JP6431330B2 - フロントフォーク - Google Patents

フロントフォーク Download PDF

Info

Publication number
JP6431330B2
JP6431330B2 JP2014204990A JP2014204990A JP6431330B2 JP 6431330 B2 JP6431330 B2 JP 6431330B2 JP 2014204990 A JP2014204990 A JP 2014204990A JP 2014204990 A JP2014204990 A JP 2014204990A JP 6431330 B2 JP6431330 B2 JP 6431330B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rod
cylinder
guide cylinder
end side
front fork
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014204990A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016075317A (ja
Inventor
大輔 池田
大輔 池田
武志 新井
武志 新井
仁樹 小澤
仁樹 小澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Corp
Original Assignee
Showa Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Corp filed Critical Showa Corp
Priority to JP2014204990A priority Critical patent/JP6431330B2/ja
Publication of JP2016075317A publication Critical patent/JP2016075317A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6431330B2 publication Critical patent/JP6431330B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Axle Suspensions And Sidecars For Cycles (AREA)
  • Fluid-Damping Devices (AREA)

Description

本発明は、フロントフォークに関し、特に、エンジンの振動に関わらずロッドやガイドシリンダの軸線にずれが生じないようにして、振動に起因するシール部材からのオイル漏れの防止を可能にしたフロントフォークに関する。
従来、二輪車のフロントフォークには、引用文献1で開示されるものが知られている。引用文献1に開示されるフロントフォークは、車体側チューブのキャップ部材に上端を固定したロッドにピストンを取り付け、作動油が封入されたシリンダ室内に上記ピストンを設けて、作動油内をストローク動作に伴って移動させることで減衰力を得るようにしている。上記ピストンは、ロッドの下端側が突き出るようにロッドに取り付けられており、ピストンよりも下端側に突き出たロッドをシリンダ室内に立設されたガイドシリンダに収容するようにしている。ガイドシリンダには、上端側にロッドの下端側の外周を液密状態でシールするシール部材を有するシリンダヘッドが取り付けられており、作動油がガイドシリンダ内に漏れ出ないように構成される。このガイドシリンダの内周側の空間は、フロントフォークの外部と連通して大気開放されており、ガイドシリンダ内に収容されたロッドの下端側には力が作用しないようになっている。このように構成することで、フロントフォークのストローク動作に伴なってシリンダ室内にロッドが進退することによるロッドの体積分のシリンダ室の容積変化をなくして、シリンダ室内の圧力を一定にして、安定した減衰力を得るようにしている。
特開2012−92944号公報
しかしながら、上記構成のフロントフォークには、走行時におけるエンジンの振動がフレームから伝達され、ある回転域におけるエンジン振動が、ロッドやシリンダヘッド及びガイドシリンダに共振を生じさせることにより、ロッドやガイドシリンダを大きく揺らし、ロッドやガイドシリンダの軸線にずれを生じさせることで、シリンダヘッドに設けられたシール部材とロッドの外周との間に隙間を生じさせ、結果としてシリンダ室内のオイルが外部に漏れ出てしまうという問題があった。
本発明は、こうした問題を鑑みてなされたものであり、エンジンの振動に関わらず、ロッドやガイドシリンダが大きく揺れて、ロッドやガイドシリンダの軸線にずれが生じないようにするフロントフォークを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのフロントフォークの構成として、車体側チューブと、前記車体側チューブと互いに摺動自在に嵌合した車軸側チューブと、前記車軸側チューブの底部から立設されたシリンダと、前記シリンダの上端側に固着され、前記車軸側チューブの内部空間を上側に気室、下側に油室に区画する区画部材と、上端側が前記車体側チューブに固定され、下端側が前記区画部材を液密状態で貫通し、前記シリンダ内に進入したロッドと、前記シリンダ内を摺動して前記ロッドとともに移動するように設けられたピストンと、前記ロッドの下端側の外周を液密状態に保持する保持部材と、を備えたフロントフォークであって、前記ロッドの下端側、前記ロッドの下端側を保持する保持部材のうちの少なくとも一方の重量が前記ロッドの前記保持部材よりも上端側の重量よりも重いので、ロッドやロッドの下端側を保持する保持部材にエンジンの振動等の振動が伝達されても大きく振動しないため、ロッドと保持部材との液密状態が維持され、保持部材からのオイル漏れを防止することができる。
また、上記課題を解決するためのフロントフォークの他の構成として、前記保持部材は、前記シリンダの内部に前記車軸側チューブの底部から立設され、前記ロッドが挿入された円筒状のガイドシリンダと、前記ガイドシリンダの上端側に取り付けられ、ガイドシリンダの内周側に進入した前記ロッドの外周とガイドシリンダの内周との液密状態を維持する封止部材とを備えたので、封止部材がロッドの外周とガイドシリンダの内周とに密着するため、保持部材からのオイル漏れを防止することができる。
また、上記課題を解決するためのフロントフォークの他の構成として、前記フロントフォークのストローク範囲内において、前記ロッドは前記ガイドシリンダの内部に位置し、フロントフォークが最も伸長したときの前記ロッドの前記ガイドシリンダへの進入分の重量を前記ガイドシリンダへの非進入分の重量よりも重くしたので、ロッド及びガイドシリンダの共振点の位置がロッドの下端側に移動するため、ロッド及びガイドシリンダの振動を抑制することができる。
また、上記課題を解決するためのフロントフォークの他の構成として、前記ロッドは、ピストンよりも下側部分において、軸線方向の中心を境界としてピストン側と下端側との重量配分が、ピストン側が3、下端側が7となるように設定したので、ロッド及びガイドシリンダの振動を抑制することができる。
