JP6298646B2 - カルボキシル基含有共重合体 - Google Patents
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Description
原油生産が海上で行われる場合、油層内の圧力を保持する目的で、多くの場合、海水を油層に圧入します。その際、バライトと呼ばれる主成分が硫酸バリウムである加重剤を、海水の比重調整剤として用いられる。
これらの問題を解決するため、硫酸バリウムなどのスケールを防止するための各種の方法が特許文献1〜4に提案されてきた。これらの特許文献では、カルボキシル基含有共重合体を用いた例が示されている。
そのため、硫酸バリウムなどのスケール防止に関しては、従来よりも高い性能を求められる様になってきた。
前記カルボキシル基含有共重合体は、
エーテル結合含有単量体(A)に由来する下記一般式(1)で表される構造単位(a)と、スルホン酸基含有単量体(B)に由来する構造単位(b)と、
(メタ)アクリル酸系単量体(C)に由来する構造単位(c)と
を含み、
前記カルボキシル基含有共重合体は、前記カルボキシル基含有共重合体を形成する全単量体に由来する構造単位の総量100質量%に対して、
構造単位(a)を0.5質量%以上、15質量%以下、
構造単位(b)を0質量%以上、40質量%以下、及び、
構造単位(c)を45質量%以上、99.5質量%以下含み、
重量平均分子量が2,000〜70,000であり、
前記カルボキシル基含有共重合体の水/エタノールの質量比2/1の混合溶液への溶解度が0.3〜5質量%であり、
且つ、硫酸バリウムスケール防止能が10g/L(BaSO4換算)以上である
カルボキシル基含有共重合体である。
前記製造方法は、重合開始剤の存在下、
下記一般式(4)で表されるエーテル結合含有単量体(A)と、
スルホン酸基含有単量体(B)と、
(メタ)アクリル酸系単量体(C)とを
含む単量体成分を重合する工程を含み、
全単量体に由来する構造単位の総量100質量%に対し、
エーテル結合含有単量体(A)の含有量が0.5質量%以上、15質量%以下、
スルホン酸基含有単量体(B)の含有量が0質量%以上、40質量%以下、及び、
(メタ)アクリル酸系単量体(C)の含有量が45質量%以上、99.5質量%以下含み、
重量平均分子量が2,000〜70,000であり、
前記カルボキシル基含有共重合体の水/エタノールの質量比2/1の混合溶液への溶解度が0.3〜5質量%であり、
且つ、硫酸バリウムスケール防止能が10g/L(BaSO4換算)以上である
カルボキシル基含有共重合体の製造方法である。
前記カルボキシル基含有共重合体と3−スルホプロピオン酸を含むカルボキシル基含有共重合体組成物であって、
前記カルボキシル基含有共重合体が98.5〜99.99質量%であり、
前記3−スルホプロピオン酸が0.01〜1.5質量である、
カルボキシル基含有共重合体組成物である。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものであっても、本発明の好ましい形態である。
本発明のカルボキシル基含有共重合体についてまず説明する。
前記カルボキシル基含有共重合体(以下、「重合体」ともいう)は、前記カルボキシル基含有共重合体を形成する全単量体に由来する構造単位(以下、「全構造単位」ともいう)の総量100質量%に対して、構造単位(a)を0.5質量%以上、15質量%以下、構造単位(b)を0質量%以上、40質量%以下、及び、構造単位(c)を45質量%以上、99.5質量%以下含む。
また、構造単位(a)はエーテル結合含有単量体(A)に由来し、構造単位(b)はスルホン酸基含有単量体(B)に由来し、構造単位(c)はアクリル酸系単量体(C)に由来する。
更に、前記カルボキシル基含有共重合体の重量平均分子量は、2,000〜70,000であり、さらに、前記カルボキシル基含有共重合体の水/エタノールの質量比2/1の混合溶液への溶解度が0.3〜5質量%であり、それに加えて、硫酸バリウムスケール防止能が10g/L(BaSO4換算)以上である。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、エーテル結合含有単量体(A)(以下、単量体(A)ともいう)に由来する構造単位(a)を必須とする重合体である。
前記エーテル結合含有単量体(A)に由来する構造単位(a)は、下記一般式(1)で表される。これは、後述の一般式(4)で表されるエーテル結合含有単量体(A)の炭素−炭素二重結合が単結合になった形態である。
H2C=C(R0)−R1−は、R0がメチル基、R1がCH2基の場合はメタリル基;R0がメチル基、R1がCH2CH2基の場合はイソプレニル基;R0がメチル基、R1が直接結合の場合はイソプロペニル基;R0が水素原子、R1がCH2基の場合はアリル基;R0が水素原子、R1がCH2CH2基の場合はブテニル基;R0が水素原子、R1が直接結合の場合はビニル基を表す。
H2C=C(R0)−R1−としては、イソプレニル基、メタリル基、アリル基、ビニル基が好ましい。重合性を高める観点からは、イソプレニル基、メタリル基、アリル基がより好ましく、イソプレニル基、メタリル基であると、水/エタノールの質量比2/1の混合溶液への溶解度が好ましい範囲に入り、硫酸バリウムとの相互作業が向上し、優れた硫酸バリウムスケール防止能を発揮するため、更に好ましい。
前記一般式(2)、(3)におけるnは、オキシアルキレン基(−O−R2−)の平均付加モル数であり、0〜5の数を表す。
水/エタノールの質量比2/1の混合溶液への溶解度が好ましい範囲に入り、硫酸バリウムとの相互作業が向上し、優れた硫酸バリウムスケール防止能を発揮するという観点から、nは、0〜4が好ましく、0〜3がより好ましく、0〜2が更に好ましく、0〜1が特に好ましく、0が最も好ましい。
水/エタノールの質量比2/1の混合溶液への溶解度が好ましい範囲に入り、硫酸バリウムとの相互作業が向上し、優れた硫酸バリウムスケール防止能を発揮するという観点から、メチル基、エチル基、ブチル基が好ましく、ブチル基がより好ましい。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、構造単位(a)を1種のみ有していてもよく、2種以上有していてもよい。
前記構造単位(a)の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上、9質量%以下であり、更に好ましくは2質量%以上、8質量%以下であり、特に好ましくは3質量%以上、7質量%以下である。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、スルホン酸基含有単量体(B)(以下、単量体(B)ともいう)に由来する構造単位(b)も必須とする重合体である。
