JP6429865B2 - 誘電半導体膜を有する静電レンズ - Google Patents

誘電半導体膜を有する静電レンズ Download PDF

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Description

本発明は、帯電粒子のビーム、特に電子ビームの集束を目的とする静電レンズに関する。これらのレンズは特に、電子顕微鏡または電子ビームリソグラフィ装置の電子銃に用いられる。
本発明の目的の1つは、陰極により発せられた電子ビームの集束性を向上させることである。
静電レンズが基本的に以下のように形成されることが想起されよう。各々に電子ビームが通過する孔が穿たれた1個以上の平板電極が電子ビームの経路に配置される。各電極の上流および下流に異なる電場を誘導するために電位が電極に印加される。これらの電場と電子ビームとの間の相互作用により電子の向きを変えて焦点ゾーンまたは焦点に向けさせる。焦点距離は、電場の値および電子のエネルギーから極めて簡単に計算できる。
所与のエネルギーの電子ビームに対して、電場の強さ、従って電極に印加される電圧の強度を高めると焦点強度が高まる。しかし、ビームのエネルギーが増大するにつれて、焦点強度は低下する。これは、間隔が狭い電極間に極めて高い電圧を印加する必要が生じ、それにより破損のリスクを抱えることになるため、高エネルギービームの集束を困難にする。
電子を集束させる静電レンズには更に、同じエネルギーを有する電子およびイオンの両方を集束させてしまう短所がある。その結果、陰極により発せられて表面に集束された電子ビームがこの表面から正イオンを弾き飛ばし、これらの正イオンがビームに沿って下流から上流へ逆流して、静電レンズが電子を集束させる筈の陰極に衝突する恐れがある。これにより、陰極が劣化するリスク、または極めて単純に陰極の特性に影響を及ぼす汚染のリスクが生じる。このため、電子とイオンに対して異なる方法で作用するために上述の短所が無い電磁レンズを用いて電子ビームを集束させることが好ましい場合がある。
しかし、特定の用途では静電レンズが好ましい。具体的には、電磁レンズはコイル、高電流および電磁シールドを必要とするため、高価になる。特に比較的低エネルギー(100keV未満)のビームに適用可能なより廉価な集束系は静電レンズを用いている。これは、低エネルギーリソグラフィシステム、分光計、陰極線管の電子銃等に当てはまる。更に、マルチビーム電子ビームリソグラフィシステムに電磁レンズを用いるのは、電磁装置が巨大になるため困難であり、従ってこれらのシステムは静電レンズを使用せざるを得ない。
最後に、静電レンズが幾何収差および色収差、更には非点収差の影響を受けることを想起しなければならない。これらの収差を考慮に入れる必要があり、これらを修正するために例えば特許公開欧州特許出願公開第0500179号明細書、欧州特許出願公開第1492151号明細書および欧州特許出願公開第1811540号明細書で複合多極システムが既に提案されている。湾曲した導電箔もまた、球面収差を修正する目的で、電子銃の加速電極内のビーム通過開口の周辺における等電位線を変形させる方法として提案されている(米国特許第4567399号明細書)。
本発明は、静電レンズを有する電子ビームの集束性を向上させる改良を提案する。
具体的には、電子ビームを通過させる少なくとも1個の開口が穿たれた少なくとも1個の導電電極を備え、通過開口が、ビームの電子に対して透過的であり、且つ相対誘電率が少なくとも10である非縮退半導体の薄膜により少なくとも部分的に塞がれていることを特徴とする静電レンズを提案する。
半導体は好ましくは、ドーピング密度が1019原子/cm未満のシリコンである。この半導体はまた、ガリウムヒ素またはシリコン/ゲルマニウム合金であってよい。
電子ビームが大幅に減衰または消散しないことを保証すべく、膜の厚さは好ましくは2ミクロン未満である(少なくとも50keVのビームの場合)。
導体ではないが誘電率が高い膜材料は、電場力線を通過させて、膜の入口と出口との間における径方向電場に巨大な不連続箇所が生じる。この不連続箇所では、得られる集束性が、膜が存在しない貫通口で得られる、または導電膜により塞がれた開口で得られるものよりも良好である。
半導体膜の存在は、所与の印加電場強度で得られる焦点距離を短縮して、または所与の焦点距離を得るために必要な電場強度を減少させて、焦点の特性を改善する。従って破損のリスクが低下する。この膜はまた、逆流れの有形な障害となるため、正イオンが電子線源へ向かって逆流するのを減少させる役割を果たす。