また、上記課題を解決するためのフロントフォークの他の構成として、前記ロッドは、ピストンよりも下側部分において、ピストン側と下端側とで密度の異なる素材で構成され、ピストン側の素材の質量よりも下端側の素材の質量が大きいので、ロッド及びガイドシリンダの振動を抑制することができる。
また、上記課題を解決するためのフロントフォークの他の構成として、前記ロッドは、アルミニウム合金からなる中空パイプと、下端に前記中空パイプの内周側空間を封止するキャップと、を備え、前記キャップを前記中空パイプよりも密度の大きい素材によって構成したので、ロッドの振動を抑制することができる。
また、上記課題を解決するためのフロントフォークの他の構成として、前記ガイドシリンダは、前記ロッドを構成する素材よりも密度の大きい素材によって構成したので、ガイドシリンダの振動を抑制することができる。
フロントフォークの正面図である。 フォーク本体の断面図である。 要部拡大図である。 減衰力発生装置の断面図である。 シミュレーションの振動モデルを示す図である。 シミュレーション結果を纏めた表である。
図1は、フロントフォーク1の一実施形態を示す図であり、図2は、フォーク本体4の断面図である。図1に示すように、フロントフォーク1は、フレームに取り付けられた操舵り装置2にフォーク本体4を取り付けて構成される。
舵取り装置2は、図外のフレームに軸線が上下方向を向くように設けられた円筒状のヘッドパイプ101に取り付けられる。ヘッドパイプ101の上端及び下端の内周には、それぞれ図外のベアリングが設けられる。舵取り装置2は、ロアブラケット11及びアッパブラケット12を備える。ロアブラケット11には、中央に舵取り軸11A、舵取り軸11Aの左右両側にフォーク本体4を固定するための取付孔11B,11Bがそれぞれ設けられ、アッパブラケット12には、中央に貫通孔12A、貫通孔12Aの左右両側にフォーク本体4を固定するための取付孔12B,12Bがそれぞれ設けられている。
舵取り装置2は、ロアブラケット11の舵取り軸11Aをヘッドパイプ101に設けられた上下のベアリングの内周側を下側から上側に向けて貫通させ、ヘッドパイプ101の上端側に突き出た舵取り軸11Aをアッパブラケット12の貫通孔12Aに貫通させ、アッパブラケット12から突き出た舵取り軸11Aにナット13を締め付けることで、上下のベアリングの機能によりヘッドパイプ101に対して回転自在に固定される。ロアブラケット11の左右の取付孔11B及びアッパブラケット12の左右の取付孔12Bは、左右それぞれの中心位置が同軸上に配置される。ロアブラケット11の取付孔11B及びアッパブラケット12の取付孔12Bに、フォーク本体4をそれぞれ挿通し、図外のボルトを締め付けることでフォーク本体4が舵取り装置2に固定される。フォーク本体4は、車体側にアウターチューブ(車体側チューブ)5、車軸側にインナーチューブ(車軸側チューブ)6が配置されるいわゆる倒立型である。
図2は、フォーク本体4を示す断面図である。同図に示すように、アウターチューブ5は、内周面に軸受5A,5Bが軸線方向に所定距離間して嵌合固定されている。この軸受5A,5Bは、いわゆるすべり軸受けであって、内周側に形成された摺動面によりインナーチューブ6の外周を支持することで、インナーチューブ6によるアウターチューブ5の内部への進退動作を可能にしている。インナーチューブ6がアウターチューブ5の内部に進退することで、フォーク本体4の全長が伸縮可能となる。フォーク本体4の内部には、スプリング10が介装されており、アウターチューブ5とインナーチューブ6とを離間する方向に付勢している。
アウターチューブ5は、車体側の端部にキャップ部材7を備える。キャップ部材7は、基部41より突出する筒部42の外周がアウターチューブ5の車体側端部の内周にねじ結合により固定される。基部41の穴41Aには、空転状態で調整ボルト43が取り付けられる。調整ボルト43は、一端側から他端側に軸線方向に沿って貫通する中空ボルトであって、ヘッド部43Aと、軸部43Bと、ねじ部43Cとを備える。ヘッド部43Aは、外周が例えば、6角形状に形成され、工具の係合が可能となっている。軸部43Bは、外周が穴41Aの内周との間で回転可能な隙間を形成する寸法で形成される。ねじ部43Cは、外径が軸部43Bよりも小径に形成される。調整ボルト43は、軸部43Bに介挿された環状の位置決めリング44によりキャップ部材7におけるその位置が位置決めされる。位置決めリング44は、基部41の上側に形成された溝に収容されたばね45により下側から上向きに付勢することで、調整ボルト43のヘッド部43Aを上向きに押し上げてキャップ部材7における調整ボルト43の位置を位置決めしている。
調整ボルト43のねじ部43Cの外周には、調整ボルト43の回転とともに回転する筒状のナット部材46が調整ボルト43と一体となるようにねじ結合により固定される。ナット部材46は、軸線方向に沿って延長する溝46Aを外周に形成されている。ナット部材46の外周には、平板円環状のリング体47が設けられる。リング体47は、内周に前述の溝46Aに嵌る凸部47Aと、外周に筒部42の内周に形成されたねじ溝とねじ結合するねじ溝47Bを備える。このリング体47は、調整ボルト43を回転することにより、調整ボルト43とともに筒部42の内周のねじ溝に沿って回転し、溝46Aの延長方向に沿って上下に移動する。
調整ボルト43のナット部材46の下側には、接続筒48を挟んで吊り筒体52が取り付けられる。接続筒48は、外周の中央側にフランジ部48Aを備え、フランジ部48Aを挟んだ上下の外周に、円周方向に沿って断面矩形状に窪むように形成されたシール溝にOリング等のシール部材50,51が嵌着される。接続筒48は、フランジ部48Aよりも上側の外周が調整ボルト43の下端側内周に挿入可能な大きさで形成され、下側の外周が上側ロッド16の内周に挿入可能な大きさで形成される。
吊り筒体52は、内周側の中央に環状の仕切り片52Aを有する円筒状の筒体からなり、仕切り片52Aを挟んで上下の内周がねじ穴として形成される。吊り筒体52は、接続筒48を調整ボルト43の中空部に下側から挿入した状態で、接続筒48の下側から被せるようにして接続筒48の下側を仕切り片52Aの中空部を貫通させ、仕切り片52A及び調整ボルト43の下端とで挟みこむようにして調整ボルト43とねじ結合して固定される。
吊り筒体52の仕切り片52Aより下部筒体52Bの内周には、上側ロッド16がねじ結合により固定される。吊り筒体52の外周には、当該吊り筒体52の外周を軸線方向に沿って移動するリング状のばね座14が設けられる。
上述のリング体47とばね座14との間には、スプリング10への初期荷重の変更を可能にするための筒状のばね座押圧体53と、筒状の押圧体支持リング54とが設けられる。ばね座押圧体53は、押圧体支持リング54の内周側に設けられ、ばね座押圧体53の外周と押圧体支持リング54の内周との間をCリング等の保持手段で互いの位置関係を保持させることで、円周方向に沿って互いに回転可能であるが軸線方向には移動不能となるように押圧体支持リング54と一体にされる。一体となったばね座押圧体53及び押圧体支持リング54は、押圧体支持リング54の開放端面がリング体47の下面と当接し、ばね座押圧体53の開放端面がばね座14の上面と当接するように設けられる。
したがって、調整ボルト43を回転することにより、リング体47が筒部42の内周のねじ溝に沿って回転して上下方向に移動してばね座押圧体53及び押圧体支持リング54を上下動させ、このばね座押圧体53及び押圧体支持リング54が上下動することで、ばね座14の上下位置を変位させる。なお、ばね座14が上下に変位することにより、スプリング10を上端側を押圧する押圧力が調整され、初期のばね荷重が調整可能となる。
