JP6431405B2 - ポリカルボン酸系重合体水溶液の着色防止方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカルボン酸系重合体水溶液の着色防止方法に関する。
(メタ)アクリル酸(塩)などの不飽和モノカルボン酸系単量体やマレイン酸(塩)などの不飽和ジカルボン酸系単量体を重合して得られるポリカルボン酸系重合体は、洗剤、スケール防止剤、腐食防止剤、水処理剤、分散剤等の用途に多く採用されている(例えば、特許文献1参照)。
このような不飽和モノカルボン酸系単量体や不飽和ジカルボン酸系単量体を重合して得られるポリカルボン酸系重合体は、従来、塩基性条件下で経時で着色が生じるという問題が知られている。このような着色の原因として、原料である不飽和モノカルボン酸系単量体や不飽和ジカルボン酸系単量体にその保管中などにおける自己重合の防止のために添加されているキノン類などの重合禁止剤の存在に起因する着色が考えられる。
そこで、ポリカルボン酸系重合体の着色防止の手段として、活性炭処理したアクリル酸ナトリウムなどの(メタ)アクリル酸塩やマレイン酸ナトリウムなどのマレイン酸塩を原料として用いることが提案されており、このような処理を行うと、塩基性のポリカルボン酸系重合体の経時の着色を防止できることが知られている。
ところが、上記のような活性炭処理は、(メタ)アクリル酸塩やマレイン酸塩などの酸塩には有効であるが、塩の形態をなしていない(メタ)アクリル酸やマレイン酸については、活性炭処理を行っても、それらを原料として得られるポリカルボン酸系重合体を塩基性にすると、経時で着色が生じてしまう。
特開2010−116513号公報
本発明の課題は、不飽和モノカルボン酸系単量体や不飽和ジカルボン酸系単量体を重合して得られるポリカルボン酸系重合体の塩基性水溶液の着色を効果的に防止する方法を提供することにある。
本発明のポリカルボン酸系重合体水溶液の着色防止方法は、
不飽和モノカルボン酸系単量体および/または不飽和ジカルボン酸系単量体を含む単量体組成物を重合して得られるポリカルボン酸系重合体の塩基性水溶液の着色を防止する方法であって、
該水溶液を加熱する。
好ましい実施形態においては、上記水溶液を加熱する温度をT℃、上記水溶液を加熱する時間をt時間としたとき、該温度Tと該時間tの自然対数ln(t)との積であるT×ln(t)の値が130〜500である。
好ましい実施形態においては、上記加熱を40℃〜120℃の温度範囲で行う。
本発明によれば、不飽和モノカルボン酸系単量体や不飽和ジカルボン酸系単量体を重合して得られるポリカルボン酸系重合体の塩基性水溶液の着色を効果的に防止する方法を提供することができる。
≪ポリカルボン酸系重合体水溶液の着色防止方法≫
本発明のポリカルボン酸系重合体水溶液の着色防止方法は、不飽和モノカルボン酸系単量体および/または不飽和ジカルボン酸系単量体を含む単量体組成物を重合して得られるポリカルボン酸系重合体の塩基性水溶液の着色を防止する方法であって、該水溶液を加熱する。このような方法を採用することにより、ポリカルボン酸系重合体の塩基性水溶液の着色を効果的に防止することができる。
本発明のポリカルボン酸系重合体水溶液の着色防止方法において、水溶液を加熱する手段としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な手段を採用し得る。このような水溶液を加熱する手段としては、例えば、熱風乾燥器、恒温槽、ウォーターバス、オイルバス、IHヒーター、マントルヒーター、温調機能付きタンク、加熱機能付き反応槽などが挙げられる。
本発明のポリカルボン酸系重合体水溶液の着色防止方法において、水溶液を加熱する温度は、好ましくは40℃〜120℃であり、より好ましくは45℃〜95℃であり、さらに好ましくは50℃〜90℃であり、特に好ましくは55℃〜85℃であり、最も好ましくは60℃〜80℃である。水溶液を加熱する温度を上記温度範囲内に調整することにより、ポリカルボン酸系重合体の水溶液の着色をより効果的に防止することができる。
本発明のポリカルボン酸系重合体水溶液の着色防止方法において、水溶液を加熱する時間は、好ましくは120分以上であり、より好ましくは300分以上であり、さらに好ましくは500分以上であり、特に好ましくは720分以上であり、最も好ましくは900分以上である。本発明のポリカルボン酸系重合体水溶液の着色防止方法において、水溶液を加熱する時間の上限は、本発明のポリカルボン酸系重合体水溶液が加熱によって分解等することによって変質しない範囲で、任意の適切な時間を採用し得る。このような時間としては、現実的には、例えば、好ましくは3ヶ月以下である。
ポリカルボン酸系重合体組成物の水溶液は、中性や酸性であれば、経時の着色は起こり難い。しかし、洗剤、スケール防止剤、腐食防止剤、水処理剤、分散剤などにおいて使用する場合、用途によっては、ポリカルボン酸系重合体組成物の水溶液が塩基性であることが好ましい。ところが、ポリカルボン酸系重合体組成物の塩基性水溶液は、経時で赤系の着色が見られる。
