以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
また、通常発行とは、ラベル連続体として、複数枚のラベルが長尺帯状の台紙に仮着された連続状のラベル(台紙有りラベル)を用いた場合に、ラベルを台紙から剥がさないで台紙に貼り付けたままプリンタから発行する方式をいい、剥離発行とは、ラベルを1枚毎に台紙から剥がしてプリンタから発行する方式をいう。ラベル連続体として、一方面に粘着面を有する連続状のラベル(台紙無しラベル)や粘着面を有しない連続状のシート(連続シート)等のようなラベルが仮着されないものを使用する場合は、通常発行が適用される。
(第1の実施の形態)
図1(a)は本実施の形態に係るプリンタの通常発行状態の全体斜視図、図1(b)は図1(a)のプリンタの剥離発行状態の全体斜視図、図2は開閉カバー部の開放状態における図1のプリンタおよびラベル連続体の外観を示す全体斜視図、図3は図1のプリンタの開閉カバー部の要部斜視図、図4は図2のプリンタの剥離ユニットとその周囲の要部拡大斜視図、図5は図4の剥離ユニットの要部側面図である。
本実施の形態のプリンタ1は、図1に示すように、例えば、扁平な直方体形状に形成された携帯型のラベルプリンタであり、本体ケース(筐体)2と、開閉カバー部3と、剥離ユニット4と、フロントカバー部5とを備え、1台で通常発行と剥離発行との切り換えが可能な兼用型の構成を備えている。なお、プリンタ1は、発行口側を上に向けた状態(横置き)で使用することも可能であるが、プリンタ1の底面に設けられたベルトフック(図示せず)を作業者のベルトに引っかけたり、ショルダーベルト(図示せず)を装着して作業者の肩に掛けたりすることにより発行口側を横に向けた状態(縦置き)で使用することも可能である。
本体ケース2は、プリンタ1の外形の一部を形成する筐体であり、その一面には、図2に示すように、開口部2aが形成されている。この開口部2a内には、用紙収容部(印字媒体収容部)6が設けられている。用紙収容部6は、ロール状のラベル連続体(印字媒体)Pを収容する領域であり、その内部には用紙ガイド機構部7の一対のガイド板(ガイド部材)7aが設置されている。用紙ガイド機構部7は、ラベル連続体Pをその幅に合わせて支持しガイドする機構部である。なお、用紙ガイド機構部7については後述する。また、図2においては一対のガイド板7aの一方のみが示されている。
ラベル連続体Pは、図2に示すように、例えば、長尺状の台紙PMと、その長手方向に沿って予め決められた間隔毎に仮着された複数枚のラベルPLとを有しており、ロール状に巻回された状態で用紙収容部6内に収容される。台紙PMのラベル貼付面には、ラベルPLを容易に剥離することが可能なようにシリコーン等のような剥離剤が被覆されている。また、台紙PMのラベル貼付面の裏面には、長手方向に沿って予め決められた間隔毎にラベルPLの位置を示す位置検出マーク(図示せず)が形成されている。ラベルPLの表面(印字面)には、予め決められた温度領域に達すると特定の色(黒や赤等)に発色する感熱発色層が形成されている。
なお、本体ケース2の片側側面には、図1および図2に示すように、バッテリーカバー部8が開閉可能な状態で軸支されている。このバッテリーカバー部8は、後述のバッテリー収容部(図1〜図3には図示せず)の開閉カバーである。
開閉カバー部3は、用紙収容部6の開閉カバーであり、開閉カバー部3の長手方向一端部(本体ケース2の長手方向中央側)が本体ケース2に対して離間および接近する方向に移動可能なように、開閉カバー部3の長手方向他端部が本体ケース2の長手方向一端部にヒンジ等により軸支されている。また、開閉カバー部3は、その長手方向他端部側に配置されたトーションバネ(図1〜図3には図示せず)により開方向(開閉カバー部3の長手方向一端部が本体ケース2から離間する方向)に付勢されている。
この開閉カバー部3の長手方向一端部には、図2および図3に示すように、一対のユニット押さえ部3a,3aが形成されている。この一対のユニット押さえ部3a,3aは、剥離発行時において開閉カバー部3を閉止した場合に剥離ユニット4を剥離発行位置に固定するように押さえる部分であり、開閉カバー部3の幅方向(開閉カバー部3の長手方向に直交する方向)の両端部側に形成されている。
また、開閉カバー部3の長手方向一端部には、図2および図3に示すように、プラテンローラ(搬送ローラ)10が正逆方向に回動自在の状態で軸支されている。このプラテンローラ10は、ラベル連続体Pを搬送する搬送手段であり、ラベル連続体Pの幅方向に沿って延在した状態で設置されている。
このプラテンローラ10のプラテン軸10aの一端部には、ギア10bが接続されている。このギア10bは、開閉カバー部3の閉止時に開口部2a内に設置された図示しないギア等に係合され、そのギア等を介してローラ駆動用のステッピングモータ(図示せず)等に機械的に接続されるようになっている。
また、図2および図3に示すように、開閉カバー部3の長手方向一端部においてプラテンローラ10の近傍には剥離ピン11がプラテンローラ10に沿って設置されている。この剥離ピン11は、台紙PMからラベルPLを剥離する剥離部材であり、その長手方向両端部側は開閉カバー部3に軸支されている。
また、図2および図3に示すように、開閉カバー部3の長手方向一端部において開閉カバー部3の閉止時に通紙ルートに対向する面部分には、センサ12(12a,12b)が設置されている。センサ12aは、例えば、ラベルPLの位置(上記台紙PMの位置検出マークや隣り合うラベルPL間の台紙PM部分等)を検出するセンサであり、反射型の光センサ等により構成されている。一方、センサ12bは、例えば、ラベル連続体Pの有無を検出するセンサであり、透過型の光センサ等により構成されている。
剥離ユニット4は、剥離発行時に台紙PMからラベルPLを剥がして台紙PMとラベルPLとの搬送経路を分ける機能を備えており、その長手方向一端部を、プリンタ1の内部の通常発行位置と、プリンタ1の外部の剥離発行位置とに移動させることが可能な状態で設置されている。