このような構造単位(b)を有することによって、カルボキシル基含有共重合体は、キレート能が向上するため、極めて良好な硫酸バリウムスケール防止能を発揮することができる。
R7は、CH2基、CH2CH2基又は直接結合を表し、好ましくはCH2基である。
R8、R9は、それぞれ独立して、水酸基又は−SO3Zを表し、R8、R9の少なくとも一方は−SO3Zを表す。本発明の効果をより充分に発現させるために、R8、R9のいずれか一方のみが−SO3Zであることが好ましい。
Zは水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。
Zが金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基の場合は、−SO3Zは、スルホン酸の金属塩、アンモニウム塩又は有機アミン塩を表す。
前記Zにおける金属原子、有機アミン基としては、後述のR10における金属原子、有機アミン基と同じものが挙げられる。Zとしては、好ましくは、水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基であり、より好ましくは、水素原子、ナトリウム、カリウムであり、更に好ましくは、水素原子、ナトリウムである。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、構造単位(b)を1種のみ有していてもよいし、2種以上を有していてもよい。
前記構造単位(b)の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、25質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上、23質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以上、22質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以上、21質量%以下である。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、アクリル酸系単量体(C)(以下、単量体(C)ともいう)に由来する構造単位(c)も必須とする重合体である。
本発明におけるアクリル酸系単量体(C)としては、下記一般式(7);
また、前記アクリル酸系単量体(C)に由来する構造単位(c)としては、単量体(C)の炭素−炭素二重結合が単結合になった形態であり、下記一般式(8);
このような構造単位(c)を有することによって、カルボキシル基含有共重合体は、高性能分散剤となるため、極めて良好な硫酸バリウムスケール防止能を発揮することができる。
前記一般式(7)、(8)のR10における金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属原子;アルミニウム、鉄等が挙げられる。
R10における有機アミン基としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン;エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等のポリアミン等が挙げられる。
R10としては、得られる重合体の硫酸バリウムスケール防止能への向上効果が高いことから、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム基が好ましく、水素原子、ナトリウム、カリウム、アンモニウム基がより好ましく、水素原子、ナトリウムが更に好ましい。
前記アクリル酸系単量体(C)の具体例としては、アクリル酸及びその塩等が挙げられ、好ましくはアクリル酸及びそのナトリウム塩である。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、構造単位(c)を1種のみ有していてもよく、2種以上有していてもよい。
前記構造単位(c)の含有量は、好ましくは65質量%以上、99質量%以下であり、より好ましくは68質量%以上、98質量%以下であり、更に好ましくは70質量%以上、95質量%以下であり、特に好ましくは72質量%以上、92質量%以下である。
また、前記アクリル酸系単量体(C)の調製方法としては、特に制限されない。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、その他の単量体(E)(前記エーテル結合含有単量体(A)、スルホン酸基含有単量体(B)及びアクリル酸系単量体(C)以外の単量体)に由来する構造単位(e)を有していてもよい。前記カルボキシル基含有共重合体は、構造単位(e)を1種のみ有していてもよいし、2種以上を有していてもよい。
前記その他の単量体(E)としては、具体的には、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、2−メチレングルタル酸及びこれらの塩等の前記単量体(C)以外のカルボキシル基含有単量体;(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の不飽和アルコールにアルキレンオキサイドを付加した単量体、アルコキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体;ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の複素環式芳香族炭化水素基を有するビニル芳香族系単量体;ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアミン等のジアリルアルキルアミン等のアリルアミン等のアミノ基含有単量体及びこれらの四級化物;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアミド系単量体;(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の水酸基含有単量体;ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル系単量体;スチレン、インデン、ビニルアニリン等のビニルアリール単量体;イソブチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。
なお、前記四級化物は、前記アミノ基含有単量体に通常用いられる四級化剤を反応させることによって得られるものである。前記四級化剤としては、ハロゲン化アルキル、ジアルキル硫酸等が挙げられる。