本発明のポリカルボン酸系重合体水溶液の着色防止方法においては、好ましくは、水溶液を加熱する温度が高ければ高いほど、水溶液を加熱する時間は短くすることができる。
一方、低い加熱温度でも加熱時間を長くすれば、着色を防止する事が可能となる。水溶液を加熱する温度をT℃、水溶液を加熱する時間をt時間としたとき、該温度Tと該時間tの自然対数ln(t)との積であるT×ln(t)の値が、好ましくは130〜500であり、より好ましくは150〜450であり、さらに好ましくは170〜400であり、特に好ましくは200〜350であり、最も好ましくは250〜300である。T×ln(t)の値を上記範囲内に調整することにより、ポリカルボン酸系重合体の水溶液の着色をより効果的に防止することができる。
<ポリカルボン酸系重合体>
ポリカルボン酸系重合体は、不飽和モノカルボン酸系単量体および/または不飽和ジカルボン酸系単量体を含む単量体組成物を重合して得られる。
ポリカルボン酸系重合体は、市販品を用いても良い。
単量体組成物は、不飽和モノカルボン酸系単量体および/または不飽和ジカルボン酸系単量体を含む。不飽和モノカルボン酸系単量体は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。不飽和ジカルボン酸系単量体は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
不飽和モノカルボン酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸(塩)、クロトン酸(塩)、α−ヒドロキシアクリル酸(塩)などが挙げられる。不飽和モノカルボン酸系単量体としては、好ましくは、(メタ)アクリル酸(塩)である。
(メタ)アクリル酸(塩)は、アクリル酸(塩)および/またはメタクリル酸(塩)を意味する。
本明細書において、「酸(塩)」と記載されている場合は、酸および/またはその塩を意味する。
「酸(塩)」の塩としては、−COOZ基のZで表される。Zは、金属原子、アンモニウム基(アンモニウム塩、すなわち、COONHを構成)、または有機アミノ基(有機アミン塩を構成)である。金属原子としては、ナトリウム原子やカリウム原子などのアルカリ金属、カルシウム原子などのアルカリ土類金属、鉄原子などの遷移金属などが挙げられる。有機アミン塩としては、メチルアミン塩、n−ブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジメチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、モルホリン塩、トリメチルアミン塩などの、1級〜4級のアミン塩が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果を十分に発現させるためには、Zは、ナトリウム原子、カリウム原子が好ましい。なお、本明細書において、単に「塩」と記載されている場合は、「酸(塩)」における−COOZ基のZの説明がそのまま援用される。
不飽和ジカルボン酸系単量体としては、イタコン酸(塩)、フマル酸(塩)、マレイン酸(塩)などが挙げられる。また、これらは無水物であっても良い。不飽和ジカルボン酸系単量体としては、好ましくは、マレイン酸(塩)である。
単量体組成物は、不飽和モノカルボン酸系単量体および不飽和ジカルボン酸系単量体以外の、他の単量体を含んでいても良い。このような他の単量体は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
他の単量体としては、例えば、3−(メタ)アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2−メチル−1,3−ブタジエン−1−スルホン酸等の共役ジエンスルホン酸等のスルホン酸系単量体、およびそれらの塩;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアミド系単量体;3−(メタ)アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、3−アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、3−アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン等の(メタ)アリルオキシプロパン系化合物、および、それらの化合物1モルに対してエチレンオキサイドを1モル〜200モル付加させた化合物(3−アリルオキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパン等);(メタ)アリルアルコール、及び、(メタ)アリルアルコール1モルに対してエチレンオキサイドを1モル〜100モル付加させた化合物等のアリルエーテル系単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;イソプレノール、および、イソプレノール1モルに対してエチレンオキサイドを1モル〜100モル付加させた化合物等のイソプレン系単量体;アリルグリシジルエーテルに対してメタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールを付加させた化合物などの単量体;等が挙げられる。