剥離ユニット4は、図4および図5に示すように、ニップローラ4aと、軸部4bと、一対の支持部4c,4cと、一対の板バネ4daと、ネジ4eとを備えている。
ニップローラ4aは、剥離発行時にプラテンローラ10に対向するように配置され、ニップローラ4aとプラテンローラ10との間に挿入される台紙PMをニップローラ4aとプラテンローラ10とで挟み込み搬送する部材である。
このニップローラ4aは、例えば、ゴムのような弾性部材により形成されており、一対の支持部4c,4cの長手方向一端部側の間に挟持された軸部4bに回動自在の状態で軸支されている。また、ニップローラ4aは、その軸方向長さが軸部4bの全長よりも短く形成されており、軸部4bの軸方向中央に部分的に配置されている。このようなニップローラ4aは、剥離発行時にラベル連続体Pを介してプラテンローラ10側に押されることで、プラテンローラ10の回転に追従して回転するようになっている。
一対の支持部4c,4cは、ニップローラ4aおよび軸部4bを支持する部材である。各支持部4c,4cの長手方向一端部側の上部には、各支持部4c,4cの側面から外側に向かって延びる庇部4cpが形成されている。また、各支持部4c,4cの長手方向他端部側には、ガイドレール孔4chが形成されている。このガイドレール孔4chは、剥離ユニット4の移動をガイドするとともに、その移動を規制する孔であり、支持部4cの長手方向に沿って長孔状に形成されている。
一対の板バネ4da,4daは、剥離発行時に開閉カバー部3が閉じると開閉カバー部3の押さえ部3aが当接されることによりニップローラ4aをプラテンローラ10側に付勢する弾性構造体である。各板バネ4daは、各支持部4c,4cの外側側面において、支持部4cの長手方向一端部側(ニップローラ4aのある側)に固定され、そこから長手方向他端部側(ガイドレール孔4chのある側)に向かって湾曲状に延在し、終端部で浮遊状態になっている。
ここでは、開閉カバー部3を閉めると、開閉カバー部3のユニット押さえ部3aが、剥離ユニット4の庇部4cpと板バネ4daとの隙間に配置され、板バネ4daに接触した状態で剥離ユニット4を押さえるようになっている。これにより、剥離ユニット4が剥離発行位置に固定されるとともに、剥離ユニット4のニップローラ4aがプラテンローラ10側に付勢されるようになっている。したがって、剥離発行時に剥離ユニット4のニップローラ4aをプラテンローラ10にしっかりと安定した状態で付勢することができる。
フロントカバー部5は、図1および図2に示すように、本体ケース2の開口部2aにおいて開閉カバー部3の向かい側および本体ケース2の両側面近傍部分を覆うように本体ケース2に固定されている。このフロントカバー部5には、表示部15と、操作ボタン16a,16bと、電源ボタン17と、カバーオープンボタン18と、一対の解除レバー部19,19と、カッタ20とが備えられている。
表示部15は、操作コマンドやメッセージ等を表示する画面であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されている。操作ボタン16a,16bは、プリンタ1の動作や設定を操作するボタンであり、電源ボタン17は、プリンタ1の電源をオンオフするボタンである。
カバーオープンボタン18は、開閉カバー部3を開くためのボタンである。解除レバー部19,19は、剥離ユニット4を通常発行位置に保持する部材であり、これらを互いに接近する方向に移動させることにより剥離ユニット4の保持状態を解除することが可能になっている。
カッタ20は、通常発行後のラベル連続体Pの台紙PMを切断する部材であり、フロントカバー部5において開閉カバー部3の向かい側の先端部に、プリンタ1の短方向(プラテンローラ10の軸方向)の端から端に向かって延在形成された状態で設置されている。なお、開閉カバー部3とフロントカバー部5との間に発行口が形成されている。
次に、プリンタ1の内部構造について図6を参照して説明する。図6(a)は図1(a)の通常発行時のプリンタの概略構成図、図6(b)は図1(b)の剥離発行時のプリンタの概略構成図である。
図6に示すように、本体ケース2の開口部2a内には、印字本体部26が用紙収容部6に隣接した状態で設置されている。印字本体部26は、ラベル連続体PのラベルPLに印字を施すための機能部であり、ヘッドブラケット27と、サーマルヘッド(印字部)28と、コイルバネ29と、剥離ユニット4と、バッテリー収容部33とを備えている。
ヘッドブラケット27は、閉止状態の開閉カバー部3を保持する部材であり、開閉カバー部3の閉止時にプラテンローラ10の向かい側に揺動自在の状態で設置されている。このヘッドブラケット27に形成された溝内に、プラテンローラ10のプラテン軸10aが嵌め込まれることにより、開閉カバー部3は、ヘッドブラケット27に保持されるようになっている。
また、ヘッドブラケット27には、押圧部27aが一体形成されている。この押圧部27aは、カバーオープンボタン18に対向する位置(直下)に配置されており、カバーオープンボタン18を押すと押圧部27aも押され、ヘッドブラケット27による開閉カバー部3の保持状態が解除されるようになっている。そして、この開閉カバー部3の保持状態が解除されると、開閉カバー部3は、その長手方向他端部側に配置されたトーションバネ35の付勢力により自動的に開くようになっている。
サーマルヘッド28は、例えば、文字、記号、図形またはバーコード等のような情報をラベルPLに印字する印字手段であり、開閉カバー部3の閉止時にプラテンローラ10に対向するようにサーマルヘッド28の印字面を通紙ルートに向けた状態で回路基板36を介してヘッドブラケット27に実装されている。サーマルヘッド28の印字面には、通電により発熱する複数の発熱抵抗体(発熱素子)がラベル連続体Pの幅方向(台紙PMの短方向)に沿って並んで設置されている。なお、回路基板36は、サーマルヘッド28に印字信号を伝送する配線基板である。