任意成分である前記その他の単量体(E)に由来する構造単位(e)の含有量としては、カルボキシル基含有共重合体を形成する全単量体に由来する構造単位の総量(すなわち構造単位(a)、(b)、(c)及び(e)の総量)100質量%に対して、0〜34質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜10質量%であり、更に好ましくは0〜5質量%であり、特に好ましくは0質量%である。
また、四級化されたアミノ基を含有する単量体又はそれに由来する構造単位の質量割合(質量%)を計算する場合には、カウンターアニオンの質量は考慮しないで(含めないで)計算するものとする。
前記構造単位(e)が酸基含有単量体由来の構造単位である場合には、全単量体由来の構造単位の総量に対する質量割合(質量%)は、対応する酸換算で計算するものとする。また、酸基含有単量体の、全単量体の総量に対する質量割合(質量%)を計算する場合も、対応する酸換算で計算するものとする。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、前記構造単位(a)、(b)、(c)、及び、必要に応じて構造単位(e)が、前記したような特定の割合で導入されていればよく、各構造単位は、ブロック状、ランダム状のいずれで存在していてもよい。
一方、構造単位(a)の含有量が0.5質量%未満であると、硫酸バリウムへの相互作用が低下し、硫酸バリウムスケール防止能が低下する場合がある。
構造単位(b)を含まない共重合体であっても良い。この場合、構造単位(a)と構造単位(c)の含有量を調整することで優れた硫酸バリウムスケール防止能を発揮する。構造単位(b)を含む共重合体の場合、構造単位(b)の含有量が少ない場合、硫酸バリウムスケール防止能が低下する場合がある。また、構造単位(c)の含有量が45質量%未満であると、硫酸バリウムスケール防止能が低下する場合がある。
重合に使用する各単量体の組成比としては、好ましくは、構造単位(a)が0.5〜10質量%、構造単位(b)が0.5〜25質量%、構造単位(c)が65〜99質量%であり、より好ましくは、構造単位(a)が1〜9質量%、構造単位(b)が1〜23質量%、構造単位(c)が68〜98質量%であり、更に好ましくは、構造単位(a)が2〜8質量%、構造単位(b)が3〜22質量%、構造単位(c)が70〜95質量%であり、特に好ましくは、構造単位(a)が3〜7質量%、構造単位(b)が5〜21質量%、構造単位(c)が72〜92質量%である。
また、全単量体(構造単位(a)、(b)、(c)、(e))の総量100質量%に対して、構造単位(e)を0〜34質量%の割合で含んでいてもよい。より好ましくは0〜10質量%であり、更に好ましくは0〜5質量%であり、特に好ましくは0質量%である。
一方、構造単位(a)の含有量が0.5質量%未満であると、硫酸バリウムへの相互作用が低下し、硫酸バリウムスケール防止能が低下する場合がある。また、構造単位(c)の含有量が75質量%未満であると、硫酸バリウムスケール防止能が低下する場合がある。重合に使用する各単量体の組成比としては、好ましくは、構造単位(a)が0.5〜15質量%、構造単位(c)が85〜99.5質量%であり、より好ましくは、構造単位(a)が1〜12質量%、構造単位(c)が88〜99質量%であり、更に好ましくは、構造単位(a)が2〜10質量%、構造単位(c)が90〜98質量%であり、特に好ましくは、構造単位(a)が3〜10質量%、構造単位(c)が90〜97質量%である。
また、全単量体(構造単位(a)、(c)、(e))の総量100質量%に対して、構造単位(e)を0〜34質量%の割合で含んでいてもよい。より好ましくは0〜10質量%であり、更に好ましくは0〜5質量%であり、特に好ましくは0質量%である。
前記重量平均分子量は、好ましくは2,000〜50,000、より好ましくは3,000〜50,000、更に好ましくは3,000〜40,000、より更に好ましくは3,000〜30,000、特に好ましくは3,000〜25,000、最も好ましくは3,000〜20,000である。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定値であり、後述する実施例に記載された装置及び測定条件により測定することができる。
カルボキシル基含有共重合体が、水/エタノールの質量比2/1の混合溶液への溶解度が0.3〜5質量%であると、本発明のカルボキシル基含有共重合体と硫酸バリウムとの相互作用が良好なものとなるため、優れた硫酸バリウムスケール防止能を発揮することが可能となるため好ましい。
さらに好ましい溶解度は、0.5〜4質量%、より好ましくは0.5〜3質量%、特に好ましくは0.6〜2質量%、最も好ましくは0.8〜1.8質量%である。
カルボキシル基含有共重合体の水/エタノールの質量比2/1の混合溶液への溶解度が、前述の範囲を外れると、硫酸バリウムスケール防止能が低下するため好ましくない。
なお、水/エタノールの質量比2/1の混合溶液への溶解度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明のカルボキシル基含有共重合体は、前記一般式(4)で表されるエーテル結合含有単量体(A)、前記一般式(5)で表されるスルホン酸基含有単量体(B)、及び、前記一般式(7)で表されるアクリル酸系単量体(C)を必須とし、必要に応じてその他の単量体(E)を含む単量体成分を所定の割合で共重合することにより、製造することができる。
一方、単量体(A)の含有量が0.5質量%未満であると、硫酸バリウムへの相互作用が低下し、硫酸バリウムスケール防止能が低下する場合がある。
単量体(B)を含まない共重合体であっても良い。この場合、単量体(A)と単量体(C)の含有量を調整することで優れた硫酸バリウムスケール防止能を発揮する。単量体(B)を含む共重合体の場合、単量体(B)の含有量が少ない場合、硫酸バリウムスケール防止能が低下する場合がある。また、単量体(C)の含有量が45質量%未満であると、硫酸バリウムスケール防止能が低下する場合がある。
重合に使用する各単量体の組成比としては、好ましくは、単量体(A)が0.5〜10質量%、単量体(B)が0.5〜25質量%、単量体(C)が65〜99質量%であり、より好ましくは、単量体(A)が1〜9質量%、単量体(B)が1〜23質量%、単量体(C)が68〜98質量%であり、更に好ましくは、単量体(A)が2〜8質量%、単量体(B)が3〜22質量%、単量体(C)が70〜95質量%であり、特に好ましくは、単量体(A)が3〜7質量%、単量体(B)が5〜21質量%、単量体(C)が72〜92質量%である。
