー成分中でさらなる顔料および染料を使用する場合、以下の群からの少なくとも1種の顔料および染料を使用するのが好ましい:二酸化チタン(UV安定剤として既に使用されていない場合)、リトポン、酸化亜鉛、酸化鉄、ウルトラマリンブルー、酸化クロム、硫化アンチモン、および有機染料(F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.345)。
本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分のエラストマー成分中でさらなる発泡剤を使用する場合、以下の群からの少なくとも1種の発泡剤を使用するのが好ましい:ベンゼンスルホヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、およびアゾジカルボンアミド(F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.346)。
本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分のエラストマー成分中でさらなる難燃剤を使用する場合、以下の群からの少なくとも1種の難燃剤を使用するのが好ましい:酸化アルミニウム水和物、ハロゲン化難燃剤およびリン系難燃剤(F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.346)。
本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分のエラストマー成分中で離型剤を使用する場合、以下の群からの少なくとも1種の離型剤を使用するのが好ましい:飽和および部分不飽和脂肪酸、ならびにオレイン酸およびその誘導体、特に脂肪酸エステル、脂肪酸塩、脂肪族アルコール、脂肪酸アミド。金型の表面に離型剤を適用する場合、好ましくは、低分子量シリコーン化合物をベースとする製品、フルオロポリマーをベースとする製品、およびフェノール樹脂をベースとする製品を使用することが可能である。
加硫物を補強するために、本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分のエラストマー成分中で補強要素(繊維)を使用する場合、米国特許第A4,826,721号明細書に記載のガラスをベースとする繊維、または脂肪族もしくは芳香族ポリアミド(Nylon(登録商標)、Aramid(登録商標))、ポリエステル、または天然繊維製品のコード、織布、繊維の形態にある少なくとも1種の補強要素を使用するのが好ましい。ステープル繊維、連続繊維のいずれも使用することが可能である(J.Schnetger“Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.498&528)。ゴム産業において慣用される補強要素の一覧リストは、たとえば次の文献に見ることができる:F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.823〜827。
本発明の範囲に含まれる本発明の複合材料におけるエラストマー構成成分のエラストマー成分が明示されるのは、発泡させた加硫物、スポンジゴム、そうでなければ発泡ゴムである(J.Schnetger“Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.322〜323,&618)。1つの好ましい実施形態では、発泡させた加硫物は、発泡剤を使用して製造される。
好ましくは、硫黄を用いて架橋させ、本発明の成形方法で使用される本発明の複合材料のおけるエラストマー構成成分のエラストマー成分を、少なくとも1種のゴム、硫黄、および任意選択的にさらなる構成成分から、インターナルミキサーまたはロールミルを使用した混合加工と呼ばれる操作により加工して、加硫可能なゴム混合物を得て、それにより実際の成形方法のために調製する。この混合加工操作では、ゴム混合物の構成成分を相互に密接に混合する。原理的には、インターナルミキサーまたはロールミルによるバッチ式またはエクストルーダーによる連続式で混合物を製造することができる(J.Schnetger“Lexikon der Kautschuktechnik”,3rd edition,Huethig Verlag(Heidelberg),2004,p.275,&315〜318)。
ポリアミド成分
本発明の複合材料のポリアミド成分として使用するためのポリアミドは、ジアミンとジカルボン酸の組合せから、ω−アミノカルボン酸から、またはラクタムから調製するのが好ましい。使用するのに好ましいポリアミドは、以下のものである:PA6、PA6 6、PA6 10[CAS No.9011−52−3]、PA8 8、PA6 12[CAS No.26098−55−5]、PA8 10、PA10 8、PA9、PA6 13、PA6 14、PA8 12、PA10 10、PA10、PA8 14、PA14 8、PA10 12、PA11[CAS No.25035−04−5]、PA10 14、PA12 12またはPA12[CAS No.24937−16−4]。本出願に関連して使用されるポリアミドの命名法は、国際的な標準に準じたものであり、最初の数が出発ジアミン中の炭素原子の数を表し、最後の数がジカルボン酸中の炭素原子の数を表している。たとえばPA6の場合のように、数字が1つのみ表記されている場合、これは、その出発物質がα,ω−アミノカルボン酸、またはそれから誘導されるラクタム、すなわち、PA6の場合であればε−カプロラクタムであったことを意味している。さらなる情報については、次の文献を参照されたい:H.Domininghaus,Die Kunststoffe und ihre Eigenschaften,p.272〜,VDI−Verlag,1976。
本発明においてより好ましくは、PA6[CAS No.25038−54−4]またはPA6 6[CAS No.32131−17−2]、特にPA6が、本発明の複合材料を製造するための二成分射出成形プロセスにおいて使用するためのポリアミド成形コンパウンド物に使用される。ポリアミドの調製は、従来技術である。上述のポリアミドをベースとするコポリアミドを使用することも可能であることも理解されたい。
ポリアミドの調製には多くの手順が公知であり、そこで使用されるのは、最終製品の目的に合わせて、各種のモノマー単位、所望の分子量を達成するための各種の連鎖移動剤、または後工程で意図している後処理のための反応性基を有するモノマーである。本発明において使用するためのポリアミドを調製するのに適した工業的な方法は、好ましくは、溶融物中での重縮合または適切なラクタムの重付加によって進行する。ラクタムの重付加反応には、加水分解性、アルカリ性、活性化アニオン性およびカチオン性のラクタム重合が含まれる。加熱重縮合およびラクタム重合によるポリアミドの調製法は当業者に公知である;とりわけ、Nylon Plastics Handbook,Hanser−Verlag(Munich),1995,p.17〜27、Kunststoff−Handbuch[Plastics Handbook]3/4、Polyamide[Polyamides],Carl Hanser Verlag(Munich),1998,p.22〜57を参照されたい。