コイルバネ29は、開閉カバー部3の閉止時にヘッドブラケット27およびサーマルヘッド28をプラテンローラ10側に付勢する部材であり、ヘッドブラケット27の背面側(回路基板36の実装面の裏面)に設置されている。このコイルバネ29の付勢力によりヘッドブラケット27がプラテンローラ10側に押されるので、ヘッドブラケット27の溝内に嵌り込んだプラテン軸10aも押さえられ、ヘッドブラケット27による開閉カバー部3の保持状態が維持されている。
次に、プリンタ1の通常発行および剥離発行について図7(a),(b)を参照して説明する。図7(a)は図6(a)の通常発行時のプリンタにおいてラベル連続体を用紙収容部6にセットした状態を示した概略構成図、図7(b)は図6(b)の剥離発行時のプリンタにおいてラベル連続体を用紙収容部6にセットした状態を示した概略構成図である。
通常発行および剥離発行のいずれの場合も印字工程においては、用紙収容部6から繰り出されたラベル連続体Pをサーマルヘッド28とプラテンローラ10との間に挟み込んだ状態でプラテンローラ10を回転させることによりラベル連続体Pを搬送するようになっている。この搬送の際、センサ12により検出された情報に基づいて印字タイミングを図り、サーマルヘッド28に送信された印字信号によりサーマルヘッド28の発熱抵抗体を選択的に発熱させてラベル連続体PのラベルPLに所望の情報を印字するようになっている。
ここで、通常発行の場合、図7(a)に示すように、剥離ユニット4はプリンタ1の内部(カッタ20の下側)の通常発行位置に配置される。印字後のラベルPLは、台紙PMから剥がされることなく排出される。通常発行の場合、必要枚数のラベルPLが貼られた台紙PMを作成しておき、現場でラベルPLを台紙PMから剥がして貼り付けることができるので、ラベルPLを貼り付ける対象物がプリンタ1から離れた場所にある場合に適している。
一方、剥離発行の場合、図7(b)に示すように、剥離ユニット4は剥離発行位置に配置されるとともに、剥離ピン11を介して台紙PMを剥離ユニット4のニップローラ4aとプラテンローラ10との間に挟み込んだ状態に設定される。これにより、印字のためにプラテンローラ10を回転させラベル連続体Pを搬送すると、台紙PMはニップローラ4aとプラテンローラ10とに挟まれた状態で搬送される一方、印字後のラベルPLは1枚毎に台紙PMから剥がされて機外に排出されるようになっている。剥離発行の場合、ラベルPLが1枚ずつ排出されるので、ラベルPLを貼り付ける対象物が作業者の近くにある場合に適している。
本実施の形態のプリンタ1においては、通常発行と剥離発行との切り換えができるので、ラベルPLを貼り付ける対象物がプリンタ1に近い場合と遠い場合との2つの状況に1台で対応でき、使い勝手が良く経済的である。
次に、上記した用紙ガイド機構部7について図8〜図16を参照して説明する。図8は図1のプリンタを構成する用紙ガイド機構部の斜視図、図9は図8の用紙ガイド機構部を構成する一方のガイド板および操作部のロック状態における側面の拡大斜視図、図10は図9のガイド板および操作部の分解斜視図、図11は図8の用紙ガイド機構部を構成する一方のガイド板および操作部のロック状態における拡大側面図、図12はプリンタの本体ケースとその内部に収容されたガイド板とを図11の状態のガイド板の裏面側から見た場合の側面図、図13は図8の用紙ガイド機構部を構成する一方のガイド板と第2の突出長に設定した操作部との拡大側面図、図14はプリンタの本体ケースとその内部に収容されたガイド板とを図13の状態のガイド板の裏面側から見た場合の側面図、図15(a)は開閉カバー部の閉止時のガイド板の側面図、図15(b)は図15(a)の状態の開閉カバー部およびガイド板を図15(a)の反対面側から見た側面図、図16(a)は図8のガイド板のロック状態における操作部と本体ケースの底面との係合部の要部拡大斜視図、図16(b)は図8のガイド板のロック解除状態における操作部と本体ケースの底面との係合部の要部拡大斜視図である。
図8に示すように、用紙ガイド機構部7は、一対のガイド板7a,7aと、一対の脚部7b,7bと、スライド機構部7cと、操作部7dとを備えている。なお、図8には一方の脚部7bのみが示されている。
一対のガイド板7a,7aは、ロール状のラベル連続体Pの幅方向(ラベル連続体Pの短方向)両端面に接触した状態でロール状のラベル連続体Pを回転自在の状態で支持してラベル連続体Pをガイドする部材であり、ラベル連続体Pの幅方向の両端面に接触する面を対向させ、互いに接近離間する方向に移動可能な状態で設置されている。各ガイド板7a,7aは、例えば、平面略円形状に形成されており、その下部(各ガイド板7a,7aにおいて用紙収容部6の底面側)には、それぞれ脚部7b,7bが一体成形されている。
スライド機構部7cは、一対のガイド板7a,7aを互いに接近離間する方向に移動させるための機構部であり、一対のラック部7crと、ピニオン部7cpと、スライドバー7cbとを備えている。
一対のラック部7crは、各脚部7b,7bから互いに対向するガイド板7a,7aに向かって延び、それらの対向間にピニオン部7cpを挟み込んだ状態で設置されている。各ラック部7cr,7crの対向辺には、その辺に沿って複数の歯が形成されている。各脚部7b,7bおよび各ラック部7cr,7crの下部(用紙収容部6の底面側の部分)は、本体ケース2の底面においてラベル連続体Pの幅方向に延びるように形成された溝(図示せず)に摺動可能な状態で嵌合されている。
ピニオン部7cpは、本体ケース2の底面に回動自在の状態で軸支されており、その外周には複数の歯が形成されている。このピニオン部7cpは、その外周の歯に、各ラック部7cr,7crの複数の歯が噛合されることで2つのラック部7cr,7crと係合されている。これにより、一方のガイド板7aをラベル連続体Pの幅方向に移動させるとそれに接続された一方のラック部7crも同方向に移動するので、そのラック部7crに係合されたピニオン部7cpが回転する結果、ピニオン部7cpに係合された他方のラック部7crが移動して、その他方のラック部7crに接続された他方のガイド板7aを、一方のガイド板7aの移動方向に対して反対方向に移動させることが可能になっている。