また、この膜の存在により、レンズにより生じた焦点収差、幾何または色収差の修正が容易になる。具体的には、特定の修正を行うために、エッチングまたは絶縁体の堆積により、あるいは所定のパターンでエッチングされた(非バイアス)導体を薄膜に堆積することにより、膜の厚さを調整することにより膜を構造化することができる。薄膜の構造化によるこのような収差の修正は、従来技術で考察された多極修正よりもはるかに簡単に実現することができる。
静電レンズの電極は、特にマルチビームリソグラフィ用途において、電子を通過させるための複数の開口であって、複数の電子ビームが通過できるよう、各々が薄い半導体膜により塞がれた複数の開口を含んでいてよい。各々の膜は構造化されていてよい。
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を精査することにより明らかになろう。
静電レンズの一般原理を示す。 本発明による、薄い半導体膜を有する静電レンズの原理を示す。 レンズの電極に印加された電位が存在する場合にビームの軸に沿った電場の一般的なパターンを、中心レンズが薄膜により遮蔽された状態で示す。 膜の近傍における電位の力線および電場力線の構成を示す。 50keVの電子に対するシリコン製の膜の透過率を膜の厚さの関数として示す。 様々な厚さのシリコン製の膜について、電子に対する膜の透過率をビームのエネルギーの関数として示す。 中心電極およびその膜の前面および断面図を示す。 中心電極およびその膜を、膜が平坦でない構成で示す。 膜の厚さが可変である実施形態を示す。 膜が金属電極を支持している実施形態を示す。 マルチビームレンズ毎に各々が個別の膜により塞がれた複数の開口を有する中心電極を示す。
電子ビームの集束を目的とする静電レンズの一般原理を図1に示す。
中心電極EL2が、電子ビームEBを通過させるための直径Dの開口が穿たれた導電プレートにより形成されている。この電極は、電位V2まで昇圧される。異なる強度Ea、Ebの電場が開口の両側に生成され、これらの異なる電場の存在により電極内の開口の近傍で径方向電場が生成されるため、静電集束効果が生じる。これらの電場は例えば、ビームの進行方向において各々電極EL2の上流および下流にある他の2個の電極EL1、EL3により生成され、電極EL1、EL3が各々の電位V1、V3に昇圧される。これら他の2個の電極もまた、電子ビームが通過できるように開口が穿たれている。ビームの、従って開口の直径は、数十ミクロン程度と極めて小さくてもよいが、数ミリメートルであってもよい。
このように形成された静電レンズの焦点距離Fは、1/F=−(Eb−Ea)/4Vfにより第1の近似まで与えられ、ここで、Vfは電子ビームのエネルギーである。
電極を、孔が穿たれたプレートとして示す。これらはまた、ビームの軸に沿って並置された中空円筒であって、円筒の内径が開口の直径Dであってよい。円筒は異なる電位に昇圧され、2本の円筒間の接合部でレンズ効果が発生する。
本発明によるレンズの原理を図2に示す。電極EL2内の通過開口は、電子に対して透過的且つ高い相対誘電率(10より高い)を有する半導体で作られた薄膜Mにより塞がれている。一般的なケースにおいて、図2に示すように、膜は開口を完全に塞いでいるが、特定のケースでは、膜が場合によりウインドウを含んでいて、開口の一部しか塞がれていない場合も考えられる。図示する例では、膜は平坦であるが、湾曲状(ベル状、または球面あるいは略球面ドーム状)であってもよいことが分かる。
シリコンの導電率は低く、ドーピング密度は1019原子/cm未満である。シリコン(または他の半導体)は非縮退でなければならない。すなわち、nまたはpドープ半導体のフェルミレベルは、膜材料が半導体の特性を失い、特に温度と共に上昇する導電性を失うほど原子価帯または導電帯の近傍にあってはならない。1019原子/cm未満のドーピング密度でドーピングされたシリコンはこの条件を満たす。シリコンを縮退させるためには1022〜1023原子/cmのドーピング密度が必要であろう。膜は中心電極に電気的に接続されているが、導電性が限定されているため、導体(金属、またはより高くドーピングされたか縮退されたシリコン)で製造した場合と異なり、全領域にわたり同じ電位に昇圧されない。図3に、10ボルト、200ボルトおよび2500ボルト(例示的に与える値)の電位が、0ミリメートル、1ミリメートルおよび2ミリメートル(原点は第1電極の任意の位置)の横座標に各々配置された電極EL1、EL2およびEL3に各々印加された場合におけるビームの軸に沿った電場のパターンを示す。薄い半導体膜は、膜の誘電率により、電場に不連続箇所が生じる。誘電率が高いほど、不連続箇所が大きい。中心電極の上流と下流の間のビームの軸に沿った電場の輪郭の変化は、レンズの焦点距離に大幅な影響を及ぼす要因である。焦点距離は、電子が晒される電場が存在する場合に電子が辿る経路を計算することにより推論できる。電子が辿る経路は、3次およびより高次の導関数を無視、すなわち幾何および色収差を無視すれば、