本発明において好適に使用するためのポリアミドは、半晶質の脂肪族ポリアミドであり、これは、ジアミンとジカルボン酸とから出発し、および/または少なくとも5個の環メンバーを有するラクタムまたはそれに相当するアミノ酸から出発して調製することができる。独国特許出願公開第10 2011 084 519A1号明細書によれば、半晶質ポリアミドは、ISO 11357に従うDSC方法でその第二加熱操作において溶融ピークを積分することによって測定して、25J/gよりも高い融解エンタルピーを有している。これにより、それらが、ISO 11357に従うDSC方法でその第二加熱操作において溶融ピークを積分することによって測定して、4〜25J/gの範囲の融解エンタルピーを有している半晶質ポリアミド、ならびにISO 11357に従うDSC方法でその第二加熱操作において溶融ピークを積分することによって測定して、4J/g未満の融解エンタルピーを有している半晶質ポリアミドと区別される。
本発明の複合材料のポリアミドベースの構成成分を調製するのに有用な反応剤は、以下のものである:好ましくは脂肪族および/または芳香族のジカルボン酸、より好ましくはアジピン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、2,4,4−トリメチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、脂肪族および/または芳香族のジアミン、より好ましくはテトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナン−1,9−ジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、異性体も含めたジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、アミノカルボン酸、特にアミノカプロン酸、またはそれらの相当するラクタム。複数の上述のモノマーからのコポリアミドも含まれる。
特に好ましいのは、ナイロン−6(PA6)、ナイロン−6,6(PA−6 6)、またはコモノマー含有コポリアミドとしてのカプロラクタムであり、極めて好ましいのは、ランダムな半晶質の脂肪族コポリアミド、特にPA6/6 6である。
とりわけ、ポリアミドの調製にε−カプロラクタム[CAS No.105−60−2]を使用するのが好ましい。はじめに、シクロヘキサノンをヒドロキシルアミンの硫酸水素塩または塩酸塩と反応させることにより、シクロヘキサノンオキシムを調製する。それをBeckmann転位によりε−カプロラクタムに転換させる。
ヘキサメチレンジアミンアジペート[CAS No.3323−53−3]は、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの反応生成物である。その利用法の1つが、ナイロン−6,6の調製における中間体としての利用である。その通俗名のAHは、出発物質の頭文字から由来している。本発明において使用するための半晶質のPA6および/またはPA6 6は、たとえば、Lanxess Deutschland GmbH(Cologne,Germany)からDurethan(登録商標)の名称で入手することが可能である。
これらのポリアミドの混合物を使用することも可能であり、その場合、その混合比は任意であることも理解されたい。そのポリアミド成分中に、ある程度のリサイクルしたポリアミド成形組成物および/または繊維のリサイクル物を存在させることも可能である。
十分な相溶性がある場合、各種のポリアミドの混合物を使用することも同様に可能である。相溶性のあるポリアミドの組合せは当業者に公知である。好適に使用できるポリアミドの組合せは、以下のものである:PA6/PA6 6、PA12/PA10 12、PA12/12 12、PA6 12/PA12、PA6 13/PA12、PA10 14/PA12、またはPA6 10/PA12、ならびにそれらに相当するPA11との組合せ、より好ましくはPA6/PA6 6。疑問がある場合、ルーチン的な試験により相溶性のある組合せかどうかを確認することができる。
脂肪族ポリアミドに代えて、半芳香族ポリアミドを使用することも有利に可能であり、その場合、そのジカルボン酸成分には、8〜22個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸からのものが5〜100mol%の量で含まれ、少なくとも250℃、より好ましくは少なくとも260℃、特に好ましくは少なくとも270℃のISO 11357−3に従う微結晶融点Tmを有しているのが好ましい。このタイプのポリアミドは、典型的には、追加の表示T(T=半芳香族)で表される。これらは、ジアミンとジカルボン酸とを組み合わせ、任意選択的にω−アミノカルボン酸およびそれに相当するラクタムを添加することによって調製することが可能である。好適なタイプは、好ましくは、PA6 6/6T、PA6/6T、PA6T/MPMDT(MPMDは、2−メチルペンタメチレンジアミンを表す)、PA9T、PA10T、PA11T、PA12T、PA14T、ならびにこれら後者のタイプと脂肪族ジアミンおよび脂肪族ジカルボン酸との共重縮合物、またはω−アミノカルボン酸もしくはラクタムとの共重縮合物である。半芳香族ポリアミドは、その他のもの、好ましくは脂肪族ポリアミド、より好ましくはPA6、PA6 6、PA11、またはPA12とのブレンド物の形態で使用することも可能である。
別の好適なポリアミドのタイプは透明ポリアミドである。それらは、ほとんどの場合に非晶質であるが、半晶質であってもよい。それらは、それらのみで使用することもでき、または脂肪族および/もしくは半芳香族ポリアミド、好ましくはPA6、PA6 6、PA11、もしくはPA12との混合物で使用することもできる。良好な接着性を達成するには透明度は問題ではなく、重要なのは、ISO 11357−3に従って測定したそのガラス転移点Tgが少なくとも110℃、好ましくは少なくとも120℃、より好ましくは少なくとも130℃、より好ましくは少なくとも140℃であることである。好適な透明ポリアミドは以下のものである:
− 1,12−ドデカン二酸と4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(PAPACM12)とから形成されるポリアミド、特に35%〜65%のtrans,trans異性体含量を有する4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンから得られたもの;
− テレフタル酸および/またはイソフタル酸と、2,2,4−と2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンとの異性体混合物とから形成されるポリアミド;
− イソフタル酸と1,6−ヘキサメチレンジアミンとから形成されるポリアミド;
− テレフタル酸/イソフタル酸の混合物と1,6−ヘキサメチレンジアミン、任意選択的に4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとの混合物とから形成されるコポリアミド;
− テレフタル酸および/またはイソフタル酸、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、およびラウロラクタムまたはカプロラクタムのコポリアミド;
− 1,12−ドデカン二酸またはセバシン酸、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、および任意選択的にラウロラクタムまたはカプロラクタムから形成される(コ)ポリアミド;
− イソフタル酸、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、およびラウロラクタムまたはカプロラクタムから形成されるコポリアミド;
− 1,12−ドデカン二酸と4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(低含量のtrans,trans異性体を含む)とから形成されるポリアミド;
− テレフタル酸および/またはイソフタル酸と、アルキル−置換されたビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン同族体、任意選択的にヘキサメチレンジアミンとの混合物とから形成されるコポリアミド;
− ビス(4−アミノ−3−メチル−5−エチル−シクロヘキシル)メタン、任意選択的にさらなるジアミンを組み合わせたものと、イソフタル酸、任意選択的にさらなるジカルボン酸を組み合わせたものとから形成されるコポリアミド;
− m−キシリレンジアミンとさらなるジアミン、たとえば、ヘキサメチレンジアミンとの混合物と、イソフタル酸、任意選択的にさらなるジカルボン酸、たとえばテレフタル酸および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸と組み合わせたものとから形成されるコポリアミド;
− ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンとビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンとの混合物と、8〜14個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸とから形成されるコポリアミド;および
− 1,14−テトラデカン二酸を含む混合物と芳香族の芳香脂肪族または脂環族のジアミンとから形成されるポリアミドまたはコポリアミド。
これらの例は、さらなる成分、好ましくはカプロラクタム、ラウロラクタム、またはジアミン/ジカルボン酸の組合せを添加したり、出発成分を他の成分で全面的または部分的に置きかえたりすることにより、極めて根本的に変化させることができる。
ポリアミド形成性のモノマーとして使用されるラクタムまたはω−アミノカルボン酸には、4〜19個、特に6〜12個の炭素原子が含まれる。ε−カプロラクタム、ε−アミノカプロン酸、カプリロラクタム、ω−アミノカプリル酸、ラウロラクタム、ω−アミノドデカン酸および/またはω−アミノウンデカン酸を使用するのが特に好ましい。
ジアミンとジカルボン酸との組合せとしては、たとえば以下のものが挙げられる:ヘキサメチレンジアミン/アジピン酸、ヘキサメチレンジアミン/ドデカン二酸、オクタメチレンジアミン/セバシン酸、デカメチレンジアミン/セバシン酸、デカメチレンジアミン/ドデカン二酸、ドデカメチレンジアミン/ドデカン二酸、ならびにドデカメチレンジアミン/ナフタレン−2,6−ジカルボン酸。さらに、他の組合せ、特に以下の組合せを使用することも可能である:デカメチレンジアミン/ドデカン二酸/テレフタル酸、ヘキサメチレンジアミン/アジピン酸/テレフタル酸、ヘキサメチレンジアミン/アジピン酸/カプロラクタム、デカメチレンジアミン/ドデカン二酸/ω−アミノウンデカン酸、デカメチレンジアミン/ドデカン二酸/ラウロラクタム、デカメチレンジアミン/テレフタル酸/ラウロラクタム、またはドデカメチレンジアミン/ナフタレン−2,6−ジカルボン酸/ラウロラクタム。
本発明に関連して、ポリアミド成形組成物は、本発明の複合材料におけるポリアミド成分を製造するためのポリアミドの配合物であり、それらは、加工性を改良したり、使用性能を変性したりするために製造されたものである。複合材料のために本発明において使用するためのポリアミドベースの成分は、少なくとも1種の混合装置でポリアミド、ポリオクテナマー、および反応剤として使用するためのポリブタジエン成分を混合することによって配合する。これにより、中間製品としての成形コンパウンド物が得られる。これらの成形コンパウンド物は、多くの場合、熱可塑性成形コンパウンド物とも呼ばれるが、もっぱらポリアミド、ポリオクテナマー、およびポリブタジエン成分のみで構成されていてもよく、またはこれらの成分に加えてさらなる成分を含んでいてもよい。後者の場合、ポリアミド、ポリオクテナマーおよびポリブタジエン成分のうちの少なくとも1種の量を所定の範囲内で変化させて、そのポリアミドベースの成分の重量部を全部合計したものが常に100になるようにするべきである。
1つの好ましい実施形態では、これらのポリアミド成形コンパウンド物には、そのポリアミド、そのポリオクテナマー、およびそのポリブタジエンに加えて、以下の添加剤の少なくとも1種が含まれる:
(I)他のポリマー、たとえば耐衝撃性改良剤、ABS(ABS=アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはポリフェニレンエーテル。この場合、転相がまったく起きないことが保証されている必要がある、すなわち、成形組成物のマトリックスがポリアミドで形成されているか、または少なくとも相互貫入ネットワークが存在している必要がある。当業者のよく知るところであるが、相のモルホロジーは、主として、個々のポリマーの容積比率および溶融物の粘度に依存する。他のポリマーがポリアミドよりもはるかに高い溶融粘度を有していると、ポリアミドが熱可塑性プラスチック画分の50容積パーセント未満の量、たとえば約40容積パーセントの量で存在している場合においてさえ、ポリアミドがマトリックスを形成する。これは、ポリフェニレンエーテルとのブレンド物の場合に特に当てはまる;