このようなラック部7crおよびピニオン部7cpの構成により、一対のガイド板7a,7aは、ラベル連続体Pの幅(ラベル連続体Pの短方向の長さ)に応じて位置を変えられるように、ラベル連続体Pの幅方向に沿って互いに接近離間する方向に移動することが可能になっている。その結果、ラベル連続体Pを、そのサイズ(幅)に応じて適切な位置で保持することができるので、正しい姿勢に規制した状態で搬送することができるようになっている。
スライドバー7cbは、一対のガイド板7a,7aの接近離間方向への移動をガイドする部材であり、本体ケース2の底面側においてガイド板7aの移動方向(ラベル連続体Pの幅方向)に沿って延び、各ガイド板7a,7aの各脚部7b,7bを貫通して本体ケース2に固定されている。これにより、一対のガイド板7a,7aを安定した状態で移動させることが可能になっている。
操作部7dは、図8〜図15に示すように、ガイド板7aをロック(固定)状態およびロック解除状態に設定する操作部であり、一方のガイド板7aの外側の側面(本体ケース2の内側面に対向するガイド板7aの側面)において印字本体部26側(脚部7b側)に設置されている。
この操作部7dは、図9〜図11、図13および図15等に示すように、スライダ部(移動部材)SAと、コイルバネ(弾性部材)CBとを備えている。なお、図11、図13および図15においては、コイルバネCBの状態を見易くするために操作部7dの内部を透かして見せている。
スライダ部SAは、ロック方向A1(図11参照)およびロック解除方向B1(図13参照)に移動することによりガイド板7aをロック(固定)状態およびロック解除状態に設定する本体部分である。ここで、ロック方向A1は、スライダ部SAの底面(本体ケース2の底面に対向する面)を本体ケース2の底面に接近させる方向(図8〜図15の下方向)であり、ロック解除方向B1は、スライダ部SAの底面を本体ケース2の底面から離間させる方向(図8〜図15の上方向)である。
このスライダ部SAは、例えば、プリンタ1の本体ケース2の底面から開閉カバー部3側に向かって細長く延びる長方形状の薄板により構成されており、突出部40a〜40dと、枠体部40eと、先端部40fとを一体的に備えている。
突出部40a〜40dは、スライダ部SAの2つの長辺の各々に2個ずつその長辺に対して交差する方向に突出した状態で形成されている。スライダ部SAは、ガイド板7aの側面に形成された支持部41a〜41dの凹内に、突出部40a〜40dが嵌合されることにより、ロック方向A1およびロック解除方向B1に移動可能な状態で支持されている。
スライダ部SAの枠体部40eの枠内には、図10、図11、図13および図15(a)に示すように、固定突部42aがガイド板7aの外側の側面に固定された状態で設置されている。この固定突部42aは、ガイド板7aのロック状態とロック解除状態とを分ける突部であり、スライダ部SAの幅方向(短方向)であってスライドバー7cbの方向に向かって突状に形成されている。
また、枠体部40eの枠内において、固定突部42aの向かい側には、枠状の弾性部材で構成された板バネ部40gと可動突部40hとが設置されている。可動突部40hは、板バネ部40gの長手方向中央から固定突部42a側に向かって突出しており、ガイド板7aのロック時において固定突部42aと噛み合うように設置されている。この可動突部40hが固定突部42aに対して本体ケース2の底面側に位置する場合はガイド板7aがロック状態となり、可動突部40hが固定突部42aに対して開閉カバー部3側に位置する場合はガイド板7aがロック解除状態となる。
このような枠体部40e、板バネ部40gおよび可動突部40hは、例えば可撓性を有するプラスチックにより一体成形されており、スライダ部SAの移動と一緒に移動するようになっている。スライダ部SAの移動により可動突部40hが固定突部42aを越える場合は、板バネ部40gが固定突部42aに押されて固定突部42aから離間する方向に撓むが、可動突部40hが固定突部42aを越えきると、板バネ部40gは元の状態に戻るようになっている。これにより、スライダ部SAに対して、ある程度の力を加えなければ、ガイド板7aのロック状態およびロック解除状態の相互間の切り換えができないようになっている。
また、枠体部40eの枠内には、バネ支持部42b,42cがガイド板7aの外側の側面に固定された状態で設置されている。バネ支持部42b,42cは、例えば、L字を形成するように一体成形されており、固定突部42aよりも先端部40f側に設置されている。バネ支持部42bには、突部42dが一体成形されている。一方、バネ支持部42cは、バネ支持部42bの一端部からコイルバネCBの長手方向側面を覆うようにコイルバネCBの長手方向に沿って延びている。
また、枠体部40e内において、バネ支持部42bの向かい側には、バネ支持部40iが設置されている。バネ支持部40iは、枠体部40eと一体成形されている。このバネ支持部40iとバネ支持部42bとの間には、コイルバネCBがそのリング部内に突部42dを挿入させた状態で設置されている。