また、全単量体(単量体(A)、(B)、(C)、(E))の総量100質量%に対して、単量体(E)を0〜34質量%の割合で含んでいてもよい。より好ましくは0〜10質量%であり、更に好ましくは0〜5質量%であり、特に好ましくは0質量%である。
一方、単量体(A)の含有量が0.5質量%未満であると、硫酸バリウムへの相互作用が低下し、硫酸バリウムスケール防止能が低下する場合がある。また、単量体(C)の含有量が75質量%未満であると、硫酸バリウムスケール防止能が低下する場合がある。重合に使用する各単量体の組成比としては、好ましくは、単量体(A)が0.5〜15質量%、単量体(C)が85〜99.5質量%であり、より好ましくは、単量体(A)が1〜12質量%、単量体(C)が88〜99質量%であり、更に好ましくは、単量体(A)が2〜10質量%、構造単位(c)が90〜98質量%であり、特に好ましくは、単量体(A)が3〜10質量%、単量体(C)が90〜97質量%である。
また、全単量体(単量体(A)、(C)、(E))の総量100質量%に対して、単量体(E)を0〜34質量%の割合で含んでいてもよい。より好ましくは0〜10質量%であり、更に好ましくは0〜5質量%であり、特に好ましくは0質量%である。
前記溶媒としては、有機溶媒のみを使用することも可能であるが、水を含むことが好ましい。全溶媒の使用量100質量%に対して、水を50質量%以上使用することがより好ましく、水を80質量%以上使用することが更に好ましく、水を100質量%使用することが特に好ましい。単独で、又は水と共に使用できる前記有機溶媒としては、例えば、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール類;等の水性の有機溶媒が好適に挙げられる。
前記溶媒は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
なお、溶媒は、重合初期に一部又は全量を反応容器内に仕込んでおけばよいが、溶媒の一部を重合反応中に反応系内に添加(滴下)してもよいし、単量体成分や重合開始剤等を予め溶媒に溶解させた形で、これらの成分と共に重合反応中に反応系内に添加(滴下)してもよい。
前記反応系内に予め仕込まれた溶媒中に、前記単量体と開始剤とを滴下して反応を行う形態としては、例えば、単量体(A)、単量体(B)、単量体(C)、必要に応じて単量体(E)、開始剤成分、及び、必要に応じてその他の添加剤をそれぞれ溶媒に溶解し、又は、溶媒に溶解させずにそのままで、重合中に反応系内に適当に添加(滴下)して重合を行う形態が挙げられる。また、前記反応形態においては、単量体(A)の全使用量の一部又は全部を、重合開始前に予め反応系内に添加(初期仕込み)することもできる。
前記製造方法において用いられる重合開始剤としては、通常用いられるものを使用することができる。具体的には、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド等の有機過酸化物等が好適に挙げられる。これらの重合開始剤のうち、過酸化水素、過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩が好ましく、過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩がより好ましい。これらの重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記製造方法においては、重合体の分子量調整剤として連鎖移動剤を用いることが好ましい。連鎖移動剤を使用すると、製造される重合体が必要以上に高分子量化することを抑制し、低分子量のカルボキシル基含有共重合体を効率よく製造することができる。
前記製造方法においては、前記連鎖移動剤として亜硫酸水素塩及び/又は亜硫酸水素塩を発生し得る化合物を使用することが好ましい。その場合、亜硫酸水素塩、亜硫酸水素塩を発生し得る化合物に加えて、重合開始剤を使用するのがより好ましい。更に、後述する反応促進剤として、重金属イオンを併用してもよい。
また、連鎖移動剤として亜硫酸水素塩及び/又は亜硫酸水素塩を発生し得る化合物を使用すると、主鎖末端の少なくとも一つにスルホン酸(塩)基を有する重合体を得ることができる。
前記塩としては、金属原子、アンモニウム又は有機アミンとの塩が好適である。
前記金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の一価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の二価の金属原子;アルミニウム、鉄等の三価の金属原子等が挙げられる。
また、有機アミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;トリエチルアミン等が挙げられる。
前記亜硫酸水素塩、亜硫酸水素塩を発生し得る化合物では、亜硫酸水素塩が好ましい。
前記亜硫酸水素塩としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム等が好ましく挙げられ、亜硫酸水素ナトリウムがより好ましい。
前記亜硫酸水素塩を発生し得る化合物としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム;亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウム;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム;等が好ましく挙げられ、ピロ亜硫酸ナトリウムがより好ましい。
前記亜硫酸水素塩、亜硫酸水素塩を発生し得る化合物はそれぞれ、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記製造方法においては、重合開始剤等の使用量を低減する等の目的で反応促進剤を加えてもよい。反応促進剤としては、例えば、重金属イオン等が挙げられる。
本発明において、重金属イオンとは、比重が4g/cm3以上の金属のイオンを意味する。前記重金属イオンにおける重金属としては、例えば、鉄、コバルト、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀、金、鉛、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等が好ましく挙げられる。これらの重金属は1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、鉄がより好ましい。
前記重金属イオンのイオン価は、特に限定されるものではなく、例えば、重金属として鉄が用いられる場合、反応促進剤における鉄イオンとしては、Fe2+であっても、Fe3+であってよく、これらが両方含まれていてもよい。
