JP6427848B1 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、80度以下の低温、好ましくは室温で硬化可能であり、かつ、使用(塗布)時または硬化時において揮発する成分の少ない、イメージセンサモジュールや電子部品の製造時に使用する一液型接着剤として好適な樹脂組成物の提供を目的とする。【解決手段】本発明の樹脂組成物は、1種類以上の2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物を含む。前記1種類以上の2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物のうち、少なくとも1種は、分子量が220〜10000であり、前記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、分子量が220未満のものが占める重量割合は0.00〜0.05である。また、前記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、以下の式(I):で表される構造単位を含む化合物である。【選択図】図1

Description

本発明は、低温での熱硬化、望ましくは常温での熱硬化が求められる用途の一液型接着剤に好適な樹脂組成物に関する。本発明の樹脂組成物は、携帯電話やスマートフォンのカメラモジュールとして使用されるイメージセンサモジュールや、半導体素子、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、コンデンサ等の電子部品の製造時に使用する一液型接着剤として好適である。また、本発明の樹脂組成物は、半導体装置の製造時に使用する液状封止材や、層間接着用フィルム、プリプレグ等としての用途も期待される。
携帯電話やスマートフォンのカメラモジュールとして使用されるイメージセンサモジュールの製造時には、なるべく低温で熱硬化する一液型接着剤が使用される。半導体素子、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、コンデンサ等の電子部品の製造時においても、なるべく低温で熱硬化する一液型接着剤の使用が好ましい。
また、イメージセンサモジュールやその他電子部品の製造時に使用される一液型接着剤に求められる特性としては、使用時(塗布時)又は硬化時において揮発する成分が少ないことも重要である。
常温使用時または硬化時において揮発する成分が多い場合には、特にカメラ・センサーモジュール等の電子部品用途に用いる際に、揮発物がセンサ、レンズ、電極等へ付着することで、センサ、レンズ、電極等の汚染を引き起こすことがある。一般にモジュール製造工程においては工程中で発生する汚染を除去するため溶剤による洗浄を行う場合がある。付着物が液状である場合には、こういった洗浄によって比較的容易に汚染を取り除くことも可能であるが、付着物が部材上で硬化した固形物の場合には部材からの除去が困難となり、歩留まりの低下等、製造コストの増加を引き起こす懸念が高まる。また、硬化物中に揮発物に起因する気泡が発生すると、バルク強度の低下や、被着体界面積の減少によって、接着強度が低下するおそれがある。硬化時に気泡が発生した場合、変形によって被着物の位置精度が低下するおそれがある等の信頼性の低下を引き起こす懸念がある。さらには、揮発成分が多い場合には、目や気管支等に刺激を与えるなどの健康面での影響も心配され、作業環境の悪化を招くことがある。
従来から、イメージセンサモジュール等の電子部品用途の一液型接着剤としては、エポキシ樹脂、ポリチオール化合物、および、硬化促進剤を必須成分とするチオール系接着剤や、ラジカル開始剤やアニオン開始剤を必須成分とするアクリレート樹脂系接着剤が知られており、80℃程度で硬化可能なものも知られている。しかしながら、製造効率の向上のため、より低温で硬化可能な一液型接着剤が求められている。
特許文献1には、室温のような低温でも短時間に硬化可能である、ジエチルメチレンマロネート(DEtMM)を含む樹脂組成物が開示されている。また、この文献には、基材が化学的塩基性の属性を持つ場合には、樹脂組成物が触媒を含んでいなくても、基材表面の塩基により、硬化することが記載されている。しかしながら、特許文献1の樹脂組成物は、常温使用時または硬化時において揮発する成分が多く、特にイメージセンサモジュール等の電子部品用途に用いる際には、センサ、レンズ、電極等への付着・汚染や、作業環境の悪化、信頼性の低下等の上記の問題を引き起こす懸念がある。
特表2016−506072号公報
本発明は上記した従来技術の問題点を解決するため、80度以下の低温、好ましくは室温で硬化可能であり、かつ、使用(塗布)時または硬化時において揮発する成分の少ない、イメージセンサモジュールや電子部品の製造時に使用する一液型接着剤として好適な樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下に限定されるものではないが、次の発明を包含する。
(1)
1種類以上の2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物を含む樹脂組成物であって、
前記1種類以上の2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物のうち、少なくとも1種は分子量が220〜10000であり、
前記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、分子量が220未満のものが占める重量割合が、0.00〜0.05であり、
前記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物が以下の式(I):

で表される構造単位を含む化合物である、樹脂組成物。
(2)
分子量が220未満の2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物を実質上含まない、前項(1)記載の樹脂組成物。
(3)
上記式(I)で表される構造単位を2つ以上含む2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物を少なくとも1種含む、前項(1)又は(2)記載の樹脂組成物。
(4)
前記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、上記式(I)で表される構造単位を2つ以上含む2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物の重量割合が、0.05〜0.95である、前項(3)記載の樹脂組成物。
(5)
前記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物が、下記式(II):

(式中、
及びXは、各々独立に、単結合、O又はNR(式中、Rは、水素又は1価の炭化水素基を表す)を表し、
及びRは、各々独立に、水素、1価の炭化水素基又は下記式(III):