(II)繊維質の補強材、特に円状またはフラットな断面を有するガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ステンレス鋼の繊維、またはチタン酸カリウムウィスカー;
(III)充填剤、特にタルク、マイカ、シリケート、石英、二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、硫化亜鉛、グラファイト、二硫化モリブデン、二酸化チタン、ウォラストナイト、カオリン、非晶質シリカ、炭酸マグネシウム、チョーク、石灰、長石、硫酸バリウム、導電性ブラック(conductive black)、グラファイトフィブリル、中実ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、または摩砕ガラス;
(IV)可塑剤、特に2〜20個の炭素原子のアルコール成分を有するp−ヒドロキシ安息香酸のエステル、または2〜12個の炭素原子のアミン成分を有するアリールスルホン酸のアミド、好ましくはベンゼンスルホン酸のアミド;
(V)顔料および/または染料、特にカーボンブラック、酸化鉄、硫化亜鉛、ウルトラマリン、ニグロシン、真珠光沢顔料、または金属フレーク;
(VI)難燃剤、特に三酸化アンチモン、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノール、ホウ酸塩、赤リン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メラミンシアヌレート、それらの縮合反応生成物、たとえばメラム、メレム、メロン、メラミン化合物、特にメラミンピロホスフェートまたはメラミンポリホスフェート、ポリリン酸アンモニウムおよびそれらの有機リン化合物または塩、特にレソルシノールジフェニルホスフェート、ホスホン酸エステル、またはホスフィン酸金属塩;
(VII)加工助剤、特にパラフィン、脂肪族アルコール、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、加水分解脂肪酸、パラフィンワックス、モンタネート、モンタンワックス、またはポリシロキサン;および
(VIII)安定剤、特に銅塩、モリブデン塩、銅錯体、ホスファイト、立体障害フェノール、二級アミン、UV吸収剤、またはHALS安定剤。
本発明において使用するためのポリオクテナマーとポリブタジエンとの混合物は、ポリアミド中、または本発明の複合材料構成成分の少なくとも1種のポリアミド構成成分のためのポリアミド成形コンパウンド物中に各種の方法で組み入れられる。1つの好ましい実施形態では、ポリオクテナマーおよびポリブタジエン、さらにはポリオクテナマーおよびポリブタジエンのマスターバッチと呼ばれるものを、ポリアミド成形コンパウンド物のコンパウンディングの際に他の添加物質と共にポリアミドに添加するか、またはコンパウンディングの際にマスターバッチとしてポリアミドに添加するか、または射出成形操作において、ポリアミド成形コンパウンド物との混合物として、好ましくはペレットの形態で使用し、射出成形ユニットへの計量漏斗(metering funnel)を介して供給する。
別の好ましい実施形態では、ポリオクテナマー/ポリブタジエン含有のポリアミド成形コンパウンド物を、少なくとも1種のポリオクテナマーおよび/または少なくとも1種のポリブタジエンを含む少なくとも1種のポリアミド成形コンパウンド物と、ポリオクテナマーもポリブタジエンも含まないポリアミド成形コンパウンド物とからのペレット混合物(乾燥混合物、ドライブレンド物;Die Kunststoffe−Chemie,Physik,Technologie,edited by B.Carlowitz,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),1990,p.266を参照されたい)として製造するが、このようにすると、ポリオクテナマー/ポリブタジエンの濃度が調節されたポリアミド成形コンパウンド物が得られる。
別のさらなる好ましい実施形態では、適切な溶媒中に少なくとも1種のポリオクテナマーおよび/または少なくとも1種のポリブタジエンを含む少なくとも1種の溶液を適切な溶媒中のポリアミドの溶液と混合する。この溶解に続けて、溶媒を留去すれば、ポリオクテナマー/ポリアミドを含有するポリアミド成形コンパウンド物が乾燥後に得られる。
別のさらなる好ましい実施形態では、射出成形操作におけるポリオクテナマーおよびポリブタジエン、または代替的なポリオクテナマーおよびポリブタジエンのマスターバッチの形態での添加を、成形システムの計量漏斗を介して、通常はペレットの形態のポリアミド成形コンパウンド物との混合物として実施する。
より好ましくは、本発明では、ポリアミドへのポリオクテナマーおよびポリブタジエン、または代替的なポリオクテナマーおよびポリブタジエンのマスターバッチとしての添加を標準的な混合剤と共に、コンパウンディングの際に計量装置、固体物質の場合には好ましくは計量漏斗、および液体物質の場合には好ましくは計量型ポンプを介して実施する。
成形方法
本発明の複合材料は、押出し成形法、フラットフィルム押出し成形法、フィルムブローイング成形法、押出しブローイング成形法、共押出し成形法、カレンダー成形法、キャスティング成形法、圧縮成形法、射出圧縮成形法、トランスファー圧縮成形法、トランスファー射出圧縮成形法もしくは射出成形法またはそれらの特別な方法、特にガス射出成形技術の群からの少なくとも1種の成形方法により、好ましくは多成分射出成形法により、より好ましくは2成分系射出成形法(2K射出成形法とも呼ばれる)により、1工程または2工程で製造することができる。
押出し法の成形方法は、本発明では、半完成のポリマー製品、特にフィルム、シート、チューブ、または異形材を連続的に製造することを意味していると理解されたい。押出し成形方法では、スクリューとバレルとからなるエクストルーダーと呼ばれているものが、ポリマー組成物を加圧下に連続的に金型を強制通過させる。実務的には、単軸スクリューおよび2軸スクリューエクストルーダー、または特殊な設計のものが使用される。金型を選択することにより、押出し物が所望の断面形状になる(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,7th edition,vol.28,Plastics Processing,Wiley−VCH Verlag(Weinheim),2011,p.169〜177)。