吊り筒体52の下側内周には、中空円筒の上側ロッド16の上端側外周がねじ結合により固定される。このとき接続筒48は、下側筒部が上側ロッド16の上端側の内周に進入して、上側ロッド16の内周と接続筒48の下側筒部の外周との隙間をシール部材51により封止する。このように、接続筒48を介して調整ボルト43と上側ロッド16とを連結することにより、調整ボルト43の内周と上側ロッド16の内周とが液密状態で連通して1つの空間が形成される。吊り筒体52に取り付けられた上側ロッド16は、アウターチューブ5の軸線と同軸に配置される。
上側ロッド16は、軸線方向に沿って外径が一定の円筒状の筒体からなり、例えばアルミニウム合金を素材として形成される。上側ロッド16は、吊り筒体52からインナーチューブ6に向けて延長し、車軸ホルダ9に立設された後述するシリンダ25の内部空間に到達する長さを有する。この上側ロッド16の下端には、シリンダ25内を移動するピストン20が取り付けられる。
上側ロッド16の上部外周には、ストッパ19が設けられる。ストッパ19は、上側ロッド16の外周に図外の固定手段で固定されたストッパホルダ19Aにねじ止めされた止め具19Bと一体化される。上記ストッパ19は圧側行程においてピストン20とともに上側ロッド16が下方に移動し、ピストン20が一定位置まで移動したときに後述の区画部材60の上端に当接してピストン20及び上側ロッド16の下方向への移動を規制する。
区画部材60の上端には、リング状の下側受部材111が配置される。下側受部材111は、内周側に形成された段部111aにより、所定長さで設定された筒状のスペーサ112の下端を支持する。スペーサ112は、外周に複数の肉抜き孔を備える薄肉の筒体からなり、下側受部材111と対をなすように、上側がリング状に形成された上側受部材113の内周側に形成された下向きの段部113aで支持される。上側受部材113の上面側には、ばね座114が設けられる。ばね座114は、上述のばね座14との間で、上側ロッド16の外周を巻回するように設けられたスプリング10の下端を支持する。つまり、スプリング10は、下端側がばね座114、上側受部材113、スペーサ112および下側受部材111を介して後述の区画部材60によって支持される。スプリング10の内周側には、スプリング10の圧縮時にスプリング10の内周側と接触して、スプリング10の形崩れを防止するスプリングガイド115が上側ロッド16の外周を包囲するように設けられる。
ピストン20は、壁部20Eにより上下に仕切られた筒体よりなり、下部外周にはピストンリング21を備える。ピストンリング21は、シリンダ25の内周とピストン20の外周との液密状態を維持してシリンダ25内のピストン20の移動を可能にする。ピストンリング21は、例えば外周が摺動面として形成された円筒状のすべり軸受けからなる。ピストン20は、壁部20Eにより仕切られた上部内周20a及び下部内周20bがそれぞれねじ穴として形成される。上部内周20aのねじ穴には、上述の上側ロッド16の下端側外周がねじ結合により固定され、下部内周20bのねじ穴には下側ロッド17の上端側外周がねじ結合により固定される。
下側ロッド17は、軸線方向に沿って外径が一定の円筒状の筒体、例えば中空パイプからなり、外径が上側ロッド16の外径と同一に設定される。図2,3に示すように、下側ロッド17は、下端側の内周にキャップ部材18を備える。下側ロッド17は、一端側の外周にピストン20とねじ結合するねじ溝17A、他端側の内周にキャップ部材18を固定するためのねじ穴17Bを備える。この下側ロッド17は、例えば上側ロッド16と同一の素材のアルミニウム合金からなる。
キャップ部材18は、例えば下側ロッド17の内周側に収容可能な所定長さの軸体からなり、軸部18Bと、軸部18Bの一端側の外周に下側ロッド17のねじ穴17Bとねじ結合するねじ溝18Aと、ねじ溝18A側の端面には、プラス溝、マイナス溝や六角穴等の工具係合部18Cとを備える。キャップ部材18は、鉄、真鍮等の金属及び非鉄金属を含み下側ロッド17を構成する素材よりも密度の大きい素材からなる。下側ロッド17は、キャップ部材18を装着した状態において、ピストン20に固定されるねじ溝17A側の端部と、キャップ部材18が挿入されるねじ穴17B側の端部との重量バランスがねじ穴17B側が重くなるように構成される。つまり、キャップ部材18を装着した状態の下側ロッド17の重心位置が、キャップ部材18の挿入されるねじ穴17B側となるように設定される。
好ましくは、下側ロッド17の軸線方向の中心における重量比が、例えば上端側のねじ溝17A側が3、下端側のねじ穴17B側が7となるようにおもり部材の長さ及び素材を設定するとよい。すなわち、下側ロッド17は、ピストン20よりも下側部分において、ピストン20側と下端側との重量配分が、ピストン側が3、下端側が7となるように設定することで、ロッド及びガイドシリンダの振動を抑制することができる。なお、本明細書において、上端側及び下端側とは、下側ロッド17の軸線方向の中心を境界とし、この境界よりも上側を上端側、下側を下端側という。下側ロッド17は、キャップ部材18を装着した状態で、下側ロッド17の下端側を保持する保持部材としてのガイドシリンダ26の内部に挿入される。
上記アウターチューブ5に嵌合するインナーチューブ6は、上端から下端にかけて一定の外径で形成された所定長さの筒体である。インナーチューブ6は、アウターチューブ5よりも固い素材からなり、例えば、鉄を主材料とする鉄合金からなる。インナーチューブ6は、当該インナーチューブ6の底部を形成する車軸ホルダ9を備える。
車軸ホルダ9は、ピストン20の外周が摺動する円筒状のシリンダ25と、ピストン20から延長された下側ロッド17をガイドするガイドシリンダ26と、フォーク本体4における減衰力を発生させる減衰力発生機構70とを備える。
車軸ホルダ9は、下側に車軸を支持する車軸支持部91と、インナーチューブ6と組み付けられる組付部92とを備える。車軸支持部91は、車軸ホルダ9の軸線に対して直交方向に貫通する車軸貫通孔91aを備える。車軸貫通孔91aには、内周から車軸ホルダ9の下端面に向けて切割部91bが延長する。切割部91bは、車軸貫通孔91aの下側において、この切割部91bの延長方向と直交方向に形成された図外のネジ孔に螺合させたボルト93を締め付けることで図外の車軸を挟持固定する。
組付部92は、円筒状に形成され、外周に上述のインナーチューブ6の下端側内周と螺着するためのねじ部92aと、このねじ部92aの下側に車軸ホルダ9とインナーチューブ6とを組み付けたときの液密状態を維持するためのOリングなどのシール部材94を嵌着するシール溝92dと、車軸ホルダ9にインナーチューブ6を螺着するときに、インナーチューブ6の先端を突き当てる環状の突当部92cを備える。
インナーチューブ6は、下端が車軸ホルダ9の突当部92cに突き当たるまで、車軸ホルダ9の外周のねじ部92aにインナーチューブ6の内周のねじ部9aを螺合させることで車軸ホルダ9に固定されるとともに、シール溝92dに設けたシール部材94によりインナーチューブ6の内周と車軸ホルダ9の外周とがシールされる。