(式中、
及びXは、各々独立に、単結合、O又はNR(式中、Rは、水素又は1価の炭化水素基を表す)を表し、
Wは、スペーサーを表し、
は、水素又は1価の炭化水素基を表す)を表す)
で表される、前項(1)〜(4)いずれか一項記載の樹脂組成物。
(6)
さらに、(A)無機充填剤を含む、前項(1)〜(5)いずれか一項記載の樹脂組成物。
(7)
さらに、(B)硬化触媒を含む、前項(1)〜(6)いずれか一項記載の樹脂組成物。
(8)
さらに、(C)安定化剤を含む、前項(1)〜(7)いずれか一項記載の樹脂組成物。
(9)
2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物の樹脂組成物全体に対する重量割合が、0.01〜1.00である、前項(1)〜(8)いずれか一項記載の樹脂組成物。
(10)
2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、25℃における蒸気圧が0.01mmHg以上であるものの重量割合が、0.00〜0.05である、前項(1)〜(9)いずれか一項記載の樹脂組成物。
(11)
加熱によって硬化され得る、前項(1)〜(10)いずれか一項記載の樹脂組成物。
(12)
前項(1)〜(11)いずれか一項記載の樹脂組成物を硬化して得られる、硬化物。
(13)
前項(1)〜(11)いずれか一項記載の樹脂組成物を含む、接着剤又は封止材。
(14)
電子部品用である、前項(13)に記載の接着剤又は封止材。
(15)
前項(1)〜(11)いずれか一項記載の樹脂組成物を含む、フィルム又はプリプレグ。
(16)
電子部品用である、前項(15)に記載のフィルム又はプリプレグ。
(17)
前項(12)に記載の硬化物、前項(14)に記載の接着剤若しくは封止材の硬化物、又は前項(16)に記載のフィルム若しくはプリプレグの硬化物を含む、半導体装置。
本発明の樹脂組成物は、80度以下の低温、好ましくは室温で、短時間で熱硬化可能であり、かつ、使用(塗布)時または硬化時において揮発する成分が少ないことから、イメージセンサモジュールや電子部品の製造時に使用する一液型接着剤として好適である。このような特性により、電子部品の製造効率を高めることができるとともに、使用時または硬化時に周囲部材への汚染が少なく、作業環境を良好に保つことができ、また、高い硬化物信頼性を得ることも可能である。
カメラモジュールの断面図である。
本発明の樹脂組成物は、熱硬化させる場合において特に有用であるが、硬化手段として、光、電磁波、超音波及び物理的せん断等を用いる場合であっても、常温での揮発や反応熱による揮発などの懸念を低減することができ、有用である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物]
本発明の2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、以下の式(I):

で表される構造単位を含む化合物である。
2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、上記式(I)の構造単位を1つ又は2つ以上含む。ある態様においては、2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、上記式(I)
の構造単位を2つ又は3つ、好ましくは2つ含む。
上記の2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、上記式(I)の構造単位を含むことから、典型的には、塩基触媒の存在下で、マイケル付加により重合するため、一液型接着剤の主成分として使用可能である。上記の2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、上記式(I)の構造単位を2つ以上含む場合(多官能)、硬化時に架橋が生じ、硬化物の高温での機械特性が向上する等の、物性の改善が見込まれる。
本発明の樹脂組成物は、2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物を1種類又は2種類以上、好ましくは、2種類以上含む。本発明の樹脂組成物に含まれる2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物のうち、少なくとも1種は、分子量が220〜10000であり、より好ましくは、220〜5000、さらに好ましくは、220〜2000、最も好ましくは、220〜1000である。2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物の分子量が220未満の場合は、25℃における蒸気圧が高すぎてしまう懸念がある。一方、2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物の分子量が10000を超えると、樹脂組成物の粘度が高くなり、作業性が低下するほか、充填剤の添加量が制限されるなどの弊害を生じる。
本発明の樹脂組成物は、硬化物の耐熱性の観点から、多官能成分を含むことが好ましい。ここで、多官能とは、2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物が、上記式(I)の構造単位を2つ以上含むことを指す。2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物に含まれる上記式(I)の構造単位の数を、当該2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物の「官能基数」とよぶ。2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物のうち、官能基数が1のものを「単官能」、官能基数が2のものを「2官能」、官能基数が3のものを「3官能」と呼ぶ。
また、本発明の樹脂組成物は、硬化物の耐湿信頼性の観点からは、エステル構造を含まないことが好ましい。
本発明の樹脂組成物に含まれる2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、分子量が220以上のものの重量割合は、好ましくは、0.01〜1.00、より好ましくは0.05〜1.00である。
本発明の樹脂組成物は、分子量が220未満の2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物を含むことができる。本発明の樹脂組成物に含まれる2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、分子量が220未満のものの重量割合は、好ましくは、0.00〜0.05、より好ましくは、0.00〜0.03、さらに好ましくは、0.00〜0.02である。最も好ましくは、本発明の樹脂組成物は、分子量が220未満の2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物を実質上含まない。ここで、「実質上含まない」とは、本発明の樹脂組成物に含まれる2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、分子量が220未満のものの重量割合が、0.00〜0.01、好ましくは、0.00〜0.001であることをいう。分子量が比較的小さい2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物の含有率が高くなると、周辺部材への汚染だけでなく、作業環境の悪化や、硬化物の物性の低下、被着材との密着力の低下などの懸念が高まる。
本発明の樹脂組成物は、上記式(I)で表される構造単位を2つ以上含む2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物を少なくとも1種含むことができる。
本発明の樹脂組成物に含まれる2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、上記式(I)で表される構造単位を2つ以上含むものの重量割合は、好ましくは、0.01〜1.00、より好ましくは、0.05〜0.95、さらに好ましくは、0.05〜0.90、特に好ましくは、0.10〜0.90、最も好ましくは、0.20〜0.80である。別の態様においては、本発明の樹脂組成物に含まれる2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、上記式(I)で表される構造単位を2つ以上含むものの重量割合は、0.00〜0.10であり、好ましくは、0.01〜0.10である。本発明の樹脂組成物に含まれる2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、上記式(I)で表される構造単位を2つ以上含むものの重量割合が、0.01未満であると、硬化時に架橋が十分に形成されず、硬化物の高温時(軟化点以上)の機械特性が著しく損なわれる。
本発明の樹脂組成物に含まれる2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物の、樹脂組成物全体に対する重量割合は、0.01〜1.00、より好ましくは、0.10〜1.00、更に好ましくは、0.20〜1.00である。本発明の樹脂組成物に含まれる2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物の、樹脂組成物全体に対する重量割合が0.1未満であると、2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物が樹脂組成物全体に行き渡らず硬化が不均一となる懸念がある。
ある態様において、2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、下記式(II):