4V(z)r’’(z)+2V’(z)r’(z)+V’’(z)r(z)=0
と書ける等式から直接推論できる(軸対象レンズの場合)。ここで、r(z)は横座標z(横座標は軸に沿って定義される)の電子の軸からの距離、V(z)は電子が位置する横座標(z)における光軸上の電位、r’(z)は軸に沿った横座標zに関するrの導関数、r’’(z)はrの2次導関数、すなわちzに関するr’(z)の導関数、V’(z)は横座標zに関するV(z)の導関数、V’’(z)はV(z)の2次導関数である。
1次に関しては、中心電極EL2の上流と下流の電場の差異は焦点距離に直接的な影響を及ぼし、従って電位V(z)の1次導関数は焦点距離に直接的な影響を及ぼす。しかし、2次に関しては、2次導関数は、経路および焦点距離の計算において重要な役割を果たし、従って誘電率が1以外である薄膜の存在は、電位の2次導関数を変化させて、焦点距離を変化させる。
例示的な一実施形態において、レンズの3個の電極は、順次1ミリメートルの間隔が空けられ、膜により塞がれた中心開口の直径は約0.6ミリメートルであると考えられる。電場Ei(膜の入口)、Em(膜の中央)、Eo(膜の出口)のモジュライが、電極に印加された0ボルト、150ボルトおよび10000ボルトの各電位に対して計算される。
膜が存在しない場合、中心電極の孔の誘電率は真空状態での値であり、従ってゼロである。電場は、中心電極内の開口を通って辿られる経路で殆ど変化しない。すなわちEi=Em=400kV/cmである。
導電膜の場合、電場のモジュライは次式で与えられる。
Ei=100kV/cm、Em=0V/cm、且つEo=4kV/cm
中心電極内の開口に導電膜を配置することで径方向電場がゼロになる。
少なくとも1019原子/cmでドーピングされたシリコン製の高誘電率の誘電膜の場合、電場のモジュライは次式で与えられる。
Ei=100kV/cm、Em=500V/cm、且つEo=400kV/cm
中心電極内の開口を通って辿られる経路における径方向電場の変化が大きいほど、焦点がより良好であり、高誘電率の弱導電性膜を用いれば最良の結果が得られることが分かる。図4に、高誘電率膜の直近傍における電位Vおよび電場力線Eの構成を示す。矢印は、集束される電子の移動方向を示す。電場力線は、膜が存在しない場合、または導電膜が存在する場合に生じるものとは大きく異なる。
以下の表は、一例として、膜の相対誘電率εの3個の異なる値:ε=1(膜が存在しない場合に相当)、ε=3.9(窒化ケイ素製の膜)、ε=11.9(ドーピング密度1019原子/cm未満のシリコン製の膜)について、他の電位は一定(V1=10ボルト、V2=200ボルト)のままで電極EL3に印加された電位V3の値の関数として得られる焦点距離を示す。膜の厚さは1ミクロン未満である。
Figure 0006429865
この表から、膜が存在しない状態で電圧V3を5000ボルト超まで上げることにより、焦点距離を0.644mm未満まで短縮させることが可能であることが理解されよう。しかし、電圧V3を上げることは破損のリスクを増す。しかし、誘電率が充分に高い膜が存在する場合、電圧V3を上げずに焦点距離を0.534mmまで短縮できる。
同様に、この表から、0.644mmの焦点距離が必要な場合、シリコンの薄膜を用いれば5000ボルトではなく約3000ボルトの電圧V3で得られることが推論できる。
このような膜の使用は、電子を充分に透過させるとの仮定に基づいている。「充分に透過」という表現は、好ましくは透過率が98%よりも高いことを意味するものと理解されたい。所与の膜材料に対して、この透過率は、膜の厚さとビームの電子のエネルギーの両方に依存している。すなわち厚さと共に減少し、エネルギーと共に増大する。
膜の透過率はまた、膜を作る材料に、且つ原理的にこの材料の成分の原子番号に依存し、原子番号が大きいほど透過率が低下する。
