JP6430789B2 - 日焼け止め化粧料 - Google Patents

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本発明は日焼け止め化粧料に関する。
近年、日焼け止め化粧料には高いSPF(Sun Protection Factor)効果や高いPA(Protection Grade of UVA)を得るために、紫外線散乱剤や紫外線吸収剤を多く配合する傾向にあり、これらの成分を配合した日焼け止め化粧料の技術が多数公開されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
紫外線散乱剤は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの金属酸化物が好んで用いられる。これらの紫外線散乱剤は、UVBだけでなくUVAも遮蔽するので、高いSPF効果がある。また、紫外線散乱剤は、皮膚に刺激を与えない点で優れている。このため、日焼け止め化粧料には、皮膚刺激の恐れがある紫外線吸収剤を配合せずに、紫外線散乱剤だけで高いSPF効果を実現させた日焼け止め化粧料も市販されている。
皮膚刺激の弱い日焼け止め化粧料においては、紫外線散乱剤として金属酸化物をできるだけ多く配合したいという設計要求がある。しかし、金属酸化物は化粧料中に配合すればするほど皮膚に塗布した時、伸びが重くなる。また、肌の上に白さが残る「白浮き」などの問題が発生する。
このような問題点を解決するために、様々な技術提案がなされている。例えば、塗布後の白浮きを改良するために、金属酸化物を微粒子化して可視光線の透過性を向上させる技術(特許文献3)、表面処理剤を用いて微粒子化することにより金属酸化物の分散性を向上させて、塗布後の白浮きを改良する技術(特許文献4)などが提案されている。
また、酸化チタン等の金属酸化物顔料を特殊加工して白浮きを抑える技術も提案されている。例えば特許文献5には、二酸化チタンの結晶内部に鉄成分を1〜15重量%含有させた鉄含有二酸化チタンが黄〜肌色を呈し、これを含む化粧料は色別れせず、肌に塗布しても白浮き現象が少ないことが記載されている。また特許文献6には、体質粉体上に有機赤色色素を含有する赤色粉体層を形成させ、さらにその上部に半透明粉体を含む層を有する粉体を含む化粧料は、白浮きせずに自然な仕上がりになることが記載されている。
さらにまた、特許文献7には、リソ−ルルビンBCAを含む赤色顔料と酸化チタン粒子を含むベースメイク化粧料は、白浮きが抑制され、透明感に優れることが記載されている。
いずれの技術も、使用する金属酸化物を調製するために特殊な技術が必要であり、その効果は、必ずしも満足できるものではなかった。また、金属酸化物を高濃度で含有する日焼け止め化粧料を製造するためには、微量の有色顔料や有機色素を複数回にわたり電子天秤で量り取る作業や、色ムラが生じないようにあらかじめ別の容器で良く混合する作業等、煩雑な調製と品質管理が必要であった。
特開平10−120543号公報 特表2002−521417号公報 特開平9−175821号公報 特許第3567335号公報 特開平7−69636号公報 特許第3654748号公報 WO2014/041867号公報
本発明は、塗布する際の伸びが良く、使用感に優れ、肌に塗布した時の白浮きが少ない日焼け止め化粧料を提供することを課題とする。
本発明者は、金属酸化物を多く含む日焼け止め化粧料において、パーム油を配合すると、塗布する際の伸びが良く、使用感に優れ、肌に塗布した時の白浮きが少ない日焼け止め化粧料となることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)脂肪酸又はシリコーンで被覆された金属酸化物を含む油中水型乳化日焼け止め化粧料であって、カロテンを400〜700ppm含有するパーム油を、化粧料全量に対しカロテンが0.0002〜0.001質量%となる量を含有していることを特徴とする油中水型乳化日焼け止め化粧料。
(2)脂肪酸又はシリコーンで被覆された金属酸化物が酸化チタン、酸化亜鉛から選ばれる一種又は二種である(1)に記載の油中水型乳化日焼け止め化粧料。
(3)脂肪酸又はシリコーンで被覆された金属酸化物を化粧料全量に対し18〜30質量%含有する(1)又は(2)に記載の油中水型乳化日焼け止め化粧料。
本発明の日焼け止め化粧料は、金属酸化物を化粧料全量に対し18〜30質量%程度配合しているにも関わらず、肌に塗布した時の伸びが良く、白浮きがない。また、塗布後、長時間経過してもかさつきがなく、しっとりとした感触が持続する。