(式中、
及びXは、各々独立に、単結合、O又はNR(式中、Rは、水素又は1価の炭化水素基を表す)を表し、
及びRは、各々独立に、水素、1価の炭化水素基又は下記式(III):

(式中、
及びXは、各々独立に、単結合、O又はNR(式中、Rは、水素又は1価の炭化水素基を表す)を表し、
Wは、スペーサーを表し、
は、水素又は1価の炭化水素基を表す)を表す)
で表される。
ある態様において、2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、下記式(IV):

(式中、
及びRは、各々独立に、水素、1価の炭化水素基又は下記式(V):

(式中、
Wは、スペーサーを表し、
は、水素又は1価の炭化水素基を表す)を表す)
で表される。
別の態様において、2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、下記式(VI):

(式中、
11は、下記式(VII):

で表される1,1−ジカルボニルエチレン単位を表し、
それぞれのR12は、各々独立に、スペーサーを表し、
13及びR14は、各々独立に、水素又は1価の炭化水素基を表し、
11並びにそれぞれのX12及びX13は、各々独立に、単結合、O又はNR15(式中、R15は、水素又は1価の炭化水素基を表す)を表し、
それぞれのmは、各々独立に、0又は1を表し、
nは、1以上20以下の整数を表す)
で表されるジカルボニルエチレン誘導体である。
本明細書において、1価の炭化水素基とは、炭化水素の炭素原子から水素原子が1つ外れた基を指す。該1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基が挙げられ、これらの一部にN、O、S、P及びSi等のヘテロ原子が含まれていても良い。
上記1価の炭化水素基は、それぞれ、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アリル、アルコキシ、アルキルチオ、ヒドロキシル、ニトロ、アミド、アジド、シアノ、アシロキシ、カルボキシ、スルホキシ、アクリロキシ、シロキシ、エポキシ、またはエステルで置換されても良い。
上記1価の炭化水素基は、好ましくは、アルキル基又はヒドロキシ基で置換されているアルキル基であり、さらに好ましくはアルキル基である。
上記アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基(以下、「アルキル基等」と総称する。)の炭素数には特に限定はない。上記アルキル基の炭素数は、通常1〜12、好ましくは2〜10、更に好ましくは3〜8、より好ましくは4〜7、特に好ましくは5〜6である。また、上記アルケニル基及びアルキニル基の炭素数は、通常2〜12、好ましくは2〜10、更に好ましくは3〜8、より好ましくは3〜7、特に好ましくは3〜6である。上記アルキル基等が環状構造の場合、上記アルキル基等の炭素数は、通常4〜12、好ましくは4〜10、更に好ましくは5〜8、より好ましくは6〜8である。
上記アルキル基等の構造には特に限定はない。上記アルキル基等は、直鎖状でもよく、側鎖を有していてもよい。上記アルキル基等は、鎖状構造でもよく、環状構造(シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及びシクロアルキニル基)でもよい。上記アルキル基等は、他の置換基を1種又は2種以上有していてもよい。例えば、上記アルキル基等は、置換基として、炭素原子及び水素原子以外の原子を含む置換基を有していてもよい。また、上記アルキル基等は、鎖状構造中又は環状構造中に炭素原子及び水素原子以外の原子を1つ又は2つ以上含んでいてもよい。上記炭素原子及び水素原子以外の原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、及び珪素原子の1種又は2種以上が挙げられる。
上記アルキル基として具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、及び2−エチルヘキシル基が挙げられる。上記シクロアルキル基として具体的には、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及び2−メチルシクロヘキシル基が挙げられる。上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、及びイソプロペニル基が挙げられる。上記シクロアルケニル基として具体的には、例えば、シクロヘキセニル基が挙げられる。
本明細書において、スペーサーとは、2価の炭化水素基を指し、より具体的には、環状、直鎖又は分岐の置換又は非置換のアルキレンである。上記アルキレンの炭素数には特に限定はない。上記アルキレン基の炭素数は、通常1〜12、好ましくは2〜10、より好ましくは3〜8、さらに好ましくは4〜7である。ここで、上記アルキレンは、所望に応じて、N、O、S、P、およびSiから選択されるヘテロ原子を含有する基を途中に含んでいてよい。また、上記アルキレンは、不飽和結合を有していても良い。ある態様においては、スペーサーは炭素数4〜7の非置換アルキレンである。
上記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物がスペーサーを有する場合、末端の一価の炭化水素基の炭素数は3以下であることが好ましい。すなわち、上記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物が、上記式(II)又は(IV)で表される場合、上記式(III)又は(V)におけるRは炭素数1〜3のアルキルであることが好ましく、ただし、R及びRの一方が上記式(III)又は式(V)で表される場合は、R及びRの他方は炭素数1〜3のアルキルであることが好ましい。この場合、上記式(II)又は(IV)において、R及びRの両方が上記式(III)又は式(V)で表されてもよいが、好ましくは、R及びRの一方だけが上記式(III)又は式(V)で表される。好ましくは、上記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、上記式(IV)で表される。