組付部92は、内周底部側にシリンダ25を固定するシリンダ固定部95、ガイドシリンダ26を固定するガイドシリンダ固定部96、貫通孔97を備える。シリンダ固定部95及びガイドシリンダ固定部96は、それぞれインナーチューブ6の軸心と同心円のねじ孔として形成される。シリンダ固定部95は、ガイドシリンダ固定部96よりも大径かつ上側に設けられる。
シリンダ固定部95は、車軸ホルダ9の組付部92の内周面92bとシリンダ25の外周25aとの間で所定の隙間e1を有するように、組付部92の内径よりも小さな寸法で形成される。シリンダ固定部95の底部側には、シリンダ25の下端を突き当てるための突当部95aが設けられる。突当部95aは、軸心方向に突出して環状に形成される。突当部95aは、軸心方向において、車軸ホルダ9の外周に設けられたインナーチューブ6の突当部92cよりも下側に位置するように設けられる。これにより、シリンダ25は、突当部95aに下端を突き当てた状態で、下端側外周がシリンダ固定部95とねじ結合により固定される。
ガイドシリンダ固定部96は、シリンダ25の内周面25bとガイドシリンダ26の外周26aとの間に隙間e2を有するように、シリンダ固定部95の内径よりも小さな寸法のねじ穴として形成される。ガイドシリンダ固定部96の底部側には、ガイドシリンダ26の下端を突き当てるための突当部96aが設けられる。突当部96aは、軸心方向に突出して環状に形成される。突当部96aは、軸心方向において、シリンダ25の突当部95aよりも下側に位置するように設けられる。これにより、ガイドシリンダ26は、突当部96aに下端を突き当てた状態で、下端側外周がガイドシリンダ固定部96とねじ結合により固定される。
貫通孔97は、ガイドシリンダ固定部96の突当部96aの内周側に一端が開口し、他端が車軸貫通孔91aに開口するように軸線方向に沿って形成される。
シリンダ25は、円筒状の筒体よりなり、下端側外周及び上端側外周にねじ部25A;25Bを備える。シリンダ25の上端側のねじ部25Bには、区画部材60が取り付けられる。区画部材60は、インナーチューブ6の内部空間を上下に区画する。本実施形態では、上側の空間を空気室A、下側の空間を作動油室Fに区画する。空気室Aは、フロントフォークにおける空気ばねとして機能する。区画部材60は、ベース部60Dと筒部60Cよりなり、ベース部60Dの中央孔の内周に上述の上側ロッド16が貫通するガイド部60Aを有する。ベース部60Dの外周には、インナーチューブ6の内周面に沿って接触するように膨出する封止部60Bを備える。ガイド部60Aには、上側ロッド16の外周と液密状態を維持するシール部材61と、摺動自在に支持する軸受部材62が設けられる。封止部60Bには、インナーチューブ6の内周との液密を維持するシール部材63が設けられる。筒部60Cの上部側には、連通孔60mが形成される。連通孔60mは、区画部材60のベース部60D及びシリンダ25で囲まれた空間からインナーチューブ6の内周及びシリンダ25の外周で囲まれた空間に連通して作動油の相互の流通を許容する。
なお、連通孔60mは、ピストン20のストローク範囲よりも上側であれば、シリンダ25に設けても良い。また、インナーチューブ6には、区画部材60よりも上側においてアウターチューブ5との隙間に開口する潤滑孔5aが設けられ、空気室A内に貯留した潤滑用油をアウターチューブ5とインナーチューブ6との間に流入出可能に構成される。
区画部材60は、筒部60Cの下端側の内周をシリンダ25の上端側外周に螺着させることでシリンダ25にねじ結合により固定される。この筒部60Cのベース部60Dの底面と、上述したピストン20との間には、フォーク本体4の最伸長時に、ピストン20と区画部材60との衝突を緩衝するための緩衝材、例えば、リバウンドスプリング200が設けられる。
ガイドシリンダ26は、下側ロッド17の内部への進退を許容可能な内径を有する円筒状の筒体からなり、一端側の外周及び他端側の外周にねじ部26A,26Bをそれぞれ備える。ガイドシリンダ26は、車軸ホルダ9の突当部96aに端部が突き当たるまで、一端側のねじ部26Aをガイドシリンダ固定部96に螺入することにより固定される。このとき、ガイドシリンダ26は、ガイドシリンダ固定部96の環状溝96bに設けられたシール部材98が、ねじ部26Aよりも端部側に小径に形成された非ねじ部26cの外周面に密着してガイドシリンダ26の外周と車軸ホルダ9との隙間を封止した状態で、車軸ホルダ9にねじ結合により固定される。ガイドシリンダ26の他端側のねじ部26Bには、シリンダヘッド30が螺着して被せられる。
図3に示すように、シリンダヘッド30は、例えば、アルミニウム合金を素材とする筒体であって、下端側の内周にねじ部30A、ねじ部30Aの上側にシール部材31が設けられるシール溝30B、シール溝30Bの上側にシール部材32が設けられるシール溝30C、シール溝30Cよりも上側に軸受33が嵌着する軸受固定部30Dと、外周中央部に半径方向に膨出する膨出部30Eとを備える。ねじ部30Aは、ガイドシリンダ26の上端側外周のねじ部26Bと螺合する雌ねじとして形成される。膨出部30Eは、軸線方向から見た時の外形形状が花弁状に形成される。膨出部30Eは、外周のうちシリンダヘッド30の軸心から最も遠い部分がシリンダ25の内周面25bと接触するように形成される。シリンダヘッド30の外形形状を花弁状に形成することにより、膨出部30Eの上下方向に作動油の流通が可能に構成される。
シール部材31は、Oリングなどのゴム製のシール部材よりなり、ガイドシリンダ26の外周26aと、シリンダヘッド30の内周30bとの間を封止する封止部材として機能する。シール部材32は、例えばOリングや、Oリングよりも封止性能の高い断面X字状のXリングからなるゴム製のシール部材よりなり、下側ロッド17の外周17aとシリンダヘッド30の下部内周30cとの隙間を摺動可能に封止する封止部材として機能する。軸受33は、内周面側が摺動面となる円筒状のすべり軸受であって、シリンダヘッド30の上部内周に設けられた軸受固定部30Dの内周に外周が嵌着される。この軸受33の内周面により、下側ロッド17の外周17aを摺動可能に支持してガイドシリンダ26内への進退がガイドされる。
ガイドシリンダ26は、下端側が車軸ホルダ9に支持され、上端側に取り付けられたシリンダヘッド30の最外部がシリンダ25の内周面25bに接することでシリンダ25によって支持される。また、シリンダヘッド30のシール部材31,32の封止作用により、シリンダ25内にガイドシリンダ26の内周空間よりなる外部空間に連通する空間が画成される。
なお、ガイドシリンダ26は、シリンダ25よりも短く、フォーク本体4の最伸長時においても下側ロッド17がガイドシリンダ26から抜け出ない長さ、かつ最短縮時においてピストン20が衝突しない長さに設定される。
車軸ホルダ9に立設されたガイドシリンダ26の内周空間は、貫通孔97と連通し、ガイドシリンダ26内の圧力が、フォーク本体4の外部の大気圧と同じ圧力となる。すなわち、ガイドシリンダ26の内周空間は、大気解放された状態にある。この貫通孔97は、例えば、上述の下側ロッド17に取り付けられたキャップ部材18の外径よりも径大な穴として形成される。これにより、キャップ部材18の重さを変更する場合に、異なる重さのキャップ部材18に容易に交換することができる。
上記下側ロッド17、シリンダヘッド30、ガイドシリンダ26及び貫通孔97は、フォーク本体4のストローク動作においてシリンダ室Sの容積を補償する容積補償機構を構成する。