また、製造方法も簡便であって、微量の有色顔料や有機色素を複数回にわたり電子天秤で秤量する作業や、色ムラが生じないようにあらかじめ別の容器で良く混合する作業等、煩雑な調製と品質管理を必要としない。
さらにまた、有機色素、着色顔料を使用しないため、本発明の日焼け止め化粧料が服などについても目立たず、色移りがないため、更衣するときに衣服への色移り(転写)を気にしなくてもよく、使用上の利便性が高い。
以下に、本発明の構成成分について説明する。
<金属酸化物>
本発明で用いる金属酸化物は、紫外線を散乱または遮蔽する目的で配合する。金属酸化物は、微粒子化したものを用いることが好ましく、酸化チタン及び/又は酸化亜鉛が好ましい。金属酸化物は、脂肪酸やシリコーンなどで表面処理(被覆処理)しているものを用いても良く、特にシリコーンで表面処理(被覆処理)しているものを用いることが好ましい。
これらの金属酸化物は、単体を入手して適宜表面処理、分散処理を施した後、これを用いても良い。通常は、金属酸化物が揮発性シリコーン基材中に安定的に低次粒子化されたペースト状の市販品を用いることができる。ペースト状の市販品としては、大日本化成(株)製のコスメサーブWP−40TK、テイカ(株)製の、LZ−021、LZ−F02などを入手して用いることができる。コスメサーブWP−40TKは、酸化チタン、シリカ、水酸化Al、ハイドロゲンジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、シクロペンタシロキサンから成る。テイカ(株)製のLZ−021は、酸化亜鉛、ハイドロゲンジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、シクロペンタシロキサン、トコフェロールから成る。テイカ(株)製のLZ−F02は、酸化亜鉛、シクロペンタシロキサン、PEG−9ジメチコン、ジメチコン、トコフェロールから成る。金属酸化物の配合量は目的に応じて適宜決定されるが、高いSPFを得るためには化粧料全量に対し18〜30質量%配合することが好ましい。18〜30質量%配合すると、SPF50+、PA++++の紫外線防御効果を有する日焼け止め化粧料が得られる。
<パーム油>
パーム油は、アブラヤシの果実から搾油し、不純物を除去して得られる油である。
パーム油はオレンジ色をした常温で固体の油脂で、独特の芳香と甘味を持つ油である。主な成分はパルミチン酸約50%、オレイン酸約45%、リノール酸約10%で、その他ステアリン酸約5%、ミリスチン酸約1%が含まれている。飽和脂肪酸であるパルミチン酸を多く含むため常温で固体である。パーム油は、分別処理をすることで液体部にカロテンを移行させ、カロテンを含有しないようにした精製油もパーム油とよばれることがある。本発明においては、アブラヤシの果実から搾油され、不純物を除去し、カロテンを400〜700ppm、トコフェロールを700〜1600ppm含むものを本発明におけるパーム油として使用する。なお、前述のカロテンを精製によって除去したパーム油は、通常「精製パーム油」と呼ばれており、本発明に係るパーム油とは区別して用いる。
パーム油には、水素添加パーム油(水添パーム油)と水素添加しないパーム油(水素未添加パーム油)がある。水添パーム油は、部分水添油と100%硬化油があり、使用目的に応じて水素添加度が調製される。水素添加によってパーム油に含有されているオレイン酸やリノール酸の炭素二重結合部位に水素が添加されて酸化安定性が高まる。
本発明にあっては、水素添加パーム油も使用可能であるが、一般的に市販品で水素添加した水素添加パーム油は、精製処理によってカロテンの大部分が除去されたものが多いことから、部分水素添加パーム油又は水素添加しないパーム油が好ましく、特に水素添加しないパーム油を用いることが好ましい。
本明細書においては、カロテンを含むものを、以下「パーム油」と表記する。
本発明においては、パーム油は日焼け止め化粧料当たり0.1〜2質量%、好ましくは0.4〜2質量%配合することで、白浮きを防止することができる。
なお、アブラヤシの種子(核)から得られる油はパーム核油と呼ばれており、パーム油とは別種の油であり、本願発明には無関係である。
<その他成分>