透過率は、材料層を通る素子間距離(dS)に沿った電子ビームのエネルギー損失(−dE)を記述するベーテ公式等の等式を用いてモデリングすることができる。
Figure 0006429865
ここで、
εは真空の誘電率、
eは電子の電荷、
Nは単位体積当たりの原子の個数(この個数は材料の密度に関係し、Nが大きいほど密度は高く、Nが小さいほど低い)、
Zは材料の原子番号、
は入射電子のエネルギー、
Iは電子が通過している材料の平均イオン化エネルギーであり、原子番号に依存していて、経験的に決定される。文献に見られる値は、Zが13以上の場合はI=(9.76+58.8×Z1.19)電子ボルト、または簡略化された式I=11.5×Zで与えられる場合がある。
従って、低い原子番号の成分から膜を製造することが好ましい。シリコンが特に有利である理由は、マイクロエレクトロニクスで頻繁に使用されているため、付随する堆積およびエッチング技術のプロセスに良好に特徴付けられているためである。ガリウムヒ素および半導体合金SiGeは考慮され得る他の2種の半導体である。
図5に、一例として、50keVエネルギーのビームおよびシリコン製の膜の場合における透過率Tの変化を膜の厚さの関数として示す。透過率は、約2ミクロン領域における厚さの場合、98%超のままである。
図6に、シリコンSiで作られた膜の透過率の変化を、様々な厚さにおけるビームのエネルギーの関数として示す。これらの曲線から、98%を超える透過率を得るには、ビームエネルギーが20keV未満の場合、厚さが50ナノメートルよりも薄い膜を用いることが好ましいことが見て取れる。
図7に、中心電極EL2を、開口が半導体膜Mにより塞がれた状態で示す。膜は、例えば、表面フィルムだけが残るまでシリコンウェハの裏側から深いエッチングを行うことにより生成できる。例えば、シリコンウェハは、SOIウェハ、すなわちそれ自体が極めて薄いシリコン表面層で覆われた絶縁層で覆われたシリコン基板であってよい。裏側からの深いエッチングにより、膜として機能するシリコン表面層だけが残るまで基板および絶縁層を局所的に除去することができる。表面層のシリコンは従って、充分な電気絶縁性を持たせるべく僅かにドーピングされたシリコンである。典型的に、そのドーピングレベルは1014〜1019原子/cm、好ましくは1014〜1018原子/cmである。シリコン基板は、その基板自体が、深いエッチングにより膜で塞がれた開口が形成された電極となるよう、極めて高くドーピングされたか縮退したシリコン(ドナーまたはアクセプタ濃度が1019原子/cm超)から作られることで導体となり得る。代替的に、電極にシリコンウェハを添加してプレート内の開口ウェハに形成された膜が沿うよう配置してもよい。
一般に、静電レンズは、幾何収差および特に球面収差ならびに色収差、または非点収差等、複数の種類の収差の影響を受ける。集束系の拡大率が高いほど幾何収差の影響が大きく、また電子顕微鏡はこの種の収差に特に敏感である。球面収差は、静電レンズが常に中央経路よりも周辺経路で速く収束する事実に起因する。色収差は、特定の電子が他よりも多くのエネルギーを有していてエネルギー分布がビーム内で均一でないという事実に起因する。光学システムの拡大率に伴い色収差の影響の大きさも増大する。非点収差は、レンズの配置または対称性の欠如に起因する。収束性は、電子の初期方向の関数として変化し、この欠陥は非点収差である。
これらの収差は、半導体膜の構造または形状により完全にまたは部分的に修正できる。当然のことながら、正確な修正は、静電場および電子の経路を評価するソフトウェアパッケージを用いたシミュレーションによってのみ決定することができる。しかし、以下の例は、電子の経路の局所的な差異により収差に影響を及ぼす可能性がある膜構造を、電子が膜を通過する位置の関数として示す。これらの経路の差異は誘電率の分布から生じるものであり、この分布は膜の構造を変更することにより変更される。
第1に、図8に示すように、膜は平坦ではなく湾曲していてよい。開口が膜により塞がれたプレートの周囲全体に周辺応力を印加することにより、ベル状または球状、あるいは略球状、ドーム状の膜を形成する方法が知られている。シリコン膜により塞がれた開口を有するシリコンプレートの場合、図8に示す矢印に沿って圧縮応力がプレートの全ての面に印加される。応力は機械または圧電から生じてもよい。