シリンダ25に区画部材60を取り付け、シリンダ25の内部空間を閉塞したことにより、シリンダ25の内部がシリンダ室Sとして画成される。さらに、シリンダ室Sは、ピストン20よりも上側が伸側油室F1、シリンダ室Sの内部をピストン20よりも下側が圧側油室F2とに分けられる。車軸ホルダ9の側部には、上記圧側油室F2からの作動油を減衰力発生機構70に流通させる孔65と、伸側油室F1からの作動油を減衰力発生機構70に流通させる孔68とが開口する。
次に、減衰力発生機構70及び温度補償機構130の構成を説明する。図4は、減衰力発生機構70及び温度補償機構130を示す要部拡大断面図である。
上記減衰力発生機構70は、圧側行程では一端66側からの作動油に減衰力を与えて他端69側から流出させ、伸側行程で他端69側からの作動油に減衰力を与えて一端66側より流出させることで圧側及び伸側行程におけるフォーク本体4の動作に減衰力を付与する。
図4に示すように、減衰力発生機構70は中心筒体71と、この中心筒体71の両側外周に固着された円板状の仕切板72,73と、一端66側の仕切板72に形成された貫通孔72aを塞ぐように仕切板72の他端69側に取り付けられた圧側減衰バルブ74と、他端69側の仕切板73に形成された貫通孔73aを塞ぐように仕切板73の一端66側に取り付けられた伸側減衰バルブ75と、圧側減衰バルブ74と伸側減衰バルブ75との間の空間よりなる中間室70aと、中心筒体71の中心に位置される針弁76とを備える。
圧側減衰バルブ74と伸側減衰バルブ75との間には、円板状のリング体77が設けられる。リング体77には、厚さ方向中央部分に、内周から外周にかけて径方向に貫通する複数の貫通孔77aが放射状に形成される。また、この貫通孔77aに対応するように中心筒体71には、この中心筒体71を径方向に貫通する貫通孔71aが設けられている。中心筒体71の中央孔71bは一端66側が小径孔71cとなり、反対側が大径孔71dとなり、小径孔71cの他端69側で針弁76の先端のテーパ76aとで間隙81を形成する角部71eが形成される。また、針弁76の根元側には、テーパ部材78が設けられ、このテーパ部材78のテーパ面と間隙82を形成する角部71fが形成される。
針弁76は、調整機構83により進退自在に微調整される。なお、79は貫通孔72bを一端66側から塞ぐチェック弁、80は貫通孔73bを他端69側から塞ぐチェック弁である。圧側減衰バルブ74、伸側減衰バルブ75、チェック弁79,80はいずれも弾性薄板を複数重ねて層状化して構成される。このような減衰力発生機構70は、車軸ホルダ9の側部にフォーク本体4の軸線に対し、例えば傾斜するように設けられる。
以上の構成によれば、圧側行程では、一端66側からの作動油が、貫通孔72aから流入し圧側減衰バルブ74を押し開いて中間室70aに供給されるとともに小径孔71cにも先端側から流入し、間隙81を介して中央孔71bの貫通孔71aからリング体77の貫通孔77aを介して中間室70aに供給される。中間室70aの作動油は、貫通孔73bを介してチェック弁80を押し開いて、他端69方向に供給され、孔68、リング溝67a、第2下部開口67、隙間e1から連通孔60mを経由して伸側油室F1に導かれる。
また、伸側行程時では、他端69側からの作動油は、貫通孔73aから流入し、伸側減衰バルブ75を押し開いて中間室70aに供給されるとともに大径孔71dに連通する孔84から中央孔71bの貫通孔71aを介して中間室70aに供給される。中間室70aの作動油は、貫通孔72bからチェック弁79を押し開いて一端66方向に供給され、孔65、リング溝64a、第1下部開口64を経由して圧側油室F2に導かれる。
上述の減衰力発生機構70による減衰力の発生動作において、作動油の温度変化による作動油の体積変化は、中間室70aに開口する通路116を介して温度補償機構130に導かれることで、温度補償がなされる。温度補償機構130は、通路116が開口する油溜室132と、位置が変位自在に設けられたフリーピストン133により区画される加圧室134を反対側に備え、加圧室134内に封入されたガスの圧力と減衰力発生機構70側の作動油の圧力とのバランスをフリーピストン133を変位させることにより、油溜室132に一部の作動油を流入出させて、減衰力発生機構70側の作動油の容積を一定に維持する。これにより、外気温度や、フォーク本体4の動作による作動油の温度上昇などに依存しない安定した減衰力が得られる。
以下本発明にかかるフォーク本体4の動作について説明する。伸側油室F1、圧側油室F2、隙間e1,e2、減衰力発生機構70、油溜室132には減衰力を生じさせるための作動油が充填される。それ以外の空間は空洞となっている。なお、この空洞には、インナーチューブ6及びアウターチューブ5の摺動を潤滑するための潤滑油が注入されている。
[圧側行程]
車体側と車軸側に取り付けられたフォーク本体4が収縮する圧側行程では、キャップ部材7側が車軸ホルダ9方向に相対的に近接することにより、アウターチューブ5とともに、上側ロッド16、ピストン20、下側ロッド17が車軸ホルダ9に向けて下降する。
ピストン20は、圧側油室F2内の作動油を加圧して、第1下部開口64よりリング溝64a、孔65を介して減衰力発生機構70の一端66に押し出し、この一端66から他端69に向けて通過させる。この減衰力発生機構70内の通過過程において作動油は、流れに所定の抵抗(減衰力)を受けてから他端69、孔68を介してリング溝67a、第2下部開口67、隙間e1、連通孔60mを経由して伸側油室F1に移動する。このように、ピストン20などの圧側行程での減衰力発生機構70の動作により圧側行程における緩衝性能を得ることができる。
[伸側行程]
車体側と車軸側に取り付けられたフォーク本体4が伸長する伸側行程では、スプリング10の付勢力によりキャップ部材7側が車軸ホルダ9方向に相対的に離間することにより、アウターチューブ5とともに、上側ロッド16、ピストン20、下側ロッド17が上昇する。
ピストン20は、伸側油室F1内の作動油を加圧して、第2下部開口67よりリング溝67a、孔68を介して減衰力発生機構70の他端69に押し出し、この他端69から一端66に向けて通過させる。この減衰力発生機構70内の通過過程において作動油は、流れに一定の抵抗(減衰力)を受けてから一端66、孔65を介してリング溝64a、第2下部開口67を経由して圧側油室F2に移動する。このように、伸側行程での減衰力発生機構70の動作により伸側行程における緩衝性能を得ることができる。
上記構成のフォーク本体4には、エンジン振動が舵取り装置2を介して、まずアウターチューブ5に入力される。アウターチューブ5に入力された振動は、キャップ部材7と、軸受5A,5Bを介してインナーチューブ6へと伝達される。キャップ部材7に伝達された振動は、上側ロッド16、ピストン20を経て下側ロッド17に伝達される。インナーチューブ6に伝達された振動は、車軸ホルダ9に伝達されてシリンダ25及びガイドシリンダ26へと伝達される。
上側ロッド16、ピストン20、下側ロッド17及びシリンダヘッド30を含むガイドシリンダ26は、アウターチューブ5、シリンダ25や車軸ホルダ9に使用されるアルミニウム合金に比べて密度が低い軽量のアルミニウム合金が使用されるため、アウターチューブ5、シリンダ25や車軸ホルダ9よりも振動による影響を受けやすい。このため、下側ロッド17やシリンダ25は、アウターチューブ5やインナーチューブ6には影響の無い振動でも影響を受けることになる。