前記重金属イオンとして鉄イオンを用いる場合、モール塩(Fe(NH4)2(SO4)2・6H2O)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄等の重金属化合物等を用いることが好ましい。また、重金属イオンとしてマンガンイオンを用いる場合、塩化マンガン等を好適に用いることができる。これらはいずれも水溶性の化合物であるため、水溶液の形態として用いることができ、取り扱い性に優れたものとなる。なお、前記重金属化合物を溶解してなる溶液の溶媒としては、水に限定されるものではなく、本発明のカルボキシル基含有共重合体の製造において、重合反応を妨げるものでなく、かつ、重金属化合物を溶解するものであればよい。
前記重金属イオンの含有量は、重合反応完結時における重合反応液の全質量に対して0.1〜10ppmであることが好ましい。重金属イオンの含有量が0.1ppm未満であると、重金属イオンによる効果が充分に発現しないおそれがある。一方、重金属イオンの含有量が10ppmを超えると、得られる重合体の分子量が大きくなりすぎる可能性がある。調の悪化を来たすおそれがある。また、重金属イオンの含有量が多いと、得られる重合体の分子量が小さくなりすぎる可能性がある。
なお、前記「重合反応完結時」とは、重合反応液中において重合反応が実質的に完了し、所望する重合体が得られた時点を意味する。例えば、重合反応液中において重合した重合体を酸成分で中和する場合には、中和した後の重合反応液の全質量を基準に、重金属イオンの含有量を算出する。2種以上の重金属イオンが含まれる場合には、重金属イオンの総量が上述の範囲であればよい。
重合開始剤の分解触媒としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム等のハロゲン化金属;酸化チタン、二酸化ケイ素等の金属酸化物;塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸等の無機酸の金属塩;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ラク酸、イソラク酸、安息香酸等のカルボン酸、そのエステル及びその金属塩;ピリジン、インドール、イミダゾール、カルバゾール等の複素環アミン及びその誘導体等が挙げられる。これらの分解触媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の合計の使用量は、単量体の共重合を開始できる量であれば特に制限されないが、全単量体成分(単量体(A)、(B)、(C)及び(E))の総量1モルに対して、15g以下であることが好ましい。より好ましくは1〜12gである。
重合開始剤として、過酸化水素を使用する場合、過酸化水素の添加量は、全単量体成分の総量1モルに対して、1.0〜10.0gであることが好ましく、2.0〜8.0gであることがより好ましい。過酸化水素の添加量が1.0g未満であると、得られる重合体の重量平均分子量が高くなる傾向にある。一方、添加量が10.0gを超えると、添加量の増加に見合うだけの効果が得られなくなり、更に、残存する過酸化水素量が多くなる等の悪影響を及ぼすおそれがある。
重合開始剤として過酸化水素と過硫酸塩とを併用する場合、過酸化水素に対する過硫酸塩の質量比が0.1〜5.0であることが好ましく、0.2〜2.0であることがより好ましい。過硫酸塩の質量比が0.1未満であると、得られる共重合体の重量平均分子量が高くなる傾向がある。一方、過硫酸塩の質量比が5.0を超えると、過硫酸塩の添加による分子量低下の効果が、添加量の増加に見合うほどには得られなくなり、重合反応系において過硫酸塩が無駄に消費されるおそれがある。
過酸化水素の滴下開始を遅らせる時間は、単量体の滴下開始後60分以内であることが好ましく、30分以内であることがより好ましい。
単量体の滴下開始までに必要所定量の10質量%を超える過酸化水素を添加すると、例えば過硫酸塩を併用する場合には、過硫酸塩に対する過酸化水素の濃度の比率が大きくなり、重合が停止するおそれがある。一方、単量体の滴下開始から60分より遅く開始すると、過酸化水素による連鎖移動反応等が起こらなくなるため、重合初期の分子量が高くなるおそれがある。
滴下時間も特に限定されないが、後述する好適な反応条件(温度、圧力、pH等)の下で反応を行う場合において、過硫酸塩は比較的分解の早い開始剤であるため、単量体の滴下終了時間まで滴下を続けることが好ましい。また、単量体滴下終了後から30分以内に滴下を終了することがより好ましく、単量体滴下終了後5分〜20分以内に滴下を終了することが特に好ましい。これにより、得られた重合体溶液における単量体の残量を著しく減じることが出来る。
なお、単量体の滴下終了前に、これら開始剤の滴下を終了しても、重合に特に悪影響を及ぼすものではなく、得られた重合体溶液中の単量体の残存量に応じて開始剤の滴下終了時間を設定すればよい。
一方、連鎖移動剤の添加量が前述の範囲であると、副生成物として3SPAの生成が促進されるのを抑制できるため、極めて良好な硫酸バリウムスケール防止能を発揮することができるため好ましい。
この場合、過硫酸塩と亜硫酸水素塩との混合比は、特に制限されないが、過硫酸塩1質量部に対して、亜硫酸水素塩0.5〜5質量部を用いることが好ましい。亜硫酸水素塩量の下限は、過硫酸塩1質量部に対して1質量部であることがより好ましく、更に好ましくは2質量部である。また、亜硫酸水素塩量の上限は、過硫酸塩1質量部に対して4質量部であることがより好ましく、更に好ましくは3質量部である。過硫酸塩1質量部に対して亜硫酸水素塩が0.5質量部未満であると、低分子量化する際に、必要となる開始剤総量が増加するおそれがあり、5質量部を超えると、副反応が増加し、それによる不純物が増加するおそれがある。
具体的な添加方法としては、反応容器に単量体成分の全てを仕込み、重合開始剤を反応容器内に添加することによって共重合を行う方法;反応容器に単量体成分の一部を仕込み、重合開始剤と残りの単量体成分とを反応容器内に連続して又は段階的に(好ましくは連続して)添加することによって共重合を行う方法;反応容器に重合溶媒を仕込み、単量体成分と重合開始剤の全量を添加する方法;等が挙げられる。このような方法の中でも、得られる重合体の分子量分布を狭く(シャープに)することができ、硫酸バリウムスケール防止能を向上することができることから、重合開始剤と単量体成分とを反応容器に逐次滴下する方法で共重合を行うことが好ましい。このような重合は、回分式でも連続式でも行うことができる。