本発明の日焼け止め化粧料は、その他成分として界面活性剤、粉体、油剤、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン系増粘剤、多価アルコール類、糖類、糖アルコール類、水溶性高分子、増粘剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤、ヒアルロン酸のような保湿剤、香料、pH調整剤等を適宜含有させることができる。また、ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、常在菌コントロール剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、美白剤、殺菌剤等の他の薬効成分、生理活性成分を含有させることができる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等が例示できる。
粉体としては、酸化鉄、グンジョウ、酸化クロム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、タルク、カオリン、窒化ホウ素、マイカ、結晶セルロース粉体、シルク粉体、ポリアクリル酸アルキル粉体、ナイロン粉体、ポリエチレン粉体、ポリスチレン粉体等を例示できる。また、シリコーン処理やフッ素処理等を施した表面処理粉体を用いてもよい。また、複数種の不溶性粉体からなる複合粉体を用いてもよい。不溶性粉体はあらかじめシリコーン油などに分散処理した市販されている分散体を用いても良い。
油剤としては、例えば、シリコーン油、エステル油、油脂、炭化水素類が好ましい。シリコーン油としては、ジメチコン、メチルトリメチコン、カプリリルメチコン、フェニルトリメチコン、ハイドロゲンジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、シクロヘキサシロキサン、シクロペンタシロキサン等が例示できる。
エステル油としては、例えば、2−エチルヘキサン酸セチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、ジイソノナン酸1,3−ブチレングリコール、ジ2−エチルヘキサン酸1,3−ブチレングリコール、ジイソノナン酸ジプロピレングリコール、ジ2−エチルヘキサン酸ジプロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ネオペンタン酸イソステアリル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル等が例示できる。
油脂としては、例えば、ツバキ油、月見草油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、ホホバ油、胚芽油、小麦胚芽油等の液体油脂を例示できる。
炭化水素類としては、例えば、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス等が例示できる。
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等を例示できる。
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、オクチルドデカノール等の分岐鎖アルコール等を例示できる。
シリコーン系増粘剤としては、部分架橋型オルガノポリシロキサン、アルキル変性部分架橋型オルガノポリシロキサン、シリコーン分岐型アルキル変性部分架橋型オルガノポリシロキサンを例示できる。部分架橋型オルガノポリシロキサンと、シクロペンタシロキサンやジメチコンといった油剤とをあらかじめ混合したゲル混合物を用いても良い。
水溶性高分子としては、例えば、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード、デキストラン、プルラン、カルボキシメチルデンプン、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン、メチルセルロース、メチルハイドロキシプロピルセルロース、ハイドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等を例示できる。
増粘剤としては、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、ステアリン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン等を例示できる。