2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、米国オハイオ州SIRRUS Inc.から入手可能であり、その合成方法は、WO2012/054616、WO2012/054633及びWO2016/040261等の公開特許公報に公開されている。2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物に含まれる上記式(I)で表される構造単位の両端が酸素原子に結合している場合は、特表2015−518503に開示されているジオール又はポリオールとのエステル交換等の公知の方法を用いることによって、上記式(I)で表される構造単位がエステル結合及び上記スペーサーを介して複数結合している、より大きな分子量の2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物を製造することができる。このようにして製造された2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、上記式(II)又は上記式(IV)中のR及びR、上記式(III)又は上記式(V)中のR、並びに上記式(VI)中のR14及びR13が、ヒドロキシ基を含み得る。
本発明の樹脂組成物は、上記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物以外に、以下に述べる成分を必要に応じて含有してもよい。
[(A)成分:無機充填剤]
本発明の樹脂組成物は、(A)成分の無機充填剤を含むことができる。(A)成分の無機充填剤としては、コロイダルシリカ、疎水性シリカ、微細シリカ、ナノシリカ等のシリカフィラー、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化亜鉛等の金属酸化物、ニッケル、銅、銀等の金属、アクリルビーズ、ガラスビーズ、ウレタンビーズ、ベントナイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。これらの中でも、シリカフィラーが、充填量を高くできることから好ましい。(A)成分の無機充填剤は、シランカップリング剤等で表面処理が施されたものであってもよい。表面処理が施されたフィラーを使用した場合、フィラーの凝集を防止する効果が期待される。(A)成分の無機充填剤は、単独でも2種以上を併用してもよい。
また、(A)成分の無機充填剤の平均粒径(粒状でない場合は、その平均最大径)は、特に限定されないが、0.01〜50μmであることが、樹脂組成物中に充填剤を均一に分散させるうえで好ましく、また、樹脂組成物を接着剤やアンダーフィル等の液状封止材として使用した際の注入性に優れる等の理由から好ましい。0.01μm未満であると、樹脂組成物の粘度が上昇して、接着剤やアンダーフィル等の液状封止材として使用した際に注入性が悪化するおそれがある。50μm超であると、樹脂組成物中に充填剤を均一に分散させることが困難になるおそれがある。また、硬化後の樹脂組成物の熱ストレスから、銅製ワイヤーを保護する観点から、(A)成分の平均粒径は、0.6〜10μmであると、より好ましい。市販品としては、アドマテックス製高純度合成球状シリカ(品名:SE5200SEE、平均粒径:2μm;品名:SO−E5、平均粒径:2μm;品名:SO−E2、平均粒径:0.6μm)、龍森製シリカ(品名:FB7SDX、平均粒径:10μm)、マイクロン製シリカ(品名:TS−10−034P、平均粒径:20μm)等が挙げられる。ここで、無機充填剤の平均粒径は、動的光散乱式ナノトラック粒度分析計により測定する。
(A)成分の無機充填剤の含有量は、樹脂組成物の全成分の合計100重量部に対して、20〜65重量部であることが好ましく、より好ましくは30〜60重量部、さらに好ましくは、30〜40重量部である。30〜40重量部であると、樹脂組成物をアンダーフィル等の液状封止材として使用する場合に、樹脂組成物の線膨張係数を下げることができ、かつ注入性の悪化をさけることができる。
[(B)成分:硬化触媒]
本発明の樹脂組成物は、(B)成分の硬化触媒含むことができる。(B)成分の硬化触媒は、樹脂組成物がマイケル付加反応によって硬化する際の触媒として作用することが期待される。使用し得る(B)成分の硬化触媒としては、特に限定されないが、例えば、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒;トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン;メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物;トリフェニルホスフィン等のリン系触媒などが挙げられる。ある態様においては、(B)成分の硬化触媒は、塩基触媒が望ましく、好ましくは、トリエチルアミンである。
(B)成分の硬化触媒は、単独でも2種以上を併用してもよい。
(B)成分の硬化触媒は、マイクロカプセル、イオン乖離型、包接型などの潜在性硬化触媒、熱、光、電磁波、超音波、物理的せん断によって塩基やラジカルを発生する固体等であってもよい。また、本発明の樹脂組成物は、二液型の接着剤として使用することもできる。
(B)成分の硬化触媒の含有量は、アミン化合物等の有効成分量として、樹脂組成物の全成分の合計100重量部に対して、0.001〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは、0.025〜0.50重量部である。
なお、本発明の樹脂組成物を用いて基材上に接着を行うことができる。この際、基材が化学的塩基性の属性を持つ場合には、樹脂組成物が(B)成分の硬化触媒を含んでいなくても、基材表面の塩基により、樹脂組成物を硬化させることができる。
[(C)成分:安定化剤]
本発明の樹脂組成物は、(C)安定化剤を含んでもよい。
(C)安定化剤は、樹脂組成物の保存時の安定性を高めるためのものであり、意図しないラジカルや塩基性成分による重合反応の発生を抑制するために添加される。2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、低い確率で自分からラジカルを発生することがあり、そのラジカルを基点として意図しないラジカル重合反応が発生する場合がある。また、2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、非常に微量の塩基性成分の混入によってアニオン重合反応が発生する場合がある。(C)安定化剤を添加することによって、このような意図しないラジカルや塩基性成分による重合反応の発生を抑制することができる。