前記製造方法において、重合温度としては、用いられる重合方法、溶媒、重合開始剤等により適宜定められるが、25〜200℃であることが好ましい。より好ましくは50〜150℃であり、更に好ましくは60〜120℃であり、特に好ましくは80〜110℃である。重合温度が25℃より低いと、得られる重合体の重量平均分子量が高くなり過ぎるおそれや、不純物の生成量が増加するおそれがある。
前記重合温度は、重合反応において、常にほぼ一定に保持する必要はなく、例えば、室温から重合を開始し、適当な昇温時間又は昇温速度で設定温度まで昇温し、その後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて、重合反応中に経時的に温度変動(昇温又は降温)させてもよい。なお、重合温度とは、重合反応の反応溶液の温度をいう。また、重合温度の測定方法や制御手段については、任意の適切な方法や手段を採用することができる。例えば、一般に使用される装置を用いて測定すれば良い。
前記固形分濃度は、前記滴下終了時点で反応溶液の一部を取り出し、これを130℃の熱風乾燥機で1時間処理した後の不揮発分を求めることで、算出することができる。
本発明のカルボキシル基含有共重合体組成物は、前記カルボキシル基含有共重合体を含むものである。
また、本発明のカルボキシル基含有共重合体組成物は、前記カルボキシル基含有共重合体及び亜硫酸水素塩付加化合物以外に、他の成分を含むこともできる。
前記他の成分としては、特に限定されないが、例えば、重合開始剤残渣、残存モノマー、重合時の副生成物、水分等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を含有することができる。
本発明のカルボキシル基含有共重合体組成物は、前記カルボキシル基含有共重合体と、アクリル酸系単量体(C)に亜硫酸水素塩が付加した構造の化合物である3−スルホプロピオン酸(3SPA)とを含み、かつ、前記化合物(3SPA)の含有量が、前記カルボキシル基含有共重合体組成物の固形分100質量%に対して、0.01質量%以上、1.5質量%以下であることが好ましい。
亜硫酸水素塩付加化合物の含有量が前記範囲内であると、硫酸バリウムスケール防止能が向上する。また、前記含有量は、好ましくは0.02質量%以上、1.0質量%以下であり、より好ましくは0.03質量%以上、0.8質量%以下である。
前記カルボキシル基含有共重合体組成物の好ましい形態の一つは、前記カルボキシル基含有共重合体を40〜60質量%含有し、水を38.5〜59.99質量%含有する形態である。
本発明のカルボキシル基含有共重合体及びその組成物は、水系用途において高い性能を発揮でき、原油掘削及び生産用スケール防止剤に用いた場合に、より優れた硫酸バリウムスケール防止能を発揮することができる。
また、単量体や反応中間体の定量及び各種物性値の測定は、以下の方法により行った。
装置:株式会社日立製作所製 L−7000シリーズ
検出器:HITACHI RI Detector L−7490
カラム:株式会社昭和電工製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ、GF−710−HQ、GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/min
検量線:ソウワ化学社製 Polyacrylic acid standard
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=3/1(質量比)。
エーテル結合含有単量体、アクリル酸系単量体、スルホン酸基含有単量体、亜硫酸水素塩付加化合物の定量は、下記条件にて液体クロマトグラフィーを用いて行った。
測定装置:株式会社日立製作所製 L−7000シリーズ
検出器:株式会社日立製作所製 UV検出器 L−7400
カラム:株式会社昭和電工製 SHODEX RSpak DE−413
温度:40.0℃
溶離液:0.1%リン酸水溶液
流速:1.0ml/min。
装置:Waters社製グラジエントHPLCシステム
カラム:TSK−GEL ODS−100V 5μm 4.6×250mm 2本直列
溶離液:0.02Mりん酸ニ水素カリウム(pH2.5に調整)
流速 :0.7mL/min
温度 :30℃
検出器:UV検出器(210nm)
窒素雰囲気下、130℃に加熱したオーブンで、本発明のカルボキシル基含有共重合体組成物1.0gに水1.0gを加えたものを1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の質量変化から、固形分(%)と揮発成分(%)とを算出した。
50mlのビーカーへイオン交換水20g エタノール10gを加え水/エタノール=2/1(重量比)の混合溶媒を作成し、25℃とした。この混合溶媒中へ実施例で得られた重合体水溶液を約0.2gずつ投入し撹拌しながら溶解性を目視で判定し、1分撹拌後に濁りのない最大濃度を溶解度とした。結果を表1に記載した。
上記の試験液100ccを200ccのスクリュー瓶に投入し、実施例の重合体溶液を固形分換算で、10ppmとなるように投入した。
スケール防止試験液の入ったスクリュー瓶を60℃にて16時間加熱し、試験後試験液を1ミクロンのメンブレンフィルターにてろ過を行い、ろ液についてICPを用いてBa濃度測定を行い、下記式にてスケール防止率を算出した。
スケール防止率=(加熱後Ba測定値―ポリマー無添加加熱後Ba測定値)/
(加熱前Ba測定値―ポリマー無添加加熱後Ba測定値)×100
スケール防止率の結果を表1に記載した。
(1)単量体の合成
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製4つ口フラスコに、n−ブチルアルコール370.0gと、ペレット状の水酸化ナトリウム4.27gを仕込み、攪拌しながら60℃まで昇温した。次に、アリルグリシジルエーテル(以下、「AGE」とも称する。)57.0gを30分かけて添加し、その後、5時間反応させた。この溶液を1,000mlのナスフラスコへ移し、ロータリーエバポレーターで脱溶媒した。ここに、20質量%塩化ナトリウム水溶液200.0gを加え、この水溶液を500mlの分液ロートへ移し、よく振り混ぜた後、分層するまで静置し、下層を取り除いた。残った上層を300mlのナスフラスコへ移し、ロータリーエバポレーターで脱溶媒した。析出してきた塩を濾過により取り除き、単量体(1)を得た。