防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン等を例示できる。
金属イオン封鎖剤としては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデ
酸ナトリウム塩等のエデト酸塩を例示できる。
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、2,4−ジハイドロキシベンゾフェノン等を例示できる。
薬効成分としては、ビタミンA油、レチノール等のビタミンA類、リボフラビン等のビタミンB6類、ピリドキシン塩酸塩等のB6類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸モノパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−グルコシド等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム等のパントテン酸類、ビタミンD6、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類等のビタミン類を例示できる。
本発明の日焼け止め化粧料の形態として、サンスクリーンクリーム、サンスクリーンローション、サンケアスプレー、サンスクリーンエマルジョン、サンスクリーンムースが挙げられる。日焼け止めの機能を有する下地用のクリームとしてもよい。
以下に実施例及び比較例、及びこれらの組成物を用いた試験例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。
[日焼け止め剤にパーム油等を添加した化粧料の比較試験]
1.日焼け止め剤A(基本剤A)の調製
表1の組成の日焼け止め剤A(基本剤A)を以下の調製方法により調製した。
2.調製方法
金属酸化物と油性成分を室温で混合し、さらにホモミキサー(3000rpm)にて10分間混合し、油相を調製した。同様にして水相成分を混合して水相を調製し、油相に水相を投入しながら、ホモミキサー(3000rpm)で混合し、1〜2分間乳化した。さらにホモミキサーの回転数を上げ、4500rpmで10分間撹拌混合を継続し、乳化組成物を得た。これを基本剤Aとした。なお、この日焼け止め剤AはSPF50、PA++++となるように設計されている。
3.各種成分の添加による白浮き抑制効果の評価試験
白浮き抑制に効果があることが知られている成分として黄酸化鉄、パプリカ色素、シアノコバラミン、クチナシ黄を選択し、これらの成分と本発明に使用するパーム油を基本剤Aに添加し、その効果を評価した。
添加した成分及び添加量を下記表2に示す。
表2に示した各成分を基本剤Aに添加し、ホモミキサーを用いて均質になるまで良く撹拌、混合した。なおパーム油は、カロテン含有量0.05質量%の水素添加していないもの(BASF社製 CEGESOFT GPO)を用い、黄酸化鉄、パプリカ色素、シアノコバラミン、クチナシ黄はそれぞれ化粧品原料として市販されているものを用いた。
添加成分1を添加したものを、本発明の実施例1とした。
得られた日焼け止め化粧料を、それぞれの添加成分に数字を対応させて、試験品1〜5とし、以下の塗布試験による評価試験に供した。
4.塗布試験
基本剤A及び試験品1〜5の日焼け止め化粧料を、下記試験法により肌に塗布した時の白浮きの程度、伸び、しっとり感を専門の官能評価員によって官能評価した。さらに色彩色差計を用いた測定も同時に行った。
<白浮きの程度の評価>
各試験品を、通常の日焼け止め化粧料と同様に官能評価員の手の甲に塗布して試験した。1cmあたり2μgになるように均一に塗り伸ばした後、白浮きの程度を目視評価し、白浮きした場合を「×」、白浮きが認められなかった場合を「〇」と評価した。
<肌に塗布した時の伸びの評価>
官能評価員が試験品の各日焼け止め化粧料を手の甲に塗布した時の感触から、「伸び(伸ばしやすさ)」を「伸びがよい」「伸びが劣る」の2つの評語でそれぞれを「〇」、「×」と評価した。
<肌に塗布した時のしっとり感評価>
官能評価員が試験品の日焼け止め化粧料を手の甲に塗布し、しっとりした感触が長時間持続する場合を「〇」、塗布後の感触がしっとりしていないか、しっとりした感触が持続しない場合を「×」と評価した。
<色彩色差計によるL値、a値、b値(正反射光を除く)による評価>