単量体組成物に含まれる各種単量体の種類やその含有割合は、目的とするポリカルボン酸系重合体に応じて、適宜選択し得る。
ポリカルボン酸系重合体としては、代表的には、例えば、不飽和モノカルボン酸系単量体の単独重合体、不飽和ジカルボン酸系単量体の単独重合体、不飽和モノカルボン酸系単量体と不飽和ジカルボン酸系単量体の共重合体などが挙げられる。不飽和モノカルボン酸系単量体としては、代表的には、(メタ)アクリル酸(塩)が挙げられる。不飽和ジカルボン酸系単量体としては、代表的には、マレイン酸(塩)が挙げられる。
ポリカルボン酸系重合体としては、具体的には、好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)、ポリマレイン酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)/マレイン酸(塩)共重合体が挙げられる。本発明においては、本発明の効果がより効果的に発現し得る点で、ポリカルボン酸系重合体は、好ましくはポリ(メタ)アクリル酸(塩)であり、より好ましくはポリアクリル酸(塩)である。
単量体組成物の重合については、ポリカルボン酸系重合体の製造に通常用い得る重合方法であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合方法を採用し得る。このような重合方法としては、例えば、反応容器中に、単量体組成物の一部または全部を重合開始前に反応容器に添加(初期仕込み)しても良い。特に、不飽和ジカルボン酸系単量体は、残存単量体をより低減させる観点から、重合開始前に全使用量を反応容器に添加することが好適である。また、不飽和モノカルボン酸系単量体は、その一部または全部を重合開始後に反応容器に添加することが好ましい。不飽和モノカルボン酸系単量体の一部または全部を重合開始後に添加することにより、得られる重合体の分子量分布をより狭くすることができる。
単量体組成物に含まれる各種単量体は、単独で添加しても良いし、水等の溶媒に溶解して添加しても良いし、他の原料等と混合して添加しても良い。
なお、本明細書中、「重合開始前」とは重合開始時点より前を意味し、「重合開始後」とは重合開始時点より後を意味する。「重合開始時点」とは、好ましくは、重合開始剤の一部または全部と、単量体組成物の一部または全部とが、反応容器に添加された時点を意味する。
重合開始剤としては、過硫酸塩を用いることが好ましい。また場合により、連鎖移動剤や多価金属イオンを用いてもよく(ここで、多価金属イオンは開始剤の分解促進剤として働く)、これらは両方同時に用いても良い。
過硫酸塩は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
過硫酸塩としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムが挙げられる。
過硫酸塩の添加量は、使用される単量体組成物1モルに対する過硫酸塩の配合量として、好ましくは0.5g〜6.0gである。
過酸化水素および過硫酸塩を併用する場合、過酸化水素および過硫酸塩の添加比率は、質量比で、好ましくは、過酸化水素1に対して、過硫酸塩が0.1〜5.0である。質量比で、過酸化水素1に対して過硫酸塩が0.1未満であると、得られるポリカルボン酸系重合体の重量平均分子量が高くなりすぎるおそれがある。一方、過酸化水素1に対して過硫酸塩が5.0を超えると、過硫酸塩の添加による分子量低下の効果が添加に伴うほど得られない状態で、重合反応系において過硫酸塩が無駄に消費されるおそれがある。
過酸化水素の添加量は、使用される単量体組成物1モルに対する過酸化水素の配合量として、好ましくは0.5g〜40gである。
過酸化水素の添加方法としては、全使用量に対し、実質的に連続的に滴下する量が必要所定量の85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、全量を滴下することが特に好ましい。過酸化水素は連続的に滴下するが、その滴下速度は変えても良い。
過酸化水素の滴下は、重合温度、重合時のpHにおける条件下において、単量体組成物の滴下開始時間までに必要所定量の10%以下が滴下されていることが好ましく、7%以下が滴下されていることがより好ましく、5%以下が滴下されていることがさらに好ましく、3%以下が滴下されていることが特に好ましく、単量体組成物の滴下開始時間以降(同時も含む)に滴下を開始することが最も好ましい。このような過酸化水素の滴下を行うことで、重合開始剤としての効果がより発現できる。