(C)安定化剤は公知のものを使用可能であり、例えば、強酸やラジカル捕捉剤を用いることができる。具体的な(C)安定化剤の例としては、トリフルオロメタンスルホン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、ジフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、リン酸、ジクロロ酢酸、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム、トリフェニルホスフィン、4−メトキシフェノール、及びハイドロキノンを挙げることができる。この中で、好ましい(C)安定化剤は、マレイン酸、メタンスルホン酸、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム及び4−メトキシフェノールから選ばれる少なくとも1つである。また、(C)安定化剤は、特開2010−117545号公報、特開2008−184514号公報などに開示された公知のものを用いることもできる。
(C)安定化剤は、単独でも2種以上を併用してもよい。
[(D)成分:界面処理剤]
本発明の樹脂組成物は、(D)界面処理剤を含んでもよい。
(D)界面処理剤は、特に限定されないが、典型的には、カップリング剤を用いることができる。カップリング剤は、分子中に2つ以上の異なった官能基を有しており、その一つは、無機質材料と化学結合する官能基であり、他の一つは、有機質材料と化学結合する官能基である。接着剤がカップリング剤を含有することによって、接着剤の基板等への密着性が向上する。
カップリング剤の例として、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられるが、これらに限定されない。カップリング剤は、1種を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤が有する官能基の例として、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、イソシアヌレート基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基、等を挙げることができる。
[(E)成分:顔料]
本発明の樹脂組成物は、(E)顔料を含んでいても良い。
(E)顔料を含むことで、本発明の樹脂組成物の色度を調整することができる。(E)顔料としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、チタン窒化物等のチタンブラック、黒色有機顔料、混色有機顔料、および無機顔料等を用いることができる。黒色有機顔料としては、ペリレンブラック、アニリンブラック等が、混色有機顔料としては、赤、青、緑、紫、黄色、マゼンダ、シアン等から選ばれる少なくとも2種類以上の顔料を混合して疑似黒色化されたものが、無機顔料としては、グラファイト、およびチタン、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属微粒子、金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属窒化物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。(E)顔料は、好ましくは、カーボンブラック又はチタンブラックである。
[(F)成分:可塑剤]
本発明の樹脂組成物は、(F)可塑剤を含んでいても良い。
(F)可塑剤としては、公知の任意の可塑剤を配合することが出来る。(F)可塑剤により、成形性を向上させたり、ガラス転移温度を調整したりすることができる。(F)可塑剤は、相溶性が良好で、ブリ−ドし難いものを用いることができる。
(F)可塑剤の例としては、ジn−ブチルフタレート、ジn−オクチルフタレート、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート、ジn−デシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、ジn−オクチルアジペート等のアジピン酸エステル類;ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジn−ブチルセバケート等のセバシン酸エステル類;ビス(2−エチルヘキシル)アゼレート等のアゼライン酸エステル類;塩素化パラフィン等のパラフィン類;ポリプロピレングリコール等のグリコール類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ変性植物油類;トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類;アジピン酸と1,3−ブチレングリコールとのエステル化物等のエステルオリゴマー類;低分子量ポリブテン、低分子量ポリイソブチレン、低分子量ポリイソプレン等の低分子量重合体;プロセスオイル、ナフテン系オイル等のオイル類等が挙げられる。
(F)可塑剤は、単独でも2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物は、上記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物以外に、及び、必要に応じて(A)〜(F)成分を含有する。本発明の樹脂組成物は、これらの成分を混合して調製することができる。混合には、公知の装置を用いることができる。例えば、ヘンシェルミキサーやロールミルなどの公知の装置によって混合することができる。これらの成分は、同時に混合してもよく、一部を先に混合し、残りを後から混合してもよい。
[蒸気圧]
本発明の樹脂組成物に含まれる2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、25℃における蒸気圧が0.01mmHg以下であることが好ましい。本発明の樹脂組成物に含まれる2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、25℃における蒸気圧が0.01mmHg以上であるものの重量比率は、好ましくは、0.00〜0.05、より好ましくは、0.00〜0.03、更に好ましくは、0.00〜0.01である。