手の甲に塗布して目視評価するに際し、塗布前後の皮膚の色調をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計を用いてL値、a値、b値、及び色差により評価した。L値は白色度(明度)であり、また日本人の肌を測定した場合にa値、b値は正の値をとるが、その時a値は赤味、b値は黄味を表している。塗布前後の色差をΔL、Δa、Δb、ΔEを計算により求めた。尚、ΔE=(ΔL2+Δa2+Δb21/2である。
5.結果
塗布試験の結果及び色彩色差計による測定結果を下記表3に示す。
本発明の実施例1である試験品1は、肌に塗布した時に白浮きしなかった。また、基本剤Aよりも、「伸び」が良く、「しっとり感」が持続し、かさつきも全く生じなかった。一方、試験品2〜5は、いずれも基本剤Aと比較して「伸び」、「しっとり感」が改善されたものはなかった。
金属酸化物を多く配合した従来技術(基本剤A)を皮膚に塗布すると、その塗布色はL値が皮膚色よりも高くなり、b値は皮膚色よりもかなり下まわる値であった。一方、パーム油を配合した試験品1は、基本剤Aと比べてL値(明度)が下がりb値が上がる事で白浮きを軽減する結果となった。また、試験品3、試験品4は、試験品1と比べるとb値の上がり方は少ないものの、白浮きを軽減する結果となった。
一方、試験品2と試験品5は、b値を上げることができず、白浮きを低減できなかった。
以上の試験から、本発明の実施例である試験品1は、金属酸化物を高配合しているにも関わらず伸びが良く、肌に塗布した時に白浮きせず、しっとり感が持続し、かさつきが低減されていることが確認できた。
6.色移り試験1
前記4.の塗布試験で用いた試験品1〜5及び基本剤Aを用いて、化粧料の色移り試験を行った。
<試験方法>
基本剤A及び各試験品を、それぞれ肌(手の甲)に1cmあたり2μgになるように塗布し、塗布直後に、ティッシュペーパー(以下「ティッシュ」と略記)で押さえ、次いで。ティッシュに付着した面を、コニカミノルタセンシング社製の分光測色計を用いて、色彩(L値、a値、b値)を測定した。ブランクの値からの差でΔL、Δa、Δb、ΔEを計算により求めた。
また、目視によりティッシュへの色移りの状態を確認し、ティッシュへの色移りがわからない「〇」、ティッシュに色移りがわかる「×」の2段階で評価した。
<試験結果>
測定結果及び目視の評価、並びに色移りした場合の色調を下記表4に示す。
表4に示すとおり、本発明の構成をとる試験品1及び試験品5は、ティッシュには目視で確認できる色移りは認められなかった。
7.色移り試験2
添加する成分を増量させると「白浮き」、「色移り」の評価がどのように変化するのか確認するため試験を行った。
<試験方法>
表2に示した添加成分2〜5を0.5質量%となるように基本剤Aに配合し、試験品6、7、8、9を調製した。これらの試験品を試験品1の色移り試験1と同様に試験して、「色移り」を官能試験により評価した。
また、試験品を手の甲に塗布して「白浮き」の程度を目視評価し、さらに、コニカミノルタセンシング社製の分光測色計を用いて、塗布前後の色彩(L値、a値、b値)を測定し、ブランクの値からの差でΔL、Δa、Δb、ΔEを求めた。
<結果>
結果を表5に示す。尚、試験品1のデータはすでに表3、4に記載したデータを再度記載した。
表5に示す通り、パーム油以外の添加成分も配合量を増量させることにより、「白浮き」を抑制することができた。しかしながら、試験品6〜9は、「色移り」がはっきりと確認された。したがって、添加成分を増量することは、「日焼け止め化粧料」の品質としては不適切であると判断した。
[パーム油の配合量を変えた日焼け止め化粧料の調製と評価試験]
1.基本剤の調製
前記の試験で示した基本剤Aと同様にして下記表6の組成の日焼け止め化粧料(基本剤B、基本剤C)を調製した。
2.実施例2〜7の日焼け止め化粧料の製造
すでに明示した基本剤A、及び上記の基本剤B、基本剤Cにパーム油(カロテン含有量0.05質量%の水素添加していないもの(BASF社製 CEGESOFT GPO))を1質量%又は2質量%になるように添加し、ホモミキサーで均一になるまで撹拌混合し、実施例2〜7の日焼け止め化粧料を調製し、評価を行った。
3.比較例1の日焼け止め化粧料の調製
基本剤Aに市販の精製水素添加パーム油(日清オイリオグループ(株)製、ノムコートPH5)を2質量%添加し、同様にホモミキサーで撹拌混合し、日焼け止め化粧料を得た。これを比較例1とした。
なお、実施例と比較例の元となる基本剤と添加成分の関係は、下記の表7のとおりである。