[実施例]
そこで、本発明の効果を検証するため、図5に示すように、下側ロッド17、シリンダヘッド30及びガイドシリンダ26で構成した振動モデルを作成し、コンピュータによるシミュレーションを行った。また、その結果を図6の表に示す。この振動モデルには、比較モデルと発明モデルとを用意し、それぞれ下側ロッド17の先端にキャップ部材18を装着した。比較モデルでは、キャップ部材18を2g、シリンダヘッド30を15gとし、アルミニウム合金製を想定した。また、発明モデルでは、キャップ部材18を17g、シリンダヘッド30を42gとし、鋳鉄製を想定した。シミュレーションでは、比較モデル及び発明モデルのガイドシリンダ26に進入する下側ロッド17の進入長さを図5(a)に示す0mm、図5(b)に示す60mm、図5(c)に示す130mmに変えて、この3種類について共振周波数について調べた。
なお、進入長さ0mmとは、フォーク本体4がストローク範囲において最も伸長したときを示し、130mmとは、フォーク本体4が最も縮短したときを示している。そして、振動モデルにエンジン振動とみなした振動を付与し、付与する振動の振動数を徐々に上昇させて、共振周波数を調べた。
シミュレーションの結果、図6(b)の表に示すように、比較モデルでは、0mmで2542Hz、60mmで1433Hz、130mmで388Hzであった。発明モデルでは、0mmで475Hz,60mmで750Hz,130mmで265Hzであった。すなわち、振動部位の重量を増加させたことで、共振周波数が低周波域に変化している。
また、図6(a)に示すように、比較モデルのストローク量が0mmでは、下側ロッド17のみが大きく共振しているため、ガイドシリンダ26の振動に対して大きくずれが生じ、シールの追従性が悪化してシール部材からオイル漏れを生じさせる。一方、発明モデルでは、下側ロッド17及びガイドシリンダ26の全体が共振するため、下側ロッド17とガイドシリンダ26との間にずれが生じないのでシールが破られることがない。つまり、下側ロッド17、シリンダヘッド30及びガイドシリンダ26で構成される構造体の共振点の位置がずれたことで、構造体全体が振動するため、シール性が確保できる。
また、比較モデルのストローク量が60mmでは、下側ロッド17の先端のみが大きく共振しているため、ガイドシリンダ26の振動に対して大きくずれが生じ、シールの追従性が悪化してシール部材からオイル漏れを生じさせる。一方、発明モデルでは、下側ロッド17及びガイドシリンダ26の全体が共振するため、下側ロッド17とガイドシリンダ26との間にずれが生じないのでシールが破られることがない。つまり、下側ロッド17、シリンダヘッド30及びガイドシリンダ26で構成される構造体の共振点の位置がずれたことで、構造体全体が振動するため、シール性が確保できる。
以上まとめると、下側ロッド17の下端側、下側ロッドの下端側を保持するシリンダヘッド30及びガイドシリンダ26のうちの少なくとも一方の重量を下側ロッドの上端側の重量よりも重くしたことにより、図5(b)に示すように、伸側行程におけるストローク量が大きい場合、下側ロッド17の軸線とガイドシリンダ26の軸線とが交差するように、下側ロッド17が大きく振動しないので、下側ロッド17の外周17aとシリンダヘッド30の内周30bとの間に隙間が生じなくなる。その結果として、常にシール部材32のシール機能が維持されて、走行中の様々な周波数のエンジン振動が伝達されたとしてもシール部材32からオイル漏れが生じなくなる。
また、図5(c)に示すように、圧側行程におけるストローク量が大きい場合、下側ロッド17の軸線とガイドシリンダ26の軸線とが交差するように、下側ロッド17が大きく振動しないので、下側ロッド17の外周17aとシリンダヘッド30の内周30bとの間に隙間が生じなくなる。その結果として、常にシール部材32のシール機能が維持されて、エンジン振動に関わらずシール部材32からオイル漏れが生じなくなる。
つまり、下側ロッド17、シリンダヘッド30及びガイドシリンダ26で構成される構造体の質量分布において、構造体の中心位置に共振点が位置するように重さに変化を与えることで、共振を抑制してシール部材からのオイル漏れの防止が可能となる。例えば、ストロークの範囲内において、最も伸長したときの下側ロッド17のガイドシリンダ26への進入分の重量をガイドシリンダ26への非進入分の重量よりも重くなるようにすることで、下側ロッド17及びガイドシリンダ26の共振点の位置が下側ロッド17の下端側に移動するため、下側ロッド17及びガイドシリンダ26の振動を抑制して、シール部材からのオイル漏れを防止できる。
上記実施例を踏まえると、下側ロッド17、シリンダヘッド30及びガイドシリンダ26で構成される構造体において、下側ロッド17に挿入したキャップ部材18と重なる位置に、キャップ部材18の質量に相当する質量があればよいことが言える。つまり、下側ロッド17に挿入するキャップ部材18に代えて、シリンダヘッド30を上記キャップ部材18の質量に相当する質量を有する素材、鉄で構成しても同様の効果を得られる。また、ガイドシリンダ26を上記キャップ部材18の質量に相当する質量を有する素材、鉄で構成しても同様の効果を得られる。
上記実施形態では、下側ロッド17、ガイドシリンダ26、シリンダヘッド30をアルミニウム合金製で構成するものとして説明したが、例えば、下側ロッド17及びガイドシリンダ26をアルミニウム合金製、下側ロッド17及びガイドシリンダ26を構成するアルミニウム合金よりも密度の大きい素材でシリンダヘッド30を構成するようにしても良い。
また、下側ロッド17及びシリンダヘッド30をアルミニウム合金製、下側ロッド17及びシリンダヘッド30を構成するアルミニウム合金よりも密度の大きい素材でガイドシリンダ26を構成するようにしても良く、ガイドシリンダ26及びシリンダヘッド30をアルミニウム合金製、ガイドシリンダ26及びシリンダヘッド30を構成するアルミニウム合金よりも密度の大きい素材で下側ロッド17を構成するようにしても良い。
フロントフォークとしての機能を考えた場合、全体の重量が軽くなるように、下側ロッド17、ガイドシリンダ26、シリンダヘッド30をアルミニウム合金製で構成し、このアルミニウム合金よりも密度の大きいキャップ部材18を下側ロッド17の中空内部の下端側に取り付けるようにすると良い。このように構成することで、車体に搭載されるエンジンが変更されても、フォーク本体4を分解することなく、車軸ホルダ9の下端に設けられた貫通孔97から変更されたエンジンによる振動に対応したキャップ部材18に変更することができる。
なお、上側ロッド16と下側ロッド17は、上述したように上側ロッド16と下側ロッド17とに分割せずに、一本のピストンロッドで構成しても良い。この場合、ピストンロッドが貫通可能となるようにピストンを構成し、ピストンロッドの外周にピストンを固定するための固定手段を設けてピストンを固定するとともに、下端内周にキャップ部材18を装着可能に構成すればよい。
1 フロントフォーク、4 フォーク本体、5 アウターチューブ、
6 インナーチューブ、16 上側ロッド、17 下側ロッド、18 キャップ部材、
20 ピストン、25 シリンダ、26 ガイドシリンダ、30 シリンダヘッド、
60 区画部材、70 減衰力発生機構、130 温度補償機構、
A 空気室 、F 作動油室、F1 伸側油室、F2 圧側油室、S シリンダ室。