ゴム混合物の押出し成形法では、金型を通過したものを次いで加硫にかける。ここでは、加圧下の加硫プロセスと常圧の加硫プロセスとは区別される(F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.597〜727)。共押出し成形方法では、ポリアミド成形コンパウンド物とゴム組成物とを成形オリフィスより上流側で組み合わせて、その押出し物を加硫させた後でポリアミドとエラストマーとの複合材料が得られるようにする(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,7th edition,vol.28,Plastics Processing,Wiley−VCH Verlag(Weinheim),2011、p.177)。ポリアミド成形コンパウンド物とゴムコンパウンド物との共押出しを逐次に、すなわち一方の下流側で他方を実施することも可能である(F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.852〜853)。2工程の押出し成形プロセス後に接触および加硫を完了させるには、第一の工程で製造されたポリアミド成形コンパウンド物の形材、たとえばチューブをゴムコンパウンド物の鞘で覆い、任意選択的に加圧下で加硫して完成させる。その手順は、ポリアミド成形コンパウンド物から形成されるシートに類似している(F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.977〜978)。
フラットフィルム押出し成形法、フィルムブローイング成形法、押出しブローイング成形法、共押出し成形法、カレンダー成形法、またはキャスティング成形法の成形方法を用いると、フィルムまたは積層物を得ることが可能である(Die Kunststoffe−Chemie,Physik,Technologie(edited by B.Carlowitz),Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),1990,p.422〜480)。ポリアミドと、硫黄を用いて架橋させるゴム混合物とをこれらの方法で組み合わせて、多層積層物および多層膜を得ることができる。任意選択的に、フィルムを製造した後でゴム成分を加硫させて完成させる。共押出し多層膜は、包装技術では極めて重要である。
圧縮成形プロセスでは、最初に押出成形によって未加硫ゴム混合物からブランクを製造し、次いで打抜きまたは切断を行う。加硫温度に予熱してある金型のキャビティにブランクを入れる。加熱および加圧して所望の成形形状とし、加硫を開始させる(F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.729〜738)。その手順は、熱可塑性プラスチックの圧縮成形に類似している。この場合、金型を冷却してから脱型する(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,7th edition,vol.28,Plastics Processing,Wiley−VCH Verlag(Weinheim),2011,p.167)。
射出圧縮成形法は、反りのない高精度のポリマー部品を製造するための特別な射出成形方法である。この方法には、金型の半割り部分にわずかな開口ができるように、締切り力を下げた金型内にポリマーの溶融物を射出することが含まれる。金型キャビティ全体に充填するために、最高の締切り力を加えてから、最終的に成形物を脱型する(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,7th edition,vol.28,Plastics Processing,Wiley−VCH Verlag(Weinheim),2011,p.187)。ゴムの射出圧縮成形では、その手順は類似しており、加硫温度に加熱した金型内にゴム混合物を射出する。金型を閉じて成形および加硫を行わせる(F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.738〜739)。
トランスファー圧縮成形法およびトランスファー射出圧縮成形法に関しては、次の文献を参照されたい:F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,chapter 12.3&12.4,p.740〜753、chapter 12.5,p.753〜755。
射出成形法は、ポリマーの加工において主として使用されている成形方法である。
この方法は、さらなる加工をせずに直接使用することが可能である成形物を多数製造するための経済的に実現可能な方法で使用することができる。この目的のために、射出成形機を使用し、射出成形ユニットで特定のポリマー材料を可塑化させ、それを射出成形用金型内に射出させる。金型のキャビティによって最終部品の形状が決まる。今日では、1グラムの数分の一から上はキログラムの領域の部品を射出成形によって製造することができる(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,7th edition,vol.28,Plastics Processing,Wiley−VCH Verlag(Weinheim),2011,p.181〜189)。
多成分射出成形法の場合、射出成形プロセスで数種類の成分を組み合わせて複合材料構成成分を成形する。2成分射出成形法の場合、射出成形プロセスで2種類の成分を組み合わせて複合材料または複合材料構成成分を成形する。本発明では、2成分系射出成形法プロセスにおいてポリアミド成分とエラストマー成分とを組み合わせて複合材料に成形するのが好ましい。2成分系射出成形法プロセスは、1工程プロセスまたは2工程プロセスのいずれで実施することも可能である(F.Johannaber,W.Michaeli,Handbuch Spritzgiessen[Injection Molding Handbook],2nd edition,Carl Hanser Verlag(Munich),2004,p.506〜523;Handbuch Kunststoff−Verbindungstechnik、edited by G.W.Ehrenstein、Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),1990,p.517〜540)。
2工程プロセスでは、最初に、本発明において使用するポリオクテナマー/ポリブタジエン含有のポリアミド成形コンパウンド物を使用し、特に上述の加工方法の1つ、好ましくは射出成形により、硬質の熱可塑性プラスチック成形物を製造する。この熱可塑性プラスチックの成形物は、必要に応じて貯蔵することも可能である。