4.実施例1〜7、比較例1の評価試験
<試験方法>
白浮き試験は、前記した方法と同様に、実施例1〜7、比較例1の各日焼け止め化粧料を、官能評価員の手の甲に塗布して試験した。各化粧料を1cmあたり2μgになるように均一に塗り伸ばした後、白浮きの程度を目視評価した。なお、白浮きした場合を「×」、白浮きが認められなかった場合を「〇」と評価した。
また、色移り試験は、それぞれの化粧料を1cm2あたり2μgとなるように塗布した直後に、ティッシュで押さえ、次いでティッシュに付着した面のティッシュへの色移りの状態を、目視により確認し、ティッシュへの色移りがわからない「〇」、ティッシュへの色移りがわかる「×」の2段階で評価した。
<結果>
評価結果を下記表8に示す。
実施例1〜7はいずれも白浮き、色移りともに満足すべき評価であった。一方、比較例1の日焼け止め化粧料は、顕著な白浮きが認められた。これにより、水素添加したパーム油(水添パーム油)では白浮きが改善されないことがわかった。
[実施例8、比較例2の日焼け止め化粧料の調製と一般顧客による使用試験]
<実施例8、比較例2の調製>
表9に示す組成で、常法により実施例8、比較例2の日焼け止め化粧料を調製した。実施例8にはパーム油が0.4質量%配合されている。
<使用試験>
調製した化粧料を、一般の女性顧客8名に持ち帰り試験を依頼し、一週間継続的に顔と手の甲に使用してもらった後、「塗付直後の透明性」、「白さが消える速さ」、「白浮き」の3項目について、どちらが良いと感じられたか、又は変わらないのかをアンケート評価した。
<結果>
顧客の一定期間の使用後の評価結果を下記表10に示す。
パーム油を配合した実施例8が、比較例2と比較し「塗付直後の透明性」、「白さが消える速さ」、「白浮き」のいずれの項目においても優れていた。
実施例9
(日焼け止め乳液の製造例)
<処方>
成分 質量%
(1)ポリヒドロキシステアリン酸 0.1
(2)PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 4
(3)微粒子酸化チタン 4
(4)微粒子酸化亜鉛 20
(5)(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー 4
(6)シクロペンタシロキサン 残余
(7)ジメチコン 5
(8)ネオペンタン酸イソステアリル 5
(9)パーム油(カロテンを0.0005%含む) 0.4
(10)KSG−15 2
(11)精製水 20
(12)ジプロピレングリコール 2
(13)ジグリセリン 3
(14)pH調製剤 適量
(15)ヒアルロン酸 0.01
(調製方法)
成分(1)〜(10)を室温で混合し、さらにホモミキサー(3000rpm)で10分間混合した。混合物に成分(11)〜(15)を投入しながら、ホモミキサー(3000rpm)で混合し、乳化した(1〜2分間)。さらに、ホモミキサー(4500rpm)で10分間混合を継続し、乳化した日焼け止め化粧料を得た。
(評価)
実施例9の日焼け止め乳液は、伸びがよく、肌に塗布した時に全く白浮きしなかった。また、塗布後のかさつき感がなく、しっとり感が持続した。SPFをISO24444、UVA防止効果をISO24442として発行された測定法により測定したところ、SPF50+、PA++++であった。
上記に説明した通り、実施例1〜9の日焼け止め化粧料は、いずれも伸び、しっとり感等の使用感に優れ、肌に塗布した時の白浮きが低減された日焼け止め化粧料であった。

Claims (3)

  1. 脂肪酸又はシリコーンで被覆された金属酸化物を含む油中水型乳化日焼け止め化粧料であって、カロテンを400〜700ppm含有するパーム油を、化粧料全量に対しカロテンが0.0002〜0.001質量%となる量を含有していることを特徴とする油中水型乳化日焼け止め化粧料。
  2. 脂肪酸又はシリコーンで被覆された金属酸化物が酸化チタン、酸化亜鉛から選ばれる一種又は二種である請求項1に記載の油中水型乳化日焼け止め化粧料。
  3. 脂肪酸又はシリコーンで被覆された金属酸化物を化粧料全量に対し18〜30質量%含有する請求項1又は2に記載の油中水型乳化日焼け止め化粧料。
JP2014233766A 2014-11-18 2014-11-18 日焼け止め化粧料 Active JP6430789B2 (ja)

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