Claims (7)

  1. 車体側チューブと、
    前記車体側チューブと互いに摺動自在に嵌合した車軸側チューブと、
    前記車軸側チューブの底部から立設されたシリンダと、
    前記シリンダの上端側に固着され、前記車軸側チューブの内部空間を上側に気室、下側に油室に区画する区画部材と、
    上端側が前記車体側チューブに固定され、下端側が前記区画部材を液密状態で貫通し、前記シリンダ内に進入したロッドと、
    前記シリンダ内を摺動して前記ロッドとともに移動するように設けられたピストンと、
    前記ロッドの下端側を液密状態で保持する保持部材と、
    を備えたフロントフォークであって、
    前記ロッドの下端側、前記ロッドの下端側を保持する保持部材のうちの少なくとも一方の重量が前記ロッドの前記保持部材よりも上端側の重量よりも重いことを特徴とするフロントフォーク。
  2. 前記保持部材は、前記シリンダの内部に前記車軸側チューブの底部から立設され、前記ロッドが挿入された円筒状のガイドシリンダと、
    前記ガイドシリンダの上端側に取り付けられ、ガイドシリンダの内周側に進入した前記ロッドの外周とガイドシリンダの内周との液密状態を維持する封止部材とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のフロントフォーク。
  3. 前記フロントフォークのストローク範囲内において、前記ロッドは前記ガイドシリンダの内部に位置し、フロントフォークが最も伸長したときの前記ロッドの前記ガイドシリンダへの進入分の重量を前記ガイドシリンダへの非進入分の重量よりも重くしたことを特徴とする請求項2に記載のフロントフォーク。
  4. 前記ロッドは、ピストンよりも下側部分において、軸線方向の中心を境界としてピストン側と下端側との重量配分が、ピストン側が3、下端側が7となるように設定されたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のフロントフォーク。
  5. 前記ロッドは、ピストンよりも下側部分において、ピストン側と下端側とで密度の異なる素材で構成され、ピストン側の素材の質量よりも下端側の素材の質量が大きいことを特徴とする請求項2に記載のフロントフォーク。
  6. 前記ロッドは、アルミニウム合金からなる中空パイプと、下端に前記中空パイプの内周側空間を封止するキャップと、を備え、前記キャップを前記中空パイプよりも密度の大きい素材によって構成したことを特徴とする請求項1に記載のフロントフォーク。
  7. 前記ガイドシリンダは、前記ロッドを構成する素材よりも密度の大きい素材によって構成したことを特徴とする請求項2に記載のフロントフォーク。
JP2014204990A 2014-10-03 2014-10-03 フロントフォーク Active JP6431330B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014204990A JP6431330B2 (ja) 2014-10-03 2014-10-03 フロントフォーク