平坦または湾曲した膜内の局所的な開口は電場分布に対して、従って電子の経路に対して作用する場合がある。これらの開口は、特定の収差を部分的に修正すべく分布していてよい。開口は特に膜の領域にわたり均一でない分布で配置されていてよいが、対照的に多極幾何学的形状(4極または6極または8極)、すなわち膜平面内の角度位置の関数として変化する分布を有している。孔の分布の幾何学的形状また、角度位置の関数として変化することに加え、または変化するのではなく、ビームの中心からの径方向距離の関数として変化する場合がある。
膜の厚さが局所的に変更された場合でも影響を及ぼす場合がある。これらの変更は、膜の材料の厚さの一部を局所的にエッチングするか、または別の層(絶縁体、半導体または導体であってよい)を膜に堆積して層を局所的に除去することにより行われてよい。図9に、厚さが局所的に変更された膜を示す。同図に示すケースでは、同心円状に、従って円対称的に配置された追加的な厚さEpが対象であるが、この場合も追加的な厚さは、例えば多極幾何学的形状(特に、軸対象レンズの球面収差の修正に、また部分的には色および非点収差の修正に影響を及ぼすことが知られる4極または6極または8極幾何学的形状)を得るために、特定の径方向および特定の距離を優先させるべく分布していてよい。
図10に、膜を構造化する別の方法を示す。すなわち、導電層の区間が膜に堆積されて、電子の経路上に及ぼす影響を決定可能な電位がその区間に印加される。特に、ビームの中心までの距離に依存して異なる方法で電場を変更する電位を印加することができる。図10において、導電層の堆積およびエッチングにより膜に形成された電極は円形且つ同心であって電位Va、VbおよびVcがこれらに印加される。電極により占有される全面積は、(電極の厚さが数ナノメートル程度と極めて薄く、且つアルミニウムAlまたは合金AlSi等の軽い材料で作られていない限り)電子に対する膜の透過率を過度に低下させないよう、開口の面積に比べて極めて小さくなければならず、導電層の厚さもまた同じ理由で可能な限り小さくなければならない。
電極はまた、各種の観察された収差の1つ以上に作用すべく、多極幾何学的形状(特に4極、6極または8極幾何学的形状)を有していてよい。例えば、対向するペアをなして円の回りに分布する4個の別々の円弧状の電極により4極構造を生成することができ、対向する電極のペアに2個の異なる電位差を印加することにより非点収差に対処することができる。
中心電極の開口自体は原理的に円形であるが、楕円、矩形または多極的形状であってよく、この形状もまた軸対称から外れることにより収差を修正する役割を果たす。
最後に、マルチビーム用途において、上述の内容は全て、ビームと同数の開口に当てはまる。図11に、同一平板電極に複数の静電レンズを形成すべく、各々が別個の半導体膜により遮蔽された複数の孔が穿たれた電極EL2を示す。電極EL1、EL3もまた、各々の電子ビームの軸に沿って電極EL2の開口に対応して配置された開口が穿たれている。

Claims (7)

  1. 電子ビームを通過させる少なくとも1個の開口が穿たれた少なくとも1個の導電電極(EL2)を備え、前記通過開口が、前記ビームの電子に対して透過的であり、且つ相対誘電率が10超である非縮退半導体の薄膜(M)により少なくとも部分的に塞がれており、前記膜は前記導電電極に電気的に接続されている静電レンズ。
  2. 前記半導体が、ドーピング密度1019原子/cm未満のシリコンまたはガリウムヒ素またはシリコンゲルマニウムSiGeであることを特徴とする、請求項1に記載の静電レンズ。
  3. 前記膜の厚さが2ミクロン未満であることを特徴とする、請求項1または2に記載の静電レンズ。
  4. 前記膜が湾曲していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の静電レンズ。
  5. 前記膜が、開口または厚さ調整により、あるいは絶縁、導電または半導体層を堆積させることにより構造化されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の静電レンズ。
  6. 前記膜の構造化が、多極構成を有していることを特徴とする、請求項5に記載の静電レンズ。
  7. 前記電極が、複数の開口であって、複数の電子ビームを集束させるべく、各々が半導体膜により塞がれた複数の開口を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の静電レンズ。
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