本発明の樹脂組成物をより高温、例えば、50℃で使用する場合には、本発明の樹脂組成物に含まれる2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、25℃における蒸気圧が0.001mmHg以下であることがより好ましい。この場合、本発明の樹脂組成物に含まれる2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、25℃における蒸気圧が0.001mmHg以上であるものの重量比率は、好ましくは、0.00〜0.05、より好ましくは、0.00〜0.03、更に好ましくは、0.00〜0.01である。
本発明の樹脂組成物をさらに高温、例えば、80℃で使用する場合には、本発明の樹脂組成物に含まれる2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、25℃における蒸気圧が0.0001mmHg以下であることがより好ましい。この場合、本発明の樹脂組成物に含まれる2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、25℃における蒸気圧が0.0001mmHg以上であるものの重量比率は、好ましくは、0.00〜0.05、より好ましくは、0.00〜0.03、更に好ましくは、0.00〜0.01である。
本発明の樹脂組成物は、25℃における蒸気圧が、0.01mmHg以下であり、より好ましくは0.001mmHg以下、さらに好ましくは、0.0001mmHg以下である。
本発明において、2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物等の化合物の蒸気圧は、市販されているソフトウェアであるHSPiP(4th Edition 4.1.05)のデータベース登録値及びY−MB法による推算値に基づくことができる。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物及び(A)〜(F)以外の成分、例えば、難燃剤、イオントラップ剤、消泡剤、レベリング剤、破泡剤等を含有してもよい。
本発明の樹脂組成物は、接着剤又は封止材として使用することができる。具体的には、本発明の樹脂組成物は、電子部品用の接着及び封止に好適である。より具体的には、本発明の樹脂組成物は、カメラモジュール用部品、接着及び封止に用いることができ、特に、イメージセンサモジュールの接着に好適である。これは、本発明の樹脂組成物は、周囲を汚染する揮発成分が極めて少ないため、付着物(固形物)が発生しにくいことによる。
例えば、図1に示すように、本発明の樹脂組成物は、IRカットフィルタ20とプリント配線基板24との接着に用いることができる。本発明の樹脂組成物は、撮像素子22とプリント配線基板24との接着に用いることができる。本発明の樹脂組成物は、支持体18とプリント配線基板24との接着に用いることができる。樹脂組成物の被接着面への供給には、ジェットディスペンサー、エアーディスペンサー等を使用することができる。本発明の樹脂組成物は、加熱をせず常温で硬化させることができる。本発明の樹脂組成物は、また、例えば、25〜80℃の温度で加熱することで硬化させることができる。加熱温度は、好ましくは、50〜80℃である。加熱時間は、例えば、0.5〜4時間である。
本発明の樹脂組成物は、カメラモジュール以外のイメージセンサモジュールに使用することもできる。例えば、指紋認証装置、顔認証装置、スキャナ、医療機器等に組み込まれることのあるイメージセンサモジュールの部品の接着及び封止に用いることができる。
また、本発明の樹脂組成物は、フィルム又はプリプレグの構成材料として使用することもできる。特に、本発明の樹脂組成物は、配線パターンを保護するカバーレイ用フィルムや、多層配線基板の層間接着フィルム、プリプレグの構成材料に好適である。これは、本発明の樹脂組成物は、揮発成分が極めて少ないため、ボイドが発生しにくいことによる。また、本発明の樹脂組成物を含んだフィルム又はプリプレグは、好ましくは、電子部品用に使用することができる。
本発明の樹脂組成物を含むプリプレグは、公知の方法、例えばホットメルト法及びソルベント法などにより製造することができる。ホットメルト法を用いる場合、本発明の樹脂組成物を有機溶剤に溶解することなく、樹脂組成物と剥離性の良い離型紙に一旦コーティングし、それをシート状繊維基材にラミネートする、あるいはダイコータにより直接塗工することなどにより、プリプレグを製造できる。また、ソルベント法を用いる場合、まず、本発明の樹脂組成物を有機溶剤に溶解した樹脂組成物ワニスにシート状繊維基材を浸漬することにより、樹脂組成物ワニスをシート状繊維基材に含浸させ、その後に、シート状繊維基材を乾燥させることで、プリプレグを製造できる。
本発明の樹脂組成物を含むフィルムは、本発明の樹脂組成物から公知の方法により得ることができる。例えば、本発明の樹脂組成物を溶剤で希釈してワニスとし、これを支持体の少なくとも片面に塗布し、乾燥させた後、支持体付のフィルム、または、支持体から剥離したフィルムとして提供することができる。
本発明においては、本発明の樹脂組成物を硬化して得られる硬化物も提供される。また、本発明においては、本発明の樹脂組成物を含む接着剤又は封止材を硬化して得られる硬化物、及び本発明の樹脂組成物を含むフィルム又はプリプレグを硬化させて得られる硬化物も提供される。
さらには、本発明においては、本発明の硬化物、本発明の接着剤若しくは封止材の硬化物、又は本発明のフィルム若しくはプリプレグの硬化物を含む半導体装置も提供される。
本発明では、本発明の樹脂組成物を、電子部品を構成する部材に塗布し、前記電子部品を構成する別の部材に接着する、電子部品を構成する部材の接着方法も提供される。前記電子部品は、好ましくは、カメラモジュール用部品であり、より好ましくは、イメージセンサモジュールである。また、本発明の樹脂組成物を塗布または注入し、電子部品や半導体素子を基板上に接着または封止する方法も提供される。さらに、本発明の樹脂組成物を基板上に形成された電子回路上に塗布することによって、前記電子回路を封止する方法も提供される。
以下、本発明の実施例及び比較例について説明する。本発明は、以下の実施例及び比較例に限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、接着剤に含まれる成分の割合は、重量部で示している。
[蒸気圧の計算]