過硫酸塩の添加方法としては、全使用量に対し、実質的に連続的に滴下する量が必要所定量の50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、全量を滴下することがさらに好ましい。過硫酸塩は連続的に滴下するが、その滴下速度は変えても良い。
過硫酸塩と過酸化水素に加え、他の重合開始剤を併用しても良い。他の重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物などが挙げられる。
必要に応じ、重合に悪影響を及ぼさない範囲内で、重合体の分子量調整剤として、重合開始剤と併用して連鎖移動剤を用いても良い。連鎖移動剤としては、例えば、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩、重亜硫酸塩、次亜リン酸塩、メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、重亜硫酸塩である。
重亜硫酸塩は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
重亜硫酸塩としては、例えば、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸アンモニウムが挙げられる。
重亜硫酸塩の添加量は、使用される単量体組成物1モルに対する重亜硫酸塩の配合量として、好ましくは0.1g〜10gである。
過硫酸塩を重亜硫酸塩と併用する場合、過硫酸塩および重亜硫酸塩の添加比率は、質量比で、好ましくは、過硫酸塩1に対して、重亜硫酸塩が0.5〜10である。質量比で、過硫酸塩1に対して重亜硫酸塩が0.5未満であると、重亜硫酸塩による効果が十分ではなくなるおそれがあり、また、得られるポリカルボン酸系重合体の重量平均分子量が高くなりすぎるおそれがある。質量比で、過硫酸塩1に対して重亜硫酸塩が10を超えると、重亜硫酸塩による効果が添加比率に伴うほど得られないおそれがある。ただし、過硫酸塩および重亜硫酸塩の配合量が、この範囲に限定されるわけではなく、具体的な過硫酸塩および重亜硫酸塩の配合量は、使用用途や使用環境に応じて決定され得る。例えば、ポリカルボン酸系共重合体が水処理剤として用いられる場合には、重合平均分子量が高すぎると、性能が低下するおそれがある。したがって、重量平均分子量が必要以上に増大しないように留意して、添加量を決定すれば良い。
重合温度は、任意の適切な温度を採用し得る。このような重合温度としては、好ましくは25℃〜沸点、より好ましくは50℃〜沸点、さらに好ましくは60℃〜沸点、特に好ましくは70℃〜沸点である。重合温度が25℃未満の場合には、得られる重合体の重量平均分子量が上昇しすぎるおそれや、不純物の生成量が増加するおそれがある。また、重合時間が長くなるため、重合体の生産性が低下するおそれがある。なお、重合温度とは、重合反応液の温度をいう。重合温度の測定方法や制御手段については、任意の適切な方法や装置を用い得る。また、単量体成分(種類)および量によっては、沸点は100℃を超える場合がある。
重合圧力としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の圧力を採用し得る。このような重合圧力としては、例えば、常圧下、減圧下、加圧下のいずれの圧力下であっても良い。
重合反応液中には、1種類以上の重金属イオンが含まれていても良い。重金属とは、比重が4g/cm以上の金属を意味する。具体的な重金属としては、例えば、鉄、コバルト、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀、金、鉛、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどが挙げられる。重合反応液は、好ましくは、これらのイオンを含む。重合反応液は、より好ましくは、鉄イオンを含む。重金属イオンのイオン価については特に限定されない。例えば、重金属として鉄が用いられる場合には、重合反応中に溶解している鉄イオンは、Fe2+であっても、Fe3+であって良いし、これらが組み合わされたものでも良い。
重金属イオンは、重金属化合物を溶解してなる溶液を用いて添加され得る。その際に用いられる重金属化合物は、重合反応液中に含有されることを所望する重金属イオンに応じて決定される。溶媒として水が用いられる場合には、水溶性の重金属塩が好ましい。水溶性の重金属塩としては、例えば、モール塩(Fe(NH(SO・6HO)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化マンガンなどが挙げられる。