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014204990A JP6431330B2 (ja) 2014-10-03 2014-10-03 フロントフォーク

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016075317A JP2016075317A (ja) 2016-05-12
JP6431330B2 true JP6431330B2 (ja) 2018-11-28

Family

ID=55950991

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014204990A Active JP6431330B2 (ja) 2014-10-03 2014-10-03 フロントフォーク

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6431330B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107355506A (zh) * 2017-07-05 2017-11-17 无锡比德希减震阻尼技术有限公司 一种油气混合式缓冲器

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0180842U (ja) * 1987-11-20 1989-05-30
JP2008128340A (ja) * 2006-11-20 2008-06-05 Toyota Motor Corp 車両用ショックアブソーバ及びその設計方法
JP5180129B2 (ja) * 2008-04-17 2013-04-10 カヤバ工業株式会社 フロントフォーク

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016075317A (ja) 2016-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2013024421A (ja) ショックアブソーバのバルブ構造
JP6450135B2 (ja) ダイヤフラムユニット及びサスペンション
JP2011247371A (ja) 緩衝器
JP2017003016A (ja) 緩衝器
JP2009243530A (ja) 流体圧緩衝器
JP6431330B2 (ja) フロントフォーク
JP2011163537A (ja) 緩衝器
WO2016047471A1 (ja) フロントフォーク
JP6219582B2 (ja) 懸架装置
JP5671355B2 (ja) ソレノイドバルブおよび緩衝器
JP4965490B2 (ja) 油圧緩衝器
JP2013204643A (ja) 油圧緩衝器の減衰力発生装置
JP5443227B2 (ja) 液圧緩衝器
JP6357062B2 (ja) 緩衝器
JP7202170B2 (ja) 流体圧緩衝器
JP2018100683A (ja) 油圧緩衝器
JP6279957B2 (ja) フロントフォーク
JP5689645B2 (ja) 防振装置
JP6377931B2 (ja) フロントフォーク
JP5969943B2 (ja) 磁気粘性流体緩衝器及びフロントフォーク
JP6274925B2 (ja) 緩衝器
JP2020016269A (ja) 緩衝器
JP2011158016A (ja) 緩衝器
JP6803924B2 (ja) 緩衝器
JP3402817B2 (ja) 油圧緩衝器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170510

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180319

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180403

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180601

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181023

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181102

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6431330

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250