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量1,000mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水128.4g及びモール塩0.0187gを仕込み、攪拌しながら85℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、85℃に保持された重合反応系中に、80%アクリル酸水溶液(以下、「80%AA」とも称する。)270.0g、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムの40%水溶液(以下、「40%HAPS」とも称する。)192.0g、単量体(1)15.0g、15%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、「15%NaPS」とも称する。)100g、及び、35%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(以下、「35%SBS」とも称する。)40gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は、80%AAについては180分間、40%HAPSについては120分間、単量体(1)については120分間、15%NaPSについては190分間、35%SBSについては175分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。
80%AAの滴下終了後、更に30分間、前記反応溶液を85℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、「48%NaOH」とも称する。)193.3gを徐々に滴下し、重合反応液を中和した。
このようにして、本発明の重合体(1)を含む固形分濃度45%の重合体水溶液(1)を得た。重合体(1)の重量平均分子量は8,200であった。また、残存アクリル酸は、80ppm、残存HAPSは、850ppm、残存3SPAは、0.21%であった。結果を表1に記載した。
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量1,000mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水128.4g及びモール塩0.0187gを仕込み、攪拌しながら85℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、85℃に保持された重合反応系中に、80%AA 270.0g、40%HAPS 192.0g、単量体(1)15.0g、15%NaPS 80g、及び、35%SBS 30gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は、80%AAについては180分間、40%HAPSについては120分間、単量体(1)については120分間、15%NaPSについては190分間、35%SBSについては175分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。
80%AAの滴下終了後、更に30分間、前記反応溶液を85℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、「48%NaOH」とも称する。)193.3gを徐々に滴下し、重合反応液を中和した。
このようにして、本発明の重合体(2)を含む固形分濃度45%の重合体水溶液(2)を得た。重合体(2)の重量平均分子量は17,000であった。また、残存アクリル酸は、120ppm、残存HAPSは、1,050ppm、残存3SPAは、0.16%であった。結果を表1に記載した。
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量1,000mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水146.8g、及びモール塩0.0186gを仕込み、攪拌しながら、85℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、85℃に保持された重合反応系中に、80%AA 270.0g、単量体(1)11g、15%NaPS 60g、及び、35%SBS 20gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は、80%AAについては180分間、単量体(1)については140分間、15%NaPSについては190分間、35%SBSについては175分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。
80%AAの滴下終了後、更に30分間、前記反応溶液を85℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、48%NaOH 197.5gを徐々に滴下し、重合反応液を中和した。
このようにして、本発明の重合体(3)を含む固形分濃度45%の重合体水溶液(3)を得た。重合体(3)の重量平均分子量は35,000であった。また、残存アクリル酸は、72ppm、残存3SPAは、0.13%であった。結果を表1に記載した。
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量1,000mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水146.8g、及びモール塩0.0186gを仕込み、攪拌しながら、85℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、85℃に保持された重合反応系中に、80%AA 270.0g、単量体(1)24g、15%NaPS 80g、及び、35%SBS 30gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は、80%AAについては180分間、単量体(1)については140分間、15%NaPSについては190分間、35%SBSについては175分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。
80%AAの滴下終了後、更に30分間、前記反応溶液を85℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、48%NaOH 197.5gを徐々に滴下し、重合反応液を中和した。
このようにして、本発明の重合体(4)を含む固形分濃度45%の重合体水溶液(4)を得た。重合体(4)の重量平均分子量は17,000であった。また、残存アクリル酸は、60ppm、残存3SPAは、0.18%であった。結果を表1に記載した。