コイルバネCBは、操作部7dのスライダ部SAがガイド板7aのロック解除位置に移動すると、スライダ部SAを本体ケース2の底面側から開閉カバー部3側に予め決められた長さだけ移動させて固定する弾性部材である。このコイルバネCBは、スライダ部SAがガイド板7aのロック位置にあるときに圧縮されている。すなわち、ガイド板7aのロック時においてスライダ部SAは、本体ケース2の底面から開閉カバー部3側に向かって付勢されている。このため、スライダ部SAがガイド板7aのロック解除位置に移動すると、コイルバネCBの圧縮状態が解かれコイルバネCBが伸展するので、スライダ部SAは、コイルバネCBの付勢力により、ガイド板7aのロック解除位置のときの高さ(本体ケース2の底面から閉止時の開閉カバー部3側に向かって離間する方向の位置)よりも高い位置に移動し固定される。その結果、開閉カバー部3側においてガイド板7aの外縁から突出するスライダ部SAの先端部40fの突出長(以下、単に、スライダ部SAの先端部40fの突出長という)は、ガイド板7aのロック解除位置におけるスライダ部SAの先端部40fの第1突出長よりも長い第2の突出長に設定される。すなわち、ガイド板7aのロック状態を解除すると、スライダ部SAの突出長を相対的に長い第2の突出長に自動的に設定することができるので、操作部7dの操作性を向上させることができる。ここで、ガイド板7aのロック解除位置とは、ガイド板7aのロック解除の最初の位置であり、ガイド板7aのロック解除位置におけるスライダ部SAとは、スライダ部SAの可動突部40hが固定突部42aに接触した状態で固定突部42aよりも開閉カバー部3側に移動した位置のスライダ部SAのことである。
特に、本実施の形態においては、スライダ部SAの先端部40fの第2の突出長(図13、図14参照)が、ガイド板7aのロック状態時におけるスライダ部SAの先端部40fの突出長(図11、図12参照)よりも長くなるように設定されており、ガイド板7aのロック解除状態を視認することが可能な長さに設定されている。ガイド板7aがロック状態の時とロック解除状態の時とでは、可動突部40hが固定突部42aを越える程度の僅かな変化しかないので、ガイド板7aがロック時とロック解除時とのスライダ部SAの突出状態を目視してもガイド板7aがロック状態なのかロック解除状態なのか判断することができない場合がある。これに対して本実施の形態においては、上記のようにスライダ部SAの先端部40fの第2の突出長が、上記第1の突出長よりも長くなるように設定されているので、スライダ部SAの先端部40fの突出長を目視することにより、ガイド板7aがロック状態なのかロック解除状態なのかを簡単かつ確実に判断することができる。したがって、ラベル連続体Pをプリンタ1に収容する場合の操作性を向上させることができる。
また、本実施の形態においては、スライダ部SAの先端部40fの第2の突出長が、作業者が操作するのに適した長さに設定されている。これにより、スライダ部SAの先端部40fを指で摘んでガイド板7aをラベル連続体Pの幅方向に合わせて移動させることができる。特に、スライダ部SAの先端部40fは、ガイド板7aをラベル連続体Pの幅方向に移動させる移動部分(脚部7b等)の直上に位置しているので、スライダ部SAに加えた力をガイド板7aの移動部分に良好に伝えることができる。このため、ガイド板7aをより安定した状態で移動させることができる。これらにより、一対のガイド板7a,7aの位置をラベル連続体Pの幅に合わせて容易に調整することができるので、ガイド板7aの位置調整の操作性を向上させることができる。
さらに、本実施の形態においては、スライダ部SAの先端部40fの第2の突出長が、開閉カバー部3を閉めた時にガイド板7aを自動的にロック状態にする長さに設定されている。これにより、開閉カバー部3を閉めると、開閉カバー部3によりスライダ部SAが押し下げられ、可動突部40hが固定突部42aよりも本体ケース2の底面側に移動する結果、ガイド板7aを自動的にロックすることができる。したがって、ラベル連続体Pをプリンタ1に収容する場合の操作性を向上させることができる。
次に、スライダ部SAの先端部40fの外縁は、開閉カバー部3を閉止した場合に開閉カバー部3の内壁面に沿うように湾曲した形状に形成されている(図15等参照)。また、スライダ部SAの先端部40fにおける外縁近傍の側面には、その湾曲状の外縁に沿って把手部40jが形成されている。この把手部40jは、ガイド板7aのロック状態を解除する場合に先端部40fを指で摘んでスライダ部SAを引き上げる際の引っ掛かりとなる部分であり、引き上げ易いように先端部40fの側面から先端部40fの厚さ方向に向かって突出している。
また、図14に示すように、スライダ部SAの先端部40fの内側の側面(一対のガイド板7aの対向する側の面)には、マーク(状態表示部)Mが、例えば、エンボス構造により形成されている。このマークMは、例えば、ガイド板7aがロック解除状態であることを示すマークであり、先端部40fにおいてガイド板7aの外縁から突出する部分に目視可能なように形成されている。このように、スライダ部SAにマークMを設けたことにより、ガイド板7aがロック解除状態であることをさらに簡単かつ確実に判断することができるので、プリンタ1にラベル連続体Pを収容する場合の操作性を向上させることができる。また、マークMをエンボス構造としたことにより、マークMの耐久性を向上させることができる。
マークMは、例えば、その長手方向(図14の上下方向)の両端部に鏃形状が形成されている。すなわち、図14において、マークMの長手方向下端部には先端(下方)に向かって次第に細くなるような矢印形状に形成され、マークMの長手方向上端部には先端(上方)に向かって次第に細くなるような矢印形状が形成されている。
ガイド板7aがロック解除状態の場合は、図14に示すように、マークMの長手方向両端部の矢印が目視可能とされる。この場合、マークMは、スライダ部SAがロック方向A1に移動可能であることを示唆することで、現状のガイド板7aがロック解除状態であることを示唆している。また、ここでは、図12に示すように、ガイド板7aがロック状態の場合にはマークMが目視されない。この場合、マークMが目視されないことで、現状のガイド板7aがロック状態であることを示唆(すなわち、現状のガイド板7aがロック解除可能であること示唆)している。