さらなる工程において、そのポリアミド成形物を上述の加工方法の1つ、好ましくは射出成形法によってエラストマー成分と接触させ、次いでゴムのための加硫条件に曝露させる。
好ましくはスイベルプレートまたはターンテーブルを有する単一の機械(1工程プロセス)を用い、および/または好ましくは第二の成分のために時間を遅らせて、キャビティの領域を開口するスライドベーンによる相応の金型技術を用いて、製造を実施することも可能である。スイベルプレート、ターンテーブル、または1つ以上のスライドベーンを有する金型を含む機械を使用した場合、典型的には、第一サイクルにおいて金型のキャビティ内でポリアミド成分から予備成形物が製造される(第一ステーション)。金型を回転させた後、またはトランスファー技術により、その予備成形物を第二の位置的に変化させた最終射出成形ステーションに(たとえば3キャビティ金型内で180度または120度回転させることによる回転法によるか、またはスライドベーンシャットオフ法(コアバック法とも呼ばれる)によって導入し、第二サイクルにおいて、元素状硫黄を用いて加硫または架橋されるゴムから得ることが可能である、エラストマー構成成分のためのゴム混合物を射出する。脱型安定度に達したら、そのエラストマー成分を脱型することができる。
本発明における熱可塑性プラスチック成分として使用するためのポリアミドの溶融温度は、好ましくは180〜340℃の範囲、より好ましくは200〜300℃の範囲である。熱可塑性プラスチックの金型温度の温度調節領域は、好ましくは20〜200℃の範囲、より好ましくは60〜180℃の範囲である。可塑化バレル内での、元素状硫黄を用いて加硫または架橋されるゴムから得ることが可能である、エラストマー構成成分のためのゴム混合物の好適な溶融温度は、20〜150℃の範囲、好ましくは60〜100℃の範囲である。エラストマー成分の好ましい加硫温度は、120〜220℃の範囲、好ましくは140〜200℃の範囲である。1つの好ましい実施形態では、エラストマー成分を金型キャビティから脱型させた後で加熱処理を行う。物理学的な感覚では、「加熱処理」とは、固体をその溶融温度未満の温度に加熱することを意味している。これは、数分から最長で数日までの長時間で実施される。それによって原子の移動性が高まり、構造欠陥を埋め合わせ、短期および長期の結晶構造を安定化させることができる。このようにすることで、結晶構造を確立させるための溶融および(極端に)ゆっくりとした冷却のプロセスを避けることができる。本発明に関連して、加熱処理は、120〜220℃の範囲の温度、好ましくは140〜200℃の範囲の温度で実施するのが好ましい。
これらの数値は、構成要素の寸法(たとえば流路の厚みおよび長さ)、ゲート設計のタイプおよび位置(たとえば、ホットランナーまたはコールドランナー)、ならびに特定の材料特性にかなりの程度依存する。金型を開けるまでの圧力保持相は、圧力保持時間0秒で好ましくは0〜3000barの範囲である。
別の本発明の好ましい実施形態では、その本発明の複合材料が、ポリアミド構成成分およびエラストマー構成成分から、いわゆる反転(inverse)2成分系射出成形法(2K射出成形法)で、すなわち、順序の最初にソフト成分、次いでハード成分、本発明において使用するためのポリオクテナマー含有およびポリブタジエン含有のポリアミド成形コンパウンド物から製造されたポリアミド構成成分、およびゴム遊離の硫黄の存在下で架橋されるからのエラストマー構成成分の順で製造される。
したがって、反転2K射出成形法では、元素状硫黄を用いて加硫または架橋されるゴムから得ることが可能である、エラストマー構成成分のためのゴム混合物を、まず射出成形し、加硫し、次いで本発明において使用するためのポリオクテナマー含有およびポリブタジエン含有のポリアミド成形コンパウンド物を射出成形によって適用する。(通常の)2K射出成形プロセスの場合と全く同様に、好ましくはスイベルプレートまたはターンテーブルを有する単一の機械(1工程プロセス)において、および/または好ましくは第二の成分のために時間を遅らせて、キャビティの領域を開口するスライドベーンによる相応の金型技術を用いて製造を実施することも可能である。(通常の)2K射出成形プロセスの場合に相当する射出成形パラメーター(バレル温度、金型温度、加硫時間、保持圧力、圧力保持時間など)を採用することができる。エラストマー成分が完全には加硫されず、寸法的に安定化される程度までの部分的な加硫のみが行われている場合、射出成形法によってポリアミド成形組成物を適用すると、反転2K射出成形プロセスの利点が得られる。その理由は、このようにすると、複合材料全体を製造するためのサイクル時間の短縮が可能となるからである。典型的には、ポリアミド成分を製造するためのサイクル時間がエラストマー成分のそれよりもはるかに短いため、驚くべきことに、この好適なプロセスを採用することにより、複合材料全体を製造するためのサイクル時間を、エラストマー成分を製造するためのサイクル時間まで短縮することが可能となる。1つの好ましい実施形態では、反転2K射出成形法でも、複合材料を金型キャビティから脱型させた後で加熱処理をする。
このポリアミドの射出成形のプロセスは、粗原料、すなわち使用される本発明の成形組成物(好ましくはペレットの形態にある)を、加熱した円筒状のキャビティ内で溶融(可塑化)し、それを射出成形材料として、加圧下において温度調節されたキャビティ内に射出することを特徴としている。その材料を冷却(固化)させてから、射出成形物を脱型する。
射出成形プロセスは、いくつかの工程要素に分割される:
1.可塑化/溶融
2.射出相(充填操作)
3.圧力保持相(結晶化の過程で熱収縮が起きるため)
4.脱型。
この目的のために使用される射出成形機は、型締めユニット、射出ユニット、駆動系、および制御系からなっている。型締めユニットには、金型のための固定および移動熱盤および端盤、さらにはタイバーおよび移動型熱盤のための駆動系(トグリング機構または油圧型締めユニット)が含まれる。
射出ユニットには、電気加熱可能なバレル、スクリューのための駆動装置(モーター、ギアボックス)、および必要に応じてスクリューおよび射出ユニットを移動させるための油圧系が含まれる。射出ユニットの作業は、粉体またはペレットを溶融させること、それらを計量すること、それらを射出すること、および(収縮対策のために)保持圧力を維持することである。溶融物がスクリューの内部で逆向きに流れるという問題(漏れ流れ)は、逆止弁によって解決される。
射出金型内では、入ってきた溶融物が冷却され、それにより、部材、すなわち、製造する対象の製品、すなわち成形物が製造される。この目的のために、2つ割りの金型(two halves of the mold)が常に必要である。射出成形では、次のような機能系に区別される:
− ランナー系
− 成形インサート系
− ベント系
− マシンケースおよび力吸収
− 脱型系および移動伝送
− 温度制御系。
ポリアミドの射出成形に関しては、次の文献を参照されたい:Kunststoff−Handbuch3/4、Polyamide,Carl Hanser Verlag(Munich),1998,p.315〜352。
加硫ゴムの成形物を製造するための射出成形のプロセスは、粗原料、すなわち架橋させるゴム混合物を、加熱した円筒状のキャビティ内で可塑化し、それを射出成形材料として、加圧下において加硫温度に加熱されたキャビティ内に射出することを特徴としている。材料の加硫が完了したら、その射出成形物を脱型する。その射出成形機のシリンダーおよびスクリューは、当業者公知の方式でゴム加工用に設計されており、その金型は、加硫温度まで加熱できるようになっている。ゴム成分のための加硫時間は、ゴム混合物だけではなく、加硫温度および製造されるゴム要素の形状によって決まる。それは15秒〜15分であるのが好ましいが、温度が低かったり、ゴム構成成分が厚かったりすると、加硫時間がより長くなる(F.Roethemeyer,F.Sommer“Kautschuktechnologie”,2nd revised edition,Carl Hanser Verlag(Munich,Vienna),2006,p.755〜815)。
任意の追加成分としての外部脱型助剤を使用する場合、それらは接着強度を損なう可能性があるため、それらが工具の界面相中に入り込まないように注意するべきである。本発明において任意に使用するのに有用な脱型剤(潤滑剤または離型剤とも呼ばれる)は、以下のものを含んでいるのが好ましい:飽和および部分不飽和の脂肪酸およびオレイン酸ならびにそれらの誘導体、特に脂肪酸エステル、脂肪酸塩、脂肪族アルコール、脂肪酸アミド(これらは、好ましくは混合物構成成分として使用される)、ならびに金型の表面に塗布することが可能なさらなる製品、特に低分子量シリコーン化合物をベースとする製品、フルオロポリマーをベースとする製品、およびフェノール樹脂をベースとする製品。
それら脱型剤は、混合物構成成分として、ゴム成分中のエラストマー100phrを基準にして好ましくは約0.1〜10phr、より好ましくは0.5〜5phrの量で使用される。
好ましい実施では、本発明は、少なくとも1種のポリアミド成形コンパウンドから製造された少なくとも1つの構成成分および少なくとも1種のエラストマー構成成分からの複数の構成成分からなる直接接着性複合材料において、そのポリアミド成形コンパウンド物が、少なくとも30重量%の、
a)60〜99.9重量部のPA6またはPA66と、
b)0.1〜40重量部の、800〜20000g/molの範囲の数平均分子量Mnを有し、および/またはDIN 53019のコーンプレート法により標準圧力および温度25℃で測定して100〜15000mPasの範囲の動的粘度を有する少なくとも1種のポリブタジエンと1,8−trans−ポリオクテナマーとの混合物と
の混合物を含み、ここで、a)とb)との重量部の総和が100であり、および架橋剤として元素状硫黄を用いて架橋される、NR、EPDM、NBR、CR、BR、SBR、XNBRの群からの少なくとも1種のゴムが使用されることを特徴とする直接接着性複合材料に関する。
好ましい実施では、本発明は、少なくとも1種のポリアミド成形コンパウンドから製造された少なくとも1つの構成成分および少なくとも1種のエラストマー構成成分からの複数の構成成分からなる直接接着性複合材料において、そのポリアミド成形コンパウンド物が、少なくとも30重量%の、
a)60〜99.9重量部のPA6と、
b)0.1〜40重量部の、800〜20000g/molの範囲の数平均分子量Mnを有し、および/またはDIN 53019のコーンプレート法により標準圧力および温度25℃で測定して100〜15000mPasの範囲の動的粘度を有する少なくとも1種のポリブタジエンと1,8−trans−ポリオクテナマーとの混合物と
の混合物を含み、ここで、a)とb)との重量部の総和が100であり、および架橋剤として元素状硫黄を用いて架橋される、NR、EPDM、NBR、CR、BR、SBR、XNBRの群からの少なくとも1種のゴムが使用されることを特徴とする直接接着性複合材料に関する。
好ましい実施では、本発明は、少なくとも1種のポリアミド成形コンパウンドから製造された少なくとも1つの構成成分および少なくとも1種のエラストマー構成成分からの複数の構成成分からなる直接接着性複合材料において、そのポリアミド成形コンパウンド物が、少なくとも30重量%の下記の、
a)60〜99.9重量部のPA66と、
b)0.1〜40重量部の、800〜20000g/molの範囲の数平均分子量Mnを有し、および/またはDIN 53019のコーンプレート法により標準圧力および温度25℃で測定して100〜15000mPasの範囲の動的粘度を有する少なくとも1種のポリブタジエンと1,8−trans−ポリオクテナマーとの混合物と
の混合物を含み、ここで、a)とb)との重量部の総和が100であり、および架橋剤として元素状硫黄を用いて架橋される、NR、EPDM、NBR、CR、BR、SBR、XNBRの群からの少なくとも1種のゴムが使用されることを特徴とする直接接着性複合材料に関する。
好ましい実施では、本発明は、少なくとも1種のポリアミド成形コンパウンドから製造された少なくとも1つの構成成分および少なくとも1種のエラストマー構成成分からの複数の構成成分からなる直接接着性複合材料において、そのポリアミド成形コンパウンド物が、少なくとも30重量%の、
a)60〜99.9重量部のPA6と、
b)0.1〜40重量部の、800〜20000g/molの範囲の数平均分子量Mnを有し、および/またはDIN 53019のコーンプレート法により標準圧力および温度25℃で測定して100〜15000mPasの範囲の動的粘度を有する少なくとも1種のポリブタジエンと1,8−trans−ポリオクテナマーとの混合物と
の混合物を含み、ここで、a)とb)との重量部の総和が100であり、および架橋剤として元素状硫黄を用いて架橋されるEPDMゴムが使用されることを特徴とする直接接着性複合材料に関する。
好ましい実施では、本発明は、少なくとも1種のポリアミド成形コンパウンドから製造された少なくとも1つの構成成分および少なくとも1種のエラストマー構成成分からの複数の構成成分からなる直接接着性複合材料において、そのポリアミド成形コンパウンド物が、少なくとも30重量%の、
a)60〜99.9重量部のPA66と、
b)0.1〜40重量部の、800〜20000g/molの範囲の数平均分子量Mnを有し、および/またはDIN 53019のコーンプレート法により標準圧力および温度25℃で測定して100〜15000mPasの範囲の動的粘度を有する少なくとも1種のポリブタジエンと1,8−trans−ポリオクテナマーとの混合物と