本発明に用いる2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物のうち幾つかの態様について、各温度における蒸気圧を、HSPiP(4th Edition 4.1.05 Y-MB法)を用いて計算を行った。表1に、ジメチルメチレンマロネート(DMeMM)、ジエチルメチレンマロネート(DEtMM)、ジプロピルメチレンマロネート(DPrMM)、ジブチルメチレンマロネート(DBtMM)、ジペンチルメチレンマロネート(DPeMM)、ジヘキシルメチレンマロネート(DHeMM)、ジシクロヘキシルメチレンマロネート(DCHeMM)、及びペンタンジオールジエチルメチレンマロネート(PD−XL)についての各温度における蒸気圧(単位:mmHg)を示す。また、比較として用いたアクリレート樹脂(フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート(PO−A)、及びジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート(DCP−A))についても同様に表1に記載した。
表1より、分子量が220以上の2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は蒸気圧が低く、とくに25℃における蒸気圧がほぼ0.01mmHg以下であることがわかる。25℃における蒸気圧が0.01mmHg以下の2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物は、室温での硬化時に揮発が少なく、周囲部材への汚染が少ない。
[接着剤の調整]
以下の実施例及び比較例において使用した接着剤の原料は、以下のとおりである。
2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物:DEtMM(SIRRUS社製、上記式(IV)においてR=R=C)、DHeMM(SIRRUS社製、上記式(IV)においてR=R=n−C13)、PD−XL(SIRRUS社製、上記式(IV)においてR=C、R=上記式(V)、W=−(CH−、R=C
(A)無機充填材:SE5200SEE(アドマテック社製)
(B)硬化触媒:トリエチルアミン(和光純薬製)
なお、比較例には、上記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物に代え、フェニルアクリレート(東京化成工業株式会社社製)、フェノキシエチルアクリレート(PO−A、共栄社化学株式会社製)又はジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート(DCP−A、共栄社化学株式会社製)を用いたものもある。
上記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物又はアクリレート、及び場合により(A)〜(B)成分を、表2及び表3に示す配合比で混合することで接着剤を調製した。調製した接着剤について、以下の特性を測定した。
1.付着物の評価
アルミニウムパン(直径:5mm、高さ:5mm)に接着剤を0.05g入れ、上部開口部を全て覆うようにカバーガラス(18×18mm)を乗せた。表2又は3に記載の硬化温度にて12時間放置した後、カバーガラスへの付着物の有無および、付着物があった場合はそれが液状であるか、固形であるかを、目視ならびにピンセットによる指触にて確認した。
2.接着強度の評価
SUS板上に直径2mm程度となるように接着剤を点塗布し、この上に2×1mmのアルミナチップを積載した。表2又は3に記載の硬化温度にて12時間放置した後、25℃において、ボンドテスター(Dage社製、シリーズ4000)で接着強度を評価した。
(結果の考察)
単官能2−メチレン−1,3−ジカルボニル化合物であるDHeMM(実施例1)および、2官能体であるPD−XLで一部置き換えたもの(実施例2及び3)は25℃において硬化し、十分な接着強度を発現した。特に、2官能体であるPD−XLを含む実施例2及び3は、実施例1よりもさらに接着強度が高かった。また、これらにおいて明らかな付着物は見られなかった。
一般に接着剤として広く用いられているアクリレート樹脂である単官能アクリレート樹脂PO−Aは、本配合において、25℃、80℃いずれの場合も硬化せず、接着強度を発現しなかった(比較例1及び2)。なお、25℃において明らかな付着物は見られなかったが、80℃においては液状の付着物が確認された。
2官能アクリレート樹脂であるDCP−Aも25℃において硬化せず、接着強度を発現しなかった(比較例3)。
(結果の考察)
蒸気圧が高い単官能2−メチレン−1,3−ジカルボニル化合物であるDEtMMをおよそ5重量%配合したものでは、明らかな付着物は観察されず、硬化による十分な接着強度が発現した(実施例4)。
DEtMMをおよそ10重量%以上配合した場合でも、硬化によって十分な接着強度を発現したものの、付着物評価においてカバーガラスには明らかな曇りが見られ、ピンセットによる指触で付着物は固形であることが確認された(比較例4及び5)。
DHeMMは触媒量を減らしても十分な接着強度が発現し、付着物は見られなかった(実施例5)。
DHeMMはフィラーを含有しても十分な接着強度が発現し、付着物は見られなかった(実施例6及び7)。
単官能アクリレート樹脂であるフェニルアクリレートは、硬化せず、接着強度を発現しなかったばかりか、液状の付着物も確認された(比較例6)
以上より、一般に接着剤として広く用いられているアクリレート樹脂は、25℃において硬化せず、接着剤として使用できないことがわかった。また、2−メチレン−1,3−ジカルボニル化合物を含む接着剤であっても、分子量が220〜10000であるものを少なくとも1種含まない場合、または、前記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、分子量が220未満のものが占める重量割合が、0.00〜0.05ではない場合は、硬化後に周囲に付着物を残し、イメージセンサモジュールや電子部品の製造時に用いる一液型接着剤には適してないことがわかった。
すなわち、比較例は、低温で硬化が可能でない、及び/または、硬化後に周囲に付着物を残すという問題がある一方、本願発明の実施例だけが、低温で硬化可能であり、かつ、硬化した後に周囲に付着物を残さないので、イメージセンサモジュールや電子部品の製造時に用いる一液型接着剤として好適である。
10 カメラモジュール
12 レンズ
14 ボイスコイルモータ
16 レンズユニット
18 支持体
20 カットフィルタ
22 撮像素子
24 プリント配線基板
30、32、34 接着剤