ただし、コイルバネCBの長さを調整する等により、ガイド板7aがロック状態の場合でもマークMを目視できるようにしても良い。この場合、マークMのロック解除方向を指し示す矢印部分(図14のマークMの長手方向上端部の矢印部分)を目視可能とする。すなわち、マークMは、スライダ部SAがロック解除方向B1に移動可能であることを示唆することで現状のガイド板7aがロック状態であることを示唆している。このように、1つのマークMでロック方向A1およびロック解除方向B1の両方を指し示すことができるので、場所をとらず、小さな操作部7d(スライダ部SA)にも形成することができる。したがって、マークMを設けたからといってプリンタ1の小型化が阻害されることもない。もちろん、マークMの矢印形状は、長手方向一端部のみに形成しても良い。例えば、マークMの長手方向下端部だけに矢印形状を形成し、ガイド板7aのロック解除状態時にマークMの矢印部を目視可能としても良い。この場合、マークMは、ガイド板7aがロック可能であることを示唆することで、現状のガイド板7aがロック解除状態であることを示唆している。
また、マークMは、図14に示すように、ガイド板7aの内側の側面(一対のガイド板7aが対向する側の面)を見た場合に目視可能になっているが、これに限定されるものではなく、例えば、マークMを貫通孔等で形成するとともに、コイルバネCBの長さを調整してスライダ部SAの先端部40fの突出長を変えることにより、ガイド板7aの外側の側面を見た場合でもマークMを目視可能としても良い。
また、マークMの形状は矢印形状に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、矢印以外の図形、文字、数字、記号、色彩、色彩の変化あるいはこれらの組み合わせにより形成しても良い。また、マークMの構造はエンボス構造に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、単純に記したもの、貫通孔で形成したもの、シール等を貼り付けたもの、あるいは、これらの組み合わせ(エンボス構造も含む)により形成しても良い。
このようなスライダ部SAの長手方向底面(すなわち、枠体部40eの底面)には、係合部40kが形成されている。この係合部40kには、図16に示すように、ラベル連続体Pの搬送方向(図16の紙面に交差する方向)に沿って延在する凹凸が、ガイド板7aの移動方向(ラベル連続体Pの幅方向、図16の左右横方向)に沿って交互に並設されている。この係合部40kの凹凸は断面で見ると、例えば、鋸形状に形成されている。
また、本体ケース2の底面においてスライダ部SAの長手方向底面に対応する位置には、本体ケース2側の係合部43が形成されている。この係合部43において、スライダ部SAの係合部40kの凹凸面に対向する面には、スライダ部SAの係合部40kの凹凸に対応するように、ラベル連続体Pの搬送方向に沿って延在する凹凸が、ガイド板7aの移動方向に沿って交互に並設されている。この係合部43の凹凸も断面で見ると、例えば、鋸形状に形成されている。
ガイド板7aのロックに際して、操作部7dのスライダ部SAがロック方向A1に移動することにより可動突部40hが固定突部42aの下で止められると、図16(a)に示すように、スライダ部SAの係合部40kの凹凸が本体ケース2の係合部43の凹凸に嵌まることによりガイド板7aがロックされるようになっている。一方、ガイド板7aのロック解除に際して、操作部7dのスライダ部SAがロック解除方向B1に移動することにより可動突部40hが固定突部42aの上に位置すると、図16(b)に示すように、スライダ部SAの係合部40kの凹凸が本体ケース2の係合部43の凹凸から離間することによりガイド板7aのロック状態が解除されるようになっている。
次に、本実施の形態のプリンタ1にラベル連続体Pをセットする方法の一例について図17〜図21を参照して説明する。
まず、図17(a)は開閉カバー部の閉止時のプリンタをその側面側から見た要部概略構成図、図17(b)は図17(a)のプリンタを正面側から見た要部概略構成図である。なお、図17(a)においては、コイルバネCBの状態を見易くするために操作部7dの内部を透かして見せている。
開閉カバー部3の閉止時には、操作部7dのスライダ部SAが開閉カバー部3に押され、スライダ部SAの係合部40kが本体ケース2の底面の係合部43(図16参照)に係合されており、ガイド板7aはロック状態になっている。
次いで、図18は開閉カバー部の開放時のプリンタをその側面側から見た要部概略構成図、図19は図18のプリンタを正面側から見た要部概略構成図である。なお、図18においては、コイルバネCBの状態を見易くするために操作部7dの内部を透かして見せている。
プリンタ1のカバーオープンボタン18(図1等参照)を押すことにより、図18に示すように、開閉カバー部3を開ける。この段階においては、操作部7dのスライダ部SAの可動突部40hが固定突部42aに係合されている(開閉カバー部3を開けただけではスライダ部SAの可動突部40hと固定突部42aとの係合状態は解除されない)ので、図19に示すように、操作部7dのスライダ部SAは上昇せず、スライダ部SAの高さは変わらない。このため、スライダ部SAの係合部40kが本体ケース2の係合部43に係合されており、ガイド板7aのロック状態が維持されている。
次いで、図20〜図21は図19に続く工程中のプリンタを正面側から見た要部概略構成図である。
まず、図20(a)に示すように、スライダ部SAの先端部40fにおいてガイド板7aから突出する部分を指で摘み、スライダ部SAの可動突部40hを固定突部42aよりも開閉カバー部3の開放口側に移動することによりガイド板7aのロック状態を解除する。すると、スライダ部SAは、コイルバネCBの作用により開閉カバー部3の開放口側に自動的に移動し、コイルバネCBが延びきったところで固定される。これにより、スライダ部SAの先端部40fの突出長が上記した第2の突出長に設定される。すなわち、ガイド板7aのロック状態を解除すると、スライダ部SAの突出長を相対的に長い第2の突出長に自動的に設定することができるので、操作部7dの操作性を向上させることができる。