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量1,000mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水128.4g及びモール塩0.0187gを仕込み、攪拌しながら85℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、85℃に保持された重合反応系中に、80%AA 270.0g、40%HAPS 6.0g、単量体(1)24.0g、15%NaPS 80g、及び、35%SBS 35gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は、80%AAについては180分間、40%HAPSについては120分間、単量体(1)については120分間、15%NaPSについては190分間、35%SBSについては175分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。
80%AAの滴下終了後、更に30分間、前記反応溶液を85℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、48%NaOH 193.3gを徐々に滴下し、重合反応液を中和した。
このようにして、本発明の重合体(5)を含む固形分濃度45%の重合体水溶液(5)を得た。重合体(5)の重量平均分子量は10,000であった。また、残存アクリル酸は、90ppm、残存HAPSは、250ppmであった。結果を表1に記載した。
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量1,000mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水128.4g及びモール塩0.0187gを仕込み、攪拌しながら85℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、85℃に保持された重合反応系中に、80%AA 270.0g、40%HAPS 144.0g、単量体(1)14.4g、15%NaPS 80g、及び、35%SBS 35gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は、80%AAについては180分間、40%HAPSについては120分間、単量体(1)については120分間、15%NaPSについては190分間、35%SBSについては175分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。
80%AAの滴下終了後、更に30分間、前記反応溶液を85℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、48%NaOH 193.3gを徐々に滴下し、重合反応液を中和した。
このようにして、本発明の重合体(6)を含む固形分濃度45%の重合体水溶液(6)を得た。重合体(6)の重量平均分子量は10,000であった。また、残存アクリル酸は、150ppm、残存HAPSは、1,250ppmであった。結果を表1に記載した。
重量平均分子量5,000のポリアクリル酸ナトリウム 45%水溶液を比較重合体(1)とした。結果を表2に記載した。
重量平均分子量60,000のアクリル酸/マレイン酸=30/70(重量比)ナトリウム塩40%水溶液を比較重合体(2)とした。結果を表2に記載した。
重量平均分子量50,000のポリアクリル酸ナトリウム 40%水溶液を比較重合体(3)とした。結果を表2に記載した。
このように、本発明の特定の構成を有する重合体及び組成物とすることにより、優れた硫酸バリウムスケール防止能を充分に発揮させる作用機序は、すべて同様であるものと考えられる。
したがって、前記実施例の結果から、本発明の技術的範囲全般において、また、本明細書において開示した種々の形態において本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮することができるといえる。
Claims (6)
- カルボキシル基含有共重合体であって、
前記カルボキシル基含有共重合体は、
エーテル結合含有単量体(A)に由来する下記一般式(1)で表される構造単位(a)と、スルホン酸基含有単量体(B)に由来する構造単位(b)と、
(メタ)アクリル酸系単量体(C)に由来する構造単位(c)と
を含み、
前記カルボキシル基含有共重合体は、前記カルボキシル基含有共重合体を形成する全単量体に由来する構造単位の総量100質量%に対して、
構造単位(a)を0.5質量%以上、15質量%以下、
構造単位(b)を0質量%以上、40質量%以下、及び、
構造単位(c)を45質量%以上、99.5質量%以下含み、
重量平均分子量が2,000〜70,000であり、
前記カルボキシル基含有共重合体の水/エタノールの質量比2/1の混合溶液への溶解度が0.3〜5質量%であり、
且つ、硫酸バリウムスケール防止率が60%以上である、
カルボキシル基含有共重合体。
- 前記硫酸バリウムスケール防止率が60〜78%である、請求項1に記載のカルボキシル基含有共重合体。
- カルボキシル基含有共重合体の製造方法であって、
前記製造方法は、重合開始剤の存在下、
下記一般式(4)で表されるエーテル結合含有単量体(A)と、
スルホン酸基含有単量体(B)と、
(メタ)アクリル酸系単量体(C)とを
含む単量体成分を重合する工程を含み、
全単量体に由来する構造単位の総量100質量%に対し、
エーテル結合含有単量体(A)の含有量が0.5質量%以上、15質量%以下、
スルホン酸基含有単量体(B)の含有量が0質量%以上、40質量%以下、及び、
(メタ)アクリル酸系単量体(C)の含有量が45質量%以上、99.5質量%以下含み、
重量平均分子量が2,000〜70,000であり、
前記カルボキシル基含有共重合体の水/エタノールの質量比2/1の混合溶液への溶解度が0.3〜5質量%であり、
且つ、硫酸バリウムスケール防止率が60%以上である、
カルボキシル基含有共重合体の製造方法。 - 前記硫酸バリウムスケール防止率が60〜78%である、請求項3に記載のカルボキシル基含有共重合体の製造方法。
- 請求項1又は2に記載のカルボキシル基含有共重合体と3−スルホプロピオン酸を含むカルボキシル基含有共重合体組成物であって、
前記カルボキシル基含有共重合体が98.5〜99.99質量%であり、
前記3−スルホプロピオン酸が、前記カルボキシル基含有共重合体組成物の固形分100質量%に対して0.01〜1.5質量%である、
カルボキシル基含有共重合体組成物。 - 請求項1又は2に記載のカルボキシル基含有共重合体を含む原油掘削及び生産用スケール防止剤。
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