Claims (12)

  1. 1種類以上の2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物を含む樹脂組成物を含む、電子部品用である接着剤、封止材、フィルム又はプリプレグであって、
    前記1種類以上の2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物のうち、少なくとも1種は分子量が220〜10000であり、
    前記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、分子量が220未満のものが占める重量割合が、0.00〜0.05であり、
    前記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物が以下の式(I):

    で表される構造単位を含む化合物である、接着剤、封止材、フィルム又はプリプレグ。
  2. 2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、分子量が220未満のものが占める重量割合が、0.00〜0.01である、請求項1記載の接着剤、封止材、フィルム又はプリプレグ。
  3. 上記式(I)で表される構造単位を2つ以上含む2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物を少なくとも1種含む、請求項1又は2記載の接着剤、封止材、フィルム又はプリプレグ。
  4. 前記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、上記式(I)で表される構造単位を2つ以上含む2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物の重量割合が、0.05〜0.95である、請求項3記載の接着剤、封止材、フィルム又はプリプレグ。
  5. 前記2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物が、下記式(II):

    (式中、
    及びXは、各々独立に、単結合、O又はNR(式中、Rは、水素又は1価の炭化水素基を表す)を表し、
    及びRは、各々独立に、水素、1価の炭化水素基又は下記式(III):

    (式中、
    及びXは、各々独立に、単結合、O又はNR(式中、Rは、水素又は1価の炭化水素基を表す)を表し、
    Wは、スペーサーを表し、
    は、水素又は1価の炭化水素基を表す)を表す)
    で表される、請求項1〜4いずれか一項記載の接着剤、封止材、フィルム又はプリプレグ。
  6. さらに、(A)無機充填剤を含む、請求項1〜5いずれか一項記載の接着剤、封止材、フィルム又はプリプレグ。
  7. さらに、(B)硬化触媒を含む、請求項1〜6いずれか一項記載の接着剤、封止材、フィルム又はプリプレグ。
  8. さらに、(C)安定化剤を含む、請求項1〜7いずれか一項記載の接着剤、封止材、フィルム又はプリプレグ。
  9. 2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物の樹脂組成物全体に対する重量割合が、0.01〜1.00である、請求項1〜8いずれか一項記載の接着剤、封止材、フィルム又はプリプレグ。
  10. 2−メチレン1,3−ジカルボニル化合物全体を1としたとき、25℃における蒸気圧が0.01mmHg以上であるものの重量割合が、0.00〜0.05である、請求項1〜9いずれか一項記載の接着剤、封止材、フィルム又はプリプレグ。
  11. 加熱によって硬化され得る、請求項1〜10いずれか一項記載の接着剤、封止材、フィルム又はプリプレグ。
  12. 請求項1〜11いずれか一項記載の接着剤、封止材、フィルム又はプリプレグの硬化物を含む、半導体装置。
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