酸性条件下で重合を行う場合、得られるポリカルボン酸系重合体の中和度は、重合が終了した後に、アルカリ成分を添加することによって適宜pHを制御しても良い。この場合、pHを1以上に制御することが好ましい。
アルカリ成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン類;等が挙げられる。アルカリ成分は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。アルカリ成分は、ポリカルボン酸系重合体組成物を調製する際、塩基性化合物が固体の物質である場合、固体のまま調整しても良いし、また、水に溶解して水溶液として添加しても良い。
以上の反応によって、ポリカルボン酸系重合体が、好ましくは、水溶液(ポリカルボン酸系重合体の水溶液)の形態で製造され得る。
得られるポリカルボン酸系重合体の重量平均分子量は、好ましくは1000〜1000000であり、より好ましくは3000〜500000である。重量平均分子量がこの範囲内であれば、ポリカルボン酸系重合体は、分散能、キレート能、および耐ゲル性といった各種性能をより効果的に発現することができる。
ポリカルボン酸系重合体の水溶液としては、ポリカルボン酸系重合体の製造において得られたポリカルボン酸系重合体の水溶液をそのまま採用しても良いし、ポリカルボン酸系重合体に水を加えて調整したものを採用しても良い。
<塩基性化合物>
塩基性化合物としては、酸基を中和し得る塩基性化合物であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な塩基性化合物を採用し得る。このような塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。塩基性化合物は、ポリカルボン酸系重合体組成物を調製する際、塩基性化合物が固体の物質である場合、固体のまま調整しても良いし、また、水に溶解して水溶液として添加しても良い。
<重合禁止剤>
重合禁止剤としては、不飽和モノカルボン酸系単量体や不飽和ジカルボン酸系単量体にその保管中などにおける自己重合の防止のために添加し得る重合禁止剤であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合禁止剤を採用し得る。このような重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メトキノン(p−メトキシフェノール)等のキノン類;フェノチアジン、ビス−(α−メチルベンジル)フェノチアジン、3,7−ジオクチルファノチアジン、ビス−(α−ジメチルベンジル)フェノチアジン等のフェノチアジン類;2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6、−テトラメチルペリジノオキシル、4,4’,4”−トリス−(2,2,6,6、−テトラメチルペリジノオキシル)フォスファイト等のN−オキシル化合物;ジアルキルジチオカルバミン酸銅、酢酸銅、ナフテン酸銅、アクリル酸銅、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅等の銅塩化合物;ジアルキルジチオカルバミン酸マンガン、ジフェニルジチオカルバミン酸マンガン、ギ酸マンガン、酢酸マンガン、オクタン酸マンガン、ナフテン酸マンガン、過マンガン酸マンガン、エチレンジアミン四酢酸のマンガン塩化合物;N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンやその塩、p−ニトロソフェノール、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンやその塩、p−ニトロソフェノール、N−ニトロソジフェニルアミンやその塩等のニトロソ化合物;などが挙げられる。これらの重合禁止剤は、1種のみであっても良く、2種以上であっても良い。これらの重合禁止剤の中でも、ハイドロキノン、メトキノン等のキノン類が好ましい。
<その他の成分>
ポリカルボン酸系重合体水溶液には、ポリカルボン酸系重合体と水以外の他の成分をさらに含んでいても良い。このような他の成分としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を採用し得る。例えば、界面活性剤、重合リン酸塩、縮合リン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤、珪酸系薬剤、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
≪ポリカルボン酸系重合体水溶液の着色≫
ポリカルボン酸系重合体水溶液は、無色透明または淡黄色であった水溶液が、経時的に赤みが強くなった場合、経時的な着色が変化したと判断する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、特に明記しない限り、実施例における部及び%は質量基準である。
<着色評価>