続いて、図20(b)に示すように、スライダ部SAの先端部40fの突出部分を指で摘んで、一方のガイド板7aを外側(向かい側の本体ケース2の内側面)に向かって移動する。すると、一方のガイド板7aに接続された一方のラック部7crも同方向に移動するので、一方のラック部7crに係合されたピニオン部7cpが回転する。その結果、ピニオン部7cpに係合された他方のラック部7crが移動するので、他方のラック部7crに接続された他方のガイド板7aが一方のガイド板7aから離間する方向に移動する。
ここで、スライダ部SAの先端部40fが指で摘む上で充分に突き出していないと、本体ケース2の側壁に邪魔されてスライダ部SAの先端部40fを摘むことが難しい。これに対して、本実施の形態においては、スライダ部SAの先端部40fが摘み易い位置まで突出し固定されているので、スライダ部SAの先端部40fの突出部分を容易に摘むことができ、ガイド板7aを容易に移動させることができる。また、スライダ部SAの先端部40fは、ガイド板7aをラベル連続体Pの幅方向に沿って移動させる移動部分(脚部7b等)の直上に位置しているので、スライダ部SAに加えた力をガイド板7aの移動部分に良好に伝えることができる。このため、ガイド板7aをより安定した状態で移動させることができる。したがって、ガイド板7aの位置調整の操作性を向上させることができる。また、スライダ部SAは1部品で構成されており、高い機械的強度を得ることができるので、ガイド板7aの位置を調整する上で好ましい。
続いて、図21(a)に示すように、本体ケース2の開口部2aを通じて一対のガイド板7aの間にラベル連続体Pを配置した後、図21(b)に示すように、操作部7dのスライダ部SAにおける先端部40fの突出部分を指で摘み、一方のガイド板7aをラベル連続体Pに向かって移動すると、上記と同様に一対のラック部7cとピニオン部7cpとの動作により他方のガイド板7aもラベル連続体Pに向かって移動する。これにより、ラベル連続体Pの幅方向両端面に一対のガイド板7aの各々を接触させた状態でラベル連続体Pを保持する。本実施の形態においては、スライダ部SAの先端部40fの突出部分を指で摘んでガイド板7aを容易かつ安定した状態で移動することができるので、一対のガイド板7a,7aの位置をラベル連続体Pの幅に合わせて容易に調整することができる。したがって、ガイド板7aの位置調整の操作性を向上させることができる。
また、ガイド板7aがロック状態の時とロック解除状態の時とでは、可動突部40hが固定突部42aを越える程度の僅かな変化しかないので、スライダ部SAの突出状態を目視してもガイド板7aがロック状態なのかロック解除状態なのか判断することができない場合がある。これに対して本実施の形態においては、スライダ部SAの先端部40fの第2の突出長(図13参照)が、ガイド板7aがロック時のスライダ部SAの先端部40fの突出長に比べて長いので、スライダ部SAの突出状態を目視することにより、ガイド板7aがロック状態なのかロック解除状態なのかを簡単に判断することができる。したがって、プリンタ1にラベル連続体Pを収容する場合の操作性を向上させることができる。
続いて、作業者は、操作部7dのスライダ部SAを手で押し下げてガイド板7aをロック状態にしても良いが、ここでは、ガイド板7aをロックせずに、開閉カバー部3を閉める。すると、図17(a)に示したように、開閉カバー部3の内壁面がスライダ部SAの先端部40fの突出部分に当接することにより、スライダ部SAが押し下げられ、スライダ部SAの底面の係合部40kが本体ケース2の底面の係合部43(図16参照)と係合する。これにより、ガイド板7aを自動的にロックすることができる。このように本実施の形態においては、開閉カバー部3を閉めると、ガイド板7aを自動的にロックすることができるので、プリンタ1にラベル連続体Pをセットする場合の操作性を向上させることができる。また、開閉カバー部3を閉めると、ガイド板7aを自動的にロックすることができるので、ガイド板7aをロックしないまま開閉カバー部3を閉止した場合にプリンタ1の動作中にガイド板7aがずれてしまう、というような不具合をも防止することができる。
(第2の実施の形態)
図22は第2の実施の形態のプリンタを構成する用紙ガイド機構部の一方のガイド板および操作部のロック解除状態における側面の拡大斜視図、図23は図22のガイド板および操作部の分解斜視図、図24は図22のガイド板および操作部のロック状態における拡大側面図、図25は図22のガイド板と第2の突出長に設定した操作部との拡大側面図である。なお、図24および図25においては、操作部7dの内部を透かして見せている。
本実施の形態において、操作部7dは、スライダ部(移動部材)SBを備えているが、コイルバネCBを備えていない。
スライダ部SBは、スライダ部SAと同様に、ロック方向A1(図24参照)およびロック解除方向B1(図25参照)に移動することによりガイド板7aをロック(固定)状態およびロック解除状態に設定する本体部分であり、スライダ部SAと同様に、ガイド板7aの外側の側面において印字本体部26(脚部7b)側に設置されている。
このスライダ部SBは、例えば、プリンタ1の本体ケース2の底面から開閉カバー部3側に向かって細長く延びる長方形状の薄板で構成されており、突出部40a,40b,40dと、枠体部40eと、先端部40fとを一体的に備えている。
スライダ部SBの枠体部40eの枠内には、図23〜図25に示すように、例えば、2つの固定突部42a,42eが一体成形された状態でガイド板7aの外側の側面に固定されている。このうち、固定突部42eは、スライダ部SBの先端部40fの突出長を第2の突出長に固定するための固定部であり、固定突部42aと同じ方向に向かって突状に形成されている。