の混合物を含み、ここで、a)とb)との重量部の総和が100であり、および架橋剤として元素状硫黄を用いて架橋されるEPDMゴムが使用されることを特徴とする直接接着性複合材料に関する。
好ましくは、ここに記載された実施形態では、ポリオクテナマーとポリブタジエンとが互いに1部のポリオクテナマー:4部のポリブタジエン〜4部のポリオクテナマー:1部のポリブタジエンの質量比で使用される。
最後に、本発明は、少なくとも1種のポリアミド成形コンパウンド物から製造された少なくとも1種の構成成分、および好ましくは架橋剤として元素状硫黄を用いて加硫または架橋されるゴムから得ることが可能である少なくとも1種のエラストマーから製造された少なくとも1種の構成成分からなる直接接着性複合材料を、押出し成形法、フラットフィルム押出し成形法、フィルムブローイング成形法、押出しブローイング成形法、共押出し成形法、カレンダー成形法、キャスティング成形法、圧縮成形法、射出エンボス成形法、トランスファー圧縮成形法、トランスファー射出圧縮成形法もしくは射出成形法またはそれらの特別な方法、特にガス射出成形の群からの少なくとも1種の成形方法により、ポリアミド成形コンパウンド物からなる構成成分をゴム成分と接触させるか、またはそれをゴムの加硫条件に曝露させるか、またはゴムからなる構成成分をポリアミド成形コンパウンド物、少なくとも1種の構成成分のための成形コンパウンド物、好ましくはポリオクテナマーとポリブタジエンとの混合物を含むポリアミド成形コンパウンド物と接触させるかのいずれかによって、好ましくはいかなる接着促進剤も使用せずに製造するためのプロセスにも関する。
しかしながら、本発明は、少なくとも1種のポリアミド成形コンパウンド物からなる少なくとも1種の構成成分、および好ましくは元素状硫黄を用いて加硫または架橋されるゴムから得ることが可能である少なくとも1種のエラストマーからなる少なくとも1種の構成成分から直接接着性複合材料を製造するための、ポリオクテナマーとポリブタジエンとの混合物の使用にも関し、ここで、その混合物は、少なくとも1種の構成成分の成形コンパウンド物中で、好ましくはポリアミド成形コンパウンド物中で使用される。
1.使用したポリアミド成分:
ポリアミド成分の組成を表1にまとめた。
ポリアミド成分の構成成分は、成形組成物全体を基準にした質量部の単位で記述されている。
表1におけるポリアミド成分の製造:
表1に記載のポリアミド成分1〜5の構成成分をLeistritz ZSE 27 MAXX 2軸スクリューエクストルーダー(Leistritz Extrusionstechnik GmbH(Nuremberg)製)内で混合して、ポリアミド成形コンパウンド物を得た。すべてのポリアミド成分について、260〜300℃の溶融温度および8〜60kg/時間の処理量でコンパウンディングを実施した。溶融物は、ストランドとして水浴中に排出してからペレット化した。
コンパウンディング後、そのポリアミド成形コンパウンド物を乾燥空気ドライヤーにおいて80℃で4時間乾燥させてから、射出成形操作によりそれらを加工した。
表2は、ポリアミド成分1〜5におけるポリオクテナマー対ポリブタジエンの得られた質量比を示す。
2.使用したエラストマー成分:
加硫の後で得られたエラストマー成分のゴム混合物の組成を表3にまとめた。
エラストマー成分のゴム混合物の構成は、ゴム100質量部を基準にして質量部で表している。
ゴム混合物は、Werner&Pfleiderer GK 5Eラボ用インターナルミキサーにより製造した。
3.2成分系射出成形法によるポリアミド成分およびエラストマー成分からの複合材料試験片の作成:
本発明の材料の組合せによる接着強度の向上を検証するために、多成分射出成形プロセスで複合材料の試験片を作成した。Engel Combimelt 200H/200L/80型2成分系射出成形機(Engel Austria GmbH(Schwertberg,Atustria)製)を使用し、使用した射出成形金型は2−キャビティターンテーブル金型であった。
2K射出成形プロセスは2工程で実施した、すなわち、最初に射出成形によってポリアミド成分を製造し、乾燥させ、そのポリアミド成分をダストフリーの状態で24時間貯蔵し、およびそのポリアミド成分を2K射出成形機のエラストマー金型キャビティに再挿入し、ゴム成分を用いて重ね成形し、次いで加硫させた。ポリアミド成分は、予備加熱してエラストマーの金型温度に20分おいてから、金型内に再挿入した。
射出成形金型の熱可塑性プラスチックキャビティ内で射出成形により60mm×68mm×4mmのPAシートを作成した。ゴムキャビティは、140mm×25mm×6mmの寸法を有し、44.5mm×25mmの熱可塑性プラスチックのシートに対して重なりを形成した。
以下の射出成形設定を用いて複合材料試験片のポリアミド成分を作成した:バレル温度;270/275/275/270/265℃、射出速度;15cm3/秒、金型温度;85℃、保持圧力;450bar、圧力保持時間;20秒、冷却時間;15秒。
以下の射出成形設定を用いて複合材料試験片のエラストマー成分を作成した:バレル温度;100℃、射出速度;7cm3/秒、金型温度;165℃、保持圧力;300bar、圧力保持時間;90秒、加硫時間:10分。
4.ポリアミド成分およびエラストマー成分からの複合材料試験片の剥離試験による試験:
ポリアミド成分1〜5とエラストマー成分Aとの組成に基づく複合材料の試験片を少なくとも24時間保存した後、それらを、接着強度を試験するための90度剥離試験にかけた。剥離試験は、DIN ISO 813に基づき、Zwick Z 010万能試験機(Zwick GmbH(Ulm,Germany)製)を使用して実施した。この試験では、複合材料の試験片を、熱可塑性プラスチック成分(本明細書の場合にはポリアミド)に合わせた特殊な装置を用いて引張試験機に90度の角度でクランプ止めし、引張応力下においた。プリテンション力は0.3N、試験速度は100mm/分であった。接着強度は、25mmのエラストマー成分幅についてNの単位で測定した最大力から得られる。
ポリアミド成分1〜5とエラストマー成分Aとの複合材料試験片についての剥離試験の結果、すなわち、得られた接着強度を表4にまとめた。
ポリアミド成分1および2からなる複合材料試験片は、3N/mmよりも高い接着強度を示した。ポリアミド成分3、4および5からなる複合材料試験片は、顕著に高い接着強度を有していた。この場合の接着強度は、ポリアミド成分1および2と比較して約2倍〜5倍も高かった。
したがって、まとめると、表4は、ポリアミド成分において、本発明のポリオクテナマーとポリブタジエンとの混合物の使用により、顕著に高い接着強度が得られることを示している。