試験液100gを100mLスクリュー管に入れ、下記の2種類の方法(1)、(2)によって着色の度合いを評価した。
(1)底面から目視によって観察した。赤みが観察されたものを「あり」、赤みが観察されなかったものを「なし」とした。
(2)色差計(日本電色工業株式会社製、Spectrophotometer SE6000、光路長2cmセルを使用)での測定値のa値が正の値(赤系色の着色あり)か負の値(赤系色の着色なし)かで評価した。
〔ポリアクリル酸重合例〕
温度計、攪拌機、および還流冷却器を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコにイオン交換水(以下純水と記す)149.8g、0.6%モール塩水溶液1.2gを仕込み、攪拌しながら85℃まで昇温した。次いで、攪拌下、85℃を維持しながら、メトキノンを160ppm含有する80%アクリル酸水溶液(以下80%AAと記す)385.1gと48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、「48%NaOH」とも称する。)17.8gを重合開始から180分間に渡って、15%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、「15%NaPS」とも称する。)51.8gを185分に渡って、35%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(以下,「35%SBS」とも称する。)63.6gを175分に渡って、それぞれ別々の滴下ノズルから連続的に均一速度で滴下した。さらに全ての滴下終了後10分間上記重合反応溶液を85℃に保持(熟成)し、48%NaOH330.7gを添加して中和した。このようにして、重合体(1)の水溶液を得た。
〔実施例1〕
重合体(1):22.2g(45%水溶液)に、KOH:2.5g、35質量%ラウリルジメチルアミンオキシド(花王製、商品名:アンヒトール20N):1.0g、水:74.3gを混合し、ポリカルボン酸系重合体水溶液(1)を得た。
得られたポリカルボン酸系重合体水溶液(1)を、70℃の熱風乾燥器(WFO−450ND、EYELA製)中で1週間保管した。
結果を表1に示した。
〔実施例2〕
実施例1で得られたポリカルボン酸系重合体水溶液(1)と同組成のポリカルボン酸系重合体水溶液(2)を得た。
得られたポリカルボン酸系重合体水溶液(2)を、60℃の熱風乾燥器(WFO−450ND、EYELA製)中で1週間保管した。
結果を表1に示した。
〔実施例3〕
組成を表1のように変更し、ポリカルボン酸系重合体水溶液(3)を得た。
得られたポリカルボン酸系重合体水溶液(3)を、70℃の熱風乾燥器(WFO−450ND、EYELA製)中で1週間保管した。
結果を表1に示した。
〔比較例1〕
組成を表1のように変更し、ポリカルボン酸系重合体水溶液(C1)を得た。
得られたポリカルボン酸系重合体水溶液(C1)を、常温(25℃)で1週間保管した。
結果を表1に示した。
〔比較例2〕
組成を表1のように変更し、ポリカルボン酸系重合体水溶液(C2)を得た。
得られたポリカルボン酸系重合体水溶液(C2)を、常温(25℃)で1週間保管した。
結果を表1に示した。
Figure 0006431405
表1中の略称は下記の通りである。
35%LDMAO:35質量%ラウリルジメチルアミンオキシド(花王製、商品名:アンヒトール20N)
本発明のポリカルボン酸系重合体水溶液の着色防止方法を用いて得られるポリカルボン酸系重合体水溶液は、例えば、洗剤、スケール防止剤、腐食防止剤、水処理剤、分散剤等の用途に特に好適なものとなる。

Claims (4)

  1. 不飽和モノカルボン酸系単量体および/または不飽和ジカルボン酸系単量体を含む単量体組成物を重合して得られるポリカルボン酸系重合体の塩基性水溶液の着色を防止する方法であって、
    該不飽和モノカルボン酸系単量体および/または不飽和ジカルボン酸系単量体がキノン類を含み、
    該水溶液を40℃〜120℃の温度範囲で加熱
    該水溶液を加熱する温度をT℃、前記水溶液を加熱する時間をt時間としたとき、該温度Tと該時間tの自然対数ln(t)との積であるT×ln(t)の値が130〜500である、
    ポリカルボン酸系重合体水溶液の着色防止方法。
  2. 前記単量体組成物は、不飽和モノカルボン酸系単量体を含む単量体組成物である、請求項1に記載のポリカルボン酸系重合体水溶液の着色防止方法。
  3. 前記水溶液を加熱する温度が50℃〜120℃である、請求項1または2に記載のポリカルボン酸系重合体水溶液の着色防止方法。
  4. 前記不飽和モノカルボン酸系単量体が(メタ)アクリル酸(塩)である、請求項1から3までのいずれかに記載のポリカルボン酸系重合体水溶液の着色防止方法。
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