ここで、スライダ部SBの移動により可動突部40hが固定突部42eを越える場合、板バネ部40gが固定突部42eに押されて固定突部42eから離間する方向に撓むが、可動突部40hが固定突部42eを越えきると、板バネ部40gは元の状態に戻るようになっている。これにより、スライダ部SBに対して、ある程度の力を加えなければ、操作部7dの第1の突出長と第2の突出長との相互間の切り換えができないようになっている。
この固定突部42eは、固定突部42aよりも開閉カバー部3側に配置されている。すなわち、固定突部42eは、固定突部42aよりも本体ケース2の底面から離れた位置に配置されている。このため、スライダ部SBの可動突部40hを固定突部42aの下部から上部(本体ケース2の底面側から固定突部42e側)に移動させた後、さらに、可動突部40hを固定突部42eの下部から上部(固定突部42a側から開閉カバー部3側)に移動させると、スライダ部SBの先端部40fの突出長が、上記第1の突出長よりも長い上記第2の突出長に設定される。すなわち、第2の実施の形態においては、操作部7dにコイルバネCBを用いないので、前記第1の実施の形態の場合よりも部品点数を低減することができるとともに、操作部7dの構造を簡単化することができるので、プリンタ1のコストを低減することができる。
本実施の形態においても、スライダSBの先端部40fの第2の突出長が、ガイド板7aのロック状態時のスライダ部SBの先端部40fの突出長(図24等参照)よりも長くなるように設定されており、ガイド板7aのロック解除状態を目視確認することが可能な長さに設定されている。これにより、スライダ部SBの先端部40fの突出長を目視することでガイド板7aがロック状態なのかロック解除状態なのかを簡単に判断することができる。したがって、ラベル連続体Pをプリンタ1に収容する場合の操作性を向上させることができる。
また、スライダ部SBの先端部40fの第2の突出長が、作業者が操作するのに適した長さに設定されている。これにより、スライダ部SBの先端部40fを摘んだ状態で動かすことによりガイド板7aをラベル連続体Pの幅方向に移動させることができる。特に、この場合もスライダ部SBの先端部40fが、ガイド板7aをラベル連続体Pの幅方向に移動させる移動部分(脚部7b等)の直上に位置しているので、スライダ部SBに加えた力をガイド板7aの移動部分に良好に伝えることができる。このため、ガイド板7aをより安定した状態で移動させることができる。これにより、一対のガイド板7a,7aの位置をラベル連続体Pの幅に合わせて容易に調整することができる。したがって、ガイド板7aの位置調整の操作性を向上させることができる。
さらに、スライダ部SBの先端部40fの第2の突出長が、開閉カバー部3を閉めた時にガイド板7aを自動的にロック状態にする長さに設定されている。これにより、開閉カバー部3を閉めると、開閉カバー部3によりスライダ部SBが押し下げられることにより、可動突部40hが固定突部42aよりも本体ケース2の底面側に移動する結果、ガイド板7aをロック状態にすることができる。したがって、ラベル連続体Pをプリンタ1に収容する場合の操作性を向上させることができる。
なお、本実施の形態においても、スライダ部SBの先端部40fに前記第1の実施の形態と同様にマークMを形成しても良い。これら以外の構成および効果は、前記第1の実施の形態と同じなので説明を省略する。
このような本実施の形態のプリンタ1においてラベル連続体Pをセットする方法は、前記第1の実施の形態とほぼ同じである。異なるのは、スライダ部SBの先端部40fの突出長を第2の突出長に設定する方法である。
すなわち、前記第1の実施の形態においては、ガイド板7aのロック状態を解除すると、コイルバネCBの付勢力により操作部7dのスライダ部SAが上昇し、スライダ部SAの先端部40fの突出長が第2の突出長に自動的に設定(固定)されるようになっている。
これに対して、本実施の形態においては、スライダ部SBの先端部40fの突出長を手動により第2の突出長に設定する。すなわち、操作部7dのスライダ部SBにおける先端部40fを指で摘み、スライダ部SBの可動突部40hが固定突部42aを越える位置までスライダ部SBを引き上げてガイド板7aのロック状態を解除した後、スライダ部SBの先端部40fを指で摘んだまま、スライダ部SBの可動突部40hが固定突部42eを越える位置までスライダ部SBを引き上げて固定する。これ以外は、前記第1の実施の形態と同じなので説明を省略する。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
例えば、前記実施の形態においては、通常発行と剥離発行との両方に使用可能な兼用型のプリンタに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、通常発行のみに使用可能なプリンタや剥離発行のみに使用可能なプリンタに適用することもできる。
また、前記実施の形態においては、一対のガイド板を互いに連動して接近離間する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、一対のガイド板の一方を用紙収容部に固定し、他方のガイド板のみを移動可能に設けて、この他方のガイド板を一方のガイド板に対して接近離間させる構成にしても良い。この場合、ガイド板の操作部等は、可動側のガイド板に設ける。
また、前記実施の形態においては、印字媒体として複数枚のラベルを台紙に仮着したラベル連続体を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、一方面に粘着面を有する連続状のラベル(台紙無しラベル)、粘着面を有しない連続状のシート(連続シート)あるいは紙類に限らずサーマルヘッドにより印字可能なフィルム等を印字媒体として使用することもできる。台紙無しラベル、連続シートまたはフィルムは位置検出マークを設けることができる。また、粘着剤が露出する台紙無しラベルなどを搬送する場合には、搬送路を非粘着剤で被覆するとともにシリコーンを含有したローラを設けることができる。